説明

スイッチ装置

【課題】 ある程度の押下ストロークを行った時点でスイッチ操作の完了を確実に認識でき、かつ、劣悪な屋外等の環境下に設置したときであっても誤作動を未然に防止できるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 スイッチ装置Xにおいて、利用者の操作入力を感知する感知手段として、弾性を有する板状部材である第1電極11と、第1電極11と対向する第2電極12とを有し、第1電極11を、スイッチの入力解除位置に付勢する第1安定姿勢と、スイッチの入力位置に付勢する第2安定姿勢とに切り替え可能に設け、さらに、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した後、第1電極11に操作力を付与して第2安定姿勢から第1安定姿勢に戻す操作部材17を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置であって、主に車両のドアハンドルにおけるドア施錠スイッチ等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の押下操作による情報のオン・オフを切り替えるスイッチ操作を行うスイッチ装置は、弾性のあるシート状のゴム板(例えば特許文献1)や膨出部を設けたシート(例えば特許文献2)等により、前記押下操作に対する反力を得て、スイッチ操作を行っていた。
【0003】
つまり、特許文献1に開示のスイッチ装置によると、例えば合成ゴム等の弾性体を介して突起した金属板接点を有するスイッチが設けられ、このスイッチは、スイッチ操作に際して弾性体直上の対応するキーボタンが押下されることによって金属板接点が平坦化され、例えばオン状態とされる構成となっていた。一方、キーボタンの押下力が除かれると、弾性体及び金属板接点の復元力によって金属板接点が元の形状に戻り、例えばオフ状態となっていた。
【0004】
また、特許文献2に開示のスイッチ装置は、スイッチ操作に際し、シートに設けた膨出部を利用者が指で押すことで膨出部が下方にへこみ、その下方に配設してあるスイッチ類の頭部が下方に押されてスイッチがオンする構成となっていた。
【0005】
一方、スイッチ操作に際して押下操作を必要とする上述したスイッチ装置の他に、利用者の接触を検知して当該スイッチ操作を行う、所謂タッチスイッチが知られていた(例えば特許文献3)。
つまり、特許文献3に開示のタッチスイッチは、タッチ検出用電極の静電容量が変化し、静電容量が一定の閾値以下になった場合、或いは、閾値以下の状態が一定時間以上継続した場合に利用者のタッチ面への接触を検出している。
【0006】
【特許文献1】特開2003−347757号公報(段落0026〜0029等参照)
【特許文献2】特開2003−47797号公報(段落0018等参照)
【特許文献3】特許第3480276号(段落0002〜0006等参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、押下操作によりスイッチ操作を行う場合、弾性体やキーボタンを指で押下して金属板接点を押し込む(特許文献1)、或いは、シートに設けた膨出部を指で押すことで膨出部が下方にへこみ、その下方に配設してあるスイッチ類の頭部が下方に押される(特許文献2)ことによってオン状態となる。
【0008】
このとき、利用者は、指とスイッチ装置との接点であるキーボタンや膨出部を指で押下する際に、どの程度の押下力で、どの程度の距離(ストローク)を押下すれば情報のオン・オフを切り替えるスイッチ操作が完了するかを確実に判別するのが困難である。つまり、利用者にとって確実にスイッチ操作を完了できたことを体感し難いという問題点があった。
【0009】
そのため、確実なスイッチ操作を遂行しようとすれば、本来のスイッチ操作に必要な押下力よりも強い力で、かつ本来のスイッチ操作に必要な時間よりも長く押下する等、本来必要としない操作を行う必要が生じていた。また、スイッチ操作完了後に期待されるドアの施錠やライトの点灯等が既に完了したことを視覚的に確認できたことによりスイッチ操作が正常に行えたことを認識していた。
【0010】
ここで、スイッチ装置は、例えば車両のドアハンドルにおけるドア施錠スイッチ等として、暗闇や風雨に曝される劣悪な屋外等の環境下におかれる部位に設置される場合がある。このような場合には、スイッチ操作をした瞬間にスイッチ操作の完了を指等で体感できる構成であれば、視覚的な確認の手間が省ける。
【0011】
一方、特許文献3に記載のタッチスイッチでは、利用者はタッチ面に軽く触れるだけでスイッチ操作が完了する。しかし、利用者の意図に反して体の一部がタッチ面に触れてしまった場合や、屋外に設置した場合等には雨滴の接触によってもスイッチが操作されてしまう。そのため、スイッチ装置の設置場所、或いは、ドアの施錠等に使用するという設置目的によっては、ある程度の押下ストロークを伴い、かつ、スイッチ操作の完了を体感できる構成であるのが好ましい。
【0012】
従って、本発明の目的は、ある程度の押下ストロークを行った時点でスイッチ操作の完了を確実に認識でき、かつ、劣悪な屋外等の環境下に設置したときであっても誤作動を未然に防止できるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係るスイッチ装置の第一特徴構成は、利用者の操作入力を感知する感知手段として、弾性を有する板状部材である第1電極と、前記第1電極と対向する第2電極とを有し、前記第1電極を、スイッチの入力解除位置に付勢する第1安定姿勢と、スイッチの入力位置に付勢する第2安定姿勢とに切り替え可能に設け、さらに、前記第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した後、前記第1電極に操作力を付与して前記第2安定姿勢から前記第1安定姿勢に戻す操作部材を設けた点にある。
【0014】
第1電極において、スイッチの入力解除位置、つまり、利用者のスイッチ操作待ち状態である第1安定姿勢では、第1電極と対向する第2電極とは反対側に付勢する状態で安定な姿勢となっている。また、スイッチの入力位置、つまり、利用者がスイッチ操作した後の状態である第2安定姿勢では、第1電極と対向する第2電極の側に付勢する状態で安定な姿勢となっている。
【0015】
そして、上記第一特徴構成によれば、第1電極は、これら第1安定姿勢と第2安定姿勢とを切り替え可能に構成してあるため、例えば凸状形状の第1安定姿勢から凹状形状の第2安定姿勢に姿勢変更する際には、板状部材を弾性変形させる際の衝撃、つまり、板状部材が凸状形状を乗り越えて凹状形状に移行する際の衝撃を利用者にクリック感として体感させることができる。
【0016】
尚、第1電極は、スイッチ操作の際、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した後、スイッチの入力位置に付勢する第2安定姿勢の状態となっている。この状態では、スイッチは入力位置を維持した姿勢となるため、第1安定姿勢に戻す必要がある。
つまり、本構成では、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した後、第1電極に操作力を付与して第2安定姿勢から第1安定姿勢に戻す操作部材を設けている。このように第1電極に操作力を付与して第2安定姿勢から第1安定姿勢に戻すことができるが、このときも上述したように板状部材を弾性変形させる際の衝撃を利用者にクリック感として体感させることができる。
また、スイッチ操作後に、第1電極を直ちにスイッチ操作待ち状態である入力解除位置に戻すことができるため、スイッチの再入力操作を迅速に行うことができる。
【0017】
従って、本発明の第1特徴構成に記載のスイッチ装置であれば、利用者は、スイッチ操作が行われたことをクリック感により体感できるため、スイッチ操作の完了を確実に認識できると共に、利用者の視覚によるスイッチ操作完了の確認動作が不要となる。
さらに、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更することから、ある程度の押下ストロークを行った時点でスイッチ操作の完了を認識できるため、本来のスイッチ操作に必要な押下力よりも強い力でスイッチ操作を行う必要がない。そのため、少ない押下力でスイッチ操作を行うことができ、さらに、スイッチの再入力操作を迅速に行うことができるスイッチ装置を提供できる。
また、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更することから、ある程度の押下ストロークを行うことが必要となるため、利用者が意図しない接触等によるスイッチ操作といった誤作動が発生するのを未然に防止できる。
【0018】
本発明に係るスイッチ装置の第二特徴構成は、前記感知手段が、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量の変化を検出する静電容量型である点にある。
【0019】
上記第二特徴構成によれば、第1電極を第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した際に、静電容量の変化を回路において電圧変化に変換させることにより、スイッチ操作の有無を検出できる。
つまり、スイッチ操作により第1電極が第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更することにより静電容量の変化を検出してスイッチ操作を行うのと同時に、当該姿勢変更の際に利用者はクリック感を体感できる構成となり、公知の静電容量検出センサの構成を好適に本構成に適用できるため、感知手段を容易かつ安価に製造できる。
【0020】
本発明に係るスイッチ装置の第三特徴構成は、前記感知手段が、前記第2電極に対する前記第1電極の圧力変化を検出する圧電型である点にある。
【0021】
上記第三特徴構成によれば、第1電極を第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した際に第1電極が第2電極に接触し、このときの第2電極に対する第1電極の圧力変化が圧電素子の電圧変化として検出することによりスイッチ操作の有無を検出できる。
つまり、スイッチ操作により第1電極が第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更することにより圧電素子の電圧変化を検出してスイッチ操作を行うのと同時に、当該姿勢変更の際に利用者はクリック感を体感できる構成となり、公知の圧電型センサの構成を好適に本構成に適用できるため、感知手段を容易かつ安価に製造できる。
【0022】
本発明に係るスイッチ装置の第四特徴構成は、前記感知手段の内部が密封してある点にある。
【0023】
このような密封は、封止部材により、或いは、感知手段の外形を形成する複数の部材同士を圧着する等して外部と感知手段内部とを気密および水密に構成する。
従って、本発明の第四特徴構成に記載のスイッチ装置であれば、風雨に曝される劣悪な屋外等の環境下においても、感知手段の内部に雨滴や塵等が侵入しにくくなる。そのため、このような環境下においても第1及び第2電極に悪影響を与える虞が殆どなくなり、確実にスイッチ操作を行うことが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明のスイッチ装置は、劣悪な環境下においても確実にスイッチ操作ができるため、車両用ドアの外側に配置されたドアハンドルに設けてある施錠スイッチとすることができるが、これに限られるものではない。他の実施形態としては、屋外に設ける計器類のスイッチ、或いは、屋内であっても、粉塵の発生や高湿度になることが予想される工場内等におけるスイッチ等、広範なスイッチ装置が対象となる。
以下、本発明のスイッチ装置を施錠スイッチに適用した場合について説明する。
【0025】
図1及び図2に示すように、本発明のスイッチ装置Xは、車両用ドア10の外側に配置されたドアハンドル1に設けてある。
このドアハンドル1は、車体前側にアーム4を備えたハンドル本体2や、ハンドル本体2を覆うハンドルカバー3などで構成されている。ハンドル本体2及びハンドルカバー3は合成樹脂で製作されている。
【0026】
ドアハンドル1内には、スイッチ装置Xの他に、利用者の接近を認識してドアの施錠を解除するドア施錠解除用センサ5、ドア施錠解除用センサ5の信号に基づき人体の接近を判別する判別回路と接続するワイヤーハーネス6、利用者が所持するリモートコントローラと通信するアンテナ7等が内蔵してある。
【0027】
図3にスイッチ装置Xの詳細な図を示す。
スイッチ装置Xには、利用者の操作入力を感知する感知手段として、弾性を有する板状部材である第1電極11と、第1電極と対向する第2電極12とを有する。
また、スイッチ装置Xには、キーボタン13、スイッチ装置封止部14a、14b、電極支持部15、及び、スイッチ装置外壁部16を有する。
【0028】
スイッチ装置封止部14aは、利用者がキーボタン13を押下した際に第1電極11を第2電極12側に姿勢変更できるように、ゴム等の弾性部材で構成する。
また、スイッチ装置封止部14aとスイッチ装置封止部14bとを圧着して感知手段の内部を密封してある。これにより、風雨に曝される劣悪な環境下においても、スイッチ装置X内部の感知手段に雨滴や塵等が侵入し難くなる。このように本実施例では、感知手段の外形を形成する複数の部材(スイッチ装置封止部14a、14b)同士を圧着することにより、感知手段の高度な密封状態を維持できる。
尚、スイッチ装置Xの形状は特に限定されるものではないが、四角柱状、円柱状等、種々の形状を適用できる。
【0029】
第1電極11は、弾性を有する板状部材であれば特に限定されるものではなく、例えば公知の金属製(例えば銅)の板ばねであれば適用できる。このとき、板ばねの表面には、腐植防止の防錆処理等の表面加工を行うことが可能である。
【0030】
この板状の第1電極11は、スイッチの入力解除位置に付勢する第1安定姿勢と、スイッチの入力位置に付勢する第2安定姿勢とに切り替え可能に設ける。例えば、利用者側に突出した形状である凸状形状の第1安定姿勢と、凹状形状の第2安定姿勢とを有するように構成するのが好ましい。
このとき、第1電極11において、スイッチの入力解除位置、つまり、利用者のスイッチ操作待ち状態である第1安定姿勢では、第1電極11と対向する第2電極12とは反対側に付勢する状態で安定な姿勢となっている(図3(a)参照)。
また、スイッチの入力位置、つまり、利用者がスイッチ操作した後の状態である第2安定姿勢では、第1電極11と対向する第2電極12の側に付勢する状態で安定な姿勢となっている(図3(b)参照)。
尚、第1電極11が凸状形状の第1安定姿勢と凹状形状の第2安定姿勢とに容易に弾性変形可能となるように、第1電極11の前記両姿勢時の直径は、電極支持部15における第1電極11を保持する空間の内径より小さく設定してある。
【0031】
このとき、例えば板ばねで構成される第1電極11は、ある荷重以上の力で押下されると、凸状形状の第1安定姿勢から凹状形状の第2安定姿勢に姿勢を変更可能となる。「ある荷重」とは、例えば、利用者が、意図的にスイッチ操作をするのに適した通常の力で押下する荷重のことであり、利用者の意図に反して体の一部が触れてしまった場合等の弱い荷重は含まない。
【0032】
そして、第1電極11は、これら第1安定姿勢と第2安定姿勢とを切り替え可能に構成してあるため、例えば凸状形状の第1安定姿勢から凹状形状の第2安定姿勢に姿勢変更する際には、板状部材を弾性変形させる際の衝撃、つまり、板状部材が凸状形状を乗り越えて凹状形状に移行する際の衝撃を利用者にクリック感として体感させることができる。
【0033】
このとき、前記感知手段が、第1電極11と第2電極12との間の静電容量の変化を検出する静電容量型であるように構成してあれば、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した際に、静電容量の変化を検出回路(図外)において電圧変化に変換させることにより、スイッチ操作の有無を検出できる構成となる。検出回路は、第2電極12と信号線18により接続してある。
【0034】
この静電容量型感知手段について以下に詳述する。
つまり、このとき、第2電極12はセンサ電極となり、板ばねで構成される第1電極11との間には静電容量が発生している。尚、第2電極12は、公知のセンサ電極である金属板や導体板等が適用できる。このとき、第2電極12表面は誘電体保護膜で被覆してあってもよい。
【0035】
ここで、静電容量Cは、一般式C=εγ・S/d(εγ:非誘電率、S:電極の面積、d:電極間の距離)で表される。つまり、非誘電率(εγ)及び電極の面積(S)は一定であるため、静電容量Cは電極間の距離の変動に応じて変化する。この静電容量Cの変化を前記検出回路で検出できる。
【0036】
従って、スイッチ操作により第1電極11が第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した際には、第1電極11と第2電極12との距離(d)は変動しているため、静電容量Cは変化し、当該静電容量変化を検出することにより、スイッチ操作が行われる。
そして、このようにスイッチ操作が行われる際に、上述したように姿勢変更に伴うクリック感が利用者に体感され、確実にドアの施錠が完了したことを認識できることになる。
【0037】
第1電極11及び第2電極12の寸法は、本実施例のように車両のドア施錠スイッチ装置として適用する場合、直径9mm±0.5mm、厚さ0.06〜0.08mm程度とする。このとき、第1電極11の第1安定姿勢から第2安定姿勢への偏位量が0.4mm程度となるように構成すると、利用者が、意図的にスイッチ操作をするのに適した通常の力で押下する荷重で第1電極11を第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更できる。そのため、少ない押下力でスイッチ操作を行うことができる。
尚、第1電極11及び第2電極12の寸法設定は、スイッチ装置Xを設置する部材(ドアハンドル等)の大きさ等に応じて適宜変更可能であるため、上述した寸法に限られるものではない。
また、本実施例では、スイッチ操作により第1電極11が第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更したときには、第1電極11と第2電極12との変動距離(d)によって静電容量を検出する。そのため、第1電極11は、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更したときにおいて第2電極12とは接触しないように構成している。
【0038】
第1電極11は、スイッチ操作の際、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した後、スイッチの入力位置に付勢する第2安定姿勢の状態となっている。この状態では、スイッチは入力位置を維持した姿勢となるため、第1安定姿勢に戻す必要がある。そのため、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した後、第1電極に操作力を付与して第2安定姿勢から第1安定姿勢に戻す操作部材17を設けてある。
具体的には、図3〜4に示したように、第1電極11の中央付近に孔部11aを設け、スイッチ装置封止部14aに、孔部11aを貫通し、かつ、先端が第1電極11と係合する操作部材17を設ける。
【0039】
上述したようにスイッチ装置封止部14aはゴム等の弾性部材で構成してあるため、利用者のスイッチ操作による押下後にキーボタン13から指を離すと、弾性復元力によりスイッチ装置封止部14aはスイッチ操作による押下前のフラットな状態に戻る。このとき、スイッチ装置封止部14aに設けてある操作部材17もスイッチ装置封止部14aと共に押下前の位置に戻ろうとする。ここで、操作部材17は、先端において第2安定姿勢にある第1電極11と係合しているため、第1電極11をスイッチ操作による押下前の状態、つまり、第1安定姿勢に戻す操作力が第1電極11に作用する。
このように、操作部材17により、第1電極11に操作力を付与して第2安定姿勢から第1安定姿勢に戻すことができるため、スイッチ操作後に、第1電極を直ちにスイッチ操作待ち状態である入力解除位置に戻すことができる。このとき、凹状形状を乗り越えて凸状形状に移行する際の衝撃を利用者にクリック感として体感させることができる。
【0040】
〔別実施の形態1〕
上述した実施形態において、感知手段を、第1電極11と第2電極12との間の静電容量の変化を検出する静電容量型であるように構成した場合を例示した。この場合、第1電極11は、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更したときにおいて第2電極12とは接触しないように構成してある。
一方、スイッチ装置Xのコンパクト化等の観点から、第1電極11が、第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更したとき、第2電極12と接触するように構成してもよい。
【0041】
この場合、感知手段が、第2電極に対する第1電極の圧力変化を検出する圧電型であるように構成する。
このとき、第2電極12は圧電電極で構成する。圧電電極は、公知のチタン酸バリウム・チタン酸ジルコン酸鉛等により形成された圧電素子を有する電極が適用できる。
そして、スイッチ操作の際に板ばねで構成される第1電極11が第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した際に第1電極11が第2電極12に接触する。ここで、圧電電極を構成する圧電素子の電圧が変化し、この電圧変化を検出回路(図外)で検出することによりスイッチ操作の有無を検出可能となる。
従って、このようにスイッチ操作が行われる際に、上述したように姿勢変更に伴うクリック感が利用者に体感されることになる。
【0042】
〔別実施の形態2〕
上述した実施例形態において、スイッチ装置封止部14a、14bの間に、弾性を有する封止材を挟持させることが可能である。このとき、封止材はゴム性のOリング等が適用できる。このとき、第2電極12に接続された信号線18は、封止材により圧着された状態で外部の検出回路と連結するが、信号線18は封止材により圧着されているため、外部から雨滴等が侵入し難くなる。
これにより、劣悪な環境下においても、スイッチ装置X内部の感知手段に雨滴や塵等が更に侵入しにくくなる。そのため、第1及び第2電極に悪影響を与える虞が殆どなくなり、確実にスイッチ操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のスイッチ装置を設けた車両ドアハンドルの断面概略図
【図2】本発明のスイッチ装置を設けた車両ドアハンドルの正面概略図
【図3】本発明のスイッチ装置の断面概略図 (a)第1安定姿勢 (b)第2安定姿勢
【符号の説明】
【0044】
X スイッチ装置
11 第1電極
12 第2電極
17 操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作入力を感知する感知手段として、弾性を有する板状部材である第1電極と、前記第1電極と対向する第2電極とを有し、
前記第1電極を、スイッチの入力解除位置に付勢する第1安定姿勢と、スイッチの入力位置に付勢する第2安定姿勢とに切り替え可能に設け、さらに、
前記第1安定姿勢から第2安定姿勢に姿勢変更した後、前記第1電極に操作力を付与して前記第2安定姿勢から前記第1安定姿勢に戻す操作部材を設けたスイッチ装置。
【請求項2】
前記感知手段が、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量の変化を検出する静電容量型である請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記感知手段が、前記第2電極に対する前記第1電極の圧力変化を検出する圧電型である請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記感知手段の内部が密封してある請求項1〜3の何れか一項に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−12446(P2006−12446A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183665(P2004−183665)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】