説明

ジヨードメチル−p−トリルスルフォン、およびヒドロキシジフェニルエーテルを含有するシアノアクリレートモノマー調合物

【課題】創傷閉鎖接着剤として機能することができるポリマーフィルムを形成する、シアノアクリレートモノマー、ジヨードメチル-p-トリルスルフォン、およびハロゲン化2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含む重合性抗菌調合物を提供する。
【解決手段】創傷閉鎖接着剤を形成するための重合性抗菌調合物は、シアノアクリレートモノマー、ジヨードメチル-p-トリルスルフォン、およびハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルを含み、実質的に菌増殖を抑制するポリマーフィルムで創傷接合縁を閉鎖する方法では、この重合性抗菌調合物の使用によってポリマーフィルムが形成される。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
重合性シアノアクリレートモノマー調合物は、多様な局所使用用として開示されている。具体的には、当該調合物は、創傷または切開部の接合縁上にポリマーフィルムを形成することによる、創傷閉鎖における手術用の縫合糸および/またはステープルの代用品または補助物として使用されている。得られるポリマーフィルムの微生物バリア特性を向上させるために、シアノアクリレートモノマー調合物に抗菌剤が混入されることができる。しかし、当該調合物が、後からの使用、即ち、後からの重合用として、長期間安定であることが望ましい場合、当該抗菌剤は、シアノアクリレートモノマー調合物の早期重合を引き起こさないことが重要である。さらに、当該シアノアクリレートモノマー調合物が、例えば創傷の接合縁に塗布される場合、当該抗菌剤は、重合を妨害してはならない。さらに、当該抗菌剤は、シアノアクリレートモノマー調合物の機械的強度に有害作用を有してはならない。最後に、当該抗菌剤は、ポリマーフィルムから、当該抗菌剤が有効であるのに十分な量で放出されることができなければならない。
【0002】
この点で、米国特許第6,214,332号は、シアノアクリレートモノマーの各種抗菌剤、例えばポリビニルピロリドンヨード(polyvinylpyrollidone- iodine)、硝酸銀、ヘキサクロロフェン、メルブロミン、テトラサイクリン-HCl、テトラサイクリン水和物(tetracycline hydrate)およびエリスロマイシン、との相溶性を述べている。この参考文献は、固体状態のポリビニルピロリドンヨードが、室温保存すると、8週間安定なシアノアクリレートモノマー調合物を生じ、重合によって30秒以内にポリマーフィルムを形成し、抗菌作用を発揮する、と指摘している。
【0003】
しかし、多くの従来の抗菌剤は、上記の基準の1項目以上を満たすことができないために、シアノアクリレートモノマー調合物への使用には適していない。例えば、四級アンモニウム塩は、一般に使用されている抗菌剤であるが、米国特許出願第2003/0007948 A号ならびに米国特許第5,928,61l号および同第6,767,552号に記述されているように、シアノアクリレートモノマーの重合を開始することも既知である。そのため、シアノアクリレートモノマー調合物において、当該調合物が、長期間安定であることを要求される場合、抗菌剤として四級アンモニウム塩を使用するのは望ましくない。
【0004】
抗菌剤としてのジヨードメチル-p-トリルスルフォン(diiodomethyl-p-tolylsulfone)の使用は、当該物質が広域スペクトル抗菌剤であるため、望ましい。例えば、Amical-48(ダウ(Dow)から市販)などのジヨードメチル-p-トリルスルフォンとアクリル熱溶融接着剤ポリマーのブレンド品は、抗菌特性を有する手術用切開ドレープでの使用に、米国特許第6,216,699号に報告されている。当該ブレンド品は、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、大腸菌(E. coli)、緑膿菌(P. aeruginosa)、肺炎桿菌(K. pneumoniae)、P.セパシア菌(P. cepacia)、エンテロバクタークロアカエ(E. cloacae)、セラチア・マルセッセンス(S. marcescens)、化膿連鎖球菌(S. pyogenes)、バンコマイシン耐性-大便連鎖球菌(E. faecalis-Vancomycin Resistant)、カンジダ・アルビカンス(C. albicans) および枯草菌(B. subtilis)を含む数種の微生物に対する阻止円(zones of inhibition)を示す、と報告された。しかし、形成されたポリマー中での、あるいは、ポリマー溶融物中の直接混合によるジヨードメチル-p-トリルスルフォンの使用は、ジヨードメチル-p-トリルスルフォンが、本明細書で述べるシアノアクリレートモノマー調合物などのプレポリマー組成物との使用に適することを保証するものではない。
【0005】
1種類以上の抗菌剤の、例えば抗菌剤ブレンド品中での使用は、しばしば、各種微生物に対するより広い抗菌活性スペクトルを達成するのが望ましい。例えば、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(2,4,4'-trichloro-2'- hydroxydiphenyl ether)、および、一般にトリクロサン(triclosan)(lrgasan DP300またはlrgacare MP の販売名でチバ・スペシャリティー・ケミカル社(Ciba Specialty Chemical Corporation)によって製造)と呼ばれるハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルは、広域スペクトル抗菌剤であり、ブドウ球菌(Staphylococcus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(methicillin- resistant Staphylococcus epidermidis)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)の属(genus)を含むが、それらに制約されない数種の微生物への抗菌作用を有する。
【0006】
そのため、シアノアクリレートモノマー、ジヨードメチル-p-トリルスルフォンおよびハロゲン化2-ヒドロキシジフェニルエーテルの安定調合物を有するのが望ましく、この場合、当該抗菌剤は、後からの使用、即ち、後からの重合用として長期間安定であることが望ましい場合に、シアノアクリレートモノマー調合物の早期重合を引き起こさず、当該シアノアクリレートモノマー調合物が、例えば創傷の接合縁に塗布される場合に、重合を妨害せず、72時間まで抗菌的に有効である。
【0007】
〔発明の概要〕
本明細書で説明されるのは、創傷閉鎖接着剤の形成に使用されることができる、モノマーシアノアクリレート、ジヨードメチル-p-トリルスルフォンおよびハロゲン化2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含む重合性抗菌調合物である。
【0008】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、創傷閉鎖接着剤として機能することができるポリマーフィルムを形成する、シアノアクリレートモノマー、ジヨードメチル-p-トリルスルフォンおよびハロゲン化ヒドロキシビフェニルエーテル(halogenated hydroxy biphenyl ether)を含む重合性抗菌調合物であって、ポリマーフィルムの微生物バリア特性が、ジヨードメチル-p-トリルスルフォンおよびハロゲン化ヒドロキシビフェニルエーテルを当該フィルム内に取り込むことによって改善される、重合性抗菌調合物に向けられたものである。
【0009】
本発明での使用に好ましい式(I)のモノマーは、アルファ-シアノアクリレートである。これらのモノマーは、技術上周知であり、次式を有し、
【化1】


式中、
R2は水素であり、
R3は、ヒドロカルビル(hydrocarbyl)または置換ヒドロカルビル基であるか、
R3は、式--R4 --O--R5--O--R6を有する基団であって、
式中、
R4は炭素原子2〜4個を有する1,2-アルキレン基であり、
R5は炭素原子2〜4個を有するアルキレン基であり、
R6は炭素原子1〜6個を有するアルキル基である、基団であるか、または、
R3は、次式を有する基団であり、
【化2】


式中、
R7は、
【化3】


であり、
R8は有機ラジカルである。
【0010】
適切なヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基の例は、炭素原子1〜16個を有する直鎖または枝分れ鎖アルキル基;アシルオキシ基(acyloxy group)、ハロアルキル基(haloalkyl group)、アルコキシ基(alkoxy group)、ハロゲン原子、シアノ基またはハロアルキル基で置換された直鎖または枝分れ鎖C1〜C16のアルキル基;炭素原子2〜16個を有する直鎖または枝分れ鎖アルケニル基;炭素原子2〜12個を有する直鎖または枝分れ鎖アルキニル基;シクロアルキル基(cycloalkyl groups);アラルキル基(aralkyl groups);アルキルアリール基;およびアリール基を含む。
【0011】
前記有機ラジカルR8は、置換型または非置換型であることができ、直鎖、枝分れ、環式、飽和、不飽和または芳香族であることができる。当該有機ラジカルの例は、C1〜C8のアルキルラジカル、C2〜C8のアルケニルラジカル、C2〜C8のアルキニルラジカル、C3〜C12の環式脂肪族ラジカル、アリールラジカル(フェニルおよび置換フェニルなど)、および、アラルキルラジカル(ベンジル、メチルベンジルおよびフェニルエチルなど)を含む。他の有機ラジカルは、ハロ(例、クロロ-、フルオロ-およびブロモ-置換炭化水素)およびオキシ-(例、アルコキシ置換炭化水素)置換炭化水素ラジカルなどの置換炭化水素ラジカルを含む。好ましい有機ラジカルは、炭素原子1〜約8個を有するアルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカル、および、それらのハロ-置換誘導体である。特に好ましいのは、炭素原子4〜6個のアルキルラジカルである。
【0012】
式(I)のシアノアクリレートモノマー中、R3は、好ましくは炭素原子1〜10個を有するアルキル基または式--AOR9を有する基団であり、式中、Aは炭素原子2〜8個を有する二価直鎖または枝分れ鎖アルキレンまたはオキシアルキレンラジカルであり、R9は炭素原子1〜8個を有する直鎖または枝分れアルキルラジカルである。式--AOR9で表される基団の例は、1-メトキシ-2-プロピル(1-methoxy-2-propyl)、2-ブトキシエチル(2-butoxy ethyl)、イソプロピルエチル(isopropoxy ethyl)、2-メトキシエチル(2- methoxy ethyl)、および、2-エトキシエチル(2-ethoxy ethyl)を含む。
【0013】
本発明で使用される好ましいアルファ-シアノアクリレートモノマーは、2-オクチルシアノアクリレート(2- octyl cyanoacrylate)、ドデシルシアノアクリレート(dodecyl cyanoacrylate)、2-エチルヘキシルシアノアクリレート(2-ethylhexyl cyanoacrylate)、ブチルシアノアクリレート(butyl cyanoacrylate)、メチルシアノアクリレート(methyl cyanoacrylate)、3-メトキシブチルシアノアクリレート(3-methoxybutyl cyanoacrylate)、2-ブトキシエチルシアノアクリレート(2- butoxyethyl cyanoacrylate)、2-イソプロポキシエチルシアノアクリレート(2-isopropoxyethyl cyanoacrylate)、または、1-メトキシ-2-プロピルシアノアクリレート(1 -methoxy-2- propyl cyanoacrylate)である。
【0014】
式(I)のアルファ-シアノアクリレートは、技術上周知の方法に従って調製されることができる。例えば、米国特許第2,721,858号および同第3,254,111号を参照されたい。両特許は、それぞれ、参照することによって本明細書に組み入れられている。例えば、アルファ-シアノアクリレートは、非水性有機溶媒中、塩基触媒の存在下で、アルキルシアノアクリレートをホルムアルデヒドと反応させ、続いて、重合阻害剤の存在下で無水中間体ポリマーの熱分解によって、調製されることができる。低含水量で、基本的に不純物を含まずに調製されたアルファ-シアノアクリレートが、医療用に好ましい。
【0015】
R3が式--R4--O--R5--O--R6を有する式(I)のアルファ-シアノアクリレートは、キムラ(Kimura)らへの米国特許第4,364,876号に開示されている方法に従って、調製されることができる。当該特許は、参照することによって本明細書に組み入れられている。キムラ(Kimura)らの方法では、アルファ-シアノアクリレートは、シアノ酢酸をアルコールでエステル化し、あるいは、アルキルシアノアセテートとアルコールをエステル交換し;シアノアセテートとホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドを、触媒の存在下、0.5〜1.5:1、好ましくは0.8〜1.2:1のモル比で縮合し、縮合物を得て;縮合反応混合物を直接または縮合触媒除去後に脱重合して、粗シアノアクリレートを生じ;粗シアノアクリレートを蒸留し、高純度シアノアクリレートを形成することによって調製されることができる。
【0016】
式(I)のアルファ-シアノアクリレートは、式中R3が次式を有する基団であり、
【化4】


クロネンタル(Kronenthal)らへの米国特許3,995,641号に記述されている手順に従って調製されることができる。当該特許は、参照することによって本明細書に組み入れられている。クロネンタル(Kronenthal)らの方法では、当該アルファ-シアノアクリレートモノマーは、アルファ-シアノアクリル酸のアルキルエステルを環式1,3-ジエンと反応させて、ディールス-アンダー付加物(Diels-Alder adduct)を形成し、次に、当該付加物が、アルカリ加水分解、続いて、酸性化し、相応のアルファ-シアノアクリル酸付加物を形成することによって調製される。当該アルファ-シアノアクリル酸付加物は、好ましくはアルキルブロモアセテート(alkyl bromoacetate)によってエステル化され、相応のカルボアルコキシメチルアルファ-シアノアクリレート付加物を生じる。別法として、当該アルファ-シアノアクリル酸付加物は、チオニルクロライド(thionyl chloride)との反応によってアルファ-シアノアクリルイルハライド付加物(alpha-cyanoacrylyl halide adduct)に変換されることができる。当該アルファ-シアノアクリルイルハライド付加物は、次に、アルキルヒドロキシアセテート(alkyl hydroxyacetate)またはメチル置換アルキルヒドロキシアセテート(methyl substituted alkyl hydroxyacetate)と反応され、それぞれ、相応のカルボアルコキシメチルアルファ-シアノアクリレート付加物(carbalkoxymethyl alpha-cyanoacrylate adduct)またはカルボアルコキシアルキルアルファ-シアノアクリレート付加物(carbalkoxy alkyl alpha-cyanoacrylate adduct)を生じる。環式1,3-ジエンブロック基が、最後に除去され、カルボアルコキシメチルアルファ-シアノアクリレート付加物またはカルボアルコキシアルキルアルファ-シアノアクリレート付加物は、わずかに不足量のマレイン酸無水物(maleic anhydride)の存在下で当該付加物を加熱することによって、相応のカルボアルコキシアルキルアルファ-シアノアクリレートに変換される。
【0017】
式(I)のモノマーの例は、シアノペンタジエノエート(cyanopentadienoates)および次式のアルファ-シアノアクリレートを含み、
【化5】


式中、Zは--CH=CH2または--C(CH3)=CH2であり、R3は上記のとおりである。R3が炭素原子1〜10個のアルキル基である式(II)のモノマー、即ち2-シアノペンタ-2,4-ジエン酸エステル(2- cyanopenta-2, 4-dienoic acid esters)は、塩化亜鉛などの触媒の存在下で適当な2-シアノアセテート(2-cyanoacetate)をアクロレイン(acrolein)と反応させることによって調製されることができる。
【0018】
本発明に従って、シアノアクリレートモノマー調合物中の成分は、フリーラジカル安定化剤、陰イオン安定化剤、可塑剤、増粘剤などを含むが、それらに制約されない。詳細は、米国特許第5,981,621号および同第6,433,096号に記述されており、その内容は、参照することによってそのまま本明細書に組み入れられている。
【0019】
シアノアクリレートモノマー調合物は、任意に、当該モノマーから形成されるポリマーフィルムに柔軟性を付与する少なくとも1種類の可塑剤も含む。当該可塑剤は、好ましくは、水分をほとんど、または、まったく含有せず、当該モノマーの安定性または重合に強い影響を与えないことが必要である。当該可塑剤は、創傷、切開部、擦過傷、ただれ、または、接着剤の柔軟性が望ましい他の用途の閉鎖またはカバーに有用である
【0020】
適切な可塑剤の例は、クエン酸トリブチル(tributyl citrate)、クエン酸アセチルトリブチル(acetyl tributyl citrate)、セバシン酸ジメチル、リン酸トリエチル、トリ(2-エチルヘキシル)フォスフェート(tri(2-ethylhexyl)phosphate)、トリ(p-クレシル)フォスフェート(tri(p- cresyl) phosphate)、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート(glyceryl tributyrate)、セバシン酸ジエチル(diethyl sebacate)、アジピン酸ジオクチル(dioctyl adipate)、ミリスチン酸イソプロピル(isopropyl myristate)、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸、トリオクチルトリメリテート(trioctyl trimellitate)、グルタル酸ジオクチル(dioctyl glutarate)およびそれらの混合物を含む。好ましい可塑剤は、クエン酸トリブチルおよびクエン酸アセチルトリブチルである。
【0021】
可塑剤の、約0.5重量%〜約25重量%、または、約1重量%〜約20重量%、または、約3重量%〜約15重量%、または、約5重量%〜約7重量%の範囲の量での添加は、可塑剤を添加されないポリマーフィルムに勝るポリマーフィルムの伸びおよび靭性の増加を提供する。
【0022】
増粘剤は、ポリ(2-エチルヘキシルメタクリレート)(poly(2-ethylhexyl methacrylate))、ポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)(poly(2- ethylhexyl acrylate))およびアセチルブチルセルロース(cellulose acetate butyrate)を含むが、それらに制約されない既知増粘剤から選択されることができる。適切な増粘剤は、例えば、ポリシアノアクリレート、ポリオキザレート(polyoxalates)、乳酸-グリコール酸コポリマー(lactic-glycolic acid)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、乳酸-カプロラクトンコポリマー、ポリ(カプロラクトン+DL-ラクチド+グリコリド)(poly(caporolactone+DL-lactide+glycolide))、ポリオルソエステル(polyorthoesters)、ポリアルキルアクリレート(polyalkyl acrylates)、アルキルアクリレートと酢酸ビニルのコポリマー、ポリアルキルメタクリレート(polyalkyl methacrylates)、および、アルキルメタクリレートとブタジエンのコポリマーを含む。アルキルメタクリレート(alkyl methacrylates)およびアクリレート(acrylates)の例は、ポリ(ブチルメタクリレート)(poly(butylmethacrylate))およびポリ(ブチルアクリレート)(poly(butylacrylate))、また、各種アクリレートとメタクリレートモノマーのコポリマー、例えばポリ(ブチルメタクリレート-コ-メチルメタクリレート)(poly(butylmethacrylate-co- methylmethacrylate))などである。一部の手術用としての一部の使用には、生分解性ポリマー増粘剤が好ましい。好ましくは、当該増粘剤は、室温(即ち、20〜25℃)でシアノアクリレートモノマー調合物に可溶性であるため、当該シアノアクリレートモノマー調合物を過度に加熱せずに、当該シアノアクリレートモノマー調合物に当該増粘剤が添加され、当該シアノアクリレートモノマー調合物中で均一配合を保つことができる。
【0023】
シアノアクリレートモノマー調合物に添加される増粘剤の量は、当該増粘剤の分子量に左右される。当該増粘剤は、好ましくは、当該シアノアクリレートモノマー調合物の約0.5〜25.0重量%を含む。好ましい実施態様では、当該増粘剤は、当該シアノアクリレートモノマー調合物の約1.0〜10.0%、さらに好ましくは1.0〜5.0%を含む。実施態様では、当該増粘剤は、高分子量、好ましくは少なくとも100,000または少なくとも500,000または少なくとも1,000,000を有する。当該増粘剤は、当該増粘剤がモノマーと相溶性であるように(即ち、重合、結合強度または安定性に有害な影響を与えない)選択される。使用されるべき増粘剤の量は、不必要な実験を行わずに、既知技術を使って、通常の技術の熟練者によって決定されることができる。
【0024】
実施態様では、シアノアクリレートモノマー調合物は、25℃のブルックフィールド粘度計(Brookfield Viscometer)で測定された場合、約5〜500センチポア、好ましくは30〜400センチポアの粘度を有する。
【0025】
シアノアクリレートモノマー調合物は、任意に、少なくとも1個の陰イオン蒸気相安定化剤と少なくとも1個の陰イオン液相安定化剤の両方を含むこともできる。これらの安定化剤は、早期重合を抑制する。当該安定化剤は、陰イオン安定化剤とラジカル安定化剤の混合物を含むこともできる。安定化剤のどの混合物でも、当該混合物が重合開始剤との接触時にモノマーの重合を抑制せず、選択された増粘剤と相溶性を示す限り、含まれる。
【0026】
適切なラジカル安定化剤の例は、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(hydroquinone monomethyl ether)、カテコール、ピロガロール、ベンゾキノン、2-ヒドロキシベンゾキノン(2- hydroxybenzoquinone)、p-メトキシフェノール(p-methoxy phenol)、t-ブチルカテコール(t-butyl catechol)、ブチル化ヒドロキシアニソール(butylated hydroxy anisole)、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxy toluene)およびt-ブチルハイドロキノン(t-butyl hydroquinone)を含む。
【0027】
陰イオン蒸気相安定化剤は、二酸化イオウ、三フッ化ホウ素およびフッ化水素を含むが、それらに制約されない既知安定化剤から選択されることができる。シアノアクリレートモノマー調合物に添加される陰イオン蒸気相安定化剤の量は、当該陰イオン蒸気相安定化剤との配合に選択される液相安定化剤の本体、安定化の対象となるモノマー、ならびに、当該シアノアクリレートモノマー調合物に使用される包装材によって異なる。好ましくは、各陰イオン蒸気相安定化剤は、200ppm(parts per million)未満の濃度を生じるように添加される。好ましい実施態様では、各陰イオン蒸気相安定化剤は、約1〜200 ppm、さらに好ましくは約10〜75 ppm、はるかに好ましくは約10〜50 ppm、最も好ましくは10〜20 ppmで存在する。使用量は、不必要な実験なしで、既知技術を使って、通常の技術の熟練者によって決定されることができる。
【0028】
実施態様では、蒸気相は、とりわけ、二酸化イオウである陰イオン安定化剤を含む。実施態様では、当該蒸気相は、とりわけ、三フッ化ホウ素またはフッ化水素である安定化剤を含む。一部の実施態様では、二酸化イオウと三フッ化ホウ素またはフッ化水素の配合物が好ましい。
【0029】
実施態様では、液相陰イオン安定化剤は、高強酸である。本明細書で使用される場合、高強酸は、1.0未満の水性pKaを有する酸である。適切な高強酸陰イオン安定化剤は、極強ミネラルおよび/または含酸素酸(oxygenated acids)を含むが、それらに制約されない。当該高強酸の例は、硫酸(pKa-3.0〜-5.2)および過塩素酸(pKa -5.0)を含むが、それらに制約されない。実施態様では、高強酸液相陰イオン安定化剤は、最終濃度1〜200 ppmを生じるように添加される。好ましくは、当該高強酸液相陰イオン安定化剤は、約5〜80 ppm、さらに好ましくは10〜40 ppmの濃度で存在する。使用される高強酸液相陰イオン安定化剤の量は、不必要な実験なしで、既知技術を使って、通常の技術の熟練者によって決定されることができる。好ましくは、当該高強酸液相陰イオン安定化剤は、硫酸、過塩素酸またはクロロスルフォン酸である。さらに好ましくは、当該高強酸液相陰イオン安定化剤は、硫酸である。
【0030】
実施態様では、蒸気相陰イオン安定化剤として二酸化イオウが使用され、液相陰イオン安定化剤として硫酸が使用される。少なくとも1個の蒸気相安定化剤と少なくとも1個の液相陰イオン安定化剤の配合物が好ましい。例えば、二酸化イオウと硫酸、二酸化イオウと過塩素酸、二酸化イオウとクロロスルフォン酸、三フッ化ホウ素と硫酸、三フッ化ホウ素と過塩素酸、三フッ化ホウ素とクロロスルフォン酸、三フッ化ホウ素とメタンスルフォン酸、フッ化水素と硫酸、フッ化水素と過塩素酸、フッ化水素とクロロスルフォン酸、および、フッ化水素とメタンスルフォン酸の各配合物が使用されることができる。とりわけ、三フッ化ホウ素、二酸化イオウおよび硫酸の配合物も使用されることができる。2タイプの陰イオン安定化剤は、当該安定化剤が選択された接着性シアノアクリレートモノマー調合物、および、互いの安定化剤と適合性を示すように、ならびに当該シアノアクリレートモノマーの製造および包装に使用される包装材料および設備と適合性を示すように、選択される。言い換えれば、蒸気相安定化剤、液相安定化剤およびモノマーの配合物は、包装後に、安定化された、実質的に非重合接着シアノアクリレートモノマー調合物が存在するようなものであることが必要である。
【0031】
シアノアクリレートモノマー調合物は、任意に、早期重合を抑制する少なくとも1個の他の陰イオン安定化剤も含むことができる。本明細書において以下で「一次」陰イオン安定化剤と称される強もしくは極強液相陰イオン安定化剤と対比させるために、これらの物質は、本明細書においては二次陰イオン活性剤と称される。当該二次陰イオン活性剤は、当該シアノアクリレートモノマー調合物の硬化速度を調整するために当該シアノアクリレートモノマー調合物に含まれることができる。
【0032】
二次陰イオン活性剤は、通常、一次陰イオン安定化剤よりも高いpKaを有する酸であり、接着剤の硬化速度と安定性、ならびに、硬化された接着剤の分子量をより正確に制御するために提供されることができる。一次陰イオン安定化剤と二次陰イオン活性剤のどの混合物も、シアノアクリレートモノマー調合物の化学的性質が、損なわれず、混合物がシアノアクリレートモノマー調合物の所望の重合を強く抑制しない限り、含まれる。さらに、当該混合物は、医療用シアノアクリレートモノマー調合物中で、受容不可能な毒性レベルを示してはならない。
【0033】
適切な二次陰イオン活性剤は、2〜8、好ましくは2〜6、最も好ましくは2〜5の範囲の水性pKaイオン化定数を有するものを含む。適切な当該二次陰イオン安定化剤の例は、リン酸(pKa 2.2)、有機酸、例えば酢酸(pKa 4.8)、安息香酸(pKa 4.2)、クロロ酢酸(pKa 2.9)、シアノ酢酸、および、それらの混合物を含むが、それらに制約されない。好ましくは、これらの二次陰イオン安定化剤は、酢酸または安息香酸などの有機酸である。実施態様では、酢酸および/または安息香酸の量は、約25〜500 ppmである。酢酸の濃度は、典型的には50〜400 ppm、好ましくは75〜300 ppm、さらに好ましくは100〜200 ppmである。リン酸などの強めの酸を使用する場合、20〜100 ppm、好ましくは30〜80 ppm、さらに好ましくは40〜60 ppmの濃度が用いられることができる。
【0034】
上記のように、ジヨードメチル-p-トリルスルフォンは、S. aureus、E. coli、P. aeruginosa、K. pneumoniae、P. cepacia、E. cloacae、S. marcescens、S. pyogenes、バンコマイシン耐性E. faecalis、C. albicans およびB. subtilisを含む数種の微生物に対する阻止円を示すと報告されたが、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(2,4,4'-trichloro-2'-hydroxydiphenyl ether)は、ブドウ球菌(Staphylococcus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus epidermidis)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin- resistant Staphylococcus aureus)の属(genus)に対する抗菌作用を有する。そのため、これらの2種の抗菌剤のブレンド品は、各抗菌剤単独よりも広い抗菌活性スペクトルを生じる。
【0035】
さらに、シアノアクリレートモノマー調合物中のジヨードメチル-p-トリルスルフォンおよびハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルの使用は、それぞれの物質単独の抗菌活性に比較して、予想外に優れた抗菌活性を生じ、当該シアノアクリレートモノマー調合物の物理的特性への強い有害作用がないことが認められている。
【0036】
ジヨードメチル-p-トリルスルフォン(DIMPTS)は、シアノアクリレートモノマー中、少なくとも15,000 ppm(1.5%)まで可溶性であるが、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルなどのハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルは、少なくとも15,000 ppmまで(1.5%)可溶性である。従って、調合物は、この場合、ジヨードメチル-p-トリルスルフォン濃度を約500(0.05%)〜約10,000 ppm(1.00%)、好ましくは、約700(0.07%)〜7,000 ppm(0.70%)の範囲、および、ハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテル濃度を約500(0.05%)〜約10,000 ppm(1%)、好ましくは、約700(0.07%)〜約7,000 ppm(0.70%)の範囲を有する。さらに好ましくは、ジヨードメチル-p-トリルスルフォンの濃度は約2,800 ppm(0.28%)であり、ハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルの濃度は、約2,800 ppm(0.28%)である。
【0037】
シアノアクリレートモノマー調合物は、ガラス、プラスチック、金属包装材およびフィルム-形成包装材を含むが、それらに制約されない材料から加工されたどのタイプの適切な容器にも包装されることができる。適切な容器は、受容不可能な損傷または分解を当該容器、または当該シアノアクリレートモノマー調合物の成分に与えることなく、当該シアノアクリレートモノマー調合物が分配されて、かつ、滅菌され得る、容器である。ガラスは、乾熱滅菌が達成される場合、特に好ましい。その理由は、乾熱滅菌(典型的には、少なくとも160℃)に使用される温度では多くのプラスチックが安定性に欠けるためである。容器のタイプの例は、アンプル、バイアル、シリンジ、ピペットなどを含むが、それらに制約されない。ある好ましい実施態様では、当該容器は、密封可能容器を含む。
【0038】
生物医学応用では、本発明に従ったシアノアクリレートモノマー調合物は、滅菌されることができる。滅菌は、当業者に周知の技術によって達成されることができ、好ましくは、化学的、物理的および照射の各方法を含むが、それらに制約されない方法によって達成される。化学的方法の例は、エチレンオキサイドまたは過酸化水素蒸気への曝露を含むが、それらに制約されない。物理的方法の例は、加熱滅菌(乾燥または加湿)を含むが、それに制約されない。照射法の例は、ガンマ線照射、電子ビーム照射および電磁波照射を含むが、それらに制約されない。好ましい方法は、乾燥および加湿加熱滅菌および電子ビーム滅菌である。シアノアクリレートモノマー調合物が医療用に使用される予定の実施態様では、滅菌済みシアノアクリレートモノマー調合物は、使用可能期間中、生体組織に示す毒性は、低レベルでなければならない。
【0039】
使用中、ジヨードメチル-p-トリルスルフォンおよびハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルを含有するシアノアクリレートモノマー調合物は、次のとおりの段階で隣接組織表面全体の生体適合性フィルムを形成することができる。
即ち、
(a)少なくとも2箇所の組織表面を合わせ、隣接組織表面を形成する段階、
(b)隣接組織表面を越えて、接着性生体適合性シアノアクリレートモノマー調合物を塗布する段階、および、
(c)当該シアノアクリレートモノマー調合物を重合させ、隣接組織表面上に生体適合性フィルムを形成させる段階である。
【0040】
シアノアクリレートモノマー調合物が、硬化され、ラテックス基質上の切開部上にフィルム化すると、当該フィルムと当該ラテックス基質で形成される構造の機械的強度が、下記のとおりの破裂試験法(burst test method)によって検査されることができる。当該ポリマーフィルムは、好ましくは、少なくとも約34.5kPa〜137.9kPa(約5〜20 psi)、さらに好ましくは少なくとも約69.0kPa〜137.9kPa(約10〜20 psi)の範囲の破裂強度を有する。
【0041】
本発明は、以下の、非制限的な実施例によってさらに詳細に説明される。以下の実施例は、十分量のジヨードメチル-p-トリルスルフォンまたは2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルを含む市販の安定化された調合物の2-オクチルシアノアクリレート(DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤(Topical Skin Adhesive)として エチコン社(Ethicon, Inc), サマービル(Somerville), ニュージャージー州(NJ)から販売)、あるいは、ジヨードメチル-p-トリルスルフォンと2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルのブレンド調合物は、加熱滅菌後および/または長時間の加熱熟成後安定であることを実証している。当該滅菌または加熱熟成されたモノマー調合物は、適切な条件下で重合され、標準的抗菌剤チャレンジにおいて抗菌活性を発揮するポリマーフィルムを生成することができる。
【0042】
〔実施例1〕
酸洗浄、オーブン乾燥のホウケイ酸(USP-1)ガラスアンプル9本に、2-オクチルシアノアクリレート(2-octylcyanoacrylate(2-OCA))中に各種濃度のジヨードメチル-p-トリルスルフォン(DIMPTS)が仕込まれた。
【0043】
DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤1.5028 gと固体ジヨードメチル-p-トリルスルフォン0.0012 gがアンプル中に入れられた。当該アンプルは、十分に攪拌され、2-オクチルシアノアクリレート中でジヨードメチル-p-トリルスルフォンを溶解した。得られた溶液の0.4966 gがアンプルNo.1に入れられた。得られた溶液の0.4760 gがアンプルNo.2に入れられた。元のアンプル、アンプルNo.3には、0.5302 gが残された。
【0044】
DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤1.5090 gと固体ジヨードメチル-p-トリルスルフォン0.0025 gがアンプル中に入れられた。当該アンプルは、十分に攪拌され、2-オクチルシアノアクリレート中でジヨードメチル-p-トリルスルフォンを溶解した。得られた溶液の0.5103 gがアンプルNo.4に入れられた。得られた溶液の0.4991 gがアンプルNo.5に入れられた。元のアンプル、アンプルNo.6には、0.4996 gが残された。
【0045】
DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤1.5134gと固体ジヨードメチル-p-トリルスルフォン0.0046 gがアンプル中に入れられた。当該アンプルは、十分に攪拌され、2-オクチルシアノアクリレート中でジヨードメチル-p-トリルスルフォンを溶解した。得られた溶液の0.5100 gがアンプルNo.7に入れられた。得られた溶液の0.4978 gがアンプルNo.8に入れられた。元のアンプル、アンプルNo.9には、0.5056 gが残された。
【0046】
アンプルNo.1、4および7は、160℃で65分間乾熱に曝露された。
アンプルNo.2、5および8は、15kGyでガンマ線に曝露された。
アンプルNo.3、6および9は、20kGyでガンマ線に曝露された。
【表1】

【0047】
160℃で65分間の加熱曝露後、アンプルNo.1は、顕著に混濁した。18時間後に点検すると、アンプルNo.1の内容物は、依然として混濁した溶液であり、前よりも幾分粘性が増加したが、流動性を保った。84時間後に点検すると、アンプルNo.1の内容物は、混濁し、かなり粘性が高く、固化の可能性があった。
【0048】
アンプルNo.4は、熱曝露後、実質的に透明であったが、DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤の元の紫色の代わりに灰色になった。アンプルNo.7は、熱曝露後、明らかな変化を示さなかった。
【0049】
アンプルNo.2、3、5、6、8および9は、ガンマ線照射によって、ホウケイ酸ガラス内に誘発された変化の典型的なガラスの色の変化を示した。ガラスアンプルのこの色の変化にもかかわらず、滅菌の翌日に、これらのアンプル中の調合物の明らかな変色は認められなかった。実施例1および表1で概説されたサンプルの試験結果は、実施例2および表II(B)に示される。
【0050】
〔実施例2〕
本明細書に述べられている調合物(ジヨードメチル-p-トリルスルフォンを含む)の抗菌効果が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC 6538、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)ATCC 51625 (メチシリン耐性)、腸球菌(Enterococcus faecium)ATCC 700221(バンコマイシン耐性)、大腸菌(Escherichia coli)ATCC 8739、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC 9027、および、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)ATCC 10231に対して試験された。チャレンジ微生物の培養物は、35〜37℃、滅菌トリプチケースソイブロス(Trypticase Soy Broth, TSB)20 mL中で16〜24時間増殖された。
【0051】
トリプチケースソイ寒天(TSA)平板がアッセイに使用された。希釈には、0.85%食塩水が使用された。全培地が、使用前に蒸気滅菌された。寒天平板は、約20mLの融解培地を滅菌された使い捨てペトリ皿(100 x 15 mm)に注入することによって調製された。寒天平板は、層流フード(laminar flow hood)下で固化された。
【0052】
一昼夜培養物は、渦動攪拌され、1:100希釈液が調製され、最小値104コロニー形成単位(CFU)/mLを得た。希釈された接種菌が、滅菌綿棒を使って寒天平板上に塗られた。寒天表面全体を均一に覆うように、注意が払われた。平板は、30分間風乾された。
【0053】
20μLの被験サンプルが、菌を接種された平板の中央に添加された。対照サンプル2滴が、別のTSA平板上に絞り出された。滴下された被験サンプルは、用手では広げられず、当該平板上で重合され、薄いフィルムを形成した。平板は、35〜37℃で24時間培養された。生成物から寒天培地への活性剤の拡散から起こる阻止円について、平板が検討された。当該阻止円は、フィルムの端から透明円の末端までミリメートル(mm)で測定された。組成物の抗菌効果は、表II(B)の阻止円によって表される。
【0054】
純粋DIMPTSの抗菌特性の有効性は、表II(A)の最小阻止濃度(MIC)および最小殺菌濃度(MBC)によって表される。最小阻止濃度は、培養期間後の目に見える増殖の発生を阻止する最低濃度である。最小殺菌濃度は、元の接種細菌量の1000倍以上の減少を達成する最低濃度である。最小阻止濃度および最小殺菌濃度は、試験管希釈法(tube dilution procedure)を使って評価される。
【表2】

【0055】
表II(B)は、表Iに挙げられたサンプルについての、NMRで定量された場合のシアノアクリレートモノマー調合物の安定性データ(モル%モノマー)と、阻止円データによって定量された場合の抗菌効果を報告したものである。阻止円試験は、対象菌株に対する拡散性物質の抗菌作用を評価する、一般に使用されている微生物学的試験である。当該物質は、ディスクから拡散するので、濃度が対数的に減少する。当該物質に対する菌(organism)の感受性は、増殖が起こらない円、即ち阻止円の外観とサイズによって判定される。対象材料周囲の増殖の見られない部分が阻止円を表し、即ち、抗菌剤濃度は、特定のチャレンジ菌(challenge organism)に対する最小阻止濃度(MIC)よりも大きい。当該材料周囲の透明部分(clear area)は、チャレンジ菌が拡散性物質によって殺傷または阻止されたことを示す。
【表3】

【0056】
ジヨードメチル-p-トリルスルフォン含有調合物は、対照と比較すると、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、腸球菌(Enterococcus faecium)およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対して実質的な活性増加を示した。カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対する活性は、ジヨードメチル-p-トリルスルフォン濃度の増加と共に、実質的に増加する。ジヨードメチル-p-トリルスルフォン含有調合物の放射線滅菌サンプルは、対照と比較すると、大腸菌(E.coli)に対する活性増加を示した。高めの濃度の加熱滅菌ジヨードメチル-p-トリルスルフォン含有調合物は、大腸菌(E.coli)に対する活性を示さない。ジヨードメチル-p-トリルスルフォン含有調合物は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)でチャレンジすると、被験フィルムサンプル周囲に阻止円を示さなかった。しかし、被験フィルムサンプル部分の下に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の増殖は見られなかった。
【0057】
〔実施例3〕
表IIIは、実施例1および表Iの場合と同様の方法で調製され、数種の条件に曝露された追加サンプル(10〜15)を挙げたものである。挙げられた粘度は、ブルックフィールド粘度計(Brookfield Viscometer)(Model # DV2 Plus;スピンドル# 40、100 RPM速度、25℃)で測定された。CDCl3溶液中のNMR(400mHz)によってモノマー%が定量された。
【表4】

表IIIは、ジヨードメチル-p-トリルスルフォン(DIMPTS)を取り込まれたモノマー調合物のモノマー%および粘度が対照材料と一致することを示している。
【0058】
〔実施例4〕
市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤中に2793 ppm DIMPTSを取り込むことによって調製されたシアノアクリレートモノマー調合物が評価された。NMRによって測定されたモノマー%が、各種条件下で評価された。評価は、80℃でサンプルが調製された後;サンプルが調製され、160℃で65分間加熱滅菌サイクル(熟成なし)に曝露された後;サンプルが調製され、80℃で6日間の熟成に曝露された後(加熱滅菌サイクルなし);サンプルが調製され、80℃で12日間の熟成に曝露された後(加熱滅菌サイクルなし)、実施された。対照は、市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤であった。表IVは、サンプル16〜19の結果を示した。
【表5】

表IVは、2793 ppmのジヨードメチル-p-トリルスルフォンを含有するモノマー調合物が、滅菌後および各種条件で、対照サンプルの安定性に匹敵する安定性を示したことを表している。
【0059】
〔実施例5〕
市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤中に2834 ppm DIMPTSを取り込むことによって調製され、複数の条件に曝露され、続いて、ハイドロキノンおよび二酸化イオウで安定化処理されたシアノアクリレートモノマー調合物が評価された。安定化処理は、下記の加熱滅菌サイクル後、2834 ppm DIMPTS含有DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤の粘度を維持するために実施された。
【0060】
具体的には、2834 ppm DIMPTSおよび438 ppmハイドロキノン含有DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤が、1N 硫酸で3時間洗浄され、脱イオン水で3回ゆすがれ、110℃で一晩乾燥されたフラスコ内に入れられた。次に、アンプルが、DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤/DIMPTS/ハイドロキノンを充填され、窒素中の二酸化イオウ混合物250 ppmが10秒間注入され、直ちに密封された。次に、全アンプルが160℃で65分間加熱滅菌された。
【0061】
次に破裂試験が、ミューレン破裂(Mullen burst)に使用される方法と同様の方法を使って実施された。各正方形の中心に1.3 cmの切開を加えられたラテックスフィルムが、10.9 cm2の小片に切断された。正方形の切り込みを有するテフロンコート低カーボンスチール鋳型が、切込みの中心に切開部を有するラテックス正方形の上に置かれる。マイクロピペットを使って、シアノアクリレートモノマー調合物50μLがラテックス正方形に塗布される。シアノアクリレートモノマー調合物は、吸湿状態で1日間硬化される。サンプルは、試験装置内に置かれ、破裂圧が表Vに記録された。
(1)対照A:市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤(DIMPTSなし、ハイドロキノンなし、二酸化イオウなし、追加加熱滅菌なし)が、5個のラテックスフィルムに約0.2 mmの厚さでコートされた。これらのフィルムは、重合開始剤なしで、湿気硬化された。
(2)対照B:市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤(DIMPTSなし、ハイドロキノンなし、二酸化イオウなし、追加加熱滅菌なし)が、5個のラテックスフィルムに約0.2 mmの厚さでコートされた。基質は、最初に、ウェットティッシュ(towelette)から適用された重合開始剤(アセチルクエン酸トリブチル(acetyl tri-butyl citrate)中トリ-エチルアミン(tri-ethyl amine)の5%溶液)でコートされた。
(3)組成物C:市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤(2834 ppm DIMPTS、438 ppmハイドロキノン、250 ppm二酸化イオウ、追加加熱滅菌あり)が、5個のラテックスフィルムに約0.2 mmの厚さでコートされた。これらのフィルムは、重合開始剤なしで、湿気硬化された。
(4)組成物D:市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤(2834 ppm DIMPTS、438 ppmハイドロキノン、250 ppm二酸化イオウ、追加加熱滅菌あり)が、5個のラテックスフィルムに約0.2 mmの厚さでコートされた。基質は、最初に、ウェットティッシュから適用された重合開始剤(アセチルクエン酸トリブチル中トリ-エチルアミンの5%溶液)でコートされた。
【0062】
全サンプル(対照および組成物)についての破裂試験結果と硬化速度観察が、それぞれ、表V(A)および表V(B)に要約される。
【表6】


【表7】

表V(A)〜表V(B)は、2834 ppmのジヨードメチル-p-トリルスルフォンを含有するモノマー調合物が重合し、湿気もしくは重合開始剤硬化条件下で、対照サンプルから形成されたポリマーフィルムに匹敵する機械的強度を示すポリマーフィルムを形成することを表している。
【0063】
〔実施例6A〕
この実施例は、ジヨードメチル-p-トリルスルフォンと2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルのそれぞれ単独の抗菌活性と比較した、シアノアクリレートモノマー調合物中のジヨードメチル-p-トリルスルフォンと2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルのブレンド品の、予想外に優れた抗菌活性を示す。
【0064】
各抗菌剤単独を使った比較サンプルE〜Hが、実施例5に記述された方法と同じ方法を使って調製された。サンプルは、以下の表VI(A1)に概略を示されている。
【表8】

【0065】
サンプルEは、2697 ppm 2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルを含有する市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤を使って調製されたサンプルである。
【0066】
サンプルFは、2816 ppmジヨードメチル-p-トリルスルフォンを含有する市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤を使って調製されたサンプルである。
【0067】
サンプルGは、5435 ppm 2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルを含有する市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤を使って調製されたサンプルである。
【0068】
サンプルHは、5863 ppmジヨードメチル-p-トリルスルフォンを含有する市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤を使って調製されたサンプルである。
【0069】
本発明のサンプルIは、2737 ppm 2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルおよび2725 ppmジヨードメチル-p-トリルスルフォンを含有する市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤を使って調製されたサンプルである。
【0070】
比較サンプルE〜Hおよび本発明のサンプルIは、それぞれ、160℃で65分間の加熱滅菌によって滅菌された。
【0071】
対数減少アッセイ(Log10 reduction assay)は、抗菌剤の効果の評価に使用される標準的微生物アッセイである。定量的抗菌アッセイの結果は、対数減少値(log reduction value)で要約されることができる。抗菌剤の効果の査定に定量アッセイが使用され、対照キャリアと被験キャリアの平均生存菌数間の対数スケールでの差が、当該抗菌剤の効果の目安である。殺傷率は、次のとおりである。
1-対数減少(1-Log Reduction) = 90%殺傷
2-対数減少(2-Log Reduction) = 99%殺傷
3-対数減少(3-Log Reduction) = 99.9%殺傷
4-対数減少(4-Log Reduction) = 99.99%殺傷
5-対数減少(5-Log Reduction) = 99.999%殺傷
6-対数減少(6-Log Reduction) = 99.9999%殺傷
【0072】
接種菌の調製
適当な増殖培地中の一昼夜培養物が渦動攪拌され、希釈物が調製され、最小値105 コロニー形成単位(CFU)/mLを得た。組織培養平板の個別ウェルの菌接種に希釈接種菌が使用された。
【0073】
滅菌栄養培地、ならびに、標準接種菌(0.1 mL)が各個別ウェルに添加された。適当な増殖培地および接種菌のみを含有する接種菌対照は、陽性対照として各セットで用いられた。
【0074】
比較サンプルE〜Hおよび本発明のサンプルIのそれぞれ0.5 mLが、滅菌TSA平板上に注入された。注入された材料は、4 cm x 2 cmの面積に滅菌ループを使って展ばされた。均一なフィルムの厚さを達成するために、慎重に内容物が展ばされた。当該フィルムは、当該平板上で重合された。いったん重合すると、重量80±2 mgの被験物に切断された。被験物は、増殖培地と接種菌を含有するウェルに添加された。ウェルから一部(aliquotes)を取り出して、0、24、48および72時間目に標準的平板カウントが実施された。試験は、2回繰り返しで実施された。
【0075】
表VI(A2)に示すように、抗菌調合物による処理後の菌殺傷パーセンテージが、24、48および72時間後に評価された。
【表9】

【0076】
表VI(A2)に示されるように、市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤および5435 ppm 2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルを含有する比較サンプルGは、24時間後に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の4〜5対数減少を示した。同様に、市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤および5863 ppmジヨードメチル-p-トリルスルフォンを含有する比較サンプルHは、24時間後に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の4〜5対数減少を示した。対照的に、市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤および2725 ppmジヨードメチル-p-トリルスルフォンと2737 ppm 2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルのブレンド品を含有する本発明サンプルIは、24時間後に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の6対数減少を示しており、抗菌剤の一定濃度において、各抗菌剤単独の活性に比較して、当該ブレンド品の予想外に優れた抗菌活性を実証した。48および72時間目にも、抗菌有効性が認められた。
【0077】
〔実施例6B〕
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) ATCC 6538、無乳性連鎖球菌(Streptococcus agalactiae) ATCC 624およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans) ATCC 10231に対して、本明細書に記述されている調合物(ジヨードメチル-p-トリルスルフォンと2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルのブレンド調合物を含有)の抗菌効果が試験された。チャレンジ菌の培養物が、20 mLの滅菌トリプチケースソイブロス(sterile Trypticase Soy Broth)(TSB)中、35〜37℃で16〜24時間増殖された。
【0078】
アッセイには、トリプチケースソイ寒天(TSA)平板が使用された。希釈には、0.85%食塩水が使用された。全培地は、使用前に蒸気滅菌された。寒天平板は、約20 mLの融解培地を滅菌済み使い捨てペトリ皿(100 x 15 mm)に注入することにより調製された。層流フード下で当該寒天平板が固化された。
【0079】
一昼夜培養物が渦動攪拌され、1:100希釈物が調製され、最小値104 コロニー形成単位(colony-forming units (CFU))/mLを得た。希釈接種菌は、滅菌綿棒を使って、寒天平板表面上に展ばされた。寒天表面全体を均一に覆うように注意が払われた。平板は、30分間風乾された。
【0080】
0.5 mLの調合物が、滅菌TSA平板上に注入された。注入された材料は、4 cm x 2 cmの面積に滅菌ループを使って展ばされた。均一なフィルムの厚さを達成するために、慎重に内容物が展ばされた。当該フィルムは、当該平板上で重合された。いったん重合すると、5mmのディスクが、無菌的パンチ(punched aseptically)されて、アッセイに使用された。
【0081】
ディスクは、毎日、新鮮接種平板上に移され、72時間まで保持された。各時点(即ち、24、48および72時間目)で、平板は、35〜37℃で24時間培養され、その後、生成物から寒天培地内への抗菌剤の拡散で起こる阻止円について検討された。阻止円は、フィルム全体でミリメートル(mm)として測定され、ディスクの直径を含む。表VI(B)は、表VI(A1)に記述されているサンプル(ジヨードメチル-p-トリルスルフォンと2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルのブレンド品含有)についての、阻止円データで定量した抗菌効果を報告する。
【表10】

【0082】
〔実施例6C〕
実施例6Aに記述されているシアノアクリレートモノマー調合物が評価された。NMRで測定されたモノマー%が各種条件下で評価された。評価は、サンプル調製後;サンプルが調製され、160℃で65分間加熱滅菌サイクル(熟成なし)に曝露された後;サンプルが調製され、80℃で6日間の熟成に曝露された後(加熱滅菌サイクルなし);サンプルが調製され、80℃で13日間の熟成に曝露された後(加熱滅菌サイクルなし)に実施された。対照サンプル(J)は、市販DERMABOND(登録商標)局所皮膚接着剤であった。表VI(C)は、対照サンプルJ、比較サンプルGおよびH、本発明サンプルIの結果を示す。
【表11】

【0083】
表VI(C)は、滅菌サイクル後の全サンプルの比較可能データを示す。
【0084】
〔実施の態様〕
(1) 創傷閉鎖接着剤を形成するための重合性抗菌調合物において、
シアノアクリレートモノマー、ジヨードメチル-p-トリルスルフォン、およびハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルを含む、
重合性抗菌調合物。
(2) 実施態様1に記載の調合物において、
前記ハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルが、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルである、
調合物。
(3) 実施態様1に記載の調合物において、
前記ジヨードメチル-p-トリルスルフォンの濃度が、約500 ppm〜約15,000 ppmであり、
前記2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルの濃度が、約500 ppm〜約15,000 ppmである、
調合物。
(4) 実施態様3に記載の調合物において、
前記ジヨードメチル-p-トリルスルフォンの濃度が、約2,500 ppm〜約3,000 ppmであり、
前記2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルの濃度が、約1,500 ppm〜約3,000 ppmである、
調合物。
(5) 実施態様1に記載の調合物において、
前記調合物が、160℃の温度で65分間の加熱滅菌、または15〜20 kGyの線量のガンマ線滅菌に曝露された後に、前記調合物は、少なくとも80%のシアノアクリレートモノマーを含む、
調合物。
【0085】
(6) 実施態様1に記載の調合物において、
前記調合物が、80℃の温度で約13日間の加熱熟成に曝露された後に、前記調合物は、少なくとも60%のシアノアクリレートモノマーを含む、
調合物。
(7) 実施態様1に記載の調合物において、
前記シアノアクリレートモノマーが、2-オクチルシアノアクリレート、n-オクチルシアノアクリレート、2-エチルヘキシルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレートおよびそれらの異性体から成る群から選択される、
調合物。
(8) 実質的に菌増殖を抑制するポリマーフィルムで創傷接合縁を閉鎖する方法において、
シアノアクリレートモノマー、ジヨードメチル-p-トリルスルフォン、および2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルを含む調合物を、前記創傷接合縁に塗布する段階と、
前記調合物を重合させ、ポリマーフィルムを形成する段階と、
を含む、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷閉鎖接着剤を形成するための重合性抗菌調合物において、
シアノアクリレートモノマー、ジヨードメチル-p-トリルスルフォン、およびハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルを含む、
重合性抗菌調合物。
【請求項2】
請求項1に記載の調合物において、
前記ハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルが、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルである、
調合物。
【請求項3】
請求項1に記載の調合物において、
前記ジヨードメチル-p-トリルスルフォンの濃度が、約500 ppm〜約15,000 ppmであり、
前記2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルの濃度が、約500 ppm〜約15,000 ppmである、
調合物。
【請求項4】
請求項3に記載の調合物において、
前記ジヨードメチル-p-トリルスルフォンの濃度が、約2,500 ppm〜約3,000 ppmであり、
前記2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルの濃度が、約1,500 ppm〜約3,000 ppmである、
調合物。
【請求項5】
請求項1に記載の調合物において、
前記調合物が、160℃の温度で65分間の加熱滅菌、または15〜20 kGyの線量のガンマ線滅菌に曝露された後に、前記調合物は、少なくとも80%のシアノアクリレートモノマーを含む、
調合物。
【請求項6】
請求項1に記載の調合物において、
前記調合物が、80℃の温度で約13日間の加熱熟成に曝露された後に、前記調合物は、少なくとも60%のシアノアクリレートモノマーを含む、
調合物。
【請求項7】
請求項1に記載の調合物において、
前記シアノアクリレートモノマーが、2-オクチルシアノアクリレート、n-オクチルシアノアクリレート、2-エチルヘキシルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート、およびそれらの異性体から成る群から選択される、
調合物。
【請求項8】
実質的に菌増殖を抑制するポリマーフィルムで創傷接合縁を閉鎖する方法において、
シアノアクリレートモノマー、ジヨードメチル-p-トリルスルフォン、および2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルを含む調合物を、前記創傷接合縁に塗布する段階と、
前記調合物を重合させ、ポリマーフィルムを形成する段階と、
を含む、方法。

【公表番号】特表2008−519142(P2008−519142A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540363(P2007−540363)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/039334
【国際公開番号】WO2006/052515
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】