スイッチ装置
【課題】ケース外部から操作ノブの下側を経由してケース内部へ水が浸入するのを防止できるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ11と、スイッチ11が内部に収納されたケース1と、ケース1の上面に設けられ、上下に開口してケース1内部と連通する中空の筒部7と、筒部7の上部開口7bを覆うように揺動可能に設けられた操作ノブ6と、筒部7の下部開口7cを貫通してケース1内部へ延び、操作ノブ6の動きをスイッチ11に伝達する操作棒12とを備えたスイッチ装置100において、操作ノブ6の内側面6dと対向する筒部7の外側面7eに、ケース1内部への水の浸入を阻止する突起7dを設けた。
【解決手段】スイッチ11と、スイッチ11が内部に収納されたケース1と、ケース1の上面に設けられ、上下に開口してケース1内部と連通する中空の筒部7と、筒部7の上部開口7bを覆うように揺動可能に設けられた操作ノブ6と、筒部7の下部開口7cを貫通してケース1内部へ延び、操作ノブ6の動きをスイッチ11に伝達する操作棒12とを備えたスイッチ装置100において、操作ノブ6の内側面6dと対向する筒部7の外側面7eに、ケース1内部への水の浸入を阻止する突起7dを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動可能な操作ノブの操作によりスイッチの入切を行うスイッチ装置に関し、特に、ケース内部への水の浸入を防止する防水型のスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、車両の窓開閉装置(パワーウィンドウ装置)に用いられるスイッチ装置100の一例を示した外観図である。1はスイッチ装置100のケースであって、上ケース1aと下ケース1bとから構成される。図10では、下ケース1bは一部のみが表れているが、下ケース1bは図13の断面図に示すように上ケース1aの下部に嵌合されている。図10の1cは下ケース1bに形成された複数の突起、1dは上ケース1aに形成された複数の孔であって、突起1cが孔1dに係合することにより、上ケース1aと下ケース1bとが互いに固定され、ケース1が組み立てられる。
【0003】
ケース1の内部には、後述するスイッチや回路基板などが収納されている。ケース1の上部には、後述するカバーを取り付けるための取付部2が形成されている。3はコントローラ(図示省略)に接続するためのケーブルが連結されるコネクタである。4はドアロックスイッチの操作ノブであって、車両の各ドアを開かないようにロックしまたは当該ロックを解除する場合に操作される。5は窓ロックスイッチの操作ノブであって、車両の各窓を開閉できないようにロックしまたは当該ロックを解除するために操作される。6は窓開閉スイッチの操作ノブであって、合計4個設けられており、車両の各窓を開閉する場合に操作される。操作ノブ4と操作ノブ6は、揺動可能なシーソー型のノブであり、操作ノブ5は、ロック式の押ボタンからなるノブである。6aは操作ノブ6の操作部、6bは操作部6aと一体に形成されたキャップ部、6cはキャップ部6bの側壁に形成された孔である。図10では、各操作ノブ6の孔6cは1つしか表れていないが、実際には、孔6cが形成された側壁と反対側にある側壁にも、孔6cと同じ孔が形成されている。
【0004】
図11は、図10において4個の操作ノブ6を取り外した状態を示す外観図である。7はケース1の上面1eに設けられた筒部、7aは各筒部7の外壁に一体形成された軸部、7bは筒部7の上方に開口する上部開口である。図11では、各筒部7の軸部7aは1つしか表れていないが、実際には、軸部7aが形成された外壁と反対側にある外壁にも、軸部7aと同じ軸部が一体形成されている。そして、上部開口7bを覆うように操作ノブ6のキャップ部6bを上方から筒部7へかぶせて、筒部7の軸部7aに操作ノブ6の孔6cを嵌合させることにより、図10で示した状態となり、操作ノブ6は軸部7aを中心として揺動可能に筒部7に支持される。
【0005】
図12は、図10に示したスイッチ装置100にカバー8を取り付けた状態を示す外観図である。このカバー8は、スイッチ装置100を車両の運転席のドアに設けられているアームレスト(図示省略)に取り付けたときに、操作ノブ4〜6を残してスイッチ装置100を覆うものである。カバー8はボス部9を備えており、このボス部9に形成されているネジ孔(図示省略)に、ケース1の取付部2の裏側から挿着したネジ(図示省略)を螺合させることによって、カバー8はスイッチ装置100に取り付けられる。カバー8には、各操作ノブ6の操作部6aを操作する際に指を挿入する開口8aが4つ形成されており、各開口8aから操作部6aが露出している。また、操作ノブ4が露出する開口8cと、操作ノブ5が露出する開口8dも形成されている。操作ノブ4と操作ノブ5とは、上方から押圧するだけで操作可能なため、開口8c、8dの開口面積は小さいが、操作ノブ6は、操作部6aに指を掛けて倒したり起こしたりする操作を行うため、開口8aの開口面積は大きくなっている。
【0006】
図13は、カバー8を取り付けたスイッチ装置100の断面図である。図からわかるように、筒部7は上下に開口してケース1の内部と連通する中空の筒部からなる。ケース1の内部には、回路基板10が配設されており、この回路基板10にはスイッチ11が実装されている。このスイッチ11は窓開閉用のスイッチであって、公知のスライドスイッチから構成されている。11aはスイッチ11のアクチュエータである。12は操作ノブ6に連結された操作棒であって、筒部7の下部開口7cを貫通してケース1の内部へ延びている。操作棒12の下端部には、凹部12aが形成されていて、この凹部12aにスイッチ11のアクチュエータ11aを嵌合させることにより、操作ノブ6の動きが操作棒12を介してスイッチ11へ伝達され、操作ノブ6の操作位置に応じてスイッチ11の内部に設けられている接点が切り換わる。
【0007】
上述したようなスイッチ装置100と同様の構造を有するスイッチ装置が、下記の特許文献1、特許文献2に記載されている。また、特許文献3には、同様のスイッチ装置において、回路基板上の電気部品端子の半田付け部分をゴム接点部材の側壁で囲むことにより、コーティングをすることなく防水対策を施すことが記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−180755号公報
【特許文献2】特開平5−314864公報
【特許文献3】特開平11−86662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のスイッチ装置100にあっては、図12に示したように、カバー8の開口8aの開口面積が大きいために、例えば、閉め忘れた窓から浸入する雨水や、車内で誤ってこぼした飲料などが開口8aから凹部8b(図13参照)へ流れ込むことがある。この場合、凹部8bは指による操作に支障が生じないように容積がかなり大きくなっているため、凹部8bに流れ込む水の量が多くなると、流れ込んだ水は、図13に矢印で示すように、カバー8と操作ノブ6との間隙13、および操作ノブ6と筒部7との間隙14を通って、筒部7の上部開口7bから筒部7の内部へ入り、筒部7の下部開口7cを通ってケース1の内部へ浸入する。前述の特許文献1、特許文献2には、このように操作ノブ6の下側を経由して浸入してくる水に対する防水対策について全く開示がない。また、特許文献3は、短絡を防止するための防水対策について開示しているものの、当該文献の技術では、ゴム接点を用いないスイッチ装置に対しては、操作ノブの下側を経由してケース内部へ水が浸入するのを防止することができない。
【0010】
そこで、本発明は、ケース外部から操作ノブの下側を経由してケース内部へ水が浸入するのを防止できるスイッチ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、スイッチと、このスイッチが内部に収納されたケースと、このケースの上面に設けられ、上下に開口してケース内部と連通する中空の筒部と、この筒部の上部開口を覆うように揺動可能に設けられた操作ノブと、筒部の下部開口を貫通してケース内部へ延び、操作ノブの動きをスイッチに伝達する操作棒とを備えたスイッチ装置において、操作ノブの内側面と対向する筒部の外側面に、ケース内部への水の浸入を阻止する突起を設けたものである。
【0012】
このような突起を設けることで、ケースの外部から操作ノブと筒部との間隙を通って浸入してくる水は突起の部分で遮断され、筒部の上部開口からケース内部へ浸入するのを阻止される。
【0013】
また、本発明において、操作ノブは筒部に揺動可能に支持されており、上記突起は、筒部の外側面のうち、操作ノブの揺動により当該ノブの内側面が接近したり離れたりする外側面に設けられる。操作ノブを揺動可能に筒部に支持するためには、操作ノブの内側面と筒部の外側面との間に、操作ノブの揺動を確保する間隙が必要となり、この間隙が存在することにより、操作ノブの下側から筒部内へ水が浸入し易くなる。そこで、上記のように、操作ノブの内側面が接近したり離れたりする筒部の外側面に突起を設けることにより、操作ノブの下側を経由して浸入する水を効果的に遮断することができる。
【0014】
この場合、突起を上記外側面における上端位置に設けるのが好ましい。操作ノブを揺動可能に筒部に支持した場合、揺動による操作ノブ内側面と筒部外側面との接近時の距離は、筒部の下部にゆくほど小さくなるので、筒部外側面の上端位置に突起を設けることで、突起の突出量を最大にすることができ、水の浸入をより有効に阻止することができる。
【0015】
また、本発明における突起は、筒部の上部開口を挟んだ両側の外側面にそれぞれ設けてもよい。これによると、操作ノブ下方の両側からケース内へ浸入しようとする水に対して、防水対策を施すことができる。
【0016】
また、本発明においては、上述した突起に代えて、上下方向の複数の溝を設けてもよい。これによると、ケース外部から浸入した水は複数の溝へ分散し、溝内には少量の水が貯留される。この貯留水は、表面張力によって溝内に保持されることから、後から浸入してくる水に対して壁の作用を果たし、筒部の上部開口からケース内部への水の浸入を阻止する。
【0017】
また、本発明においては、筒部の外側面と対向する操作ノブの内側面に、ケース内部への水の浸入を阻止する突起を設けてもよい。このようにしても、ケースの外部から操作ノブと筒部との間隙を通って浸入してくる水は突起の部分で遮断されるので、筒部の上部開口からケース内部へ水が浸入するのを阻止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ケース外部から操作ノブの下側を経由してケース内部へ浸入する水を突起や溝によって遮断することができるので、スイッチ装置に対して有効な防水対策を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。これらの図において、同一部分には同一符号を付してある。また、以下に述べる各実施形態のスイッチ装置100の外観は図10と同じであり、また、スイッチ装置100にカバー8を取り付けた状態は図12と同じであるので、図10および図12を本発明の実施形態として引用する。
【0020】
図1〜図3は、第1実施形態を示している。図1は、図10において4個の操作ノブ6を取り外した状態を示す外観図である。7はケース1の上面1eに設けられた筒部、7aは各筒部7の外壁に一体形成された軸部、7bは筒部7の上方に開口する上部開口である。ここでは、筒部7の水平断面の形状が略矩形となっているが、筒部7の水平断面の形状は円形やその他の形状であってもよい。図1では、各筒部7の軸部7aは1つしか表れていないが、実際には、軸部7aが形成された外壁と反対側にある外壁にも、軸部7aと同じ軸部が一体形成されている。そして、上部開口7bを覆うように操作ノブ6のキャップ部6bを上方から筒部7へかぶせて、筒部7の軸部7aに操作ノブ6の孔6cを嵌合させることにより、図10で示した状態となり、操作ノブ6は軸部7aを中心として揺動可能に筒部7に支持される。以上の構成については図11と同じである。図1において、図11と異なる点は、各筒部7の外側面7eに突起7dが設けられていることである。それぞれの突起7dは、筒部7と一体成型されており、筒部7の外側面7eと略同一の幅にわたって、ケース1の上面1eと略平行な方向に延びている。
【0021】
図2は、カバー8を取り付けたスイッチ装置100の断面図である。図からわかるように、筒部7は上下に開口してケース1の内部と連通する中空の筒部からなる。ケース1の内部には、回路基板10が配設されており、この回路基板10にはスイッチ11が実装されている。このスイッチ11は窓開閉用のスイッチであって、公知のスライドスイッチから構成されている。11aはスイッチ11のアクチュエータである。12は操作ノブ6に連結された操作棒であって、筒部7の下部開口7cを貫通してケース1の内部へ延びている。操作棒12の下端部には、凹部12aが形成されていて、この凹部12aにスイッチ11のアクチュエータ11aを嵌合させることにより、操作ノブ6の動きが操作棒12を介してスイッチ11へ伝達され、操作ノブ6の操作位置に応じてスイッチ11の内部に設けられている接点が切り換わる。以上の構成については図13と同じである。
【0022】
図2において、前述した突起7dは、操作ノブ6のキャップ部6bの内側面6dと対向する筒部7の外側面7eに設けられている。操作ノブ6の内側面6dと筒部7の外側面7eとの間には、操作ノブ6の揺動を確保するための間隙14が必ず必要なので、カバー8の開口8aから凹部8bへ流れ込んだ水は、カバー8と操作ノブ6との間隙13を通って、操作ノブ6の下側から間隙14へ入り、筒部7の上部開口7bから筒部7内に入ろうとする。しかし、間隙14の上部には突起7dが突出しており、この突起7dによって、間隙14から上部開口7bへ至る水の流れが遮断されるため、操作ノブ6の下側から浸入した水が筒部7の上部開口7bから下部開口7cを通ってケース1内部へ入るのを阻止することができる。
【0023】
突起7dは、筒部7の外側面7eの任意の位置に設けることができるが、ここでは、外側面7eの上端位置に突起7dを設けている。操作ノブ6は筒部7の軸部7aに揺動可能に支持されているので、図3に一点鎖線で示すように、操作ノブ6の内側面6dは、操作ノブ6の揺動により外側面7eに接近したり離れたりする。この場合、内側面6dと外側面7eとの接近時の距離は、筒部7の下部にゆくほど小さくなり、筒部7の上部にゆくほど大きくなる。したがって、外側面7eの上端位置に突起7dを設けることで、突起7dの突出量を最大にすることができ、水の浸入をより有効に阻止することができる。
【0024】
図4は、本発明の第2実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。スイッチ装置の全体的な構成は、図1〜図3に示したものと基本的に同じである。この第2実施形態は、第1実施形態における突起7dの他に、もう1つの突起7fを設けたものである。すなわち、筒部7の上部開口7bを挟んだ両側の外側面7eに、突起7d,7fが形成されている。突起7fは、突起7dと同様に、外側面7eの上端位置に設けられているが、突起7fの位置は任意に選定することができる。本実施形態によると、操作ノブ6の下方の両側(矢印A方向および矢印B方向)からケース1内へ浸入しようとする水に対して、防水対策を施すことができる。
【0025】
図5は、本発明の第3実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。スイッチ装置の全体的な構成は、図1〜図3に示したものと基本的に同じである。この第3実施形態は、第2実施形態における突起7d,7fに加えて、さらにもう1つの突起7gを筒部7に設けたものである。この突起7gは、突起7dが設けられている側の外側面7eの上端位置に、突起7dと略直交して上方へ突出するように形成されている。また、突起7gは、図1で説明した突起7dの幅と略同一の幅にわたって、ケース1の上面1eと略平行な方向に延びている。本実施形態によると、操作ノブ6の下方から浸入してきた水がたとえ突起7dを突破した場合でも、上方へ突出する突起7gが障壁となって、筒部7の上部開口7bからの水の浸入を阻止できるので、より有効な防水効果を得ることができる。なお、必要により、突起7gと同じ突起を、突起7fが設けられている側の外側面7eの上端位置に設けてもよい。また、図5では、図4の構成に突起7gを追加した例を示したが、図3の構成に突起7gを追加してもよい。
【0026】
図6は、本発明の第4実施形態に係るスイッチ装置を示す外観図であって、操作ノブ6を取り外した状態を示している。この第4実施形態は、各筒部7において、第1実施形態における突起7dを複数列設けたものである。ここでは、各筒部7の外側面に3列の突起7dが形成されているが、突起7dの数は任意に選定することができる。本実施形態によると、水の浸入方向に対して複数の突起7dが存在することから、単一の突起7dを設けた場合に比べて、操作ノブ6の下方から浸入してきた水が筒部7の上部開口7bを通ってケース1内部に入るのが一層困難となり、より有効な防水効果を得ることができる。なお、必要により、筒部7の上部開口7bを挟んだ両側の外側面に、複数の突起7dをそれぞれ設けてもよい。また、複数の突起7dに加えて、図5で示した上方へ突出する突起7gを筒部7の外側面の上端位置に設けてもよい。
【0027】
図7は、本発明の第5実施形態に係るスイッチ装置を示す外観図であって、操作ノブ6を取り外した状態を示している。この第5実施形態は、各筒部7において、第1および第4実施形態における突起7dに代えて、複数の溝7hを設けたものである。これらの溝7hは、操作ノブ6の内側面と対向する筒部7の外側面に上下方向に形成されている。ここでは、各筒部7に溝7hが4本設けられているが、溝7hの数は任意に選定することができる。本実施形態によると、操作ノブ6の下方から浸入してきた水は、複数の溝7hへ分散して、それぞれの溝7h内に少量の水が貯留される。この貯留水は、表面張力のために溝7h内に保持され、後から浸入してくる水に対して壁の作用を果たす。したがって、後からの浸入水は、この溝7hにおいてそれ以上の浸入が阻止され、筒部7の上部開口7bからケース1内部へ入り込むことがない。なお、必要により、筒部7の上部開口7bを挟んだ両側の外側面に、複数の溝7hをそれぞれ設けてもよい。また、複数の溝7hに加えて、図5で示した上方へ突出する突起7gを筒部7の外側面の上端位置に設けてもよい。
【0028】
図8は、本発明の第6実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。スイッチ装置の全体的な構成は、図1〜図3に示したものと基本的に同じである。この第6実施形態は、ケース内部への水の浸入を阻止するための突起を操作ノブ側に設けたものである。すなわち、筒部7の外側面7eと対向する操作ノブ6の内側面6dに、突起6eが形成されている。突起6eは操作ノブ6と一体成型されており、図1で説明した突起7dと同様に、筒部7の外側面7eと略同一の幅にわたって、ケース1の上面1eと略平行な方向に延びている。また、突起6eは、筒部7の外側面7eの上端位置に対応する位置に設けられているが、突起6eの位置は任意に選定することができる。本実施形態によっても、操作ノブ6の下方からケース1内へ浸入しようとする水に対して、防水対策を施すことができる。
【0029】
図9は、本発明の第7実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。スイッチ装置の全体的な構成は、図1〜図3に示したものと基本的に同じである。この第7実施形態は、図8の第6実施形態における突起6eの他に、もう1つの突起6fを操作ノブ側に設けたものである。すなわち、筒部7の上部開口7bを挟んだ両側の外側面7eと対向する操作ノブ6の内側面6dに、突起6e,6fが形成されている。本実施形態によると、操作ノブ6の下方の両側(矢印A方向および矢印B方向)からケース1内へ浸入しようとする水に対して、防水対策を施すことができる。
【0030】
以上のようにして、上記の各実施形態によれば、窓から浸入する雨水やこぼした飲料などがカバー8の開口8aから凹部8bへ流れ込んでも、突起6e,6f,7d,7f,7gや溝7hによって、操作ノブ6の下方を経由してケース1の内部へ水が浸入するのを阻止することができ、スイッチ装置100に対して有効な防水対策を施すことができる。
【0031】
上述した実施形態では、本発明をパワーウィンドウ装置に用いられるスイッチ装置100に適用した場合を例に挙げたが、本発明は扉開閉装置に用いられるスイッチ装置などにも適用することができ、また、車載以外の用途に用いられるスイッチ装置にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスイッチ装置の操作ノブを取り外した状態を示す外観図である。
【図2】同スイッチ装置にカバーを取り付けた場合の断面図である。
【図3】同スイッチ装置の要部断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るスイッチ装置の操作ノブを取り外した状態を示す外観図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係るスイッチ装置の操作ノブを取り外した状態を示す外観図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【図10】スイッチ装置の一例を示した外観図である。
【図11】図10において操作ノブを取り外した状態を示す外観図である。
【図12】スイッチ装置にカバーを取り付けた状態を示す外観図である。
【図13】カバーを取り付けたスイッチ装置の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ケース
6 操作ノブ
6a 操作部
6b キャップ部
6c 孔
6d 内側面
6e 突起
6f 突起
7 筒部
7a 軸部
7b 上部開口
7c 下部開口
7d 突起
7e 外側面
7f 突起
7g 突起
7h 溝
8 カバー
10 回路基板
11 スイッチ
12 操作棒
13 間隙
14 間隙
100 スイッチ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動可能な操作ノブの操作によりスイッチの入切を行うスイッチ装置に関し、特に、ケース内部への水の浸入を防止する防水型のスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、車両の窓開閉装置(パワーウィンドウ装置)に用いられるスイッチ装置100の一例を示した外観図である。1はスイッチ装置100のケースであって、上ケース1aと下ケース1bとから構成される。図10では、下ケース1bは一部のみが表れているが、下ケース1bは図13の断面図に示すように上ケース1aの下部に嵌合されている。図10の1cは下ケース1bに形成された複数の突起、1dは上ケース1aに形成された複数の孔であって、突起1cが孔1dに係合することにより、上ケース1aと下ケース1bとが互いに固定され、ケース1が組み立てられる。
【0003】
ケース1の内部には、後述するスイッチや回路基板などが収納されている。ケース1の上部には、後述するカバーを取り付けるための取付部2が形成されている。3はコントローラ(図示省略)に接続するためのケーブルが連結されるコネクタである。4はドアロックスイッチの操作ノブであって、車両の各ドアを開かないようにロックしまたは当該ロックを解除する場合に操作される。5は窓ロックスイッチの操作ノブであって、車両の各窓を開閉できないようにロックしまたは当該ロックを解除するために操作される。6は窓開閉スイッチの操作ノブであって、合計4個設けられており、車両の各窓を開閉する場合に操作される。操作ノブ4と操作ノブ6は、揺動可能なシーソー型のノブであり、操作ノブ5は、ロック式の押ボタンからなるノブである。6aは操作ノブ6の操作部、6bは操作部6aと一体に形成されたキャップ部、6cはキャップ部6bの側壁に形成された孔である。図10では、各操作ノブ6の孔6cは1つしか表れていないが、実際には、孔6cが形成された側壁と反対側にある側壁にも、孔6cと同じ孔が形成されている。
【0004】
図11は、図10において4個の操作ノブ6を取り外した状態を示す外観図である。7はケース1の上面1eに設けられた筒部、7aは各筒部7の外壁に一体形成された軸部、7bは筒部7の上方に開口する上部開口である。図11では、各筒部7の軸部7aは1つしか表れていないが、実際には、軸部7aが形成された外壁と反対側にある外壁にも、軸部7aと同じ軸部が一体形成されている。そして、上部開口7bを覆うように操作ノブ6のキャップ部6bを上方から筒部7へかぶせて、筒部7の軸部7aに操作ノブ6の孔6cを嵌合させることにより、図10で示した状態となり、操作ノブ6は軸部7aを中心として揺動可能に筒部7に支持される。
【0005】
図12は、図10に示したスイッチ装置100にカバー8を取り付けた状態を示す外観図である。このカバー8は、スイッチ装置100を車両の運転席のドアに設けられているアームレスト(図示省略)に取り付けたときに、操作ノブ4〜6を残してスイッチ装置100を覆うものである。カバー8はボス部9を備えており、このボス部9に形成されているネジ孔(図示省略)に、ケース1の取付部2の裏側から挿着したネジ(図示省略)を螺合させることによって、カバー8はスイッチ装置100に取り付けられる。カバー8には、各操作ノブ6の操作部6aを操作する際に指を挿入する開口8aが4つ形成されており、各開口8aから操作部6aが露出している。また、操作ノブ4が露出する開口8cと、操作ノブ5が露出する開口8dも形成されている。操作ノブ4と操作ノブ5とは、上方から押圧するだけで操作可能なため、開口8c、8dの開口面積は小さいが、操作ノブ6は、操作部6aに指を掛けて倒したり起こしたりする操作を行うため、開口8aの開口面積は大きくなっている。
【0006】
図13は、カバー8を取り付けたスイッチ装置100の断面図である。図からわかるように、筒部7は上下に開口してケース1の内部と連通する中空の筒部からなる。ケース1の内部には、回路基板10が配設されており、この回路基板10にはスイッチ11が実装されている。このスイッチ11は窓開閉用のスイッチであって、公知のスライドスイッチから構成されている。11aはスイッチ11のアクチュエータである。12は操作ノブ6に連結された操作棒であって、筒部7の下部開口7cを貫通してケース1の内部へ延びている。操作棒12の下端部には、凹部12aが形成されていて、この凹部12aにスイッチ11のアクチュエータ11aを嵌合させることにより、操作ノブ6の動きが操作棒12を介してスイッチ11へ伝達され、操作ノブ6の操作位置に応じてスイッチ11の内部に設けられている接点が切り換わる。
【0007】
上述したようなスイッチ装置100と同様の構造を有するスイッチ装置が、下記の特許文献1、特許文献2に記載されている。また、特許文献3には、同様のスイッチ装置において、回路基板上の電気部品端子の半田付け部分をゴム接点部材の側壁で囲むことにより、コーティングをすることなく防水対策を施すことが記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−180755号公報
【特許文献2】特開平5−314864公報
【特許文献3】特開平11−86662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のスイッチ装置100にあっては、図12に示したように、カバー8の開口8aの開口面積が大きいために、例えば、閉め忘れた窓から浸入する雨水や、車内で誤ってこぼした飲料などが開口8aから凹部8b(図13参照)へ流れ込むことがある。この場合、凹部8bは指による操作に支障が生じないように容積がかなり大きくなっているため、凹部8bに流れ込む水の量が多くなると、流れ込んだ水は、図13に矢印で示すように、カバー8と操作ノブ6との間隙13、および操作ノブ6と筒部7との間隙14を通って、筒部7の上部開口7bから筒部7の内部へ入り、筒部7の下部開口7cを通ってケース1の内部へ浸入する。前述の特許文献1、特許文献2には、このように操作ノブ6の下側を経由して浸入してくる水に対する防水対策について全く開示がない。また、特許文献3は、短絡を防止するための防水対策について開示しているものの、当該文献の技術では、ゴム接点を用いないスイッチ装置に対しては、操作ノブの下側を経由してケース内部へ水が浸入するのを防止することができない。
【0010】
そこで、本発明は、ケース外部から操作ノブの下側を経由してケース内部へ水が浸入するのを防止できるスイッチ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、スイッチと、このスイッチが内部に収納されたケースと、このケースの上面に設けられ、上下に開口してケース内部と連通する中空の筒部と、この筒部の上部開口を覆うように揺動可能に設けられた操作ノブと、筒部の下部開口を貫通してケース内部へ延び、操作ノブの動きをスイッチに伝達する操作棒とを備えたスイッチ装置において、操作ノブの内側面と対向する筒部の外側面に、ケース内部への水の浸入を阻止する突起を設けたものである。
【0012】
このような突起を設けることで、ケースの外部から操作ノブと筒部との間隙を通って浸入してくる水は突起の部分で遮断され、筒部の上部開口からケース内部へ浸入するのを阻止される。
【0013】
また、本発明において、操作ノブは筒部に揺動可能に支持されており、上記突起は、筒部の外側面のうち、操作ノブの揺動により当該ノブの内側面が接近したり離れたりする外側面に設けられる。操作ノブを揺動可能に筒部に支持するためには、操作ノブの内側面と筒部の外側面との間に、操作ノブの揺動を確保する間隙が必要となり、この間隙が存在することにより、操作ノブの下側から筒部内へ水が浸入し易くなる。そこで、上記のように、操作ノブの内側面が接近したり離れたりする筒部の外側面に突起を設けることにより、操作ノブの下側を経由して浸入する水を効果的に遮断することができる。
【0014】
この場合、突起を上記外側面における上端位置に設けるのが好ましい。操作ノブを揺動可能に筒部に支持した場合、揺動による操作ノブ内側面と筒部外側面との接近時の距離は、筒部の下部にゆくほど小さくなるので、筒部外側面の上端位置に突起を設けることで、突起の突出量を最大にすることができ、水の浸入をより有効に阻止することができる。
【0015】
また、本発明における突起は、筒部の上部開口を挟んだ両側の外側面にそれぞれ設けてもよい。これによると、操作ノブ下方の両側からケース内へ浸入しようとする水に対して、防水対策を施すことができる。
【0016】
また、本発明においては、上述した突起に代えて、上下方向の複数の溝を設けてもよい。これによると、ケース外部から浸入した水は複数の溝へ分散し、溝内には少量の水が貯留される。この貯留水は、表面張力によって溝内に保持されることから、後から浸入してくる水に対して壁の作用を果たし、筒部の上部開口からケース内部への水の浸入を阻止する。
【0017】
また、本発明においては、筒部の外側面と対向する操作ノブの内側面に、ケース内部への水の浸入を阻止する突起を設けてもよい。このようにしても、ケースの外部から操作ノブと筒部との間隙を通って浸入してくる水は突起の部分で遮断されるので、筒部の上部開口からケース内部へ水が浸入するのを阻止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ケース外部から操作ノブの下側を経由してケース内部へ浸入する水を突起や溝によって遮断することができるので、スイッチ装置に対して有効な防水対策を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。これらの図において、同一部分には同一符号を付してある。また、以下に述べる各実施形態のスイッチ装置100の外観は図10と同じであり、また、スイッチ装置100にカバー8を取り付けた状態は図12と同じであるので、図10および図12を本発明の実施形態として引用する。
【0020】
図1〜図3は、第1実施形態を示している。図1は、図10において4個の操作ノブ6を取り外した状態を示す外観図である。7はケース1の上面1eに設けられた筒部、7aは各筒部7の外壁に一体形成された軸部、7bは筒部7の上方に開口する上部開口である。ここでは、筒部7の水平断面の形状が略矩形となっているが、筒部7の水平断面の形状は円形やその他の形状であってもよい。図1では、各筒部7の軸部7aは1つしか表れていないが、実際には、軸部7aが形成された外壁と反対側にある外壁にも、軸部7aと同じ軸部が一体形成されている。そして、上部開口7bを覆うように操作ノブ6のキャップ部6bを上方から筒部7へかぶせて、筒部7の軸部7aに操作ノブ6の孔6cを嵌合させることにより、図10で示した状態となり、操作ノブ6は軸部7aを中心として揺動可能に筒部7に支持される。以上の構成については図11と同じである。図1において、図11と異なる点は、各筒部7の外側面7eに突起7dが設けられていることである。それぞれの突起7dは、筒部7と一体成型されており、筒部7の外側面7eと略同一の幅にわたって、ケース1の上面1eと略平行な方向に延びている。
【0021】
図2は、カバー8を取り付けたスイッチ装置100の断面図である。図からわかるように、筒部7は上下に開口してケース1の内部と連通する中空の筒部からなる。ケース1の内部には、回路基板10が配設されており、この回路基板10にはスイッチ11が実装されている。このスイッチ11は窓開閉用のスイッチであって、公知のスライドスイッチから構成されている。11aはスイッチ11のアクチュエータである。12は操作ノブ6に連結された操作棒であって、筒部7の下部開口7cを貫通してケース1の内部へ延びている。操作棒12の下端部には、凹部12aが形成されていて、この凹部12aにスイッチ11のアクチュエータ11aを嵌合させることにより、操作ノブ6の動きが操作棒12を介してスイッチ11へ伝達され、操作ノブ6の操作位置に応じてスイッチ11の内部に設けられている接点が切り換わる。以上の構成については図13と同じである。
【0022】
図2において、前述した突起7dは、操作ノブ6のキャップ部6bの内側面6dと対向する筒部7の外側面7eに設けられている。操作ノブ6の内側面6dと筒部7の外側面7eとの間には、操作ノブ6の揺動を確保するための間隙14が必ず必要なので、カバー8の開口8aから凹部8bへ流れ込んだ水は、カバー8と操作ノブ6との間隙13を通って、操作ノブ6の下側から間隙14へ入り、筒部7の上部開口7bから筒部7内に入ろうとする。しかし、間隙14の上部には突起7dが突出しており、この突起7dによって、間隙14から上部開口7bへ至る水の流れが遮断されるため、操作ノブ6の下側から浸入した水が筒部7の上部開口7bから下部開口7cを通ってケース1内部へ入るのを阻止することができる。
【0023】
突起7dは、筒部7の外側面7eの任意の位置に設けることができるが、ここでは、外側面7eの上端位置に突起7dを設けている。操作ノブ6は筒部7の軸部7aに揺動可能に支持されているので、図3に一点鎖線で示すように、操作ノブ6の内側面6dは、操作ノブ6の揺動により外側面7eに接近したり離れたりする。この場合、内側面6dと外側面7eとの接近時の距離は、筒部7の下部にゆくほど小さくなり、筒部7の上部にゆくほど大きくなる。したがって、外側面7eの上端位置に突起7dを設けることで、突起7dの突出量を最大にすることができ、水の浸入をより有効に阻止することができる。
【0024】
図4は、本発明の第2実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。スイッチ装置の全体的な構成は、図1〜図3に示したものと基本的に同じである。この第2実施形態は、第1実施形態における突起7dの他に、もう1つの突起7fを設けたものである。すなわち、筒部7の上部開口7bを挟んだ両側の外側面7eに、突起7d,7fが形成されている。突起7fは、突起7dと同様に、外側面7eの上端位置に設けられているが、突起7fの位置は任意に選定することができる。本実施形態によると、操作ノブ6の下方の両側(矢印A方向および矢印B方向)からケース1内へ浸入しようとする水に対して、防水対策を施すことができる。
【0025】
図5は、本発明の第3実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。スイッチ装置の全体的な構成は、図1〜図3に示したものと基本的に同じである。この第3実施形態は、第2実施形態における突起7d,7fに加えて、さらにもう1つの突起7gを筒部7に設けたものである。この突起7gは、突起7dが設けられている側の外側面7eの上端位置に、突起7dと略直交して上方へ突出するように形成されている。また、突起7gは、図1で説明した突起7dの幅と略同一の幅にわたって、ケース1の上面1eと略平行な方向に延びている。本実施形態によると、操作ノブ6の下方から浸入してきた水がたとえ突起7dを突破した場合でも、上方へ突出する突起7gが障壁となって、筒部7の上部開口7bからの水の浸入を阻止できるので、より有効な防水効果を得ることができる。なお、必要により、突起7gと同じ突起を、突起7fが設けられている側の外側面7eの上端位置に設けてもよい。また、図5では、図4の構成に突起7gを追加した例を示したが、図3の構成に突起7gを追加してもよい。
【0026】
図6は、本発明の第4実施形態に係るスイッチ装置を示す外観図であって、操作ノブ6を取り外した状態を示している。この第4実施形態は、各筒部7において、第1実施形態における突起7dを複数列設けたものである。ここでは、各筒部7の外側面に3列の突起7dが形成されているが、突起7dの数は任意に選定することができる。本実施形態によると、水の浸入方向に対して複数の突起7dが存在することから、単一の突起7dを設けた場合に比べて、操作ノブ6の下方から浸入してきた水が筒部7の上部開口7bを通ってケース1内部に入るのが一層困難となり、より有効な防水効果を得ることができる。なお、必要により、筒部7の上部開口7bを挟んだ両側の外側面に、複数の突起7dをそれぞれ設けてもよい。また、複数の突起7dに加えて、図5で示した上方へ突出する突起7gを筒部7の外側面の上端位置に設けてもよい。
【0027】
図7は、本発明の第5実施形態に係るスイッチ装置を示す外観図であって、操作ノブ6を取り外した状態を示している。この第5実施形態は、各筒部7において、第1および第4実施形態における突起7dに代えて、複数の溝7hを設けたものである。これらの溝7hは、操作ノブ6の内側面と対向する筒部7の外側面に上下方向に形成されている。ここでは、各筒部7に溝7hが4本設けられているが、溝7hの数は任意に選定することができる。本実施形態によると、操作ノブ6の下方から浸入してきた水は、複数の溝7hへ分散して、それぞれの溝7h内に少量の水が貯留される。この貯留水は、表面張力のために溝7h内に保持され、後から浸入してくる水に対して壁の作用を果たす。したがって、後からの浸入水は、この溝7hにおいてそれ以上の浸入が阻止され、筒部7の上部開口7bからケース1内部へ入り込むことがない。なお、必要により、筒部7の上部開口7bを挟んだ両側の外側面に、複数の溝7hをそれぞれ設けてもよい。また、複数の溝7hに加えて、図5で示した上方へ突出する突起7gを筒部7の外側面の上端位置に設けてもよい。
【0028】
図8は、本発明の第6実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。スイッチ装置の全体的な構成は、図1〜図3に示したものと基本的に同じである。この第6実施形態は、ケース内部への水の浸入を阻止するための突起を操作ノブ側に設けたものである。すなわち、筒部7の外側面7eと対向する操作ノブ6の内側面6dに、突起6eが形成されている。突起6eは操作ノブ6と一体成型されており、図1で説明した突起7dと同様に、筒部7の外側面7eと略同一の幅にわたって、ケース1の上面1eと略平行な方向に延びている。また、突起6eは、筒部7の外側面7eの上端位置に対応する位置に設けられているが、突起6eの位置は任意に選定することができる。本実施形態によっても、操作ノブ6の下方からケース1内へ浸入しようとする水に対して、防水対策を施すことができる。
【0029】
図9は、本発明の第7実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。スイッチ装置の全体的な構成は、図1〜図3に示したものと基本的に同じである。この第7実施形態は、図8の第6実施形態における突起6eの他に、もう1つの突起6fを操作ノブ側に設けたものである。すなわち、筒部7の上部開口7bを挟んだ両側の外側面7eと対向する操作ノブ6の内側面6dに、突起6e,6fが形成されている。本実施形態によると、操作ノブ6の下方の両側(矢印A方向および矢印B方向)からケース1内へ浸入しようとする水に対して、防水対策を施すことができる。
【0030】
以上のようにして、上記の各実施形態によれば、窓から浸入する雨水やこぼした飲料などがカバー8の開口8aから凹部8bへ流れ込んでも、突起6e,6f,7d,7f,7gや溝7hによって、操作ノブ6の下方を経由してケース1の内部へ水が浸入するのを阻止することができ、スイッチ装置100に対して有効な防水対策を施すことができる。
【0031】
上述した実施形態では、本発明をパワーウィンドウ装置に用いられるスイッチ装置100に適用した場合を例に挙げたが、本発明は扉開閉装置に用いられるスイッチ装置などにも適用することができ、また、車載以外の用途に用いられるスイッチ装置にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスイッチ装置の操作ノブを取り外した状態を示す外観図である。
【図2】同スイッチ装置にカバーを取り付けた場合の断面図である。
【図3】同スイッチ装置の要部断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るスイッチ装置の操作ノブを取り外した状態を示す外観図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係るスイッチ装置の操作ノブを取り外した状態を示す外観図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【図10】スイッチ装置の一例を示した外観図である。
【図11】図10において操作ノブを取り外した状態を示す外観図である。
【図12】スイッチ装置にカバーを取り付けた状態を示す外観図である。
【図13】カバーを取り付けたスイッチ装置の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ケース
6 操作ノブ
6a 操作部
6b キャップ部
6c 孔
6d 内側面
6e 突起
6f 突起
7 筒部
7a 軸部
7b 上部開口
7c 下部開口
7d 突起
7e 外側面
7f 突起
7g 突起
7h 溝
8 カバー
10 回路基板
11 スイッチ
12 操作棒
13 間隙
14 間隙
100 スイッチ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチと、
前記スイッチが内部に収納されたケースと、
前記ケースの上面に設けられ、上下に開口してケース内部と連通する中空の筒部と、
前記筒部の上部開口を覆うように揺動可能に設けられた操作ノブと、
前記筒部の下部開口を貫通してケース内部へ延び、前記操作ノブの動きを前記スイッチに伝達する操作棒と、
を備えたスイッチ装置において、
前記操作ノブの内側面と対向する前記筒部の外側面に、ケース内部への水の浸入を阻止する突起を設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記操作ノブは、前記筒部に揺動可能に支持されており、
前記突起は、前記筒部の外側面のうち、操作ノブの揺動により当該ノブの内側面が接近したり離れたりする外側面に設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチ装置において、
前記突起は、前記外側面における上端位置に設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のスイッチ装置において、
前記突起は、前記筒部の上部開口を挟んだ両側の外側面にそれぞれ設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
スイッチと、
前記スイッチが内部に収納されたケースと、
前記ケースの上面に設けられ、上下に開口してケース内部と連通する中空の筒部と、
前記筒部の上部開口を覆うように揺動可能に設けられた操作ノブと、
前記筒部の下部開口を貫通してケース内部へ延び、前記操作ノブの動きを前記スイッチに伝達する操作棒と、
を備えたスイッチ装置において、
前記操作ノブの内側面と対向する前記筒部の外側面に、ケース内部への水の浸入を阻止する複数の溝を上下方向に設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
スイッチと、
前記スイッチが内部に収納されたケースと、
前記ケースの上面に設けられ、上下に開口してケース内部と連通する中空の筒部と、
前記筒部の上部開口を覆うように揺動可能に設けられた操作ノブと、
前記筒部の下部開口を貫通してケース内部へ延び、前記操作ノブの動きを前記スイッチに伝達する操作棒と、
を備えたスイッチ装置において、
前記筒部の外側面と対向する前記操作ノブの内側面に、ケース内部への水の浸入を阻止する突起を設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項1】
スイッチと、
前記スイッチが内部に収納されたケースと、
前記ケースの上面に設けられ、上下に開口してケース内部と連通する中空の筒部と、
前記筒部の上部開口を覆うように揺動可能に設けられた操作ノブと、
前記筒部の下部開口を貫通してケース内部へ延び、前記操作ノブの動きを前記スイッチに伝達する操作棒と、
を備えたスイッチ装置において、
前記操作ノブの内側面と対向する前記筒部の外側面に、ケース内部への水の浸入を阻止する突起を設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記操作ノブは、前記筒部に揺動可能に支持されており、
前記突起は、前記筒部の外側面のうち、操作ノブの揺動により当該ノブの内側面が接近したり離れたりする外側面に設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチ装置において、
前記突起は、前記外側面における上端位置に設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のスイッチ装置において、
前記突起は、前記筒部の上部開口を挟んだ両側の外側面にそれぞれ設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
スイッチと、
前記スイッチが内部に収納されたケースと、
前記ケースの上面に設けられ、上下に開口してケース内部と連通する中空の筒部と、
前記筒部の上部開口を覆うように揺動可能に設けられた操作ノブと、
前記筒部の下部開口を貫通してケース内部へ延び、前記操作ノブの動きを前記スイッチに伝達する操作棒と、
を備えたスイッチ装置において、
前記操作ノブの内側面と対向する前記筒部の外側面に、ケース内部への水の浸入を阻止する複数の溝を上下方向に設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
スイッチと、
前記スイッチが内部に収納されたケースと、
前記ケースの上面に設けられ、上下に開口してケース内部と連通する中空の筒部と、
前記筒部の上部開口を覆うように揺動可能に設けられた操作ノブと、
前記筒部の下部開口を貫通してケース内部へ延び、前記操作ノブの動きを前記スイッチに伝達する操作棒と、
を備えたスイッチ装置において、
前記筒部の外側面と対向する前記操作ノブの内側面に、ケース内部への水の浸入を阻止する突起を設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−221929(P2006−221929A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33388(P2005−33388)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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