説明

スイッチボタン、スイッチ装置、および電子機器

【課題】スイッチ装置を長期間使用していく上で、塗装層が摩耗することがないスイッチボタンを提供する。
【解決手段】透明材料から成るボタン本体21と、ボタン本体21の裏面に形成された凹部22と、凹部22の底面22aおよび側面22bのうちの少なくとも底面22aに形成された塗装層24とを有している。また、前記凹部22の底面22aにはボタン本体21の表側から前記塗装層24と識別可能なアサイン表示部23が形成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のユーザーインターフェースとしてのスイッチ装置に関し、特に、スイッチとユーザとの間に介在し、ユーザによるボタン操作をスイッチに伝達するスイッチボタンに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスイッチ装置は、スイッチと、スイッチボタンとを有している。
【0003】
一般に、スイッチボタンには、そのスイッチ装置が電子機器に対して如何なる動作をなすものか等のアサイン情報が印刷されている(塗装層が形成されている)。例えば、情報処理装置に対して文字入力をなすスイッチ装置の操作ボタンには、その文字が印刷されている。
【0004】
このような印刷は、ユーザによるボタン操作によって塗装層が摩耗することを防ぐため、スイッチボタンの裏面に施されるものが多い。
【0005】
スイッチボタンの裏面にアサイン情報が印刷されているスイッチ装置は、例えば、特許文献1、2に開示されている。
【0006】
特許文献1に開示されたスイッチ装置は、スイッチとしてのメンブレンスイッチと、スイッチボタンとしてのプラスチックフィルムとを有している。プラスチックフィスムは、その裏側面に文字等のデザイン印刷が施された後に、ドーム状にエンボス加工されて成る。
【0007】
また、特許文献2に開示されたスイッチ装置は、スイッチとしてのドーム型スイッチと、スイッチボタンとを有している。スイッチボタンは、ボタン本体と、ボタンシートとによって構成されている。ボタン本体は、透明材料か成り、その裏側面に形成された凹部と、凹部を含む裏面上全域に形成された第1着色層と、凹部を除く第1着色層上に形成された第2着色層とを有している。ボタンシートは、ドーム型スイッチとボタン本体との間に介在し、ボタン本体を介したユーザによるボタン操作をドーム型スイッチに伝達するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】登録実用新案第3040415号公報
【特許文献2】特開2001−6479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、2に開示されたものも含め、この種のスイッチ装置におけるスイッチボタンは、スイッチまたはボタンシートに対し、塗装層が常に接しているか、あるいは、塗装層がユーザによるボタン操作がなされた際に接する構造であるため、スイッチ装置を長期間使用していく上で、塗装層が摩耗する虞がある。この場合、ユーザがそのスイッチ装置のアサイン情報を識別できなくなったり、剥離した塗装粉がスイッチ等の電子素子の電気的接続を阻害することになる。
【0010】
それ故、本発明の課題は、スイッチ装置を長期間使用していく上で、塗装層が摩耗することがないスイッチボタンを提供することである。
【0011】
本発明の他の課題は、上記のようなスイッチボタンを有るスイッチ装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の課題は、上記のようなスイッチ装置を有する電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、スイッチと、スイッチボタンとを有するスイッチ装置に適用され、ユーザによるボタン操作をスイッチに伝達するスイッチボタンにおいて、透明材料から成るボタン本体と、前記ボタン本体の裏面に形成された凹部と、前記凹部の底面および側面のうちの少なくとも底面に形成された塗装層とを有することを特徴とするスイッチボタンが得られる。
【0014】
前記凹部の前記底面には、前記ボタン本体の表側から前記塗装層と識別可能なアサイン表示部が形成されていてもよい。
【0015】
前記アサイン表示部は、前記塗装層の形成前にレーザーマーキング工法によって形成されていてもよい。あるいは、前記アサイン表示部は、前記塗装層の形成後にレーザーマーキング工法によって形成されていてもよい。
【0016】
また、本発明によれば、前記スイッチと、前記スイッチボタンとを有することを特徴とするスイッチ装置が得られる。
【0017】
前記スイッチの前記スイッチボタンの前記凹部の下方に位置する部分が発光することにより、該スイッチボタンは、透過照明されてもよい。あるいは、前記スイッチボタンは、前記凹部の周囲から外側に延びる鍔部をさらに有し、前記スイッチ装置は、前記スイッチボタンの前記鍔部に隣接する部分に設けられた光源を有し、前記スイッチボタンは、前記光源によって透過照明されてもよい。
【0018】
さらに、本発明によれば、前記スイッチ装置をユーザーインターフェースとして有し、ユーザによるボタン操作を電気信号の変化として受け付け、ボタン操作に応じた動作を実行することを特徴とする電子機器が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるスイッチボタンは、スイッチ装置を長期間使用していく上で、塗装層が摩耗することがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1によるスイッチ装置を示す図であり、(a)および(b)は定常時の状態を示し、(c)および(d)はボタン操作時の状態を示す。
【図2】(a)および(b)は、本発明の実施例1によるスイッチボタンの製造方法を説明するための図であり、(a)〜(c)は未加工段階を示し、(d)〜(f)はレーザーマーキング工程を示し、(g)〜(i)は塗装工程を示す。
【図3】(a)および(b)は、本発明の実施例2によるスイッチ装置を示す図である。
【図4】(a)および(b)は、本発明の実施例3によるスイッチ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によるスイッチボタンは、スイッチと、スイッチボタンとを有するスイッチ装置に適用され、裏面がスイッチに当接することにより、ユーザによるボタン操作をスイッチに伝達するスイッチボタンである。
【0022】
特に、本スイッチボタンは、透明材料から成るボタン本体と、ボタン本体の裏面に形成された凹部と、凹部の底面および側面のうちの少なくとも底面に形成された塗装層とを有している。
【0023】
本発明によるスイッチボタンは、スイッチに当接する裏面に形成された凹部内のみに塗装層が形成されているため、スイッチ装置を長期間使用していく上で、塗装層が摩耗することがない。
【0024】
以下、図面を参照して、本発明によるスイッチボタン、スイッチ装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0025】
図1(a)および(b)を参照すると、本発明の実施例1によるスイッチボタン20は、ドーム型スイッチ10と、スイッチボタン20とを有するスイッチ装置に適用され、裏面がスイッチ10に当接することにより、ユーザによるボタン操作をスイッチ10に伝達するものである。
【0026】
尚、本スイッチ装置は、図示しない情報処理装置等の電子機器の筐体100に、ユーザーインターフェースとして搭載される。電子機器は、ユーザによるボタン操作を電気信号の変化として受け付け、ボタン操作に応じた動作を実行する。
【0027】
ドーム型スイッチ10は、ベース部11と、ラバーコンタクト部12とを有している。ベース部11の表面には、対をなす第1および第2の接点が形成されている(図示せず)。また、ラバーコンタクト部12の天面の裏側には、第3の接点が形成されている(図示せず)。
【0028】
さらに図2(g)〜(i)を参照すると、特に、本スイッチボタン20は、透明材料から成るボタン本体21と、ボタン本体21の裏面に形成された凹部22と、凹部底面22aおよび凹部側面22bのうちの少なくとも凹部底面22aに形成された塗装層24とを有している。尚、本実施例において、塗装層24は、凹部底面22aおよび凹部側面22bの両方に形成されている。
【0029】
ボタン本体21はさらに、操作面21aと、鍔部21bとを有している。
【0030】
凹部22の凹部底面22aにはまた、ボタン本体21の表側(操作面21a側)から塗装層24と識別可能なアサイン表示部23が形成されている。
【0031】
アサイン表示部23は、本実施例のごとく凹部が深い場合は一般の印刷工法(シルク印刷、パッド印刷等)を適用できないため、塗装層24の形成前にレーザーマーキング工法によって形成されている。
【0032】
具体的には、図2(a)〜(c)に示される状態のスイッチボタンに対し、レーザーマーキングにより、図2(d)〜(f)に示されるように凹部底面22aの表面が切削加工等され、ボタン本体21の表側からユーザが視認したときに、凹部底面22aの非加工部分と異なって見える。さらに、加工部および非加工部を含め凹部底面22aに図2(g)〜(i)に示されるように塗装層24が形成されると、加工部と非加工部との見え方がより際立つようになる。
【0033】
尚、アサイン表示部23は、塗装層24の形成後にレーザーマーキング工法によって形成されてもよい。この場合、レーザーマーキングにより、塗装層と共に凹部底面が切削加工され、ボタン本体21の表側からユーザが視認したときに異なって見えるようになる。
【0034】
さて、ドーム型スイッチ10およびスイッチボタン20を有する本実施例のスイッチ装置は、定常時は、図1(a)および(b)に示されるように、ドーム型スイッチ10のラバーコンタクト部12が、ドーム状に張りのある形状を呈している。ドーム型スイッチ10内部では、ラバーコンタクト部12の天面裏側の第3の接点がベース部11表面の第1および第2の接点から離間しているため、第1の接点と、第2の接点とは、互いに電気的に接続されていない。
【0035】
そして、ユーザがボタン操作を行うと、スイッチボタン20の裏面がドーム型スイッチ10のラバーコンタクト部12に当接することにより、ユーザによるボタン操作がスイッチボタン20を解して伝達され、図1(c)および(d)に示されるように、ラバーコンタクト部12が押し潰され、その天面裏側の第3の接点がベース部11表面の第1の接点と第2の接点とを短絡する。第1および第2の接点は、電子機器の電子回路に接続されており、ユーザによるボタン操作が電気信号の変化として受け付けられ、電子機器はボタン操作に応じた動作を実行する。
【0036】
ユーザがボタン操作を終えると、弾性を有するラバーコンタクト部12は、図1(a)および(b)に示されるように、ドーム状に張りのある形状に自動的に復元し、ラバーコンタクト部12の天面裏側の第3の接点がベース部11表面の第1および第2の接点から離間し、第1の接点と、第2の接点とは、互いに電気的に接続されていない状態に戻る。
【実施例2】
【0037】
本発明の実施例2は、そのスイッチ装置におけるスイッチボタンが透過照明される点が実施例1と異なる。このため、実施例1と同一または同様部には同一または同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0038】
図3(a)および(b)を参照すると、本発明の実施例2によるスイッチ装置は、ドーム型スイッチ210と、スイッチボタン20と、光源としてのLED(図示せず)とを有している。
【0039】
ドーム型スイッチ210は、ベース部11と、弾性および光の透過性を有する材料から成るラバーコンタクト部212とを有している。
【0040】
光源としてのLEDは、ベース部11上のラバーコンタクト部212内に備えられており、ドーム型スイッチ210のストロークを妨げないように、フラットな形状となっている。
【0041】
また、スイッチボタン20は、塗装層24が光の透過性を有しているか、あるいは、塗装層の形成後のレーザーマーキングによってアサイン表示部が形成される場合はアサイン表示部23が光の透過性を有している。
【0042】
そして、ドーム型スイッチ210のスイッチボタン20の凹部22の下方に位置する部分であるラバーコンタクト部212がLEDによって発光することにより、スイッチボタン20は、透過照明される。
【実施例3】
【0043】
本発明の実施例3は、スイッチボタンの透過照明に関する構造が実施例2と異なる。このため、実施例2と同一または同様部には同一または同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0044】
図4(a)および(b)を参照すると、本発明の実施例3によるスイッチ装置は、ドーム型スイッチ10と、スイッチボタン320と、光源としてのLED330とを有している。
【0045】
スイッチボタン320は、鍔部を実施例1、2と同様に有しているが、この鍔部321bは、凹部22の周囲から実施例1、2のものよりもさらに外側に延びている。
【0046】
光源としてのLED330は、スイッチボタン320の鍔部321bの端部に隣接する部分に設けられている。ただし、LED330は、ドーム型スイッチ10のストロークを妨げない位置に、かつ、スイッチボタン320のストローク範囲に応じて、スイッチボタン320が如何なるストローク位置にあっても鍔部321bに光が入射されるように設けられている。
【0047】
また、図中、LED330が直接、鍔部321bに隣接して設けられているが、LED330と鍔部321bとの間に、光伝導部材を介在させてもよい。この光伝導部材は、光の透過性を有する材料から成り、ドーム型スイッチ10やスイッチボタン320のストロークを考慮した形状とする。
【0048】
さらに、スイッチボタン20は、特に塗装層24およびアサイン表示部23よりも外側のボタン本体21自体の肉厚部分が照明されるため、塗装層24およびアサイン表示部23は必ずしも光の透過性を有していなくてもよい。反対に、塗装層24を光の反射率が高いものとし、この塗装層24を透過照明の反射板として機能させてもよい。
【0049】
そして、スイッチボタン320は、LED330によって透過照明される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されるもためはなく、本願特許請求の範囲に記載された技術範囲内であれば、種々の変形が可能であることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
10、210 ドーム型スイッチ
11 ベース部
12、212 ラバーコンタクト部
20、320 スイッチボタン
21 ボタン本体
21a 操作面
21b、321b 鍔部
22 凹部
22a 凹部底面
22b 凹部側面
23 アサイン表示部
24 塗装層
100 筐体
330 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチと、スイッチボタンとを有するスイッチ装置に適用され、裏面がスイッチに当接することにより、ユーザによるボタン操作をスイッチに伝達するスイッチボタンにおいて、
透明材料から成るボタン本体と、前記ボタン本体の裏面に形成された凹部と、前記凹部の底面および側面のうちの少なくとも底面に形成された塗装層とを有することを特徴とするスイッチボタン。
【請求項2】
前記凹部の前記底面には、前記ボタン本体の表側から前記塗装層と識別可能なアサイン表示部が形成されている請求項1に記載のスイッチボタン。
【請求項3】
前記アサイン表示部は、前記塗装層の形成前にレーザーマーキング工法によって形成される請求項2に記載のスイッチボタン。
【請求項4】
前記アサイン表示部は、前記塗装層の形成後にレーザーマーキング工法によって形成される請求項2に記載のスイッチボタン。
【請求項5】
前記スイッチと、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスイッチボタンとを有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
前記スイッチの前記スイッチボタンの前記凹部の下方に位置する部分が発光することにより、該スイッチボタンは、透過照明される請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記スイッチボタンは、前記凹部の周囲から外側に延びる鍔部をさらに有し、
前記スイッチ装置は、前記スイッチボタンの前記鍔部に隣接する部分に設けられた光源を有し、
前記スイッチボタンは、前記光源によって透過照明される請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか一項に記載のスイッチ装置をユーザーインターフェースとして有し、ユーザによるボタン操作を電気信号の変化として受け付け、ボタン操作に応じた動作を実行することを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−142237(P2012−142237A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−919(P2011−919)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】