説明

スイッチング電源回路における待機電力低減方法および待機電力低減装置

【課題】 本発明は、スイッチング電源を用いた回路において、待機時のサブ電源が不要である待機電力の低減を行うものである。
【解決手段】 マイクロコンピュータからの信号により、平滑コンデンサーに並列接続された電圧検出用分割抵抗の一つに他の抵抗を並列接続させることで、電流制御素子の電流を変えて、負荷に対する待機モードにおける電圧を低下させるとともに、前記マイクロコンピュータに必要な最低限の電圧を確保する待機電力低減方法および装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作モードにおいて、商用交流電源に一次コイルおよび二次コイルからなる電源トランスを接続し、制御回路を含めた負荷に電力を供給するスイッチング電源回路における待機電力低減方法および待機電力低減装置に関するものである。
【0002】
本発明は、特に、待機モードにおいて、制御回路用のサブ電源を設けることなく、一つのスイッチング電源回路により、前記制御回路に最低限必要な電圧に切り替えることにより、待機電力の低減を図ったスイッチング電源回路における待機電力低減方法および待機電力低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来のファンヒータ等の暖房器具、給湯機、あるいはビデオデッキ等の家庭用電気機器は、スイッチのオン−オフ時間等の予約動作を行うものが多い。たとえば、特開2001−78357号公報において、予約機能付き電気機器の待機電力低減装置は、商用交流電源から電源トランスを介して得られる電源電力で稼働する電気機器が予約待機モード下において、消費する予約待機電力を低減するものである。
【特許文献1】特開2001−78357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、待機モード中の電気機器は、動作モードにおける負荷に電力を供給する必要がないが、予約等を行うために、少なくとも時計あるいはマイクロコンピュータ等の負荷への電力を供給する必要がある。
【0005】
前記マイクロコンピュータは、待機モード中であっても、最低限の電力が必要である。本発明は、前記マイクロコンピュータに必要な最低限の電力をサブ電源により供給することなく、通常の動作モードにおけるスイッチング電源回路を待機モードにする際に、自動的に最低限の電力が供給できるようにして、待機電力の低減を図ることができるスイッチング電源回路における待機電力低減方法および待機電力低減装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明の待機電力低減方法は、交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより所望の電圧を得るスイッチング電源回路において、マイクロコンピュータからの待機モード信号により、動作モードと異なる電流変化をスイッチング電源回路にフィードバックし、待機モードにおいて、前記マイクロコンピュータの最低限必要な電圧に前記スイッチング電源回路の電圧を低下させ、前記低下された電圧により前記マイクロコンピュータを動作させるとともに、前記負荷にかかる不必要な電力の低減およびスイッチングロスの低減を図ることを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明の待機電力低減方法は、交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより、複数の電圧ラインを所望電圧に変換するスイッチング電源回路において、マイクロコンピュータからの待機モード信号で出力電圧の中で最も高い電圧ラインの電圧を検出し、前記検出された電圧信号で動作モードと異なる電流変化をスイッチング電源回路にフィードバックし、待機モードにおいて、前記最も高い電圧ラインの電圧を前記マイクロコンピュータの最低限必要な電圧に低下させ、前記低下された電圧ラインで前記マイクロコンピュータを動作させるとともに、前記負荷にかかる不必要な電力の低減およびスイッチングロスの低減を図ることを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明の待機電力低減方法は、負荷に接続する電圧ライン切り替え時に発生する電圧上昇および低下を抑えるために、切り替え時に発生する電圧変動をレギュレーションさせることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明の待機電力低減装置は、交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより、所望の電圧を得るスイッチング電源回路において、負荷の制御および待機モードにおける制御を行うマイクロコンピュータと、前記負荷および前記マイクロコンピュータに必要なスイッチング電源回路と、前記スイッチング電源回路に並列に接続された平滑コンデンサーと、前記平滑コンデンサーに並列に設けられた電流制御素子と、前記電流制御素子によって制御された電流をフィードバックするフィードバック制御回路と、マイクロコンピュータからの待機モード信号により、動作モードと異なる電流変化を与えるとともに、前記マイクロコンピュータの最低限必要な電圧に前記スイッチング電源回路の電圧を低下させるスイッチング素子と、を少なくとも備えていることを特徴とする。
【0010】
(第5発明)
第5発明の待機電力低減装置において、フィードバック制御回路は、平滑コンデンサーに並列に接続されているとともに、互いに直列に接続されたフォトカプラーおよび電流制御素子と、前記平滑コンデンサーに並列に接続された電圧検出用分割抵抗と、マイクロコンピュータからの待機モード信号によりオンするスイッチング素子と、前記スイッチング素子のオンにより、前記電圧検出用分割抵抗の一方の抵抗と並列に接続される抵抗と、前記電圧検出用分割抵抗の他方の抵抗の電圧レベルが変化することにより、前記電流制御素子の電流を制御し、前記フォトカプラーの明るさを変えることにより、フィードバック制御を行うことを特徴とする。
【0011】
(第6発明)
第6発明の待機電力低減装置は、交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより、複数の電圧ラインを所望電圧に変換するスイッチング電源回路において、複数の負荷の制御および待機モードにおける制御を行うマイクロコンピュータと、前記複数の負荷および前記マイクロコンピュータに必要な電力を供給するスイッチング電源回路と、前記スイッチング電源回路に並列に接続された平滑コンデンサーと、前記平滑コンデンサーに並列に設けられた電流制御素子と、前記マイクロコンピュータの待機モード信号によって、前記複数の電圧ラインの内の最高電圧を検出する検出回路と、前記検出回路によって検出された前記電圧ラインの電圧により制御される前記電流制御素子の電流変化をフィードバックするフィードバック制御回路と、前記マイクロコンピュータの待機モード信号によって、前記最高電圧を次の電圧値に切り替える電圧ライン切替回路とを少なくとも備えていることを特徴とする。
【0012】
(第7発明)
第7発明の待機電力低減装置において、電圧ライン切替回路は、電圧切り替え時に発生する電圧上昇を抑えるためのインターバル回路を備えていることを特徴とする。
【0013】
(第8発明)
第8発明の待機電力低減装置は、交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより、複数の電圧ラインを所望電圧に変換するスイッチング電源回路において、複数の負荷の制御および待機モードにおける制御を行うマイクロコンピュータと、前記複数の負荷および前記マイクロコンピュータに必要な電力を供給するスイッチング電源回路と、前記スイッチング電源回路に並列に接続された平滑コンデンサーと、前記平滑コンデンサーに並列に設けられた電流制御素子と、前記マイクロコンピュータの待機モード信号によって、前記複数の電圧ラインの内の最高電圧を検出する検出回路と、前記検出回路によって検出された電圧ラインの電圧により制御される前記電流制御素子の電流変化をフィードバックするフィードバック制御回路と、待機モードに切り替える際に発生する電圧の上昇を抑えるために能動状態で動作するスイッチング素子と、前記電圧の低下を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路によって所定の電圧が検出されることにより、前記スイッチング素子をオンにして電圧の降下を抑える電圧ライン切替回路とを少なくとも備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マイクロコンピュータが必要な最低限の動作電圧となるようにスイッチング電源回路の電圧を低下させることにより、待機モードにおける不必要な電力の低減およびスイッチングロスの低減を図ることができる。
【0015】
本発明によれば、マイクロコンピュータからの待機モード信号により、スイッチング電源回路に並列に設けられた電流制御素子に流れる電流の変化をスイッチング電源回路にフィードバックし、前記スイッチング電源回路の電圧を低下させるといった簡単な回路により、待機モードにおける最低限必要な電力を確保するとともに、不必要な電力の低減およびスイッチングロスの低減を図ることができる。
【0016】
本発明によれば、マイクロコンピュータからの待機モード信号により、スイッチング電源回路における最高電圧を検出することにより、前記電流制御素子に流れる電流を変え、前記電流に基づいた値を、スイッチング電源回路にフィードバックし、前記スイッチング電源回路の電圧を低下させて、前記マイクロコンピュータの電源として使用することにより、待機モードにおける不必要な電力の低減およびスイッチングロスの低減を図ることができる。
【0017】
本発明によれば、待機モードにより、スイッチング電源回路における電圧が上昇または低下する際に発生する過電圧による弊害を除去するために、インターバル回路やレギュレーション回路等を設けることにより、待機モードにおける不必要な電力の低減およびスイッチングロスの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1発明)
第1発明のスイッチング電源回路における待機電力低減方法は、前記スイッチング電源回路が一次コイルおよび二次コイルからなる変圧器と平滑コンデンサーとから構成される。前記スイッチング電源回路は、スイッチング素子により交流電源がスイッチングされた後、前記変圧器により変圧し、前記平滑コンデンサーにより所望の電圧を得る。
【0019】
マイクロコンピュータは、待機モードにおいても、制御するための最低限の電力が必要である。そこで、前記スイッチング電源回路は、前記マイクロコンピュータの電力を前記マイクロコンピュータからの待機モード信号により、動作モードと異なる電流変化をスイッチング電源回路にフィードバックすることで、出力電圧を低下させる。前記スイッチング電源回路は、待機モードにおいて、前記マイクロコンピュータに必要な最低限の電力を確保して、負荷および前記マイクロコンピュータにかかる電圧を低下させるとともにスイッチングロスの低減を図ることができる。
【0020】
(第2発明)
第2発明のスイッチング電源回路における待機電力低減方法は、前記スイッチング電源回路が一次コイルおよび二次コイルからなる変圧器と平滑コンデンサーとから構成され、複数の電圧ラインから所望電圧を得ることができる。前記スイッチング電源回路は、スイッチング素子により交流電源がスイッチングされた後、前記変圧器により変圧し、複数の二次コイルと複数の平滑コンデンサーにより複数の電圧ラインから所望の複数の電圧を得ることができる。
【0021】
また、第2発明は、負荷を制御するマイクロコンピュータからの待機モード信号で出力電圧の中で最も高い電圧ラインの電圧を検出する。前記検出された電圧信号は、動作モードと異なる電流変化をスイッチング電源回路にフィードバックする。
【0022】
前記待機モードにおいて、前記フィードバックがかかったスイッチング電源回路は、前記最も高い電圧ラインを前記マイクロコンピュータが最低限動作に必要な電圧まで低下させる。前記低下された電圧ラインの電圧は、前記マイクロコンピュータおよび負荷に電力を供給するため、不必要な電力の低減およびスイッチングロスの低減を図ることができる。
【0023】
(第3発明)
第3発明のスイッチング回路における待機電力低減装置は、負荷およびマイクロコンピュータに供給されていた電圧が急上昇および急降下する際の過電圧が発生する。前記不都合な電圧変動は、待機モードにした際の電圧の切り替え時にレギュレーションさせて、抑えている。
【0024】
(第4発明)
第4発明のスイッチング回路における待機電力低減装置は、前記スイッチング電源回路が一次コイルおよび二次コイルからなる変圧器と平滑コンデンサーとから構成され、所望電圧を得ることができる。前記スイッチング電源回路は、スイッチング素子により交流電源がスイッチングされた後、前記変圧器により変圧し、前記平滑コンデンサーにより所望の電圧を得る。
【0025】
マイクロコンピュータは、負荷の制御および待機モードにおける制御を行う。前記スイッチング電源回路は、スイッチング素子により交流電源がスイッチングされ、前記変圧器の一次コイルおよび二次コイルにより変圧し、前記平滑コンデンサーにより、所望の電圧を必要とする負荷、およびマイクロコンピュータに必要な電圧を得る。
【0026】
平滑コンデンサーは、前記スイッチング電源回路に並列に接続されている。フィードバック制御を行うための電流制御素子は、前記平滑コンデンサーに並列に設けられている。フィードバック制御回路は、動作モードにおいて、前記電流制御素子によって制御された電流をフィードバックし、前記スイッチング電源回路から所望電圧を安定して出力する。
【0027】
また、フィードバック制御回路は、待機モードにおいて、前記マイクロコンピュータから待機モード信号により、前記電流制御素子の電流を変えることにより、動作モードより大きなフィードバックをかけて、前記スイッチング電源回路の出力電圧を低下させることにより、マイクロコンピュータに必要な最低限必要な電力を確保するとともに、負荷にかかる不必要な電力の低減およびスイッチングロスの低減を図っている。
【0028】
たとえば、待機モード信号は、前記平滑コンデンサーに並列に接続された分割抵抗の一方に並列に抵抗を接続する。その結果、電流制御素子にかかる電圧は、上昇することにより、電流制御素子の電流を変化させて、フィードバックの量を大きくしている。
【0029】
(第5発明)
第5発明のスイッチング電源回路における待機電力低減装置は、第4発明におけるフィードバック制御回路が前記平滑コンデンサーに並列に接続されているとともに、互いに直列に接続されたフォトカプラーと電流制御素子と、前記平滑コンデンサーに並列に接続された電圧検出用分割抵抗と、前記マイクロコンピュータからの信号によりオンするスイッチング素子と、前記スイッチング素子のオンにより、前記電圧検出用分割抵抗の一方と並列に接続する抵抗とから構成されている。
【0030】
前記電圧検出用分割抵抗の他方の抵抗の電圧レベルは、変化することにより、前記電流制御素子の電流を制御し、前記フォトカプラーの明るさを変えて、フィードバック制御を行う。すなわち、前記電圧検出用分割抵抗の他方の抵抗の電圧レベルは、フォトカプラーの明るさを変えることにより、スイッチング電源回路におけるスイッチングの周期等を変えることで、スイッチング電源回路の電圧を制御している。
【0031】
(第6発明)
第6発明のスイッチング電源回路における待機電力低減装置は、スイッチング電源回路から複数の所望電圧を得ることができる点、マイクロコンピュータからの待機モード信号により、最高電圧ラインの電圧を検出し、フィードバック制御を行う点、および前記マイクロコンピュータからの待機モード信号により、最高電圧ラインを次の電圧ラインに切り替えている点で、第5発明と異なっている。
【0032】
前記検出回路は、前記マイクロコンピュータの待機モード信号によって、前記複数の所望電圧の内の最高電圧を検出する。フィードバック制御回路は、前記検出回路によって検出された電圧により制御される前記電流制御素子の電流変化をフィードバックする。電圧ライン切替回路は、前記マイクロコンピュータの待機モード信号によって、前記最高電圧を次の電圧値に切り替える。
【0033】
第6発明のスイッチング電源回路における待機電力低減装置は、前記検出回路およびフィードバック制御回路により、前記マイクロコンピュータが必要とする最低限必要な電圧にするため、負荷に無駄な電力が消費されない。
【0034】
(第7発明)
第7発明のスイッチング電源回路における待機電力低減装置は、高い電圧から低い電圧に切り替える電圧ライン切替回路において、電圧切り替え時に発生する電圧上昇を抑えるために、インターバル回路が備えられている。前記インターバル回路は、電圧切り替え時に発生する過電圧が減少した後に前記電圧ライン切替回路によって切り替えている。
【0035】
(第8発明)
第8発明のスイッチング電源回路における待機電力低減装置は、第6発明と同様に、交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより、複数の所望電圧を得ている。マイクロコンピュータは、前記複数の負荷の制御および待機モードにおける制御を行っている。
【0036】
スイッチング電源回路は、前記複数の負荷および前記マイクロコンピュータに必要な電力を供給する。平滑コンデンサーは、前記スイッチング電源回路に並列に接続されて、スイッチング電源回路の二次コイル電圧を平滑する。電流制御素子は、前記平滑コンデンサーに並列に設けられている。
【0037】
検出回路は、前記マイクロコンピュータの待機モードによる信号によって、前記複数の所望電圧の内の最高電圧を検出する。フィードバック制御回路は、前記検出回路によって検出された電圧により制御される前記電流制御素子の電流変化をフィードバックする。
【0038】
電圧ライン切替回路は、待機モードに切り替える際に発生する電圧の上昇を抑えるために能動状態で動作するスイッチング素子と、前記電圧の低下を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路によって所定の電圧が検出されることにより、前記スイッチング素子をオンにして、最高電圧から次の低い電圧に切り替えられる。すなわち、マイクロコンピュータは、前記次の低い電圧により、最低限の電圧を確保することができるととも、待機モードにおいて、負荷による無駄な電力を消費しない。
【実施例1】
【0039】
図1は本発明の第1実施例で、待機電力の低減を図ることができるスイッチング電源回路における待機電力低減装置を説明するための図である。図1において、商用交流電源には、スイッチング電源回路1と、図示されていない前記スイッチング電源回路1のトランスの二次コイルに接続された平滑コンデンサー2と、前記平滑コンデンサー2に並列に接続されたフィードバック制御回路3と、前記スイッチング電源回路1に接続された負荷Aと、前記スイッチング電源回路1に接続されたレギュレータ4と、前記レギュレータ4によって動作するマイクロコンピュータ5とが接続されている。
【0040】
スイッチング電源回路1は、図示されていない、一次コイルおよび二次コイルを有するトランスであり、同じく図示されていない、スイッチング回路を備えている。前記平滑コンデンサー2は、前記二次コイル側に並列に接続されて、直流電圧が出力する。
【0041】
前記フィードバック制御回路3は、前記平滑コンデンサー2に対して、フォトカプラー33と電流制御素子34の直列回路が並列に接続されている。また、前記平滑コンデンサー2に対して、電圧検出用分割抵抗35、36が並列に接続され、前記電圧検出用分割抵抗36の電圧で、前記電流制御素子34の電流が制御されるようになっている。
【0042】
また、前記フィードバック制御回路3における前記電圧検出用分割抵抗35には、検出抵抗37とスイッチング素子38の直列回路が並列に接続されている。また、前記並列回路は、前記電圧検出用分割抵抗36と直列に接続されている。前記平滑コンデンサー2等の並列回路には、負荷Aおよびレギュレータ4がそれぞれ接続されている。前記マイクロコンピュータ5は、前記レギュレータ4によって調整された電圧により動作する。
【0043】
動作モードにおいて、負荷Aは、スイッチング電源回路1における電力の供給を受けて動作している。また、前記平滑コンデンサー2によって平滑された電圧は、前記電圧検出用分割抵抗35、36によって分割され、前記電圧検出用分割抵抗36の電圧が電流制御素子34に印加され、フォトカプラー33を介して、スイッチング電源回路1にフィードバック制御を行い、出力電圧の安定化を図っている。
【0044】
待機モードにおいて、前記マイクロコンピュータ5は、待機モード信号を出力し、前記待機モード信号により、スイッチング素子38をオンし、前記検出抵抗37と前記電圧検出用分割抵抗35との並列回路を構成する。前記並列回路は、前記電圧検出用分割抵抗36における電圧を高くし、たとえば、電流制御素子34の電流が制御される。
【0045】
前記フォトカプラー33は、電流制御素子34によって制御された電流により明るさが変化する。前記フォトカプラー33から発光する光は、スイッチング電源回路1における図示されていない受光素子に送られることによりフィードバック制御が行われる。すなわち、待機モードによるマイクロコンピュータ5からの信号は、動作モードの時より大きなフィードバックがかかることにより、スイッチング電源回路1からの出力電圧を低下させ、前記マイクロコンピュータ5が必要とする最低限の電圧に変換する。
【実施例2】
【0046】
図2は本発明の第2実施例で、待機電力の低減を図ることができるスイッチング電源回路における待機電力低減装置を説明するための図である。図2において、商用交流電源には、スイッチング電源回路11と、前記スイッチング電源回路11の図示されていないトランスの二次コイルに接続された平滑コンデンサー12と、前記平滑コンデンサー12に並列に接続された検出電圧切替回路15および電圧ライン切替回路16と、前記平滑コンデンサー12の出力電圧を電圧ライン1を介して接続されている負荷Bと、前記二次コイルの一方に接続された平滑コンデンサー12′に並列に接続されたフィードバック制御回路13と、検出電圧切替回路15により電圧ライン1の電圧を検出する検出回路14と、前記平滑コンデンサー12′にダイオードと電圧ライン2を介して接続された負荷Cと、前記平滑コンデンサー12′の電圧が電圧ライン3を介して接続された負荷Dと、前記電圧ライン2に接続されたレギュレータ17と、前記レギュレータ17に接続されたマイクロコンピュータ18とが接続されている。
【0047】
前記フィードバック制御回路13は、前記平滑コンデンサー12′に対して、フォトカプラー33、電流制御素子34、電圧検出用分割抵抗35、36、検出抵抗37、スイッチング素子38とが第1実施例と同じように接続されている。
【0048】
動作モードにおいて、電圧ライン2の電圧は、フォトカプラー33と電流制御素子34に電流を供給することにより、フィードバックがかかり、全ての電圧ラインの電圧が安定化される。
【0049】
待機モードにおいて、スイッチング素子151から構成された検出電圧切替回路15は、マイクロコンピュータ18からの待機信号により、電圧ライン1の電圧が検出回路14により検出される。検出回路14は、前記電圧ライン1の電圧を検出することにより、実施例1と同様に、スイッチング電源回路11にフィードバック制御を行い、動作モードの時より大きなフィードバックをかける。
【0050】
前記待機モードにおけるフィードバックは、スイッチング電源回路11からの出力電圧を低下させ、前記マイクロコンピュータ18が必要とする最低限の電圧に変換する。
【0051】
前記電圧ライン切替回路16は、スイッチング素子161と、抵抗162とコンデンサー163から構成されており、マイクロコンピュータ18からの待機信号により前記スイッチング素子161がオンし、電圧ライン1と電圧ライン2の電位を同じにする。
【0052】
図4は第2実施例における電圧ラインの切り替えにより発生する過電圧を説明するための図である。図5は第2実施例における電圧ラインの切り替えにより発生する過電圧が低下した後に電圧ラインを切り替える状態を説明するための図である。図2において、電圧ライン1から電圧ライン2に同時に切り替えた場合、図4に示すように、電圧ライン2に過電圧が発生する。そこで、図2に示すように、マイクロコンピュータ18からの待機モード信号を抵抗162とコンデンサー163によってインターバル回路を構成している。
【0053】
前記インターバル回路は、図5に示すように、前記抵抗162とコンデンサー163によって、時間を遅らせ、電圧ライン2の電圧が低下してから、切り替えている。電圧ライン3の電圧は、前記フィードバック制御により、電圧ライン1が電圧ライン2の電圧に低下することにより、トランスの二次コイルによる巻き数に比例して図示のように低下する。
【実施例3】
【0054】
図3は本発明の第3実施例で、待機電力の低減を図ることができるスイッチング電源回路における待機電力低減装置を説明するための図である。図3において、商用交流電源には、スイッチング電源回路19と、前記スイッチング電源回路19の図示されていないトランスの二次コイルに接続された平滑コンデンサー20と、前記平滑コンデンサー20に並列に接続された検出電圧切替回路22および電圧ライン切替回路24と、前記平滑コンデンサー20の出力電圧を電圧ライン1を介して接続されている負荷Bと、前記二次コイルの一方に接続された平滑コンデンサー20′に並列に接続されたフィードバック制御回路21と、検出電圧切替回路22により電圧ライン1の電圧を検出する検出回路23と、前記平滑コンデンサー20′にダイオードと電圧ライン2を介して接続された負荷Cと、前記平滑コンデンサー20′の電圧が電圧ライン3を介して接続された負荷Dと、前記電圧ライン2に接続されたレギュレータ25と、前記レギュレータ25に接続されたマイクロコンピュータ26とが接続されている。
【0055】
前記フィードバック制御回路21は、前記平滑コンデンサー20′に対して、フォトカプラー33、電流制御素子34、分割抵抗35、36、検出抵抗37、スイッチング素子38とが第1実施例と同じように接続されている。
【0056】
動作モードにおいて、電圧ライン2の電圧は、第2実施例と同様に、フォトカプラー33と電流制御素子34に電流を供給することにより、フィードバックがかかり、全ての電圧ラインの電圧が安定化される。
【0057】
待機モードにおいて、スイッチング素子221から構成された検出電圧切替回路22は、マイクロコンピュータ26からの待機信号により電圧ライン1の電圧が検出回路23により検出されて、図2と同様に、スイッチング電源回路19にフィードバックがかかる。待機モードにおけるフィードバックは、動作モードの時より大きくかかることにより、スイッチング電源回路19からの出力電圧を低下させ、前記マイクロコンピュータ5が必要とする最低限の電圧に変換する。
【0058】
前記電圧ライン切替回路24は、平滑コンデンサー241と、分割抵抗242、243と、スイッチング素子27と、前記スイッチング素子27を能動状態からオン状態に切り替える電圧検出回路28とから構成される。
【0059】
図6は第3実施例における電圧ラインの切り替えにより発生する電圧の降下を説明するための図である。待機モードにおいて、前記フィードバック制御回路21によるフィードバックは、図5において、インターバル回路を持たせても、電圧ライン2が一瞬低下する。
【0060】
第3実施例は、電圧ライン1における瞬間の電圧低下を防止するため、電圧ライン1とGNDとの間に平滑コンデンサー241と分割抵抗242、243との並列回路に対して並列にスイッチング素子27が設けられている。前記スイッチング素子27は、前記電圧ライン2が低下するのを抑えるために、その間だけ能動状態で制御する。
【0061】
電圧検出回路28は、前記分割抵抗243における電圧を検出し、電圧ライン1が電圧ライン2とほぼ同じ電圧を検出した際に、前記スイッチング素子27をオンして、電圧ライン1と電圧ライン2の電位を同じにする。前記スイッチング素子27は、能動状態、すなわち、レギュレーションにより、図6に示すように、切り替え時に発生する電圧の変動を改善している。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。たとえば、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、図1から図3におけるブロック構成図、スイッチング電源回路、スイッチング素子、フォトカプラー、電流制御素子等は、公知または周知のものを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施例で、待機電力の低減を図ることができるスイッチング電源回路における待機電力低減装置を説明するための図である。(実施例1)
【図2】本発明の第2実施例で、待機電力の低減を図ることができるスイッチング電源回路における待機電力低減装置を説明するための図である。(実施例2)
【図3】本発明の第3実施例で、待機電力の低減を図ることができるスイッチング電源回路における待機電力低減装置を説明するための図である。(実施例3)
【図4】第2実施例における電圧ラインの切り替えにより発生する過電圧を説明するための図である。
【図5】第2実施例における電圧ラインの切り替えにより発生する過電圧が低下した後に電圧ラインを切り替える状態を説明するための図である。
【図6】第3実施例における電圧ラインの切り替えにより発生する電圧の降下を説明するための図である。
【符号の説明】
【0064】
1、11、19・・・スイッチング電源回路
14、23・・・検出回路
15、22・・・検出電圧切替回路
151・・・スイッチング素子
16、24・・・電圧ライン切替回路
161・・・スイッチング素子
162・・・抵抗
163・・・コンデンサー
2、12、12′、20、20′・・・平滑コンデンサー
241・・・平滑コンデンサー
242、243・・・分割抵抗
27・・・スイッチング素子(トランジスタ)
28・・・電圧検出回路
3、13、21・・・フィードバック制御回路
33・・・フォトカプラー
34・・・電流制御素子
35、36・・・電圧検出用分割抵抗
37・・・検出抵抗
38・・・スイッチング素子
4、17、25・・・レギュレータ
5、18、26・・・マイクロコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより所望の電圧を得るスイッチング電源回路における待機電力低減方法において、
マイクロコンピュータからの待機モード信号により、動作モードと異なる電流変化をスイッチング電源回路にフィードバックし、
待機モードにおいて、前記マイクロコンピュータの最低限必要な電圧に前記スイッチング電源回路の電圧を低下させ、
前記低下された電圧により前記マイクロコンピュータを動作させるとともに、前記負荷にかかる不必要な電力の低減およびスイッチングロスの低減を図ることを特徴とするスイッチング電源回路における待機電力低減方法。
【請求項2】
交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより、複数の電圧ラインを所望電圧に変換するスイッチング電源回路における待機電力低減方法において、
マイクロコンピュータからの待機モード信号で出力電圧の中で最も高い電圧ラインの電圧を検出し、
前記検出された電圧信号で動作モードと異なる電流変化をスイッチング電源回路にフィードバックし、
待機モードにおいて、前記最も高い電圧ラインの電圧を前記マイクロコンピュータの最低限必要な電圧に低下させ、
前記低下された電圧ラインで前記マイクロコンピュータを動作させるとともに、前記負荷にかかる不必要な電力の低減およびスイッチングロスの低減を図ることを特徴とするスイッチング電源回路における待機電力低減方法。
【請求項3】
前記負荷に接続する電圧ライン切り替え時に発生する電圧上昇および低下を抑えるために、切り替え時に発生する電圧変動をレギュレーションさせることを特徴とする請求項2に記載されたスイッチング電源回路における待機電力低減方法。
【請求項4】
交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより、所望の電圧を得るスイッチング電源回路における待機電力低減装置において、
負荷の制御および待機モードにおける制御を行うマイクロコンピュータと、
前記負荷および前記マイクロコンピュータに必要なスイッチング電源回路と、 前記スイッチング電源回路に並列に接続された平滑コンデンサーと、
前記平滑コンデンサーに並列に設けられた電流制御素子と、
前記電流制御素子によって制御された電流をフィードバックするフィードバック制御回路と、
マイクロコンピュータからの待機モード信号により、動作モードと異なる電流変化を与えるとともに、前記マイクロコンピュータの最低限必要な電圧に前記スイッチング電源回路の電圧を低下させるスイッチング素子と、
を少なくとも備えていることを特徴とするスイッチング電源回路における待機電力低減装置。
【請求項5】
前記フィードバック制御回路は、
前記平滑コンデンサーに並列に接続されているとともに、互いに直列に接続されたフォトカプラーおよび電流制御素子と、
前記平滑コンデンサーに並列に接続された電圧検出用分割抵抗と、
前記マイクロコンピュータからの待機モード信号によりオンするスイッチング素子と、
前記スイッチング素子のオンにより、前記電圧検出用分割抵抗の一方の抵抗と並列に接続される抵抗と、
前記電圧検出用分割抵抗の他方の抵抗の電圧レベルが変化することにより、前記電流制御素子の電流を制御し、前記フォトカプラーの明るさを変えることにより、フィードバック制御を行うことを特徴とする請求項4に記載されたスイッチング電源回路における待機電力低減装置。
【請求項6】
交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより、複数の電圧ラインを所望電圧に変換するスイッチング電源回路における待機電力低減装置において、
複数の負荷の制御および待機モードにおける制御を行うマイクロコンピュータと、
前記複数の負荷および前記マイクロコンピュータに必要な電力を供給するスイッチング電源回路と、
前記スイッチング電源回路に並列に接続された平滑コンデンサーと、
前記平滑コンデンサーに並列に設けられた電流制御素子と、
前記マイクロコンピュータの待機モード信号によって、前記複数の電圧ラインの内の最高電圧を検出する検出回路と、
前記検出回路によって検出された前記電圧ラインの電圧により制御される前記電流制御素子の電流変化をフィードバックするフィードバック制御回路と、
前記マイクロコンピュータの待機モード信号によって、前記最高電圧を次の電圧値に切り替える電圧ライン切替回路と、
を少なくとも備えていることを特徴とするスイッチング電源回路における待機電力低減装置。
【請求項7】
前記電圧ライン切替回路は、電圧切り替え時に発生する電圧上昇を抑えるためのインターバル回路を備えていることを特徴とする請求項6に記載されたスイッチング電源回路における待機電力低減装置。
【請求項8】
交流電源を一次コイルおよび二次コイルにより変圧した後、平滑コンデンサーにより、複数の電圧ラインを所望電圧に変換するスイッチング電源回路における待機電力低減装置において、
複数の負荷の制御および待機モードにおける制御を行うマイクロコンピュータと、
前記複数の負荷および前記マイクロコンピュータに必要な電力を供給するスイッチング電源回路と、
前記スイッチング電源回路に並列に接続された平滑コンデンサーと、
前記平滑コンデンサーに並列に設けられた電流制御素子と、
前記マイクロコンピュータの待機モード信号によって、前記複数の電圧ラインの内の最高電圧を検出する検出回路と、
前記検出回路によって検出された電圧ラインの電圧により制御される前記電流制御素子の電流変化をフィードバックするフィードバック制御回路と、
待機モードに切り替える際に発生する電圧の上昇を抑えるために能動状態で動作するスイッチング素子と、前記電圧の低下を検出する電圧検出回路と、前記電圧検出回路によって所定の電圧が検出されることにより、前記スイッチング素子をオンにして電圧の降下を抑える電圧ライン切替回路と、
を少なくとも備えていることを特徴とするスイッチング電源回路における待機電力低減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−74863(P2006−74863A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252582(P2004−252582)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000174426)阪神エレクトリック株式会社 (291)
【Fターム(参考)】