説明

スイッチング電源およびその制御方法

【課題】 スイッチ素子を常に最適なタイミングでスイッチングすること。
【解決手段】 制御回路20Aは、スイッチ素子を駆動するのに要する遅れを補正する遅れ補正回路30を備える。遅れ補正回路30は、基準電圧を発生する基準電圧発生回路31と、基準電圧と駆動制御信号VGH2とを比較して第1の比較結果信号を出力する第1の比較器32と、第1の比較結果信号とゼロ電流検出信号VZCとに基づいて、遅れ指示信号ERR1又は進み指示信号ERR2を出力するエラー信号生成回路33と、遅れ指示信号又は前記進み指示信号に応答して、電圧レベルエラー信号VERRを生成する電圧レベルエラー信号生成回路34と、所定のノコギリ波形状のタイマー信号VTを出力するタイマー35と、電圧レベルエラー信号とタイマー信号とを比較して、第2の比較結果信号を遅れ補正信号VGHHとして出力する第2の比較器36と、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関し、特に、共振回路を含む電流共振型DC/DCコンバータのようなスイッチング電源およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直流(DC)入力電圧(以下、単に「入力電圧」とも呼ぶ。)をそのDC入力電圧とは異なるDC出力電圧(以下、単に「出力電圧」とも呼ぶ。)に変換するスイッチング電源として、DC/DCコンバータが知られている。
【0003】
DC/DCコンバータの一例としてPWM(パルス幅変調)型DC/DCコンバータが知られている。PWM型DC/DCコンバータには、降圧形、昇圧形、極性反転形のように種々のタイプがある。降圧形PWM型DC/DCコンバータは、通電スイッチと、短絡スイッチと、出力インダクタとから構成される。短絡スイッチの代わりに、ダイオードが使用される場合もある。
【0004】
しかしながら、PWM型DC/DCコンバータは、通電スイッチがオンからオフ又はオフからオンへ切り替わるときのスイッチングロスが大きいという問題がある。このようなスイッチングロスを無くすことができるDC/DCコンバータとして、電流共振型DC/DCコンバータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図1に電流共振型DC/DCコンバータの一例として全波電流共振型DC/DCコンバータ10を示す。図示の全波電流共振型DC/DCコンバータ10は降圧形で、同期整流方式である。すなわち、出力電圧Voutは入力電圧Vinより低い。入力電源11には入力コンデンサCiが並列に接続されている。負荷13にはキャパシタンス素子(出力コンデンサ)Coが並列に接続されている。入力コンデンサCiと出力コンデンサCoとの間に、全波電流共振型DC/DCコンバータ部12が接続されている。
【0006】
全波電流共振型DC/DCコンバータ部12は、通電スイッチSW1と、短絡スイッチSW2と、出力インダクタLoと、共振用インダクタLrと、共振用キャパシタCrとから構成されている。共振用インダクタLrと共振用キャパシタCrとによって、直列共振回路が構成されている。この直列共振回路は、通電スイッチSW1と短絡スイッチSW2との間に挿入されている。
【0007】
図示の全波電流共振型DC/DCコンバータ部12は、通電スイッチSW1と共振用インダクタLrとの間に、共振用インダクタLrを流れる電流ILrを検出するための電流検出用抵抗器Rdが挿入されている。
【0008】
通電スイッチSW1は第1のスイッチとも呼ばれ、短絡スイッチSW2は第2のスイッチとも呼ばれる。図示の通電スイッチSW1及び短絡スイッチSW2の各々は、NチャネルMOSFETで構成されている。すなわち、通電スイッチSW1及び短絡スイッチSW2の各々は、制御端子としてゲートを持ち、一対の主要電極端子としてソースおよびドレインを持つ。第1のスイッチSW1には第1のボディダイオードBD1が寄生し、第2のスイッチSW2には第2のボディダイオードBD2が寄生している。第1及び第2のボディダイオードBD1、BD2の各々は寄生ダイオードとも呼ばれる。
【0009】
詳述すると、通電スイッチSW1のソースには第1のボディダイオードBD1のアノードが等価的に接続され、通電スイッチSW1のドレインには第1のボディダイオードBD1のカソードが等価的に接続されている。短絡スイッチSW2のソースには第2のボディダイオードBD2のアノードが等価的に接続され、短絡スイッチSW2のドレインには第2のボディダイオードBD2のカソードが等価的に接続されている。
【0010】
すなわち、全波電流共振型DC/DCコンバータ部12は、共振用インダクタLrと共振用キャパシタCrとから成る直列共振回路が付加されている点を除いて、上述したPWM型DC/DCコンバータと同様の構成を有する。
【0011】
通電スイッチ(第1のスイッチ)SW1の一端(ドレイン)は、入力電源11の陽極に接続されている。通電スイッチ(第1のスイッチ)SW1の他端(ソース)は、電流掲出用抵抗器Rdを介して共振用インダクタLrの一端に接続されている。共振用インダクタLrの他端は、共振用キャパシタCrを介して接地されている。共振用キャパシタCrと並列に短絡スイッチ(第2のスイッチS)SW2が接続されている。詳述すると、短絡用スイッチSW2の一端(ドレイン)は、共振用インダクタLrと共振用キャパシタCrとの接続点に接続され、短絡用スイッチSW2の他端(ソース)は、接地されている。共振用インダクタLrの他端は、また、出力インダクタLoの一端に接続されている。出力インダクタLoの他端は出力コンデンサCoを介して接地されている。出力コンデンサCoの両端に出力電圧Voutが現れる。
【0012】
尚、第1のスイッチ(通電スイッチ)SW1はハイサイドのスイッチと呼ばれ、第2のスイッチ(短絡スイッチ)SW2はローサイドのスイッチと呼ばれる。通電スイッチSW1および短絡スイッチSW2のオン/オフの制御は、制御回路20から供給される第1及び第2の駆動制御信号によって行われる。詳述すると、制御回路20は、第1の駆動制御信号として駆動ハイサイドゲート信号VGH2を通電スイッチSW1のゲート(制御端子)へ供給し、第2の駆動制御信号として駆動ローサイドゲート信号を短絡スイッチSW2のゲート(制御端子)へ供給する。
【0013】
次に、図1に示した全波電流共振型DC/DCコンバータ10の動作について説明する。
【0014】
最初に、第1のスイッチSW1がオフで、第2のスイッチSW2がオンであるとする。この場合、出力インダクタLoを流れる電流ILo及び第2のスイッチSW2を流れる電流ISW2は、−Vout/Loの傾きで線形的に減少する。
【0015】
次に、第1及び第2のスイッチSW1、SW2が共にオフになったとする。この第1及び第2のスイッチSW1、SW2の両方がオフになっている時間はデットタイムと呼ばれる。このデットタイムの期間中、第2のスイッチSW2を流れる電流ISW2は零になるが、その代わりに第2のボディダイオードBD2を介して電流IBD2が流れる。
【0016】
第1のスイッチSW1がオンし、第2のスイッチSW2がオフになったとする。この場合、第1のスイッチSW1を流れる電流ISW1はVin/Loの傾きで線形的に増加する。一方、この第1のスイッチSW1を流れる電流ISW1が増えた分だけ、第2のボディダイオードBD2を流れる電流IBD2は減少する。このとき、第2のボディダイオードBD2によって、共振用キャパシタCrの両端電圧VCrは0Vにクランプされる。
【0017】
第1のスイッチSW1がオンした時点から第1の時間T1=(ILoLr)/Vinだけ経過した時点で、第1のスイッチSW1を流れる電流ISW1と出力インダクタLoを流れる電流ILoとが等しくなり(ISW1=ILo)、直列共振回路は共振を開始する。したがって、共振用キャパシタCrに流れ込む電流ICrは徐々に増加してからピークに達した後、徐々に減少する。このとき、共振用キャパシタCrの両端電圧VCrは、徐々に増加して入力電圧Vinの2倍の電圧2Vinに成る。共振用キャパシタCrを流れる電流ICrがピークのときに、共振用キャパシタCrの両端電圧VCrは入力電圧Vinに等しい。
【0018】
共振用キャパシタCrに電流ICrが流れ込む第2の時間(即ち、共振用キャパシタCrが充電される期間)T2は、共振用インダクタLrのインダクタンス値と共振用キャパシタCrのキャパシタンス値とによって規定される共振周波数frの逆数の半分に等しい(T2=1/fr=π√(LrCr))。共振用キャパシタCrに流れ込む電流ICrが零のとき、第1のスイッチSW1を流れる電流ISW1と出力インダクタLoを流れる電流ILoとが等しくなる。
【0019】
第1のスイッチSW1を流れる電流ISW1が出力インダクタLoを流れる電流ILoよりも小さくなると、共振用キャパシタCrは放電を開始して共振用キャパシタCrから放電電流ICrが流れ出す。これにより、共振用キャパシタCrの両端電圧VCrは徐々に低下し始める。
【0020】
第1のスイッチSW1を流れる電流ISW1が零になった時点で、第1のスイッチSW1をオフする。すなわち、第1のスイッチSW1をゼロ電流スイッチングする。その後は、第1のボディダイオードBD1を介して電流IBD1が入力電源11へ逆流する。第1のボディダイオードBD1が零になった時点で、直列共振回路の共振が停止する。
【0021】
第1のボディダイオードBD1を流れる電流IBD1が零になった時点以後、共振用キャパシタCrから放電する電流ICrと出力インダクタLoを流れる電流ILoとは等しくなる(ILo=ICr)ので、共振用キャパシタCrはほぼ直流で放電する。このとき、共振用キャパシタCrの両端電圧VCrは、ILo/Crの傾きで線形的に減少する。
【0022】
共振用キャパシタCrが放電しきると、第2のボディダイオードBD2を介して電流IBD2が流れ始める。
【0023】
第1のスイッチSW1がオフしたままで、第2のスイッチSW2がオンしたとする。この場合、第2のスイッチSW2を介して電流ISW2が流れる。第2のスイッチSW2を流れる電流ISW2と出力インダクタLoを流れる電流ILoとは等しい。
【0024】
以後は、上述した動作を繰り返す。
【0025】
上述したように、全波電流共振型DC/DCコンバータ10は、通電スイッチSW1を流れる電流ISW1が零になった後、電流が逆方向に流れて共振し、再び零になった時点で、通電スイッチSW1をオフしている。また、共振用キャパシタCrの両端電圧VCrが0Vの期間の間、短絡スイッチSW2をオン状態にしている。
【0026】
尚、共振用インダクタLrにはスイッチング周期に対して共振期間のみ電流を流す。スイッチング周期から共振期間を除いた期間は、共振用インダクタLrへは電流ILrを流さない。入出力電圧比Vin/Voutが小さくなる程、共振期間に対するスイッチング周期が長くなり、共振用インダクタLrに電流ILrを流さない期間がますます増える(例えば、特許文献2参照)。
【0027】
とにかく、図1に図示した全波電流共振型DC/DCコンバータ10の大きな利点の一つは、共振用インダクタLrと共振用キャパシタCrとから成る直列共振回路の直列共振を利用することにより、第1のスイッチ(通電スイッチ)SW1のゼロ電流スイッチングを可能にし、その結果として、スイッチングロスを低減させることができることにある。
【0028】
換言すれば、一般的に、この全波電流共振型DC/DCコンバータ10では、回路の共振電流ILrと負荷電流の合計が0になる瞬間に通電スイッチSW1をオフしている。すなわち、ゼロ電流スイッチング(以下、ZCSとも略称する)を実行することにより、通電スイッチSW1のスイッチングロスを低減している。
【0029】
図1は、通電スイッチSW1及び通電スイッチSW2のオン/オフを制御するための制御回路20を示しているが、図1の制御回路20は、通電スイッチSW1のオン/オフを制御する制御部分のみ図示してある。換言すれば、通電スイッチSW2のオン/オフを制御する制御部分については省略してある。
【0030】
制御回路20は、電流検出用抵抗器Rdの両端に接続されたゼロ電流検出回路21と、コントロールロジック回路22と、ドライバ23とから構成されている。
【0031】
ゼロ電流検出回路21は、電流検出用抵抗器Rdの両端電圧VIRがゼロであるか否かを検出し、その両端電圧VIRがゼロのときにゼロ電流検出信号VZCを出力する。このゼロ電流検出信号VZCに応答して、コントロールロジック回路22は、通電スイッチSW1をオフさせることを指示する原ハイサイドゲート信号VGH1を出力する。この原ハイサイドゲート信号VGH1に応答して、ドライバ23は、信号線14を介して駆動ハイサイドゲート信号VGH2を通電スイッチSW1のゲートへ供給する。
【0032】
【特許文献1】特開平9−103070号公報
【特許文献2】米国特許第4720667号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
図2に、図1に図示した全波電流共振型DC/DCコンバータ10の制御回路20の各部の波形の一例を示す。図2において、(a)は電流検出用抵抗器Rdの両端電圧VIRの波形を示し、(b)はゼロ電流検出回路21から出力されるゼロ電流検出信号VZCの波形を示し、(c)はコントロールロジック回路22から出力される原ハイサイドゲート信号VGH1の波形を示し、(d)は通電スイッチSW1のゲートに供給される駆動ハイサイドゲート信号VGH2の波形を示す。
【0034】
図1に示されるように、ドライバ23と通電スイッチSW1との間の信号線14はインダクタンス成分Lpを持ち、通電スイッチSW1はゲート容量Cpを持つ。また、コントロールロジック回路22は、遅延時間τを持つ。
【0035】
ゼロ電流検出回路21は、時刻tで共振用インダクタLrに流れる電流ILrがゼロになったことを検出して、図2(b)に示されるように、論理ローレベルのゼロ検出信号VZCを出力する。
【0036】
この論理ローレベルのゼロ検出信号VZCに応答して、コントロールロジック回路22は、図2(c)に示されるように、時刻tからコントロールロジック回路22の固有の遅延時間τ経過した時刻tに、論理ローレベルの原ハイサイドゲート信号VGH1を出力する。
【0037】
この論理ローレベルの原ハイサイドゲート信号VGH1に応答して、ドライバ23は、時刻tから信号線14のインダクタンス成分Lp及び通電スイッチSW1のゲート容量Cpによる寄生成分に起因する遅延時間τ経過した時刻tに、論理ローレベルの駆動ハイサイドゲート信号VGH2を通電スイッチSW1のゲートに供給する。
【0038】
このように、従来の全波電流共振型DC/DCコンバータ10においては、実際に制御回路20を組み込んだ場合、ゼロ電流検出回路21が共振用インダクタLrに流れる電流ILrのゼロ電流を検出してから、実際に通電スイッチSW1がオフされるまでには、途中のコントロールロジック回路22の遅れτや、信号線14のインダクタンス成分Lp、通電スイッチSW1のゲート容量Cpに起因するドライバ23出力の遅れτなどにより、最適なタイミングから遅れてしまう。その結果、従来の全波電流共振型DC/DCコンバータ10では、通電スイッチSW1での損失が増加してしまうという問題がある。
【0039】
また、制御回路20における上述した遅延時間τ、τは、負荷電流や周囲温度などの諸条件で変化する。その為、事前に制御回路20における遅れ量(τ+τ)を定量的に把握することは非常に困難である。
【0040】
同様に、従来の全波電流共振型DC/DCコンバータ10においては、共振用キャパシタCrの両端電圧VCrが0Vになったときに、短絡スイッチSW2をオンさせるように制御しているが、この場合においても、共振用キャパシタCrの両端電圧VCrが0Vになったことを検出してから実際に短絡スイッチSW2がオンされるまでに遅れがある。したがって、短絡スイッチSW2での損失も増大してしまうという問題もある。
【0041】
したがって、本発明の課題は、スイッチ素子を常に最適なタイミングでスイッチングすることができる、スイッチング電源およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0042】
本発明の第1の態様によれば、スイッチ素子(SW1;SW2)を含むスイッチング電源部(12)と、前記スイッチ素子のオン/オフを制御する制御回路(20A)とを備えたスイッチング電源において、前記制御回路は、前記スイッチ素子を駆動するのに要する遅れを補正する遅れ補正回路(30)を備えたことを特徴とするスイッチング電源が得られる。
【0043】
上記本発明の第1の態様によるスイッチング電源において、前記スイッチング電源部は、電流共振型DC/DCコンバータ部(12)から成って良い。また、前記電流共振型DC/DCコンバータ部は、全波電流共振型DC/DCコンバータ部(12)から成って良い。前記全波電流共振型DC/DCコンバータ部は、降圧形全波電流共振型DC/DCコンバータ部(12)から構成されて良い。前記電流共振型DC/DCコンバータ部(12)は、共振用インダクタ(Lr)と共振用キャパシタ(Cr)とから成る共振回路を含み、前記スイッチ素子として前記共振用インダクタを通電するための通電スイッチ(SW1)を備え、前記電流共振型DC/DCコンバータ部(12)は、前記通電スイッチを流れる電流を検出するための電流検出手段(Rd)を含み、前記制御回路は、前記電流検出手段からの出力からゼロ電流を検出して、ゼロ電流検出信号(VZC)を出力するゼロ電流検出回路(21)を含んで良い。この場合、前記遅れ補正回路は、前記通電スイッチをオン/オフするための駆動制御信号(VGH2)と前記ゼロ電流検出信号(VZC)とに基づいて、遅れ補正信号(VGHH)を出力するものであって良い。前記遅れ補正回路(30)は、前記駆動制御信号(VGH2)により前記通電スイッチをオフさせるタイミングと、前記ゼロ電流検出信号(VZC)の出力タイミングとが実質的に一致するように、前記遅れ補正信号(VGHH)を出力するものであって良い。
【0044】
より具体的には、前記遅れ補正回路(30)は、例えば、基準電圧を発生する基準電圧発生回路(31)と、前記基準電圧と前記駆動制御信号とを比較して第1の比較結果信号を出力する第1の比較器(32)と、前記第1の比較結果信号と前記ゼロ電流検出信号とに基づいて、遅れ指示信号(ERR1)又は進み指示信号(ERR2)を出力するエラー信号生成回路(33)と、前記遅れ指示信号又は前記進み指示信号に応答して、電圧レベルエラー信号(VERR)を生成する電圧レベルエラー信号生成回路(34)と、所定のノコギリ波形状のタイマー信号(VT)を出力するタイマー(35)と、前記電圧レベルエラー信号と前記タイマー信号とを比較して、第2の比較結果信号を前記遅れ補正信号(VGHH)として出力する第2の比較器(36)と、から構成されて良い。前記制御回路(30)は、前記遅れ補正信号に応答して、前記通電スイッチをオフさせるための原制御信号(VGH1)を出力するコントロールロジック回路(22A)と、前記原制御信号に応答して、前記駆動制御信号を前記通電スイッチの制御端子へ供給するドライバ(23)とを更に有するものであって良い。
【0045】
また、前記スイッチング電源部は、同期整流方式の電流共振型DC/DCコンバータ部から構成されて良い。前記同期整流方式の電流共振型DC/DCコンバータ部(12)は、共振用インダクタ(Lr)と共振用キャパシタ(Cr)とから成る共振回路を含み、前記スイッチ素子として前記共振用キャパシタを短絡するための短絡スイッチ(SW2)を備え、前記電流共振型DC/DCコンバータ部は、前記共振用キャパシタの両端電圧を検出するための電圧検出手段を含み、前記制御回路は、前記電圧検出手段からの出力からゼロ電圧を検出して、ゼロ電圧検出信号を出力するゼロ電圧検出回路を含んで良い。この場合、前記遅れ補正回路は、前記短絡スイッチをオン/オフするための駆動制御信号と前記ゼロ電圧検出信号とに基づいて、遅れ補正信号を出力する。そして、前記遅れ補正回路は、前記駆動制御信号により前記短絡スイッチをオンさせるタイミングと、前記ゼロ電圧検出信号の出力タイミングとが実質的に一致するように、前記遅れ補正信号を出力する。前記制御回路は、前記遅れ補正信号に応答して、前記短絡スイッチをオンさせるための原制御信号を出力するコントロールロジック回路と、前記原制御信号に応答して、前記駆動制御信号を前記短絡スイッチの制御端子へ供給するドライバとを更に有するものであって良い。
【0046】
本発明の第2の態様によれば、スイッチ素子(SW1;SW2)を含むスイッチング電源部(12)と、前記スイッチ素子のオン/オフを制御する制御回路(20A)とを備えたスイッチング電源(10A)における、前記制御回路において前記スイッチ素子のスイッチングタイミングを制御する制御方法であって、前記スイッチ素子を駆動するのに要する遅れを補正するステップ(30)を含むことを特徴とするスイッチング電源の制御方法が得られる。
【0047】
上記本発明の第2の実施の形態に係るスイッチング電源の制御方法において、前記スイッチング電源部(12)は、電流共振型DC/DCコンバータ部から構成されて良い。前記電流共振型DC/DCコンバータ部(12)は、全波電流共振型DC/DCコンバータ部から構成されて良い。前記全波電流共振型DC/DCコンバータ部(12)は、降圧形全波電流共振型DC/DCコンバータ部から構成されて良い。前記電流共振型DC/DCコンバータ部(12)は、共振用インダクタ(Lr)と共振用キャパシタ(Cr)とから成る共振回路を含み、前記スイッチ素子として前記共振用インダクタを通電するための通電スイッチ(SW1)を備え、前記電流共振型DC/DCコンバータ部(12)は、前記通電スイッチを流れる電流を検出するための電流検出手段(Rd)を含み、前記制御回路は、前記電流検出手段からの出力からゼロ電流を検出して、ゼロ電流検出信号を出力するゼロ電流検出回路(21)を含んで良い。この場合、前記遅れ補正ステップ(30)は、前記通電スイッチをオン/オフするための駆動制御信号(VGH2)と前記ゼロ電流検出信号(VZC)とに基づいて、遅れ補正信号(VGHH)を出力するものであって良い。前記遅れ補正ステップは、前記駆動制御信号により前記通電スイッチをオフさせるタイミングと、前記ゼロ電流検出信号の出力タイミングとが実質的に一致するように、前記遅れ補正信号を出力するものであって良い。
【0048】
具体的には、前記遅れ補正ステップ(30)は、例えば、基準電圧を発生するサブステップ(31)と、前記基準電圧と前記駆動制御信号とを比較して第1の比較結果信号を出力するサブステップ(32)と、前記第1の比較結果信号と前記ゼロ電流検出信号とに基づいて、遅れ指示信号(ERR1)又は進み指示信号(ERR2)を出力するサブステップ(34)と、前記遅れ指示信号又は前記進み指示信号に応答して、電圧レベルエラー信号(VERR)を生成するサブステップ(34)と、所定のノコギリ波形状のタイマー信号(VT)を出力するサブステップ(35)と、前記電圧レベルエラー信号と前記タイマー信号とを比較して、第2の比較結果信号を前記遅れ補正信号(VGHH)として出力するサブステップ(36)と、を含むものであって良い。前記制御回路は、前記遅れ補正信号に応答して、前記通電スイッチをオフさせるための原制御信号(VGH1)を出力するステップ(22A)と、前記原制御信号に応答して、前記駆動制御信号(VGH2)を前記通電スイッチの制御端子へ供給するステップ(23)と、を更に有して良い。
【0049】
また、前記スイッチング電源部は、同期整流方式の電流共振型DC/DCコンバータ部(12)から構成されて良い。前記同期整流方式の電流共振型DC/DCコンバータ部(12)は、共振用インダクタ(Lr)と共振用キャパシタ(Cr)とから成る共振回路を含み、前記スイッチ素子として前記共振用キャパシタを短絡するための短絡スイッチ(SW2)を備え、前記電流共振型DC/DCコンバータ部は、前記共振用キャパシタの両端電圧を検出するための電圧検出手段を含み、前記制御回路は、前記電圧検出手段からの出力からゼロ電圧を検出して、ゼロ電圧検出信号を出力するゼロ電圧検出回路を含んで良い。この場合、前記遅れ補正ステップは、前記短絡スイッチをオン/オフするための駆動制御信号と前記ゼロ電圧検出信号とに基づいて、遅れ補正信号を出力するものでよい。前記遅れ補正ステップは、前記駆動制御信号により前記短絡スイッチをオンさせるタイミングと、前記ゼロ電圧検出信号の出力タイミングとが実質的に一致するように、前記遅れ補正信号を出力するものであって良い。前記制御回路は、前記遅れ補正信号に応答して、前記短絡スイッチをオンさせるための原制御信号を出力するステップと、前記原制御信号に応答して、前記駆動制御信号を前記短絡スイッチの制御端子へ供給するステップと、を更に有して良い。
【0050】
尚、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されないのは勿論である。
【発明の効果】
【0051】
本発明では、制御回路がスイッチ素子を駆動するのに要する遅れを補正する遅れ補正回路を備えているので、スイッチ素子を常に最適なタイミングでスイッチングすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0053】
図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る電流共振型DC/DCコンバータ10Aについて説明する。図示の電流共振型DC/DCコンバータ10Aは、制御回路の構成が後述するように変更されている点を除いて、図1に図示した電流共振型DC/DCコンバータ10Aと同様の構成を有する。従って、制御回路に20Aの参照符号を付してある。また、図1に示されたものと同一の機能を有するものには同一の参照符号を付して、説明の簡略化のためにそれらの説明については省略する。
【0054】
制御回路20Aは、コントロールロジック回路の動作が変更され、遅れ補正回路30が更に付加されている点を除いて、図1に示した制御回路20と同様の構成を有する。従って、コントロールロジック回路に22Aの参照符号を付してある。
【0055】
遅れ補正回路30は、駆動ハイサイドゲート信号VGH2とゼロ電流検出信号VZCとを受ける。遅れ補正回路30は、ゼロ電流検出信号VZCの立下りから実際に通電スイッチSW1がオフするまで(駆動ハイサイドエラー信号VGH2の立下りまで)の時間をエラー量としてフィードバックし、ハイサイドゲート補正信号(遅れ補正信号)VGHHを生成する。換言すれば、遅れ補正回路30は、スイッチ素子である通電スイッチSW1を駆動するのに要する遅れを補正する回路である。
【0056】
コントロールロジック回路22Aは、ハイサイドゲート補正信号VGHHに基づいて、原ハイサイドゲート信号VGH1を出力する。
【0057】
図4に、図3に図示した全波電流共振型DC/DCコンバータ10Aの制御回路20Aの各部の波形の一例を示す。図4において、(a)は電流検出用抵抗器Rdの両端電圧VIRの波形を示し、(b)はゼロ電流検出回路21から出力されるゼロ電流検出信号VZCの波形を示し、(c)は遅れ補正回路30から生成されるハイサイドゲート補正信号VGHHの波形を示し、(d)はコントロールロジック回路22Aから出力される原ハイサイドゲート信号VGH1の波形を示し、(e)は通電スイッチSW1のゲートに供給される駆動ハイサイドゲート信号VGH2の波形を示す。
【0058】
前述したように、遅れ補正回路30は、ゼロ電流検出信号VZCの立下りから実際に通電スイッチSW1がオフするまで(駆動ハイサイドエラー信号VGH2の立下りまで)の時間(τ+τ)をエラー量としてフィードバックし、ハイサイドゲート補正信号VGHHを生成する。したがって、図4(b)及び(c)に示されるように、遅れ補正回路30は、ゼロ電流検出信号VZCの立下がり時点よりもエラー量に対応する時間だけ早い時点t11で、ハイサイドゲート補正信号VGHHを論理ハイレベルから論理ローレベルに遷移する。
【0059】
この論理ローレベルのハイサイドゲート補正信号VGHHに応答して、コントロールロジック回路22Aは、図4(d)に示されるように、時刻t11からコントロールロジック回路22Aの固有の遅延時間τ経過した時刻t12に、論理ローレベルの原ハイサイドゲート信号VGH1を出力する。
【0060】
この論理ローレベルの原ハイサイドゲート信号VGH1に応答して、ドライバ23は、時刻t12から信号線14のインダクタンス成分Lp及び通電スイッチSW1のゲート容量Cpによる寄生成分に起因する遅延時間τ経過した時刻t13に、論理ローレベルの駆動ハイサイドゲート信号VGH2を通電スイッチSW1のゲートに供給する。
【0061】
これにより、ハイサイドゲート補正信号VGHHのタイミングに各遅れ要素が加わり、ゼロ電流検出信号VZCの立下がり(すなわち、理想のゼロ電流点)で通電スイッチSW1をオフすることができる。
【0062】
次に、図5を参照して、図3に示した遅れ補正回路30の一実施例について説明する。
【0063】
遅れ補正回路30は、第1の基準電圧発生回路31と、第1の比較器32と、エラー信号生成回路33と、電圧レベルエラー信号生成回路34と、タイマー35と、第2の比較器36とを有する。
【0064】
第1の基準電圧発生回路31は第1の基準電圧を発生する。この第1の基準電圧は第1の比較器32に供給される。第1の比較器32には、また、駆動ハイサイドゲート信号VGH2が供給される。第1の比較器32は、第1の基準電圧と駆動ハイサイドゲート信号VGH2とを比較して、第1の比較結果信号を出力する。詳述すると、第1の比較器32の反転入力端子には第1の基準電圧が供給され、第1の比較器32の非反転入力端子には駆動ハイサイドゲート信号VGH2が供給される。駆動ハイサイドゲート信号VGH2が第1の基準電圧よりも高いとき、第1の比較器32は論理ハイレベルの第1の比較結果信号を出力する。駆動ハイサイドゲート信号VGH2が第1の基準電圧よりも低いとき、第1の比較器32は論理ローレベルの第1の比較結果信号を出力する。
【0065】
第1の比較結果信号はエラー信号生成回路33に供給される。エラー信号生成回路33には、また、ゼロ電流検出回路21からゼロ電流検出信号VZCが供給される。エラー信号生成回路33は、第1の比較結果信号とゼロ電流検出信号VZCとに基づいて、後述するように、第1及び第2のエラー信号ERR1及びERR2を生成する。第1及び第2のエラー信号ERR1及びERR2は、第1の比較結果信号とゼロ電流検出信号VZCとの間の誤差の大きさ(エラー量)を、時間軸上の長さで表わした信号である。従って、第1及び第2のエラー信号ERR1及びERR2は、それぞれ、第1及び第2の時間長エラー信号とも呼ばれる。
【0066】
詳述すると、駆動ハイサイドゲート信号VGH2のオフ点(立下がり時点)が通電スイッチSW1を流れる電流のゼロ電流点より早かった場合、エラー信号生成回路33は、その期間の間、論理ローレベルの第1のエラー信号ERR1を生成する。換言すれば、駆動ハイサイドゲート信号VGH2が論理ローレベルで、かつ、ゼロ電流検出信号VZCが論理ハイレベルのとき、エラー信号生成回路33は論理ローレベルの第1のエラー信号ERR1を生成する。この論理ローレベルの第1のエラー信号ERR1は、駆動ハイサイドゲート信号VGH2を遅らせることを指示する信号であるので、遅れ指示信号とも呼ばれる。
【0067】
逆に、駆動ハイサイドゲート信号VGH2のオフ点(立下がり時点)が通電スイッチSW1を流れる電流のゼロ電流点より遅れた場合、エラー信号生成回路33は、その期間の間、論理ハイレベルの第2のエラー信号ERR2を生成する。換言すれば、駆動ハイサイドゲート信号VGH2が論理ハイレベルで、かつ、ゼロ電流検出信号VZCが論理ローレベルのとき、エラー信号生成回路33は論理ハイレベルの第2のエラー信号ERR2を生成する。この論理ハイレベルの第2のエラー信号ERR2は、駆動ハイサイドゲート信号VGH2を進めることを指示する信号であるので、進み指示信号とも呼ばれる。
【0068】
第1及び第2のエラー信号ERR1及びERR2は電圧レベルエラー信号生成回路34に供給される。電圧レベルエラー信号生成回路34は、第1及び第2のエラー信号ERR1及びERR2に基づいて、電圧レベルエラー信号VERRを生成する。
【0069】
詳述すると、電圧レベルエラー信号生成回路34は、第2の基準電圧発生回路341と、第3及び第4のスイッチSW3及びSW4と、第1及び第2の抵抗器Re1及びRe2と、コンデンサCeとから構成されている。
【0070】
第2の基準電圧発生回路341は第2の基準電圧を発生する。第3のスイッチSW3はPチャネルMOSFETから構成され、第4のスイッチSW4はNチャネルMOSFETから構成されている。第3のスイッチSW3に第3のボディダイオード(寄生ダイオード)BD3が寄生し、第4のスイッチSW4に第4のボディ代ダイオード(寄生ダイオード)BD4が寄生している。第3のスイッチSW3のドレインには第3のボディダイオードBD3のアノードが等価的に接続され、第3のスイッチSW3のソースには第3のボディダイオードBD3のカソードが等価的に接続されている。第4のスイッチSW4のソースには第4のボディダイオードBD4のアノードが等価的に接続され、第4のスイッチSW4のドレインには第4のボディダイオードBD4のカソードが等価的に接続されている。
【0071】
第3のスイッチSW3のゲートには第1のエラー信号ERR1が供給され、第3のスイッチSW3のソースには第2の基準電圧発生回路341から第2の基準電圧が供給される。第3のスイッチSW3のドレインと第4のスイッチSW4のドレインとの間には、第1及び第2の抵抗器Re1及びRe2が直列に接続されている。第4のスイッチSW4のゲートには第2のエラー信号ERR2が供給され、第4のスイッチSW4のソースは接地されている。第1及び第2の抵抗器Re1及びRe2の接続点にコンデンサCeの一端が接続され、コンデンサCeの他端は接地されている。
【0072】
このような構成の電圧レベルエラー信号生成回路34においては、第1のエラー信号ERR1が論理ローレベルのとき、第3のスイッチSW3がオンして、第2の基準電圧発生回路341から第1の抵抗器Re1を介してコンデンサCeへ電流が流れ、コンデンサCeが充電される。従って、電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルは上昇する。一方、第2のエラー信号ERR2が論理ハイレベルのとき、第4のスイッチSW4がオンして、コンデンサCeに蓄えられた電荷が電流として第2の抵抗器Re2を介して接地端子へ流れ、コンデンサCeが放電される。従って、電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルは下降する。とにかく、電圧レベルエラー信号生成回路34は、第1及び第2の時間長エラー信号ERR1及びERR2を電圧レベルエラー信号VERRに変換する時間長/電圧レベル変換手段として働く。
【0073】
タイマー34は、後述するような、電圧レベルが徐々に上昇して急激に低下するノコギリ波波形のタイマー信号VTを発生する。
【0074】
第2の比較器36は、タイマー信号VTと電圧レベルエラー信号VERRとを比較して、ハイサイドゲート補正信号(遅れ補正信号)VGHHを出力する回路である。詳述すると、第2の比較器36の反転入力端子にはタイマー信号VTが供給され、第2の比較器36の非反転入力端子には電圧レベルエラー信号VERRが供給される。タイマー信号VTが電圧レベルエラー信号VERRより高いとき、第2の比較器36は論理ローレベルのハイサイドゲート補正信号(遅れ補正信号)VGHHを出力する。逆に、タイマー信号VTが電圧レベルエラー信号VERRより低いとき、第2の比較器36は論理ハイレベルのハイサイドゲート補正信号(遅れ補正信号)VGHHを出力する。
【0075】
次に、図5に加えて図6及び図7を参照して、図5に図示した電流共振型DC/DCコンバータ10Aの制御回路20Aの動作について説明する。図6は通電スイッチSW1を流れる電流がゼロになった後に遅れて通電スイッチSW1がオフした場合(以下、過渡状態1と呼ぶ)における、制御回路20Aの各部の波形を示すタイムチャートである。図7は通電スイッチSW1を流れる電流がゼロになる前に早く通電スイッチSW1がオフした場合(以下、過渡状態2と呼ぶ)における、制御回路20Aの各部の波形を示すタイムチャートである。図6及び図7の各々において、(a)は電流検出用抵抗器Rdの両端電圧VIRの波形を示し、(b)はゼロ電流検出回路21から出力されるゼロ電流検出信号VZCの波形を示し、(c)はタイマー35から出力されるタイマー信号VTと電圧レベルエラー信号生成回路34から生成される電圧レベルエラー信号VERRとの波形を示し、(d)は第2の比較器36から出力されるハイサイドゲート補正信号(遅れ補正信号)VGHHの波形を示し、(e)はコントロールロジック回路22Aから出力される原ハイサイドゲート信号VGH1の波形を示し、(f)はドライバ23から出力される駆動ハイサイドゲート信号(駆動制御信号)VGH2の波形を示し、(g)はエラー信号生成回路33から生成される第1のエラー信号(遅れ指示信号)ERR1の波形を示し、(h)はエラー信号生成回路33から生成される第2のエラー信号(進み指示信号)ERR2の波形を示す。
【0076】
最初に図6を参照して、電流共振型DC/DCコンバータ10Aが過渡状態1の場合の動作について説明する。
【0077】
この場合、時間tが時刻t21のときに、電流検出用抵抗器Rdの両端電圧VIRが0Vになる。従って、ゼロ電流検出回路21はゼロ電流検出信号VZCを論理ハイレベルから論理ローレベルに遷移する。
【0078】
この時刻t21で、この過渡状態1においては、電圧レベルエラー信号生成回路34から生成される電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルが正規のレベルより高いので、図6(c)に示されるように、電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルはタイマー信号VTの電圧レベルより高くなっている。従って、第2の比較器36から出力されるハイサイドゲート補正信号VGHHは論理ハイレベルを維持している(図6(d)参照)。したがって、コントロールロジック回路22Aから出力される原ハイサイドゲート信号VGH1及びドライバ23から出力される駆動ハイサイドゲート信号VGH2は共に論理ハイレベルを維持している(図6(e)、(f)参照)。
【0079】
駆動ハイサイドゲート信号VGH2が論理ハイレベルであるので、第1の比較器32は論理ハイレベルの第1の比較結果信号を出力する。第1の比較結果信号が論理ハイレベルで、かつ、ゼロ電流検出信号VZCが論理ローレベルであるので、エラー信号生成回路33は、図6(h)に示されるように、論理ハイレベルの第2のエラー信号ERR2を生成する。
【0080】
この論理ハイレベルの第2のエラー信号ERR2に応答して、電圧レベルエラー生成回路34の第4のスイッチSW4はオンする。その結果、コンデンサCeに蓄えられている電荷が電流として第2の抵抗器Re2を介して接地端子へ流れ、コンデンサCeが放電され、電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルは下降する。従って、タイマー信号VTと電圧レベルエラー信号VERRとの交点(すなわち、ハイサイドゲート補正信号VGHHの立下り)は早くなり、第2のエラー信号ERR2の論理ハイレベルの期間が短くなる方向に補正される。
【0081】
時間tが時刻t22になると、タイマー信号VTの電圧レベルが電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルより高くなるので、第2の比較器36はハイサイドゲート補正信号(遅れ補正信号)VGHHを論理ハイレベルから論理ローレベルに遷移する。
【0082】
このハイサイドゲート補正信号(遅れ補正信号)VGHHに応答して、時刻t22からコントロールロジック回路22Aに固有の遅延時間τだけ経過した時点t23で、コントロールロジック回路22Aは原ハイサイドゲート信号VGH1を論理ハイレベルから論理ローレベルに遷移する(図6(e)参照)。
【0083】
そして、この原ハイサイドゲート信号VGH1に応答して、ドライバ23は、時刻t23から上述した寄生成分による遅延時間τだけ経過して時点t24で、駆動ハイサイドゲート信号VGH2を論理ハイレベルから論理ローレベルに遷移する。
【0084】
この論理ローレベルの駆動ハイサイドゲート信号VGH2に応答して、通電スイッチSW2はオフする。これにより通電スイッチSW2を電流が流れなくなるので、電流検出用抵抗器Rdの両端電圧VIRはゼロになる。また、駆動ハイサイドゲート信号VGH2が論理ローレベルになるので、第1の比較器32は論理ローレベルの第1の比較結果信号を出力する。第1の比較結果信号とゼロ電流検出信号VZCとの両方が論理ローレベルなので、エラー信号生成回路33は第2のエラー信号(進み指示信号)ERR2を論理ハイレベルから論理ローレベルに遷移する。この論理ローレベルの第2のエラー信号(進み指示信号)ERR2に応答して、第4のスイッチSW4はオフするので、コンデンサCeの放電は停止する。
【0085】
とにかく、時刻t21から時刻t24までの第2のエラー信号ERR2が論理ハイレベルとなっている期間の間、コンデンサCeは放電するので、電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルは下降する。そのため、タイマー信号VTと電圧レベルエラー信号VERRとの交点は早くなり、第2のエラー信号ERR2の論理ハイレベルとなっている期間が短くなる方向に補正される。つまり、このようなフィードバックループにより、ドライバ23から出力される駆動ハイサイドゲート信号VGH2のオフタイミングが通電スイッチSW1を流れる電流がゼロ電流の時点付近に収束するように制御される。
【0086】
次に図7を参照して、電流共振型DC/DCコンバータ10Aが過渡状態2の場合の動作について説明する。過渡状態2では、電圧レベルエラー信号生成回路34から出力される電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルが正規のレベルよりも低くなり過ぎている。
【0087】
したがって、電流検出用抵抗器Rdの両端電圧VIRが0Vになるはるか以前の時刻t31で、タイマー信号VTの電圧レベルが電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルより高くなる(図7(c)参照)。その結果、第2の比較器36は、ハイサイドゲート補正信号(遅れ補正信号)VGHHを論理ハイレベルから論理ローレベルに遷移する(図7(d)参照)。
【0088】
時刻t31からコントロールロジック回路22Aの固有の遅延時間τだけ経過した時点t32で、コントロールロジック回路22Aは、原ハイサイドゲート信号VGH1を論理ハイレベルから論理ローレベルに遷移する。
【0089】
そして、この時刻t32から上述した寄生成分に起因する遅延時間τだけ経過した時点t33で、ドライバ23は駆動ハイサイドゲート信号VGH2を論理ハイレベルから論理ローレベルに遷移する。この論理ローレベルの駆動ハイサイドゲート信号VGHに応答して、通電スイッチSW1はオフする。但し、この時点t33では、共振用インダクタLrを流れる電流は、負の値(逆方向)であり、つまり、共振用キャパシタCrが共振用インダクタLrを介して通電スイッチSW1側へ流れる方向であるので、通電スイッチSW1の寄生ダイオードである第1のボディダイオードBD1を介して電流は流れ続ける。
【0090】
駆動ハイサイドゲート信号VGH2が論理ローレベルになったので、第1の比較器32は論理ローレベルの第1の比較結果信号を出力する。一方、前述したように、通電スイッチSW1を流れる電流は負の値であるので、電流検出用抵抗器Rdの両端電圧VIRも負の値であり、ゼロ電流検出回路21は論理ハイレベルのゼロ電流検出信号VZCを出力している(図7(a)参照)。第1の比較結果信号が論理ローレベルで、ゼロ電流検出信号VZCが論理ハイレベルであるので、エラー信号生成回路33は、図7(g)に示されるように、論理ローレベルの第1のエラー信号ERR1を生成する。
【0091】
この論理ローレベルの第1のエラー信号(遅れ指示信号)ERR1に応答して、電圧レベルエラー信号生成回路34の第3のスイッチSW3はオンし、第2の基準電圧発生回路341から第1の抵抗器Re1を介して電流がコンデンサCeへ流れ、コンデンサCeは充電される。この結果、電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルは上昇する。
【0092】
したがって、タイマー信号VTと電圧レベルエラー信号VERRとの交点(ハイサイドゲート補正信号VGHHの立ち下がり時点)は遅くなり、第1のエラー信号ERR1が論理ローレベルである期間が短くなる方向へ補正される。
【0093】
時間tが時刻t34になると、通電スイッチSW1を流れる電流がゼロとなり、電流検出用抵抗器Rdの両端電圧VIRが0Vになる。したがって、ゼロ電流検出回路21は、ゼロ電流検出信号VZCを論理ハイレベルから論理ローレベルに遷移する。この時点t34で、ゼロ電流検出信号VZCと第1の比較結果信号とが共に論理ローレベルになるので、エラー信号生成回路33は、第1のエラー信号ERR1を論理ローレベルから論理ハイレベルに遷移する。
【0094】
とにかく、時刻t33から時刻t34までの、第1のエラー信号ERR1が論理ローレベルとなっている期間の間、第3のスイッチSW3はオンし、コンデンサCeを充電して、電圧レベルエラー信号VERRの電圧レベルは上昇する。その結果、タイマー信号VTと電圧レベルエラー信号VERRとの交点(ハイサイドゲート補正信号VGHHの立ち下がり時点)は遅くなり、第1のエラー信号ERR1が論理ローレベルである期間が短くなる方向に補正される。つまり、このようなフィードバックループにより、ドライバ23から出力される駆動ハイサイドゲート信号VGH2のオフタイミングが通電スイッチSW1を流れる電流がゼロ電流の時点付近に収束するように制御される。
【0095】
上述したように、制御回路20Aに遅れ補正回路30を追加することにより、常に最適なゼロ電流スイッチング(ZCS)が可能となる。また、本実施の形態に係る制御回路20Aはフィードバックループを構成しているため、電流共振型DC/DCコンバータ10Aの周囲温度などの環境変化に対しても、常に最適条件を維持することができる。さらに、使用する通電スイッチSW1に個別の特性ばらつきがある場合でも、そのばらつきを補正回路30が吸収するため、最適条件を維持することができる。
【0096】
また、電流共振型DC/DCコンバータ10Aの構成部品として特性の大きく違う部品を使用したとしても、制御回路20Aのフィードバックループの帯域内であれば、最適条件を維持することができる。そのため、電流共振型DC/DCコンバータ10Aとして要求される仕様や価格に応じて部品を選定する場合でも、基本的設計を変更する必要はない。
【0097】
図3、図5ではスイッチにMOSFETを使用しているが、スイッチとしてバイポーラトランジスタや接合形FETなどを使用しても良いのは勿論である。
【0098】
以上、本発明について好ましい実施の形態によって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定しないのは勿論である。例えば、上述した実施の形態では、降圧形で、同期整流方式の全波電流共振型DC/DCコンバータを例に挙げて説明しているが、昇圧形、極性反転形の他のタイプにも適用可能なのは勿論であり、非同期方式であっても良い。非同期方式の場合には、短絡スイッチSW2の代わりにダイオードが使用される。
【0099】
また、上述した同期整流方式の全波電流共振型DC/DCコンバータにおいては、短絡スイッチSW2は、共振用キャパシタCrの両端電圧VCrが0Vになった瞬間にオンすることにより、損失を最小化できる。したがって、この制御動作においても、制御回路に、上述した遅れ補正回路による遅れ補正ループを追加することにより、部品特性、周囲温度特性などに左右されずに、つねに最適条件に維持することが可能となる。その場合、例えば、電流共振型DC/DCコンバータ部12は、共振用キャパシタCrの両端電圧VCrを検出する電圧検出器を備え、制御回路は、ゼロ電流検出回路21の代わりにゼロ電圧検出回路を備え、補正回路は、駆動ローサイドゲート信号とゼロ電圧検出信号とに基づいて、ローサイドゲート補正信号(遅れ補正信号)を出力する。
【0100】
さらに、上述した電流共振型DC/DCコンバータ以外の他のスイッチング電源全般においても、一般的にスイッチ素子の寄生容量により必ずスイッチングタイミングに遅れが発生する。このようなスイッチングタイミングの遅れを、上述したような遅れ補正回路を制御回路に追加することにより、補正することによって、容易に安全で最適なスイッチングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】従来の降圧形で、同期整流方式の全波電流共振型DC/DCコンバータの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した全波電流共振型DC/DCコンバータに使用される制御回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図3】本発明の一実施の形態に係る、降圧形で、同期整流方式の全波電流共振型DC/DCコンバータの構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示した全波電流共振型DC/DCコンバータに使用される制御回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図5】図3に図示した全波電流共振型DC/DCコンバータに使用される制御回路中の補正回路の詳細の一例を示すブロック図である。
【図6】図5に示した全波電流共振型DC/DCコンバータに使用される制御回路の動作を説明するために、通電スイッチを流れる電流がゼロになった後に遅れて通電スイッチがオフした場合(過渡状態1)における、制御回路の各部の波形を示すタイムチャートである。
【図7】図5に示した全波電流共振型DC/DCコンバータに使用される制御回路の動作を説明するために、通電スイッチを流れる電流がゼロになる前に早く通電スイッチがオフした場合(過渡状態2)における、制御回路の各部の波形を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0102】
10A 降圧形全波電流共振型DC/DCコンバータ
11 入力電源
12 降圧形全波電流共振型DC/DCコンバータ部
13 負荷
20A 制御回路
21 ゼロ電流検出回路
22A コントロールロジック回路
23 ドライバ
30 遅れ補正回路
31 第1の基準電圧発生回路
32 第1の比較器
33 エラー信号生成回路
34 電圧レベルエラー信号生成回路
35 タイマー
36 第2の比較器
Lr 共振用インダクタ
SW1 通電スイッチ
Cr 共振用キャパシタ
SW2 短絡スイッチ
Lo 出力インダクタ
Co 出力コンデンサ
Ci 入力コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ素子を含むスイッチング電源部と、前記スイッチ素子のオン/オフを制御する制御回路とを備えたスイッチング電源において、
前記制御回路は、前記スイッチ素子を駆動するのに要する遅れを補正する遅れ補正回路を備えたことを特徴とするスイッチング電源。
【請求項2】
前記スイッチング電源部が、電流共振型DC/DCコンバータ部から成る、請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項3】
前記電流共振型DC/DCコンバータ部が、全波電流共振型DC/DCコンバータ部から成る、請求項2に記載のスイッチング電源。
【請求項4】
前記全波電流共振型DC/DCコンバータ部が、降圧形全波電流共振型DC/DCコンバータ部からなる、請求項3に記載のスイッチング電源。
【請求項5】
前記電流共振型DC/DCコンバータ部は、共振用インダクタと共振用キャパシタとから成る共振回路を含み、前記スイッチ素子として前記共振用インダクタを通電するための通電スイッチを備え、前記電流共振型DC/DCコンバータ部は、前記通電スイッチを流れる電流を検出するための電流検出手段を含み、前記制御回路は、前記電流検出手段からの出力からゼロ電流を検出して、ゼロ電流検出信号を出力するゼロ電流検出回路を含み、
前記遅れ補正回路は、前記通電スイッチをオン/オフするための駆動制御信号と前記ゼロ電流検出信号とに基づいて、遅れ補正信号を出力することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1つに記載のスイッチング電源。
【請求項6】
前記遅れ補正回路は、前記駆動制御信号により前記通電スイッチをオフさせるタイミングと、前記ゼロ電流検出信号の出力タイミングとが実質的に一致するように、前記遅れ補正信号を出力することを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源。
【請求項7】
前記遅れ補正回路は、
基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、
前記基準電圧と前記駆動制御信号とを比較して第1の比較結果信号を出力する第1の比較器と、
前記第1の比較結果信号と前記ゼロ電流検出信号とに基づいて、遅れ指示信号又は進み指示信号を出力するエラー信号生成回路と、
前記遅れ指示信号又は前記進み指示信号に応答して、電圧レベルエラー信号を生成する電圧レベルエラー信号生成回路と、
所定のノコギリ波形状のタイマー信号を出力するタイマーと、
前記電圧レベルエラー信号と前記タイマー信号とを比較して、第2の比較結果信号を前記遅れ補正信号として出力する第2の比較器と、
から構成されることを特徴とする請求項6に記載のスイッチング電源。
【請求項8】
前記制御回路は、前記遅れ補正信号に応答して、前記通電スイッチをオフさせるための原制御信号を出力するコントロールロジック回路と、前記原制御信号に応答して、前記駆動制御信号を前記通電スイッチの制御端子へ供給するドライバとを更に有する、請求項6又は7に記載のスイッチング電源。
【請求項9】
前記スイッチング電源部は、同期整流方式の電流共振型DC/DCコンバータ部から成る、請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項10】
前記同期整流方式の電流共振型DC/DCコンバータ部は、共振用インダクタと共振用キャパシタとから成る共振回路を含み、前記スイッチ素子として前記共振用キャパシタを短絡するための短絡スイッチを備え、前記電流共振型DC/DCコンバータ部は、前記共振用キャパシタの両端電圧を検出するための電圧検出手段を含み、前記制御回路は、前記電圧検出手段からの出力からゼロ電圧を検出して、ゼロ電圧検出信号を出力するゼロ電圧検出回路を含み、
前記遅れ補正回路は、前記短絡スイッチをオン/オフするための駆動制御信号と前記ゼロ電圧検出信号とに基づいて、遅れ補正信号を出力することを特徴とする請求項9に記載のスイッチング電源。
【請求項11】
前記遅れ補正回路は、前記駆動制御信号により前記短絡スイッチをオンさせるタイミングと、前記ゼロ電圧検出信号の出力タイミングとが実質的に一致するように、前記遅れ補正信号を出力することを特徴とする請求項10に記載のスイッチング電源。
【請求項12】
前記制御回路は、前記遅れ補正信号に応答して、前記短絡スイッチをオンさせるための原制御信号を出力するコントロールロジック回路と、前記原制御信号に応答して、前記駆動制御信号を前記短絡スイッチの制御端子へ供給するドライバとを更に有する、請求項11に記載のスイッチング電源。
【請求項13】
スイッチ素子を含むスイッチング電源部と、前記スイッチ素子のオン/オフを制御する制御回路とを備えたスイッチング電源における、前記制御回路において前記スイッチ素子のスイッチングタイミングを制御する制御方法であって、
前記スイッチ素子を駆動するのに要する遅れを補正するステップを含むことを特徴とするスイッチング電源の制御方法。
【請求項14】
前記スイッチング電源部が、電流共振型DC/DCコンバータ部から成る、請求項13に記載のスイッチング電源の制御方法。
【請求項15】
前記電流共振型DC/DCコンバータ部が、全波電流共振型DC/DCコンバータ部から成る、請求項14に記載のスイッチング電源の制御方法。
【請求項16】
前記全波電流共振型DC/DCコンバータ部が、降圧形全波電流共振型DC/DCコンバータ部からなる、請求項15に記載のスイッチング電源の制御方法。
【請求項17】
前記電流共振型DC/DCコンバータ部は、共振用インダクタと共振用キャパシタとから成る共振回路を含み、前記スイッチ素子として前記共振用インダクタを通電するための通電スイッチを備え、前記電流共振型DC/DCコンバータ部は、前記通電スイッチを流れる電流を検出するための電流検出手段を含み、前記制御回路は、前記電流検出手段からの出力からゼロ電流を検出して、ゼロ電流検出信号を出力するゼロ電流検出回路を含み、
前記遅れ補正ステップは、前記通電スイッチをオン/オフするための駆動制御信号と前記ゼロ電流検出信号とに基づいて、遅れ補正信号を出力することを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1つに記載のスイッチング電源の制御方法。
【請求項18】
前記遅れ補正ステップは、前記駆動制御信号により前記通電スイッチをオフさせるタイミングと、前記ゼロ電流検出信号の出力タイミングとが実質的に一致するように、前記遅れ補正信号を出力することを特徴とする請求項17に記載のスイッチング電源の制御方法。
【請求項19】
前記遅れ補正ステップは、
基準電圧を発生するサブステップと、
前記基準電圧と前記駆動制御信号とを比較して第1の比較結果信号を出力するサブステップと、
前記第1の比較結果信号と前記ゼロ電流検出信号とに基づいて、遅れ指示信号又は進み指示信号を出力するサブステップと、
前記遅れ指示信号又は前記進み指示信号に応答して、電圧レベルエラー信号を生成するサブステップと、
所定のノコギリ波形状のタイマー信号を出力するサブステップと、
前記電圧レベルエラー信号と前記タイマー信号とを比較して、第2の比較結果信号を前記遅れ補正信号として出力するサブステップと、
を含むことを特徴とする請求項18に記載のスイッチング電源の制御方法。
【請求項20】
前記制御回路は、
前記遅れ補正信号に応答して、前記通電スイッチをオフさせるための原制御信号を出力するステップと、
前記原制御信号に応答して、前記駆動制御信号を前記通電スイッチの制御端子へ供給するステップと、
を更に有する請求項18又は19に記載のスイッチング電源の制御方法。
【請求項21】
前記スイッチング電源部は、同期整流方式の電流共振型DC/DCコンバータ部から成る、請求項13に記載のスイッチング電源の制御方法。
【請求項22】
前記同期整流方式の電流共振型DC/DCコンバータ部は、共振用インダクタと共振用キャパシタとから成る共振回路を含み、前記スイッチ素子として前記共振用キャパシタを短絡するための短絡スイッチを備え、前記電流共振型DC/DCコンバータ部は、前記共振用キャパシタの両端電圧を検出するための電圧検出手段を含み、前記制御回路は、前記電圧検出手段からの出力からゼロ電圧を検出して、ゼロ電圧検出信号を出力するゼロ電圧検出回路を含み、
前記遅れ補正ステップは、前記短絡スイッチをオン/オフするための駆動制御信号と前記ゼロ電圧検出信号とに基づいて、遅れ補正信号を出力することを特徴とする請求項21に記載のスイッチング電源の制御方法。
【請求項23】
前記遅れ補正ステップは、前記駆動制御信号により前記短絡スイッチをオンさせるタイミングと、前記ゼロ電圧検出信号の出力タイミングとが実質的に一致するように、前記遅れ補正信号を出力することを特徴とする請求項22に記載のスイッチング電源の制御方法。
【請求項24】
前記制御回路は、
前記遅れ補正信号に応答して、前記短絡スイッチをオンさせるための原制御信号を出力するステップと、
前記原制御信号に応答して、前記駆動制御信号を前記短絡スイッチの制御端子へ供給するステップと、
を更に有する請求項23に記載のスイッチング電源の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−28830(P2007−28830A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209217(P2005−209217)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】