説明

スキージの取付け装置

【課題】 着脱作業が容易であって着脱作業の際にスクリーン版を損傷しないこと、並びに着脱作業の際に金属粉がペースト上に落ちないようにしたスキージの取付け装置を提供すること。
【解決手段】 取付けホルダー4が、長手方向に延びるホルダー溝40とホルダー溝40を閉塞する基準プレート42を有する。ホルダー溝40内には弾性チューブ41を設置する。基準プレート42と弾性チューブ41との隙間にスキージの支持部材3を差し込み、弾性チューブ41内に圧力空気を送ってスキージの支持部材3を基準プレート42に押し付けてスキージを取付けホルダー4に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷に使用するスキージの取付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術におけるスキージの固定手段は、スクリーン印刷機に設けた取付けホルダー内にスキージが有する支持板を差し込み、止めネジで結合するものであつたが、以下の問題点がある。すなわち、第1の問題点は、スキージの着脱時に止めネジが脱落するとスクリーンを損傷させる原因となること、第2の問題点は、スキージの着脱作業がスクリーン版上に供給されたペースト上で行われるので、ネジ部分からごく僅かではあるが金属粉がペースト上に落ちるおそれがあり、例えば、ペーストが機能性ペーストであつて印刷したパターンが電気回路を形成するものであるときは、ペーストに混入した金属粉が電気の流れを阻害するおそれが生じることである。
【0003】
第1の問題点を解消するための手段として特許文献1に記載されたものが提案されているが、第2の問題点を解消するための手段は提案されていない。
【特許文献1】特開平10−337846号公報
【0004】
特許文献1に記載のスキージ取付け装置は、文献公報の図を参照して、スキージ1を挟持するスキーギホルダ2をスキージ1と共にメインホルダ3内に挿入し、クランプボルト7(止めねじのこと)で締め付けることによってスキージ1をメインホルダ2の所定位置に固定するものであって、スキージ1の交換時にクランプボルト7を緩め方向に後退させたとき、不用意にネジ部7aが雌ネジ部9から外れるまで引き出しても、ネジ部7aの外径より小さい内径に形成された抜け止め凹部が形成されたボルト位置規制板8によりクランプボルト7の脱落が防止され、脱落によるスクリーン版の損傷が防止できるというものである。
【0005】
特許文献1に記載の取付け装置は、スキージの着脱時に止めネジが脱落すると言う第1の問題点は解決されているが、スキージの取り付けにはクランプボルトが使用されているので、ネジ部分からごく僅かではあるが金属粉がペースト上に落ちるおそれがあり、例えば、ペーストが機能性ペーストであつて印刷したパターンが電気回路を形成するものであるときは、ペーストに混入した金属粉が電気の流れを阻害するおそれが生じると言う第2の問題点は解決されていないものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、止めねじを使用しない取付け装置であって、着脱作業が容易であって着脱作業の際にスクリーン版を損傷しないこと、さらに、着脱作業の際に金属粉がペースト上に落ちないようにしたスキージの取付け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
解決手段の第1は、スクリーン印刷機のスキージヘッド本体部の取付けホルダーが、長手方向に延びるホルダー溝を有し、該ホルダー溝内に弾性チューブを設置し、上記取付けホルダーのホルダー溝を閉塞する基準プレートと上記チューブの隙間にスキージの支持部材を差し込み、上記チューブ内に圧力空気を送って当該スキージの支持部材を基準プレートに押し付けて固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1は、圧力空気を供給した弾性チューブによってスキージの支持部材を取付けホルダーに押し付けて保持するものであるから、スキージの着脱が容易なこと、取付け装置が軽量なのでスクリーン版を損傷しないこと、さらにスキージ着脱の際に金属粉をペースト上に落とさないことの効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1はスキージの斜視図、図2は図1の縦断側面図、図3は本発明のスキージ取付け装置を示す縦断側面図、図4は図3の縦断正面図である。
【0010】
図1,図2において、スキージ1は、スクリーン版の版面上に供給されたペーストをかき取るスキージ部材2と、スクリーン印刷機のスキージヘッド本体部に固定する支持部材3とからなっており、スキージ部材2は樹脂製であり、支持部材3はステンレス鋼板又はバネ鋼板である。
【0011】
上記したスキージ部材2は、底部20と、該底部20から次第に幅広となる主体部21を有すると共に、長手方向に対し直交する方向に断面したときの両側面が、上記主体部21と連続し、かつ中心線に向って凹部となる湾曲面22を形成して両側部に庇部23を設けたものであって、断面形状は中心線に対し左右対称の形状となっている。
【0012】
又、上記した支持部材3は、ステンレス鋼板又はバネ鋼板あり、スキージ部材2に埋め込まれて一体成形されたものである。
【0013】
図3,図4は本発明のスキージ取付け装置を示している。スキージ取り付け装置は、スクリーン印刷機のスキージヘッド本体部の取付けホルダー4に長手方向に延びるホルダー溝40を形成し、該ホルダー溝40内に伸縮するゴムあるいはウレタン製の弾性チューブ41を設置し、取付けホルダー4のホルダー溝40を閉塞する基準プレート42を止めネジ43により固定したものである。
【0014】
スキージホルダー4にスキージを取り付けるには、上記ホルダー溝40と弾性チューブ41の隙間にスキージの支持部材3を差し込み、弾性チューブ41の端部を止め栓し、反対側に設けた一方向ストップ弁44を通して圧力空気を送り込む。これにより、弾性チューブ41が膨らむので、スキージの支持部材3が基準プレート42に押し付けられ当該スキージが取付けホルダー4に固定される。なお、スキージ1を取り外す時は、一方向ストップ弁44を開いて圧力空気を開放することにより簡単に取り外しができる。
【0015】
実施例において、スキージ1はスクリーン版5に対して一定の傾斜角度で設定され、図示しないペースト塊はスキージ部材2の右側に供給されている。又、スキージ1は左から右に移動するときに、主体部21と底部20のエッジ部分によってペーストをかき取りながらスクリーン版5の版面からペーストを吐出して所望するパターンを印刷する。
【0016】
この時、ペースト塊は、主体部21と、これに続く湾曲面22に沿ってローリングし、スクリーン版5の版面からスムーズに吐出するので、パターンが複雑な場合であっても鮮明な印刷がなされる。
【0017】
スキージ1は断面形状が左右対称なので、印刷作業をしたことで主体部21と底部20のエッジ部分が磨耗したときは、スキージの取付け面を反転すれば印刷作業を継続することができる。ただし、両側のエッジ部が磨耗した場合は、底部を研磨してエッジ部を復元する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のスキージを示す斜視図。
【図2】図1の縦断側面図。
【図3】本発明のスキージ取付け装置を示す縦断側面図。
【図4】図3の縦断正面図。
【符号の説明】
【0019】
1 スキージ
2 スキージ部材
20 底部
21 主体部
22 湾曲部
23 庇部
3 支持部材
4 取付けホルダー
41 チューブ
42 基準プレート
43 止めネジ
44 ストップ弁
5 スクリーン版

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキージヘッド本体部の取付けホルダー(4)が、長手方向に延びるホルダー溝(40)と該ホルダー溝を閉塞する基準プレート(41)を有し、上記ホルダー溝内に弾性チューブ(41)を設置し、上記基準プレートと上記弾性チューブとの隙間にスキージの支持部材(3)を差し込み、上記弾性チューブ内に圧力空気を送って当該スキージの支持部材を上記基準プレートに押し付けてスキージを上記取付けホルダーに固定したことを特徴とするスキージの取付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−131011(P2007−131011A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31597(P2007−31597)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【分割の表示】特願2002−139669(P2002−139669)の分割
【原出願日】平成14年5月15日(2002.5.15)
【出願人】(000111270)ニューロング精密工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】