説明

スイッチングレギュレータおよびそれを備えた携帯情報端末

【課題】 帰還回路の安定性を維持しつつ、負荷電流の変動にともなう出力電圧の変動を防ぐことが可能なスイッチングレギュレータおよびそれを備えた携帯情報端末を提供する。
【解決手段】 スイッチングレギュレータは、負荷7に供給すべき直流電圧に対する負荷7に供給されている直流電圧の誤差を検出する誤差信号生成回路1と、検出された誤差に基づいて制御信号を生成するスイッチング制御回路2と、制御信号に基づいてスイッチング素子SW1のオン状態およびオフ状態を切り替えることにより、直流電圧の電圧値を調整する電圧調整回路4とを備え、誤差信号生成回路1は、時定数を切り替えることが可能なフィルタ回路を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチングレギュレータおよびそれを備えた携帯情報端末に関し、特に、スイッチング素子を用いて負荷に供給する直流電圧を制御するスイッチングレギュレータおよびそれを備えた携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機およびPDA(Personal Data Assistant)等の携帯情報端末では、効率よく変換電源電圧を得るためにスイッチングレギュレータを用いた電源回路が利用されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には以下のようなスイッチングレギュレータが開示されている。すなわち、負荷に並列に抵抗分圧回路を設けてこの抵抗分圧回路を介して出力端子から負荷に出力される電力の電圧の一部又は全部を誤差増幅器の一方の入力に帰還し、他方の入力に所定の定電圧を加える。この誤差増幅器から得られる出力信号に応じて直流電源から受けた電力をトランジスタによりスイッチングして出力端子に送出し、この出力端子に所定の安定化した電圧の電力を発生する。このような帰還回路を有するスイッチングレギュレータにおいて、抵抗分圧回路における出力端子側の分圧抵抗に並列に設けられた、抵抗とダイオードと電圧安定化の動作状態に入るまでの時間を短縮するたのためのコンデンサとからなる直列回路を有する。
【特許文献1】特開2002−84741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のスイッチングレギュレータでは、帰還回路の応答速度が遅い場合には、たとえば負荷に流れる電流(以下、負荷電流とも称する)が増加すると、帰還回路の応答が間に合わず出力電圧が一時的に低下してしまう場合がある。また、負荷電流の変動に対応するために、帰還回路の特性を決めるパラメータを変更して帰還回路の応答速度を速くすると、帰還回路の安定動作領域、すなわち帰還回路が安定して動作することができる出力電圧および出力電流の範囲が狭くなり、帰還回路が発振しやすくなってしまう。したがって、特許文献1記載のスイッチングレギュレータでは、帰還回路の安定性を維持しつつ、負荷電流の変動にともなう出力電圧の変動を防ぐことが難しかった。
【0005】
それゆえに、本発明の目的は、帰還回路の安定性を維持しつつ、負荷電流の変動にともなう出力電圧の変動を防ぐことが可能なスイッチングレギュレータおよびそれを備えた携帯情報端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係わるスイッチングレギュレータは、スイッチング素子を用いて負荷に供給する直流電圧を制御するスイッチングレギュレータであって、前記負荷に供給すべき直流電圧に対する前記負荷に供給されている直流電圧の誤差を検出する誤差信号生成回路と、前記検出された誤差に基づいて制御信号を生成するスイッチング制御回路と、前記制御信号に基づいて前記スイッチング素子のオン状態およびオフ状態を切り替えることにより、前記直流電圧の電圧値を調整する電圧調整回路とを備え、前記誤差信号生成回路は、時定数を切り替えることが可能なフィルタ回路を含む。
【0007】
好ましくは、前記スイッチングレギュレータは、さらに、前記負荷に流れる負荷電流に基づいて前記フィルタ回路の時定数を切り替える時定数制御回路を備える。
【0008】
より好ましくは、前記時定数制御回路は、前記負荷電流が増加する場合には前記フィルタ回路の時定数を小さくするように前記誤差信号生成回路を制御する。
【0009】
より好ましくは、前記時定数制御回路は、前記負荷電流が減少する場合には前記フィルタ回路の時定数を大きくするように前記誤差信号生成回路を制御する。
【0010】
より好ましくは、前記スイッチングレギュレータは、さらに、前記負荷電流の電流量を制御する負荷電流制御回路を備え、前記負荷電流制御回路は、前記負荷電流の電流量を変更する前に前記時定数制御回路に通知し、前記時定数制御回路は、前記通知を受けて、前記負荷電流の電流量が変更される前に前記フィルタ回路の時定数を切り替える。
【0011】
好ましくは、前記フィルタ回路はラグリードフィルタである。
また本発明のある局面に係わる携帯情報端末は、スイッチング素子を用いて負荷に供給する直流電圧を制御するスイッチングレギュレータを有する携帯情報端末であって、前記スイッチングレギュレータは、前記負荷に供給すべき直流電圧に対する前記負荷に供給されている直流電圧の誤差を検出する誤差信号生成回路と、前記検出された誤差に基づいて制御信号を生成するスイッチング制御回路と、前記制御信号に基づいて前記スイッチング素子のオン状態およびオフ状態を切り替えることにより、前記直流電圧の電圧値を調整する電圧調整回路とを備え、前記誤差信号生成回路は、時定数を切り替えることが可能なフィルタ回路を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、帰還回路の安定性を維持しつつ、負荷電流の変動にともなう出力電圧の変動を防ぐことにより、これを用いた携帯情報端末が安定して動作可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0014】
<第1の実施の形態>
本実施の形態は、昇圧型のスイッチングレギュレータに関する。
【0015】
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータの構成を示す機能ブロック図である。同図を参照して、スイッチングレギュレータは、誤差信号生成回路1と、スイッチング制御回路2と、時定数制御回路3と、電圧調整回路4と、基準電圧発生回路5と、電圧検出回路6とを備える。
【0016】
スイッチングレギュレータは、負荷7に直流電圧を供給する。また、定電流ドライバ8が駆動する電流によって負荷7に流れる電流が決まる。
【0017】
誤差信号生成回路1は、オペアンプOP1と、コンデンサC11〜C13と、抵抗R11〜R13と、スイッチSW2〜SW3とを含む。
【0018】
オペアンプOP1は、反転入力端子に入力された電圧検出回路6からの検出電圧と、非反転入力端子に入力された基準電圧発生回路5からの基準電圧とを比較して、基準電圧に対する検出電圧の誤差を表わす誤差信号を生成する。
【0019】
誤差信号生成回路1におけるオペアンプOP1と、コンデンサC11〜C13と、抵抗R11〜R13とで形成されるローパスフィルタは、誤差信号の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分を減衰させる。このローパスフィルタを通過した誤差信号は、ほぼ直流成分のみの信号となる。そして、ローパスフィルタを通過した誤差信号がオペアンプOP2の非反転入力端子へ出力される。
【0020】
時定数制御回路3は、負荷に流れる電流に基づいて、ローパスフィルタの時定数を切り替えるための時定数制御信号をスイッチSW2〜スイッチSW3へ出力する。
【0021】
スイッチSW2〜SW3は、時定数制御回路3から受けた時定数制御信号に基づいて、それぞれオン状態およびオフ状態を切り替える。
【0022】
スイッチング制御回路2は、オペアンプOP2と、三角波発生回路10とを含む。
オペアンプOP2は、非反転入力端子に入力された三角波発生回路10からの三角波と、反転入力端子に入力された誤差信号生成回路1からの誤差信号とを比較する。そして、オペアンプOP2は、比較結果をスイッチング制御信号として電圧調整回路4へ出力する。スイッチング制御信号は、三角波のレベルが誤差信号のレベルより高い場合にはハイレベルの信号となり、また、三角波のレベルが誤差信号のレベルより低い場合にはローレベルの信号となる。すなわち、スイッチング制御信号は、誤差信号生成回路1からの誤差信号のレベルに応じてデューティ比が変わるパルス状の信号となる。
【0023】
電圧検出回路6は、抵抗R1と、抵抗R2とを含む。抵抗R1の一端が電圧調整回路4の出力に接続され、他端が抵抗R2および誤差信号生成回路1の入力に接続される。抵抗R2の他端が接地電位に接続される。
【0024】
電圧検出回路6は、電圧調整回路4の出力電圧、すなわち負荷7に供給される電圧を抵抗R1および抵抗R2で分圧することによって得られた検出電圧を誤差信号生成回路1へ出力する。
【0025】
電圧調整回路4は、スイッチSW1と、コイルL1と、ダイオードD1と、コンデンサC1とを含む。
【0026】
スイッチSW1の一端にコイルL1の一端と、ダイオードD1のアノードとが接続される。ダイオードD1のカソードにコンデンサC1の一端と、電圧検出回路6の入力と、負荷7とが接続される。コイルL1の他端に固定電位Vddが接続される。スイッチSW1の他端と、コンデンサC1の他端とに接地電位が接続される。
【0027】
電圧調整回路4は、スイッチング制御回路2から受けたスイッチング制御信号に基づいて、電圧値がVddの直流電力をスイッチングすることにより、負荷7に供給する直流電圧の電圧値を調整する。スイッチング制御信号のデューティ比に応じて出力電圧Voutの電圧値が変わる。
【0028】
より詳細には、スイッチSW1は、スイッチング制御信号がハイレベルの場合にはオン状態となり、また、スイッチング制御信号がローレベルの場合にはオフ状態となる。スイッチSW1がオン状態からオフ状態に切り替わる時に、スイッチSW1のオン状態においてコイルL1に蓄えられていたエネルギーが放出されてコンデンサC1に蓄えられ、スイッチSW1のオン状態と比べてダイオードD1の順方向電圧だけ電圧調整回路4の出力電圧のレベルが高くなる。一方、スイッチSW1がオフ状態からオン状態に切り替わる時に、コンデンサC1に蓄えられていたエネルギーが放出されて電圧調整回路4の出力電圧のレベルが低くなる。したがって、スイッチSW1がオン状態である時間、すなわちスイッチング制御信号のデューティ比が大きいほど電圧調整回路4の出力電圧のレベルが大きくなり、また、スイッチング制御信号のデューティ比が小さいほど電圧調整回路4の出力電圧のレベルが小さくなる。
【0029】
そして、出力電圧Voutを表わす電圧検出回路6から出力される検出電圧のレベルが基準電圧のレベルより高い場合には誤差信号のレベルが低くなり、スイッチング制御信号のデューティ比が小さくなる。一方、検出電圧のレベルが基準電圧のレベルより低い場合には誤差信号のレベルが高くなり、スイッチング制御信号のデューティ比が大きくなる。したがって、電圧調整回路4の出力電圧、すなわちスイッチングレギュレータの出力電圧は基準電圧に対応する電圧値に収束する。
【0030】
[動作]
次に、本実施の形態に係るスイッチングレギュレータにおいてローパスフィルタの時定数を切り替える際の動作について説明する。
【0031】
図2は、本実施の形態に係るスイッチングレギュレータにおいてローパスフィルタの時定数を切り替える際の動作を示すタイムチャートである。
【0032】
同図を参照して、時定数制御回路3は、負荷電流Ioが小さいBの期間ではスイッチSW2をオン状態とし、また、スイッチSW3をオフ状態とする。スイッチSW2がオン状態となることによりコンデンサC11がローパスフィルタの構成要素となるため、ローパスフィルタの容量成分が大きくなる。また、スイッチSW3がオフ状態となることにより抵抗R12がローパスフィルタの構成要素ではなくなるため、ローパスフィルタの抵抗成分が大きくなる。したがって、ローパスフィルタの時定数が大きくなる。
【0033】
一方、時定数制御回路3は、負荷電流Ioが大きいAの期間ではスイッチSW2をオフ状態とし、また、スイッチSW3をオン状態とする。スイッチSW2がオフ状態となることによりコンデンサC11がローパスフィルタの構成要素ではなくなるため、ローパスフィルタの容量成分が小さくなる。また、スイッチSW3がオン状態となることにより抵抗R12がローパスフィルタの構成要素となるため、ローパスフィルタの抵抗成分が小さくなる。したがって、ローパスフィルタの時定数が小さくなる。
【0034】
図3は、本実施の形態に係るスイッチングレギュレータにおける帰還回路のゲインと周波数との関係を示す概念図である。
【0035】
同図を参照して、負荷電流Ioが小さくローパスフィルタの時定数が大きいBの波形ではゲインが0より大きくなる周波数の上限値が小さい。そうすると、帰還回路によって帰還のかかる周波数の上限値が小さいため、帰還回路の応答速度が遅くなる。また、この帰還回路においては、周波数が低い成分ほど位相遅れが生じにくい。したがって、Bの状態では位相遅れによって発振する成分が少なくなるため、帰還回路の安定動作領域が広く、帰還回路が発振する可能性は低くなる。
【0036】
一方、負荷電流Ioが大きくローパスフィルタの時定数が小さいAの波形ではゲインが0より大きくなる周波数の上限値がBの波形よりも大きい。そうすると、帰還回路によって帰還のかかる周波数の上限値が大きいため、帰還回路の応答速度が速くなる。なお、Aの状態では位相遅れによって発振する成分が多くなるため、帰還回路の安定動作領域が狭く、発振する可能性は高くなる。
【0037】
ところで、特許文献1記載のスイッチングレギュレータでは、帰還回路の安定性を維持しつつ、負荷電流の変動にともなう出力電圧の変動を防ぐことが難しかった。しかしながら、本実施の形態に係るスイッチングレギュレータでは、時定数制御回路3は、負荷電流が増加する場合には、ローパスフィルタの時定数を小さくして帰還回路の応答速度を速くすることにより、スイッチング制御信号のデューティ比を短時間で大きくして電圧調整回路4の出力電圧の一時的な低下を防ぐ。また、時定数制御回路3は、負荷電流が減少する場合には、ローパスフィルタの時定数を大きくすることにより、帰還回路の安定動作領域を広げる。
【0038】
したがって、本実施の形態に係るスイッチングレギュレータでは、帰還回路の安定性を維持しつつ、負荷電流の変動にともなう出力電圧の変動を防ぐことができる。
【0039】
また、本実施の形態に係るスイッチングレギュレータでは、誤差信号生成回路1におけるオペアンプOP1と、コンデンサC11〜C13と、抵抗R11〜R13とで形成されるローパスフィルタはラグリードフィルタである。このような構成により、ローパスフィルタの周波数特性をより細かく調整することができ、帰還回路の安定性を向上させることができる。
【0040】
なお、本実施の形態に係るスイッチングレギュレータでは、時定数制御回路3を備える構成としたが、これに限定されるものではない。スイッチングレギュレータが、時定数制御回路3を備えず、スイッチSW2〜スイッチSW3が、外部からローパスフィルタの時定数を切り替えるための時定数制御信号を受ける構成とすることができる。このような構成であっても、本発明の目的を達成することができる。
【0041】
図4は、本実施の形態に係るスイッチングレギュレータにおいてローパスフィルタの時定数を切り替える際の動作の他の例を示すタイムチャートである。
【0042】
同図を参照して、時定数制御回路3は、負荷電流が増加する前にスイッチSW2〜SW3を制御してローパスフィルタの時定数を変更する構成とすると更に良い。すなわち、このような構成により、あらかじめ時定数を変更して電圧調整回路4の出力電圧の一時的な低下および発振をさらに確実に防ぐことができる。
【0043】
[半導体集積回路]
図5は、本実施の形態に係るスイッチングレギュレータを半導体集積回路とした場合の構成図である。
【0044】
同図を参照して、スイッチングレギュレータは、誤差信号生成回路1と、スイッチング制御回路2と、時定数制御回路3と、基準電圧発生回路5と、定電流ドライバ8と、負荷電流制御回路9とを備える。
【0045】
半導体集積回路の内部において、スイッチング制御回路2の出力が半導体集積回路の端子t1に接続され、誤差信号生成回路1の入力および定電流ドライバ8の一端が半導体集積回路の端子t2に接続され、負荷電流制御回路9の入力が半導体集積回路の端子t3に接続される。
【0046】
半導体集積回路の外部において、端子t1に電圧調整回路4の入力が接続され、端子t2に負荷7の一端が接続される。
【0047】
負荷電流制御回路9は、外部から端子t3経由で電流制御信号を受けて、定電流ドライバ8の電流量、すなわち負荷7に流れる電流量を制御する。そして、負荷電流制御回路9は、定電流ドライバ8の電流量を変更する前に、変更後の負荷電流量を時定数制御回路3へ通知する。
【0048】
時定数制御回路3は、負荷電流制御回路9からの通知により、負荷電流量が変わることを認識し、スイッチSW2〜SW3を制御してローパスフィルタの時定数を切り替える。
【0049】
負荷電流制御回路9は、時定数制御回路3へ通知を行なってから所定の時間が経過するかまたは時定数制御回路3からローパスフィルタの時定数を切り替えたことを表わす通知を受けた後に、定電流ドライバ8の電流量を変更する。
【0050】
このような構成により、電圧調整回路4の出力電圧の一時的な低下をさらに確実に防ぐことができる。
【0051】
[携帯情報端末]
図6は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータを有する携帯情報端末の機能ブロック図である。
【0052】
同図を参照して、携帯情報端末は、スイッチングレギュレータ31〜32と、操作部11と、発光部12と、処理ブロック13と、通信処理部14と、LCDモニタ15とを含む。また、発光部12は、LED21と、処理部22とを含み、処理ブロック13は、CPU(Central Processing Unit)23と、メモリ24とを含む。
【0053】
以下、携帯情報端末は携帯電話であると仮定して説明するが、携帯情報端末はPDA等であってもよい。
【0054】
通信処理部14は、通信に必要な処理を実行する。すなわち、通信処理部14は、PDC(Personal Digital Cellular System)、簡易型携帯電話システム、CDMA(Code Division Multiple Access)方式等の移動通信システムにおける通信に必要な処理を実行する。
【0055】
操作部11は、ユーザが電話番号等を入力するためのボタンを含み、ユーザの操作を検出する。
【0056】
発光部12は、携帯電話が着信した場合に、LED21をイルミネーションとして点滅させる。処理部22は、LED21を点滅させる命令を表わす制御信号をLED21へ出力する。また、処理部22は、LED21に供給すべき電圧値を表わす制御信号をスイッチングレギュレータ31へ出力する。
【0057】
スイッチングレギュレータ31における基準電圧発生回路5は、処理部22から受けた制御信号が表わす電圧値に基づいて基準電圧を発生する。そして、スイッチングレギュレータ31における電圧調整回路4は、LED21に出力電圧Voutを供給する。
【0058】
処理ブロック13は、携帯電話の各ブロックを制御する。LCDモニタ15は、通信を行っている相手の電話番号、電子メールの内容および画像等を表示する。ここで、処理ブロック13は、LCDモニタ15に画像等を表示するとともにLED21に供給すべき電圧値を表わす制御信号をスイッチングレギュレータ32へ出力する。そして、スイッチングレギュレータ31は、処理ブロック13から受けた制御信号が表わす電圧値に基づいて前述のようにLCDモニタ15に含まれるバックライト用等のLEDに出力電圧Voutを供給する。
【0059】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0060】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、降圧型のスイッチングレギュレータに関する。
【0061】
[構成および基本動作]
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るスイッチングレギュレータの構成を示す回路図である。同図を参照して、スイッチングレギュレータは、第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータに対して、電圧調整回路4の代わりに電圧調整回路24を備える。
【0062】
電圧調整回路24は、スイッチSW4と、コイルL2と、ダイオードD2と、コンデンサC2とを含む。
【0063】
スイッチSW4の一端にコイルL2の一端と、ダイオードD2のカソードとが接続される。コイルL2の他端にコンデンサC2の一端と、電圧検出回路6の入力と、負荷7とが接続される。スイッチSW4の他端に固定電位Vddが接続される。ダイオードD2のアノードと、コンデンサC2の他端とに接地電位が接続される。
【0064】
電圧調整回路24は、第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータにおける電圧調整回路4と同様に、スイッチング制御回路2から受けたスイッチング制御信号に基づいて、電圧値がVddの直流電力をスイッチングすることにより、負荷に供給する直流電圧の電圧値を調整する。スイッチング制御信号のデューティ比に応じて出力電圧Voutの電圧値が変わる。
【0065】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータと同様である。したがって、本実施の形態に係るスイッチングレギュレータでは、第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータと同様に、帰還回路の安定性を維持しつつ、負荷電流の変動にともなう出力電圧の変動を防ぐことができる。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータにおいてローパスフィルタの時定数を切り替える際の動作を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータにおける帰還回路のゲインと周波数との関係を示す概念図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータにおいてローパスフィルタの時定数を切り替える際の動作の他の例を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータを半導体集積回路とした場合の構成図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングレギュレータを有する携帯情報端末の機能ブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るスイッチングレギュレータの構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0068】
31〜32 スイッチングレギュレータ、1 誤差信号生成回路、2 スイッチング制御回路、3 時定数制御回路、4 電圧調整回路、5 基準電圧発生回路、6 電圧検出回路、7 負荷、8 定電流ドライバ、9 負荷電流制御回路、10 三角波発生回路、OP1〜OP2 オペアンプ、C1〜C2,C11〜C13 コンデンサ、R1〜R2,R11〜R13 抵抗、SW1〜SW4 スイッチ、L1〜L2 コイル、D1〜D2 ダイオード、t1〜t3 端子、11 操作部、12 発光部、13 処理ブロック、14 通信処理部、15 LCDモニタ、21 LED、22 処理部、23 CPU、24 メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を用いて負荷に供給する直流電圧を制御するスイッチングレギュレータであって、
前記負荷に供給すべき直流電圧に対する前記負荷に供給されている直流電圧の誤差を検出する誤差信号生成回路と、
前記検出された誤差に基づいて制御信号を生成するスイッチング制御回路と、
前記制御信号に基づいて前記スイッチング素子のオン状態およびオフ状態を切り替えることにより、前記直流電圧の電圧値を調整する電圧調整回路とを備え、
前記誤差信号生成回路は、時定数を切り替えることが可能なフィルタ回路を含むスイッチングレギュレータ。
【請求項2】
前記スイッチングレギュレータは、さらに、
前記負荷に流れる負荷電流に基づいて前記フィルタ回路の時定数を切り替える時定数制御回路を備える請求項1記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項3】
前記時定数制御回路は、前記負荷電流が増加する場合には前記フィルタ回路の時定数を小さくするように前記誤差信号生成回路を制御する請求項2記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項4】
前記時定数制御回路は、前記負荷電流が減少する場合には前記フィルタ回路の時定数を大きくするように前記誤差信号生成回路を制御する請求項2記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項5】
前記スイッチングレギュレータは、さらに、
前記負荷電流の電流量を制御する負荷電流制御回路を備え、
前記負荷電流制御回路は、前記負荷電流の電流量を変更する前に前記時定数制御回路に通知し、
前記時定数制御回路は、前記通知を受けて、前記負荷電流の電流量が変更される前に前記フィルタ回路の時定数を切り替える請求項2記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項6】
前記フィルタ回路はラグリードフィルタである請求項1記載のスイッチングレギュレータ。
【請求項7】
スイッチング素子を用いて負荷に供給する直流電圧を制御するスイッチングレギュレータを有する携帯情報端末であって、
前記スイッチングレギュレータは、
前記負荷に供給すべき直流電圧に対する前記負荷に供給されている直流電圧の誤差を検出する誤差信号生成回路と、
前記検出された誤差に基づいて制御信号を生成するスイッチング制御回路と、
前記制御信号に基づいて前記スイッチング素子のオン状態およびオフ状態を切り替えることにより、前記直流電圧の電圧値を調整する電圧調整回路とを備え、
前記誤差信号生成回路は、時定数を切り替えることが可能なフィルタ回路を含む携帯情報端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−6668(P2007−6668A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186494(P2005−186494)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】