説明

スイッチトキャパシタシステムの中間タップを利用した電気二重層キャパシタ電源装置

【課題】電気二重層キャパシタモジュールの直列接続数に依存せず、多段階での出力電圧制御を可能とする電源システムを提供する。
【解決手段】2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、第1スイッチ群と、を備えた回路モジュールと、回路モジュールの第1端子に接続された電源と、電源の電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、電圧検出手段により検出される電源の電圧に応じて、スイッチ制御手段により第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧変換装置に関する。より詳細には、本発明は、電源電圧を機器の動作電圧範囲内へと調整するために用いることができる回路モジュール、当該回路モジュールを用いた電源装置、及び当該電源装置を制御するための手段を備えた電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力によって何らかの装置を動作させる際には、その装置の特性により決定される、所定の動作電圧範囲内で給電を行うことが必要である。電子機器類は個々の特性に応じた所定の電圧範囲内にて動作するが、その動作電圧範囲外では動作が不安定となるか、あるいは非動作となってしまうからである。特に、電気容量が極めて高い電気二重層キャパシタ(ハイブリッドキャパシタやレドックスキャパシタ等も含む)を電源として用いる場合は、電気二重層キャパシタにおける充放電の状態に応じた出力電圧の変動が従来の二次電池における変動よりも大きいため、変動する出力電圧を電子機器の動作範囲内電圧へと変換するための、何らかの電圧変換装置が必要となる。
【0003】
電源から供給される電源電圧を動作電圧範囲内に変換するための手段としては、トランスやコイルを用いたDC−DCコンバータが、従来から広く用いられている。しかしながら、そのような構成の変圧器においては、コイルを含んだ回路サイズが比較的大きくなってしまうことや、鉄心等の構成部材に起因して変圧器全体としての重量が大きくなること、及び損失が大きくなること等の欠点が存在する。
【0004】
そこで、図1に示すような、複数個の電気二重層キャパシタモジュールCx1、Cx2、・・・、Cxn、Cy1、Cy2、・・・、Cymを直列に接続した電気二重層キャパシタバンクを用いて構成されるシステムにおいて、複数個の中間タップ出力端子とスイッチS0、S1、S2、・・・Smを設けて、負荷に接続される電気二重層キャパシタモジュールの数をスイッチで切り替えることにより出力電圧の変動幅を小さくするようにした電気二重層キャパシタ電源装置が提案されている(特許文献1)。この回路は、電圧検出回路によって、電気二重層キャパシタモジュールCx1、Cx2、・・・、Cxn、Cy1、Cy2、・・・、Cymの一部、又は全ての電圧を検出し、負荷に印加される電圧の変動が動作範囲に収まるよう比較判定回路で基準電圧と比較判定を行い、その判定結果に基づいてスイッチ制御回路がスイッチS0、S1、S2、・・・Smを順次切り替えるように動作する。
【0005】
動作時における負荷電圧を図2に示す。初期状態として、S0がオンとなっており、他のスイッチはオフである。よって負荷電圧はCx1〜Cxnの電圧の和に等しい。放電の進行と共に負荷電圧は低下するが、電圧検出回路で検出された電気二重層キャパシタバンクの電圧が比較判定回路であらかじめ設定された値より低くなった場合、スイッチ制御回路を用いてS0をオフにすると同時にS1をオンにする。この時、負荷にはCy1が新たに接続されることとなるので、負荷電圧は上昇する。このような一連の動作を繰り返すことで、負荷電圧をある任意の範囲内に調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−209775
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら前記の電源装置では、スイッチングにより出力電圧に寄与する電気二重層キャパシタモジュールの個数を変えることによって負荷電圧を制御するという方法をとっているため、多段階の負荷電圧制御を行うためには多数個の電気二重層キャパシタモジュールを直列接続する必要がある。電気二重層キャパシタモジュールの直列接続数が少ない場合、例えば図1の電源システムが2直列の電気二重層キャパシタモジュールで構成されている場合は、出力電圧を2段階でしか調節することができない。また、出力電圧の調整単位は電気二重層キャパシタモジュール1個の電圧と等しいため、出力電圧をきめ細やかに制御することが難しく、柔軟性に欠けていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、電気二重層キャパシタモジュールの電圧を分担するための蓄電素子を含んで構成された蓄電素子回路、及び、蓄電素子回路からの出力電圧を個々の蓄電素子電圧単位で段階的に調整するためのスイッチ群を備えた回路モジュールを提供する。蓄電素子回路を、スイッチトキャパシタシステムを構成する蓄電素子スイッチング回路とすることで、調整電圧単位を一定値とすることができる。この回路モジュールに電気二重層キャパシタモジュールを接続することで、電気二重層キャパシタモジュールの電圧よりも細かい調整単位での出力電圧調整を可能とする電源装置が提供される。
【0009】
特に、蓄電素子スイッチング回路を、後述の実施例で説明するとおりカスケード接続された多段構成とすることで、より少ない素子数による、より微細な単位での出力電圧調整を可能とする。
【0010】
本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路であって、第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、第2蓄電素子スイッチング回路と、第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群と、を備えた回路モジュールと、回路モジュールの第2端子に接続された電源と、を備えた電源装置であって、スイッチ群は、スイッチ群に含まれるスイッチのいずれか1つをオンとすることによる、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態の間での切り替えによって、第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源装置を提供する。
【0011】
上記のとおり、複数の蓄電素子スイッチング回路をカスケード接続してシステムを構成することにより、少ない素子数での微細な電圧調整が可能となる。なお、後述の実施例において詳しく説明するとおり、第2蓄電素子スイッチング回路を、第1蓄電素子スイッチング回路中の、具体的にどの点においてカスケード接続するか、ということを適宜選択することにより、負荷電圧の調整単位を選択することが可能である。
【0012】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路であって、前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、第2蓄電素子スイッチング回路と、前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第1端子に接続された電源と、を備えた電源装置であって、前記スイッチ群は、スイッチ群に含まれるスイッチのいずれか1つをオンとすることによる、前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態の間での切り替えによって、第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源装置を提供する。
【0013】
電源を接続する端子を適宜変更することによっても、負荷電圧を調整することが可能である。後述する1実施例においては、電源と負荷をそれぞれ接続する各々の接続端子を交換することによって入出力電圧比値が交換前の値の逆数へと変わる。したがって、電源による供給電圧と負荷における動作電圧範囲との関係に応じて、電源電圧を昇圧しなければならない場合であっても、あるいは降圧しなければならない場合であっても、接続端子を適宜選択しつつ、本発明に係る電源装置を用いることが可能である。
【0014】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路であって、前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、第2蓄電素子スイッチング回路と、前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、第1スイッチ群と、前記第2蓄電素子スイッチング回路と第2端子との間に接続された、第2スイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記第2端子に接続された電源と、を備えた電源装置であって、前記第1スイッチ群は、第1スイッチ群に含まれるスイッチのいずれか1つをオンとすることによる、前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態の間での切り替えによって、第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成され、前記第2スイッチ群は、第2スイッチ群に含まれるスイッチのいずれか1つをオンとすることによる、前記第2端子と前記回路モジュール内の共通電位点とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態、の間での切り替えをするよう構成され、前記第1スイッチ群の切り替えによって調整される前記負荷に印加される電圧の調整単位は、前記電源により供給される電源電圧と、前記第2スイッチ群の切り替えによって変更される、前記第2端子と前記共通電位点とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群の構成と、によって決定されることを特徴とする、電源装置を提供する。
【0015】
回路モジュールに第2スイッチ群を備えることによって、負荷電圧調整単位のスイッチングによる変更を可能とした、実施形態である。
【0016】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1段から第n段までの(nは2以上の整数)蓄電素子スイッチング回路と、第1スイッチ群と、を備えた回路モジュールであって、第k段(kは2以上の整数)の前記蓄電素子スイッチング回路は、第k−1段の前記蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケード接続されており、前記第1スイッチ群は、前記回路モジュールの第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態の間での切り替えをするよう構成されることを特徴とする、回路モジュールを提供する。
【0017】
任意の数の蓄電素子スイッチング回路を用いて、本発明に係る回路モジュールを構成することが可能であって、特に蓄電素子スイッチング回路の数を増やすことにより、更なるきめ細やかな入出力電圧比の実現が可能となる。なお、各蓄電素子スイッチング回路内の蓄電素子に印加される電圧を、スイッチングによって均一化することにより、上記第1スイッチ群の切り替えによって負荷電圧を調整する際の調整刻みを一定とすることが可能となる。
【0018】
具体的に、n個の蓄電素子スイッチング回路を用いて回路モジュールを構成する場合において、第1段、第2弾…第n段の各蓄電素子スイッチング回路が、それぞれN1個、N2個、…Nn個の直列接続された蓄電素子を備えているとすれば、後述の実施例において示されるとおり、入出力電圧比の単位としてとりうる最小値は1/(N12…Nn)となる。すなわち、回路モジュール全体としては、各段に用いる蓄電素子数の合計であるN1+N2+…+Nnのおよそ2倍程度(電圧均一化のために用いられる蓄電素子を考慮した場合の因子であり、回路構成によっては2以外の値をとりうる。)の蓄電素子を用いることにより、上記最小値1/(N12…Nn)での微細な電圧調整が可能となる。
【0019】
一方、同じ最小単位での電圧調整を1段構成のスイッチトキャパシタシステムにより行うためには、N12…Nn個のキャパシタを直列接続する必要があり、また電圧均一化のために用いられるキャパシタを考慮すれば、必要なキャパシタの合計数はN12…Nnのおよそ2倍程度となる。
【0020】
具体的に、例えば電源電圧の1/100単位での電圧調整を行う場合において、本発明に係る2段構成回路モジュールを用いるならば、必要な蓄電素子の個数は(10+10)×2=40個程度(後述の実施形態と同様のスイッチトキャパシタシステムを各段に用いる場合は、38個)となる。
【0021】
一方で、同じ最小単位での電圧調整を1段構成のスイッチトキャパシタシステムにより行うならば、100×2=200個程度のキャパシタが必要となる。
【0022】
このように、本発明によれば電圧調整に必要な蓄電素子数を大幅に削減することが可能である。また同様に、必要なスイッチの数も大幅に削減される。
【0023】
蓄電素子はキャパシタ又は二次電池であることが好ましい。さらに、蓄電素子の少なくとも一部は、2以上のキャパシタ又は二次電池からなる蓄電モジュールであってもよい。2以上のキャパシタ又は二次電池が直列・並列に接続されている場合であっても、合成容量を適切に計算することにより蓄電素子と同様に扱うことが可能である。
【0024】
第1スイッチ群は、FET、サイリスタ、フォトMOSリレー等を用いた電子的スイッチ(半導体スイッチ)から構成されたものであることが好ましい。あるいは、第1スイッチ群は、パワーリレー等、応答速度の遅い機械式スイッチから構成されたものであってもよい。
【0025】
本発明に係る回路モジュールは、好ましくは第2スイッチ群を更に備える。第2スイッチ群は、第1端子又は第2端子と、回路モジュール内の共通電位点と、を結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えを可能とするスイッチ群である。
【0026】
第2スイッチ群を用いることにより、本発明による電圧調整を更に改善することができる。具体的には、第2スイッチ群を用いたスイッチングにより、負荷電圧の調整単位を変更することが可能となる。
【0027】
なお、上記回路モジュールには、電気二重層キャパシタモジュールに限らず、任意の電源を接続することが可能である。
【0028】
また本発明は、上記電源装置に加えて当該電源装置を制御するための手段を備えた電源システムを提供する。この電源システムは、電気二重層キャパシタモジュール、リチウムイオンキャパシタ、二次電池などの蓄電モジュール、あるいは電源システムに接続される負荷の電圧を監視するための電圧検出手段と、蓄電モジュール、あるいは負荷の電圧が変動するに応じて適切なスイッチ切り替えを行い、出力電圧を動作電圧範囲内へと調整するための、スイッチ制御手段とを備える。
【0029】
すなわち本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0030】
上記構成の電源システムにおいて、多数の蓄電モジュールを直列接続する必要はない。またスイッチの切り替えにより、蓄電モジュールの電圧単位ではなく、蓄電素子電圧単位での負荷電圧調整が可能となる。後述の実施例で説明するとおり、各蓄電素子には蓄電モジュールの電圧が分担して印加されるので、本電源システムにより従来よりもきめ細やかな電圧調整が可能となる。
【0031】
また本電源システムには電圧検出手段とスイッチ制御手段とが備えられているため、変動する蓄電モジュールの電圧に応じて随時スイッチ群の切り替えを行うことにより、常に出力電圧を負荷の動作電圧範囲内へ調整することが可能となる。なお、電圧検出手段を蓄電モジュールに直接接続する必要はなく、例えば蓄電素子スイッチング回路内のいずれかのキャパシタへ接続することも可能である。後述の実施例で示すとおり、具体的な回路構成に応じて各蓄電素子の電圧と蓄電モジュールの電圧との間には特定の関係式が成り立つため、蓄電素子の電圧を検出した上で蓄電モジュールの電圧を算出することも可能だからである。特許請求の範囲の記載における電圧検出手段は、このように蓄電モジュールの電圧を直接的・間接的に検出するよう構成された任意の検出手段を含む。
【0032】
また本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0033】
電圧検出は、蓄電モジュールに対してではなく、負荷に対して直接行うことも可能である。
【0034】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第1端子に接続された蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0035】
蓄電モジュールを接続する端子を適宜変更することによっても、負荷電圧を調整することが可能である。後述する1実施例においては、蓄電モジュールと負荷をそれぞれ接続する各々の接続端子を交換することによって入出力電圧比値が交換前の値の逆数へと変わる。したがって、蓄電モジュールによる供給電圧と負荷における動作電圧範囲との関係に応じて、電源電圧を昇圧しなければならない場合であっても、あるいは降圧しなければならない場合であっても、接続端子を適宜選択しつつ、本発明に係る電源システムを用いることが可能である。
【0036】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第1端子に接続された蓄電モジュールと、前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0037】
電圧検出を、蓄電モジュールに対してではなく、負荷に対して直接行う実施形態である。
【0038】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、第1スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成された第1スイッチ群と、前記蓄電素子スイッチング回路と前記第2端子との間に接続された、第2スイッチ群であって、第2端子と共通電位点とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えにより、前記第1スイッチ群の切り替えによって調整される前記負荷に印加される電圧の調整単位を決定するよう構成された、第2スイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0039】
回路モジュールに第2スイッチ群を備えることによって、負荷電圧調整単位のスイッチングによる変更を可能とした、実施形態である。
【0040】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、第1スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成された第1スイッチ群と、前記蓄電素子スイッチング回路と前記第2端子との間に接続された、第2スイッチ群であって、第2端子と共通電位点とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えにより、前記第1スイッチ群の切り替えによって調整される前記負荷に印加される電圧の調整単位を決定するよう構成された、第2スイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0041】
電圧検出を、蓄電モジュールに対してではなく、負荷に対して直接行う実施形態である。
【0042】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0043】
上記のとおり、複数の蓄電素子スイッチング回路をカスケード接続してシステムを構成することにより、さらに微細な電圧調整が可能となる。なお、後述の実施例において詳しく説明するとおり、第2蓄電素子スイッチング回路を、第1蓄電素子スイッチング回路中の、具体的にどの点においてカスケード接続するか、ということを適宜選択することにより、負荷電圧の調整単位を選択することが可能である。
【0044】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0045】
電圧検出を、蓄電モジュールに対してではなく、負荷に対して直接行う実施形態である。
【0046】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第1端子に接続された蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0047】
蓄電モジュールを接続する端子を適宜変更し、かつ複数の蓄電素子スイッチング回路をカスケード接続してシステムを構成することにより、昇圧と降圧とをきめ細やかに行うことが可能となる。
【0048】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第1端子に接続された蓄電モジュールと、前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0049】
電圧検出を、蓄電モジュールに対してではなく、負荷に対して直接行う実施形態である。
【0050】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、第1スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成された第1スイッチ群と、前記蓄電素子スイッチング回路と前記第2端子との間に接続された、第2スイッチ群であって、第2端子と共通電位点とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えにより、前記第1スイッチ群の切り替えによって調整される前記負荷に印加される電圧の調整単位を決定するよう構成された、第2スイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0051】
蓄電素子スイッチング回路を複数カスケード接続し、かつ回路モジュールに第2スイッチ群を設ければ、接続端子の交換をすることなく、特にきめ細やかな昇圧・降圧が可能となる。
【0052】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、第1スイッチ群であって、第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成された第1スイッチ群と、前記蓄電素子スイッチング回路と前記第2端子との間に接続された、第2スイッチ群であって、第2端子と共通電位点とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えにより、前記第1スイッチ群の切り替えによって調整される前記負荷に印加される電圧の調整単位を決定するよう構成された、第2スイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0053】
電圧検出を、蓄電モジュールに対してではなく、負荷に対して直接行う実施形態である。
【0054】
蓄電モジュールとしては、電気二重層キャパシタモジュール、リチウムイオンキャパシタ、二次電池等を用いることが可能であるが、これらに限られるわけではない。
【0055】
また本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、第1スイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第1端子に接続された電源と、前記電源の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記電源の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0056】
蓄電モジュール以外の任意の電源を、本発明の電源システムに用いることが可能である。
【0057】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、第1スイッチ群と、を備えた回路モジュールと、前記回路モジュールの第1端子に接続された電源と、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0058】
電圧検出を、蓄電モジュールに対してではなく、負荷に対して直接行う実施形態である。
【0059】
また本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを、それぞれが含む、第1段から第n段までの(nは2以上の整数)蓄電素子スイッチング回路と、第1スイッチ群と、を備え、第k段(kは2以上の整数)の前記蓄電素子スイッチング回路は、第k−1段の前記蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケード接続される回路モジュールと、前記回路モジュールの第1端子に接続された電源と、前記電源の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記電源の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0060】
複数の蓄電素子スイッチング回路をカスケード接続してシステムを構成することにより、さらに微細な電圧調整が可能となる。なお、後述の実施例において詳しく説明するとおり、第2蓄電素子スイッチング回路を、第1蓄電素子スイッチング回路中の、具体的にどの点においてカスケード接続するか、ということを適宜選択することにより、負荷電圧の調整単位を選択することが可能である。
【0061】
また、本発明は、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを、それぞれが含む、第1段から第n段までの(nは2以上の整数)蓄電素子スイッチング回路と、第1スイッチ群と、を備え、第k段(kは2以上の整数)の前記蓄電素子スイッチング回路は、第k−1段の前記蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケード接続される回路モジュールと、前記回路モジュールの第1端子に接続された電源と、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、電源システムを提供する。
【0062】
電圧検出を、蓄電モジュールに対してではなく、負荷に対して直接行う実施形態である。
【0063】
なお、電源として、電気二重層キャパシタモジュール、リチウムイオンキャパシタ、二次電池などの蓄電モジュールを用いれば、大きな電圧変動に起因する電子機器の動作不安定を防止するという観点からは特に有益である。
【0064】
また、蓄電素子はキャパシタ又は二次電池であることが好ましい。さらに、蓄電素子の少なくとも一部は、2以上のキャパシタ又は二次電池からなる蓄電モジュールであってもよい。2以上のキャパシタ又は二次電池が直列・並列に接続されている場合であっても、合成容量を適切に計算することにより蓄電素子と同様に扱うことが可能である。
【0065】
第1スイッチ群は、FET、サイリスタ、フォトMOSリレー等を用いた電子的スイッチ(半導体スイッチ)から構成されたものであることが好ましい。あるいは、第1スイッチ群は、パワーリレー等、応答速度の遅い機械式スイッチから構成されたものであってもよい。
【0066】
本発明に係る回路モジュールは、好ましくは第2スイッチ群を更に備える。第2スイッチ群は、第1端子と、回路モジュール内の共通電位点と、を結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えを可能とするスイッチ群である。
【0067】
第2スイッチ群を用いることにより、本発明による電圧調整を更に改善することができる。具体的には、第2スイッチ群を用いたスイッチングにより、負荷電圧の調整単位を変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0068】
上記電源システムを用いることにより、中間タップ端子を利用した電気二重層キャパシタモジュール用の電圧変換装置において、少ない直列接続数の電気二重層キャパシタモジュールを用いた場合においても出力電圧を多段階で調節することが可能となる。特に、蓄電素子スイッチング回路とスイッチ群とを用いた構成によって、出力電圧の変動幅を、電気二重層キャパシタモジュールの電圧ではなく、より細かい値である個々の蓄電素子電圧へと設定することが可能となる。
【0069】
また電気二重層キャパシタモジュールの電圧変化を検出し、変動する電圧に応じて適宜スイッチングを行うことにより、常に出力電圧を負荷の動作電圧範囲内へ調整することが可能となる。
【0070】
上記電源システムにおいて、同じく本発明が教示する回路モジュール、電源装置を用いれば、少ないキャパシタ数およびスイッチ数で、入力電圧に対する出力電圧をきめ細かな任意のとびとびの比にて調整することが可能となる。
【0071】
具体的には、直列接続された蓄電素子をN1個、N2個、…Nn個備えた、n個の蓄電素子スイッチング回路をそれぞれカスケードに接続してなる回路モジュールを用いる場合、入出力電圧比の調整単位として1/(N12…Nn)をとることが可能となる。
【0072】
一方で1段構成のスイッチングキャパシタにより同じ単位での電圧調整を行うためには、N12…Nn個のキャパシタを直列接続しなければならない。
【0073】
きめ細やかで厳密な調整が要求される程、本発明によってもたらされる素子数削減効果は著しいものとなるのであり、スイッチトキャパシタシステムの大幅な小型化、軽量化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】電気二重層キャパシタモジュールを用いた、従来の電源システムである。
【図2】図1の電源システムにより得られる負荷電圧である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る電源装置である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電源装置である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る電源装置である。第1実施形態と比較して、電源装置と負荷をそれぞれ接続する各々の接続端子が交換されている。
【図6】本発明の第4実施形態に係る電源装置である。第2実施形態と比較して、電源装置と負荷をそれぞれ接続する各々の接続端子が交換されている。
【図7】スイッチ群を2つ備えることを特徴とする、本発明の第5実施形態に係る電源装置である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る電源装置である。3つの蓄電素子スイッチング回路を備えることにより、さらにきめ細やかな出力電圧調整が可能となる。
【図9】本発明の第7実施形態に係る電源システムである。
【図10】図9の電源システムの放電時における負荷電圧、ならびに電気二重層キャパシタモジュール電圧である。
【図11】本発明の第8実施形態に係る電源システムである。
【図12】図11の電源システムの放電時における負荷電圧、ならびに電気二重層キャパシタモジュール電圧である。
【図13】本発明の第9実施形態に係る電源システムである。
【図14】本発明の第10実施形態に係る電源システムである。
【図15】図14の電源システムの放電時における負荷電圧、ならびに電気二重層キャパシタモジュール電圧である。
【図16】本発明の第11実施形態に係る電源システムである。
【図17】図16の電源システムの放電時における負荷電圧、ならびに電気二重層キャパシタモジュール電圧である。
【図18】本発明の第12実施形態に係る電源システムである。
【発明を実施するための形態】
【0075】
これより、図3〜8を参照しつつ、本発明に係る回路モジュール、及び電源装置の実施形態について説明する。これらは後述の上記実施例7〜12の電源システムにおいて用いるために適しているが、そのような用途に限られるわけではなく、回路モジュール、及び電源装置自体として、従来よりも優れた性質を有する。なお、図3〜図8の実施例における各蓄電素子スイッチング回路は3直列構成となっているが、これは単なる一例であって、本発明において直列接続される蓄電素子の数は任意である。また各蓄電素子はキャパシタであるとして説明するが、これは二次電池など充放電可能な任意の素子、又は複数の素子からなるモジュールであってもよい。各蓄電素子の容量も、それぞれ異なっていてよい。同様に、スイッチ群や電圧均一化用蓄電素子の具体的な構成も、図に示された特定の構成に限られるわけではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【実施例1】
【0076】
電源装置1の構成
図3は、本発明の第1実施形態である電源装置1を示している。電源装置1は、回路モジュール2の第1端子に接続された負荷3に対して、第2端子に接続された電源4(以下の例においては直流電源として説明をするが、交流電源を用いることも可能である。)からの負荷電圧を印加するに際し、回路モジュール2内のスイッチングによって負荷電圧を負荷3の動作電圧範囲内へと調整するよう構成されたものである。なお、負荷3とは抵抗器に限られるわけではなく、電力により動作する任意の素子、モジュール、装置のような任意の負荷を用いることが可能である。
【0077】
回路モジュール2は、第1蓄電素子スイッチング回路5と、第2蓄電素子スイッチング回路6と、スイッチS1〜S4よりなるスイッチ群7とにより構成されている。
【0078】
第1蓄電素子スイッチング回路5はキャパシタC1〜C5とスイッチQ1〜Q6とにより構成され、キャパシタC1に対しては、キャパシタC6〜C10とスイッチQ7〜Q12とにより構成される第2蓄電素子スイッチング回路6が接続されている。
【0079】
なお、本発明に用いることができる蓄電素子スイッチング回路は上記特定の構成に限らず、蓄電素子群における電圧のバラツキを解消するよう構成された任意の蓄電素子スイッチング回路を用いることができる。この点に関しては、後述の実施例2〜12においても同様である。
【0080】
この場合、第2蓄電素子スイッチング回路6中のキャパシタC6、C7、C8は第1蓄電素子スイッチング回路5中のキャパシタC1と並列接続されているために相互充放電可能であり、またキャパシタC9、C10は、Q7〜Q12のスイッチングによりC6、C7、C8と相互充放電可能である。
【0081】
したがって、キャパシタC1と第2蓄電素子スイッチング回路6内の各キャパシタとの間での相互充放電を可能とするような、第1、第2蓄電素子スイッチング回路による多段階接続が構成されている。すなわち、キャパシタC1の電圧がキャパシタC6〜C10に分配されるカスケード接続となる。
【0082】
ここで、奇数番号のスイッチと偶数番号のスイッチを交互に高周波にてスイッチングさせることで、C1〜C5が分担する電圧、及びC6〜C10が分担する電圧がそれぞれ均一になる。
【0083】
具体的に、C1〜C5についていえば、奇数番号のスイッチがオンである時には、キャパシタC1とC4とが、及びC2とC5とが、それぞれ並列接続されることとなるため、キャパシタ間に電圧のばらつきが発生している場合には相互充放電が行われ、電圧ばらつきが解消される方向へと向かうのであり、一方で偶数番号のスイッチがオンである時には、キャパシタC2とC4とが、及びC3とC5とが、それぞれ並列接続されることとなるため、キャパシタ間に電圧のばらつきが発生している場合には相互充放電が行われ、電圧ばらつきが解消される方向へと向かう。
【0084】
スイッチングを繰り返すことにより、各々のキャパシタは他の全てのキャパシタと直接的、又は間接的に(他のキャパシタを介して)相互充放電を行うのであり、したがってキャパシタC1〜C5の電圧が均一化されることとなる。同様の相互充放電により、キャパシタC6〜C10の電圧も均一化される。
【0085】
負荷電圧の決定
このような回路モジュール2において、スイッチS1〜S4のいずれか一つをオンにすることにより、電源4から負荷3へと負荷電圧が印加される。ただし負荷電圧の値は、S1〜S4中、どのスイッチをオンとするかによって異なる。
【0086】
以下、各キャパシタに印加される電圧を決定した上で、スイッチS1〜S4のいずれかをオンとした場合のそれぞれに対する負荷電圧を、具体的に算出する。
【0087】
まず、キャパシタC1〜C5、C6〜C10の電圧を決定する(これらに印加される電圧は、S1〜S4のいずれをオンとするかには無関係である)。C1〜C5の電圧、及びC6〜C10の電圧はそれぞれスイッチングにより均一化されているのであり、それぞれV1、V2と表すことが可能である。
【0088】
C1と第2蓄電素子スイッチング回路6とはカスケードに接続されているので、C6とC7とC8との電圧の和はC1の電圧と等しくなる。すなわち
1=V2+V2+V2=3V2 (1)
となる。
【0089】
電源4から接続点16、8、12、キャパシタC1、接続点13、キャパシタC2、接続点14、及びキャパシタC3を介して共通電位点15(特許請求の範囲中の共通電位点に対応する。)へと至る経路での電圧降下を考えれば、電源電圧をVinとしたときに以下の式が成り立つ。
in=V1+V1+V1=3V1 (2)
上記(1)式と(2)式とを併せれば、V1=(1/3)Vin,V2=(1/9)Vinと決定される。
【0090】
次に、スイッチS1をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。
【0091】
電源4から接続点16、及びスイッチS1を通って負荷3へと至る経路中に電圧降下を生じさせる素子は一切存在しないため、電源4からの電圧は全て負荷3への負荷となる。すなわち、
out=Vin (3)
と決定される。
【0092】
次に、スイッチS2をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。
電源4から接続点16、8、キャパシタC6、接続点9、スイッチS2を通って負荷3へと至る経路においては、キャパシタC6によりV2=(1/9)Vinの電圧降下が生じている。
したがって負荷電圧Voutは、
in=(1/9)Vin+Vout (4)
よりVout=(8/9)Vinと決定される。
【0093】
次に、スイッチS3をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。
電源4から接続点16、8、キャパシタC6、接続点9、キャパシタC7、接続点10、スイッチS3を通って負荷3へと至る経路においては、キャパシタC6とC7とによりそれぞれV2=(1/9)Vinの電圧降下が生じている。
したがって負荷電圧Voutは、
in=(1/9)Vin+(1/9)Vin+Vout (5)
よりVout=(7/9)Vinと決定される。
【0094】
次に、スイッチS4をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。
電源4から接続点16、8、キャパシタC6、接続点9、キャパシタC7、接続点10、キャパシタC8、接続点11、スイッチS4を通って負荷2へと至る経路においては、キャパシタC6とC7とC8とによりそれぞれV2=(1/9)Vinの電圧降下が生じている。
したがって負荷電圧Voutは、
in=(1/9)Vin+(1/9)Vin+(1/9)Vin+Vout (6)
よりVout=(2/3)Vinと決定される。
【0095】
以上のとおり、S1〜S4のスイッチングにより、入出力電圧比を1/9単位で調節することが可能である。
【0096】
ここで、図3の回路モジュール2に用いられるキャパシタは10個、スイッチは16個である。これに対して、上記1/9単位での入出力電圧比調整を、1段構成のスイッチングキャパシタシステムによって行うためには、17個のキャパシタ(9個の直列接続キャパシタと、8個の電圧均一化用キャパシタ)と、22個のスイッチ(相互充放電のための18個と、S1〜S4の4個)とが必要となるのであって、本発明により素子数が大幅に削減されていることが分かる。
【実施例2】
【0097】
図4は、本発明の第2実施形態である電源装置1を示している。
【0098】
図3の実施形態とは異なり、第1蓄電素子スイッチング回路5中のキャパシタC1とC2とを挟んで、第2蓄電素子スイッチング回路6がカスケード接続されている。
【0099】
図4の構成においては、直列接続されたC1及びC2と、同じく直列接続されたC6、C7、及びC8とが並列接続されている。したがって、キャパシタC1〜C5の電圧V1とキャパシタC6〜C10の電圧V2との関係は、式(1)に代わって以下の(7)式で表される。
1+V1=V2+V2+V2 (7)
【0100】
一方、(2)式は図4の構成においても成り立つ。したがって(2)式と(7)式とから、各キャパシタに印加される電圧が、V1=(1/3)Vin,V2=(2/9)Vinと決定される。
【0101】
スイッチS1〜S4のいずれかをオンとした場合の負荷電圧Voutは、図3の構成における場合とほぼ同様の計算により求めることができる。すなわち、オンにするスイッチをS1、S2、S3、S4と切り替えることによって、電源4から負荷3までの経路中に存在するキャパシタの数が0,1,2,3と増加する点は変わらないので、入力電圧Vinから経路中のキャパシタによる電圧降下分をそれぞれの場合に対応して差し引くことにより、Voutが求められる。
【0102】
ただし、上記経路中のキャパシタに印加される電圧はそれぞれ(2/9)Vinであるため、算出される負荷電圧Voutは、S1がオンの場合はVin、S2がオンの場合は(7/9)Vin、S3がオンの場合は(5/9)Vin、S4がオンの場合は(1/3)Vinとなる。すなわち負荷電圧Voutは(2/9)Vinを単位として降圧される。
【実施例3】
【0103】
図5は、本発明の第3実施形態である電源装置1を示している。上記電源装置1は、図3に示した電源装置1において電源4と負荷3とを接続すべき端子を交換したものである。
【0104】
この構成では、図3と同様に、C1と第2蓄電素子スイッチング回路6とがカスケードに接続されているために(1)式が成り立ち、V2=(1/3)V1となるが、スイッチS1〜S4のいずれをオンとするかによって電源4から共通電位点15へと至る経路が変わるため、各蓄電素子に印加される電圧はそれぞれの場合で異なる。
【0105】
まずS1をオンにする場合、電源4からスイッチS1、接続点16、8、12、キャパシタC1、接続点13、キャパシタC2、接続点14、キャパシタC3を介して共通電位点15へと至る経路を考えれば、電圧降下について(2)式が成り立つこととなる。したがってV1=(1/3)Vin,V2=(1/9)Vinとなる。
【0106】
負荷電圧Voutは、電源4からS1を通って負荷3へと至る経路中に電圧降下を生じさせる素子が存在しないため、Vout=Vinとなる。
【0107】
次にS2をオンにする場合、電源4からスイッチS2、接続点9、キャパシタC6、接続点8、12、キャパシタC1、接続点13、キャパシタC2、接続点14、キャパシタC3を介して共通電位点15へと至る経路を考えれば、電圧降下について次の式が成り立つ。
in=−V2+V1+V1+V1 (8)
【0108】
(1)式と(8)式とより、V1=(3/8)Vin,V2=(1/8)Vinとなる。
【0109】
また負荷電圧Voutは、電源4からスイッチS2、接続点9、キャパシタC6、接続点8、及び接続点16を通って負荷3へと至る経路中においてC6による(負の)電圧降下が生じることを考えれば、以下の式により決定される。
in=−V2+Vout (9)
【0110】
したがってVout=(9/8)Vinとなる。
【0111】
次にS3をオンにする場合、電源4からスイッチS3、接続点10、キャパシタC7、接続点9、キャパシタC6、接続点8、12、キャパシタC1、接続点13、キャパシタC2、接続点14、キャパシタC3を介して共通電位点15へと至る経路を考えれば、電圧降下について次の式が成り立つ。
in=−V2−V2+V1+V1+V1 (10)
【0112】
(1)式と(10)式とより、V1=(3/7)Vin,V2=(1/7)Vinとなる。
【0113】
また負荷電圧Voutは、電源4からスイッチS3、接続点10、キャパシタC7、接続点9、キャパシタC6、接続点8、及び接続点16を通って負荷3へと至る経路中においてC7とC6とによる(負の)電圧降下が生じることを考えれば、以下の式により決定される。
in=−V2−V2+Vout (11)
【0114】
したがってVout=(9/7)Vinとなる。
【0115】
次にS4をオンにする場合、電源4からスイッチS4、接続点11、キャパシタC8、接続点10、キャパシタC7、接続点9、キャパシタC6、接続点8、12、キャパシタC1、接続点13、キャパシタC2、接続点14、キャパシタC3を介して共通電位点15へと至る経路を考えれば、電圧降下について次の式が成り立つ。
in=−V2−V2−V2+V1+V1+V1 (12)
【0116】
(1)式と(12)式とより、V1=(1/2)Vin,V2=(1/6)Vinとなる。
【0117】
また負荷電圧Voutは、電源4からスイッチS4、接続点11、キャパシタC8、接続点10、キャパシタC7、接続点9、キャパシタC6、接続点8、及び接続点16を通って負荷3へと至る経路中において、C8、C7、及びC6による(負の)電圧降下が生じることを考えれば、以下の式により決定される。
in=−V2−V2−V2+Vout (13)
【0118】
したがってVout=(3/2)Vinとなる。
【0119】
以上のとおり、図5の構成においてS1〜S4をオンにした場合の負荷電圧は、それぞれVin,(9/8)Vin,(9/7)Vin,(3/2)Vinと昇圧される。上記入出力電圧比は、図3の電源装置における入出力電圧比と逆数の関係にある。
【実施例4】
【0120】
図6は、本発明の第4実施形態である電源装置1を示している。電源装置1は、図4に示した電源装置1において電源4と負荷3とを接続すべき端子を交換したものである。
【0121】
この構成では、図4と同様に、C1、C2と第2蓄電素子スイッチング回路6とがカスケードに接続されているために(7)式が成り立ち、V2=(2/3)V1となるが、スイッチS1〜S4のいずれをオンとするかによって電源4から共通電位点15へと至る経路が変わるため、各蓄電素子に印加される電圧はそれぞれの場合で異なる。
【0122】
それぞれのスイッチをオンにした場合の負荷電圧Voutは、上記図6の構成における場合とほぼ同様の計算により求めることができる。
【0123】
すなわち、(1)式の代わりにV2=(2/3)V1を用いる以外は、スイッチ1をオンにした場合の(2)式、スイッチ2をオンにした場合の(8)式、(9)式、スイッチ3をオンにした場合の(10)式、(11)式、スイッチ4をオンにした場合の(12)式、(13)式が全て同様に成り立つ。これらを用いて負荷電圧Voutを計算すれば、S1がオンの場合はVin、S2がオンの場合は(9/7)Vin、S3がオンの場合は(9/5)Vin、S4がオンの場合は3Vinと昇圧されることがわかる。上記入出力電圧比は、図4の電源装置における入出力電圧比と逆数の関係にある。
【実施例5】
【0124】
図7は、本発明の第5実施形態である電源装置1を示している。
【0125】
図3の電源装置と比較して、スイッチS5〜S8よりなる第2スイッチ群17が新たに設けられている。スイッチS5〜S8いずれかをオンとすることにより、図3の電源装置1において電源4を接続点8,9,10,11のいずれかに接続した場合のそれぞれに対応する回路構成を実現できる。
【0126】
新たに設けられた第2スイッチ群17でのスイッチングは、(第1)スイッチ群7でのスイッチングにより調整される負荷電圧Voutの調整単位を決定する。
【0127】
具体的には、S5〜S8のいずれかをオンとすることにより、電源4から共通電位点15へと至る経路中に存在する蓄電素子構成が決定されるので、この経路について(2)式等に対応する電圧降下の方程式を立て、現在の構成において成り立っている(1)式と連立させて解くことにより、先ずV1及びV2が決定される。
【0128】
その上で、電源4から、上記S5〜S8のいずれかとS1〜S4のいずれかを経由して負荷3へと至る経路について、(4)式等に対応する方程式を立てることによりVOUTが決定される。電源4から負荷3へと至る経路中に存在する蓄電素子とはキャパシタC6〜C8のいずれかであるので、当該経路中で生じる電圧降下はV2の整数倍となる。ゆえに、スイッチ群7でのスイッチングにより、負荷電圧はV2を単位として調整される。
【0129】
各経路での電圧降下に対応する方程式を上記実施形態1〜4までと同様に解けば、各スイッチ群において選択されたスイッチに対応して負荷電圧が算出される。
表1に、選択されたスイッチと入出力電圧比との関係を示す。
【表1】

【0130】
同様に、図4〜6の構成に第2スイッチ群17を追加すれば、それぞれの構成において電源4を接続点8〜11のいずれかに接続した場合のそれぞれに対応する回路構成を実現できる。
【実施例6】
【0131】
これまで説明した実施形態は、いずれも蓄電素子スイッチング回路を2つ備える構成であった。しかしながら、蓄電素子スイッチング回路の数を3以上に増やして各々をカスケード接続することにより、更なるきめ細やかな電圧変換比を実現することが可能となる。
【0132】
図8は、蓄電素子スイッチング回路を3つカスケード接続した場合の、本発明の第6実施形態である電源装置1を示す。電源装置1における回路モジュール2は、第1蓄電素子スイッチング回路18と、第2蓄電素子スイッチング回路19と、第3蓄電素子スイッチング回路20と、スイッチS1〜S4よりなる第1スイッチ群21と、スイッチS5〜S8よりなる第2スイッチ群22とにより構成されている。
【0133】
この場合、第1蓄電素子スイッチング回路18中の蓄電素子C1と第2蓄電素子スイッチング回路中の蓄電素子C6,C7,C8とが並列接続されており、C6には第3蓄電素子スイッチング回路中の蓄電素子C11,C12,C13が並列接続されている。
【0134】
したがって、C1の電圧がC6,C7,C8へと分配され、更にその電圧がC11,C12,C13へと分配されている。スイッチングにより各蓄電素子スイッチング回路内のキャパシタそれぞれに印加される電圧が均等化されていることを考えれば、C11,C12,C13のそれぞれに印加される電圧V3は、V3=(1/9)V1である。
【0135】
スイッチ群21,22は図7の電源装置1におけるスイッチ群7,17とそれぞれ同一の構成であるため、図8の電源装置1において、負荷電圧VOUTはこのV3を単位として調整される。
【0136】
例えばS5がオンとなっている場合はV1=(1/3)Vinであるので、調整単位V3=(1/27)Vinである。これは、電源電圧をC1〜C3へと等分配し、さらにその電圧をC6〜C8へと等分配し、さらにその電圧をC11〜C13へと等分配することにより、最小の調整単位が得られるということを意味する。
【0137】
すなわち調整単位の最小値は、各蓄電素子スイッチング回路内の直列接続キャパシタ数を乗算した値(現在の構成では3×3×3=27)で電源電圧Vinを除算することにより得られる。なお、S5がオンとなっている状態でS1〜S4のそれぞれをオンとした場合の負荷電圧は、上記実施例と同様に電圧降下を計算すれば、Vin,(26/27)Vin,(25/27)Vin,(8/9)Vinとなる。他のスイッチS6〜S8をオンにしている場合の負荷電圧も、同様に計算される。
【0138】
さらに蓄電素子スイッチング回路の数を増やすことで、よりきめ細やかな負荷電圧調整が可能となることは、上記検討より明らかである。すなわち、第1蓄電素子スイッチング回路、第2蓄電素子スイッチング回路…第n蓄電素子スイッチング回路を図8と同様にカスケード接続したn段構成の回路モジュールを用いれば、各段の蓄電素子スイッチング回路がN1個、N2個、…Nn個の直列接続された蓄電素子を備えているとして、負荷電圧の調整単位としてとりうる最小値は1/(N12…Nn)×Vinとなる。
【0139】
既に述べたとおり、同じ最小単位での電圧調整を1段構成のスイッチトキャパシタシステムにより行うためには、N12…Nn個のキャパシタを直列接続する必要があり、本発明によって素子数の大幅な削減がされることとなる。
【0140】
なお、特にこの実施例6のような多段階接続をする際は、例えば1段構成で蓄電素子数の少ない回路モジュールと組み合わせて用いると都合がよい。1段構成の回路モジュールと図8の回路モジュールとを直列に繋ぐことにより、まず1段構成の回路モジュールにより入出力電圧比調整を粗く調整した上で(調整基準値を決定した上で)、図8の回路モジュールによりその微調整を行う、ということが可能となるからである。
【0141】
当業者であれば、本実施例の教示に従い、回路モジュール内のキャパシタ構成、スイッチ群を適宜選択することにより、所望の調整基準値、調整単位を有する電源装置を構成することができる。
【0142】
例えば、上記実施例1〜6においては、蓄電素子スイッチング回路が、回路中の全ての蓄電素子電圧を均一化するよう構成されたものであるとして説明を行ったが、これは蓄電素子スイッチング回路としての単なる一例である。
【0143】
すなわち、個々の蓄電素子電圧を単位として、従来よりもきめ細やかな出力電圧調整を行うことを可能とする本発明において、当該個々の蓄電素子電圧が全て等しいということは必須ではなく、例えば2種類の刻みをもって調整可能とするために、2種類の大きさの電圧をそれぞれの蓄電素子に印加するよう、蓄電素子スイッチング回路を構成することが可能である。あるいは全ての蓄電素子電圧を、全て異なる値へと調整してもよい。
【0144】
また、同じく蓄電素子スイッチング回路について、上記実施例1〜6においてはスイッチによって接続状態を切り替える構成であるとして説明を行ったが、各蓄電素子の充電状態を制御するためには必ずしもスイッチを用いねばならないというわけではなく、例えばダイオード等を用いて制御することも可能である。
【0145】
本発明は、その目的を達成できる限りにおける上記全てのバリエーションを、その範囲に含むものである。
【0146】
次に、図9〜18を参照しつつ、本発明に係る電源システムの実施形態について説明する。なお、図9,11,13,14,16,及び18の実施例における各蓄電素子スイッチング回路は3直列構成となっているが、これは単なる一例であって、本発明において直列接続される蓄電素子の数は任意である。また各蓄電素子はキャパシタであるとして説明するが、これは二次電池など充放電可能な任意の素子、又は複数の素子からなるモジュールであってもよい。各蓄電素子の容量も、それぞれ異なっていてよい。同様に、スイッチ群や電圧均一化用蓄電素子の具体的な構成も、図に示された特定の構成に限られるわけではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【実施例7】
【0147】
電源システム23の構成
図9は、本発明の第7実施形態である電源システム23を示している。電源システム23は、回路モジュール24の第1端子に接続された負荷25に対して、第2端子に接続された電気二重層キャパシタモジュール26(あるいは任意の直流電源、交流電源であってよい)からの負荷電圧を印加するに際し、回路モジュール24内のスイッチングによって負荷電圧を負荷25の動作電圧範囲内へと調整するよう構成されたものである。
【0148】
電気二重層キャパシタモジュール26には電圧検出回路27が接続されており、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を随時監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力するよう構成されている。
【0149】
なお、電圧検出回路27を負荷3へと、あるいは電源システム23に含まれる任意のキャパシタへと接続してもよい。後述するとおり、それら各素子の電圧は数式を用いて互いに換算可能であり、したがって、十分な負荷電圧が維持されているかの判断を行うためには上記いずれかの素子の電圧を検出すれば十分だからである。この点に関しては、後述する実施例8〜12についても同様である。
【0150】
判定回路28は、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較し、当該所定の電圧以下となった場合にスイッチ切り替え制御を行うよう、スイッチ制御回路29へと信号を出力するよう構成されている。
【0151】
スイッチ制御回路29は、判定回路28からの信号に応じてスイッチ群30に含まれるスイッチS1〜S3のいずれか1つをオンとするよう構成されている。
【0152】
なお、判定回路28とスイッチ制御回路29とは別個のモジュールである必要はなく、これらの代わりに電圧の判定とスイッチの制御とを行うよう構成された任意の回路であってよい。特許請求の範囲に記載されたスイッチ制御手段とは、判定回路28とスイッチ制御回路29とから、すなわち別個の2回路(あるいはそれ以上の回路)から構成される手段であっても、それら両方の機能を備えた1回路から構成される手段であってもよい。
【0153】
なお、負荷25とは抵抗器に限られるわけではなく、電力により動作する任意の素子、モジュール、装置のような任意の負荷を用いることが可能である。
【0154】
回路モジュール24は、蓄電素子スイッチング回路31と、スイッチS1〜S3よりなるスイッチ群30とにより構成されている。蓄電素子スイッチング回路31はキャパシタC1〜C5とスイッチQ1〜Q6とにより構成されている。
【0155】
ここで、奇数番号のスイッチと偶数番号のスイッチを交互に高周波にてスイッチングさせることで、C1〜C5が分担する電圧が均一になる。
【0156】
具体的に、C1〜C5についていえば、奇数番号のスイッチがオンである時には、キャパシタC1とC4とが、及びC2とC5とが、それぞれ並列接続されることとなるため、キャパシタ間に電圧のばらつきが発生している場合には相互充放電が行われ、電圧ばらつきが解消される方向へと向かうのであり、一方で偶数番号のスイッチがオンである時には、キャパシタC2とC4とが、及びC3とC5とが、それぞれ並列接続されることとなるため、キャパシタ間に電圧のばらつきが発生している場合には相互充放電が行われ、電圧ばらつきが解消される方向へと向かう。
【0157】
スイッチングを繰り返すことにより、各々のキャパシタは他の全てのキャパシタと直接的、又は間接的に(他のキャパシタを介して)相互充放電を行うのであり、したがってキャパシタC1〜C5の電圧が均一化されることとなる。
【0158】
負荷電圧の決定
このような回路モジュール24において、スイッチS1〜S3のいずれか一つをオンにすることにより、電気二重層キャパシタモジュール26から負荷25へと負荷電圧が印加される。ただし負荷電圧の値は、S1〜S3中、どのスイッチをオンとするかによって異なる。
【0159】
以下、各キャパシタに印加される電圧を決定した上で、スイッチS1〜S3のいずれかをオンとした場合のそれぞれに対する負荷電圧を、具体的に算出する。
【0160】
まず、キャパシタC1〜C5の電圧を決定する(これらに印加される電圧は、S1〜S3のいずれをオンとするかには無関係である)。C1〜C5の電圧は高周波でのスイッチングにより均一化されているのであり、それぞれV1と表すことが可能である。
【0161】
電気二重層キャパシタモジュール26から接続点32、33、キャパシタC1、接続点34、キャパシタC2、接続点35、及びキャパシタC3を介して共通電位点36へと至る経路での電圧降下を考えれば、電源電圧をVinとしたときに以下の式が成り立つ。
in=V1+V1+V1=3V1 (14)
【0162】
上記(14)式より、V1=(1/3)Vinと決定される。
【0163】
次に、スイッチS1をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。電気二重層キャパシタモジュール26から接続点32、及びスイッチS1を通って負荷25へと至る経路中に電圧降下を生じさせる素子は一切存在しないため、電気二重層キャパシタモジュール26からの電圧は全て負荷25への負荷電圧となる。すなわち、
out=Vin (15)
と決定される。
【0164】
次に、スイッチS2をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。電気二重層キャパシタモジュール26から接続点32、33、キャパシタC1、接続点34、スイッチS2を通って負荷25へと至る経路においては、キャパシタC2によりV1=(1/3)Vinの電圧降下が生じている。
したがって負荷電圧Voutは、
in=(1/3)Vin+Vout (16)
よりVout=(2/3)Vinと決定される。
【0165】
次に、スイッチS3をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。電気二重層キャパシタモジュール26から接続点32、33、キャパシタC1、接続点34、キャパシタC2、接続点35、スイッチS3を通って負荷25へと至る経路においては、キャパシタC1とC2とによりそれぞれV1=(1/3)Vinの電圧降下が生じている。
したがって負荷電圧Voutは、
in=(1/3)Vin+(1/3)Vin+Vout (17)
よりVout=(1/3)Vinと決定される。
【0166】
以上のとおり、S1〜S3のスイッチングにより、負荷電圧を、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の1/3を単位として調節することが可能となる。電気二重層キャパシタモジュール26の電圧自体を単位とする従来の調整に比較して、調整単位は1/3となり、よりきめ細やかな電圧調整が可能となる。
【0167】
電源システム23の動作
次に、電源システム23の動作を説明する。まず初期状態として、電気二重層キャパシタモジュール26には、負荷25の動作電圧範囲内、任意の電圧の3倍程度の電圧を印加することにより、充電をしておく。スイッチ群30中のS1〜S3はいずれもオフとし、未だ負荷25への放電は開始されていない。
【0168】
スイッチ制御回路29からの信号によりスイッチS3のみがオンとなり、放電が開始される。このときの負荷電圧は、上記のとおり電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の1/3である(したがって放電開始時には、負荷25の動作電圧範囲内での給電が行われる。)。
【0169】
放電の進行と共に、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し、同時に負荷25へ印加される負荷電圧も低下してゆく。電圧検出回路27はこの低下する電圧を監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力する。
【0170】
判定回路28は、判定回路を構成する演算装置(不図示)のクロック周波数等により決定される所定の時間間隔ごとに、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較する。
【0171】
所定の電圧とは、典型的に、負荷25の動作電圧範囲の下限値とスイッチ群30の切り替え状態とにより決定される。すなわち、スイッチS3がオンとなっている場合は、負荷電圧(1/3)Vinが動作電圧範囲の下限を上回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、動作電圧の下限値の3倍として定められる所定の電圧(以下、第1の所定電圧値とする。)と比較する。
【0172】
電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第1の所定電圧値を上回っている場合、負荷25には動作電圧範囲の下限を上回る、十分な電圧が供給されている。したがってスイッチ群30でスイッチ切り替えを行う必要はないため、判定回路28はスイッチ制御回路29に信号を出力しない(あるいは、現在のスイッチングが適切であり、切り替えが必要ないことを通知するための信号を出力してもよい。)。
【0173】
放電により電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し続けるため、ある時点において、判定回路28は、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第1の所定電圧値を下回っていることを検出する。この時点で、判定回路28はスイッチ制御回路29に対し、スイッチ切り替えを行うための信号を出力する。(あるいは、一時的にでも負荷電圧が動作電圧範囲外となることを避けるため、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と第1の所定電圧値との差が所定の下限値を下回った時点で、そのような信号を出力するよう構成してもよい。)
【0174】
スイッチ制御回路29は、判定回路28から受信した上記信号に応答して、スイッチS3をオフにすると同時にスイッチS2をオンにする。これにより、負荷電圧はキャパシタC2とC3とに印加される電圧の和、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の(2/3)倍となり、負荷電圧が上昇して動作電圧範囲内となる。
【0175】
放電の更なる進行と共に、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は更に低下し、同時に負荷25へ印加される負荷電圧も低下してゆく。電圧検出回路27はこの低下する電圧を引き続き監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力する。
【0176】
判定回路28は、上記所定の時間間隔ごとに、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較する。
【0177】
但し、ここで比較に用いるべき所定の電圧とは、上記第1の所定電圧値とは異なる。すなわち、スイッチS2がオンとなっている場合は、負荷電圧(2/3)Vinが動作電圧範囲の下限を上回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、動作電圧の下限値の3/2倍として定められる所定の電圧(以下、第2の所定電圧値とする。)と比較する。このような所定電圧値の切り替えは、判定回路28においてオンとするスイッチのS3からS2への切り替えを指示する信号をスイッチ制御回路29へと出力した際(あるいはスイッチが切り替えられたことを通知する信号をスイッチ制御回路29から受信した際)に行われる。
【0178】
電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第2の所定電圧値を上回っている場合、負荷25には動作電圧範囲の下限を上回る、十分な電圧が供給されている。したがってスイッチ群30でスイッチ切り替えを行う必要はないため、判定回路28はスイッチ制御回路29に信号を出力しない(あるいは、現在のスイッチングが適切であり、切り替えが必要ないことを通知するための信号を出力してもよい。)。
【0179】
放電により電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し続けるため、ある時点において、判定回路28は、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第2の所定電圧値を下回っていることを検出する。この時点で、判定回路28はスイッチ制御回路29に対し、スイッチ切り替えを行うための信号を出力する。(あるいは、一時的にでも負荷電圧が動作電圧範囲外となることを避けるため、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と第2の所定電圧値との差が所定の下限値を下回った時点で、そのような信号を出力するよう構成してもよい。)
【0180】
スイッチ制御回路29は、判定回路28から受信した上記信号に応答して、スイッチS2をオフにすると同時にスイッチS1をオンにする。これにより、負荷電圧はキャパシタC1とC2とC3とに印加される電圧の和、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧となり、負荷電圧が再び上昇して動作電圧範囲内となる。
【0181】
このように、スイッチS1〜S3を順次切り替えることにより、負荷電圧をある任意の範囲内に抑えることができる。図9の電源システムにおいて電気二重層キャパシタモジュール26は1直列構成であるにもかかわらず、3直列構成の蓄電素子スイッチング回路モジュール24を用いているために、負荷電圧を3段階で調節することが可能である。
【0182】
なお、ここでは電気二重層キャパシタモジュール26を回路モジュール24の接続点32にて接続した場合(すなわち蓄電素子スイッチング回路31中の接続点33から接続した場合)について説明したが、その他の接続点34〜35から接続した場合においても同様の原理の下で動作する。
【0183】
また、既に述べたとおり、電圧検出回路27を負荷3へと接続して負荷電圧を検出する構成とすることも可能であるが、この場合、第1〜第3の電圧値としては動作電圧範囲の下限値を統一して用い、検出された負荷電圧と比較すればよい。この点に関しては、後述の実施例8〜12においても同様である。
【0184】
図10は、図9の電源システムの放電時における負荷25の電圧、ならびに電気二重層キャパシタモジュール26(図10中ではEDLC電圧と表記)の電圧を示したものである。EDLC電圧が所定の電圧値まで下がった時点でスイッチが切り替えられることにより、負荷電圧は常に一定範囲内へと抑えられている。
【0185】
なお、上記動作に加えて、判定回路28によって負荷電圧が動作電圧範囲の上限を下回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、各スイッチ群の切り替え状態に応じて上記のとおり決定される所定の電圧と比較するよう構成してもよい。
【0186】
仮に電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が所定の電圧を超えている場合、負荷25には動作範囲外の高電圧が印加されることとなり、機器の故障などを引き起こす恐れがある。したがってその場合には、判定回路28からスイッチ制御回路29へ制御信号を出力し、スイッチ制御回路29によって適宜スイッチの切り替えをするよう構成することが好ましい。このことは、以下の実施例においても同様である。
【実施例8】
【0187】
図11は、本発明の第8実施形態である電源システム23を示している。上記電源システム23は、図9に示した電源システム23において電気二重層キャパシタモジュール26と負荷25とを接続すべき端子を交換したものである。
【0188】
第7実施形態と同様に、回路モジュール24においてスイッチS1〜S3のいずれか一つをオンにすることにより、電気二重層キャパシタモジュール26から負荷25へと負荷電圧が印加される。ただし負荷電圧の値は、S1〜S3中、どのスイッチをオンとするかによって異なる。特に図11の回路構成においては、どのスイッチをオンとするかに応じて各キャパシタに印加される電圧も変わる。
【0189】
まずS1をオンにする場合、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS1、接続点32、33、キャパシタC1、接続点34、キャパシタC2、接続点35、キャパシタC3を介して共通電位点36へと至る経路を考えれば、電圧降下について(14)式が成り立つこととなる。したがって各キャパシタの電圧はV1=(1/3)Vinとなる。
【0190】
負荷電圧Voutは、電気二重層キャパシタモジュール26からS1を通って負荷25へと至る経路中に電圧降下を生じさせる素子が存在しないため、Vout=Vinとなる。
【0191】
次にS2をオンにする場合、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS2、接続点34、キャパシタC2、接続点35、キャパシタC3を介して共通電位点36へと至る経路を考えれば、電圧降下について次の式が成り立つ。
in=V1+V1=2V1 (18)
【0192】
したがって各キャパシタには(1/2)Vinの電圧が印加される。
【0193】
また負荷25への負荷電圧については、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS2、接続点34、キャパシタC1、接続点33、接続点32を介して負荷25へと至る経路中でキャパシタC1による(負の)電圧降下が生じることを考えれば、次の式が成り立つ。
in=−V1+VOUT (19)
【0194】
式(18),(19)より、VOUT=(3/2)Vinと決定される。
【0195】
次にS3をオンにする場合、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS3、接続点35、キャパシタC3を介して共通電位点36へと至る経路を考えれば、電圧降下について次の式が成り立つ。
in=V1 (20)
【0196】
また負荷電圧Voutは、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS3、接続点35、キャパシタC2、接続点34、キャパシタC1、接続点33、及び接続点32を通って負荷25へと至る経路中においてC1とC2とによる(負の)電圧降下が生じることを考えれば、以下の式により決定される。
in=−V1−V1+Vout (21)
【0197】
したがってVout=3Vinとなる。
【0198】
以上のとおり、図11の構成においてS1〜S3をオンにした場合の負荷電圧は、それぞれVin,(3/2)Vin,3Vinと昇圧される。上記入出力電圧比は、図9の電源システムにおける入出力電圧比と逆数の関係にある。
【0199】
電源システム23の動作
次に、第8実施形態における電源システム23の動作を説明する。まず初期状態として、電気二重層キャパシタモジュール26には、負荷25の動作電圧範囲内、任意の電圧程度の電圧を印加することにより、充電をしておく。スイッチ群30中のS1〜S3はいずれもオフとし、未だ負荷25への放電は開始されていない。
【0200】
スイッチ制御回路29からの信号によりスイッチS1のみがオンとなり、放電が開始される。このときの負荷電圧は、上記のとおり電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と等しい(したがって放電開始時には、負荷25の動作電圧範囲内での給電が行われる。)。
【0201】
放電の進行と共に、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し、同時に負荷25へ印加される負荷電圧も低下してゆく。電圧検出回路27はこの低下する電圧を監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力する。
【0202】
判定回路28は、判定回路を構成する演算装置(不図示)のクロック周波数等により決定される所定の時間間隔ごとに、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較する。
【0203】
所定の電圧とは、典型的に、負荷25の動作電圧範囲の下限値とスイッチ群30の切り替え状態とにより決定される。すなわち、スイッチ1がオンとなっている場合は、負荷電圧Vinが動作電圧範囲の下限を上回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、動作電圧の下限値として定められる所定の電圧(以下、第1の所定電圧値とする。)と比較する。
【0204】
電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第1の所定電圧値を上回っている場合、負荷25には動作電圧範囲の下限を上回る、十分な電圧が供給されている。したがってスイッチ群30でスイッチ切り替えを行う必要はないため、判定回路28はスイッチ制御回路29に信号を出力しない(あるいは、現在のスイッチングが適切であり、切り替えが必要ないことを通知するための信号を出力してもよい。)。
【0205】
放電により電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し続けるため、ある時点において、判定回路28は、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第1の所定電圧値を下回っていることを検出する。この時点で、判定回路28はスイッチ制御回路29に対し、スイッチ切り替えを行うための信号を出力する。(あるいは、一時的にでも負荷電圧が動作電圧範囲外となることを避けるため、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と第1の所定電圧値との差が所定の下限値を下回った時点で、そのような信号を出力するよう構成してもよい。)
【0206】
スイッチ制御回路29は、判定回路28から受信した上記信号に応答して、スイッチS1をオフにすると同時にスイッチS2をオンにする。これにより、負荷電圧は電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の(3/2)倍となり、負荷電圧が上昇して動作電圧範囲内となる。
【0207】
放電の更なる進行と共に、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は更に低下し、同時に負荷25へ印加される負荷電圧も低下してゆく。電圧検出回路27はこの低下する電圧を引き続き監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力する。
【0208】
判定回路28は、上記所定の時間間隔ごとに、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較する。
【0209】
但し、ここで比較に用いるべき所定の電圧とは、上記第1の所定電圧値とは異なる。すなわち、スイッチS2がオンとなっている場合は、負荷電圧(3/2)Vinが動作電圧範囲の下限を上回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、動作電圧の下限値の2/3倍として定められる所定の電圧(以下、第2の所定電圧値とする。)と比較する。このような所定電圧値の切り替えは、判定回路28においてオンとするスイッチのS1からS2への切り替えを指示する信号をスイッチ制御回路29へと出力した際(あるいはスイッチが切り替えられたことを通知する信号をスイッチ制御回路29から受信した際)に行われる。
【0210】
電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第2の所定電圧値を上回っている場合、負荷25には動作電圧範囲の下限を上回る、十分な電圧が供給されている。したがってスイッチ群30でスイッチ切り替えを行う必要はないため、判定回路28はスイッチ制御回路29に信号を出力しない(あるいは、現在のスイッチングが適切であり、切り替えが必要ないことを通知するための信号を出力してもよい。)。
【0211】
放電により電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し続けるため、ある時点において、判定回路28は、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第2の所定電圧値を下回っていることを検出する。この時点で、判定回路28はスイッチ制御回路29に対し、スイッチ切り替えを行うための信号を出力する。(あるいは、一時的にでも負荷電圧が動作電圧範囲外となることを避けるため、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と第2の所定電圧値との差が所定の下限値を下回った時点で、そのような信号を出力するよう構成してもよい。)
【0212】
スイッチ制御回路29は、判定回路28から受信した上記信号に応答して、スイッチS2をオフにすると同時にスイッチS3をオンにする。これにより、負荷電圧は電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の3倍となり、負荷電圧が再び上昇して動作電圧範囲内となる。
【0213】
このように、スイッチS1〜S3を順次切り替えることにより、負荷電圧をある任意の範囲内に抑えることができる。図11の電源システムにおいて電気二重層キャパシタモジュール26は1直列構成であるにもかかわらず、3直列構成の蓄電素子スイッチング回路モジュール24を用いているために、負荷電圧を3段階で調節することが可能である。負荷25が大きな動作電圧を必要とする場合など、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を昇圧する必要がある場合に、図11の構成は特に有効である。
【0214】
なお、ここでは電気二重層キャパシタモジュール26を回路モジュール24の接続点32にて接続した場合(すなわち蓄電素子スイッチング回路31中の接続点33から接続した場合)について説明したが、その他の接続点34〜35から接続した場合においても同様の原理の下で動作する。
【0215】
図12は、図11の電源システムの放電時における負荷25の電圧、ならびに電気二重層キャパシタモジュール26(図12中ではEDLC電圧と表記)の電圧を示したものである。EDLC電圧が所定の電圧値まで下がった時点でスイッチが切り替えられることにより、負荷電圧は常に一定範囲内へと抑えられている。
【実施例9】
【0216】
図13は本発明の第9の実施形態を示すものである。負荷25は第1スイッチ群30を介して蓄電素子スイッチング回路31と接続されており、電気二重層キャパシタモジュール26は第2スイッチ群37を介して蓄電素子スイッチング回路31と接続されている。第2スイッチ群37中のスイッチS4〜S6のいずれか1つをオンとすることにより、電気二重層キャパシタモジュール26は接続点33〜35のうち1つに接続され、蓄電素子スイッチング回路31を介して負荷25に電力を供給する。スイッチ群30と37とにおいてオンとするスイッチの組み合わせに応じて、図9と図11における全ての接続状態を実現できる。
【0217】
具体的に、第1スイッチ群30中でオンとするスイッチと第2スイッチ群37中でオンとするスイッチとをそれぞれ選択した時の入出力電圧比は、表2のとおりである。
【表2】

【0218】
したがって、電気二重層キャパシタモジュール4における放電の進行に伴い、オンとするスイッチの組を(S3,S4),(S3,S5),(S2,S4),(S1,S4)又は(S2,S5)又は(S3,S6),(S1,S5),(S2,S6),(S1,S6)と適宜切り替えることにより、電気二重層キャパシタモジュール4の電圧を動作範囲内に制御しつつ、充電エネルギーを無駄なく利用することが可能となる。
【実施例10】
【0219】
図14は、本発明の第10実施形態である電源システム23を示している。第7実施形態と比較して、回路モジュール24に第2蓄電素子スイッチング回路38を備えたことにより、さらに微細な出力電圧調整が可能となる。
【0220】
第2蓄電素子スイッチング回路38はキャパシタC6〜C10とスイッチQ7〜Q12とにより構成され、第1蓄電素子スイッチング回路31内のキャパシタC1に対して接続されている。
【0221】
この場合、第2蓄電素子スイッチング回路38中のキャパシタC6、C7、C8は第1蓄電素子スイッチング回路31中のキャパシタC1と並列接続されているために相互充放電可能であり、またキャパシタC9、C10は、Q7〜Q12のスイッチングによりC6、C7、C8と相互充放電可能である。
【0222】
したがって、キャパシタC1と第2蓄電素子スイッチング回路38内の各キャパシタとの間での相互充放電を可能とするような、第1、第2蓄電素子スイッチング回路による多段階接続が構成されている。すなわち、キャパシタC1の電圧がキャパシタC6〜C10に分配されるカスケード接続となる。
【0223】
ここで、奇数番号のスイッチと偶数番号のスイッチを交互に高周波にてスイッチングさせることで、実施例7の場合と同様、C1〜C5が分担する電圧、及びC6〜C10が分担する電圧がそれぞれ均一になる。
【0224】
負荷電圧の決定
このような回路モジュール24において、スイッチS1〜S4のいずれか一つをオンにすることにより、電気二重層キャパシタモジュール26から負荷25へと負荷電圧が印加される。ただし負荷電圧の値は、S1〜S4中、どのスイッチをオンとするかによって異なる。
【0225】
以下、各キャパシタに印加される電圧を決定した上で、スイッチS1〜S4のいずれかをオンとした場合のそれぞれに対する負荷電圧を、具体的に算出する。
【0226】
まず、キャパシタC1〜C5、C6〜C10の電圧を決定する(これらに印加される電圧は、S1〜S4のいずれをオンとするかには無関係である)。C1〜C5の電圧、及びC6〜C10の電圧はそれぞれスイッチングにより均一化されているのであり、それぞれV1、V2と表すことが可能である。
【0227】
C1と第2蓄電素子スイッチング回路38とはカスケードに接続されているので、C6とC7とC8との電圧の和はC1の電圧と等しくなる。すなわち
1=V2+V2+V2=3V2 (22)
となる。
【0228】
電気二重層キャパシタモジュール26から接続点32、39、33、キャパシタC1、接続点34、キャパシタC2、接続点35、及びキャパシタC3を介して共通電位点36へと至る経路での電圧降下を考えれば、電源電圧をVinとしたときに以下の式が成り立つ。
in=V1+V1+V1=3V1 (23)
上記(22)式と(23)式とを併せれば、V1=(1/3)Vin,V2=(1/9)Vinと決定される。
【0229】
次に、スイッチS1をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。
【0230】
電気二重層キャパシタモジュール26から接続点32、及びスイッチS1を通って負荷25へと至る経路中に電圧降下を生じさせる素子は一切存在しないため、電気二重層キャパシタモジュール26からの電圧は全て負荷25への負荷電圧となる。すなわち、
out=Vin (24)
と決定される。
【0231】
次に、スイッチS2をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。電気二重層キャパシタモジュール26から接続点32、39、キャパシタC6、接続点40、スイッチS2を通って負荷25へと至る経路においては、キャパシタC6によりV2=(1/9)Vinの電圧降下が生じている。
したがって負荷電圧Voutは、
in=(1/9)Vin+Vout (25)
よりVout=(8/9)Vinと決定される。
【0232】
次に、スイッチS3をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。電気二重層キャパシタモジュール26から接続点32、39、キャパシタC6、接続点40、キャパシタC7、接続点41、スイッチS3を通って負荷25へと至る経路においては、キャパシタC6とC7とによりそれぞれV2=(1/9)Vinの電圧降下が生じている。
したがって負荷電圧Voutは、
in=(1/9)Vin+(1/9)Vin+Vout (26)
よりVout=(7/9)Vinと決定される。
【0233】
次に、スイッチS4をオンとした場合の負荷電圧Voutを決定する。
電気二重層キャパシタモジュール26から接続点32、39、キャパシタC6、接続点40、キャパシタC7、接続点41、キャパシタC8、接続点42、スイッチS4を通って負荷25へと至る経路においては、キャパシタC6とC7とC8とによりそれぞれV2=(1/9)Vinの電圧降下が生じている。
したがって負荷電圧Voutは、
in=(1/9)Vin+(1/9)Vin+(1/9)Vin+Vout (27)
よりVout=(2/3)Vinと決定される。
【0234】
以上のとおり、S1〜S4のスイッチングにより、入出力電圧比を1/9単位で調節することが可能である。
【0235】
ここで、図14の回路モジュール24に用いられるキャパシタは10個、スイッチは16個である。これに対して、上記1/9単位での入出力電圧比調整を、カスケード接続による多段構成を用いない、1段構成のスイッチングキャパシタシステムによって行うためには、17個のキャパシタ(9個の直列接続キャパシタと、8個の電圧均一化用キャパシタ)と、22個のスイッチ(相互充放電のための18個と、S1〜S4の4個)とが必要となるのであって、図14のようなカスケード接続による多段構成を採用することにより、所定の電圧刻み幅を達成するために必要な素子数が大幅に削減されていることが分かる。
【0236】
電源システム23の動作
次に、電源システム23の動作を説明する。まず初期状態として、電気二重層キャパシタモジュール26には、負荷25の動作電圧範囲内、任意の電圧の(3/2)倍程度の電圧を印加することにより、充電をしておく。スイッチ群30中のS1〜S4はいずれもオフとし、未だ負荷25への放電は開始されていない。
【0237】
スイッチ制御回路29からの信号によりスイッチS4のみがオンとなり、放電が開始される。このときの負荷電圧は、上記のとおり電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の2/3である(したがって放電開始時には、負荷25の動作電圧範囲内での給電が行われる。)。
【0238】
放電の進行と共に、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し、同時に負荷25へ印加される負荷電圧も低下してゆく。電圧検出回路27はこの低下する電圧を監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力する。
【0239】
判定回路28は、判定回路を構成する演算装置(不図示)のクロック周波数等により決定される所定の時間間隔ごとに、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較する。
【0240】
所定の電圧とは、典型的に、負荷25の動作電圧範囲の下限値とスイッチ群30の切り替え状態とにより決定される。すなわち、スイッチ4がオンとなっている場合は、負荷電圧(2/3)Vinが動作電圧範囲の下限を上回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、動作電圧の下限値の(3/2)倍として定められる所定の電圧(以下、第1の所定電圧値とする。)と比較する。
【0241】
電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第1の所定電圧値を上回っている場合、負荷25には動作電圧範囲の下限を上回る、十分な電圧が供給されている。したがってスイッチ群30でスイッチ切り替えを行う必要はないため、判定回路28はスイッチ制御回路29に信号を出力しない(あるいは、現在のスイッチングが適切であり、切り替えが必要ないことを通知するための信号を出力してもよい。)。
【0242】
放電により電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し続けるため、ある時点において、判定回路28は、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第1の所定電圧値を下回っていることを検出する。この時点で、判定回路28はスイッチ制御回路29に対し、スイッチ切り替えを行うための信号を出力する。(あるいは、一時的にでも負荷電圧が動作電圧範囲外となることを避けるため、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と第1の所定電圧値との差が所定の下限値を下回った時点で、そのような信号を出力するよう構成してもよい。)
【0243】
スイッチ制御回路29は、判定回路28から受信した上記信号に応答して、スイッチS4をオフにすると同時にスイッチS3をオンにする。これにより、負荷電圧は電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の(7/9)倍となり、負荷電圧が上昇して動作電圧範囲内となる。
【0244】
放電の更なる進行と共に、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は更に低下し、同時に負荷25へ印加される負荷電圧も低下してゆく。電圧検出回路27はこの低下する電圧を引き続き監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力する。
【0245】
判定回路28は、上記所定の時間間隔ごとに、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較する。
【0246】
但し、ここで比較に用いるべき所定の電圧とは、上記第1の所定電圧値とは異なる。すなわち、スイッチS3がオンとなっている場合は、負荷電圧(7/9)Vinが動作電圧範囲の下限を上回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、動作電圧の下限値の9/7倍として定められる所定の電圧(以下、第2の所定電圧値とする。)と比較する。このような所定電圧値の切り替えは、判定回路28においてオンとするスイッチのS4からS3への切り替えを指示する信号をスイッチ制御回路29へと出力した際(あるいはスイッチが切り替えられたことを通知する信号をスイッチ制御回路29から受信した際)に行われる。
【0247】
電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第2の所定電圧値を上回っている場合、負荷25には動作電圧範囲の下限を上回る、十分な電圧が供給されている。したがってスイッチ群30でスイッチ切り替えを行う必要はないため、判定回路28はスイッチ制御回路29に信号を出力しない(あるいは、現在のスイッチングが適切であり、切り替えが必要ないことを通知するための信号を出力してもよい。)。
【0248】
放電により電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し続けるため、ある時点において、判定回路28は、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第2の所定電圧値を下回っていることを検出する。この時点で、判定回路28はスイッチ制御回路29に対し、スイッチ切り替えを行うための信号を出力する。(あるいは、一時的にでも負荷電圧が動作電圧範囲外となることを避けるため、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と第2の所定電圧値との差が所定の下限値を下回った時点で、そのような信号を出力するよう構成してもよい。)
【0249】
スイッチ制御回路29は、判定回路28から受信した上記信号に応答して、スイッチS3をオフにすると同時にスイッチS2をオンにする。これにより、負荷電圧は電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の(8/9)倍となり、負荷電圧が再び上昇して動作電圧範囲内となる。
【0250】
放電の更なる進行と共に、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は更に低下し、同時に負荷25へ印加される負荷電圧も低下してゆく。電圧検出回路27はこの低下する電圧を引き続き監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力する。
【0251】
判定回路28は、上記所定の時間間隔ごとに、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較する。
【0252】
但し、ここで比較に用いるべき所定の電圧とは、上記第1の所定電圧値とは異なる。すなわち、スイッチS2がオンとなっている場合は、負荷電圧(8/9)Vinが動作電圧範囲の下限を上回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、動作電圧の下限値の9/8倍として定められる所定の電圧(以下、第3の所定電圧値とする。)と比較する。このような所定電圧値の切り替えは、判定回路28においてオンとするスイッチのS3からS2への切り替えを指示する信号をスイッチ制御回路29へと出力した際(あるいはスイッチが切り替えられたことを通知する信号をスイッチ制御回路29から受信した際)に行われる。
【0253】
電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第3の所定電圧値を上回っている場合、負荷25には動作電圧範囲の下限を上回る、十分な電圧が供給されている。したがってスイッチ群30でスイッチ切り替えを行う必要はないため、判定回路28はスイッチ制御回路29に信号を出力しない(あるいは、現在のスイッチングが適切であり、切り替えが必要ないことを通知するための信号を出力してもよい。)。
【0254】
放電により電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し続けるため、ある時点において、判定回路28は、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第3の所定電圧値を下回っていることを検出する。この時点で、判定回路28はスイッチ制御回路29に対し、スイッチ切り替えを行うための信号を出力する。(あるいは、一時的にでも負荷電圧が動作電圧範囲外となることを避けるため、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と第3の所定電圧値との差が所定の下限値を下回った時点で、そのような信号を出力するよう構成してもよい。)
【0255】
スイッチ制御回路29は、判定回路28から受信した上記信号に応答して、スイッチS2をオフにすると同時にスイッチS1をオンにする。これにより、負荷電圧は電気二重層キャパシタモジュール26の電圧となり、負荷電圧が再び上昇して動作電圧範囲内となる。
【0256】
このように、スイッチS1〜S4を順次切り替えることにより、負荷電圧をある任意の範囲内に抑えることができる。図14の電源システムにおいて電気二重層キャパシタモジュール26は1直列構成であるにもかかわらず、3直列構成の蓄電素子スイッチング回路をカスケード接続して2段構成となった回路モジュール24を用いているために、負荷電圧を4段階で、かつ1段構成の場合と比べて微細に、調節することが可能となる。
【0257】
なお、ここでは電気二重層キャパシタモジュール26を回路モジュール24の接続点32にて接続した場合(すなわち第2蓄電素子スイッチング回路38中の接続点39から接続した場合)について説明したが、その他の接続点40〜42から接続した場合においても同様の原理の下で動作する。また、第2蓄電素子スイッチング回路38が第1蓄電素子スイッチング回路31のキャパシタC1にカスケード接続された場合について説明を行ったが、他のキャパシタに接続された場合や、複数個のキャパシタに接続された場合(例えばC1+C2)においても同様の原理の下で動作する。
【0258】
図15は、図14の電源システムの放電時における負荷25の電圧、ならびに電気二重層キャパシタモジュール26(図15中ではEDLC電圧と表記)の電圧を示したものである。EDLC電圧が所定の電圧値まで下がった時点でスイッチが切り替えられることにより、負荷電圧は常に一定範囲内へと抑えられている。
【実施例11】
【0259】
図16は、本発明の第11実施形態である電源システム23を示している。上記電源システム23は、図14に示した電源システム23において電気二重層キャパシタモジュール26と負荷25とを接続すべき端子を交換したものである。
【0260】
第10実施形態と同様に、回路モジュール24においてスイッチS1〜S4のいずれか一つをオンにすることにより、電気二重層キャパシタモジュール26から負荷25へと負荷電圧が印加される。ただし負荷電圧の値は、S1〜S4中、どのスイッチをオンとするかによって異なる。特に図16の回路構成においては、どのスイッチをオンとするかに応じて各キャパシタに印加される電圧も変わる。
【0261】
この構成では、図14と同様に、C1と第2蓄電素子スイッチング回路38とがカスケードに接続されているために(22)式が成り立ち、V2=(1/3)V1となるが、スイッチS1〜S4のいずれをオンとするかによって電気二重層キャパシタモジュール26から共通電位点36へと至る経路が変わるため、各キャパシタに印加される電圧はそれぞれの場合で異なる。
【0262】
まずS1をオンにする場合、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS1、接続点32、39、33、キャパシタC1、接続点34、キャパシタC2、接続点35、キャパシタC3を介して共通電位点36へと至る経路を考えれば、電圧降下について(23)式が成り立つこととなる。したがってV1=(1/3)Vin,V2=(1/9)Vinとなる。
【0263】
負荷電圧Voutは、電気二重層キャパシタモジュール26からS1を通って負荷25へと至る経路中に電圧降下を生じさせる素子が存在しないため、Vout=Vinとなる。
【0264】
次にS2をオンにする場合、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS2、接続点40、キャパシタC6、接続点39、接続点33、キャパシタC1、接続点34、キャパシタC2、接続点35、キャパシタC3を介して共通電位点36へと至る経路を考えれば、電圧降下について次の式が成り立つ。
in=−V2+V1+V1+V1 (28)
【0265】
上記(22)式と(28)式とを併せれば、V1=(3/8)Vin,V2=(1/8)Vinと決定される。
【0266】
また負荷25への負荷電圧については、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS2、接続点40、キャパシタC6、接続点39、接続点32を介して負荷25へと至る経路中でキャパシタC6による(負の)電圧降下が生じることを考えれば、次の式が成り立つ。
in=−V2+VOUT (29)
【0267】
式(29)より、VOUT=(9/8)Vinと決定される。
【0268】
次にS3をオンにする場合、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS3、接続点41、キャパシタC7、接続点40、キャパシタC6、接続点39、33、キャパシタC1、接続点34、キャパシタC2、接続点35、キャパシタC3を介して共通電位点36へと至る経路を考えれば、電圧降下について次の式が成り立つ。
in=−V2−V2+V1+V1+V1 (30)
【0269】
上記(22)式と(30)式とを併せれば、V1=(3/7)Vin,V2=(1/7)Vinと決定される。
【0270】
また負荷電圧Voutは、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS3、接続点41、キャパシタC7、接続点40、キャパシタC6、接続点39、及び接続点32を通って負荷25へと至る経路中においてC6とC7とによる(負の)電圧降下が生じることを考えれば、以下の式により決定される。
in=−V2−V2+Vout (31)
【0271】
したがってVout=(9/7)Vinとなる。
【0272】
次にS4をオンにする場合、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS4、接続点42、キャパシタC8、接続点41、キャパシタC7、接続点40、キャパシタC6、接続点39、33、キャパシタC1、接続点34、キャパシタC2、接続点35、キャパシタC3を介して共通電位点36へと至る経路を考えれば、電圧降下について次の式が成り立つ。
in=−V2−V2−V2+V1+V1+V1 (32)
【0273】
上記(22)式と(32)式とを併せれば、V1=(1/2)Vin,V2=(1/6)Vinと決定される。
【0274】
また負荷電圧Voutは、電気二重層キャパシタモジュール26からスイッチS4、接続点42、キャパシタC8、接続点41、キャパシタC7、接続点40、キャパシタC6、接続点39、及び接続点32を通って負荷25へと至る経路中においてC6とC7とC8とによる(負の)電圧降下が生じることを考えれば、以下の式により決定される。
in=−V2−V2−V2+Vout (33)
【0275】
したがってVout=(3/2)Vinとなる。
【0276】
以上のとおり、図16の構成においてS1〜S4をオンにした場合の負荷電圧は、それぞれVin,(9/8)Vin,(9/7)Vin,(3/2)Vinと昇圧される。上記入出力電圧比は、図14の電源システムにおける入出力電圧比と逆数の関係にある。
【0277】
電源システム23の動作
次に、第11実施形態における電源システム23の動作を説明する。まず初期状態として、電気二重層キャパシタモジュール26には、負荷25の動作電圧範囲内、任意の電圧程度の電圧を印加することにより、充電をしておく。スイッチ群30中のS1〜S4はいずれもオフとし、未だ負荷25への放電は開始されていない。
【0278】
スイッチ制御回路29からの信号によりスイッチS1のみがオンとなり、放電が開始される。このときの負荷電圧は、上記のとおり電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と等しい(したがって放電開始時には、負荷25の動作電圧範囲内での給電が行われる。)。
【0279】
放電の進行と共に、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し、同時に負荷25へ印加される負荷電圧も低下してゆく。電圧検出回路27はこの低下する電圧を監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力する。
【0280】
判定回路28は、判定回路を構成する演算装置(不図示)のクロック周波数等により決定される所定の時間間隔ごとに、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較する。
【0281】
所定の電圧とは、典型的に、負荷25の動作電圧範囲の下限値とスイッチ群30の切り替え状態とにより決定される。すなわち、スイッチ1がオンとなっている場合は、負荷電圧Vinが動作電圧範囲の下限を上回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、動作電圧の下限値として定められる所定の電圧(以下、第1の所定電圧値とする。)と比較する。
【0282】
電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第1の所定電圧値を上回っている場合、負荷25には動作電圧範囲の下限を上回る、十分な電圧が供給されている。したがってスイッチ群30でスイッチ切り替えを行う必要はないため、判定回路28はスイッチ制御回路29に信号を出力しない(あるいは、現在のスイッチングが適切であり、切り替えが必要ないことを通知するための信号を出力してもよい。)。
【0283】
放電により電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し続けるため、ある時点において、判定回路28は、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第1の所定電圧値を下回っていることを検出する。この時点で、判定回路28はスイッチ制御回路29に対し、スイッチ切り替えを行うための信号を出力する。(あるいは、一時的にでも負荷電圧が動作電圧範囲外となることを避けるため、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と第1の所定電圧値との差が所定の下限値を下回った時点で、そのような信号を出力するよう構成してもよい。)
【0284】
スイッチ制御回路29は、判定回路28から受信した上記信号に応答して、スイッチS1をオフにすると同時にスイッチS2をオンにする。これにより、負荷電圧は電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の(9/8)倍となり、負荷電圧が上昇して動作電圧範囲内となる。
【0285】
放電の更なる進行と共に、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は更に低下し、同時に負荷25へ印加される負荷電圧も低下してゆく。電圧検出回路27はこの低下する電圧を引き続き監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力する。
【0286】
判定回路28は、上記所定の時間間隔ごとに、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較する。
【0287】
但し、ここで比較に用いるべき所定の電圧とは、上記第1の所定電圧値とは異なる。すなわち、スイッチS2がオンとなっている場合は、負荷電圧(9/8)Vinが動作電圧範囲の下限を上回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、動作電圧の下限値の8/9倍として定められる所定の電圧(以下、第2の所定電圧値とする。)と比較する。このような所定電圧値の切り替えは、判定回路28においてオンとするスイッチのS1からS2への切り替えを指示する信号をスイッチ制御回路29へと出力した際(あるいはスイッチが切り替えられたことを通知する信号をスイッチ制御回路29から受信した際)に行われる。
【0288】
電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第2の所定電圧値を上回っている場合、負荷25には動作電圧範囲の下限を上回る、十分な電圧が供給されている。したがってスイッチ群30でスイッチ切り替えを行う必要はないため、判定回路28はスイッチ制御回路29に信号を出力しない(あるいは、現在のスイッチングが適切であり、切り替えが必要ないことを通知するための信号を出力してもよい。)。
【0289】
放電により電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し続けるため、ある時点において、判定回路28は、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第2の所定電圧値を下回っていることを検出する。この時点で、判定回路28はスイッチ制御回路29に対し、スイッチ切り替えを行うための信号を出力する。(あるいは、一時的にでも負荷電圧が動作電圧範囲外となることを避けるため、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と第2の所定電圧値との差が所定の下限値を下回った時点で、そのような信号を出力するよう構成してもよい。)
【0290】
スイッチ制御回路29は、判定回路28から受信した上記信号に応答して、スイッチS2をオフにすると同時にスイッチS3をオンにする。これにより、負荷電圧は電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の(9/7)倍となり、負荷電圧が再び上昇して動作電圧範囲内となる。
【0291】
放電の更なる進行と共に、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は更に低下し、同時に負荷25へ印加される負荷電圧も低下してゆく。電圧検出回路27はこの低下する電圧を引き続き監視し、その電圧に対応した信号を判定回路28へと出力する。
【0292】
判定回路28は、上記所定の時間間隔ごとに、電圧検出回路27より通知された電気二重層キャパシタモジュール26の電圧をあらかじめ設定された所定の電圧と比較する。
【0293】
但し、ここで比較に用いるべき所定の電圧とは、上記第2の所定電圧値とは異なる。すなわち、スイッチS3がオンとなっている場合は、負荷電圧(9/7)Vinが動作電圧範囲の下限を上回っているか否かを判定するために、Vin、すなわち電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を、動作電圧の下限値の7/9倍として定められる所定の電圧(以下、第3の所定電圧値とする。)と比較する。このような所定電圧値の切り替えは、判定回路28においてオンとするスイッチのS2からS3への切り替えを指示する信号をスイッチ制御回路29へと出力した際(あるいはスイッチが切り替えられたことを通知する信号をスイッチ制御回路29から受信した際)に行われる。
【0294】
電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第3の所定電圧値を上回っている場合、負荷25には動作電圧範囲の下限を上回る、十分な電圧が供給されている。したがってスイッチ群30でスイッチ切り替えを行う必要はないため、判定回路28はスイッチ制御回路29に信号を出力しない(あるいは、現在のスイッチングが適切であり、切り替えが必要ないことを通知するための信号を出力してもよい。)。
【0295】
放電により電気二重層キャパシタモジュール26の電圧は低下し続けるため、ある時点において、判定回路28は、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧が第3の所定電圧値を下回っていることを検出する。この時点で、判定回路28はスイッチ制御回路29に対し、スイッチ切り替えを行うための信号を出力する。(あるいは、一時的にでも負荷電圧が動作電圧範囲外となることを避けるため、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧と第3の所定電圧値との差が所定の下限値を下回った時点で、そのような信号を出力するよう構成してもよい。)
【0296】
スイッチ制御回路29は、判定回路28から受信した上記信号に応答して、スイッチS3をオフにすると同時にスイッチS4をオンにする。これにより、負荷電圧は電気二重層キャパシタモジュール26の電圧の(3/2)倍となり、負荷電圧が再び上昇して動作電圧範囲内となる。
【0297】
このように、スイッチS1〜S4を順次切り替えることにより、負荷電圧をある任意の範囲内に抑えることができる。図16の電源システムにおいて電気二重層キャパシタモジュール26は1直列構成であるにもかかわらず、3直列構成の蓄電素子スイッチング回路をカスケード接続して2段階構成となった回路モジュール24を用いているために、負荷電圧を4段階で調節することが可能である。負荷25が大きな動作電圧を必要とする場合など、電気二重層キャパシタモジュール26の電圧を昇圧する必要がある場合に、図16の構成は特に有効である。
【0298】
なお、ここでは電気二重層キャパシタモジュール26を回路モジュール24の接続点32にて接続した場合(すなわち第2蓄電素子スイッチング回路38中の接続点39から接続した場合)について説明したが、その他の接続点40〜42から接続した場合においても同様の原理の下で動作する。また、第2蓄電素子スイッチング回路38が第1蓄電素子スイッチング回路31のキャパシタC1にカスケード接続された場合について説明を行ったが、他のキャパシタに接続された場合や、複数個のキャパシタに接続された場合(例えばC1+C2)においても同様の原理の下で動作する。
【0299】
図17は、図16の電源システムの放電時における負荷25の電圧、ならびに電気二重層キャパシタモジュール26(図17中ではEDLC電圧と表記)の電圧を示したものである。EDLC電圧が所定の電圧値まで下がった時点でスイッチが切り替えられることにより、負荷電圧は常に一定範囲内へと抑えられている。
【実施例12】
【0300】
図18は本発明の第12の実施形態を示すものである。負荷25は第1スイッチ群30を介して第2蓄電素子スイッチング回路38と接続されており、電気二重層キャパシタモジュール26は第2スイッチ群37を介して第2蓄電素子スイッチング回路38と接続されている。第2スイッチ群37中のスイッチS5〜S8のいずれか1つをオンとすることにより、電気二重層キャパシタモジュール26は接続点39〜42のうち1つに接続され、蓄電素子スイッチング回路31及び38を介して負荷25に電力を供給する。スイッチ群30と37とにおいてオンとするスイッチの組み合わせに応じて、図14と図16とにおける全ての接続状態を実現できる。
【0301】
具体的に、第1スイッチ群30中でオンとするスイッチと第2スイッチ群37中でオンとするスイッチとをそれぞれ選択した時の入出力電圧比は、表3のとおりである。
【表3】

【0302】
したがって、電気二重層キャパシタモジュール4における放電の進行に伴い、オンとするスイッチの組を(S4,S5),(S4,S6),(S3,S5),(S4,S7),(S3,S6),(S2,S5),(S1,S5)又は(S2,S6)又は(S3,S7)又は(S4,S8),(S1,S6),(S2,S7),(S3,S8),(S1,S7),(S2,S8),(S1,S8)と適宜切り替えることにより、電気二重層キャパシタモジュール4の電圧を動作範囲内に制御しつつ、充電エネルギーを無駄なく利用することが可能となる。
【0303】
当業者であれば、本実施例の教示に従い、回路モジュール内のキャパシタ構成、スイッチ群を適宜選択することにより、所望の調整基準値、調整単位を有する電源システムを構成することができる。
【0304】
例えば、上記実施例7〜12においては、蓄電素子スイッチング回路が、回路中の全ての蓄電素子電圧を均一化するよう構成されたものであるとして説明を行ったが、これは蓄電素子スイッチング回路としての単なる一例である。
【0305】
すなわち、個々の蓄電素子電圧を単位として、電気二重層キャパシタの多段直列構成を必要とすることなく、従来よりもきめ細やかな出力電圧調整を行うことを可能とする本発明において、当該個々の蓄電素子電圧が全て等しいということは必須ではなく、例えば2種類の刻みをもって調整可能とするために、2種類の大きさの電圧をそれぞれの蓄電素子に印加するよう、蓄電素子スイッチング回路を構成することが可能である。あるいは全ての蓄電素子電圧を、全て異なる値へと調整してもよい。
【0306】
また、同じく蓄電素子スイッチング回路について、上記実施例7〜12においてはスイッチによって接続状態を切り替える構成であるとして説明を行ったが、各蓄電素子の充電状態を制御するためには必ずしもスイッチを用いねばならないというわけではなく、例えばダイオード等を用いて制御することも可能である。
【0307】
加えて、上記実施例7〜12においては電源として電気二重層キャパシタモジュールを用いた場合について説明したが、電気二重層キャパシタモジュールに代えて、リチウムイオンキャパシタ、二次電池など任意の蓄電モジュールを用いることが可能であり、あるいは、それ以外の任意の電源装置を用いることも可能である。
【0308】
本発明は、その目的を達成できる限りにおける上記全てのバリエーションを、その範囲に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0309】
本発明に係る電源装置は、電力により動作する任意の装置へ電力供給するために用いることが可能である。例えば電気自動車の電源として用いる場合、本発明に係る電源装置は従来に比べて大幅に小型化・軽量化されているために車体全体の軽量化が図られ、エネルギー消費が抑制される。あるいは、本発明に係る電源装置を、惑星探査用測定機器へ電力供給するための電源装置として用いることも有効である。惑星探査機に積み込むことができる機材の総重量は厳しく制限されるため、それらを動作させるための電源装置においても極力の小型化・軽量化が求められるからである。
【符号の説明】
【0310】
1 電源装置
2 回路モジュール
3 負荷
4 電源
5 第1蓄電素子スイッチング回路
6 第2蓄電素子スイッチング回路
7 スイッチ群
8〜14 接続点
15 共通電位点
16 接続点
17 第2スイッチ群
18 第1蓄電素子スイッチング回路
19 第2蓄電素子スイッチング回路
20 第3蓄電素子スイッチング回路
21 第1スイッチ群
22 第2スイッチ群
23 電源システム
24 回路モジュール
25 負荷
26 電気二重層キャパシタモジュール
27 電圧検出回路
28 判定回路
29 スイッチ制御回路
30 スイッチ群
31 蓄電素子スイッチング回路
32〜35 接続点
36 共通電位点
37 第2スイッチ群
38 第2蓄電素子スイッチング回路
39〜42 接続点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、
前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項2】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、
前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、
前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項3】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、
前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第1端子に接続された蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項4】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、
前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第1端子に接続された蓄電モジュールと、
前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項5】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、
前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、第1スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成された第1スイッチ群と、
前記蓄電素子スイッチング回路と前記第2端子との間に接続された、第2スイッチ群であって、該第2端子と共通電位点とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えにより、前記第1スイッチ群の切り替えによって調整される前記負荷に印加される電圧の調整単位を決定するよう構成された、第2スイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項6】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、
前記蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、第1スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成された第1スイッチ群と、
前記蓄電素子スイッチング回路と前記第2端子との間に接続された、第2スイッチ群であって、該第2端子と共通電位点とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えにより、前記第1スイッチ群の切り替えによって調整される前記負荷に印加される電圧の調整単位を決定するよう構成された、第2スイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、
前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項7】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、
前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、
前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項8】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、
前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、
前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、
前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項9】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、
前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、
前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第1端子に接続された蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項10】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、
前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、
前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成されたスイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第1端子に接続された蓄電モジュールと、
前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項11】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、
前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、
前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、第1スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成された第1スイッチ群と、
前記第2蓄電素子スイッチング回路と前記第2端子との間に接続された、第2スイッチ群であって、該第2端子と共通電位点とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えにより、前記第1スイッチ群の切り替えによって調整される前記負荷に印加される電圧の調整単位を決定するよう構成された、第2スイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールの電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記蓄電モジュールの電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項12】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第1蓄電素子スイッチング回路と、
前記第1蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケードに接続された、2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、第2蓄電素子スイッチング回路と、
前記第2蓄電素子スイッチング回路と第1端子との間に接続された、第1スイッチ群であって、該第1端子と第2端子とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる2以上の接続状態、の間での切り替えによって、該第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を段階的に調整するよう構成された第1スイッチ群と、
前記第2蓄電素子スイッチング回路と前記第2端子との間に接続された、第2スイッチ群であって、該第2端子と共通電位点とを結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えにより、前記第1スイッチ群の切り替えによって調整される前記負荷に印加される電圧の調整単位を決定するよう構成された、第2スイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第2端子に接続された蓄電モジュールと、
前記負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1及び第2スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第1端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項13】
前記蓄電モジュールは、電気二重層キャパシタモジュール、リチウムイオンキャパシタ、二次電池、のうち少なくとも1つを含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項14】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、
第1スイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第1端子に接続された電源と、
前記電源の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記電源の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項15】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを含む、蓄電素子スイッチング回路と、
第1スイッチ群と、
を備えた回路モジュールと、
前記回路モジュールの第1端子に接続された電源と、
前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項16】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを、それぞれが含む、第1段から第n段までの(nは2以上の整数)蓄電素子スイッチング回路と、
第1スイッチ群と、
を備え、第k段(kは2以上の整数)の前記蓄電素子スイッチング回路は、第k−1段の前記蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケード接続される回路モジュールと、
前記回路モジュールの第1端子に接続された電源と、
前記電源の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記電源の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項17】
2以上の蓄電素子と2以上のスイッチ素子とを、それぞれが含む、第1段から第n段までの(nは2以上の整数)蓄電素子スイッチング回路と、
第1スイッチ群と、
を備え、第k段(kは2以上の整数)の前記蓄電素子スイッチング回路は、第k−1段の前記蓄電素子スイッチング回路に含まれる1以上の蓄電素子とカスケード接続される回路モジュールと、
前記回路モジュールの第1端子に接続された電源と、
前記回路モジュールの第2端子に接続される負荷の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段からの電圧の検出結果に基づいて、前記スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えるスイッチ制御手段と、
を備え、前記電圧検出手段により検出される前記負荷の電圧に応じて、前記スイッチ制御手段により前記第1スイッチ群に含まれるスイッチを切り替えることにより、前記負荷に印加させる電圧を所定の範囲内に調整するよう構成されたことを特徴とする、
電源システム。
【請求項18】
前記電源は、電気二重層キャパシタモジュール、リチウムイオンキャパシタ、二次電池のうち少なくとも1つを含む、請求項14又は17に記載の電源システム。
【請求項19】
前記蓄電素子の各々は、キャパシタ又は二次電池を含む、請求項14乃至18のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項20】
前記第1スイッチ群は、電子的スイッチから構成されたものである、請求項14乃至19のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項21】
前記第1スイッチ群は、機械式スイッチから構成されたものである、請求項14乃至19のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項22】
前記回路モジュールは第2スイッチ群を更に備え、該第2スイッチ群は、前記第1端子と、前記回路モジュール内の共通電位点と、を結ぶ経路中に存在する蓄電素子群が少なくとも一部異なる、2以上の接続状態の間での切り替えをするよう構成されたスイッチ群である、請求項14乃至21のいずれか一項に記載の回路モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−50209(P2011−50209A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198345(P2009−198345)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)
【Fターム(参考)】