説明

ジルコニウム化合物を含むエステル化触媒組成物およびこれを用いたエステル化合物の製造方法

【課題】
【解決手段】本発明は、ジルコニウム化合物を含むエステル化触媒組成物およびこれを用いたアルコールおよびカルボン酸化合物をエステル化反応させてエステル化合物を製造するステップを含むエステル化合物の製造方法に関するものであり、大量合成工程に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジルコニウム化合物を含むエステル化触媒組成物およびこれを用いたエステル化合物の製造方法に関する。
【0002】
本出願は2007年12月27日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2007−0139034号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
有機合成の代表的な反応中の一つであるエステル化反応は、親環境的な化学工程の面においても利用価値の高い重要な反応であり、それに対する膨大な量の報告例が既に存在している。
【0004】
一例として、オレイン酸(oleic acid)およびステアリン酸(stearic acid)からなるオイル(vegetable−oil)から高品質のバイオディーゼルを合成するために、触媒を用いてエステル化反応を適用するなど、その重要性が益々浮び上がっている(Nature 438,178,2005(非特許文献1))。
【0005】
一般的に、エステル化反応は、反応物に対し、1当量以上の量でカップリング剤(coupling agent)および補助活性化剤(activator)を用いる場合が多く、反応後には大量の付加生成物が生じるため、蒸留や再結晶のような精製過程がさらに必要となる。
【0006】
また、実際反応において、カルボン酸(carboxylic acid)とアルコールのうちのいずれか一方を過剰量で用いなければ効率的にエステルが得られないなどの問題がある(例えば、Synthesis,1978年p.929(非特許文献2)、Chem.Lett,1977年p.55(非特許文献3)、Chem.Lett.1981年p.663(非特許文献4)、Tetrahedron.Lett.28,1987年p.3713(非特許文献5)、J.Org.Chem.56,1991年p.5307(非特許文献6)参照)。しかし、上記のように反応物を過剰量用いるよりは、同一であるか類似するモル数のカルボン酸とアルコールから直接エステル化を実施することが理想的である。
【0007】
したがって、最近では、カルボン酸とアルコールをほぼ同じモル数で用いてエステルを合成する触媒を開発している。
【0008】
例えば、韓国特許出願公開第2003−0042011号(特許文献1)はエステル縮合物の製造方法であって、塩化ハフニウム(IV)、特に塩化ハフニウム(IV)・(THF)2やハフニウム(IV)t−ブトキシドで代表される4価のハフニウム化合物を(重)縮合触媒とし、これを用いた単量体エステルまたはチオエステルや、ポリエステルまたはポリチオエステルの合成反応に関するものである。
【0009】
また、ジルコニウム(IV)化合物および/またはハフニウム(IV)化合物と鉄化合物および/またはガリウム化合物を含有する触媒を用いてエステル化反応を実施した例が開示されている。この時、ジルコニウム(IV)化合物が、Zr(OH)a(OR1)b(式中、R1はアシル基またはアルキル基を示し、aおよびbは各々0または1〜4の整数であり、a+b=4)で示される化合物であるか、ジルコニウム(IV)ハロゲン化物を用いて実施した。
【0010】
しかし、前記ハフニウム化合物、ジルコニウムハロゲン化物、ジルコニウム化合物などはその優れた性能にもかかわらず、無機(inorganic)や塩(salt)化合物の特性上、常温のヘプタン、オクタン、トルエンなどの非極性溶媒によく溶けない短所がある。また、反応終結後、後処理時に反応器の壁に触媒残留物が残って除去が難しい問題点がある。
【0011】
また、韓国特許出願公開第2005−0050549号(特許文献2)には、モノヒドロキシ化合物とZr(OR)4形態の(Rはアルキル基またはアリール基)ジルコニウム化合物を反応させてジルコニウム触媒を製造した後、この触媒の存在下でカルボン酸とモノヒドロキシ化合物を反応させてカルボン酸エステルを製造した例が開示されている。この時、ジルコニウム元素に結合した配位子は酸素原子が単一分子に1つ含まれている形態(単座:monodentate)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国公開特許第2003−0042011号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2005−0050549号公報
【非特許文献】
【0013】
【特許文献1】Nature 438,178,2005
【特許文献2】Synthesis,1978年p.929
【特許文献3】Chem.Lett,1977年p.55
【特許文献4】Chem.Lett.1981年p.663
【特許文献5】Tetrahedron.Lett.28,1987年p.3713
【特許文献6】J.Org.Chem.56,1991年p.5307
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、従来のエステル化触媒が有する非極性溶媒に対する溶解度が低く、不活性気体の雰囲気下で行われ,大量合成工程に適用しにくいという問題点を解決するために,ジルコニウム化合物を含むエステル化触媒組成物およびこれを用いたエステル化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
前記本発明に係るエステル化触媒組成物は、ジルコニウム原子と硫黄、炭素、および窒素からなる群から選択された一つを有する酸化物を含むことを特徴とする。
【0017】
前記酸化物を含むエステル化触媒組成物は、非極性溶媒に対する溶解度に優れ、水分吸着による触媒劣化を減少できるため、窒素気体のような乾燥不活性気体の雰囲気だけでなく、大気に晒された状態でもエステル化反応を円滑にすることができ、大量生産工程に適用することができる。
【0018】
前記ジルコニウム原子と硫黄、炭素、および窒素からなる群から選択された一つを含む酸化物は、下記化学式1で示される化合物を含むことができる。
[化学式1]
(ZrOnY1(XOrs(OH)t・(H2O)Y2
前記化学式1において、
Xは、S、C、およびNからなる群から選択され、
Y1は1〜6の整数で、Y2は1〜12の整数であり、
n、r、s、およびtは、各々独立に0〜6の実数であり、ただしrおよびsは0ではない。
【0019】
前記化学式1で示される化合物は、一つ以上の水分子を含む含水化合物であって、ジルコニウム化合物触媒に比べて優れたエステル化反応の触媒活性を有する。
【0020】
具体的には、前記化学式1で示される化合物は、ジルコニウムサルフェイトオキシドハイドレート[ZrO(OH)0.8(SO40.6・(H2O)X]、ジルコニウムジニトレートオキシドハイドレート[ZrO(NO)32・(H2O)X]などを含む。このとき、前記ジルコニウム化合物のXは、ジルコニウム原子団の周りで反応条件および雰囲気に応じて1〜12の範囲を有する可変的整数である。
【0021】
また、前記化学式1で示される化合物は、ジルコニウムカーボネイトベーシックハイドレート(Zirconium carbonate、basic hydrate、[3ZrO2・CO2・(H2O)X])を含むことができる。
【0022】
本発明に係る前記エステル化触媒組成物は、固体上または微粒子支持体上に担持されて使われ得る。この時、前記微粒子支持体は、シリカ、チタニア、シリカ/クロミア、シリカ/クロミア/チタニア、シリカ/アルミナ、アルミニウムホスフェートゲル、シラン化されたシリカ、シリカヒドロゲル、モンモリロナイトクレイ、ゼオライトなどからなる群から選択された一つ以上であることが好ましい。
【0023】
本発明に係るエステル化合物の製造方法は、前記エステル化触媒組成物を用いてアルコールおよびカルボン酸化合物をエステル化反応させてエステル化合物を製造することができる。
【0024】
本発明に係るエステル化合物の製造方法に用いられるアルコールは下記化学式2〜7で示される化合物を含むことができる。
【0025】
【化1】

【0026】
前記化学式2と3において、
nは、0〜4の整数であり、
Yは、直接結合;または−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)N(R3)−、−OC(O)N(R3)−、−N(R3)−、−C(O)−、−SO2−、−SO3−、−OSO2−などからなる群から 選択され、
Xは、直接結合、−(OCH2m−(mは0〜10の整数)、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキレン、置換または非置換の炭素数2〜20のアルケニレン、置換または非置換の炭素数5〜12のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6〜40のアリーレン、置換または非置換の炭素数7〜15のアラルキレン、および置換または非置換の炭素数2〜20のアルキニレンからなる群から選択され、
3、R4およびR5は、各々独立に、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル;炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニルまたはビニル;炭素数2〜20のアルキニル(alkynyl);炭化水素で置換もしくは非置換された炭素数3〜12のシクロアルキル;炭化水素で置換もしくは非置換された炭素数6〜40のアリール;炭化水素で置換もしくは非置換された炭素数7〜15のアラルキル(aralkyl)などからなる群から選択された一つであり、
3、R4およびR5は、各々独立に、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル;炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニルまたはビニル;炭素数2〜20のアルキニル;炭化水素で置換もしくは非置換された炭素数5〜12のシクロアルキル;炭化水素で置換もしくは非置換された炭素数6〜40のアリール;炭化水素で置換もしくは非置換された炭素数7〜15のアラルキル(aralkyl)などからなる群から選択され、
【0027】
【化2】

【0028】
【化3】

【0029】
前記化学式4〜7で示される化合物において、
Aは、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン;カルボニル[−C(O)−];カルボキシ[−C(O)O−または−OC(O)−];置換もしくは非置換の炭素数6〜40のアリーレンなどからなる群から選択された一つであり、
Bは、直接結合;または酸素、硫黄または−NH−であり、
Zは、酸素または硫黄であり、
9は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン;置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニレン;置換もしくは非置換の炭素数5〜12のシクロアルキレン;置換もしくは非置換の炭素数6〜40のアリーレン;置換もしくは非置換の炭素数7〜15のアラルキレン;置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニレンなどからなる群から選択された一つであり、
10、R11、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素;置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル;置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルコキシ;置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリールオキシ;置換もしくは非置換の炭素数6〜40のアリールなどからなる群から選択された一つであり、
Cは、第14族、第15族または第16族、例えばS、O、Nなどを含むヘテロ元素を含む炭素数6〜40のヘテロアリール;炭素数6〜40のアリールなどからなる化合物であり、具体的には下記化学式で示すことができる。
【0030】
【化4】

【0031】
前記化学式において、
R’10、R’11、R’12、R’13、R’14、R’15、R’16、R’17およびR’18は、各々独立に、水素;ハロゲン;または置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル;置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルコキシ;置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリールオキシ;および置換もしくは非置換の炭素数6〜40のアリールからなる群から選択される。
【0032】
前記炭化水素はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基を含むアルキル基;シクロペンチル基およびシクロヘキシル基を含むシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、ピレニル基、ペリレニル基を含むアリール基からなる群から選択されてもよく、前記置換もしくは非置換のアルキレン、アルケニレン、シクロアルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルキニレンは置換される場合、前記炭化水素で置換されてもよい。
【0033】
前記アルコールとして第1級アルコール、第2級アルコール、第3級アルコールなどを含み、直鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基や、アリール基などの置換基を有するものを用いることができる。
【0034】
例えば、前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサン−1−オールおよびネオペンチルアルコールを含む脂肪族第1級アルコール;ベンジルアルコールの芳香族第1級アルコール;イソプロピルアルコール、s−ブチルアルコールおよび1−メチルヘキサン−1−オールを含む脂肪族第2級アルコール;シクロヘキサノールおよび2−アダマンチロールを含む脂環式第2級アルコール;t−ブチルアルコール、1−アダマンチロール、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3,5−ジメチルフェノール、α−ナフトールおよびβ−ナフトールを含む第3級アルコールなどを用いることができる。また、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ピナコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコールなどを含む多価アルコールを用いることもできる。
【0035】
前記アルコールのうちの1種または2種以上の混合物を用いることができる。例えば、第1級ヒドロキシ基と第2級ヒドロキシ基を有する多価アルコールにおいて、嵩高いカルボン酸と第1級ヒドロキシ基との縮合反応を選択的に生じさせるか、第1級ヒドロキシ基と第2級ヒドロキシ基の距離が離れているほど、第1級ヒドロキシ基との縮合反応を選択的に生じさせ得るなど、化学選択的にエステル縮合物を生成することができる。
【0036】
本発明に係るエステル化合物の製造方法に用いられる前記カルボン酸は下記化学式8〜13で示される化合物を含むことができますが、これに限定されることではない。
【0037】
【化5】

【0038】
前記化学式8と9において、
pは、0〜4の整数であり、
Yは、直接結合;または−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)N(R3)−、−OC(O)N(R3)−、−C(O)−、−SO2−、−SO3−、−OSO2−からなる群から選択され、
Xは、直接結合;または−(OCH2q-(qは0〜10の整数)、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン;置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニレン;置換もしくは非置換の炭素数5〜12のシクロアルキレン;置換もしくは非置換の炭素数6〜40のアリーレン;置換もしくは非置換の炭素数7〜15のアラルキレン;置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニレンからなる群から選択され、
3、R4およびR5は、各々独立に、水素;ハロゲン;炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル;炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニルまたはビニル;炭化水素で置換もしくは非置換された炭素数5〜12のシクロアルキル;炭化水素で置換もしくは非置換された炭素数6〜40のアリール;炭化水素で置換もしくは非置換された炭素数7〜15のアラルキル(aralkyl);および炭素数2〜20のアルキニル(alkynyl)からなる群から選択される。
【0039】
【化6】

【0040】
【化7】

【0041】
前記化学式10〜13において、
A、B、C、Z、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は前記化学式4〜7で定義した通りである。
【0042】
前記炭化水素はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基を含むアルキル基;シクロペンチル基およびシクロヘキシル基を含むシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、ピレニル基、ペリレニル基を含むアリール基からなる群から選択されてもよく、前記置換もしくは非置換のアルキレン、アルケニレン、シクロアルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルキニレンは置換される場合、前記炭化水素で置換されてもよい。
【0043】
このようなエステル化反応に用いられるカルボン酸としては、モノカルボン酸として鎖状もしくは環状の脂肪酸や芳香族酸、これらに不飽和結合を有するか置換基を有することなどが好ましい。
【0044】
例えば、前記カルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、メチルエチル酢酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸およびリノレン酸を含む脂肪酸;および安息香酸の芳香族酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸;ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸のジカルボン酸;ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸およびナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸を含むトリカルボン酸;およびブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸および3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸を含むテトラカルボン酸を含むことができる。
【0045】
本発明に係るエステル化合物の製造方法は、本発明のエステル化触媒組成物を用いることにより、同じモル数のアルコール化合物とカルボン酸化合物を反応させることができ、効率的にエステル化合物を製造することができる。具体的には、各々1価のカルボン酸とアルコールを用いれば、単量体のエステルが得られ、α、ω−脂肪族ジカルボン酸などの多価カルボン酸とα、ω−脂肪族ジオールなどの多価アルコールを用いれば、ポリエステルが合成されることができる。
【0046】
また、前記エステル化合物の製造方法において、エステル化触媒組成物は、反応溶液中のアルコール化合物またはカルボン酸化合物のうちの少なく投入される化合物のモル数に対して0.01〜20の比率で投入されることが好ましい。前記エステル化触媒組成物が0.01モル未満であれば収率が低下する問題があり、20モルを超えると反応副産物が増加する問題がある。
【0047】
また、本発明に係るエステル化合物の製造方法に用いられるアルコールおよびカルボン酸として、一つの分子内にヒドロキシ基とカルボキシ基を両末端に各々有するω−ヒドロキシカルボン酸を用いることができる。
【0048】
例えば、前記ω−ヒドロキシカルボン酸は、ω−ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、4−(p−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、3−(p−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、4−(m−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸および3−(m−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸を含むことができる。
【0049】
本発明のエステル化合物の製造方法に用いられる溶媒としては特に制限されず、極性溶媒、非極性溶媒またはこれらの混合溶媒を用いることができる。非極性溶媒はエステル化反応による生成物を反応系の外へ除去する容易性のために好ましい。本発明の触媒組成物が溶解されて用いられる有機溶媒は水と共沸点(azeotropic point)をなすことが好ましい。
【0050】
前記反応系のうちの有機溶媒の重さ総量は、前記アルコール化合物またはカルボン酸化合物のうちの少なく投入される化合物の重さに対して0.1〜100の比率であることが好ましく、0.5〜50の比率であることがより好ましい。
【0051】
前記非極性溶媒としては、ヘプタン、オクタン、トルエン、クロロベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン、ベンゼン、エチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンおよびその混合物からなる群から選択されたものが好ましい。
【0052】
本発明に係るエステル化触媒組成物は、水分吸着による触媒劣化を低減でき、これを用いたエステル化反応は大気に晒された状態でもエステル反応を円滑に行うことができる。また、一般的に用いられる乾燥不活性ガスの雰囲気下、例えば、アルゴンまたは窒素雰囲気下で施すこともよい。アルゴン雰囲気は、アルゴンを徐々に流れるようにする方法で形成することができ、反応をアルゴンの雰囲気下で施すことによって脱水と脱酸素の雰囲気を同時に達成することができる。
【0053】
また、1価のカルボン酸と1価のアルコールとの縮合反応または脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールとの重縮合反応において、加熱還流下で100〜250℃、24〜72時間反応を実施することが好ましい。より好ましくは、120〜180℃で1〜24時間反応を実施することが好ましい。
【0054】
一方、芳香族カルボン酸と芳香族アルコールの縮合反応においては、加熱還流下で120〜250℃で反応を実施することが好ましく、150〜200℃および24〜72時間反応を実施することがより好ましい。
【0055】
本発明において、前記のようなエステル化反応条件によって得られるエステル化合物は、ほぼ同じモル数のカルボン酸とアルコールを用いて副反応が発生しないために、精製を行う必要がないために経済的で便利である。
【0056】
前記エステルの反応終了後、用いた触媒を繰り返し使うために、下記のような処理を実施することができる。反応系にイオン性液体を添加し、前記イオン性液体を用いて、本発明のエステル化触媒組成物に含まれたジルコニウム化合物をイオン性液体層で抽出し、有機層からエステル化合物を得ることができる。ここで、イオン性液体とは室温または室温に近い温度においても液体になる性質を有する塩をいい、極性が非常に高く、金属塩をよく溶解させるため、本発明のエステル化合物の製造方法に用いる触媒の抽出に好適に用いることができる。触媒を抽出したイオン性液体は、必要により、他の有機溶媒で洗浄した後、溶媒を減圧下で除去することなく繰り返しエステル化反応の触媒溶液として用いることができる。
【0057】
本発明のエステル化合物の製造方法に用いるイオン性液体は特に制限されず、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホンイミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、N−アルキルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸イミドなどが好ましく、N−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸イミドがより好ましい。このようなイオン性液体の使用量としては、前記触媒の総使用量0.5mmolに対して5〜20mlが好ましく、10〜15mlがより好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、本発明の実施例により本発明をより詳細に説明する。但し、本発明の実施例は色々な形態に変形することができ、本発明の範囲が下記にて詳述する実施例によって限定されると解釈してはいけない。本発明の実施例は当業界で平均的知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0059】
下記の実施例において,キシレン,トルエンなどの溶媒は特に精製することなく、そのまま用いた。
【実施例1】
【0060】
<エステル化合物の製造>
[実施例1:5−ノルボルネン−2−メタノールと桂皮酸(cinnamic acid)の反応−ジルコニウムカーボネイトベーシックハイドレート(zirconium carbonate basic hydrate)触媒の使用。]
5−ノルボルネン−2−メタノール(3.72g、30mmol)と桂皮酸(4.23g、33mmol)、キシレン(xylene)30mlを250mlフラスコに連続して投入した。ジルコニウムカーボネイトベーシックハイドレート[3ZrO2・CO2・(H2O)X](1.3g、3mmol、10mol%)を投入し、共沸還流(azeotropic reflux)を行った。加熱する槽(bath)の温度は180℃に調整し、18時間反応を行った。その後、GCチェック後に反応が完了し、常温に冷ました。その後、酢酸エチル(ethyl acetate)30mlを添加した。溶けない固体化合物が下方へ沈殿した後、1M(mol/L)の薄い塩酸溶液30mlを添加した後に洗浄した。この過程を2回行い、飽和されたaq.NaHCO3溶液30mlを再び添加した後に洗浄した。この過程を2回行い、別に分離した有機溶液にMgSO4を添加し、残っている微量の水を除去した。これを、MgSO4をフィルタした後、減圧下で溶媒を除去し、精製過程により、淡い黄色の液体化合物であるシンナミクノルボルネンメチルエステル(cinnamic norbornene methyl ester、NB−Cin−H化合物)6.95gを得た。(分子量:284.35、収率90.7%)
【実施例2】
【0061】
[実施例2:5−ノルボルネン−2−メタノールと桂皮酸(cinnamic acid)との反応−ジルコニウムサルフェイトオキシドハイドレート(zirconium sulfate oxide hydrate)触媒の使用。]
5−ノルボルネン−2−メタノール(3.73g、30mmol)と桂皮酸(4.23g、33mmol)、キシレン(xylene)30mlを250mlフラスコに連続して投入した。ジルコニウムサルフェイトオキシドハイドレート[ZrO(OH)0.8(SO40.6・(H20)X](0.534g、3mmol、10mol%)を投入し、共沸還流(azeotropic reflux)を行った。加熱する槽(bath)の温度は180℃に調整し、18時間反応を行った。その後、GCチェック後に反応が完了し、常温に冷ました。その後、酢酸エチル(ethyl acetate)30mlを添加した。溶けない固体化合物が下方へ沈殿した後、1M(mol/L)の薄い塩酸溶液30mlを添加した後に洗浄した。この過程を2回行い、飽和されたaq.NaHCO3溶液30mlを再び添加した後に洗浄した。この過程を2回行い、別に分離した有機溶液にMgSO4を添加し、残っている微量の水を除去した。水の除去後、MgSO4をフィルタした後、減圧下で溶媒を除去した。精製過程により、淡い黄色の液体化合物であるシンナミクノルボルネンメチルエステル(cinnamic norbornene methyl ester、NB−Cin−H化合物)6.15gを得た。(分子量:284.35、収率80.2%)
【実施例3】
【0062】
[実施例3:5−ノルボルネン−2−メタノールと桂皮酸(cinnamic acid)の反応−ジルコニウムジニトレートオキシドハイドレート(zirconium dinitrate oxide hydrate)触媒の使用。]
5−ノルボルネン−2−メタノール(3.73g、30mmol)と桂皮酸(4.23g、33mmol)、キシレン(xylene)30mlを250mlフラスコに連続して投入した。ジルコニウムジニトレートオキシドハイドレート[ZrO(NO32・(H20)X](0.694g、3mmol、10mol%)を投入して共沸還流(azeotropic reflux)をした。加熱する槽(bath)の温度は180℃に調整して18時間反応を行った。その後、GCチェック後に反応が完了し、常温に冷ました。その後、酢酸エチル(ethyl acetate)30mlを添加した。溶けない固体化合物が下方へ沈殿した後、1.0M(mol/L)の薄い塩酸溶液30mlを添加した後に洗浄した。この過程を2回行い、飽和されたaq.NaHCO3溶液30mlを再び添加した後に洗浄した。この過程を2回行い、別に分離した有機溶液にMgSO4を添加し、残っている微量の水を除去した。水の除去後、MgSO4をフィルタした後、減圧下で溶媒を除去した。精製過程により、淡い黄色の液体化合物であるシンナミクノルボルネンメチルエステル(cinnamic norbornene methyl ester、NB−Cin−H化合物)7.57gを得た。(分子量:284.35、収率80.2%)
【実施例4】
【0063】
[実施例4:ベンジルアルコールと4−フェニル酪酸(4−phenyl butyric acid)の反応−ジルコニウムカーボネイトベーシックハイドレート(zirconium carbonate basic hydrate)触媒の使用。]
ベンジルアルコール(benzyl alcohol、1.62g、15mmol)と4−フェニル酪酸(2.46g、15mmol)、トルエン(toluene)25mlを250mlフラスコに連続して投入した。ジルコニウムカーボネイトベーシックハイドレート[3ZrO2・CO2・(H2O)X](0.0648g、0.15mmol、1mol%)を投入し、共沸還流(azeotropic reflux)を行った。加熱する槽(bath)の温度は150℃に調整し、18時間反応を行った。その後、GCチェック後に反応が完了し、常温に冷ました。その後、酢酸エチル(ethyl acetate)30mlを添加した。溶けない固体化合物が下方へ沈殿した後に1M(mol/L)の薄い塩酸溶液30mlを添加した後に洗浄した。この過程を2回行い、飽和されたaq.NaHCO3溶液30mlを再び添加した後に洗浄した。この過程を2回行い、別に分離した有機溶液にMgSO4を添加し、残っている微量の水を除去した。水の除去後、MgSO4をフィルタした後、減圧下で溶媒を除去した。精製過程により、無色の液体化合物を2.8gを得た。(分子量=189.24、収率98.6%)
【実施例5】
【0064】
[実施例5:ベンジルアルコールと4−フェニル酪酸(4−phenyl butyric acid)の反応−ジルコニウムサルフェイトオキシドハイドレート(zirconium sulfate oxide hydrate)触媒の使用。]
ベンジルアルコール(benzyl alcohol、1.62g、15mmol)と4−フェニル酪酸(2.46g、15mmol)、トルエン(toluene)25mlを250mlフラスコに連続して投入した。ジルコニウムサルフェイトオキシドハイドレート[ZrO(OH)0.8(SO40.6・(H2O)X](0.0267g、0.15mmol、1mol%)を投入し、共沸還流(azeotropic reflux)を行った。加熱する槽(bath)の温度は150℃に調整し、18時間反応を行った。その後、GCチェック後に反応が完了し、常温に冷ました。その後、酢酸エチル(ethyl acetate)30mlを添加した。溶けない固体化合物が下方へ沈殿した後、1M(mol/L)の薄い塩酸溶液30mlを添加した後に洗浄した。この過程を2回行い、飽和されたaq.NaHCO3溶液30mlを再び添加した後に洗浄した。この過程を2回行い、別に分離した有機溶液にMgSO4を添加し、残っている微量の水を除去した。水の除去後、MgSO4をフィルタした後、減圧下で溶媒を除去した。精製過程により、無色の液体化合物を1.79gを得た。(分子量=189.24、収率63.1%)
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るエステル化触媒組成物およびこれを用いたエステル化合物の製造方法は、非極性溶媒に対する溶解度や、大気に晒された状態でも反応活性に優れるため、大量生産工程への適用が非常に容易である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニウム原子と硫黄、炭素、および窒素からなる群から選択された一つを有する酸化物を含むエステル化触媒組成物。
【請求項2】
前記ジルコニウム原子と硫黄、炭素、および窒素からなる群から選択された一つを有する酸化物は、下記化学式1で示される化合物を含む、請求項1に記載のエステル化触媒組成物。
[化学式1]
[ZrOnY1(XOrs(OH)t・[H2O]Y2
前記化学式1において、
Xは、S、C、およびNからなる群から選択され、
Y1は1〜6の整数であり、Y2は1〜12の整数であり、
n、r、s、およびtは、各々独立に0〜6の実数であり、ただしrおよびsは0でない。
【請求項3】
前記化学式1で示される化合物は、ジルコニウムサルフェイトオキシドハイドレート[ZrO(OH)0.8(SO40.6・(H2O)X]およびジルコニウムジニトレートオキシドハイドレート[ZrO(NO)32・(H2O)X]を含む、請求項1に記載のエステル化触媒組成物.
【請求項4】
前記化学式1で示される化合物は、ジルコニウムカーボネイトベーシックハイドレート[3ZrO2・CO2・(H2O)X]を含む、請求項1に記載のエステル化触媒組成物。
【請求項5】
前記エステル化触媒組成物は、シリカ、チタニア、シリカ/クロミア、シリカ/クロミア/チタニア、シリカ/アルミナ、アルミニウムホスフェートゲル、シラン化されたシリカ、シリカヒドロゲル、モンモリロナイトクレイ、およびゼオライトからなる群から選択された一つ以上を含む微粒子支持体上に担持されて用いる、請求項1に記載のエステル化触媒組成物。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエステル化触媒組成物を用い、アルコールおよびカルボン酸化合物をエステル化反応させてエステル化合物を製造するステップを含むエステル化合物の製造方法。
【請求項7】
前記エステル化触媒組成物は、アルコールまたはカルボン酸化合物のうちの少なく投入される化合物のモル数に対して0.01〜20の比率で用いられる、請求項6に記載のエステル化合物の製造方法。
【請求項8】
前記アルコールは、下記化学式2〜7で示される化合物からなる群から選択された1種以上を含む、請求項6に記載のエステル化合物の製造方法。
【化8】

前記化学式2および3において、
nは、0〜4の整数であり、
Yは、直接結合、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)N(R3)−、−OC(O)N(R3)−、−N(R3)−、−C(O)−、−SO2−、−SO3−、および−OSO2−からなる群から選択され、
Xは、直接結合、−(OCH2m−(mは0〜10の整数)、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキレン、置換または非置換の炭素数2〜20のアルケニレン、置換または非置換の炭素数5〜12のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6〜40のアリーレン、置換または非置換の炭素数7〜15のアラルキレン、および置換または非置換の炭素数2〜20のアルキニレンからなる群から選択され、
3、R4、およびR5は、各々独立に水素、ハロゲン、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル、炭素数2〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルケニルまたはビニル、炭素数2〜20のアルキニル;炭化水素で置換または非置換の炭素数5〜12のシクロアルキル、炭化水素で置換または非置換の炭素数6〜40のアリール、および炭化水素で置換または非置換の炭素数7〜15のアラルキルからなる群から選択され、
【化9】

【化10】

前記化学式4〜7において、
Aは、直接結合、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキレン、カルボニル[−C(O)−]、カルボキシ[−C(O)O−または−OC(O)−]、および置換または非置換の炭素数6〜40のアリーレンからなる群から選択され、
Bは、直接結合、酸素、硫黄、または−NH−であり、
Zは、酸素または硫黄であり、
9は、直接結合、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキレン、置換または非置換の炭素数2〜20のアルケニレン、置換または非置換の炭素数5〜12のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6〜40のアリーレン、置換または非置換の炭素数7〜15のアラルキレン、および置換または非置換の炭素数2〜20のアルキニレンからなる群から選択され、
10、R11、R12、R13、およびR14は、各々独立に置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル、置換または非置換の炭素数1〜20のアルコキシ、置換または非置換の炭素数6〜30のアリールオキシ、および置換または非置換の炭素数6〜40のアリールからなる群から選択され、
Cは、 第14族、 第15族、 第16族のヘテロ元素を含む炭素数6〜40のヘテロアリール、および炭素数6〜40のアリールからなる化合物である。
【請求項9】
前記化学式4〜6のCは、下記化学式から選択される、請求項8に記載のエステル化合物の製造方法。
【化11】

前記化学式において、
R’10、R’11、R’12、R’13、R’14、R’15、R’16、R’17、およびR’18は、各々独立に水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル、置換または非置換の炭素数1〜20のアルコキシ、置換または非置換の炭素数6〜30のアリールオキシ、および置換または非置換の炭素数6〜40のアリールからなる群から選択される。
【請求項10】
前記アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサン−1−オール、およびネオペンチルアルコールを含む脂肪族第1級アルコール;ベンジルアルコールの芳香族第1級アルコール;イソプロピルアルコール、s−ブチルアルコール、および1−メチルヘキサン−1−オールを含む脂肪族第2級アルコール;シクロヘキサノールおよび2−アダマンチロールを含む脂環式第2級アルコール;t−ブチルアルコール、1−アダマンチロール、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3,5−ジメチルフェノール、α−ナフトール、およびβ−ナフトールを含む第3級アルコール;およびエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ピナコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、およびポリビニルアルコールを含む多価アルコールからなる群から選択される1種以上を含む、請求項6に記載のエステル化合物の製造方法。
【請求項11】
前記カルボン酸化合物は、下記化学式8〜13で示される化合物からなる群から選択された1種以上を含む、請求項6に記載のエステル化合物の製造方法。
【化12】

前記化学式9および10において、
pは、0〜4の整数であり、
Yは、直接結合、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−C(O)N(R3)−、−OC(O)N(R3)−、−N(R3)−、−C(O)−、−SO2−、−SO3−および−OSO2−からなる群から選択され、
Xは、直接結合、−(OCH2q−(qは0〜10の整数)、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキレン、置換または非置換の炭素数2〜20のアルケニレン、置換または非置換の炭素数5〜12のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6〜40のアリーレン、置換または非置換の炭素数7〜15のアラルキレン、および置換または非置換の炭素数2〜20のアルキニレンからなる群から選択され、
3、R4、およびR5は、各々独立に水素、ハロゲン、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル、炭素数2〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルケニルまたはビニル、炭化水素で置換または非置換の炭素数5〜12のシクロアルキル、炭化水素で置換または非置換の炭素数6〜40のアリール、炭化水素で置換または非置換の炭素数7〜15のアラルキル、および炭素数2〜20のアルキニルからなる群から選択され、
【化13】

【化14】

前記化学式10から13において、
A、B、C、Z、R9、R10、R11、R12、R13、およびR14は請求項7の化学式4から7で定義した通りである。
【請求項12】
前記カルボン酸化合物は、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、メチルエチル酢酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、 エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む脂肪酸;および安息香酸の芳香族酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸;ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸のジカルボン酸;ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、およびナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸を含むトリカルボン酸;およびブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、および3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸を含むテトラカルボン酸からなる群から選択される1種以上を含む、請求項6に記載のエステル化合物の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載のエステル化触媒組成物を用い、一つの分子内にヒドロキシ基とカルボキシ基を両末端に各々有するω−ヒドロキシカルボン酸をエステル化反応させてエステル化合物を製造するエステル化合物の製造方法。
【請求項14】
前記ω−ヒドロキシカルボン酸は、ω−ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、4−(p−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、3−(p−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、4−(m−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸、および3−(m−ヒドロキシフェノキシ)安息香酸を含む、請求項13に記載のエステル化合物の製造方法。

【公表番号】特表2011−507695(P2011−507695A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540579(P2010−540579)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007669
【国際公開番号】WO2009/084862
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】