説明

スイッチ装置

【課題】 キー操作性の向上を図ることができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 機器本体1の下部ケース3に設けられたキー開口部7にキートップ8を配置し、このキートップ8を下部ケース3内に設けられたスイッチ基板9上に揺動可能に支持する際に、キー開口部7を内側から覆うラバー部材13をキートップ8とスイッチ基板9との間に介在させた状態で下部ケース3内に設け、このラバー部材13にスイッチ基板9上に設けられた一対のスイッチ部10が挿入する複数のスイッチ収容部を設け、このスイッチ収容部の箇所におけるラバー部材13の一部を肉厚の薄い薄肉部25に形成した。従って、キートップ8を揺動させた際に、キートップ8の一部である押圧突起部17によってラバー部材13の薄肉部25のみを容易に弾性変形させて一対のスイッチ部10を選択的にオン・オフさせることができるので、キー操作性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)や携帯電話機、電子カメラなどの電子機器に用いられて、キー操作による揺動動作に応じて複数のスイッチ部が選択的にオン・オフするスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に用いられているスイッチ装置においては、特許文献1に記載されているように、機器本体に設けられたキー開口部内に配置されるキートップをゴムシートに貼り付け、このゴムシートをキー開口部の縁部に位置する機器本体の内面に取り付けると共に、機器本体内に基板をゴムシートに対面させて設け、この状態でキートップを揺動させることにより、その揺動動作に応じて基板に設けられた複数のスイッチ部を選択的にオン・オフするように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−302396号公報
【0004】
この種のスイッチ装置は、ゴムシートに、キートップを揺動可能に支持するための支持突起部と、基板の複数のスイッチ部を押圧するための複数の押圧突起部とを設け、このゴムシートの支持突起部を基板に押し当てると共に、複数の押圧突起部を複数のスイッチ部にそれぞれ接触させ、この状態でキートップを押して揺動させると、キートップが支持突起部を中心に傾いて複数の押圧突起部が複数のスイッチ部をそれぞれ選択的にオン・オフさせるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のスイッチ装置では、キートップを押して支持突起部を中心に揺動させた際に、キートップの揺動動作に応じてゴムシートの全周囲が大きく弾性変形するため、キー操作が重くなり、キー操作性が悪いという問題がある。これを防ぐために、ゴムシートの周縁部を肉厚の薄い薄肉部に形成してキー操作を軽くしてキー操作性を向上させているが、このような構成では、キートップの揺動動作のたびに、ゴムシートの全周囲に設けられた薄肉部が大きく弾性変形すると共に、その変形頻度が高いため、劣化し易く、耐久性に問題が生じる。
【0006】
また、このような従来のスイッチ装置では、ゴムシートの周囲における一部を機器本体の内面に固定することにより、ゴムシートの全周囲を機器本体の内面に弾接させ、この状態でゴムシートに基板を押し当てた構成であるから、キートップを基板に対して確実に位置規制することができないばかりか、キートップの揺動動作に応じてゴムシートの全周囲が大きく弾性変形することにより、キートップが基板に対して位置ずれを起こし易く、スイッチ部を確実にオンさせることができないことがあるため、キー操作性が悪いという問題もある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、キー操作性の向上を図ることができるスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、機器本体に設けられたキー開口部にキートップが配置され、このキートップが前記機器本体内に設けられた基板上に揺動可能に支持され、このキートップの揺動動作に応じて前記基板上に設けられた複数のスイッチ部を選択的にオン・オフするスイッチ装置において、前記機器本体内には、前記キー開口部を前記機器本体の内側から覆うラバー部材が前記キートップと前記基板との間に介在された状態で設けられており、このラバー部材には、前記複数のスイッチ部がそれぞれ挿入する複数のスイッチ収容部が設けられており、この複数のスイッチ収容部の箇所における前記ラバー部材の一部は、肉厚の薄い薄肉部に形成されていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記複数のスイッチ収容部における前記キートップの揺動中心部側に位置する箇所の前記ラバー部材が、肉厚の厚い厚肉部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、機器本体に設けられたキー開口部にキートップが配置され、このキートップが前記機器本体内に設けられた基板上に揺動可能に支持され、このキートップの揺動動作に応じて前記基板上に設けられた複数のスイッチ部を選択的にオン・オフするスイッチ装置において、前記キートップの揺動中心部には、支持軸が設けられており、前記機器本体内には、前記キー開口部を前記機器本体の内側から覆うラバー部材が前記キートップと前記基板との間に介在された状態で設けられており、前記キートップの前記支持軸が対応する前記ラバー部材の箇所は、肉厚の厚い厚肉部に形成されており、この厚肉部には、前記キートップの前記支持軸が食い込んで位置規制される位置規制凹部が設けられていることを特徴するスイッチ装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、機器本体に設けられたキー開口部にキートップが配置され、このキートップが前記機器本体内に設けられた基板上に揺動可能に支持され、このキートップの揺動動作に応じて前記基板上に設けられた複数のスイッチ部を選択的にオン・オフするスイッチ装置において、前記機器本体内には、前記キー開口部を前記機器本体の内側から覆うラバー部材が前記基板と前記キートップとの間に介在された状態で設けられており、前記キートップの揺動中心部には、支持軸が前記キートップの両側から側方に突出して設けられており、この支持軸の突出した両端部は、前記機器本体と前記基板との間に前記ラバー部材を介して回転可能な状態で挟持されていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記キートップの前記支持軸が対応する箇所の前記ラバー部材は、肉厚の厚い厚肉部に形成されており、この厚肉部には、前記キートップの前記支持軸が食い込んで位置規制される位置規制凹部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のスイッチ装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記キートップの揺動中心部である前記支持軸の回転中心が、前記スイッチ部に対応する箇所の前記ラバー部材に前記キートップの一部が接触する高さとほぼ同じ位置に設定されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のスイッチ装置である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記ラバー部材に、前記複数のスイッチ部がそれぞれ挿入する複数のスイッチ収容部が設けられており、この複数のスイッチ収容部の箇所における前記ラバー部材の一部は、肉厚の薄い薄肉部に形成されており、前記複数のスイッチ収容部における前記キートップの前記支持軸側に位置する箇所の前記ラバー部材は、肉厚の厚い厚肉部に形成されていることを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれかに記載のスイッチ装置である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記キートップに、前記ラバー部材を介して前記基板上の前記複数のスイッチ部をそれぞれ押圧するための複数の押圧突起部が設けられており、前記キートップの前記支持軸および前記複数の押圧突起部は、前記ラバー部材にそれぞれ接着固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のスイッチ装置である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記ラバー部材における前記薄肉部と前記厚肉部との境界部に段差部が設けられており、この段差部には前記複数の押圧突起部の一部がそれぞれ嵌合する嵌合凹部が設けられていることを特徴とする請求項8に記載のスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、キートップを押して揺動させた際に、キートップの一部がスイッチ部に対応する箇所のラバー部材の一部のみを弾性変形させることができ、この弾性変形したラバー部材の一部が基板上に設けられた複数のスイッチ部を選択的に押圧してオン・オフさせることができる。このため、キートップが位置ずれし難く、キー操作を軽くすることができるので、キー操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明を適用した携帯端末機の実施形態1を示した斜視図である。
【図2】図1の携帯端末機のA部におけるスイッチ装置を示した拡大断面図である。
【図3】図2のA−A矢視における拡大断面図である。
【図4】図2のスイッチ装置を示した分解斜視図である。
【図5】図4のキートップを示した拡大斜視図である。
【図6】図4のラバー部材を示し、(a)はそのラバー部材を上方から見た拡大斜視図、(b)はそのラバー部材を裏面側から見た拡大斜視図である。
【図7】図2のB部を示した拡大断面図である。
【図8】図2のスイッチ装置においてキートップを押して傾けた状態を示した拡大断面図である。
【図9】この発明を携帯端末機のスイッチ装置に適用した実施形態2における拡大断面図である。
【図10】図9のスイッチ装置を分解して斜め上側から見た斜視図である。
【図11】図10のスイッチ装置を斜め下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、図1〜図8を参照して、この発明を携帯端末機に適用した実施形態1について説明する。
この携帯端末機は、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)であり、図1に示すように、機器本体1を備えている。この機器本体1は、上部ケース2と下部ケース3とで構成されている。
【0020】
上部ケース2の上面には、図1に示すように、入力表示部4とキー入力部5とが設けられている。入力表示部4は、透明なタッチパネルの下に表示パネルを重ね合わせたものであり、透明なタッチパネルを通して表示パネルに表示された情報を見ながら、タッチペンで透明なタッチパネルをタッチ操作することにより、情報を入力するように構成されている。キー入力部5は、テンキー、決定キーなどの各種のキーを備え、この各種のキーをキー操作することにより、そのキー操作に応じて情報を入力するように構成されている。
【0021】
また、この機器本体1の側面(図1では右側面)には、スイッチ装置6が設けられている。このスイッチ装置6は、図1および図2に示すように、機器本体1の下部ケース3における側面(図2では上面)に設けられたキー開口部7にキートップ8が配置され、このキートップ8が機器本体1内に設けられたスイッチ基板9に揺動可能に支持され、この状態でキートップ8の揺動動作に応じてスイッチ基板9に設けられた一対のスイッチ部10を選択的にオン・オフするように構成されている。
【0022】
この場合、キー開口部7は、図1に示すように、機器本体1の入力表示部4の側方に位置する下部ケース3の一側面3a(図2では上面)に、横方向(図1では左右方向)に細長いほぼ台形状に設けられている。また、このキー開口部7の長手方向(図2では左右方向)における下部ケース3の内面(図2では下面)には、図2および図4に示すように、一対の取付リブ12が内側(図2では下側)に突出して設けられている。この一対の取付リブ12の先端部(図2では下端部)には、フック部12aがそれぞれ設けられている。
【0023】
この一対の取付リブ12の間には、図2〜図4に示すように、キー開口部7に挿入するにキートップ8と、このキートップ8の下側に配置されるラバー部材13と、このラバー部材13の下側に配置されるスイッチ基板9とが配置されている。また、この一対の取付リブ12の各フック部12aには、スイッチ基板9をラバー部材13に押し付けた状態で下部ケース3内に取り付けるための固定板14が係止されている。
【0024】
キートップ8は、硬質の合成樹脂からなり、図2〜図5に示すように、キー開口部7内に下部ケース3の内側(図2では下側)から挿入するキー本体部15と、このキー本体部15の内面(図2では下面)における長辺方向の中間部に設けられた支持軸16と、キー本体部15の内面における長手方向の両側にそれぞれ設けられた一対の押圧突起部17と、キー本体部15の内面における長手方向の両端にその側方に突出して設けられた一対の抜止め部18とを備え、これらが一体に形成されている。
【0025】
キー本体部15は、図4および図5に示すように、横長の台形状をなすほぼ立方体形状に形成され、キー開口部7内にその内外(図4では上下方向)に向けて移動可能に配置されるように構成されている。支持軸16は、一対のほぼ丸棒状に形成され、キー本体部15の内面(図2では下面)における長辺方向の中間部に横に寝かした状態で設けられている。
【0026】
この支持軸16は、図2および図3に示すように、その両端部16aがキー本体部15の短辺側から側方向にそれぞれ突出し、この突出した両端部16aがキー開口部7の縁部に位置する下部ケース3の内面(図2に点線で示した下面)とスイッチ基板9との間にラバー部材13を介して回転可能な状態で挟持されるように構成されている。
【0027】
この場合、キー本体部15の短辺側から側方向にそれぞれ突出した支持軸16の両端部16aは、図2に示すように、その上下面がそれぞれ円弧状に形成され、この両端部16aの上面が図3に示すようにキー開口部7の縁部に位置する下部ケース3の内面(図3では下面)に当接し、両端部16aの下面がラバー部材13に食い込んだ状態で保持されるように構成されている。これにより、支持軸16の回転中心Pは、図2に示すように、ラバー部材13に食い込んだ下面の円弧の中心部に位置するように構成されている。
【0028】
また、一対の押圧突起部17は、図5に示すように、キー本体部15の内面(図5では下面)における長手方向の両側に円柱状に起立して形成され、図2に示すように、その下端部がスイッチ基板9上に設けられた一対のスイッチ部10の中央部に対応する箇所をそれぞれ押圧するように構成されている。
【0029】
抜止め部18は、図2に示すように、キー本体部15の内面(図2では下面)における長手方向の両端部にその側方にそれぞれ突出して設けられ、キー開口部7の縁部の内面(図2では下面)に接離可能に当接することにより、キートップ8がキー開口部7から外部に抜け出すのを阻止するように構成されている。
【0030】
一方、ラバー部材13は、ゴムやエラストマーなどの軟質材料からなり、図2〜図4に示すように、キートップ8とスイッチ基板9との間に介在されてキー開口部7を下部ケース3の内側から覆った状態で、下部ケース3の内面に両面接着テープ19によって取り付けられている。すなわち、このラバー部材13は、図4に示すように、キートップ8とスイッチ基板9との間に配置されるベース部20と、このベース部20の全周囲に亘って連続して設けられた枠状部21とを備え、これらが軟質部材によって一体に形成されている。
【0031】
このラバー部材13は、図2〜図4に示すように、下部ケース3に設けられた一対の取付リブ12の間にその下側から挿入される際に、枠状部21の外面が一対の取付リブ12の内面にガイドされ、この枠状部21の上端面が環状の両面接着テープ19によって下部ケース3の内面に接着固定され、これにより図2および図3に示すように、キー開口部7を密閉するように構成されている。
【0032】
このラバー部材13のベース部20は、図2および図6(a)に示すように、その長手方向の中間部、つまりキートップ8の支持軸16が対応する箇所が肉厚の厚い厚肉部(以下、厚肉支持部22と称する。)に形成されている。この場合、ベース部20の厚肉支持部22には、図2に示すように、キートップ8の支持軸16の下面側が挿入してキートップ8を位置規制するための位置規制凹部23が短辺方向(図6(a)では上下方向)に沿って溝状に形成されている。
【0033】
また、このベース部20には、図2、図6(a)および図6(b)に示すように、スイッチ基板9上に設けられた一対のスイッチ部10がそれぞれ内側(図2では下側)から挿入する一対のスイッチ収容部24が、外側(図2では上方)に膨らんだ形状に形成されている。この一対のスイッチ収容部24に位置する箇所におけるラバー部材13の一部、つまりラバー部材13の外周側に位置するスイッチ収容部24の半分程度に対応する箇所のラバー部材13は、図2に示すように、肉厚の薄い薄肉部25に形成されている。
【0034】
この場合、スイッチ収容部24に対応する箇所におけるラバー部材13のうち、キートップ8の支持軸16側に位置するほぼ半分程度の箇所のラバー部材13は、肉厚の厚い厚肉部(以下、厚肉補強部26と称する。)に形成されている。この厚肉補強部26は、図8に示すように、薄肉部25がキートップ8の押圧突起部17によって押し下げられて弾性変形した際に、薄肉部25の弾性復帰力を補助するためのものであり、その高さが薄肉部25よりも高く形成されている。
【0035】
この薄肉部25と厚肉補強部26との境界部分には、図2に示すように、段差部27が形成されている。この段差部27には、図6(a)に示すように、キートップ8に設けられた一対の押圧突起部17の一部がそれぞれ嵌合する嵌合凹部28が設けられている。すなわち、この嵌合凹部28は、キートップ8の支持軸16側に位置する押圧突起部17の半分程度が挿入する半円柱状に切り欠いて形成されている。
【0036】
また、このラバー部材13には、図2および図7に示すように、キートップ8の支持軸16と一対の押圧突起部17とが接着剤29によって接着されている。すなわち、キートップ8の支持軸16は、その下端部がラバー部材13の位置規制凹部23に挿入された状態で、接着剤29によって位置規制凹部23内に接着固定されている。また、キートップ8の一対の押圧突起部17は、その各下端部がラバー部材13の嵌合凹部28にそれぞれ挿入された状態で、接着剤29によって嵌合凹部28の内面と薄肉部25の上面とに接着固定されている。
【0037】
これにより、キートップ8は、その揺動中心部である支持軸16の回転中心Pがラバー部材13の位置規制凹部23に挿入された支持軸16における下面の円弧の中心であることにより、図2に示すように、支持軸16の回転中心Pがラバー部材13のスイッチ収容部24における薄肉部25の上面とほぼ同じ高さに設定されている。
【0038】
すなわち、この支持軸16の回転中心Pは、図2に示すように、ラバー部材13のスイッチ収容部24における薄肉部25の上面に接着固定された一対の押圧突起部17の下面とほぼ同じ高さで、水平な直線上に位置するように設定されている。このため、一対の押圧突起部17は、キートップ8が押されて支持軸16の回転中心Pを中心に回転して傾く際に、ラバー部材13のスイッチ収容部24を介してスイッチ部10をほぼ垂直に近い状態で押圧するように構成されている。
【0039】
ところで、スイッチ基板9は、ラバー部材13のベース部20とほぼ同じ大きさの平板状に形成され、ラバー部材13の下面に配置された状態で、固定板14によって固定されている。この場合、スイッチ基板9の両側部には、図4に示すように、ラバー部材13の下面に設けられた突起部20aが挿入してラバー部材13を位置決めするための位置決め孔9aが設けられている。また、一対のスイッチ部10は、それぞれタクトスイッチであり、図2および図4に示すように、スイッチ基板9の上面における両側にそれぞれ設けられている。
【0040】
この場合、一対のスイッチ部10は、図2に示すように、ラバー部材13の一対のスイッチ収容部24内に内側(図2では下側)から挿入して配置され、一対のスイッチ部10の各中心部分が薄肉部25と厚肉補強部26との段差部27に位置するキートップ8の一対の押圧突起部17にそれぞれ対応して配置されるように構成されている。
【0041】
次に、この携帯端末機のスイッチ装置6を操作する場合について説明する。
まず、キートップ8が押圧操作されていない通常状態では、図2に示すように、キートップ8のキー本体部15が下部ケース3のキー開口部7内に挿入された状態で、キー本体部15の外面(図2では上面)が下部ケース3の外面とほぼ平行に配置された状態で、キー開口部7から下部ケース3の外部に露出している。
【0042】
このときには、図2に示すように、キートップ8の支持軸16がラバー部材13の位置規制凹部24に挿入されて接着固定されていると共に、キートップ8の一対の押圧突起部17がラバー部材13のスイッチ収容部24に接着固定されていることにより、キートップ8がキー開口部7から抜け出すことなく、キートップ8の揺動中心部である支持軸16の回転中心Pが、ラバー部材13のスイッチ収容部24における薄肉部25の上面に接着固定された一対の押圧突起部17の下面とほぼ同じ高さで、水平な直線上に位置している。
【0043】
また、このときには、キートップ8の支持軸16の両端部16aが下部ケース3の内面(図2では下面)とスイッチ基板9との間にラバー部材13を介して回転可能な状態で挟持されていることにより、これによってもキートップ8がキー開口部7から抜け出すことがないように下部ケース3内に保持されている。さらに、キートップ8の一対の抜止め部18はキー開口部7の縁部から内側(図2では下側)に離れている。
【0044】
この状態で、キートップ8をキー操作する場合には、図8に示すように、キートップ8の長手方向における一方の端部を押せば良い。このとき、例えば左側の部分を押し込むと、キートップ8のキー本体部15が支持軸16を中心に回転して左下がりに傾く。このときには、支持軸16の両端部16aが下部ケース3とスイッチ基板9との間にラバー部材13を介して挟まれているので、キートップ8は支持軸16の両端部16aにおける下面の円弧の中心である回転中心Pを中心に回転して傾く。
【0045】
すなわち、支持軸16は、図2に示すように、その両端部16aにおける上面がラバー部材13の厚肉支持部22の弾力によって下部ケース3の内面(図2では下面)に押し付けられた状態で、両端部16aの下部側がラバー部材13の厚肉支持部22に設けられた位置規制凹部23に食い込んで接着剤29によって接着固定されていることにより、支持軸16の回転中心Pが、一対の押圧突起部17の下面とほぼ同じ高さに位置する。
【0046】
このため、キートップ8が回転して傾くと、図8に示すように、キートップ8の一対の押圧突起部17のうち、左側の押圧突起部17がラバー部材13の左側に位置するスイッチ収容部24をほぼ垂直に近い状態で押圧して薄肉部25を厚肉補強部26と共に弾性変形させる。これにより、スイッチ基板9の一対のスイッチ部10のうち、左側のスイッチ部10がオンする。
【0047】
このときには、図8に示すように、押されていない右側の押圧突起部17がキートップ8の傾きに応じて外側(図8では上方)に移動し、ラバー部材13の右側に位置するスイッチ収容部24を引き上げる。すなわち、キートップ8の一対の押圧突起部17はラバー部材13のスイッチ収容部24に接着固定されているので、右側の押圧突起部17が外側(図8では上方)に移動すると、これに伴ってラバー部材13の右側に位置する薄肉部25が厚肉補強部26と共に引き上げられ、薄肉部25と厚肉補強部26とが膨張するように弾性変形して、スイッチ基板9の右側のスイッチ部10から引き離される。
【0048】
また、このときには、キートップ8の一対の抜止め部18のうち、左側の抜止め部18がラバー部材13上に接触した状態で、右側の抜止め部18がキー開口部7の縁部に当接し、これによりキートップ8の回転が停止されてキートップ8の傾きが規制される。この後、キートップ8が元の状態に戻る際には、ラバー部材13の左側に位置する厚肉補強部26の弾性復帰力が薄肉部25の弾性復帰力よりも強いので、この厚肉補強部26の弾性復帰力によって薄肉部25を強制的に弾性復帰させながら、左側の押圧突起部17を押し上げて元の状態に戻す。
【0049】
このときには、ラバー部材13の右側に位置する薄肉部25および厚肉補強部26が右側のスイッチ部10から離れる方向に膨張した状態で弾性変形しているので、この右側の厚肉補強部26がその弾性復帰力によって薄肉部25を強制的に弾性復帰させながら、右側の押圧突起部17を引き下げて元の状態に戻す。このため、キートップ8は、ラバー部材13の左右両側に位置する各薄肉部25および各厚肉補強部26によって速やかに元の状態に戻る。
【0050】
このように、この携帯端末機のスイッチ装置6によれば、機器本体1の下部ケース3に設けられたキー開口部7にキートップ8を配置し、このキートップ8を下部ケース3内に設けられたスイッチ基板9上に揺動可能に支持する際に、キー開口部7を内側から覆うラバー部材13を、キートップ8とスイッチ基板9との間に介在させた状態で、下部ケース3内に設け、このラバー部材13にスイッチ基板9上に設けられた一対のスイッチ部10が挿入して配置される一対のスイッチ収容部24を設け、この一対のスイッチ収容部24におけるラバー部材13の一部を肉厚の薄い薄肉部25に形成したので、スイッチ操作性の向上を図ることができる。
【0051】
すなわち、キートップ8を押して揺動させた際には、キートップ8の一方の部分がこれに対応するラバー部材13のスイッチ収容部24を押圧するので、この押圧されたスイッチ収容部24の薄肉部25を容易に弾性変形させることができ、この弾性変形したラバー部材13のスイッチ収容部24内に配置されたスイッチ部10を確実に押圧してオン・オフさせることができるので、キー操作性を向上させることができる。
【0052】
この場合、一対のスイッチ収容部24におけるキートップ8の揺動中心部側に位置する箇所のラバー部材13は、肉厚の厚い厚肉補強部26に形成されていることにより、スイッチ収容部24における薄肉部25が厚肉補強部26と共に弾性変形して元の状態に戻る際に、厚肉補強部26の弾性復帰力が薄肉部25の弾性復帰力よりも強いので、この厚肉補強部26の弾性復帰力によって薄肉部25を強制的に弾性復帰させることができ、これによってもキー操作性の向上を図ることができる。
【0053】
また、キートップ8には、ラバー部材13を介してスイッチ基板9上の一対のスイッチ部10をそれぞれ押圧するための一対の押圧突起部17が設けられており、キートップ8の支持軸16および一対の押圧突起部17は、ラバー部材13にそれぞれ接着固定されていることにより、キートップ8が押されて支持軸16を中心に傾き、一方の押圧突起部17がラバー部材13を介して一方のスイッチ部10をオンさせる際に、他方の押圧突起部17が他方のスイッチ部10から離れる方向に移動して、ラバー部材13の他方に位置する薄肉部25を厚肉補強部26と共に他方のスイッチ部10から引き離すことができる。
【0054】
すなわち、キートップ8の一対の押圧突起部17はラバー部材13に接着固定されているので、他方の押圧突起部17が他方のスイッチ部10から離れる方向に移動すると、これに伴ってラバー部材13の他方に位置する薄肉部25を厚肉補強部26と共に膨張させるように弾性変形させながら引き離すことができる。このため、押圧されたキートップ8が元の状態に戻る際に、膨張するように弾性変形した薄肉部25と厚肉補強部26との弾性復帰力によってキートップ8を元の状態に速やかに復帰させることができ、これによってもキー操作性の向上を図ることができる。
【0055】
この場合、ラバー部材13における薄肉部25と厚肉補強部26との境界部分には段差部27が設けられており、この段差部27には押圧突起部17の一部が嵌合する嵌合凹部28が設けられていることにより、ラバー部材13に対する押圧突起部17の接触面積を広くすることができる。このため、ラバー部材13に押圧突起部17を接着剤29によって確実に且つ強固に接着固定することができる。
【0056】
また、この携帯端末機のスイッチ装置6によれば、機器本体1の下部ケース3に設けられたキー開口部7を内側から覆うラバー部材13を、スイッチ基板9とキートップ8との間に介在させた状態で下部ケース3内に設け、キートップ8の揺動中心部に設けられた支持軸16の両端部16aをキートップ8の両側から側方に突出させ、この突出した支持軸16の両端部16aを下部ケース3とスイッチ基板9との間にラバー部材13を介して回転可能な状態で挟持したので、これによってもキートップ8のキー操作性を向上させることができる。
【0057】
すなわち、支持軸16の両端部16aを下部ケース3とスイッチ基板9との間にラバー部材13を介して挟持すると、支持軸16の下部側がラバー部材13の厚肉支持部22に設けられた位置規制凹部23に食い込んで接着剤29によって接着固定され、この状態で厚肉支持部22の弾力によって支持軸16の両端部16aにおける上面が下部ケース3に押し付けられるので、キートップ8が下部ケース3とスイッチ基板9との間でガタつくことがなく、キートップ8を良好に保持することができ、これによりキー操作性の向上を図ることができる。
【0058】
この場合、キートップ8の支持軸16は、ラバー部材13に設けられた位置規制凹部23に食い込んで位置規制されていることにより、キートップ8をラバー部材13に確実に位置規制することができる。このため、このラバー部材13を介してキートップ8をスイッチ基板9に対して正確に位置決めすることができるので、キートップ8をキー操作しても、キートップ8が位置ずれを起こすことがなく、常に安定した状態でスイッチ基板9のスイッチ部10を正確に且つ確実にオン・オフさせることができ、これによってもキー操作性を向上させることができる。
【0059】
また、支持軸16の回転中心Pは、キートップ8全体の揺動中心である回転中心Pが支持軸16における下面の円弧の中心に位置することにより、ラバー部材13のスイッチ収容部24における薄肉部25の上面とほぼ同じ高さ、つまりラバー部材13のスイッチ収容部24における薄肉部25の上面に接着固定された一対の押圧突起部17の下面とほぼ同じ高さに設定することができる。このため、キートップ8は、支持軸16の回転中心Pを中心にキー本体部15が回転して傾く際に、キートップ8の押圧突起部17がほぼ垂直に近い状態でスイッチ部10を押圧することができるので、キー操作性が良く、確実にスイッチ部10をオンさせることができる。
【0060】
さらに、支持軸16の両端部16aを下部ケース3とスイッチ基板9との間にラバー部材13を介して挟持した構成であるから、支持軸16を回転可能に保持するための特別な部品が不要となり、部品点数を削減することができると共に、構造の簡素化を図ることができるほか、組み立て作業性の向上をも図ることができるので、製造コストを下げることができる。
【0061】
また、ラバー部材13は、キートップ8とスイッチ基板9との間に介在された状態で、キー開口部7を内側から覆って下部ケース3内に両面接着テープ19で接着固定されているので、キー開口部7における防水性および気密性を確保することができると共に、キートップ8が外部から衝撃を受けても、その衝撃をラバー部材13によって吸収することができるので、耐衝撃性をも確保することができる。
【0062】
(実施形態2)
次に、図9〜図11を参照して、この発明を携帯端末機のスイッチ装置に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図8に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この携帯端末機のスイッチ装置30は、図9に示すように、機器本体1の上部ケース2における上面側に設けられている。
【0063】
すなわち、このスイッチ装置30は、図9〜図11に示すように、上部ケース2の上面に設けられたキー開口部7にキートップ31が配置され、このキートップ31が上部ケース2内に設けられたスイッチ基板9上に揺動可能に支持され、このキートップ31の揺動動作に応じてスイッチ基板9上に設けられた複数のスイッチ部32を選択的にオン・オフするように構成されている。
【0064】
この場合、スイッチ基板9上には、図10に示すように、4つのスイッチ部32が設けられている。また、キートップ31は、図10および図11に示すようにほぼ正方形状の平板状に形成されたキー本体部33を備えている。このキー本体部33の下面における揺動中心部、つまり4つのスイッチ部32の中心部に対応する箇所のキー本体部33の下面には、一本の支持軸34が起立した状態で設けられている。
【0065】
この支持軸34は、その下端部が半球状に形成され、この半球状の中心部がキートップ31の揺動中心に形成されている。これにより、キートップ31は、支持軸34の下端部に位置する揺動中心を中心として、左右前後の4方向に揺動するように構成されている。また、このキー本体部33の下面には、4つのスイッチ部32にそれぞれ対応する4つの押圧突起部35が下側に突出して設けられている。
【0066】
また、キートップ31とスイッチ基板9との間には、実施形態1と同様、上部ケース2のキー開口部7を内側から覆うラバー部材36が介在されている。このラバー部材36は、実施形態1と同様、ゴムやエラストマーなどの軟質材料からなり、図9および図10に示すように、キートップ8とスイッチ基板9との間に配置されるベース部37と、このベース部37の全周囲に亘って連続して設けられた枠状部38とを備え、これらが軟質材料によって一体に形成されている。
【0067】
このラバー部材36は、図9に示すように、上部ケース2に設けられた一対の取付リブ12の間にその下側から挿入される際に、枠状部38の外面が一対の取付リブ12の内面にガイドされ、この枠状部38の上端面が環状の両面接着テープ19によって上部ケース2の内面に接着固定され、これにより図9に示すように、キー開口部7を密閉するように構成されている。
【0068】
このラバー部材36のベース部37は、図9および図10に示すように、中央部分が肉厚の厚い厚肉部(以下、厚肉支持部40と称する。)に形成されている。この場合、ベース部37の厚肉支持部40には、図9に示すように、キートップ31の支持軸34の下部が挿入してキートップ31を位置規制するための位置規制凹部41が円柱状に形成されている。
【0069】
また、このベース部37には、図9および図11に示すように、スイッチ基板9上に設けられた4つのスイッチ部32がそれぞれ下側から挿入する4つのスイッチ収容部42が、上方に膨らんだ形状に形成されている。この4つのスイッチ収容部42に位置する箇所のラバー部材36の一部、つまりラバー部材36の外周側に位置するスイッチ収容部42の半分程度に対応する箇所のラバー部材36は、図9に示すように、肉厚の薄い薄肉部43に形成されている。
【0070】
この場合、スイッチ部32に対応する箇所におけるラバー部材36のうち、キートップ31の支持軸34側に位置するほぼ半分程度の箇所のラバー部材36は、肉厚の厚い厚肉部(以下、厚肉補強部44と称する。)に形成されている。この厚肉補強部44は、実施形態1と同様、薄肉部41がキートップ31の押圧突起部35によって押し下げられて弾性変形した際に、薄肉部41の弾性復帰力を補助するためのものである。
【0071】
この場合にも、薄肉部43と厚肉補強部44との境界部分には、図9および図10に示すように、段差部27が形成されている。この段差部27には、図9および図10に示すように、キートップ31に設けられた各押圧突起部35の一部がそれぞれ嵌合する嵌合凹部28が設けられている。すなわち、この嵌合凹部28は、キートップ31の支持軸34側に位置する押圧突起部35の半分程度が挿入する半円柱状に切り欠いて形成されている。
【0072】
また、このラバー部材36には、図9に示すように、キートップ31の支持軸34と各押圧突起部35とが接着剤29によってそれぞれ接着されている。すなわち、キートップ31の支持軸34は、その下端部がラバー部材36の位置規制凹部41に挿入された状態で、接着剤29によって位置規制凹部41内に接着固定されている。また、キートップ31の各押圧突起部35は、その各下端部がラバー部材36の嵌合凹部28にそれぞれ挿入された状態で、接着剤29によって嵌合凹部28の内面と薄肉部43の上面とに接着固定されている。
【0073】
このような携帯端末機のスイッチ装置30によれば、機器本体1の上部ケース2に設けられたキー開口部7を内側から覆うラバー部材36を、キートップ31とスイッチ基板9との間に介在させた状態で上部ケース2内に設け、このラバー部材36に肉厚の厚い厚肉支持部40をキートップ31の支持軸34に対応させて設け、この厚肉支持部40に支持軸34が食い込んで位置規制される位置規制凹部41を設けた構成であるから、キートップ31をキー操作した際に、キートップ31が位置ずれを起こすことがないため、キー操作性の向上を図ることができる。
【0074】
すなわち、キートップ31の支持軸34をラバー部材36の厚肉支持部40に設けられた位置規制凹部41に食い込ませて位置規制しているので、キートップ31をラバー部材36に確実に位置規制することができ、これによりラバー部材36を介してキートップ31をスイッチ基板9に対して正確に位置決めすることができる。このため、キートップ31をキー操作しても、キートップ31が位置ずれを起こすことがなく、常に安定した状態でスイッチ基板9の4つのスイッチ部32のいずれかを正確に且つ確実にオン・オフさせることができるので、キー操作性の向上を図ることができる。
【0075】
この場合にも、ラバー部材36に4つのスイッチ部32がそれぞれ挿入して配置される4つのスイッチ収容部42を設け、このスイッチ収容部42におけるラバー部材36の一部を肉厚の薄い薄肉部43に形成したので、実施形態1と同様、キートップ31を押して揺動させた際に、キートップ31の各押圧突起部35のいずれかがこれに対応するラバー部材36のスイッチ収容部42を押圧し、この押圧されたスイッチ収容部42の薄肉部43を容易に弾性変形させることができ、この弾性変形したラバー部材36のスイッチ収容部42内に配置されたスイッチ部32を確実に押圧してオン・オフさせることができるので、キー操作性を向上させることができる。
【0076】
また、この場合にも、4つのスイッチ部32が対応する箇所のラバー部材36のうち、キートップ31の支持軸34側に位置する箇所のラバー部材36は肉厚の厚い厚肉補強部44に形成されていることにより、薄肉部43が厚肉補強部44と共に弾性変形して元の状態に戻る際に、厚肉補強部44の弾性復帰力によって薄肉部43を強制的に弾性復帰させることができるので、これによってもキー操作性の向上を図ることができる。
【0077】
また、キートップ31の支持軸34および4つの押圧突起部35は、ラバー部材36にそれぞれ接着固定されているので、実施形態1と同様、キートップ31が押されて支持軸34を中心に揺動し、1つの押圧突起部35がラバー部材36を介して1つのスイッチ部32をオンさせる際に、その対角線上に位置する他方の押圧突起部35がこれに対応するスイッチ部32から離れる方向に移動して、ラバー部材36の他方に位置する薄肉部43を厚肉補強部44と共に他方のスイッチ部32から引き離すことができる。
【0078】
すなわち、キートップ36の各押圧突起部35はラバー部材36に接着固定されているので、押圧突起部35がスイッチ部32から離れる方向に移動すると、これに伴ってラバー部材36の薄肉部43を厚肉補強部44と共に膨張させるように弾性変形させながら引き離すことができる。このため、押圧されたキートップ36が元の状態に戻る際に、膨張するように弾性変形した薄肉部43と厚肉補強部44との弾性復帰力によってキートップ31を元の状態に速やかに復帰させることができ、これによってもキー操作性の向上を図ることができる。
【0079】
この場合にも、ラバー部材36における薄肉部43と厚肉補強部44との境界部分には段差部27が設けられており、この段差部27には押圧突起部35の一部が嵌合する嵌合凹部28が設けられていることにより、ラバー部材36に対する押圧突起部35の接触面積を広くすることができる。このため、ラバー部材36に押圧突起部35を接着剤29によって確実に且つ強固に接着固定することができる。
【0080】
さらに、この場合にも、ラバー部材36は、キートップ31とスイッチ基板9との間に介在された状態で、キー開口部7を内側から覆って上部ケース2内に両面接着テープ19で接着固定されているので、キー開口部7における防水性および気密性を確保することができると共に、キートップ36が外部から衝撃を受けても、その衝撃をラバー部材36によって吸収することができるので、耐衝撃性をも確保することができる。
【0081】
なお、上述した実施形態1、2では、スイッチ基板9上にタクトスイッチからなるスイッチ部10または32を設けた場合について述べたが、必ずしもスイッチ部はタクトスイッチである必要はなく、スイッチ部は、例えばスイッチ基板9上に固定接点を設け、これに対応するラバー部材13または36のスイッチ収容部24または42の内面に可動接点を設け、スイッチ収容部24または42の弾性変形に応じて可動接点が固定接点に接離可能に接触するように構成されていても良い。
【0082】
また、上述した実施形態1、2では、電子機器として、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)などの携帯端末機に適用した場合について述べたが、必ずしも携帯端末機である必要はなく、例えば携帯電話機や電子カメラ、電子辞書などの携帯型の電子機器に適用することができるほか、携帯型の電子機器に限らず、電子レジスタやパーソナルコンピュータなどの各種の電子機器に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 機器本体
2 上部ケース
3 下部ケース
6、30 スイッチ装置
7 キー開口部
8、31 キートップ
9 スイッチ基板
10、32 スイッチ部
13、36 ラバー部材
15、33 キー本体部
16、34 支持軸
16a 端部
17、35 押圧突起部
19 両面接着テープ
20、37 ベース部
21、38 枠状部
22、40 厚肉支持部
23、41 位置規制凹部
24、42 スイッチ収容部
25、43 薄肉部
26、44 厚肉補強部
27 段差部
28 嵌合凹部
29 接着剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体に設けられたキー開口部にキートップが配置され、このキートップが前記機器本体内に設けられた基板上に揺動可能に支持され、このキートップの揺動動作に応じて前記基板上に設けられた複数のスイッチ部を選択的にオン・オフするスイッチ装置において、
前記機器本体内には、前記キー開口部を前記機器本体の内側から覆うラバー部材が前記キートップと前記基板との間に介在された状態で設けられており、このラバー部材には、前記複数のスイッチ部がそれぞれ挿入する複数のスイッチ収容部が設けられており、この複数のスイッチ収容部の箇所における前記ラバー部材の一部は、肉厚の薄い薄肉部に形成されていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記複数のスイッチ収容部における前記キートップの揺動中心部側に位置する箇所の前記ラバー部材は、肉厚の厚い厚肉部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
機器本体に設けられたキー開口部にキートップが配置され、このキートップが前記機器本体内に設けられた基板上に揺動可能に支持され、このキートップの揺動動作に応じて前記基板上に設けられた複数のスイッチ部を選択的にオン・オフするスイッチ装置において、
前記キートップの揺動中心部には、支持軸が設けられており、前記機器本体内には、前記キー開口部を前記機器本体の内側から覆うラバー部材が前記キートップと前記基板との間に介在された状態で設けられており、前記キートップの前記支持軸が対応する箇所の前記ラバー部材は、肉厚の厚い厚肉部に形成されており、この厚肉部には、前記キートップの前記支持軸が食い込んで位置規制される位置規制凹部が設けられていることを特徴するスイッチ装置。
【請求項4】
機器本体に設けられたキー開口部にキートップが配置され、このキートップが前記機器本体内に設けられた基板上に揺動可能に支持され、このキートップの揺動動作に応じて前記基板上に設けられた複数のスイッチ部を選択的にオン・オフするスイッチ装置において、
前記機器本体内には、前記キー開口部を前記機器本体の内側から覆うラバー部材が前記キートップと前記基板との間に介在された状態で設けられており、前記キートップの揺動中心部には、支持軸が前記キートップの両側から側方に突出して設けられており、この支持軸の突出した両端部は、前記機器本体と前記基板との間に前記ラバー部材を介して回転可能な状態で挟持されていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
前記キートップの前記支持軸が対応する箇所の前記ラバー部材は、肉厚の厚い厚肉部に形成されており、この厚肉部には、前記キートップの前記支持軸が食い込んで位置規制される位置規制凹部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記キートップの揺動中心部である前記支持軸の回転中心は、前記スイッチ部に対応する箇所の前記ラバー部材に前記キートップの一部が接触する高さとほぼ同じ位置に設定されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記ラバー部材には、前記複数のスイッチ部がそれぞれ挿入する複数のスイッチ収容部が設けられており、この複数のスイッチ収容部の箇所における前記ラバー部材の一部は、肉厚の薄い薄肉部に形成されており、前記複数のスイッチ収容部における前記キートップの前記支持軸側に位置する箇所の前記ラバー部材は、肉厚の厚い厚肉部に形成されていることを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれかに記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記キートップには、前記ラバー部材を介して前記基板上の前記複数のスイッチ部をそれぞれ押圧するための複数の押圧突起部が設けられており、前記キートップの前記支持軸および前記複数の押圧突起部は、前記ラバー部材にそれぞれ接着固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記ラバー部材における前記薄肉部と前記厚肉部との境界部には段差部が設けられており、この段差部には前記複数の押圧突起部の一部がそれぞれ嵌合する嵌合凹部が設けられていることを特徴とする請求項8に記載のスイッチ装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−96377(P2011−96377A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246247(P2009−246247)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】