説明

ジョブ処理システム

【課題】人感知センサの検出結果を有効に利用してジョブを処理するジョブ処理システムを提供する。
【解決手段】ホスト装置は、状態管理装置の通知手段から、ホスト装置の使用位置からユーザが離れている旨の通知を受けると、ジョブ登録手段に登録されているジョブの処理を実行する。したがって、ホスト装置のCPUに負担をかけるジョブがユーザの離席中に処理されるため、ユーザがホスト装置を使用する時にホスト装置のパフォーマンスが低下することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パソコン等のホスト装置におけるユーザの使用状態を管理する状態管理装置を用いたジョブ処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン等のホスト装置の多くは省電力モードという動作モードを有する。省電力モードとは、迅速に再起動できる態勢を整えつつ、ホスト装置に対する電力供給を必要最低限に抑える動作モードである。通常、ホスト装置において実行すべきジョブがなく、かつ、ホスト装置に対して一定時間コマンドの入力がされない場合に、ホスト装置は省電力モードに移行するように制御される。
【0003】
ところが、上述の制御よりも、ユーザの位置に応じて省電力モードに移行するタイミングを決定する方が望ましい。これは、ホスト装置のユーザが離席している場合には、ただちにホスト装置を省電力モードに移行させてもユーザに不都合は生じず、かつ、省電力モードへの移行タイミングが早まる分だけ省電力化を図ることができるからである。
【0004】
そこで、従来技術の中には、特開2001−195025号公報に開示されるように、ユーザがホスト装置を使用することが可能な位置に存在しているか否かに基づいて省電力モードに移行するディスプレイ装置が登場している。
【0005】
このような従来技術によれば、人感知センサによってユーザの不在を自動的に検出し、ユーザが不在である場合にはディスプレイ装置を省電力モードに移行させて節電管理を行うことができるため、より効果的に省電力化を図ることが可能になる、とされている。
【特許文献1】2001−195025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特開2001−195025号公報に記載の発明を含む従来技術では、人感知センサの検出結果が十分に活用されているとは言えない。例えば、人感知センサの検出結果を用いてホスト装置の使用状態を管理したりホスト装置が行うべきジョブの処理手順を決定すれば、人感知センサの検出結果をさらに有効活用することが可能になる。
【0007】
この発明の目的は、人感知センサの検出結果を有効に利用してジョブを処理するジョブ処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は以下の構成を備えている。
【0009】
(1)ホスト装置と、状態管理装置と、を備えたジョブ処理システムであって、前記状態管理装置は、前記ホスト装置に対する操作を行うことが可能な位置である前記ホスト装置の使用位置にユーザが存在するか否かを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて前記ホスト装置の使用位置からユーザが離れたとき、および前記ユーザが前記ホスト装置の使用位置に復帰したときに、それぞれその旨を使用状態の変化として前記ホスト装置に通知する通知手段と、を備え、前記ホスト装置は、前記ホスト装置の使用位置からユーザが離れている期間に自装置で処理するべきジョブの入力を受け付けて登録するジョブ登録手段と、前記使用位置からユーザが離れた旨の通知内容が前記通知手段から通知されているときに、前記ジョブ登録手段に登録されているジョブを処理するとともに、前記使用位置にユーザが復帰した旨が前記通知手段から通知されたときに前記ジョブを中断するジョブ処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成においては、ジョブ処理システムが、状態管理装置とホスト装置とを含んでいる。ホスト装置は、状態管理装置の通知手段から、ホスト装置の使用位置からユーザが離れている旨の通知を受けると、ジョブ登録手段に登録されているジョブの処理を実行する。
【0011】
通常、ジョブ登録手段には、ホスト装置のCPUに負荷をかけるジョブであり、かつ、迅速に処理することが要求されないジョブが登録される(ファイルのバックアップ、DVD等の光メディアに対する書込、ウィルススキャン、大容量ファイルの転送等)。
【0012】
また、他にジョブ登録手段に登録されるジョブとして、ファイルの内容の更新中は行えないジョブが挙げられる(ハードディスクの最適化等)。
【0013】
さらに、一旦、ホスト装置における作業を中断する必要が生じるジョブをジョブ登録手段に登録することも有効である(システムやアプリケーションのアップデート等)。
【0014】
したがって、ホスト装置のCPUに負担をかけるジョブがユーザの離席中に処理されるため、ユーザがホスト装置を使用する時にホスト装置のパフォーマンスが低下することを防止できる。
【0015】
(2)前記ジョブ登録手段は、前記ホスト装置の使用位置からユーザが離れている期間にバックアップ処理するべきファイルの入力を受け付けて登録し、前記ジョブは、自装置に接続される他の記憶装置に、前記ジョブ登録手段に登録されているファイルをバックアップする処理であることを特徴とする。
【0016】
この構成においては、状態管理装置とホスト装置を含むジョブ処理システムにおいて、状態管理装置がユーザの不在を確認したときに、ホスト装置が保持するデータのバックアップが実行される。
【0017】
したがって、ホスト装置の使用時にバックアップが実行されてホスト装置のパフォーマンスが低下するという不都合の発生を防止できる。
【0018】
また、自動的にきめ細かなバックアップが実行されるため、貴重なデータを喪失することを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、人感知センサの検出結果を有効に利用してジョブを処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図を用いて本発明の状態管理装置、状態管理システム、ジョブ処理システムの実施形態を説明する。
【0021】
まず、本発明の第1の実施形態である状態管理装置および状態管理システムを説明する。図1は、本発明の状態管理システム1の構成の概略を示している。同図に示すように状態管理システム1は、ローカルエリアネットワークとしてのLAN30、ホスト装置としてのパソコン20(20a、20b)、およびパソコン20(20a、20b)に接続される状態管理装置10を有している。
【0022】
パソコン20(20a、20b)には、後述するアプリケーションプログラムがインストールされている。なお、同図においては簡略化のためにLAN30に接続されるパソコン20が2台になっているが、LAN30に接続されるパソコン20の台数は2台に限定されるものではなく任意の台数にすることが可能である。
【0023】
また、パソコン20(20a、20b)は、後述するアプリケーションプログラムが実行可能な程度の処理能力を有するものであれば、特にその仕様等が制限されることはなく、本発明の状態管理システムにおいて使用することが可能である。なお、パソコン20(20a、20b)と状態管理装置10との接続にはUSBインタフェースが用いられる。
【0024】
図2は、パソコン20に接続される状態管理装置10の構成の概略を示すブロック図である。なお、同図では、状態管理装置10の各部に電力を供給する電源を省略している。
【0025】
状態管理装置10は、USBコネクタ11、クロック発生部12、USBマイクロコントローラ13、測距センサ14、比較部15、および距離設定部16を備えている。
【0026】
USBコネクタ11には、パソコン20に一端が接続されたUSBインタフェースケーブルの他端が接続される。このUSBコネクタ11は、アースに接続されている。
【0027】
クロック発生部12は、状態管理装置10の動作の基準となるクロックを発生し、そのクロックをUSBマイクロコントローラ13に対して出力する。
【0028】
測距センサ14は、状態管理装置10とパソコン20のユーザとの距離を測定するための赤外線センサである。なお、測距センサ14として、赤外線センサに代えて温度センサ等の他のセンサを使用することも可能である。測距センサ14が検出した距離は比較部15に出力される。
【0029】
距離設定部16は、本発明のホスト装置の使用位置の範囲を設定するものである。ここで、本発明のホスト装置の使用位置(以下、単に使用位置という。)とは、ユーザがパソコン20に対して適正な動作を行うことが可能な位置をいう。距離設定部16では、測距センサ14からの距離を用いて使用位置の範囲の閾値が設定される。なお、本実施形態では、測距センサ14から0.3〜1mの間の距離が閾値として設定される。なお、設定された閾値は距離設定部16から比較部15に出力される。
【0030】
比較部15は、距離設定部16の設定値と測距センサ14の検出値とを比較し、その比較結果をUSBマイクロコントローラ13に出力する。この比較結果とは、測距センサ14の検出値が距離設定部16で設定された閾値に比較して大きいのか、または小さいのかを示すものである。
【0031】
USBマイクロコントローラ13は、比較部15から供給される比較結果をパソコン20に通知する。また、USBマイクロコントローラ13は、パソコン20によって使用位置の範囲が設定されたときにパソコン20から供給される設定値を距離設定部16に供給する。このように、USBマイクロコントローラ13は、状態管理装置10の各部とパソコン20との間における通信を適正に制御する。
【0032】
なお、本実施形態では、測距センサ14によって本発明の検出手段が構成され、USBマイクロコントローラ13によって本発明の通知手段が構成される。
【0033】
パソコン20では、USBマイクロコントローラ13からの通知内容によってユーザが使用位置に存在するか否かを判断する。測距センサ14の検出値が距離設定部16で設定されている閾値以上である旨の比較結果を受け取ったときには、USBマイクロコントローラ13はユーザが使用位置に存在しないものと判断する。反対に、測距センサ14の検出値が距離設定部16で設定されている閾値よりも小さい旨の比較結果を受け取ったときには、USBマイクロコントローラ13はユーザが使用位置に存在するものと判断する。
【0034】
このため、距離設定部16の設定値を小さく設定すると、ユーザがわずかでもパソコン20から離れたときにはユーザが使用位置に存在しないものと認識される傾向があり、また、距離設定部16の設定値を大きく設定すると多少ユーザがパソコン20から離れた場合でも、ユーザが使用位置に存在すると認識される傾向がある。
【0035】
ここで、本発明を実施する際に、各パソコン20にインストールされるべきアプリケーションプログラム(以下、単にアプリケーションという。)の概略を図3を用いて説明する。図3に示すように、アプリケーションは、USBマイクロコントローラ13から供給される比較結果や他のパソコン20から供給される比較結果をCPUに解析させるプログラム、ユーザが使用位置に存在しない時間をCPU内蔵のタイマに計測させるプログラム、ユーザが使用位置に存在しない時間が所定の時間以上継続するとパソコン20のOSを操作してパソコン20を省電力モードに移行させるプログラム、USBマイクロコントローラ13から受け取った比較結果を含むユーザの使用状態に関するデータをLAN30内の他のパソコン20に出力する操作をCPUに実行させるプログラム、LAN30におけるパソコン20のユーザの使用状態をパソコン20のディスプレイに表示させるプログラム、および各ユーザが使用位置に存在した時間についてのログをCPUに作成させるプログラム等を含んでいる。
【0036】
例えば、ユーザがパソコンの前から離れると状態管理装置10からパソコン20に、ユーザが使用位置にいない旨が通知される。そして、ユーザが使用位置から離れた状態のまま予め設定された所定の時間が経過すると、アプリケーションによってパソコン20が自動的に省電力モード(スタンバイモード)に移行する。
【0037】
図4は、アプリケーションによってパソコン20側のディスプレイに表示される画面の表示例を示している。図4(a)は、LAN30に接続されている各パソコン20のユーザの使用状態を示している。また、図4(b)は、後述する他のネットワークのパソコン20に関する使用状態の管理についての設定作業の一例を示している。そして、図4(c)は、特定のユーザに関する使用状態の変化についての表示を示している。
【0038】
LAN30に接続されている各パソコン20のユーザがパソコン20の使用位置に存在するか否かについて、実際に目視によって確認するのは煩わしい。そこで、図4(a)に示すように、本実施形態ではアプリケーションがパソコン20上で動作することにより、各パソコン20のディスプレイに各ユーザの使用状態を示す画面が表示がされるようにしている。
【0039】
ここでは、それぞれのユーザが在席しているか否かを容易に把握するため、同図に示すようにパソコン20のディスプレイに表示される使用状態を示す画面には、左側からユーザの使用状態、ユーザ名、当該ユーザが属するネットワークのグループ名、IPアドレス、ホスト装置の名称、ユーザの行き先、および使用状態の変化が逐次通知されるユーザを設定するためのチェックボックスがそれぞれ示される枠が設けられている。
【0040】
同図において左端に配置されるユーザの使用状態の枠では、二重丸、一重丸、またはバツ印によってユーザの使用状態が示される。このユーザの使用状態を示すマークのうち、二重丸はディスプレイを介して使用状態を確認しているユーザ本人が使用するホスト装置を意味しており、また、一重丸はそのユーザが在席していることを意味しており、バツ印はそのユーザが離席していることを意味している。なお、ユーザの使用状態を表示するマークが上述のものに限定されることがないのはいうまでもなく、パソコン20等の表示能力等に応じて任意のマークを採用することが可能である。
【0041】
ユーザの行き先の欄の表示は、本発明を実施するにあたって必須のものではないが、ユーザが使用位置から離れる際に、予めその行き先等を入力しておくことで、他のユーザに対する情報提供の便宜が図れることを考慮して設けられている。
【0042】
さらに、上述のチェックボックスは、特定のユーザの在席/離席状況の変化を逐次把握したい者のために設けられている。このチェックボックスにチェックが入っているユーザについては、このユーザが使用位置から離れたとき、および使用位置に復帰したときに、その旨がこのチェックボックスにチェックを行ったユーザに通知される。図4(c)には、その通知の方法の一例としてのポップアップメッセージを示している。図4(a)において離席中のユーザDのポップアップメッセージ予約チェックボックスにチェックが入っているため、離席していたユーザDが使用位置に復帰すると、その旨がチェックボックスにチェックを入れたユーザBのディスプレイ上に表示される。
【0043】
なお、上述のような視覚を通じた通知の方法以外にも、ユーザDが使用位置に復帰したことを音声でユーザBに認識させるようにしてもよく、その通知の方法が、特に視覚によるものや聴覚によるものに限定されると解釈されるべきではない。
【0044】
このように、この状態管理システム1では、USBインタフェースを介してパソコンに接続される人感知機能を有する状態管理装置10によって、パソコン20のユーザが在席中か不在かを検出する。さらに、この検出結果をパソコン20に通知するとともに、LAN30に接続されているすべてのパソコン20において共有して管理する。
【0045】
このため、状態管理システム1において、各ユーザは、実際に目視することなく、自分のパソコン20の表示によって、他のユーザの使用状態を認識することが可能になる。
【0046】
図5は、本発明が適用されるネットワークの構成の一例を示している。同図に示すように、通常、ルータ40(40a、40b、40c等)によって分けられるセグメントごとに所定のグループ名(GROUP1、GROUP2等)のLANが構築される。ここではルータ40aを挟んで両側にLAN30aおよびLAN30bが構築されている。
【0047】
この構成において、例えばグループ1内に配置されている状態管理装置10は、原則としてグループ1内のパソコン20、すなわちLAN30aに接続されているパソコン20に対してのみ、取得した使用状態の情報を供給する。これは、同一のLAN30aに接続される各パソコン20のIPアドレスについては容易に自動取得することが可能であることを考慮したものである。
【0048】
ところが、図4(b)に示すように、他のグループ2内のパソコン20、すなわちLAN30bに接続されるパソコン20のIPアドレスに関する情報をグループ1内のパソコン20に手動で入力することにより、グループ1に配置される状態管理装置10からグループ2内のパソコンに使用状態の情報を供給することが可能になる。
【0049】
図4(b)ではルータ40を隔てた他のネットワークに接続されているパソコン20のIPアドレスを入力する画面を示している。この場合、他のネットワークに接続されているパソコン20のIPアドレスを個別に入力していく方法と、他のネットワークのネットワークアドレスを指定して、そのネットワークに接続されているパソコン20のIPアドレスを検出させてIPアドレスの自動取得をする方法を用いることが可能である。
【0050】
また、他のグループのパソコン20に使用状態の情報を伝えたり、他のグループのパソコンから使用状態の情報を取得する手法として、電子メールを用いることも可能である。この場合、使用状態の情報を送信すべきユーザのメールアドレスをパソコン20に記憶させておき、アプリケーションによって状態管理装置10から取得した情報を、同一グループか否かにかかわらず、上述のメールアドレスに送信すればよい。
【0051】
ネットワークに接続されるパソコン20のユーザが在席中か否かをパソコン20のディスプレイに表示される画面を通じて把握することが可能であるため、ユーザ間における連絡の行き違い等を防止することが可能になる。
【0052】
さらに、状態管理装置10からの測距センサ14のオン/オフに関するログをログファイルに残しておくことで、事後的に各ユーザが何時間離席していたか等を調査することや、予期しない時間にパソコン20を使用した者がいないかどうかを検査することが可能になる。また、上述のLAN30a等のネットワークを利用するシステムのセキュリティを強化するために、システムにログインしているユーザが離席して使用位置から離れた場合には、離席直後または離席後所定の時間が経過した時に、ユーザがシステムから自動的にログアウトするような制御を行うとよい。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態である状態管理装置およびジョブ処理システムを説明する。
【0054】
図6は、本発明のジョブ処理システムの概略構成を示す。ジョブ処理システムは1′、少なくとも1台のパソコン20c、パソコン20cに接続される状態管理装置10、およびストレージ機器とを含んでいる。本実施形態では、ストレージ機器として、パソコン20cに接続される外付のハードディスク11を用いている。
【0055】
本実施形態における状態管理装置10の構成は、第1の実施形態における状態管理装置10の構成と同一である。また、ハードディスク11は、外付に限定されるものではなく、パソコン20cに内蔵されるものであっても良い。
【0056】
図7は、本発明のジョブ処理システムの機能ブロック図である。ジョブ処理システム1′において、検出手段がパソコン20cの使用位置にユーザが存在するか否かを検出する。続いて、通知手段が、検出手段の検出結果に基づく情報をパソコン20cに通知する。ここで、検出手段の検出結果に基づく情報とは、パソコン20cの使用位置においてユーザの存在が検出されるか否かに関する情報である。
【0057】
通知手段の通知内容は、ジョブ処理手段によって利用される。具体的には、ジョブ処理手段は、通知手段の通知内容に基づいてユーザがパソコン20cの使用位置に存在しない期間を認識する。さらにジョブ処理手段は、ユーザがパソコン20cの使用位置に存在しない期間に、登録ジョブリストに登録されているジョブを処理する。
【0058】
ここで、登録ジョブリストには、ユーザがパソコン20cの使用位置から離れている間に処理するべきジョブが登録されている。登録ジョブリストへのジョブの登録は、パソコン20cにインストールされるアプリケーションによって行われる。本実施形態では、登録ジョブリストにユーザが任意のジョブを登録できるようにされている。例えば、登録ジョブリストには、バックアップ処理以外に光ディスクへの書き込み処理やウィルススキャン処理を登録することができる。
【0059】
この場合、登録ジョブリストに登録されたジョブについて優先度を設定しておくことで、ユーザが使用位置から離れたときに重要性の高いジョブを他に優先して実行することが可能になる。
【0060】
また、登録ジョブリストに登録されている各ジョブの処理に要する時間を登録しておけば、登録ジョブリストに登録された複数のジョブを選択的に実行するときに、ユーザ不在の期間の長さに応じて最適なジョブの選択をすることができる。さらに、ユーザが離席する際に、予想離席時間を入力するようにすれば、ユーザが離席したときに優先的に行うジョブをより的確に選択することが可能になる。
【0061】
登録ジョブリストに登録されているジョブの代表例として、データのバックアップ処理が挙げられる。本実施形態では、登録ジョブリストにパソコン20cが保持するデータのバックアップ処理が登録されている。
【0062】
なお、本実施形態においても、上述の検出手段は測距センサ14であり、通知手段はUSBマイクロコントローラ13である。また、ジョブ登録手段およびジョブ処理手段は、パソコン20cにインストールされるアプリケーションによって構成される。
【0063】
図8は、パソコン20cにインストールされるアプリケーションの概略の説明図である。本実施形態におけるアプリケーションの基本構成は、第1の実施形態におけるアプリケーションと同一である。ただし、本実施形態におけるアプリケーションは、ジョブ登録プログラムおよびジョブ実行プログラムが追加されている。
【0064】
ジョブ登録プログラムは、登録ジョブリストに登録するジョブの入力を受け付け、入力内容を登録ジョブリストに入力するためのプログラムである。具体的には、ディスプレイにジョブの入力画面を表示させ、キーボード等の入力部から入力される内容を登録ジョブリストに書き込む。なお、この登録ジョブリストは、パソコン20cのメモリの所定範囲に割りあてられた記憶領域上に構築される。
【0065】
ジョブ実行プログラムは、ユーザがパソコン20cの操作位置に存在しないときに、登録ジョブリストに書き込まれたジョブをパソコン20cのCPUに実行させるプログラムである。本実施形態ではジョブ実行プログラムにバックアップ処理用プログラムが含まれる。このバックアップ処理用プログラムは、ユーザが不在の状態が一定時間継続すると自動的にパソコン20cにおける指定ファイルをハードディスク11にバックアップするプログラムである。
【0066】
図9は、パソコン20cのCPU(以下、単にCPUという。)の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、一例としてバックアップ処理について説明する。
【0067】
CPUは、ユーザがパソコン20cの使用位置から離れたことを検出するまで待機する(S1)。S1の待機ステップにおいて、ユーザが使用位置から離れたことが確認されると、CPUはバックアップ処理用のプログラムを読み込み、バックアップ処理を開始する(S2)。このとき、バックアップ処理の対象となるファイルは、予めユーザが選択することが可能である。また、バックアップの方法は、更新された箇所のみをバックアップする差分バックアップ、または、対象ファイル全部をバックアップするフルバックアップのいずれかを行う。いずれを行うかは、アプリケーションによってユーザが任意に設定することが可能である。
【0068】
バックアップ処理の際、パソコン20cのファイルはハードディスク11に書き込まれる。バックアップファイルの保存先はハードディスク11に限定されることはなく、バックアップファイルの保存先をリムーバブルディスクにしても良い。
【0069】
続いて、CPUは、バックアップ処理が終了するまで待機する(S3)。S3の待機ステップにおいてバックアップ処理が終了した場合には、CPUは他に実行すべき処理が存在するか否かを判断する(S6)。具体的には、登録ジョブリストに他のジョブが登録されている否かを確認する。
【0070】
S6の判断ステップにおいて、他に実行すべき処理が存在しない場合には、CPUはパソコン20cを省電力モードに移行させて(S7)、処理を終了する。これに対して、他に実行すべき処理がある場合には、CPUはその処理を実行する(S2)。
【0071】
一方、S3の待機ステップにおいてバックアップ処理が終了していない場合には、CPUはユーザが使用位置に復帰しているか否かを判断する(S4)。
【0072】
S4の判断ステップにおいて、ユーザがパソコン20cの使用位置に復帰している場合には、バックアップを中断する(S5)。このS5のステップは、バックアップの中断に限定されることはなく、これに代えてバックアップの継続や、バックアップの履歴の確認等の処理をS5のステップにおいて実行してもよい。S5のステップが終わると、CPUは処理を終了する。
【0073】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の状態管理システムの構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の状態管理装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に適用されるアプリケーションの概略を示す図である。
【図4】使用状態の表示の一例を示す図である。
【図5】本発明の状態管理システムの他の構成を示す図である。
【図6】本発明のジョブ処理システムの構成の概略を示す図である。
【図7】本発明のジョブ処理システムの機能ブロック図である。
【図8】第2実施形態に適用されるアプリケーションの概略を示す図である。
【図9】第2の実施形態におけるパソコンのCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1−状態管理システム
10−状態管理装置
20a−パソコン
20b−パソコン
30−LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置と、状態管理装置と、を備えたジョブ処理システムであって、
前記状態管理装置は、前記ホスト装置に対する操作を行うことが可能な位置である前記ホスト装置の使用位置にユーザが存在するか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて前記ホスト装置の使用位置からユーザが離れたとき、および前記ユーザが前記ホスト装置の使用位置に復帰したときに、それぞれその旨を使用状態の変化として前記ホスト装置に通知する通知手段と、を備え、
前記ホスト装置は、前記ホスト装置の使用位置からユーザが離れている期間に自装置で処理するべきジョブの入力を受け付けて登録するジョブ登録手段と、
前記使用位置からユーザが離れた旨の通知内容が前記通知手段から通知されているときに、前記ジョブ登録手段に登録されているジョブを処理するとともに、前記使用位置にユーザが復帰した旨が前記通知手段から通知されたときに前記ジョブを中断するジョブ処理手段と、を備えたジョブ処理システム。
【請求項2】
前記ジョブ登録手段は、前記ホスト装置の使用位置からユーザが離れている期間にバックアップ処理するべきファイルの入力を受け付けて登録し、
前記ジョブは、自装置に接続される他の記憶装置に、前記ジョブ登録手段に登録されているファイルをバックアップする処理である請求項1に記載のジョブ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−54191(P2009−54191A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299417(P2008−299417)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【分割の表示】特願2005−504705(P2005−504705)の分割
【原出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【出願人】(591275481)株式会社アイ・オー・データ機器 (98)
【Fターム(参考)】