説明

スクリュー駆動の搬送装置

【課題】搬送台車駆動用スクリューシャフト間の空隙部の存在に関係なく、搬送台車を円滑に連続走行駆動させるようにすること。
【解決手段】スクリューシャフト間空隙部5の一方に位置するスクリューシャフト1Bの前記空隙部5に隣接する端部の横側方には、スクリューシャフト1Bと連動回転駆動され且つ送りピッチが前記スクリューシャフト1Bの送りピッチと同一の短い補助スクリューシャフト6Bが並列状に配置され、搬送台車には、スクリューシャフト1Bに係合する従動ローラー14と補助スクリューシャフト6Bに係合する補助従動ローラー16とが、スクリューシャフト軸方向に位置をずらして設けられ、これら両ローラー14,16間のスクリューシャフト軸方向の間隔D及び補助スクリューシャフト6Bの長さは、従動ローラー14が前記空隙部5を移動する間、補助従動ローラー16が補助スクリューシャフト6Bに係合しているように設定された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路側の搬送台車駆動用スクリューシャフトに搬送台車側の従動ローラーを係合させて、当該搬送台車を駆動推進させるスクリュー駆動の搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリュー駆動の搬送装置、即ち、回転駆動されるスクリューシャフトが搬送台車の走行経路に沿って配置され、搬送台車には前記スクリューシャフトに係合する従動ローラーが設けられ、前記スクリューシャフトの回転駆動により搬送台車が推進されるように構成されたスクリュー駆動の搬送装置は、特許文献1などに記載されるように従来周知である。而して、この種の搬送装置において、搬送台車の走行経路長さが長い場合、複数本のスクリューシャフトを各スクリューシャフトの螺旋翼の位相を合わせて同心状に直列配置し、各スクリューシャフトを等速で同一方向に連動回転するように連動連結させる必要がある。しかしながら、直列する各スクリュー間には、スクリューシャフト両端の軸受けやスクリューシャフト間の伝動手段を配置しなければならず、このためスクリューシャフト間には相当長さの空隙部が必要になる。この空隙部の存在に関係なく、搬送台車側の従動ローラーを上手側のスクリューシャフトから下手側のスクリューシャフトへ円滑に乗り移らせて搬送台車の走行を中断させることなく確実に連続走行させることができるように構成しなければならない。
【特許文献1】特開平9−58463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の課題に対して従来一般的に考えられる構成としては、スクリューシャフト間空隙部の長さより長い間隔で同一スクリューシャフトに係合する前後一対の従動ローラーを搬送台車側に設け、前側の従動ローラーがスクリューシャフト間空隙部内を移動している間、後ろ側の従動ローラーを介して搬送台車を駆動推進させるものである。しかしながら、直列する全てのスクリューシャフトで構成される搬送台車駆動経路の全域において、搬送台車を等速で走行させる場合、換言すれば各スクリューシャフトの送りピッチが同一である場合は上記構成で問題ないが、スクリューシャフトの送りピッチを特定領域において変える構成、即ち、全てのスクリューシャフトを等速で回転駆動しながら特定領域での搬送台車の走行速度を変えることができる構成を採用しようとした場合は、送りピッチの異なる前後2つの領域間に跨がって前後一対の従動ローラーが係合することになり、送りピッチの異なる領域間で搬送台車を乗り移らせることができない。即ち、同一スクリューシャフトに係合する前後一対の従動ローラーを利用する構成では、スクリューシャフトの送りピッチを特定領域において変える構成を採用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得るスクリュー駆動の搬送装置を提供することを目的とするものであって、請求項1に記載のスクリュー駆動の搬送装置は、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、回転駆動されるスクリューシャフト1A,1B,1C……が搬送台車2の走行経路に沿って配置され、搬送台車2には前記スクリューシャフト1A,1B,1C……に係合する従動ローラー14が設けられ、前記スクリューシャフト1A,1B,1C……の回転駆動により搬送台車2が推進されるように構成されたスクリュー駆動の搬送装置において、前記スクリューシャフト1A,1B,1C……は、スクリューシャフト間に空隙部5を隔てて複数本が同心状に直列配置され、スクリューシャフト間空隙部5の一方に位置するスクリューシャフト1A,1B,1C……の前記空隙部5に隣接する端部の横側方には、スクリューシャフト1A,1B,1C……と連動回転駆動され且つ送りピッチが並列するスクリューシャフト1A,1B,1C……の送りピッチと同一の短い補助スクリューシャフト6A,6B……が並列状に配置され、搬送台車2には、スクリューシャフト1A,1B,1C……に係合する従動ローラー14と補助スクリューシャフト6A,6B……に係合する補助従動ローラー16とが、スクリューシャフト軸方向に位置をずらして設けられ、これら従動ローラー14と補助従動ローラー16との間のスクリューシャフト軸方向の間隔D及び補助スクリューシャフト6A,6B……の長さは、従動ローラー14がスクリューシャフト間空隙部5を移動する間、補助従動ローラー16が補助スクリューシャフト6A,6B……に係合しているように設定された構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、各スクリューシャフト1A,1B,1C……のスクリューシャフト間空隙部5に隣接する端部どうしを、補助スクリューシャフト6A,6B……のスクリューシャフト間空隙部5側の端部を中継する2つの伝動手段9,10により互いに連動連結することができる。
【0006】
又、本発明の構成では、1つの補助スクリューシャフト6A,6B……と1つのスクリューシャフト間空隙部5を含む乗り移り領域B1,B2以外の領域では、1つの従動ローラー14がスクリューシャフト1A,1B,1C……に係合しているだけであるから、請求項3に記載のように、前記乗り移り領域B1,B2内ではスクリューシャフト1A,1B,1C……の送りピッチP1又はP2が変化しないように構成し、前記乗り移り領域B1,B2以外の箇所に、スクリューシャフト1A,1B,1C……の送りピッチが異なる前後2つの領域A1〜A2……の境界を配置し、前記乗り移り領域B1,B2でのスクリューシャフト1A,1B,1C……の送りピッチP1,P2は、従動ローラー14と補助従動ローラー16との間のスクリューシャフト軸方向の間隔Dの整数分の一に設定することができる。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項1に記載の構成によれば、搬送経路側にスクリューシャフト間空隙部ごとに短い補助スクリューシャフトを追加並設すると共に、搬送台車側には本来の従動ローラーとは別に位置をずらして1つの補助従動ローラーを追加するだけの簡単な構成でありながら、従動ローラーがスクリューシャフト間空隙部を移動する間、補助従動ローラーと補助スクリューシャフトとで搬送台車を駆動推進させることができるので、スクリューシャフト間の空隙部の存在に関係なく搬送台車を連続的に走行駆動させることができる。しかも、1つの補助従動ローラーと1つのスクリューシャフト間空隙部を含む乗り移り領域以外の領域では、1つの従動ローラーがスクリューシャフトに係合しているだけであるから、前記乗り移り領域以外の箇所に、スクリューシャフトの送りピッチが異なる前後2つの領域の境界を配置するようにして、走行経路中の搬送台車の走行速度を変えることも可能である。勿論この場合、前記乗り移り領域でのスクリューシャフトの送りピッチ(搬送台車走行速度)は、従動ローラーと補助従動ローラーとが、空隙部前後のスクリューシャフトと補助スクリューシャフトとに問題なく係合できるように設定しなければならない。
【0008】
又、請求項2に記載の構成によれば、各スクリューシャフトどうしを連動させる中継中間軸に補助スクリューシャフトを活用して、全てのスクリューシャフト及び補助スクリューシャフトを比較的簡単な構成の伝動手段で連動連結させることができる。
【0009】
更に、請求項3に記載の構成によれば、1つの補助従動ローラーと1つのスクリューシャフト間空隙部を含む乗り移り領域が複数設けられる構成において、全ての乗り移り領域での送りピッチを同一にする必要がなく、従動ローラーと補助従動ローラーとの間のスクリューシャフト軸方向の間隔の整数分の一に設定するのであれば、当該乗り移り領域での送りピッチを必要に応じて変えることができる。従って、前記乗り移り領域以外の箇所に、スクリューシャフトの送りピッチが異なる前後2つの領域の境界を配置することと組み合わせて、走行経路中の搬送台車の走行速度が異なる複数の領域を、各乗り移り領域も含めて任意に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1及び図2は、搬送装置の一部分を示す図であって、スクリューシャフト1A,1B,1C……によって駆動推進される搬送台車2は、左右一対のガイドレール3a,3bの内、一方のガイドレール3a上を転動する前後一対の鍔無し車輪4aと、他方のガイドレール3b上を転動し且つ当該ガイドレール3bを左右両側から挟む鍔付きの前後一対の車輪4bとを備えている。スクリューシャフト1A,1B,1C……は、左右一対のガイドレール3a,3bの中間位置で当該ガイドレール3a,3bと平行に所要本数が空隙部5を隔てて同心直列状に配設されている。各スクリューシャフト1A,1B,1C……の同一方向側の端部でスクリューシャフト間空隙部5に隣接する端部の横側方位置には、各スクリューシャフト1A,1B,1C……より短いがスクリューシャフト間空隙部5の長さより十分に長い、それぞれ同一長さの補助スクリューシャフト6A,6B……が平行に並列配置されている。互いに並列するスクリューシャフト1A,1B,1C……と補助スクリューシャフト6A,6B……のスクリューシャフト間空隙部5に隣接する側の端部は、スクリューシャフト軸方向に関して位置が揃えられている。
【0011】
図4及び図5に示すように、各スクリューシャフト1A,1B,1C……と各補助スクリューシャフト6A,6B……は、その両端から突出する突出軸部1a,1b及び6a,6bにおいて軸受け7,8により支承され、スクリューシャフト間空隙部5内において互いに隣接する各スクリューシャフト1A,1B,1C……の突出軸部1a,1bと、各補助スクリューシャフト6A,6B……のスクリューシャフト間空隙部5内に突出する突出軸部6aとは、これら突出軸部1a,1b,6aに取り付けられた歯輪9a,9b及び歯輪10a,10bとこれら歯輪9a,9b間及び歯輪10a,10b間に掛張されたチエン9c,10cとから構成された伝動手段9,10によって互いに連動連結され、搬送台車2の走行経路の一端に位置するスクリューシャフト1Aは、図1〜図3に示すように、前記伝動手段9,10と同様に歯輪11a,11bとチエン11cとを利用する伝動手段11を介して減速機付きモーター12に連動連結されている。而して、この減速機付きモーター12でスクリューシャフト1Aを回転駆動することにより、全てのスクリューシャフト1A,1B,1C……及び補助スクリューシャフト6A,6B……を、等速で同一方向に連動回転させることができる。尚、各スクリューシャフト間空隙部5は、各スクリューシャフト1A,1B,1C……や補助スクリューシャフト6A,6B……の一端を支承する軸受け7,8や、前記伝動手段9,10の設置空間として利用されている。
【0012】
スクリューシャフト1A,1B,1C……や補助スクリューシャフト6A,6B……の駆動方式は特に限定されない。例えば、搬送台車2の走行経路の中間適当位置にあるスクリューシャフト1B,1C……又は各スクリューシャフト1A,1B,1C……と連動している補助スクリューシャフト6A,6B……の内の1つを減速機付きモーターで駆動するように構成することもできる。又、伝動手段9〜11としてチエン利用のものを示したが、歯車利用の伝動手段なども利用できる。
【0013】
搬送台車2には、各スクリューシャフト1A,1B,1C……の螺旋翼13a,13b間に嵌合する従動ローラー14と、各補助スクリューシャフト6A,6B……の螺旋翼15a,15b間に嵌合する補助従動ローラー16とが設けられている。これら従動ローラー14と補助従動ローラー16とは、図5に示すように、従動ローラー14が、スクリューシャフト1A,1B,1C……の両端部の内、補助スクリューシャフト6A,6B……と並列する側の端部の螺旋翼13a,13b間に嵌合しているとき、補助従動ローラー16が、補助スクリューシャフト6A,6B……の両端部の内、従動ローラー14から遠い側の端部(スクリューシャフト間空隙部5に隣接しない側の端部)の螺旋翼15a,15b間に嵌合しているように、補助スクリューシャフト6A,6B……の長さより短いがスクリューシャフト間空隙部5の長さより長い間隔Dだけ、スクリューシャフト軸方向に離れて配置されている。
【0014】
スクリューシャフト1A,1B,1C……は、従動ローラー14をスクリューシャフト軸方向の両側から挟むダブルブレード形式の螺旋翼13a,13bを備え、補助スクリューシャフト6A,6B……は、補助従動ローラー16をスクリューシャフト軸方向の両側から挟むダブルブレード形式の螺旋翼15a,15bを備えたものであるが、その送りピッチは同一ではない。この図示の実施形態では、図1及び図2に示すように、スクリューシャフト1Aの遊端から中間位置までの低速駆動領域A1、この低速駆動領域A1と次のスクリューシャフト1Bの中間位置までの高速駆動領域A2、この高速駆動領域A2以降の低速駆動領域A3を備えており、高速駆動領域A2と次の低速駆動領域A3は、それぞれ1つの乗り移り領域B1,B2を含んでいる。これら乗り移り領域B1,B2は、補助スクリューシャフト6A,6B……より少し手前の位置にある補助従動ローラー16から、この補助従動ローラー16と対を成す従動ローラー14がスクリューシャフト間空隙部5を超えて下手側のスクリューシャフト1B,1C……上に進入したときの当該従動ローラー14までの領域であって、それぞれ補助スクリューシャフト6A,1B……の1つと当該補助スクリューシャフト6A,1B……が隣接する1つのスクリューシャフト間空隙部5、及び当該空隙部5の前後に隣接するスクリューシャフト1A,1B,1C……の端部領域を含んでいる。
【0015】
スクリューシャフト1A,1B,1C……と補助スクリューシャフト6A,6B……の低速駆動領域A1,A3に含まれる部分の螺旋翼13a,13b又は15a,15bの送りピッチP1は、高速駆動領域A2に含まれる部分の螺旋翼13a,13b又は15a,15bの送りピッチP2より小さく、これら送りピッチP1,P2は、何れも従動ローラー14と補助従動ローラー16との間のスクリューシャフト軸方向の間隔Dの整数分の一であり、図示例では、送りピッチP1は前記間隔Dの1/4であり、送りピッチP2は前記間隔Dの1/2である。又、
【0016】
上記構成によれば、減速機付きモーター12を稼働させて全てのスクリューシャフト1A,1B,1C……及び補助スクリューシャフト6A,6B……を等速で同一方向、例えば図1及び図2に矢印で示す前進方向に搬送台車2を推進させる方向に回転駆動させると、スクリューシャフト1A側の走行経路の始端位置にあって従動ローラー14が低速駆動領域A1内のスクリューシャフト1Aの螺旋翼13a,13b間に嵌合して待機していた搬送台車2は、低速駆動領域A1内のスクリューシャフト1Aの送りピッチP1に相当する低速で前進走行を開始する。搬送台車2の走行により、従動ローラー14がスクリューシャフト1Aの低速駆動領域A1の螺旋翼13a,13b間から次の高速駆動領域A2の螺旋翼13a,13b間に移入すると、搬送台車2の走行速度は、高速駆動領域A2でのスクリューシャフト1Aの送りピッチP2に相当する高速に切り換えられる。このとき補助従動ローラー16はフリーの状態であるから、搬送台車2の速度切換えは支障なく行われる。そして、高速駆動領域A2内を高速走行する搬送台車2は、この高速駆動領域A2内に含まれている乗り移り領域B1に進入し、送りピッチP2に相当する高速のまま当該乗り移り領域B1内を走行することになるが、前側の従動ローラー14がスクリューシャフト1Aの終端に達する少し前に、後ろ側の補助従動ローラー16が乗り移り領域B1内の補助スクリューシャフト6Aの螺旋翼15a,15b間に進入する。
【0017】
上記作用により、搬送台車2の走行に伴ってスクリューシャフト1Aから従動ローラー14が外れても、当該搬送台車2は、補助従動ローラー16が補助スクリューシャフト6Aから推力を受けることにより、中断することなく高速走行を継続する。このとき従動ローラー14はスクリューシャフト1A,1B間の空隙部5内を移動する。そして搬送台車2の走行に伴って補助従動ローラー16が補助スクリューシャフト6Aから外れるときには、空隙部5内を移動していた前側の従動ローラー14が既に下手側のスクリューシャフト1Bの螺旋翼13a,13b間に進入しているので、搬送台車2は引き続き従動ローラー14を介してスクリューシャフト1Bから推力を受け、高速走行を継続することになる。
【0018】
搬送台車2の従動ローラー14がスクリューシャフト1Bの高速駆動領域A2内の螺旋翼13a,13b間から次の低速駆動領域A3内の螺旋翼13a,13b間に移入すると、搬送台車2の走行速度は、高速駆動領域A2でのスクリューシャフト1Bの送りピッチP2に相当する高速から、低速駆動領域A3でのスクリューシャフト1Bの送りピッチP1に相当する低速に切り換えられる。このとき補助従動ローラー16はフリーの状態であるから、搬送台車2の速度切換えは支障なく行われる。この後、搬送台車2の従動ローラー14は、低速駆動領域A3内に含まれている乗り移り領域B2に進入し、送りピッチP1に相当する低速のまま当該乗り移り領域B2内を走行することになるが、前側の従動ローラー14がスクリューシャフト1Bの終端に達する少し前に、後ろ側の補助従動ローラー16が乗り移り領域B2内の補助スクリューシャフト6Bの螺旋翼15a,15b間に進入する。
【0019】
上記作用により、搬送台車2の走行に伴ってスクリューシャフト1Bから従動ローラー14が外れても、当該搬送台車2は、補助従動ローラー16が補助スクリューシャフト6Bから推力を受けることにより、中断することなく低速走行を継続する。このとき従動ローラー14はスクリューシャフト1B,1C間の空隙部5内を移動する。そして搬送台車2の走行に伴って補助従動ローラー16が補助スクリューシャフト6Bから外れるときには、空隙部5内を移動していた前側の従動ローラー14が既に下手側のスクリューシャフト1Cの螺旋翼13a,13b間に進入しているので、搬送台車2は引き続き従動ローラー14を介してスクリューシャフト1Cから推力を受け、低速走行を継続することになる。
【0020】
以上のようにして、搬送台車2は、低速駆動領域A1、高速駆動領域A2、低速駆動領域A3を順次経由して、各領域での送りピッチがP1,P2に相当する低速又は高速に自動切換えされながら連続走行することができるが、各乗り移り領域B1,B2……において、前側の従動ローラー14を介してスクリューシャフト1A,1B,1C……により推進されている搬送台車2の後ろ側の補助従動ローラー16が補助スクリューシャフト6A,6B……の螺旋翼15a,15b間に支障なく進入できるように、スクリューシャフト1A,1B,1C……とこれに並列する各補助スクリューシャフト6A,6B……とは、螺旋翼13a,13bと螺旋翼15a,15bの送りピッチが同一であるだけでなく位相が正確に揃えられている。又、上手側の各スクリューシャフト1A,1B,1C……から外れた従動ローラー14が下手側の各スクリューシャフト1B,1C……の螺旋翼13a,13b間に支障なく進入できるように、同一の乗り移り領域B1,B2……において互いに同心状に対向する前後2本のスクリューシャフト1A,1B,1C……の端部における螺旋翼13a,13bは、その送りピッチが同一であるだけでなく位相が正確に揃えられている。
【0021】
尚、搬送台車2の走行経路が、それぞれスクリューシャフト1A,1B,1C……と補助スクリューシャフト6A,6B……を備えた往行経路と復行経路、及び両経路の終端始端間で搬送台車2を横送りすると共に前後向きを反転させるターンテーブル付きのトラバーサによって、矩形状の無端循環経路に構成されるときは、各スクリューシャフト1A,1B,1C……及び補助スクリューシャフト6A,6B……を一定方向に回転駆動して、搬送台車2の走行方向を一定にすることができるが、1つの直線経路上で搬送台車2を往復走行させるときは、スクリューシャフト1A,1B,1C……及び補助スクリューシャフト6A,6B……を正逆回転させれば良い。図1及び図2の実施形態において、スクリューシャフト1A,1B,1C……及び補助スクリューシャフト6A,6B……を逆回転させて、搬送台車2を後進走行させる場合、従動ローラー14より先行して移動する補助従動ローラー16は、後ろ側になる従動ローラー14がスクリューシャフト1C,1Bから外れる前に下手側のスクリューシャフト1B,1Aに並設されている補助スクリューシャフト6B,6Aの螺旋翼15a,15b間に進入して推力を受け、この補助従動ローラー16が補助スクリューシャフト6B,6Aから外れる前に後ろ側の従動ローラー14が下手側のスクリューシャフト1B,1Aの螺旋翼13a,13b間に進入して推力を受けることになるので、上記の前進走行時と同様に、搬送台車2をして、各スクリューシャフト間空隙部5に影響されずに、各領域ごとに設定されている所定の速度で連続走行させることができる。
【0022】
更に、本発明のスクリュー駆動の搬送装置におけるスクリューシャフトは、床面上に敷設されたガイドレール上を走行する台車式コンベヤの搬送台車を駆動推進させる手段として活用できることは勿論のこと、床面上方適当高さに架設されたガイドレールに支持されて走行するオーバーヘッドコンベヤの搬送台車を駆動推進させる手段としても活用できる。又、これら搬送台車に対するスクリューシャフトの位置は、搬送台車の下側に限定されるものではなく、搬送台車の横側方や上側など、搬送台車の支持構造や荷の積載構造などに応じて任意に設定できる。従って、スクリューシャフトと当該スクリューシャフトに併設される補助スクリューシャフトとの並列方向は、左右水平横方向に限定されるものではなく、上下垂直方向に並列させることもできる。又、従動ローラーや補助従動ローラーも、その軸心が上下垂直向きではなく左右水平向きとなるように軸支することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】搬送装置の構成を説明する要部の概略平面図である。
【図2】同要部の概略側面図である。
【図3】搬送台車走行経路の始端部を示す背面図である。
【図4】搬送台車走行経路途中の縦断正面図である。
【図5】スクリューシャフトと補助スクリューシャフトとの連動構造を示す要部の拡大平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1A,1B,1C スクリューシャフト
2 搬送台車
3a,3b ガイドレール
4a,4b 車輪
5 スクリューシャフト間空隙部
6A,6B 補助スクリューシャフト
7,8 軸受け
9〜11 伝動手段
12 減速機付きモーター
13a,13b スクリューシャフトの螺旋翼
14 従動ローラー
15a,15b 補助スクリューシャフトの螺旋翼
16 補助従動ローラー
A1,A3 低速駆動領域
A2 高速駆動領域
B1,B2 乗り移り領域
P1,P2 スクリューシャフト(螺旋翼)の送りピッチ
D 従動ローラーと補助従動ローラーとの間のスクリューシャフト軸方向の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動されるスクリューシャフトが搬送台車の走行経路に沿って配置され、搬送台車には前記スクリューシャフトに係合する従動ローラーが設けられ、前記スクリューシャフトの回転駆動により搬送台車が推進されるように構成されたスクリュー駆動の搬送装置において、前記スクリューシャフトは、スクリューシャフト間に空隙部を隔てて複数本が同心状に直列配置され、スクリューシャフト間空隙部の一方に位置するスクリューシャフトの前記空隙部に隣接する端部の横側方には、スクリューシャフトと連動回転駆動され且つ送りピッチが並列するスクリューシャフトの送りピッチと同一の短い補助スクリューシャフトが並列状に配置され、搬送台車には、スクリューシャフトに係合する従動ローラーと補助スクリューシャフトに係合する補助従動ローラーとが、スクリューシャフト軸方向に位置をずらして設けられ、これら従動ローラーと補助従動ローラーとの間のスクリューシャフト軸方向の間隔及び補助スクリューシャフトの長さは、従動ローラーがスクリューシャフト間空隙部を移動する間、補助従動ローラーが補助スクリューシャフトに係合しているように設定されている、スクリュー駆動の搬送装置。
【請求項2】
各スクリューシャフトのスクリューシャフト間空隙部に隣接する端部どうしが、補助スクリューシャフトのスクリューシャフト間空隙部側の端部を中継する2つの伝動手段でと互いに連動連結されている、請求項1に記載のスクリュー駆動の搬送装置。
【請求項3】
1つの補助スクリューシャフトと1つのスクリューシャフト間空隙部を含む乗り移り領域内ではスクリューシャフトの送りピッチが変化しないように構成し、前記乗り移り領域以外の箇所に、スクリューシャフトの送りピッチが異なる前後2つの領域の境界を配置し、前記乗り移り領域でのスクリューシャフトの送りピッチは、従動ローラーと補助従動ローラーとの間のスクリューシャフト軸方向の間隔の整数分の一に設定されている、請求項1又は2に記載のスクリュー駆動の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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