説明

スイッチ装置

【課題】ワイヤレス信号に基づく負荷制御を無効にするとともに、希望の負荷状態を保持することができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置は、操作部の操作状態に応じた操作信号を出力する操作スイッチ27と、電波を媒体とするワイヤレス信号を受信するワイヤレス信号送受信部と、電源から照明負荷Lへの給電路を開閉可能なスイッチ要素と、スイッチ要素の開閉制御を行う制御部及び負荷制御部とを備え、制御部は、操作部が予め規定された規定時間Ts以上押操作される長押操作に伴う操作信号を検出した場合に、操作部が規定時間Ts未満押操作される短押操作に伴う操作信号又はワイヤレス信号に基づいてスイッチ要素の開閉制御を行う通常モードから、ワイヤレス信号に基づいてはスイッチ要素の開閉制御を行わない禁止モードに移行するとともに、スイッチ要素の開閉状態を長押操作前の状態に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明負荷などをオン/オフするためのスイッチ装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このスイッチ装置は、器体内に操作ハンドルの操作に応じて操作信号を出力する操作スイッチと、ワイヤレス信号を受信する受信手段と、電源から負荷への給電路に介装される開閉手段と、開閉手段の開閉制御を行う制御手段とを備えていた。そして、制御手段が操作ハンドルの押操作に伴って操作スイッチから出力される操作信号やワイヤレス信号に応じて開閉手段を制御することで負荷制御を行い、照明負荷としての蛍光灯などを点灯又は消灯するようになっていた。また、例えば送信機が人の存否を検知するための人感センサを備え、人の存在を検知した場合に蛍光灯を点灯させるべくワイヤレス信号を送信することで、操作ハンドルを操作することなく、照明負荷をワイヤレス制御することができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−253092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたスイッチ装置においては、例えば照明負荷としての蛍光灯を交換するために消灯状態を維持したい場合にも、ワイヤレス制御によって照明負荷が点灯状態となってしまうなど、希望の負荷状態を保持できない場合があるという問題があった。
【0005】
本発明はこうした事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワイヤレス信号に基づく負荷制御を無効にするとともに、希望の負荷状態を保持することができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載のスイッチ装置は、操作部の操作状態に応じた操作信号を出力する操作スイッチと、電波又は光を媒体とするワイヤレス信号を受信する受信手段と、電源から負荷への給電路に介装される開閉手段と、該開閉手段の開閉制御を行う制御手段とを備え、該制御手段は、前記操作部が予め規定された規定時間以上押操作される長押操作に伴う操作信号を検出した場合に、前記操作部が前記規定時間未満押操作される短押操作に伴う操作信号又は前記ワイヤレス信号に基づいて前記開閉手段の開閉制御を行う第1モードから、前記ワイヤレス信号に基づいては前記開閉手段の開閉制御を行わない第2モードに移行するとともに、前記開閉手段の開閉状態を前記長押操作前の状態に保持することを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、開閉手段の開閉制御と制御手段の第2モードへの移行とを共通の操作部を介して行うことができるので、制御手段の第2モードへの移行のために専用の操作スイッチを備える必要がなく、簡易な構成でスイッチ装置を実現することができる。そして、操作部の長押操作によって、ワイヤレス信号に基づいては開閉手段の開閉制御を行わない第2モードに移行するとともに、開閉手段の開閉状態を長押操作前の状態に保持するので、ワイヤレス信号に基づく負荷制御を無効にするとともに、希望の負荷状態を保持することができる。そして、負荷状態を変化させることなく第2モードに移行することができるので、ユーザーにとって分かり易い負荷制御を実現することができる。
【0008】
請求項2の発明は、前記制御手段は、前記第1モードにおいて、前記操作部が押操作される押操作時間が前記規定時間未満であった場合には、前記開閉手段の開閉状態を反転させるための制御信号を出力し、前記押操作時間が前記規定時間以上であった場合には、前記開閉手段の開閉状態を反転させるための制御信号を出力せずに、前記第2モードに移行することを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、制御手段は押操作時間が規定時間未満であった場合に開閉手段の開閉状態を反転させる。すなわち、操作部の押操作が開始された時にすぐ開閉手段の開閉状態を反転させると、長押操作時には、規定時間経過後に再度開閉状態が反転されることになり、不要な開閉制御がなされることになる。その点、本構成では、制御手段は押操作時間が規定時間未満であることを確認した上で開閉手段の開閉制御を行うので、給電路の不要な開閉を回避することができる。
【0010】
請求項3の発明は、前記制御手段が前記第2モードになっていることを通知するための通知手段をさらに備えたたことを要旨とする。
この構成によれば、通知手段により、ワイヤレス信号に基づく負荷制御が無効になっていることを通知することができる。
【0011】
請求項4の発明は、前記通知手段は、前記第1モードにおいては、前記開閉手段の開閉状態に応じて、前記開閉手段が開状態である場合には第1表示状態となる一方、前記開閉手段が閉状態である場合には第2表示状態となり、前記第2モードにおいては、前記第1表示状態及び前記第2表示状態の何れとも異なる第3表示状態となる表示手段であることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、第2モード時にワイヤレス信号に基づく負荷制御が無効になっていることを表示する表示手段を、第1モードにおいては開閉状態の開閉状態を表示するために使用することができる。
【0013】
請求項5の発明は、前記制御手段は、前記操作部の長押操作が解除された後に、前記第2モードに移行することを要旨とする。
この構成によれば、制御手段は、操作部の長押操作が解除された後に第2モードに移行するので、操作部が長押操作されたか否かを適切に判断した後に、操作状態に応じた制御信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ワイヤレス信号に基づく負荷制御を無効にするとともに、希望の負荷状態を保持することができるスイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態におけるスイッチ装置の斜視図。
【図2】図1において、操作ハンドルを取り外した状態を示す斜視図。
【図3】本実施形態におけるスイッチ装置の電気的構成を示すブロック図。
【図4】本実施形態のスイッチ装置を用いた負荷制御システムの説明図。
【図5】(a)(b)(c)はスイッチ装置の動作を説明するためのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るスイッチ装置を具体化した実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、各図中に矢印で示した方向を基準として示すものとする。
【0017】
図1及び図2に示すように、スイッチ装置11は、合成樹脂材料からなる有底箱形状のボディ12と、同じく合成樹脂材料からなり、ボディ12の開口を覆うカバー13とからなる器体14を備えている。器体14の前面側には、例えばJIS等で規格された埋込型配線機器用の金属材料からなる取付枠15が取り付けられている。そして、スイッチ装置11は、造営材(例えば壁面など)に対して取付枠15を介して固定される。
【0018】
図1に示すように、カバー13の前面側には、合成樹脂材料からなるピアノハンドル式の操作ハンドル16が着脱可能に取り付けられている。また、図2に示すように、カバー13の左端側において上下方向の中央付近となる位置には軸部17が設けられている。操作ハンドル16は、カバー13の軸部17に回動自在に軸支されることにより、器体14に対して揺動可能な状態で支持される。
【0019】
カバー13の右端側には係止溝18(図2参照)が形成されている。一方、操作ハンドル16の右端側には、係止溝18と係止可能な係止片16a(図1参照)が後方に向かって突設されている。そして、操作ハンドル16の係止片16aがカバー13の係止溝18に係止されることにより、操作ハンドル16の揺動範囲が規定される構成となっている。また、操作ハンドル16の前面側には、上下方向における中央付近において右側寄りとなる位置に、操作ハンドル16の押操作位置を示すための突起19(図1参照)が形成されている。
【0020】
カバー13と操作ハンドル16との間には、軸部17付近に図示しない弾性部材(例えば板ばね)が配置されている。そして、操作ハンドル16の突起19付近が後方に向けて押操作されると、操作ハンドル16は左端側を中心に後方に向けて回動するとともに、弾性部材が弾性変形するようになっている。したがって、押操作に伴う押圧力が解除されると、操作ハンドル16は弾性部材の復元変形に伴って左端側を中心に前方に向けて回動し、元の位置に復帰する。
【0021】
図1に示すように、操作ハンドル16には、上下方向における中央付近において左側寄りとなる位置に開口窓20が形成されている。一方、図2に示すように、カバー13には操作ハンドル16の開口窓20と対応する位置に開口窓21が設けられているとともに、開口窓21の下方付近には開口窓22が設けられている。
【0022】
また、カバー13において開口窓21の右方には、略T字形状の操作片23が切り抜き形成されている。操作片23は、左右方向に延びるアーム部23aが前後方向に弾性変形可能となっているとともに、そのアーム部23aの先端側が上下方向に延びる押圧部23bとなっている。
【0023】
さらに、カバー13において開口窓22の右方には、上下方向に延びる操作片24が切り抜き形成されている。操作片24は、上下方向に延びるアーム部24aが前後方向に弾性変形可能となっているとともに、そのアーム部24aの先端部が略円筒形状の押圧部24bとなっている。なお、操作片23の押圧部23bは、操作片24の押圧部24bよりも前方に突出するように形成されている。
【0024】
操作ハンドル16の突起19付近が後方に向かって押操作されると、操作片23の押圧部23bが操作ハンドル16の押圧力を受ける。これにより、アーム部23aが弾性変形して押圧部23bが後方に変位するようになっている。一方、操作片24は、操作ハンドル16の押操作によっては変位せず、操作ハンドル16をカバー13から取り外し、押圧部23bを後方に向かって押操作すると、アーム部24aが弾性変形するようになっている。操作片23,24は押操作が解除されるとアーム部23a,24aが復元変形し、押圧部23b,24bが元の位置に復帰するようになっている。
【0025】
次に、スイッチ装置11の電気的構成について、図3に基づいて説明する。
図3に示すように、スイッチ装置11は、発光ダイオードからなる表示灯25,26、操作スイッチ27、登録ボタン28、マイクロコンピュータを主構成要素とする制御部30、負荷制御部31、受信手段としてのワイヤレス信号送受信部32、アンテナ33、記憶部34及び電源部35を備えている。なお、表示灯25,26、操作スイッチ27及び登録ボタン28等は、器体14内に収容されたプリント基板(図示略)上に実装されている。
【0026】
負荷制御部31は、商用交流電源である電源ACから負荷としての照明負荷Lへの給電路に介装されたスイッチ要素(例えばリレーや半導体スイッチング素子など)を有している。ワイヤレス信号送受信部32は、電波法施行規則第6条第4項第2号に規定される「テレメーター用、テレコントロール用およびデータ伝送用の特定小電力無線局」に準拠して、アンテナ33を介して電波を媒体とするワイヤレス信号を送受信する。電源部35は、電源ACから給電されて各部の動作電源を生成する。なお、本実施形態において、制御部30及び負荷制御部31が制御手段を構成し、スイッチ要素が開閉手段を構成している。
【0027】
操作ハンドル16が押操作されると、カバー13の操作片23が後方に変位し、押圧部23bが操作スイッチ27の操作部(図示略)を押操作するようになっている。そして、操作片23によって押操作された操作スイッチ27は、回路を接続しないOFF状態から回路を接続するON状態となることで、操作信号を出力する。なお、操作ハンドル16の押操作が解除されると、操作片23が元の位置に復帰し、操作スイッチ27の押操作は解除される。
【0028】
制御部30は、第1モードとしての通常モードにおいて、操作スイッチ27から出力された操作信号又はワイヤレス信号送受信部32が受信したワイヤレス信号に基づいてスイッチ要素の開閉制御を行う。具体的には、制御部30が制御信号を出力し、この制御信号に基づいて負荷制御部31がスイッチ要素を開閉駆動させて照明負荷Lへの給電路を開閉する。
【0029】
例えば、給電路が閉状態の時にワイヤレス信号送受信部32がワイヤレス信号を受信した場合には、制御部30が負荷制御部31を介してスイッチ要素を開駆動させて照明負荷Lへの給電路を開状態とする。また、同じく給電路が閉状態の時に操作ハンドル16が短押操作されると、操作信号に応じて制御部30が負荷制御部31を介してスイッチ要素を開駆動させて照明負荷Lへの給電路を開状態とする。
【0030】
なお、本実施形態において短押操作とは、押操作を開始してから解除するまでの押操作時間Tpが予め規定された規定時間Ts(Ts=押操作解除時刻t2−押操作開始時刻t1)未満の押操作をいい、これに対して、押操作時間Tpが規定時間Ts以上の押操作を長押操作ということがある。なお、規定時間Tsは例えば1〜2秒とすることができるが、任意の長さに設定することが可能である。
【0031】
そして、給電路が開状態となって電源ACから照明負荷Lへ給電されると、照明負荷Lが点灯(ON)される。一方、給電路が開状態の時に操作ハンドル16が短押操作されると、制御部30が照明負荷Lを消灯するべく制御信号を送信して、負荷制御部31がスイッチ要素を閉駆動させて照明負荷Lへの給電路を閉状態とする。また、ワイヤレス信号送受信部32がワイヤレス信号を受信した場合には、スイッチ要素を開駆動させて照明負荷Lを点灯させた後、所定時間経過後に給電路が閉状態とすることができる。そして、照明負荷Lへの給電路を閉状態とすると、照明負荷Lは消灯(OFF)される。
【0032】
また、制御部30は、照明負荷Lの点灯時には、表示灯25を第1表示状態としての消灯状態(OFF)とする一方、照明負荷Lの消灯時には表示灯25を第2表示状態としての点灯状態(ON)とする。ここで、表示灯25はカバー13の開口窓21及び操作ハンドル16の開口窓20と対応する位置に設けられている。そのため、照明負荷Lの消灯時には、点灯された表示灯25の光が開口窓20,21を通じて前方に照射される。
【0033】
すなわち、表示灯25はスイッチ要素の開閉状態に応じて、スイッチ要素が開状態であることを消灯状態によって表示する一方、スイッチ要素が閉状態であることを点灯状態によって表示する。また、表示灯25の点灯により、照明負荷Lの消灯時に操作ハンドル16の位置を表示するようになっている。
【0034】
さらに、本実施形態のスイッチ装置11は、通常モードにおいて操作ハンドル16が規定時間Ts以上長押操作されると、制御部30が短押操作に伴う操作信号又はワイヤレス信号に基づいてスイッチ要素の開閉制御を行う通常モードから、ワイヤレス信号に基づいてはスイッチ要素の開閉制御を行わない第2モードとしての禁止モードに移行するとともに、スイッチ要素の開閉状態を長押操作前の状態に保持するようになっている。したがって、照明負荷Lの消灯時に操作ハンドル16が長押操作されると照明負荷Lの消灯状態が保持され、照明負荷Lの点灯時に操作ハンドル16が長押操作されると照明負荷Lの点灯状態が保持される。
【0035】
なお、本実施形態において、制御部30の禁止モードは、操作ハンドル16の短押操作によって解除されて通常モードに移行するようになっているが、操作ハンドル16の長押操作によって通常モードに移行するようにしてもよい。
【0036】
このような禁止モードにおいて、制御部30は表示灯25の点灯と消灯を一定周期で切り替え、表示灯25を第1表示状態及び第2表示状態の何れとも異なる第3表示状態としての点滅状態とする。すなわち、表示灯25は制御手段が禁止モードになっていることを表示するための表示手段を構成し、長押操作時には、ワイヤレス信号に応じたスイッチ要素の開閉制御(ワイヤレス制御)が無効になっていることを点滅状態によって表示する。
【0037】
本実施形態のスイッチ装置11は、図4に示すように、送信手段から送信されるワイヤレス信号に応じて照明負荷Lを点灯又は消灯させることで、負荷制御システムを構成可能となっている。送信手段は、例えば火災を感知して警報を発する火災報知器50A,50B,50C、照明負荷Lを遠隔操作するための操作端末機51、あるいはインターホン子機52との間でインターホンシステムを構成するインターホン親機53等として具体化される。
【0038】
スイッチ装置11においては、ID番号を割り当てて送信手段を登録することで、ワイヤレス信号送受信部32で受信すべきワイヤレス信号を特定する。なお、新たな送信手段を登録する際には、操作ハンドル16をカバー13から取り外して操作片24の押圧部24bを所定時間以上(例えば2秒以上)長押操作する。すると、後方に変位した操作片24が登録ボタン28の操作部を押操作する。
【0039】
登録ボタン28が押操作されると、制御部30の動作モードが登録モードに移行するとともに、表示灯26が点灯される。ここで、表示灯26はカバー13の開口窓22と対応する位置に設けられているので、表示灯26が点灯されると、開口窓22を通じて表示灯26の光が前方に照射され、制御部30が登録モードに移行したことが表示される。なお、操作片24は押操作が解除されると元の位置に復帰し、登録ボタン28の押操作も解除される。
【0040】
その後、登録すべき送信手段から送信されたワイヤレス信号をワイヤレス信号送受信部32が受信すると、制御部30はこのワイヤレス信号に含まれるID番号を自己に割り当てられた送信手段として記憶部34に記憶させる。また、送信手段の登録が完了すると、再度操作片24を押操作することで、表示灯26が消灯されるとともに、制御部30が登録モードから元の動作モード(例えば通常モード)に移行する構成となっている。
【0041】
次に、スイッチ装置11が人の存否を検知するための人感センサを備えた操作端末機51と負荷制御システムを構成している場合の動作について説明する。
この場合、操作端末機51は人感センサの検知エリア内における人の存在を検知した場合にワイヤレス信号を発信し、このワイヤレス信号をワイヤレス信号送受信部32が受信すると、制御部30が負荷制御部31を介してスイッチ要素をオン駆動させることで照明負荷Lが点灯される。したがって、例えばスイッチ装置11及び照明負荷Lとしての蛍光灯を部屋の中央付近に配置するとともに、部屋の入口付近に人感センサの検知エリアを設定しておくことで、人が部屋の中に入る際に、ワイヤレス制御によって蛍光灯を点灯させることができる。また、スイッチ装置11の操作ハンドル16を短押操作することによっても、操作スイッチ27が出力する操作信号に基づいて蛍光灯を消灯又は点灯させることができる。
【0042】
このように、短押操作に伴う操作信号に加えてワイヤレス信号によっても照明負荷Lの負荷制御が可能な通常モードにおいては、例えば蛍光灯を交換するために給電路を閉状態に保持しておきたいにもかかわらず、検知エリアで他人の存在が検知されてワイヤレス信号が送信され、給電路が開状態となってしまうことがある。
【0043】
その点、本実施形態においては、蛍光灯を消灯させた後、スイッチ装置11の操作ハンドル16を長押操作することで、制御部30が禁止モードに移行してワイヤレス信号を無効にするとともに、蛍光灯が長押操作前の状態、すなわち消灯状態に保持される。これにより、次に操作ハンドル16が押操作されるまでワイヤレス信号によって給電路の開閉状態が変更されることはないので、作業者は安心して蛍光灯の交換作業を行うことができる。また、制御部30が禁止モードになっている場合には、表示灯25が点滅するので、ワイヤレス信号が無効になっていることが容易に視認される。
【0044】
また、例えば、通常モードにおいて、人感センサの検知エリア外にいる作業者が蛍光灯の点灯状態を保持しておきたいにもかかわらず、検知エリア内にいた他人が検知エリア外に出たことで、給電路が閉状態となってしまうことがある。この場合には、点灯状態を保持しておきたい作業者が照明負荷Lを点灯させた後、操作ハンドル16を長押操作することで、制御部30が禁止モードに移行してワイヤレス信号を無効にするとともに、蛍光灯が長押操作前の点灯状態に保持される。これにより、次に操作ハンドル16が押操作されるまでワイヤレス制御は行われないので、作業者は希望の点灯状態の元で作業を行うことができる。
【0045】
次に、スイッチ装置11の動作タイミングについて図5に基づいて説明する。
始めに、通常モードにおいて照明負荷LがOFF状態、表示灯25がON状態であるときに、操作ハンドル16が短押操作される場合について説明する。
【0046】
図5(a)に示すように、時刻t1に操作ハンドル16及び操作片23を介して操作スイッチ27の押操作が開始されると、操作スイッチ27は操作信号の出力を開始する。すると、制御部30は操作信号の出力開始時の切り替わりエッジを検出し、操作信号の出力時間、すなわち押操作時間Tpをカウント(計時)する。また、制御部30はカウントした押操作時間Tpを所定間隔で規定時間Tsと比較し、押操作時間Tpが規定時間Tsを超過したか否かを判断する。
【0047】
そして、時刻tr(t1<tr<t2)に操作スイッチ27の押操作が解除されると、操作スイッチ27は操作信号の出力を終了する。また、制御部30は操作信号の出力終了時の切り替わりエッジを検出して、押操作時間Tpのカウントを終了する。すると、カウント終了時の押操作時間Tpは規定時間Ts未満であるので(Tp<Ts)、制御部30は操作ハンドル16への押操作が短押操作であったと判定し、制御信号を出力してスイッチ要素の開閉状態を反転させるとともに、表示灯25をON状態からOFF状態に切り換える。これにより、消灯状態であった照明負荷Lは点灯状態となり、点灯状態であった表示灯25は消灯状態となる。
【0048】
一方、照明負荷LがON状態、表示灯25がOFF状態であるときに同様に操作ハンドル16が短押操作されると、照明負荷LがOFF状態、表示灯25がON状態となる。
次に、通常モードにおいて照明負荷LがOFF状態、表示灯25がON状態であるときに、操作ハンドル16が長押操作される場合について説明する。
【0049】
図5(b)に示すように、時刻t1に操作ハンドル16及び操作片23を介して操作スイッチ27の押操作が開始されると、操作スイッチ27は操作信号の出力を開始する。すると、制御部30は操作信号の出力開始時の切り替わりエッジを検出し、押操作時間Tpをカウントする。
【0050】
そして、押操作時間Tpが規定時間Tsを超過すると(Tp≧Ts)、制御部30は操作ハンドル16への押操作が長押操作であると判定し、禁止モードに移行してスイッチ要素の開閉状態を長押操作前の閉状態に保持するとともに、表示灯25を点滅させる。これにより、消灯状態であった照明負荷Lはそのまま消灯状態が保持され、点灯状態であった表示灯25は点滅状態となる。
【0051】
次に、通常モードにおいて照明負荷LがON状態、表示灯25がOFF状態であるときに、操作ハンドル16が長押操作される場合について説明する。
図5(c)に示すように、時刻t1に操作ハンドル16及び操作片23を介して操作スイッチ27の押操作が開始されると、操作スイッチ27は操作信号の出力を開始する。すると、制御部30が操作信号の出力開始時の切り替わりエッジを検出し、押操作時間Tpをカウントする。
【0052】
そして、押操作時間Tpが規定時間Tsを超過すると(Tp≧Ts)、制御部30は操作ハンドル16への押操作が長押操作であると判定し、禁止モードに移行してスイッチ要素の開閉状態を長押操作前の開状態に保持するとともに、表示灯25を点滅させる。これにより、点灯状態であった照明負荷Lはそのまま点灯状態が保持され、消灯状態であった表示灯25は点滅状態となる。
【0053】
このように、通常モードにおいて、押操作時間Tpが規定時間Ts未満であった場合には、制御部30がスイッチ要素の開閉状態を反転させるための制御信号を出力し、押操作時間Tpが規定時間Ts以上であった場合には、制御部30はスイッチ要素の開閉状態を反転させるための制御信号を出力せずに、禁止モードに移行する。
【0054】
ここで、例えば制御部30が操作信号の出力開始時の切り替わりエッジを検出した時、すなわち操作部の押操作が開始された時に制御信号を出力してスイッチ要素の開閉状態を反転させるようにすると、長押操作時にスイッチ要素の開閉状態を長押操作前の状態に保持するためには、時刻t1と時刻t2にスイッチ要素を開閉駆動させることになる。すなわち、禁止モードに移行するまでに不要な点灯・消灯がなされるため、ユーザーに違和感を与える虞がある。
【0055】
これに対して、本実施形態のスイッチ装置11は、押操作が短押操作であるか長押操作であるかを判定した上でスイッチ要素の開閉制御を行うので、照明負荷Lの不要な点灯・消灯を回避し、操作性を向上することができる。
【0056】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)スイッチ要素の開閉制御と制御部30の禁止モードへの移行とを共通の操作部を介して行うことができるので、制御部30の禁止モードへの移行のために専用の操作スイッチを備える必要がなく、簡易な構成でスイッチ装置11を実現することができる。そして、操作ハンドル16の長押操作によって、制御部30の動作モードを通常モードからワイヤレス信号に基づいてはスイッチ要素の開閉制御を行わない禁止モードに移行するとともに、スイッチ要素の開閉状態を長押操作前の状態に保持するので、ワイヤレス信号に基づく負荷制御を無効にするとともに、希望の負荷状態を保持することができる。そして、負荷状態を変化させることなく禁止モードに移行することができるので、ユーザーにとって分かり易い負荷制御を実現することができる。
【0057】
(2)制御部30は押操作時間Tpが規定時間Ts未満であった場合にスイッチ要素の開閉状態を反転させる。すなわち、操作部の押操作が開始された時にすぐスイッチ要素の開閉状態を反転させると、長押操作時には、規定時間Ts経過後に再度開閉状態が反転されることになり、不要な開閉制御がなされることになる。その点、本構成では、制御部30は押操作時間Tpが規定時間Ts未満であることを確認した上でスイッチ要素の開閉制御を行うので、給電路の不要な開閉を回避することができる。
【0058】
(3)表示灯25により、ワイヤレス信号に基づく負荷制御が無効になっていることを通知することができる。
(4)禁止モード時にワイヤレス信号に基づく負荷制御が無効になっていることを表示する表示灯25を、通常モードにおいては開閉状態の開閉状態を表示するために使用することができる。
【0059】
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・制御部30は、操作部の押操作が解除された後に禁止モードに移行するようにしてもよい。この場合には、禁止モードへの移行と表示灯25の点滅を開始するタイミングを一致させるようにしてもよいし、押操作時間Tpが規定時間Tsに達した時点で表示灯25の点滅を開始し、操作部の押操作が解除された後に禁止モードに移行するようにしてもよい。こうした構成によっても、操作部が長押操作されたか否かを適切に判断した後に、操作状態に応じた制御信号を出力することができる。
【0060】
・アナログ式の操作信号を出力する操作スイッチを採用し、操作スイッチの出力値が規定値以上となったか否かによって、押操作に伴う操作信号が出力されたか否かを判定するようにしてもよい。あるいは、デジタル式の操作信号を出力する操作スイッチを採用して、OFF信号とON信号との切り替わりエッジを検出することで、押操作に伴う操作信号が出力されたか否かを判定するようにしてもよい。
【0061】
・ワイヤレス信号は電波に限らず、光を媒体とするようにしてもよい。
・必ずしも表示灯25を備えなくてもよい。
・ワイヤレス制御が無効になっていることを表示する表示手段を、照明負荷Lの点灯状態を表示する表示灯25とは別途備えるようにしてもよい。
【0062】
・表示灯の色や発光強度、点滅パターン等を変化させることで第1〜3表示状態を実現するようにしてもよい。
・表示手段は発光ダイオード以外の照明装置を用いた表示灯にしてもよいし、音で報知を行うブザーや、通知内容を文字情報やマークで表示する液晶パネル等として通知手段を実現してもよい。
【0063】
・操作ハンドル16を備えず、押圧部23bを直接押操作するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
AC…電源、L…負荷としての照明負荷、Tp…押操作時間、Ts…規定時間、11…スイッチ装置、25…通知手段及び表示手段としての表示灯、27…操作スイッチ、30…制御手段としての制御部、31…制御手段としての負荷制御部、32…受信手段としてのワイヤレス信号送受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部の操作状態に応じた操作信号を出力する操作スイッチと、
電波又は光を媒体とするワイヤレス信号を受信する受信手段と、
電源から負荷への給電路に介装される開閉手段と、
該開閉手段の開閉制御を行う制御手段とを備え、
該制御手段は、前記操作部が予め規定された規定時間以上押操作される長押操作に伴う操作信号を検出した場合に、前記操作部が前記規定時間未満押操作される短押操作に伴う操作信号又は前記ワイヤレス信号に基づいて前記開閉手段の開閉制御を行う第1モードから、前記ワイヤレス信号に基づいては前記開閉手段の開閉制御を行わない第2モードに移行するとともに、前記開閉手段の開閉状態を前記長押操作前の状態に保持することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1モードにおいて、前記操作部が押操作される押操作時間が前記規定時間未満であった場合には、前記開閉手段の開閉状態を反転させるための制御信号を出力し、
前記押操作時間が前記規定時間以上であった場合には、前記開閉手段の開閉状態を反転させるための制御信号を出力せずに、前記第2モードに移行することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記制御手段が前記第2モードになっていることを通知するための通知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記第1モードにおいては、前記開閉手段の開閉状態に応じて、前記開閉手段が開状態である場合には第1表示状態となる一方、前記開閉手段が閉状態である場合には第2表示状態となり、
前記第2モードにおいては、前記第1表示状態及び前記第2表示状態の何れとも異なる第3表示状態となる表示手段であることを特徴とする請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記操作部の長押操作が解除された後に、前記第2モードに移行することを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−3469(P2011−3469A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146906(P2009−146906)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】