説明

スイッチ機構、及び該スイッチ機構を有する電気供給機構を利用する液状化粧料容器乃至化粧料容器

【課題】キャップに支持軸を介して保持される塗布体内にヒーター等の発熱機構を内装すると共に、該発熱機構に対して電気の供給を簡易且つ確実に行おうとするものである。
【解決手段】塗布部(8)を保持する支持軸(7)を、化粧料容器本体の口部と螺合する内キャップ(10)を介してキャップ本体(13)に装着するとともに、一定範囲でキャップ本体が内キャップに対して空転することで、キャップ(6)の先端に保持される塗布部内に内装されたヒーター(9)への通電の切入を、キャップ本体の回転に同期して行うようにするものであり、使用者は、化粧料容器本体からのキャップの脱着の際に自動的に塗布部内のヒーターへの電気の切入を行えるものであって、液状化粧料を加熱して粘度を低下させ、簡易且つ確実に塗布できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチ機構、及び該スイッチ機構を有する電気供給機構を利用してヒーター等の発熱機構、照明機器及びブザー等をキャップに一体に内装する液状化粧料容器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスカラ等の液状化粧料を収容する液状化粧料容器においては、通常該液体化粧料を塗布するための液状化粧料塗布体がキャップにおいて一体に固持されているものであり、該液状化粧料容器自体は、携帯性等を考慮して小型化が進められているものである。ところが、このように小型化が進められる液状化粧料容器に対して、使用する液体化粧料の種類や使用する場所の環境、更にはキャップの密閉の確認などの観点からヒーター等の発熱機構、照明機器及びブザー等(以下、「装置等」という。)を取り付けてなることが提案されている。即ち、該液状化粧料容器内に収容される液状化粧料がマスカラ等の高粘度のものであると、該液状化粧料の伸展性は大幅に低下し、例えばマスカラを微細な睫に対して塗布する際には一度に満遍なく塗布することは難しく、部分毎に繰り返して液状化粧料を塗布せざるを得ないものである。そのため、少しでも時間がかかると局部的に液状化粧料が固化してしまうことがある。また、液状化粧料の粘度が高いと、該液状化粧料を塗布する塗布部と睫が液状化粧料を介して一体に接着・固化してしまい易くなり、液状化粧料の塗布と共に、睫に対して適度なカールを与えることが困難になってしまうものである。
またその逆に、液状化粧料の粘度を低下させると、確かに液状化粧料の伸展性は向上し、例えば睫等の微細な対象であっても一度に満遍なく液状化粧料を塗布することは可能となる。ところが、粘度を低下させることにより液状化粧料の迅速な乾燥が図れず、また乾燥に際しては目などに長時間に渡って刺激を与えるものとなるので、迅速且つ安全な液状化粧料の塗布を行うことができないものとなる。その上、粘度が低くなることで、塗布部と睫との接着は、し難くなるので、液状化粧料の塗布と同時に睫に対してカールを与えることができず、適度に液状化粧料が乾燥するのを待つ必要がある。
その結果、液状化粧料の塗布を一度に満遍なく行うと共に、迅速な粘度回復による睫などに対するカールを施すことを可能とするため、何らかの方法により、塗布する液状化粧料の粘度を一時的に低下させることが必要となる、その手段として液状化粧料塗布体内にヒーター等の発熱機構を内装しようとするものである。
【0003】
また、外出先で化粧を行う場所としては、通常、洗面所や廊下の片隅等の照明が十分に得られない場所である。しかも、その化粧作業は迅速且つ正確に行う必要がある。そのため、液状化粧料を塗布するにあたっては、正確に該液状化粧料の塗布場所や塗布量を把握できるように、ある程度の照明が必要となるものである。その結果、該液状化粧料容器において、化粧作業を行える最小限の照明器具を取り付けようとするものである。
更に、該液状化粧料容器は、小型化され携帯性が飛躍的に向上したことで、女性においては、常時携行されるものの一つである。ところが、携行時において、該液状化粧料容器のキャップが正確に締結されておらず、化粧料容器本体の口部とキャップとの間に隙間が形成されてしまうと、該液状化粧料容器から液状化粧料が漏出してしまう恐れがある。その結果、該液状化粧料容器を携行するハンドバックやポーチなどの内部を汚損してしまう原因となる。そこで、該液状化粧料容器のキャップが確実に締結されていることを、手による触感だけでなく、視覚又は聴覚によっても確認できるように、キャップにおいてブザーや照明器具等を取り付けようとするものである。
【0004】
しかしながら、以上のように該液状化粧料容器に対して上記装置等を取り付けようとしても、該液状化粧料容器自体が携帯性やデザイン性を追うあまり、非常に小型化、細径化されてしまった結果、上記装置等と共に、該装置等への電気の供給を行う電源やスイッチ機構を含む電気供給機構をも一体に取り付けることは困難であった。
特に、該電源やスイッチ機構を含む電気供給機構は最低限でも電池等の電源を収容するだけの空間が必要となる上、該液状化粧料容器内に一体に内装される装置等への電気の供給を行う際には電気の供給の切入を行うスイッチ機構も必要となる。そして、該スイッチ機構において、液状化粧料容器としてのキャップと液状化粧料容器との螺合を締結する又は解除するための動作と、該電気供給機構の電気の切入動作とが全く異質であると、該スイッチ機構を液状化粧料容器の本来の構成とは別に設けなければならなくなることから、携帯性やデザイン性の向上という目的から図られた小型化、細径化が阻害されるものとなる。
また、上記キャップの開閉は、該液状化粧料容器の内部に収容する化粧料が液状であるために、携帯時において外部に漏出することがないように密閉性を十分に確保することも非常に重要である。
【0005】
そこで、液状化粧料容器、特に携帯性、デザイン性を向上させるべく小型化、細径化された液状化粧料容器において、上記装置等を一体に取り付けるにあたっては、従来要求されている密閉性の確保の他、該装置等に電気を供給する電源を含む電気供給機構の小型化と共に、該電気供給機構を作動させるためのスイッチ機構を簡易且つ確実なものとしなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、例えば、マスカラ等の液状化粧料を収容する液状化粧料容器等のように小型化、細径化されたものにおいて、上記装置等を一体に取り付けるにあたって、該装置等へ電気を供給することとなる電源やスイッチ機構を含む電気供給機構が液状化粧料容器の小型化、細径化を阻害する点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、液状化粧料容器において、上記装置等を一体に取り付けるにあたって、まず該装置等へ電気を供給するために、次のようなスイッチ機構を有する電気供給機構を使用するものである。
例えば、その内部に液状化粧料を貯留する化粧料容器本体と、該化粧料容器本体の口部に着脱自在に取り付けられ、その先端に塗布部を保持した支持軸からなる液状化粧料塗布体を一体に固持してなるキャップよりなる液状化粧料容器において、被螺合体である化粧料容器本体の口部と、該化粧料容器本体の口部と互いに螺合自在となる円筒状の螺合体である内キャップと、該螺合体の内キャップに対して、回転自在且つ係合自在に一体となる回転スイッチ体であるキャップ本体とからなるキャップにより構成されるものである。そして、該キャップ本体内に化粧料容器本体の口部と互いに螺合自在となる内キャップを一体に内装、固持するものであって、
該内キャップの外壁には、係止構造体である長幅リブ及び一定間隔を有する二つの短幅リブを互いに対向する位置に径外方向に突出して形成し、
該キャップ本体の内壁面には、係止体である係止体リブを互いに対向する位置に径内方向に突出して形成すると共に正・負の電極板を設け、
該スイッチ体内への螺合体の内装に伴って、該スイッチ体の係止体リブが該螺合体の長幅リブ間において移動且つ係止自在となるように配置されるているものである。
その結果、キャップ本体を回転させた際に、前記キャップ本体内壁面に設けた係止体リブが、内キャップの外壁に設けられた長幅リブと係合するまで短幅リブを乗り越えつつ回転して、前記キャップ本体の正・負の電極板と、内キャップの外側において固定された正・負の接点板とが、その回転方向においてはそれぞれ接触した状態で固定されて、電気の供給が行われるものとなる。一方、逆方向に回転させた際には、前記キャップ本体内壁面に設けた係止体リブが、再度内キャップの外壁に設けられた長幅リブと係合するまで回転して、その逆回転方向においては前記正・負の電極板と正・負の接点板とが非接触の状態で固定され、電気の供給は絶たれるものとなる。
即ち、液状化粧料容器においてキャップを化粧料容器本体から取り外すためにキャップを回転させると、まず、キャップ本体内壁面の係止体リブは一方の長幅リブから他方の長幅リブ方向に移動を始める。即ち、キャップと化粧料容器本体との螺合は解除されることなく、キャップ本体は内装する内キャップに対して長幅リブ間に配置される短幅リブを乗り越えつつ移動し、この移動と同時に上記装置等への通電が開始されるものとなる。そして、キャップをより回転させることにより、一方の長幅リブ側から短幅リブを乗り越えつつ移動してきたキャップ本体内壁面の係止体リブは、他方の長幅リブに当接することとなる。そして、キャップ本体内壁面の係止体リブは他方の長幅リブに当接することで、キャップ本体の回転力はキャップ内の内キャップと化粧料容器本体の口部との螺合に伝達され、該キャップを化粧料容器本体の口部より取り外すことができるようになる。結局、使用者によるキャップを化粧料容器本体の口部より取り外すという一連の動作により、同時に上記装置等への電気の供給動作をも行えるものとなる。
また、使用後は、キャップを化粧料容器本体に取り付けるため、逆に回転させることで、まずキャップ本体内壁面の係止体リブは他方の長幅リブに近接する短幅リブに軽く係止するので、キャップ本体と該キャップ本体に内装される内キャップとは一体に回転し、キャップは、内キャップと共に化粧料容器本体と螺合して行くものである。そして、ある程度以上キャップが回転すると、短幅リブに係止されていたキャップ本体の係止体リブは、該短幅リブを乗り越えつつ一方の長幅リブに当接するものである。この結果、上記装置等へ電気の供給を行っていた電気供給機構における電気の供給は絶たれるものであって、該キャップを更に逆回転させることで、該キャップは、キャップ本体内に内装する内キャップと共に化粧料容器本体と螺合を深めていくものとなって、一体に固定されるものとなる。即ち、化粧料容器本体とキャップとを一体に螺合、固定する動作によって、同時に化粧料容器本体内に内装する上記装置等への電気の切断動作を行えるものである。
【0008】
その結果、液状化粧料塗布体において、支持軸の先端に保持される塗布部内に、ヒーター等の発熱機構を内装する場合では、マスカラ等の粘度の高い液状化粧料を塗布するにあたっては、直接睫に接触する塗布部は、その内部に内装する発熱機構により暖められるものである。その結果、該塗布部により塗布される液状化粧料は容易に粘度が低下して柔軟になるので、睫に対して一度に満遍なく塗布することができる。更に、塗布部により暖められ柔軟になった液状化粧料は、塗布後冷却して急速に粘度が高くなるので、該塗布部によってこの粘度の上昇を利用してカール等を施すことができるものとなる。
【0009】
更に、その内部に液状化粧料を貯留する化粧料容器本体と、該化粧料容器本体の口部に着脱自在に取り付けられ、その先端に塗布部を保持した支持軸からなる液状化粧料塗布体を一体に固持してなるキャップよりなる液状化粧料容器において、該キャップに一体に固持される支持軸の先端に保持される塗布部内に発熱機構を内装すると共に、該塗布部内に内装される発熱機構と、切入自在としてなる電源を含む電気供給機構をキャップ内に組み込むものとすることで、上記塗布部内の発熱機構と共に、該発熱機構に対して電気を供給してなる電源やスイッチ機構を含む電気供給機構を一体に内装することで、液状化粧料塗布体は、従来のまま細径化、小型化及び密閉構造が維持されるので、外出しても常時携帯することができるものである。
【0010】
また、電気供給機構の有する電気の供給のためスイッチ機構の切入操作が、キャップの脱着による回転に伴って行われるので、電源の切入操作を簡易且つ確実に行うことができるものである。
【0011】
そして、上記キャップ本体において係合孔内に連通する窓部を穿設すると共に、塗布部内の発熱機構に接続する正負の接点板と、キャップ本体内に内装する電源の正負極に接続する正負極板との接続時に対応するように、該係合孔内に装着される内キャップ外周に表示を配置したり、上記キャップ本体の係合孔の内周面及び該キャップ本体の係合孔内に装着される内キャップの外周面において、回転始動時及び回転終了時、又はそのいずれかにおいて互いに係合することで抵抗となる突起を設けることで、電源の接続時において該表示がキャップ本体の窓部を通して視認することができ、或いはキャップ本体の回転時の操作感が直接感触となって使用者に伝達されるので、塗布部に内装される発熱機構に対して電源の接続状態を正確且つ確実に把握することができる。
【0012】
なお、上記液状化粧料容器の化粧料塗布体の塗布部において、ヒーター等の発熱機構を内装するのに代わり、該化粧料塗布体をなす支持軸を透明とした上で、該化粧料塗布体を固持してなるキャップ内において該支持軸端縁内に照明機器を内蔵するものであっては、次のようにすることができる。即ち、当該スイッチ機構を有する電気供給機構を内装することにより、化粧料容器本体の口部とキャップとの螺合が解除されて、化粧料塗布体として使用できるものとなった際には、同時に化粧料塗布体をなす支持軸がキャップ内の照明機器の光を受けて輝き、使用者は、輝く該支持軸により必要な照明を得ながら、化粧作業を行うことができるものとし、逆に、その使用後はキャップを化粧料容器本体の口部に対して螺合させることにより、同時に電気の供給を切断して、キャップ内の照明器具を消灯することができる。
【0013】
また、上記液状化粧料容器の化粧料塗布体の塗布部において、ヒーター等の発熱機構を内装するのに代わり、化粧料容器のキャップ内に、キャップの締結確認用のブザーや照明器具等(以下、「確認装置等」とする。)を内装する場合には、次のようにすることができる。即ち、キャップ内に当該スイッチ機構を有する電気供給機構を内装することにより、化粧料容器本体の口部とキャップとの螺合が解除されて化粧料容器の蓋が開いている状態では、キャップ内に設けられた確認装置等に通電されてブザー音や光が点灯して、その解放状態を使用者に通知し、逆に化粧料容器本体の口部とキャップとの螺合が完全になされれば、同時に電気の供給を切断して、それらブザー音を停止し、又、照明器具を消灯することができる。これによって使用者は、該確認装置等により、触感の他、聴覚や視覚により、キャップの螺合状態を簡易且つ確実に確認できるものとなる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、該スイッチ機構は構造が簡単で低コストで製造できる上、螺合の締結及び解除の操作と同期して簡単且つ確実に作動操作が行えるという効果を有するものである。そして、該スイッチ機構を有する電気供給機構を使用することにより、特に塗布部内に発熱機構を内装してなる液状化粧料容器においては、塗布部は、粘度の高い液状化粧料、例えばマスカラ等を塗布するに際して、適度にその粘度を低下させて伸展性を持たせることにより、簡易且つ確実に該液状化粧料の塗布を行うことができると共に、スイッチ機構を含む電気供給機構の構造が簡易であって、製造が容易ある上、発熱機構の全てがキャップ内に収納されることで、細径化、小型化及び密閉構造が要求される液状化粧料容器の利便性を損なうことがないという優れた効果を有するものである。更に、液状化粧料塗布体のみならず液状あるいは単なる化粧料容器においても、様々な装置等を組み込むことができるようになるので、液状化粧料容器等における利便性を著しく向上させることができるという優れた効果を有するものである。
【実施例1】
【0015】
図1において、(1)は、この発明の実施例である液状化粧料容器である。この液状化粧料容器(1)は、その内部に液状化粧料(3)を貯留してなる化粧料容器本体(2)と、該化粧料容器本体(2)の口部(4)の外周に螺設される雄ネジ部(4a)に対して、内部に螺設される雌ネジ部(6a)との噛合により、内装する栓パッキン(5)により密閉性を確保しつつ着脱自在に取り付けられ、その先端において櫛状であって内部に電熱線を巻回して形成するヒーター(9)を内装する塗布部(8)を保持する支持軸(7)からなる液状化粧料塗布体(A)を固持してなるキャップ(6)よりなるものである。
なお、実施例である該液状化粧料容器(1)をなすキャップ(6)が固持する液状化粧料塗布体(A)の支持軸(7)の先端に保持される塗布部(8)は、分割式であっても又一体式であっても良く、更にその形状や材質もこの発明の実施例のように、櫛状であっても、また塗布する対象や面積に応じて、発泡体又は繊維束を三角錘、円錐、円柱乃至角柱状等に適宜選択して構成したものでも良い。
【0016】
また図4に示すように、この発明の実施例である液状化粧料容器(1)のキャップ(6)は、後端に中空の支持軸基部(7’)を形成した支持軸(7)と、該支持軸基部(7’)が嵌入固定される内キャップ(10)及び、該内キャップ(10)の先端周辺に周設される嵌合溝(10d)に対して容易に抜出することなく嵌合するように内壁面に突設された円周リブ(13f)、把持部(13’)及び電源部(14)を有するキャップ本体(13)とからなっている。
そして、前記支持軸(7)は中空であって、その先端には電熱線を巻回して形成するヒーター(9)を内装する櫛状の塗布部(8)を保持すると共に、後端には中空の支持軸基部(7’)が形成される。更に、前記塗布部(8)内に有するヒーター(9)からの配線(9a)(9b)が該支持軸(7)及び支持軸基部(7’)を貫通して、支持軸基部(7’)の後端側において露出する板状の正負の接点板(7a)(7b)に接続する。そして、この正負の接点板(7a)(7b)はそれぞれ軸方向に直交するように配置される。
また、内キャップ(10)は両側が開口し、その先端側内壁には、化粧料容器本体(2)の口部(4)の外周に螺設される雄ネジ部(4a)に対応する雌ネジ部(6a)が螺設されるとともに、その外壁には軸方向に二条の短幅リブ(10a)(10b)が二組設けられ、その各短幅リブ(10a)(10b)に並行してそれぞれ係止構造体である長幅リブ(10c)が設けられる。
更に、キャップ本体(13)は、その後端側に、内装する電池等の電源(12)と、この電源(12)の正負極に各々当接して挟持する断面コ字形状の正極板(13a)及び、電源(12)を押勢挟持してなるバネ部(13b”)を一体に形成する負極板(13b)からなる電源部(14)を有し、該正負極板(13a)(13b)の一端となる正負極部(13a’)(13b’)は、隔壁(13e)を通して、キャップ本体(13)の先端側に開口する係合孔(13c)の底面内壁に露出するよう設けられている。そして、これら係合孔(13c)の底面内壁に露出した正負極板(13a)(13b)の正負極部(13a’)(13b’)は、支持軸基部(7’)の後端側に露出して、支持軸基部(7’)が内キャップ(10)に嵌入固定された際に内キャップ(10)の後端側からも露出する平板状の正負の接点板(7a)(7b)と、面接触可能となるように配置される。一方、前記係合孔(13c)の外壁面は把持部(13’)となるとともに、内壁面には軸方向に係止体となる係止体リブ(13c’)が設けられる。
その上で、キャップ本体(13)の把持部(13’)を、液状化粧料容器(1)の口部(4)の外周に螺設される雄ネジ部(4a)と、内キャップ(10)の先端側内壁に螺設される雌ネジ部(6a)との螺合を解放する方向へ回転させると、たとえキャップ本体(13)に対して軸方向、即ちキャップ本体(13)を内キャップ(10)より抜出する方向に力が加わっても、内キャップ(10)の先端周辺に周設される嵌合溝(10d)と、該キャップ本体(13)の内壁面に突設された円周リブ(13f)との嵌合により抜出することなく、キャップ本体(13)の係合孔(13c)内壁に設けられた係止体リブ(13c’)が、内キャップ(10)の外壁に設けられた短幅リブ(10a)を乗り越えてキャップ本体(13)だけが回転し、更にもう一方の短幅リブ(10b)を乗り越えた位置で長幅リブ(10c)に当接して、その回転方向へ向いてキャップ本体(13)と内キャップ(10)は係合固定される。この時、係合孔(13c)の底面内壁に露出した正負極板(13a)(13b)の正負極部(13a’)(13b’)と、支持軸基部(7’)の後端側に露出して、内キャップ(10)の後端側から露出する平板状の正負の接点板(7a)(7b)とが面接触するようにそれぞれ位置決めされている(図5参照)。
そして、更にキャップ本体(13)を同方向へ回転すると、内キャップ(10)はキャップ本体(13)に係合固定されたまま同方向に回転し、内キャップ(10)の先端側内壁に螺設される雌ネジ部(6a)と液状化粧料容器(1)の口部(4)の外周に螺設される雄ネジ部(4a)との螺合が完全に解放され、液状化粧料塗布体(A)が使用可能となる。
一方、キャップ本体(13)の把持部(13’)を、液状化粧料容器(1)の口部(4)の外周に螺設される雄ネジ部(4a)と、内キャップ(10)の先端側内壁に螺設される雌ネジ部(6a)との螺合を締結する方向へ回転させると、キャップ本体(13)の係合孔(13c)内壁に設けられた係止体リブ(13c’)が、内キャップ(10)の外壁に設けられた短幅リブ(10b)に係合して、キャップ本体(13)とともに内キャップ(10)が前記螺合を締結する方向へ回転する。そして一定程度回転すると、内キャップ(10)に内装された栓パッキン(5)が液状化粧料容器(1)の口部(4)先端によって圧縮され始めることから、液状化粧料容器(1)の口部(4)の外周に螺設される雄ネジ部(4a)と、内キャップ(10)の先端側内壁に螺設される雌ネジ部(6a)との摩擦抵抗が大きくなって、前記係合孔(13c)内壁に設けられた係止体リブ(13c’)が内キャップ(10)の外壁に設けられた短幅リブ(10b)を乗り越えることとなり、キャップ本体(13)だけが回転するようになる。そして更にもう一方の短幅リブ(10a)を乗り越えた位置で長幅リブ(10c)に当接して、その回転方向へ向いてキャップ本体(13)と内キャップ(10)は係合固定される。この時、係合孔(13c)の底面内壁に露出した正負極板(13a)(13b)の正負極部(13a’)(13b’)と、支持軸基部(7’)の後端側に露出して、内キャップ(10)の後端側から露出する平板状の正負の接点板(7a)(7b)とが接触しないようそれぞれ位置決めされている。
そして、更にキャップ本体(13)を同方向へ回転すると、内キャップ(10)はキャップ本体(13)に係合固定されたまま同方向に回転し、内キャップ(10)の先端側内壁に螺設される雌ネジ部(6a)と液状化粧料容器(1)の口部(4)の外周に螺設される雄ネジ部(4a)との螺合が、栓パッキン(5)を押圧して完全に締結され、液状化粧料容器本体(2)とキャップ(6)が完全に一体となる。
このように、キャップ本体(13)が内キャップ(10)に対して、該内キャップ(10)の長幅リブ(10c)の設けられていない間隔分においてだけ空転するように、内キャップ(10)を係合孔(13c)内に装着することにより、キャップ本体(13)の回転に伴って塗布部(8)内に内装するヒーター(9)に接続する接点板(7a)(7b)と、電源部(12)に接続する正負極板(13a’)(13B’)とが切入自在となる電気供給機構(B)としてなるものである。
【0017】
更に、キャップ本体(13)は、その係合孔(13c)内に装着されている内キャップ(10)に対して一定範囲で空転させるものであるので、該キャップ本体(13)の係合孔(13c)内に配置されている正負極部(13a’)(13b’)が、該内キャップ(10)の後端より突出した正負の接点板(7a)(7b)に対して正確且つ確実に接触することができるように、何らかの操作確認手段を設けるものであっても良い。そのため、例えば、上記キャップ本体(13)の係合孔(13c)内から把持部(13’)側へ連通する窓部(13d)を穿設すると共に、塗布部(8)内のヒーター(9)に接続する正負の接点板(7a)(7b)と、キャップ本体(13)内に内装する電源(12)の正負極に接続する正負極部(13a’)(13b’)との接続時に対応するように、該キャップ本体(13)の係合孔(13c)内に装着される内キャップ(10)外周に表示(11)を配置してなるものである。このため、キャップ本体(13)を回転させるときに、使用者は、キャップ本体(13)の把持部(13’)に穿設される窓部(13d)を通して、内キャップ(10)の外周に配置する表示(11)を視認することで、塗布部(8)内に有するヒーター(9)に電気を供給する電源(12)の接続状態を正確且つ確実に把握することができるようになる。
【0018】
この発明の実施例1である液状化粧料容器(1)は以上の構成を具えるので、使用者がこの液状化粧料容器(1)を使用する場合には次のようにするものである。
まず、使用者は、液状化粧料容器(1)からキャップ(6)を外すにあたって、キャップ(6)による液状化粧料容器(1)内の密閉性を維持している化粧料容器本体(2)の口部(4)の外周に螺設される雄ネジ部(4a)と、内キャップ(10)の内部に螺設される雌ネジ部(6a)との螺合を解くために、キャップ(6)を化粧料容器本体(2)に対して回転させるものである。このとき該キャップ(6)においては、先端に塗布部(8)を保持する支持軸(7)は、その後端に内キャップ(10)が一体に装着されると共に、この内キャップ(10)を介してキャップ本体(13)の係合孔(13c)内に一定範囲で回転自在となるよう装着されているものである。すなわち、使用者が、化粧料容器本体(2)よりキャップ(6)を外すために把持部(13’)を持って回転させると、キャップ本体(13)の係合孔(13c)内壁に設けられた係止体リブ(13c’)が、内キャップ(10)の外壁に設けられた短幅リブ(10a)を乗り越えてキャップ本体(13)だけが回転し、更にもう一方の短幅リブ(10b)を乗り越えた位置で長幅リブ(10c)に当接することとなる。このためその回転方向へ向いてキャップ本体(13)と内キャップ(10)は係合固定されることとなる。すなわち、長幅リブ(10c)の設けられていない間隔分だけキャップ本体(13)が内キャップ(10)に対して回転することとなる。しかも、使用者は、前記係止体リブ(13c’)が内キャップ(10)の外壁に設けられた短幅リブ(10a)(10b)をそれぞれ乗り越る際に、抵抗を感じることとなる。その結果、使用者は、指に伝わる該抵抗を目安として、塗布部(8)内に内装するヒーター(9)への電気の供給を行う電源(12)を含む電気供給機構(B)の接続状態を正確且つ確実に把握できるようになる。
そして、キャップ本体(13)と内キャップ(10)が該回転方向へ向いて係合固定された時、該キャップ本体(13)の係合孔(13c)内に配置されている正負極部(13a’)(13b’)が、各々該内キャップ(10)より後側へ突出する正負の接点板(7a)(7b)に対して面接触し、両者は電気的に接続されることとなる。その結果、該キャップ本体(13)の電源部(14)内において正負極板(13a)(13b)の一端により挟持される電源(12)より、該電源部(14)の正負極板(13a)(13b)の他端の正負極部(13a’)(13b’)と、該内キャップ(10)より後側へ突出する正負の接点板(7a)(7b)との電気的接続を介して、塗布部(8)内に内装するヒーター(9)に電気が供給されて、該ヒーター(9)が発熱して、塗布部(8)は暖められることとなる。更に、塗布部(8)が該ヒーター(9)により暖められることにより、この塗布部(8)に付着又は含浸している液状化粧料(2)も同時に暖められるものとなる。なお、このときキャップ本体(13)の窓部(13d)より、内キャップ(10)の外周に配置してなる表示(11)の存在が視認できるので、使用者はヒーター(9)と電源(12)との電気的接続を正確且つ確実に把握することができるものである。
【0019】
そして、前記係止体リブ(13c’)が内キャップ(10)の外壁に設けられた長幅リブ(10c)と該回転方向に向かって係合していることから、同方向に回転させる限り、キャップ本体(13)は内キャップ(10)に対して空転することなく一体となって回転することとなる。そのため、使用者がキャップ(6)を更に回転させると、キャップ本体(13)は支持軸(7)を一体に装着する内キャップ(10)と共に回転するものとなる。即ち、内キャップ(10)内部に螺設される雌ネジ部(6a)と化粧料容器本体(3)の口部(4)の外周に螺設した雄ネジ部(4a)との螺合に作用して互いに解離するものとなる。その結果、該化粧料容器本体(3)の口部(4)の雄ネジ部(4a)と、内キャップ(10)の内部に螺設される雌ネジ部(6a)との螺合が解け、塗布部(8)を支持軸(7)を介して保持するキャップ(6)は、化粧料容器本体(3)より離脱させることができるものとなる。
この時既に、キャップ(6)に固持される液状化粧料塗布体(A)の該塗布部(8)は、その内部に内装するヒーター(9)により適度に暖められると共に、該塗布部(8)に付着又は含浸する液状化粧料(2)も同様にヒーター(9)の熱により間接的に暖められものとなる。そのため、塗布部(8)に付着又は含浸される液状化粧料(2)の粘度も低下するので、不用意に接着することもなくなるので、睫に対して一度に満遍なく、そして簡易且つ確実に液状化粧料(2)を塗布することができるようになるものである。
また、暖められた液状化粧料(2)を睫に塗布すると、該液状化粧料(2)の温度は急速に低下して、その粘度が増すので、この粘度の増加を利用して、該塗布部(8)により睫を繰り返し扱くことで、適度なカールを睫に対して与えることができる。
【0020】
一方、使用者がマスカラ等の液状化粧料(2)を睫に塗布し終えた後は、キャップ(6)により化粧料容器本体(3)内の液状化粧料(2)が外部に漏出することがないように密閉性を維持するため、キャップ(6)を化粧料容器本体(3)に再度着装する。そのため、該化粧料容器本体(3)の口部(4)の外周に螺設する雄ネジ部(4a)に対して、内キャップ(10)の内周に螺設する雌ネジ部(6a)を螺合させるものであって、キャップ(6)が固持する支持軸(7)の先端に保持された塗布部(8)を、化粧料容器本体(3)の口部(4)より化粧料容器本体(3)内に収納した後、キャップ(6)を化粧料容器本体(3)の口部(4)に対して回転させながら締め込んでいくものである。すなわち、使用者が、化粧料容器本体(2)にキャップ(6)を螺合させるために把持部(13’)を持って回転させると、キャップ本体(13)の係合孔(13c)内壁に設けられた係止体リブ(13c’)が、内キャップ(10)の外壁に設けられた短幅リブ(10b)に係合して、キャップ本体(13)とともに内キャップ(10)が前記螺合を締結する方向へ回転する。そして一定程度回転すると、内キャップ(10)に内装された栓パッキン(5)が液状化粧料容器(1)の口部(4)先端によって圧縮され始めることから、液状化粧料容器(1)の口部(4)の外周に螺設される雄ネジ部(4a)と、内キャップ(10)の先端側内壁に螺設される雌ネジ部(6a)との摩擦抵抗が大きくなって、前記係合孔(13c)内壁に設けられた係止体リブ(13c’)が内キャップ(10)の外壁に設けられた短幅リブ(10b)を乗り越えることとなり、キャップ本体(13)だけが回転するようになる。そして更にもう一方の短幅リブ(10a)を乗り越えた位置で長幅リブ(10c)に当接することとなる。そのためその回転方向へ向いてキャップ本体(13)と内キャップ(10)は係合固定されることとなる。すなわち、長幅リブ(10c)の設けられていない間隔分だけキャップ本体(13)が内キャップ(10)に対して回転することとなる。しかも、使用者は、前記係止体リブ(13c’)が内キャップ(10)の外壁に設けられた短幅リブ(10b)(10a)をそれぞれ乗り越る際に、抵抗を感じることとなる。その結果、使用者は、指に伝わる該抵抗を目安として、塗布部(8)内に内装するヒーター(9)への電気の供給を行う電源(12)を含む電気供給機構(B)の断絶状態を正確且つ確実に把握できるようになる。
この時、塗布部(8)内に内装するヒーター(9)に対して、キャップ本体(13)内の電源(12)から電気を供給するために面接触していた該キャップ本体(13)の係合孔(13c)内に配置されている正負極部(13a’)(13b’)と、該内キャップ(10)の後端より突出する正負の接点板(7a)(7b)とは離脱し、両者の電気的な接続は断たれてしまうものとなる。
なお、このときキャップ本体(13)の窓部(13d)より、内キャップ(10)の外周に配置してなる表示(11)の不存在が視認できるので、使用者はヒーター(9)と電源(12)との電気的断絶を正確且つ確実に把握することができるものである。
【0021】
そして、前記係止体リブ(13c’)が内キャップ(10)の外壁に設けられた長幅リブ(10c)と該回転方向に向かって当接していることから、同方向に回転させる限り、キャップ本体(13)は内キャップ(10)に対して空転することなく一体となって回転することとなる。そのため、使用者がキャップ(6)を化粧料容器本体(2)に螺合させるためにを更に回転させると、キャップ本体(13)は支持軸(7)を一体に装着する内キャップ(10)と共に回転するものとなる。即ち、内キャップ(10)内部に螺設される雌ネジ部(6a)と化粧料容器本体(3)の口部(4)の外周に螺設した雄ネジ部(4a)との螺合は締結されるものとなる。その結果、該化粧料容器本体(3)の口部(4)の雄ネジ部(4a)と、内キャップ(10)の内部に螺設される雌ネジ部(6a)とが螺合し、塗布部(8)を支持軸(7)を介して保持するキャップ(6)は、その内装する栓パッキン(5)を押圧しつつ化粧料容器本体(3)と一体となる。
【実施例2】
【0022】
また、図9において示すものは、この発明の実施例2であって、化粧料塗布体(A)内にヒーター(9)を内装する代わりに、該化粧料塗布体(A)をなす塗布部(8)を先端に保持する支持軸(7”)を透明とした上で、該化粧料塗布体(A)を固持してなるキャップ(6)内において該支持軸(7”)端縁内に照明機器であるLED(15)を内蔵してなるものである。そのため、キャップ(6)の開閉作業にあたっては実施例1と同様である。
即ち、使用者が、液状化粧料容器(1)からキャップ(6)を取り外すためキャップ(6)を回転させて、化粧料容器本体(3)の口部(4)と、キャップ(6)内に内装する内キャップ(10)との螺合を解除しようとする。この時、キャップ本体(13)の係合孔(13c)内壁に設けられた係止体リブ(13c’)(図9においては図示せず。)が、内キャップ(10)の外壁に設けられた短幅リブ(10a)(図9においては図示せず。)を乗り越えてキャップ本体(13)だけが回転し、更にもう一方の短幅リブ(10b)(図9においては図示せず。)を乗り越えた位置で長幅リブ(10c)(図9においては図示せず。)に当接することとなる。このためその回転方向へ向いてキャップ本体(13)と内キャップ(10)は係合固定されることとなる。すなわち、長幅リブ(10c)の設けられていない間隔分だけキャップ本体(13)が内キャップ(10)に対して回転することとなる。この結果、前記キャップ本体(13)の正・負の電極部(13a’)(13b’)と、キャップ本体(13)内において内キャップ(10)の外側に固定された正・負の接点板(7a)(7b)とが、その回転方向においてそれぞれ接触した状態で固定されるものである。その結果、該LED(15)に対して電気を供給する電気供給機構(B)(図9においては図示せず。)においてスイッチ機構(C)を通じて通電が行われ、配線(9a’)(9b’)を介してLED(15)が点灯する。そして、更にキャップ(6)を回転させると、該キャップ(6)内に内装する内キャップ(10)とキャップ(6)とは、実施例1で述べたように、該内キャップ(10)外壁の長幅リブ(10c)とキャップ本体(13)内壁面の係止体リブ(13c)とが互いに係止して一体に回転するものとなる。そのため、化粧料容器本体(3)の口部(4)とキャップ(6)内の内キャップ(10)との螺合が解除されて、キャップ(6)が化粧料容器本体(3)から外れる。従って使用者は、液状化粧料容器(1)内の液状化粧料(2)(図9においては図示せず。)を、該キャップ(6)に固持される液状化粧料塗布体(A)により塗布することができるものである。そして、この化粧作業を行おうとする際には、化粧料塗布体(A)をなす支持軸(7”)が支持軸(7”)内の照明機器であるLED(15)の光を透過させて輝くため、使用者は、輝く該支持軸(7”)により必要な照明を得て、迅速且つ正確な液状化粧料(2)の塗布作業を行うことができるものとなる。
また、使用後はキャップ(6)を化粧料容器本体(3)の口部(4)に対して逆に回転させることにより、このキャップ(6)内に内装する内キャップ(10)は、該内キャップ(10)の外壁面の短幅リブ(10b)とキャップ本体(13)内壁面の係止体リブ(13c’)とが軽く係止し、キャップ本体(13)と一体となる内キャップ(10)と化粧料容器本体(3)の口部(4)とは互いに螺合し始めるものとなる。そして、更にキャップ(6)を逆回転させると、該内キャップ(10)と化粧料容器本体(3)の口部(4)との螺合における摩擦が次第に大きくなるので、内キャップ(10)外壁の短幅リブ(10b)に係止していたキャップ本体(13)の係止体リブ(13c’)は該短幅リブ(10b)を乗り越え、更に、もう一方の短幅リブ(10a)をも乗り越えて長幅リブ(10c)に係止する。この該キャップ本体(13)の係止体リブ(13c’)の回転により、該電気供給機構(B)におけるスイッチ機構(C)においては、前記正・負の電極板(13a’)(13b’)と正・負の接点板(7a)(7b)とが非接触の状態で固定され、通電が絶たれ、支持軸(7”)内のLED(15)は消灯する。その後キャップ(6)を更に回転させることで、内キャップ(10)の長幅リブ(10c)とキャップ本体(13)の係止体リブ(13c’)とが一体に係止しているので、キャップ(6)は化粧料容器本体(3)の口部(4)に確実に螺合固定されるものとなる。
【実施例3】
【0023】
更に、図11において示すのは、この発明の実施例3である。即ち、上記実施例1のように液状化粧料容器(1)の化粧料塗布体(A)の塗布部(8)においてヒーター(9)を内装するのに代わり、液状化粧料容器(1’)のキャップ(6’)内に、キャップ(6’)の締結確認用のブザーや照明器具等(以下、「確認装置等」とする。)(16)を内装してなるものである。そのため、上記実施例1等とは異なり、液状化粧料容器(1’)の化粧料容器本体(3’)の口部(4’)からキャップ(6’)を取り外すことで、電気供給機構(B)からの通電が行われるようにしてなるものである。
即ち、液状化粧料容器(1’)を構成するキャップ(6’)内において、その一端側には円筒状の内キャップ(10’)が内装され、他端側には電源であるボタン電池(17)と共に、確認装置等(16)が同時に組み込まれている。そして実施例1と同様に、内キャップ(10’)の内壁には、化粧料容器本体(3’)の口部(4’)に設けられた雄ネジ部(4a)と螺合する雌ネジ部(6a)が設けられるとともに、外壁には二条の短幅リブ(10a)(図10においては図示せず。)が二組設けられ、その各短幅リブ(10a)に並行してそれぞれ長幅リブ(10b)が設けられる。一方、キャップ本体(13A)の内壁面には係止体リブ(13C’)が設けられている。又、内キャップ(10’)の底部外側には弧状の接点板(7c)が設けられ、内キャップ(10’)がキャップ本体(13A)内に内装された際に、キャップ本体(13A)内側底部に設けられた第1電極部(13g)及び第2電極部(13g’)の両者に、弧状の接点板(7c)の両先端部がそれぞれ当接しうるように位置決めされている。そして、該電源であるボタン電池(17)の正極(17”)は、確認装置等(16)の正極に正接点(18)(18’)により常時接続されているものである。一方、該ボタン電池(17)の負極(17’)は、前記キャップ本体(13A)の第1電極部(13g)と接続しており、又、確認装置等(16)の負極は、負接点(19)(19’)を介して第2電極部(13g’)と一体に接続するものである。そして、該第1電極部(13g)と第2電極部(13g’)とは、内キャップ(10’)の外側に固定される接点板(7c)がキャップ本体(13A)内において両者に同時に接触した状態で固定された場合に、該接点板(7c)により一体に接続される。なお、接点板(7c)は、キャップ(6’)と化粧料容器本体(3’)との螺合が解除された場合に、前記第1電極部(13g)と第2電極部(13g’)の両者に同時に接触するよう位置決めされている。また、内キャップ(10’)の外壁に設けられた短幅リブ(10a)及び長幅リブ(10b)と、キャップ本体(13A)内壁面に設けられた係止体リブ(13C’)との作動状況は、実施例1で説明したものと同じであり、キャップ本体(13A)と内キャップ(10’)との間の空転及び係止固定、並びに係止固定された状態での化粧料容器本体(3’)の口部(4’)に対するキャップ(6’)自体の回転状態は実施例1と同じとなる。
従って、キャップ(6’)を化粧料容器本体(3’)の口部(4’)に対してその螺合を解除することにより、電源であるボタン電池(17)の負極(17’)は確認装置等(16)の負極まで電気的に接続するものとなって、確認装置等(16)に対して通電が行われるものとなる。即ち、使用者は、キャップ(6’)が化粧料容器本体(3’)から完全に分離されている状態の時はもとより、キャップ(6’)を化粧料容器本体(3’)の口部(4’)に対して完全に螺合させていないと、確認装置等(16)が作動し、触感の他、聴覚や視覚により、キャップ(6’)の開放を確認できるものとなる。
また、キャップ(6’)を化粧料容器本体(3’)の口部(4’)に対して完全に螺合させることにより、前記キャップ本体(13A)の第1電極部(13g)と第2電極部(13g’)とが、キャップ本体(13A)内において内キャップ(10’)の外側に固定される接点板(7c)によって接続されず、離れた状態となることから、確認装置等(16)への電気的な接続が断たれ、確認装置等(16)は全く作動しなくなる。
尚、本実施例は液状化粧料容器を用いたが、回転によりキャップの開閉を行う容器であれば、どのようなものにおいても使用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
単一の動作により、螺合の締結と解除と共に通電の切入を行えるので、液状化粧料容器のみならず、小型化又は細径化された容器において適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施例である液状化粧料容器の部分断面図である。
【図2】この発明の実施例である液状化粧料容器をなすキャップの拡大斜視図である。
【図3】この発明の実施例である液状化粧料容器をなすキャップの拡大断面図である。
【図4】この発明の実施例である液状化粧料容器をなすキャップの分解斜視図である。
【図5】この発明の実施例である液状化粧料容器をなすキャップの電気供給機構の作動状態を示す要部拡大斜視図である。
【図6】この発明の実施例である液状化粧料容器をなすキャップの、キャップ本体に対する内キャップの挿入・固定状況を示す拡大部分縦断面図である。
【図7】この発明の実施例である液状化粧料容器をなすキャップの、内キャップに対するキャップ本体の作動状況を示す断面図である。
【図8】この発明の実施例である液状化粧料容器をなすキャップの、電気供給機構の作動状態確認状況を示す図である。
【図9】この発明の第2の実施例である液状化粧料容器の拡大断面図である。
【図10】この発明の第3の実施例である液状化粧料容器の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1、1’ 液状化粧料容器
2 液状化粧料
3、3’ 化粧料容器本体
4、4’ 口部
4a 雄ネジ部
5 栓パッキン
6、6’ キャップ
6a 雌ネジ部
7、7’、7” 支持軸
7’ 支持軸基部
7a (正の)接点板
7b (負の)接点板
7c 接点板
8 塗布部
9 ヒーター
9a、9a’ 配線
9b、9b’ 配線
10、10’ 内キャップ
10a 短幅リブ
10b 短幅リブ
10c 長幅リブ
10d 嵌合溝
11 表示
12 電源
13 キャップ本体
13A キャップ本体
13’ 把持部
13a 正極板
13a’ 正極部
13b 負極板
13b’ 負極部
13b” バネ部
13c 係合孔
13c’ 係止体リブ
13C’ 係止体リブ
13d 窓部
13e 隔壁
13f 円周リブ
13g 第1電極部
13g’ 第2電極部
14 電源部
15 LED
16 確認装置等
17 ボタン電池
17’ 負極
17” 正極
18、18’ 正接点
19、19’ 負接点
A 液状化粧料塗布体
B 電気供給機構
C スイッチ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被螺合体と互いに螺合自在となる円筒状の螺合体と、該螺合体に対して、回転自在且つ係合自在に一体となる回転スイッチ体から構成され、被螺合体と螺合体との螺合を締結又は解除する方向への回転に合わせて、該回転スイッチ体による電気の供給を切入自在としてなるスイッチ機構。
【請求項2】
円筒状の回転スイッチ体内に被螺合体と互いに螺合自在となる螺合体を一体に内装するものであって、
該螺合体の外壁には、係止構造体を径外方向に突出して形成し、
該回転スイッチ体の内壁面には、係止体を径内方向に突出して形成すると共に正・負の電極板を設け、
該回転スイッチ体内への螺合体の内装に伴って、該回転スイッチ体の係止体が該螺合体の係止構造体間において移動且つ係止自在となるように配置されることにより、
回転スイッチ体を回転させた際に、前記回転スイッチ体内壁面に設けた係止体が、螺合体の外壁に設けられた係止構造体と係合するまで螺合体に対して回転して、前記回転スイッチ体の正・負の電極板と螺合体の外側において固定された正・負の接点板とが、その回転方向においてはそれぞれ接触したもしくは非接触の状態で固定される一方、逆方向に回転させた際には、前記回転スイッチ体内壁面に設けた係止体が、螺合体の外壁に設けられた係止構造体と係合するまで螺合体に対して回転して、その逆回転方向においては前記正・負の電極板と正・負の接点板とが非接触のもしくは接触した状態で固定される
上記請求項1記載のスイッチ機構。
【請求項3】
螺合体の外壁には、係止構造体である長幅リブ及び一定間隔を有する二つの短幅リブを互いに対向する位置に径外方向に突出して形成し、
回転スイッチ体の内壁面には、係止体である係止体リブを互いに対向する位置に径内方向に突出して形成し、
該回転スイッチ体内への螺合体の内装に伴って、該回転スイッチ体の係止体リブが該螺合体の長幅リブ間において移動且つ係合自在となるように配置されるものであって、
該回転スイッチ体の係止体リブは、該螺合体の長幅リブ間において一方の長幅リブから短幅リブを乗り越えつつ移動し、他方の長幅リブに係止することによって、螺合体と回転スイッチ体が空転又は一体となる
上記請求項2記載のスイッチ機構。
【請求項4】
その内部に液状化粧料を貯留する化粧料容器本体と、該化粧料容器本体の口部に着脱自在に取り付けられ、その先端に塗布部を保持した支持軸からなる液状化粧料塗布体を一体に固持してなるキャップよりなる液状化粧料容器において、
該キャップに、支持軸の先端に保持される塗布部内に発熱機構を内装してなる液状化粧料塗布体を設けた上、該発熱機構に対して電気の供給を切入自在にする電源を含む上記請求項1乃至3記載のスイッチ機構を有する電気供給機構を一体に内装してなる液状化粧料容器。
【請求項5】
キャップが化粧料容器本体の口部に螺合するとともに、該螺合を解放をする方向へキャップを回転させることにより発熱機構に対して電気を供給する一方、該螺合を締結する方向へキャップを回転させることにより発熱機構に対する電気の供給を停止するスイッチ機構を有する電機供給機構をキャップに内装してなる請求項4記載の液状化粧料容器。
【請求項6】
上記キャップは、
先端に塗布部を保持すると共に、後端側には中空の支持軸基部を形成する中空の支持軸、
両側に開口を有し、先端側内壁には、化粧料容器本体の口部と螺合するネジ山を設けるとともに、その外壁には係止構造体を設けた上、該支持軸基部が嵌入固定される筒状の内キャップ、
及び、
先端側には、内キャップが装着されるとともに、その内壁面に係止体を設けた係合孔を有する把持部を、又、後端側には、電源を着脱自在に内装する電源部を設け、該電源部内に内装する電源の正・負極にそれぞれ接続する正・負極板の一端を、前記係合孔底面内に露出して配置するキャップ本体から構成するものであって、
該塗布部内に内装する発熱機構に接続する正・負の接点板を、支持軸基部後端側から突出させることにより、該支持軸基部の嵌入固定される内キャップ若しくは支持軸基部に固定して、内キャップの後端側からも突出させるとともに、
支持軸基部を嵌入固定した内キャップを、キャップ本体を構成する係合孔に装着して、
化粧料容器本体の口部と内キャップ内壁に設けたネジ山との螺合を解放する方向にキャップ本体を回転させた際に、前記キャップ本体の係合孔内壁面に設けた係止体が、内キャップの外壁に設けられた係止構造体と係合するまで回転して、前記係合孔底面内に露出して配置される正・負極板と発熱機構に接続する正・負の接点板とが、その回転方向においてはそれぞれ接触した状態で固定される一方、逆方向に回転させた際には、前記キャップ本体の係合孔内壁面に設けた係止体が、内キャップの外壁に設けられた係止構造体と係合するまで回転して、その逆回転方向においては前記正・負極板と正・負の接点板とが非接触の状態で固定されるスイッチ機構を有する電気供給機構を組み込んでなる
請求項5記載の液状化粧料容器。
【請求項7】
上記キャップ本体において係合孔内に連通する窓部を穿設すると共に、塗布部内の発熱機構に接続する正・負の接点板と、キャップ本体内に内装する電源の正・負極に接続する正・負極板との接続時に対応するように、該係合孔内に装着される内キャップ外周に表示を配置してなる請求項6記載の液状化粧料容器。
【請求項8】
上記キャップ本体の係合孔の内周面及び該キャップ本体の係合孔内に装着される内キャップの外周面において、回転始動時及び回転終了時、又はそのいずれかにおいて互いに係合して抵抗を発生する突起を設けてなる請求項4乃至7記載の液状化粧料容器。
【請求項9】
その内部に液状化粧料を貯留する化粧料容器本体と、該化粧料容器本体の口部に着脱自在に取り付けられ、その先端に塗布部を保持した支持軸からなる液状化粧料塗布体を一体に固持してなるキャップよりなる液状化粧料容器において、
該化粧料塗布体をなす支持軸を透明とした上で、該化粧料塗布体を固持してなるキャップ内において該支持軸端縁内に照明機器を内蔵すると共に、該照明機器に対して電気の供給の切入を行う上記請求項1乃至3記載のスイッチ機構を有する電気供給機構を内装してなる液状化粧料容器。
【請求項10】
その内部に化粧料を貯留する化粧料容器本体と、該化粧料容器本体の口部に着脱自在に取り付けられるキャップよりなる化粧料容器において、
キャップ端縁内に照明機器又はブザーを内装すると共に、該照明機器又はブザーに対して電気の供給の切入を行う上記請求項1記載のスイッチ機構を有する電気供給機構を内装してなる化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−286204(P2006−286204A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100345(P2005−100345)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)
【Fターム(参考)】