説明

スイッチユニットおよび電子機器

【課題】 タンパ検出スイッチを用いた正確なタンパ検出を可能とすること。
【解決手段】 一実施形態におけるスイッチユニットは、導電性材料にて平面状に形成された一対の接点と、これら各接点の境界に設けられた絶縁部と、導電性材料にて形成され、各接点に接触したときにこれら各接点間を導通させる導電部材と、を備えており、各接点の境界の一部又は全てが非直線状であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、接点間の導通または非導通を検出するスイッチユニット、およびこのスイッチユニットを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、悪意のある者が各種機器の筐体を開放したり、筐体内部のパーツを盗んだりする行為(タンパ)を検出する機構として、メカニカルなタンパ検出スイッチを含むものが知られている。
【0003】
上記メカニカルなタンパ検出スイッチとしては、例えば一対の接点と、これら接点に対して離接する導電部材とを有し、機器の筐体が閉じられたときや機器のパーツが正常に取り付けられたときに上記導電部材が上記各接点を導通させるようにしたものがある。このようなタンパ検出スイッチにおいては、上記各接点の導通または非導通を検出することで、筐体の開放やパーツの取り外しが検出可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−337753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなタンパ検出スイッチにおいては、機器の筐体やそのタンパ検出スイッチを構成する各部が輸送時等の振動や経時劣化により変形したり、上記導電部材を各接点に付勢する弾性部材の弾性特性が劣化したりして、タンパの検出精度が低下するとの問題がある。
【0006】
すなわちタンパ検出スイッチが、筐体が開放されたりパーツが取り外されたにも関わらずタンパを検出しない場合や、筐体が閉じられていたりパーツが正常に取り付けられているにも関わらずタンパを検出してしまう場合がある。
【0007】
このような事情から、上記のようなメカニカルなタンパ検出スイッチを用いる場合において、正確なタンパ検出を可能とするための手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、一実施形態におけるスイッチユニットは、導電性材料にて平面状に形成された一対の接点と、これら各接点の境界に設けられた絶縁部と、導電性材料にて形成され、上記各接点に接触したときにこれら各接点間を導通させる導電部材と、を備えており、上記各接点の境界の一部又は全てが非直線状であることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態における筐体およびその内部構造を示す模式図。
【図2】図1に示したPCBをカード決済端末の上方から見た模式図。
【図3】図2に示した接点部のA−A断面と接触導電部の断面とを示す概略的に示す模式図。
【図4】第1の実施形態における接点部の接触面を示す模式図。
【図5】同実施形態における接点部の接触面を示す模式図。
【図6】同実施形態における接点部の接触面を示す模式図。
【図7】同実施形態における接点部の接触面を示す模式図。
【図8】同実施形態におけるスイッチユニットの回路構成を示すブロック図。
【図9】第2の実施形態における各接点部の配置状態を示す図。
【図10】同実施形態における各接点部の配置状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、いくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態においては、クレジットカード等のカードを読み取ってPIN(Personal Identification Number)情報を入力し、このPIN情報を用いて商品やサービスの代金をカード決済するカード決済端末を例示する。
【0011】
図1は、本実施形態におけるカード決済端末の筐体およびその内部構造を示す模式図である。
【0012】
このカード決済端末1の筐体は、下側筐体2と、上側筐体3とを含んでいる。
下側筐体2には、絶縁性の樹脂を含浸した基材に銅箔等の導電性材料を焼き付けて回路配線を形成したPCB(プリント基板)4が、例えば複数点におけるネジ止めによって固定されている。
このPCB4には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)で構成されるメモリ、およびチップセット等の各種オンボードデバイスが実装されている。
【0013】
また、下側筐体2には、テンキー等の操作キーを有する入力部、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部、クレジットカード等のカードからPIN情報を読み取るためのカードリーダ、外部と通信するための通信部およびカード決済端末1の各部に動作電源を供給する電源回路等のデバイスが取り付けられている。
【0014】
上記メモリには、商品やサービスの代金をカード決済するためのプログラム、上記カードリーダによって読み取られたPIN情報、およびこのPIN情報を暗号化するための暗号鍵等が記憶されている。上記CPUは、このメモリに記憶されたプログラムを実行してカード決済処理を実行する。
【0015】
上側筐体3は、上記入力部や表示部等の形状に対応する複数の開口部を有している。この上側筐体3を下側筐体2に取り付けると、上記複数の開口部から上記入力部が有する操作キーのキートップや上記表示部の表示画面等が露出する。上側筐体3は、例えば複数点におけるネジ止めや、各筐体2,3のいずれか一方に設けられた凸部と他方に設けられた凹部とを嵌め合わせることによって、下側筐体2に対して取り付けられる。
【0016】
図2は、図1に示したPCB4をカード決済端末1の上方から見た模式図である。なお、PCB4に実装される各種オンボードデバイスは、図示を省略している。本実施形態におけるPCB4は矩形形状であり、その4隅にタンパ検出スイッチの接点部10が設けられている。
【0017】
また、図1に示したように、各接点部10に対応するそれぞれの位置には接触導電部20が取り付けられている。これら接触導電部20は、上側筐体3に固定されている。
【0018】
図3は、図2に示した接点部10のA−A断面と、この接点部10に対応する位置に設けられた接触導電部20の断面とを概略的に示す模式図である。接触導電部20は、例えば円筒状に成形された絶縁性のゴムである弾性部材21と、この弾性部材21の先端に取り付けられ、各種金属等の導電性材料で形成された導電部材22とを有している。上側筐体3と弾性部材21、および弾性部材21と導電部材22とは、例えば接着剤によって固着されている。
導電部材22における弾性部材21との固着面の反対側の面は、直径がR1の円形平面となっている。以下この平面を平面部22aと称す。
【0019】
上側筐体3を下側筐体2に対して正常に取り付けると、各接触導電部20の導電部材22の平面部22aがそれぞれ対応する接点部10に接触する。
【0020】
ここで、各接点部10につき、図4〜図7を用いて説明する。図4〜図7は、接点部10の接触導電部20との接触面を示す模式図である。
【0021】
各図に示すように、接点部10は、第1接点11、第2接点12、第3接点13、および絶縁層14によって構成されている。
各接点11〜13は、PCB4上に銅箔等の導電性材料を焼き付けたものである。すなわち、各接点11〜13の表面は平面であり、また、それぞれの表面はいずれも同一面上に位置する。
【0022】
絶縁層14は、PCB4上に導電体が焼き付けられていない部分であり、各接点11〜13の境界に介在する。
【0023】
第1接点11、第2接点12、およびこれら接点11,12の境界に介在する絶縁層14は、直径がR2の円形状を成す。図4〜図7に示したP点は、この円形状の中心を示している。第3接点13は、上記P点を中心とし、第1接点11および第2接点12を囲うリング状を成す。
【0024】
筐体3,4が閉じられた際には、各接触導電部20が有する導電部材22の平面部22aの中心が、それぞれ対応する接点部10の中心である点Pと接触する。換言すれば、このように接触するように、各接点部10およびそれらに対応する接触導電部20の位置が調整されている。また、筐体3,4が閉じられ、上記のように各接点部10とそれらに対応する接触導電部20とが接触すると、各接触導電部20の導電部材22が弾性部材21によって接点部10の方向に付勢される。これにより、各導電部材22と各接点部10とが密着する。
【0025】
図4〜図7の各例に示す接点部10および接触導電部20は、少なくとも以下の条件を満たすように設計されている。
(1)第1接点11および第2接点12の境界の一部または全てを、絶縁層14を挟んで第1接点11および第2接点12が互いに相補する非直線状とする。
(2)第1接点11および第2接点12の境界を、点Pに対して点対称の形状とする。
(3)第1接点11および第2接点12の面積を略同一とする。
(4)導電部材22の平面部22aの面積を、第1接点11と各接点11,12の境界に介在する絶縁層14とを合わせた面積、および、第2接点12と各接点11,12の境界に介在する絶縁層14とを合わせた面積の双方より大きく、かつ第1接点11、第2接点12およびこれら接点11,12の境界に介在する絶縁層14を合わせた面積よりも小さくする。
【0026】
なお、図4の例では、第1接点11の一部を特定方向に向けて山部分と谷部分が交互に繰り返す波形状に蛇行させ、この波形状を補うように第2接点12の一部を蛇行させている。
【0027】
図5の例では、第1接点11の一部を点Pに向けて反時計回りに渦を巻く形状とし、この形状を補うように第2接点12の一部を点Pに向けて反時計回りに渦を巻く形状としている。
【0028】
図6の例では、第1接点11の一部を図4の例と同じく特定方向に向けて山部分と谷部分が交互に繰り返す波形状に蛇行させ、さらにこの波形状を種々の方向に向けて蛇行させ、この波形状を補うように第2接点12の一部を蛇行させている。
【0029】
図7の例では、第1接点11の一部を、点Pを中心とした放射状に山部分および谷部分が交互に繰り返すよう蛇行させ、この形状を補うように第2接点12の一部を蛇行させている。
【0030】
図4〜図7に示した各例のいずれにおいても、第1接点11および第2接点12は、その面積だけでなく形状も同一である。また、図4、図6、および図7の例における各接点11,12の山部分および谷部分の先端や、図5の例における各接点11,12の渦の先端等の曲率は、導電部材22の平面部22aの直径R1よりも十分小さくしてある。
【0031】
以上説明した各例における形状であれば、第1接点11と第2接点12がP点を中心とした直径R2の円内で適度に分散する。
PCB4に設けられた各接点部10は、図4〜図7に例示した形状のいずれか1つ、または、上記各条件を満たす他の形状で統一されている。
【0032】
次に、タンパ検出スイッチを含むスイッチユニットの制御回路について説明する。
図8は、スイッチユニットの回路構成を示すブロック図である。
図示した回路は、カード決済端末1に設けられたいずれか1つのタンパ検出スイッチを含むものであり、そのタンパ検出スイッチの各接点11〜13および導電部材22、検出部31、制御部32、セキュリティ処理部33を含んでいる。カード決済端末1に設けられた他のタンパ検出スイッチに関しても、同様の回路構成にて使用される。
【0033】
検出部31、制御部32、およびセキュリティ処理部33は、例えばPCB4に実装されたオンボードデバイスによって実現され、カード決済端末1が備えるバッテリからの電源供給を受けて動作する。なお、これら各部31〜33は、カード決済端末1が起動されていないときにおいてもその動作を停止しない。
【0034】
検出部31は、各接点11〜13と電気的に接続されている。導電部材22が各接点11〜13のいずれか2つまたは全てに同時に接触すると、当該接触した接点間が導通する。第1接点11および第2接点12が導通しているときと、導通していないときとでは、これら接点11,12および検出部31を含む回路に異なる値の電圧が発生する。また、第1接点11および第2接点12のいずれか一方または双方と、第3接点13とが導通すると、当該導通した接点および検出部31を含む回路が短絡(ショート)する。この場合においても当該導通した接点および検出部31を含む回路に、第1接点11および第2接点12が導通しているときと異なる値の電圧が発生する。
【0035】
検出部31は、このように生じる電圧値の変化に基づき、各接点11〜13の導通または非導通を検出する。第1接点11と第2接点12との非導通を検出したとき、および、第1接点11または第2接点12の少なくとも一方と第3接点13との導通を検出したとき、検出部31は、タンパ検出を知らせる信号を制御部32に出力する。
【0036】
制御部32は、検出部31からタンパ検出を知らせる信号を受信すると、セキュリティ処理部33に動作信号を出力する。
【0037】
セキュリティ処理部33は、制御部32から動作信号を受信したことに応じて、例えばPCB4に実装されたメモリのデータを消去するなどの所定の処理を実行する。なお、セキュリティ処理部33が実行する処理は、カード決済端末1が備えるスピーカからビープ音を発生させる等して警報する処理であってもよい。この場合、例えばカード決済端末1が有するバッテリに蓄えられた電力が尽きるまで、あるいは所定の解除処理が行われるまで警報を継続させてもよいし、所定時間が経過したときに警報を停止させてもよい。
【0038】
なお、制御部32やセキュリティ処理部33は、他のタンパ検出スイッチを含む回路と共用されるものであってもよい。
【0039】
次に、本実施形態の一作用について説明する。
カード決済端末1の輸送時等の振動や経時劣化により筐体2,3やタンパ検出スイッチを構成する各部が変形したり、弾性部材21の弾性特性が劣化したりすると、筐体2,3が正常に閉じられているにも関わらず、導電部材22が接点部10に対して傾くことがある。このような場合、平面部22aの一部のみが接点部10に対して接触する、いわゆる片当たりが生じ得る。この片当たりが生じると、接点部10と平面部22aとの接触面積が小さくなり、第1接点11および第2接点12間が非導通となる虞がある。
【0040】
しかしながら、本実施形態における接点部10は、図4〜図7に例示したように、第1接点11および第2接点12を、P点を中心とした直径R2の円内で分散させている。このようにすれば、各接点11,12の境界を単純な直線形とした場合等に比べて、上記片当たりにより接触面積が小さくなった場合であっても、平面部22aが各接点11,12の双方と接触し易くなる。
【0041】
また、第1接点11および第2接点12が上記円内で分散したことにより、平面部22aが接点部10に対してどの方向に傾いた場合であっても、片当たりする部分が各接点11,12の双方に接触し易くなる。したがって、接点部10の方向依存性を低下させることができる。なお、ここでの方向依存性は、平面部22aが接点部10に片当たりした場合において、平面部22aの傾く向きにより平面部22aと各接点11,12が接触しない状態となり得る程度を指す。
上記方向依存性は、図4〜図7に例示したものよりもさらに各接点11,12を分散させることで、より低下させることができる。好ましくは、点Pを中心とした直径R2の円内のどの位置に平面部22aが接触した場合であっても、平面部22aおよび第1接点11の接触面積と、平面部22aおよび第2接点12の接触面積とが略同一になる程度に各接点11,12を分散させる。
【0042】
また、平面部22aの面積を、第1接点11と各接点11,12の境界に介在する絶縁層14とを合わせた面積、および、第2接点12と各接点11,12の境界に介在する絶縁層14とを合わせた面積の双方より大きくしている。そのため、平面部22aがP点を中心とした直径R2の円内で接点部10に対して正常に接触している場合には、必ず第1接点11および第2接点12の双方に接触する。したがって、平面部22aと接点部10との接触位置が上記円内でずれた場合であっても、各接点11,12が非導通となることはない。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、第1の実施形態にて開示した構成において、PCB4に設けた各接点部10をその配置位置によって回転させるか、各接点部10の形状を異ならせることで、タンパの検出精度をより向上させる。
第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0044】
本実施形態におけるカード決済端末1のPCB4には、図2に示したようにその4隅に接点部10が設けられている。
【0045】
この4隅に設けられた各接点部10を、例えば図9に示すようにその位置に応じて所定角度だけ回転して配置する。
図9に示す接点部10a,10b,10c,10dは、この順で図2のPCB4の左上、右上、左下、右下に設けられる接点部10の形状を表している。なお、各接点部10a〜10dは、図4に示したものと同一形状である。但し、各接点部10a〜10dの形状としては、図5〜図7に示した形状や、他の形状を用いてもよい。
【0046】
接点部10aを回転角0度の状態とすると、接点部10bは時計回りに45度、接点部10cは時計回りに90度、接点部10dは時計回りに135度傾いている。但し、例えば接点部10a,10dを回転角0度の状態とし、接点部10b,10cを90度傾ける等、各接点部10a〜10dの一部を他の部分に対して所定角度だけ回転して配置してもよい。
【0047】
また、各接点部10a〜10dの形状を、例えば図10に示すように異ならせてもよい。
図10に示す例では、接点部10aを図4に示した形状とし、接点部10bを図5に示した形状とし、接点部10cを図6に示した形状とし、接点部10dを図7に示した形状としている。但し、各接点部10a〜10dの形状としては、図4〜図7に示したもの以外の形状を用いてもよい。また、例えば接点部10a,10dを図4に示した形状とし、接点部10b,10cを図5に示した形状とする等、各接点部10a〜10dの一部同士でその形状を異ならせてもよい。
【0048】
本実施形態の一作用について説明する。
カード決済端末1の各部に同一形状の接点部10を同一角度で配置した場合、各タンパ検出スイッチを構成する接点部10および接触導電部20の位置関係が特定方向にずれたり回転したりすると、上記片当たり等に起因して全てのスイッチユニットの検出精度が同時に劣化し得る。すなわち、筐体2,3が開放されていないにも関わらず全てのスイッチユニットがタンパを検出したり、筐体2,3が若干開放されたにも関わらず全てのスイッチユニットがタンパを検出しなかったりする虞がある。
【0049】
このような問題は、主に接点部10の方向依存性に起因して生じるものであり、特に筐体2,3が開放されたにも関わらず全てのスイッチユニットがタンパを検出しない場合に問題となる。
【0050】
これに対し、図9,図10を用いて説明したようにカード決済端末1に設ける各接点部10をその配置位置によって回転させるか、その形状を異ならせれば、各接点部10と接触導電部20の位置関係が同様にずれたとしても、全てのスイッチユニットの検出精度が同時に劣化する事態を防止できる。
【0051】
なお、第1の実施形態にて説明した条件を満たす接点部10を用いた場合には、第1の実施形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。
【0052】
(変形例)
上記各実施形態にて開示した構成は、種々変形実施可能である。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0053】
上記各実施形態では、電子機器の一例としてカード決済端末1を例示した。しかしながら、カード決済端末1が備えるとしたタンパ検出に関する構成を、パーソナルコンピュータ、サーバ装置、商品やサービスの代金の精算に用いられるPOS(Point Of Sales)端末あるいはECR(Electric Cash Register)、プリンタ等の他の機器に適用してもよい。
【0054】
上記各実施形態では、CPUやチップセット等が実装されるPCB4上に導電性材料を焼き付けて接点部10の各接点11〜13を形成するとした。しかしながら、PCB4とは独立して設けられた絶縁性部材に導電性材料を焼き付けて各接点11〜13を形成してもよい。また、導電性材料を切削加工したり鋳造したりすることによって各接点11〜13を製作し、それらを組み合わせて接点部10を構成してもよい。この場合には、各接点11〜13を離間して配置することで絶縁層14を実現してもよいし、絶縁性材料にて各接点11〜13間を埋めて絶縁層14を実現してもよい。
【0055】
上記各実施形態では、下側筐体2に固定されたPCB4に接点部10を設け、上側筐体3に接触導電部20を設けるとした。しかしながら、上側筐体3に接点部10を設け、下側筐体2に接触導電部20を設けてもよい。また、各筐体2,3に固定された部材を介して接点部10および接触導電部20を設けてもよい。
【0056】
さらに、接点部10および接触導電部20は、筐体2,3の開放ではなく、筐体2,3の内外に設けられた各種部材またはデバイスの取り外しを検出するように設けてもよい。例えば、上記各実施形態における下側筐体2またはこれに固定された部材に各接触導電部20を設ける。このとき、PCB4が下側筐体2に取り付けられた際に各接触導電部20の導電部材22がそれぞれ対応する接点部10の第1接点11および第2接点12に接触するようその位置を調整しておく。このようにすれば、下側筐体2からのPCB4の取り外しを各スイッチユニットによって検出できる。
【0057】
第1の実施形態では、図4〜図7を用いて接点部10の形状を説明した。しかしながら、接点部10の形状は各図に示したものに限られず、第1接点11および第2接点13がより2次元的に混在した形状とすることで、接点部10の方向依存性をより低減することが可能である。
【0058】
また、第1接点11および第2接点12を合わせた形状や導電部材22の平面部22aは、必ずしも円形でなくてもよく、三角形や四角形等の多角形であってもよいし、楕円形等であってもよい。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…カード決済端末、4…PCB、10…接点部、11…第1接点、12…第2接点、13…第3接点、14…絶縁層、20…接触導電部、21…弾性部材、22…導電部材、31…検出部、32…制御部、33…警報部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料にて平面状に形成された一対の接点と、
これら各接点の境界に設けられた絶縁部と、
導電性材料にて形成され、前記各接点に接触したときにこれら各接点間を導通させる導電部材と、
を備え、
前記各接点の境界の一部又は全てが非直線状であることを特徴とするスイッチユニット。
【請求項2】
前記各接点及び前記絶縁部を合わせた形状が円形をなし、
前記各接点の境界の一部又は全てが非直線状であり、かつ当該境界が前記円形の中心に対して点対称の形状であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチユニット。
【請求項3】
前記導電部材は、平面部を有し、この平面部が前記各接点に接触したときにこれら各接点間を導通させ、
前記導電部材の平面部の面積が、前記各接点のうちいずれか一方の接点と前記絶縁部とを合わせた面積、及び、当該他方の接点と前記絶縁部とを合わせた面積の双方より大きく、かつ前記各接点及び前記絶縁部を合わせた面積よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチユニット。
【請求項4】
第1部材と、
この第1部材に取り付けられる第2部材と、
前記第1部材又はこれに固定された部材に設けられ、導電性材料にて平面状に形成された一対の接点と、
これら各接点の境界に設けられた絶縁部と、
前記第2部材又はこれに固定された部材に設けられ、前記第2部材が前記第1部材に取り付けられたときに前記各接点に接触し、これら各接点間を導通させる導電性材料で形成された導電部材と、
を備え、
前記各接点の境界の一部又は全てが非直線状であることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記第1部材又はこれに固定された部材には、前記一対の接点が複数設けられ、
前記第2部材又はこれに固定された部材には、前記第2部材が前記第1部材に取り付けられたときに、前記各一対の接点のうちの対応する1つに接触する前記導電部材が複数設けられ、
前記各一対の接点は、その境界が同一形状であり、かつこれら各一対の接点のうちのいずれか1つに対してその他の全て又は一部が所定角度だけ回転して設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1部材又はこれに固定された部材には、前記一対の接点が複数設けられ、
前記第2部材又はこれに固定された部材には、前記第2部材が前記第1部材に取り付けられたときに、前記各一対の接点のうちの対応する1つに接触する前記導電部材が複数設けられ、
前記各一対の接点の全て又はその一部同士で前記境界の形状が異なることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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