説明

スクリ−ン縦型印刷機。

【課題】
本発明は、特許文献1(図6)に示す、インキ供給機構を設けずに、最小の部品点数で、残留インキの回収と、インキの補給と掃除が簡単なスクリ−ン縦型印刷機を提供することである。
【解決手段】
魚箱等、箱物15の印刷面が鉛直になるように支持する水平テ−ブル4と、該水平テ−ブル4に支持された箱物15の外側面に対して、接離動作をなす移動体3の前面に印刷用スクリ−ン版5を鉛直に装着し、該スクリ−ン版5にインキを摺動塗布するインキ返しドクタ−6と、塗布したインキを押圧転写するスキ−ジ7とを有し、箱物の外側にスクリ−ン印刷する印刷機に於いて、前記スキ−ジ7の両端にインキ横漏れ防止板13を設け、該スキ−ジ7の先端と、インキ横漏れ防止板13の先端は共に、スクリ−ン版5の鉛直面に対して常時当接し、インキを押圧転写する時、インキ返しドクタ−6とスキ−ジ7とが、下から上に摺動するようにしたことを特徴とするスクリ−ン縦型印刷機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,魚箱,野菜箱等、箱物に広く使用されている発泡スチロ−ル製の箱体の側面に所定のマ−ク等の表示をスクリ−ン印刷する印刷機に関しており,さらに詳しくは縦型で両面印刷が同時にできる印刷機である。
【背景技術】
【0002】
従来発泡スチロ−ル製魚箱等、箱物の側面にスクリ−ン印刷する場合には,発泡スチロ−ル製箱物の印刷面を上向きにして水平テ−ブルに支持し,印刷面の上面にスクリ−ン版を水平に装着する印刷機が一般的に広く用いられている。
【0003】
しかし、係る構成では、まず片面を印刷した後に180度反転させ再び他面を印刷するため,作業性が悪いという問題があった。
【0004】
この改善策として、特許文献1に示すように、スクリ−ン版を鉛直に装着し、箱物を挟むように両面同時に印刷が可能な方法が提案されている。この提案の要部のとこは図6に示す。しかしながらこの方法では、ヘラ部14にインキタンク26とインキ供給管27を組み合わせたインキ供給機構(図6記載)なる物を設けている為インキの補給は、インキタンク26の加圧調整や密閉蓋の開閉をその都度必要とし,終了時インキタンク26の隅々やインキ供給管27内のインキを少々残したまま、インキタンク26に溶剤を入れ圧縮空気の接続口25に圧縮空気を送り込むことにより洗浄しているのが実状である,この方法ではインキの回収ロスが発生し、溶剤と共にインキが噴霧状に飛散し,労働安全衛生法上にも好ましくない。
【特許文献1】特開平7−171945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特許文献1(図6に記載)に示すような、ヘラ部14にインキタンク26とインキ供給管27を組み合わせたインキ供給機構なる物を設けずに、最小の部品点数で印刷機能を損なわずに、残留インキを100%回収出来るようになされていて、インキの補給が容易に出来るようになされていて、掃除が簡単に出来るようになされている、スクリ−ン縦型印刷機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のスクリ−ン縦型印刷機(以下本発明を1と言う)は、スキ−ジ7の両端にインキ横漏れ防止板13を設け、該スキ−ジ7の先端と、前記インキ横漏れ防止板13の先端は共に、スクリ−ン版5の鉛直面に対して常時当接し、インキを押圧転写する時は、インキ返しドクタ−6とスキ−ジ7とが、下から上に摺動するようになされていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載のスクリ−ン縦型印刷機は(以下本発明を2と言う)は、本発明1に記載のスキ−ジ7にインキ横漏れ防止板13を設ける方法として、スキ−ジ7の両サイド面に永久磁石16をそれぞれに埋設し,インキ横漏れ防止板13を鉄製としたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載のスクリ−ン縦型印刷機(以下本発明を3と言う)は、本発明1及び2に記載のスキ−ジ7の後方に、スキージ7印圧用エア−シリンダ−20を設け、該スキージ7印圧用エア−シリンダ−20のロットに押しバネ21を設け、前記スキ−ジ7の先端と、インキ横漏れ防止板13の先端は共に、スクリ−ン版5の鉛直面に対して常時はエア−シリンダ−の力で、停電時又はエア−漏れ時には押しバネ21の力で常時当接するようになされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明1では、スキ−ジ7にインキ横漏れ防止板13を設け、該スキ−ジ7の先端と、前記インキ横漏れ防止板13の先端は共に、スクリ−ン版5の鉛直面に対して常時当接させるようになされているので、インキの供給機器や装置を別途に設ける必要がなくなり,スキ−ジの上にインキをじかに載せるだけで済むため,印刷中のインキの補給が容易になり,作業終了後スキ−ジの上の残留インキの回収は100%可能となる。
【0010】
上記本発明2では、スキ−ジ7にインキ横漏れ防止板13を設ける方法として、スキ−ジ7の両サイド面に永久磁石16をそれぞれに埋設し,インキ横漏れ防止板13を鉄製となされているので、スキ−ジ7とインキ横漏れ防止板13とがワンタッチにて脱着可能となり掃除の際は非常に便利になる。
【0011】
上記本発明3ではスキージ印圧用エア−シリンダ−20のロットに押しバネ21を設けることにより、スキ−ジ7の先端と、インキ横漏れ防止板13の先端は共に、スクリ−ン版5の鉛直面に対して、常時当接し続けるようになされているので、停電時又はエア−漏れ時に於いてもインキ漏れの心配はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図2に記載の、移動体3に、スクリーン版5装着用エアーシリンダー10で、スクリーン版5を固定し、次に図1に記載のインキ横漏れ防止板13を付設したスキージ7を、図5に記載のスキージ7装着用ホルダー18に、ワンタッチ金具24で固定する。次に図5に記載のインキ返しドクタ−6を、インキ返しドクタ−6装着用ホルダー12に、ワンタッチ金具24で固定する。次にインキ返しドクタ−6装着用ホルダー12を左手でつかみ、インキ返しドクタ−6用スライダー17に沿ってスクリ−ン版5から引き離しつつ、右手でインキ(シュウクリーム状)の入った杓を持ち、スキージ7の上にインキを面状に杓で慣らして載せる。次に左手をホルダー12から離して、インキ返しドクタ−6の先端は、該インキ返しドクタ−6の自重でスクリ−ン版5に当接し、次に魚箱等、箱物15の印刷面が鉛直になるように水平テ−ブル4に積層し、操作スイッチをONにすると相対する移
動体3が作動して積層箱物15の側面に当接し、スクリ−ン版5で積層箱物15が挟む様に固定され、次にスキージ7に印圧がかかり、下から上に向かい摺動し、インキの押圧転写を施し、上限で摺動が自動停止されると、次にスキージ7の印圧が下がり該スキージの先端はスクリ−ン版5に軽く当接したまま、インキ返しドクタ−6と共に上から下に向かい摺動し下限で停止すると、移動体3は左右に離れ、自動ワンサイクルを終了する。次に積層箱物15の入れ替えを行い、再度操作スイッチをONにする
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施の一例につき、図面を用いて説明する。図2は本発明の印刷機の側面図である。図2記載のスクリ−ン縦型印刷機1は、架台2と,移動体3と,水平テ−ブル4と,スクリ−ン版5と、インキ返しドクタ−6と、スキ−ジ7と、図3記載の上下装置8と、図2記載の移動体3駆動用エア−シリンダ−9と、スクリ−ン版5装着用エア−シリンダ−10と、基台11と、インキ返しドクタ−6装着用ホルダ−12と,インキ横漏れ防止板13と、図5記載のヘラ部14と、図2記載の箱物15と、図1記載の永久磁石16と、図5記載のインキ返しドクター6用スライダー17と、スキージ7装着用ホルダー18と、スキージ7用スライダー19と、スキージ7印圧用エア−シリンダ−20と、押しバネ21と、図2記載の巾調整ハンドル22と、昇降機構23と、図5記載のワンタッチ金具24とで構成される。
【0014】
図2記載の1はスクリ−ン縦型印刷機である。
【0015】
図2記載の架台2は,電源部,操作部、制御部,及び主動力部を有し、水平テ−ブル4に箱物15を載せ、操作スイッチを押すと制御部のプログラムにより、自動的にスクリーン印刷一工程を行なうものである。
【0016】
図2記載の移動体3は,スクリ−ン版5を付設し、該スクリ−ン版5が箱物15の印刷面に接離動作をなす為の移動体3駆動用エア−シリンダ−9を装着し,スキ−ジ7を上下摺動さす為の図3記載の上下装置8を装着するものである。
【0017】
図2記載の水平テ−ブル4は,相対する移動体3の中間位置に設け,箱物15を積層する為のものであり、箱物15の巾より狭く、又鉛直方向における印刷位置の変更の際は該水平テ−ブル4の下に昇降機構23を付設してなる。
【0018】
図2記載のスクリ−ン版5は,移動体3に付設されたスクリーン版5装着用エア−シリンダ−10で該移動体3に着脱自在に鉛直に装着されるものである。
【0019】
図5記載のインキ返しドクタ−6は、インキ返しドクタ−6装着用ホルダ−12に着脱自在に装着し,該インキ返しドクタ−6装着用ホルダ−12は,水平に対し45度前後の斜めに設けたインキ返しドクタ−6用スライダ−17に付設し,前記インキ返しドクタ−6の自重と、前記インキ返しドクタ−装着用ホルダ−12の自重とで、前記インキ返しドクタ−6の先端は、スクリ−ン版5の鉛直面に常時当接し、スキ−ジ7が下から上に向かい摺動転写完了後,スクリ−ン版5の鉛直面に薄膜状にインキを塗布しながら該インキをもとの位置へ返すものである。
【0020】
図1記載のスキ−ジ7は,該スキ−ジ7の両端にインキ横漏れ防止板13を設け、図3と図4記載のスキージ7装着用ホルダー18にワンタッチ金具24で着脱自在に装着し、
該スキ−ジ7の先端と、インキ横漏れ防止板13の先端は共に、スクリ−ン版5の鉛直面に対して常時当接し、インキを押圧転写する時、インキ返しドクタ−6とスキ−ジ7とが、下から上に摺動するようになされているものである。
【0021】
図3記載の上下装置8は,移動体3に装着され、図5記載のヘラ部14を鉛直方向に上下させる駆動機構を付設してなる。
【0022】
図2記載の移動体3駆動用エア−シリンダ−9は、基台11に装着され、移動体3を箱物15に対し接離動作さすものである。
【0023】
図2記載のスクリーン版5装着用エア−シリンダ−10は、移動体3に付設し、スクリ−ン版5を、移動体3の前面に、ワンタッチにて装着するものである。
【0024】
図2記載の基台11は,架台2の上に付設し,箱物15の巾サイズ変更時に相対する移動体3間の巾調整ハンドル22を付設してなる。
【0025】
図5記載のインキ返しドクタ−6装着用ホルダ−12は、水平に対し45度前後の斜めに設けたインキ返しドクタ−6用スライダ−17のそれぞれに水平に掛け渡され、かつ鉛直に装着されたスクリーン版5と平行になるように付設され、インキ返しドクタ−6を図3と図4記載のワンタッチ金具24で、着脱自在に装着する為のものである。
【0026】
図1記載のインキ横漏れ防止板13は、鉄製で、スキ−ジ7の両サイド面に埋設された、永久磁石16にワンタッチにて脱着可能となり、使用中は装着することにより、スキ−ジ7の上に面上に載せたインキの横漏れを防ぎ、掃除の際は解体することにより図1に記載のコーナー部が消滅し掃除が容易になるようになされているものである。
【0027】
図5記載のヘラ部14は,スキ−ジ7と,該スキ−ジ7に付設したインキ横漏れ防止板13と、インキ返しドクタ−6との3点で構成されてなる。
【0028】
図2記載の箱物15は、両側面を同時にスクリーン印刷される、印刷素材である。
【0029】
図1記載の永久磁石16は、鉄製のインキ横漏れ防止板13を、スキ−ジ7の面にワンタッチにて脱着可能とする為のものである。
【0030】
図5記載のインキ返しドクタ−6用スライダ−17は、上下基板8eに水平に対し45度前後の斜めに付設し、インキ返しドクタ−6の自重と、インキ返しドクタ−6装着用ホルダー12の自重とが、スムーズに働くようにしたものである。
【0031】
図5記載のスキージ7装着用ホルダー18は、鉛直に装着されたスクリーン版5と平行にかつスキージ7用スライダー19のそれぞれに水平に掛け渡されて付設し、スキ−ジ7をワンタッチ金具24で、着脱自在に装着する為のホルダーである。
【0032】
図5記載のスキージ7用スライダー19は 上下基板8eに付設し、スキージ装着用ホルダー18を掛け渡す為のものである。
【0033】
図5記載のスキージ7印圧用エア−シリンダ−20は、スクリ−ン版5を介してインキを印刷素材に下から上に向かい摺動押圧転写する際スキージに印圧をかけるものである。
【0034】
図5記載の押しバネ21は、スキ−ジ7の先端と、インキ横漏れ防止板13の先端を共に、スクリ−ン版5の鉛直面に対して常時はエア−シリンダ−の力で、停電時又はエア−漏れ時には押しバネ21の力で常時当接するようになされているものである。
【0035】
図2記載の巾調整ハンドル22は、箱物15の幅サイズ変更時に調節する為のものである。
【0036】
図2記載の昇降機構23は、箱物15の高さサイズ変更時、または高さ方向に於ける印刷位置の変更時に調節する為のものである
【0037】
図5記載のワンタッチ金具24は、スキ−ジ7を、スキージ7装着用ホルダー18に、及びインキ返しドクタ−6を、インキ返しドクタ−6装着用ホルダ−12に各々を容易に着脱する為のものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】スクリ−ン縦型印刷機のスキージの詳細図である。
【図2】スクリ−ン縦型印刷機の側面図である。
【図3】スクリ−ン縦型印刷機の正面図である。
【図4】スクリ−ン縦型印刷機の平面図である。
【図5】スクリ−ン縦型印刷機のヘラ部の断面図である。
【図6】特開平7−171945号公報(インキ供給機構部抜粋)
【符号の説明】
【0039】
1 スクリ−ン縦型印刷機
2 架台
3 移動体
4 水平テ−ブル
5 スクリ−ン版
6 インキ返しドクタ−
7 スキ−ジ
8 上下装置
8a 上下駆動モ−タ−
8b 上下駆動カウンタ−軸
8c 上下駆動チェンホイル
8d 上下チェン
8e 上下基板
9 移動体3駆動用エア−シリンダ−
10 スクリーン版5装着用エア−シリンダ−
11 基台
12 インキ返しドクタ−6装着用ホルダ−
13 インキ横漏れ防止板
14 ヘラ部
15 箱物
16 永久磁石
17 インキ返しドクタ−6用スライダ−
18 スキ−ジ7装着用ホルダ−
19 スキ−ジ7用スライダ−
20 スキージ7印圧用エア−シリンダ−
21 押しバネ
22 巾調整ハンドル
23 昇降機構
24 ワンタッチ金具
25 圧縮空気の接続口
26 インキタンク
27 インキ供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚箱等、箱物15の印刷面が鉛直になるように支持する水平テ−ブル4と、該水平テ−ブル4に支持された箱物15の外側面に対して、接離動作をなす移動体3の前面に印刷用スクリ−ン版5を鉛直に装着し、該スクリ−ン版5にインキを摺動塗布するインキ返しドクタ−6と、塗布したインキを押圧転写するスキ−ジ7とを有し、箱物の外側にスクリ−ン印刷する印刷機に於いて、前記スキ−ジ7の両端にインキ横漏れ防止板13を設け、該
スキ−ジ7の先端と、インキ横漏れ防止板13の先端は共に、スクリ−ン版5の鉛直面に対して常時当接し、インキを押圧転写する時、インキ返しドクタ−6とスキ−ジ7と が、下から上に摺動するようになされていることを特徴とするスクリ−ン縦型印刷機。
【請求項2】
上記スキ−ジ7にインキ横漏れ防止板13を設ける方法として、スキ−ジ7の両サイド面に永久磁石16をそれぞれに埋設し,インキ横漏れ防止板13を鉄製としたことを特徴とする請求項1に記載のスクリ−ン縦型印刷機。
【請求項3】
上記スキ−ジ7の後方に、エア−シリンダ−20を設け、該エア−シリンダ−20のロットに押しバネ21を設け、前記スキ−ジ7の先端と、インキ横漏れ防止板13の先端は共に、スクリ−ン版5の鉛直面に対して常時はエア−シリンダ−の力で、停電時又はエア−漏れ時には押しバネ21の力で常時当接するようになされていることを特徴とする請求項1または2に記載のスクリ−ン縦型印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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