説明

スウィング練習用装置

【課題】 体幹の捻り力が小さな練習者であっても、スウィング動作を正確かつ容易に練習できるスウィング練習用装置を提供する。
【解決手段】
上部回転台21と、上部回転台21に対して逆回転する下部回転台23と、下部回転台23に設けたグリップ上下装置64と、グリップ上下装置64の軸方向に摺動するグリップ66と、上部回転台21及び下部回転台23を支持する基台と、を備えるスウィング練習用装置1において、下部回転台23に対する上部回転台21の回転速度又は回転トルクを制御可能に構成した回転台モータ41を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ、野球、ラケットスポーツ等のスウィング動作を伴うスポーツをする人が、スウィング動作を練習するために、或いは、スウィング動作に必要な筋力を強化するために使用するスウィング練習用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、趣味や健康維持を目的として、様々なスポーツを楽しむ人が老若男女を問わず増加している。ゴルフ、野球、ラケットスポーツ等においては、クラブ、バット、ラケット等のスウィング動作が要求され、これらのスウィング動作を練習したい人、或いは、スウィング動作を速くし、強力にするための筋力アップを希望する人の数も増加している。
【0003】
従来から様々な練習器具がスウィング動作を練習するために使用されている。かかる練習器具の1つに、図7に示すスウィング練習装置がある。このスウィング練習装置100は、それ自体が回転する回転移動型のサークル台101と、カム機構107を介してサークル台101に対して逆回転する外周回転型のアーム部102とを組み合わせて構成されている。アーム部102は、ワイヤ103、ワイヤ長調節装置104、取手部105及びワイヤ取り付け部垂直移動装置106を備えており、サークル台101又はアーム部102、ワイヤ長調節装置104及びワイヤ取り付け部垂直移動装置106に負荷装置が取り付けられている。
【0004】
練習者は、サークル台101上に立ち、取手部105を握り、習得しようとするスウィング動作を行う。練習者がスウィング動作を行うと、練習者の体幹が捻られ、練習者が体幹を捻る力(以下、練習者が体幹を捻る力のことを「捻り力」という。)がサークル台101に伝わり、捻り力によってサークル台101が回転し、練習者の下半身は上半身と逆方向に回転移動する。
【0005】
練習者は、スウィング練習装置100を用いることによって、スウィング動作を繰り返し疑似体験できる。
また、練習者は、サークル台101又はアーム部102、ワイヤ長調節装置104及びワイヤ取り付け部垂直移動装置106の負荷装置を調節し、所望の負荷を受けながらスウィング動作を練習できるので、スウィング動作と関連する身体各部の筋力を強化でき、身体の柔軟性を向上させることもできる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−24136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スウィング練習装置100において練習者がスウィング動作を行うためには、練習者がサークル台101を回転させなければならない。サークル台101から練習者に負荷が働いているので、練習者はこの負荷よりも大きな捻り力によってサークル台101を回転させなければならない。
練習者の捻り力がサークル台101から働く負荷よりも小さな場合、練習者はサークル台101を回転させることができず、スウィング動作を正しく行うことができない。
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的とするところは、捻り力が小さな練習者であっても、スウィング動作を容易かつ正確に練習可能なスウィング練習用装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、これらの課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項1の発明に係るスウィング練習用装置は、スウィング動作の練習者を載せる上部回転台と、上部回転台に対して逆回転する下部回転台と、下部回転台に設けたグリップ上下装置と、練習者によって把持されてグリップ上下装置の軸方向に摺動するグリップと、上部回転台及び下部回転台を支持する基台と、を備えるスウィング練習用装置であって、下部回転台に対する上部回転台の回転速度又は回転トルクを制御可能に構成した回転台モータを備える。
【0008】
請求項1の発明によれば、回転台モータが上部回転台の回転速度又は回転トルクを制御することによって、スウィング動作を行う練習者が上部回転台を回転させる際に受ける負荷の大きさを変更できる。練習者が受ける負荷の大きさを変更すれば、練習者は自分の好みに合わせて上部回転台を回転させることができ、スウィング動作を正確かつ容易に行うことができる。
例えば、回転台モータとして、回転数又は回転トルクを容易に制御可能な電動サーボモータを用いることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るスウィング練習用装置では、体幹の捻り力が小さな練習者であっても、自分の好みに合わせて上部回転台を回転させることができるので、スウィング動作を正確かつ容易に練習でき、また、スウィング動作を強力にするための筋力をアップすることもできる。さらに、普段使わない筋力を使うことで、日常生活に必要な動作と体力の改善をめざすパワーリハビリ装置としても使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係るスウィング練習用装置の斜視図、図2は本実施の形態に係るスウィング練習用装置の一部分を破断して示す斜視図、図3は回転速度検出器の構成図、図4はディスクブレーキの側面図、図5は回転台モータの構成図、図6はグリップ上下端位置記憶手段の構成図である。
【0011】
図1及び図2に示すスウィング練習用装置1は、基台10、回転部20、ディスクブレーキ50、スウィング部60、回転補助部40、制御盤80を備えている。
回転部20は、床上に設置された基台10の上でそれぞれ回転可能な上部回転台21と下部回転台23とからなり、上部回転台21と下部回転台23とは互いに歯車機構(図示せず)を介して連結されており、上部回転台21が一方向へ回転すると、下部回転台23が上部回転台21と同角度に反対方向へ回転するように構成されている。
【0012】
図1及び図2に示すように、スウィング部60は、支持台61、グリップ上下動装置64及びグリップ66とからなり、支持台61が下部回転台23の端に立設されており、支持台61の先端部62にグリップ上下動装置64が支承されている。
図2及び図3に示すように、基台10には、下部回転台23の回転角度を検出する回転角度検出器30としてのパルス発生器が設置されている。回転角度検出器30は下部回転台23の回転軸24とベルト31によって連結されており、下部回転台23が回転すると回転角度検出器30が回転し、回転角度検出器30が下部回転台23の回転角度に応じたパルス信号SPを制御盤80へ送信する構成となっている。
【0013】
図2及び図4に示すように、ディスクブレーキ50は上部回転台21の回転に抵抗力を付与する抵抗装置をなし、ブレーキディスク51、2個のブレーキパッド52、2本のキャリパ53、ポペット54及び電動シリンダ55とからなる。
ブレーキディスク51は上部回転台21の回転軸22の外周上に装着されている。ブレーキディスク51の上下にはそれぞれブレーキパッド52が位置しており、各ブレーキパッド52は、下部回転台23上にピン56により軸止された2本のキャリパ53の先端にそれぞれ装着されている。
【0014】
各キャリパ53は、その先端寄りの部分をピン56により下部回転台23上で回動可能に軸止されており、キャリパ53同士の間隔が後方で広がるとブレーキパッド52同士の間隔が狭まり、ブレーキパッド52が上下からブレーキディスク51と面接触して押圧する構造となっている。キャリパ53同士の間にはコイルバネ57が挟まれており、コイルバネ57が2本のキャリパ53の先端同士を互いに引き離す方向の力を各キャリパ53に与えている。
【0015】
電動シリンダ55は下部回転台23上に設置されており、電動シリンダ55の先端には円錐形のポペット54が装着されている。電動シリンダ55は制御盤80から伸縮を制御可能となっており、電動シリンダ55が伸長すると、ポペット54がキャリパ53同士の間に押し込まれ、キャリパ53同士の間隔が広がってブレーキパッド52同士の間隔が狭まり、電動シリンダ55が縮小すると、ポペット54がキャリパ53同士の間から引き抜かれ、キャリパ53同士の間隔が狭まってブレーキパッド52同士の間隔が広がる構成となっている。電動シリンダ55とポペット54との間には圧縮バネ58が挟まれており、圧縮バネ58の反発力がキャリパ53同士の間隔を適正に保つようにしている。
【0016】
図2及び図5に示すように、回転補助部40は回転台モータ41とベルト42とからなり、制御盤80に接続された回転台モータ41が下部回転台23上に設置されている。回転台モータ41は電動サーボモータであり、上部回転台21の回転軸22とベルト42によって連結されており、回転台モータ41が制御盤80から制御信号SAMを受信し、回転台モータ41が制御信号SAMによって制御される構成となっている。
【0017】
図1及び図6に示すように、グリップ上下動装置64は上下方向に連続する案内レール67とスライダ電動モータ69とを有する。案内レール67には、スライダ68が跨設されており、スライダ68がスライダ電動モータ69によって案内レール67沿いに上下方向へ摺動可能に構成されている。スライダ電動モータ69はパルス発生器(図示せず)を有し、スライダ68が上下方向に摺動するときのスライダ電動モータ69の回転に応じて、パルス発生器がパルスを発生し、スライダ電動モータ69からそのパルス信号SMが制御盤80へ送られる。スライダ電動モータ69のパルス発生器と後述する演算部82のプログラムP4及びメモリ83が、グリップ上下端位置記憶手段を構成する。
【0018】
スライダ68にはグリップ66が上部回転台21側へ向かって突設されている。グリップ66は伸縮可能な二重筒構造を有している。グリップ66の基端側がスライダ68にボールジョイントを介して接続されており、グリップ66がボールジョイントを中心として上下左右自由に傾動可能に構成されている。
制御盤80は入力部81、演算部82、メモリ83、表示部84及び操作スイッチ群85からなり、制御部を構成する(図1〜図6を参照)。
【0019】
入力部81は、グリップ66が通過する上端位置DTと下端位置DBを外部から入力し、その入力されたDT、DBをメモリ83に記憶可能に構成されている。
演算部82はプログラムP1、P2、P4、P5、P6を有する。プログラムP1は、制御盤80が回転角度検出器30から受信するパルス信号SPのカウント数に基づいて、下部回転台23の回転角度を検出し、この回転角度からスウィング動作中の練習者の体幹の捻り回転速度Vを算出し、その算出結果をメモリ83に記憶させるプログラムである(図3を参照)。
【0020】
プログラムP2は、回転角度検出器30からのパルス信号SPのカウント数に基づいて下部回転台23の回転角度を検出し、スウィング動作中の練習者の体幹の捻り角度θを算出し、その算出結果をメモリ83に記憶させるプログラムである(図3を参照)。
プログラムP3は、操作スイッチ85の操作に基づいて、上部回転台21の目標回転速度又は回転トルクを算出し、目標回転速度又は回転トルクに応じた回転台モータ41の目標回転数又は回転トルクを算出し、目標回転数又は回転トルクに応じた制御信号SAMを回転台モータ41へ送信し、回転台モータ41の回転を制御するプログラムである(図5を参照)。
【0021】
プログラムP4は、スライダ電動モータ69から受信するパルス信号SMのカウント数に基づいて、案内レール67上を摺動するスライダ68の位置をグリップ66の位置として算出し、その算出結果から、練習者のスウィング動作中にグリップ66が通過する上端位置PTと下端位置PBとを選び出し、選び出した上端位置PTと下端位置PBとをメモリ83に記憶させるプログラムである(図6を参照)。
【0022】
プログラムP5は、メモリ83に記憶された上端位置PTと下端位置PB又は上端位置DTと下端位置DBに基づいて、スウィング動作中のグリップ66が上端位置PTと下端位置PB又は上端位置DTと下端位置DBとを通過するようにスライダ電動モータ69の回転を制御するプログラムである(図6を参照)。
表示部84はモニタ画面を有し、メモリ83に記憶されている体幹の捻り回転速度V、体幹の捻り角度θをそれぞれモニタ画面上に表示可能に構成されている。
【0023】
操作スイッチ群85は、4つのスイッチ85a、85b、85c、85dを有する。スイッチ85aはスライダ電動モータ69の回転をプログラムP5によって制御するか否かを選択するスイッチであり、スイッチ85bは電動シリンダ55のストローク量を制御するスイッチであり、スイッチ85cは回転台モータ41の回転数を任意に設定するスイッチであり、スイッチ85dは回転台モータ41の回転トルクを設定するスイッチである。
【0024】
このスウィング練習用装置1の作用について説明する。以下の説明において、練習者はゴルフクラブのスウィング動作を練習するものとする。このスウィング動作は、アドレスの姿勢からテイクバックしトップの姿勢をとるまでの第1動作と、トップの姿勢からダウンスウィングしフォロースルーをするまでの第2動作とからなる。また、スイッチ85b、85c、85dの操作により、回転台20の手動運転、自動運転、補助運転を選択することができる。
【0025】
<手動運転の場合>
まず、練習者は、制御盤80の操作スイッチ群85のスイッチ85aを操作し、スライダ電動モータ69の回転をプログラムP5によって制御するか否かを選択する。練習者はスライダ電動モータ69の回転をプログラムP5によって制御することを選択する。
次に、練習者は制御盤80の操作スイッチ群85のスイッチ85bを操作し、電動シリンダ55のストローク量を調節する。電動シリンダ55のストローク量を調節することによって、ブレーキパッド52同士の間隔が調節され、ブレーキパッド52からブレーキディスク51の面へ働く押圧力が調節される。練習者は、電動シリンダ55のストローク量を調節することにより、上部回転台21の回転に対してディスクブレーキ50から働く抵抗力の大きさを適宜選択できる。即ち、練習者は、所望する捻り力に上部回転台21の回転抵抗力を合わせる。
【0026】
電動シリンダ55のストローク量を調節したら、スウィング動作中にグリップ66が通過する上端位置DTと下端位置DBとを入力部81に入力し、上端位置DTと下端位置DBとをメモリ83に記憶させる。このとき、同時に上部旋回台21のアドレス位置及びトップ位置までの角度も記憶させる。
また、上端位置DTと下端位置DBとを入力部81に入力する代わりに、練習者が上部回転台21上でスウィング動作の第1動作を行うことによって、スウィング動作中にグリップ66が通過する上端位置PTと下端位置PBとをメモリ83に記憶させることも可能である。上端位置PTと下端位置PBの記憶は以下の手順によって行われる。
【0027】
練習者がアドレスの姿勢をとると、スライダ68が案内レール67沿いに下方へ摺動し、練習者がトップの姿勢をとると、スライダ68が案内レール67沿いに上方へ摺動する。アドレスの姿勢におけるスライダ68の位置が、スウィング動作中にスライダ68が通過する最も下端の位置であり、トップの姿勢におけるスライダ68の位置が、スウィング動作中にスライダ68が通過する最も上端の位置である。
【0028】
スライダ電動モータ69が回転してスライダ68が上下方向に摺動し、スライダ電動モータ69のパルス発生器がスライダ電動モータ69の回転に応じてパルスを発生し、スライダ電動モータ69からパルス信号SMが制御盤80へ送られる。
パルス信号SMを受信した制御盤80では、プログラムP4がパルス信号SMのカウント数に基づいて、案内レール67上におけるスライダ68の位置をグリップ66の位置として算出し、その算出結果から、スウィング動作中にグリップ66が通過する上端位置PTと下端位置PBとを選び出し、選び出した上端位置PTと下端位置PBとをメモリ83に記憶させる。
【0029】
上端位置PTと下端位置PB又は上端位置DTと下端位置DBとをメモリ83に記憶させたら、練習者は上部回転台21上でスウィング動作の練習を開始する。
練習者は上部回転台21上に立ってグリップ66を握り、グリップ66を腹前に構えてアドレスの姿勢をとる。そして、練習者は、ゴルフクラブを振る要領で体幹を捻りながらグリップ66を振り、スウィング動作を行う。
【0030】
第1動作で、練習者は腰を中心として体幹を捻り、グリップ66を右肩斜め後方へ振り上げる。練習者の捻り力により、上部回転台21は反時計回りに回転し、下部回転台23は歯車機構によって時計回りに回転する。グリップ66も下部回転台23とともに時計回りに回転するとともにスライダ68を介して案内レール67沿いに上方に移動する。
上部回転台21の回転にはディスクブレーキ50から抵抗力が働くので、第1動作を行う練習者はこの抵抗力に抗して第1動作を行うこととなり、第1動作に必要な筋力トレーニングがなされる。
【0031】
第1動作の開始時に上部回転台21に働くディスクブレーキ50からの抵抗力は、ブレーキディスク51とブレーキパッド52との間の静止摩擦抵抗力であり、瞬間的な大きな力である。第1動作の開始後に上部回転台21に働くディスクブレーキ50から抵抗力は、ブレーキディスク51とブレーキパッド52との間の動摩擦抵抗力であり、第1動作の開始後は開始時に働く抵抗力よりも小さな抵抗力が連続して働く。
【0032】
一般に、筋力トレーニングにおいて、最初に瞬発的に大きな負荷を筋肉に与え、その後、筋肉に小さな負荷を連続して与えると、柔らかく瞬発力のある筋肉を作ることができるとスポーツ医学上の理論から考えられるので、練習者は、スウィング動作を行うのに必要な筋肉を柔らかく瞬発力のあるものとすることができる。
また、上部回転台21と下部回転台23とは互いに反対方向へ回転するので、練習者は体幹を大きく捻ることができる。
【0033】
制御盤80の演算部82で、プログラムP2がパルス信号SPのカウント数に基づいて下部回転台23の回転角度を検出して練習者の体幹の捻り角度θを算出し、その算出結果をメモリ83に記憶させる。
練習者は第1動作の最後にトップの姿勢をとって一旦動きを止め、その後、第2動作を行う。練習者は第1動作とは逆方向に腰を中心として体幹を捻り、グリップ66を右肩斜め後方から腹前を通って左肩斜め後方へ振りぬく。
【0034】
第2動作中の練習者の体幹の捻りにより、上部回転台21は時計回りに回転し、下部回転台23は歯車機構によって反時計回りに回転する。
上部回転台21の回転にはディスクブレーキ50から抵抗力が働き、第2動作を行う練習者はこの抵抗力に抗して第2動作を行うこととなり、第2動作に必要な筋肉のトレーニングがなされる。第1動作の最後に、練習者は動きを止めているので、第2動作の開始時に上部回転台21に働くディスクブレーキ50からの抵抗力は、ブレーキディスク51とブレーキパッド52との間の静止摩擦抵抗力であり、その後の第2動作中に上部回転台21に働く抵抗力は、ブレーキディスク51とブレーキパッド52との間の動摩擦抵抗力であり、第1動作と同様、第2動作においても柔らかく瞬発力のある筋肉を作ることができる。
【0035】
<自動運転の場合>
自動運転を行なう場合、まず、練習者は、制御盤80の操作スイッチ群85のスイッチ85aを操作し、スライダ電動モータ69の回転をプログラムP5によって制御するか否かを選択する。練習者は、スライダ電動モータ69の回転をプログラムP5によって制御することを選択する。
次に、練習者は、制御盤80の操作スイッチ群85のスイッチ85cを操作し、回転台モータ41の回転数を任意に設定する。次に、スウィング動作中にグリップ66が通過する上端位置DTと下端位置DBとを入力部81に入力し、上端位置DTと下端位置DBとをメモリ83に記憶させる。
【0036】
上端位置DTと下端位置DBとをメモリ83に記憶させたら、練習者は上部回転台21上に立ってグリップ66を握り、グリップ66を腹前に構えてアドレス姿勢をとる。そして、練習者が開始スイッチ86を押すと、上部回転台21が、操作スイッチ群85のスイッチ85cの操作に応じた回転数で回転を始める。また、同時に、グリップ66もスライダ68を介して案内レール67沿いに移動する。
【0037】
第1動作で、練習者は腰を中心として体幹を捻られ、グリップ66を右肩斜め後方へ振り上げられる。回転台モータ41により、上部回転台21は反時計回りに回転し、下部回転台23は歯車機構によって時計回りに回転する。グリップ66も下部回転台23と一体に時計回りに回転するとともにスライダ68を介して案内レール67沿いに上方に移動する。上部回転台21の回転は、回転台モータ41によって回転するので、練習者はそれに合わせて第1動作を行なえばよく、第1動作を正確且つ容易に行なうことができる。
【0038】
第1動作の最後にトップの姿勢をとった時点で、一旦、回転台モータ41の運転を緩やかに止め、一定時間経過後、第2動作を開始する。即ち、回転台モータ41により、上部回転台21は時計回りに回転し、練習者は、第1動作とは逆方向に腰を中心として体幹を捻られ、グリップ66を右肩斜め後方から腹前を通って左肩斜め後方へと振り上げられる。このとき、回転台モータ41により、上部回転台21は時計回りに回転し、下部回転台23は歯車機構によって反時計回りに回転する。練習者は、第1動作と同様、それに合わせて第2動作を行なえばよく、正確且つ容易に行なうことができる。
【0039】
<補助運転の場合>
補助運転を行なう場合、まず、練習者は、制御盤80の操作スイッチ群85のスイッチ85aを操作し、スライダ電動モータ69の回転をプログラムP5によって制御するか否かを選択する。練習者は、スライダ電動モータ69の回転をプログラムP5によって制御することを選択する。
次に、練習者は、制御盤80の操作スイッチ群85のスイッチ85dを操作し、回転台モータ41の補助トルクを任意に設定する。次に、スウィング動作中にグリップ66が通過する上端位置DTと下端位置DBとを入力部81に入力し、上端位置DTと下端位置DBとをメモリ83に記憶させる。
【0040】
上端位置DTと下端位置DBとをメモリ83に記憶させたら、練習者は上部回転台21上に立ってグリップ66を握り、グリップ66を腹前に構えてアドレス姿勢をとる。そして、練習者が開始スイッチ86を押すと、操作スイッチ群85のスイッチ85dの操作に応じた回転トルクが上部回転台21に与えられる。この回転トルクは、最大で上部回転台21が回り始める手前のトルクである。
【0041】
第1動作で、練習者は腰を中心として体幹を捻り、グリップ66を右肩斜め後方へ振り上げる。練習者の捻り力と回転台モータ41の補助力とにより、上部回転台21は反時計回りに回転し、下部回転台23は歯車機構によって時計回りに回転する。グリップ66も下部回転台23と一体に時計回りに回転するとともにスライダ68を介して案内レール67沿いに上方に移動する。上部回転台21の回転は、練習者の捻り力と回転台モータ41の補助力とによって回転するので、捻り力が小さい練習者であっても、第1動作を正確且つ容易に行なうことができる。
【0042】
第1動作の最後にトップの姿勢をとった時点で、一旦動きを止め、その後、第2動作を行なう。練習者は、第1動作とは逆方向に腰を中心として体幹を捻り、グリップ66を右肩斜め後方から腹前を通って左肩斜め後方へと振り抜く。第2動作中の練習者の体幹の捻りにより、上部回転台21は時計回りに回転し、下部回転台23は歯車機構によって反時計回りに回転する。第1動作と同様、第2動作においても捻り力が小さな練習者であっても、正確且つ容易に行なうことができる。また、身体各部の筋力を強化できる。
【0043】
手動運転、自動運転、補助運転のいずれの場合においても、第2動作においては、回転角度検出器30からパルス信号SPが制御盤80へ送信され、制御盤80の演算部82では、パルス信号SPのカウント数に基づいてプログラムP1が練習者の体幹の捻り回転速度Vを算出し、プログラムP2が練習者の体幹の捻り角度θを算出し、体幹の捻り回転速度Vと体幹の捻り角度θがメモリ83に記憶される。
【0044】
スウィング動作中、プログラムP5が、グリップ66が上端位置PTと下端位置PB又は上端位置DTと下端位置DBとを通過するようにスライダ電動モータ69の回転を制御するので、グリップ66が上端位置PTと下端位置PB又は上端位置DTと下端位置DBを通過する。したがって、スウィング動作は、常に同じ軌跡を描くこととなり、練習者は同じ軌跡のスウィング動作を繰り返し練習できる。
【0045】
スウィング動作中及びスウィング動作終了後、体幹の捻り回転速度V、体幹の捻り角度θが表示部84のモニタ画面上に表示される。練習者はこの表示を見て、自分が行なっている又は行ったスウィング動作を客観的にチェックできる。
そして、練習者は注意点や修正点に気を配りながら再びスウィング動作をスウィング練習用装置1上で繰り返す。
【0046】
なお、本発明の手動運転において、練習者が上部回転台を回す力(練習者の捻り力)を検出して、その力に応じたトルクを回転台モータに与えるようにしてもよい。これは上記実施形態における補助運転に似たものとなる。
練習者が上部回転台を回す力(練習者の捻り力)は、下部回転台に対する上部回転台の回転トルクをトルク計等で計測することにより、検出することができる。
【0047】
以上の説明で、最初、練習者が操作スイッチ群85のスイッチ85aを操作し、スライダ電動モータ69をプログラムP5によって制御したが、スライダ電動モータ69をプログラムP5によって制御しない場合、スウィング動作を伴わない、体幹の捻り運動ができる。また、スイッチ85c、85dの操作により、スウィング動作と同様、手動運転、自動運転、補助運転を行なうことができる。
【0048】
練習者は、注意点や修正点を明確に知った上でスウィング動作を行うので、効率的にスウィング動作を練習できる。また、練習者は、身につけようとする目的のスウィング動作を常に意識しながら練習できるので、目的のスウィング動作を容易かつ短時間に体得できる。また、ゆっくりとスウィング動作を行うことによって、自分のスウィング動作を目的のスウィング動作に一致させやすくなり、目的のスウィング動作を身体に憶え込ませやすい。したがって、練習者はスウィング練習用装置1を用いて行ったスウィング動作の練習の成果を、実際にゴルフを行う場面において容易に体現できる。
【0049】
なお、本実施の形態において、練習者は、スウィング練習用装置1を用いてゴルフクラブのスウィング動作を練習しているが、代わりに、野球やラケットスポーツ等のスウィング動作を練習することができるのは勿論である。この場合、グリップ66の形状を、それぞれのスポーツで使用される用具のグリップ形状と対応したものとする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態に係るスウィング練習用装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るスウィング練習用装置の一部分を破断して示す斜視図である。
【図3】回転速度検出器の構成図である。
【図4】ディスクブレーキの側面図である。
【図5】回転台モータの構成図である。
【図6】グリップ上下端位置記憶手段の構成図である。
【図7】従来のスウィング練習装置の構成図である。
【符号の説明】
【0051】
1 スウィング練習用装置
10 基台
20 回転部
21 上部回転台
22 上部回転台の回転軸
23 下部回転台
24 下部回転台の回転軸
30 回転角度検出器
31 ベルト
40 回転補助部
41 回転台モータ
42 ベルト
50 ディスクブレーキ
51 ブレーキディスク
52 ブレーキパッド
53 キャリパ
54 ポペット
55 電動シリンダ
56 ピン
57 コイルバネ
58 圧縮バネ
60 スウィング部
61 支持台
64 グリップ上下動装置
65 側板
66 グリップ
67 案内レール
68 スライダ
69 スライダ電動モータ
80 制御盤
81 入力部
82 演算部
83 メモリ
84 表示部
85 操作スイッチ群
85a、85b、85c、85d スイッチ
86 開始スイッチ
P1、P2、P3、P4、P5 プログラム
P、SM パルス信号
AM 制御信号
V 体幹の捻り回転速度
θ 体幹の捻り角度
T 上端位置
B 下端位置
T 上端位置
B 下端位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スウィング動作の練習者を載せる上部回転台と、上部回転台に対して逆回転する下部回転台と、下部回転台に設けたグリップ上下装置と、練習者によって把持されてグリップ上下装置の軸方向に摺動するグリップと、上部回転台及び下部回転台を支持する基台と、を備えるスウィング練習用装置であって、
下部回転台に対する上部回転台の回転速度又は回転トルクを制御可能に構成した回転台モータを備えることを特徴とするスウィング練習用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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