説明

スクリーン及びプロジェクタ

【課題】低コスト、かつ、振動や像ボケを抑えて、射出される光のシンチレーションを防止し、高画質化を図ることが可能なスクリーン及びプロジェクタを提供すること。
【解決手段】画像光が投射されるスクリーン50であって、入射する光の焦点位置を変化可能な複数の可変焦点レンズ53aを有する光変調部材53と、該光変調部材53により変調された光を散乱させる散乱部材54と、光変調部材53の可変焦点レンズ53aの焦点位置を時間的に変化させる制御部とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタが急速に普及してきている。主に、ビジネスプレゼンテーション用途で用いられてきたフロント投射型プロジェクタの他、最近ではリア型プロジェクタが、大型テレビ(PTV;プロジェクションテレビ)の一形態として認知度を高めてきている。プロジェクション方式の最大の利点は、液晶テレビ、PDP等の直視型ディスプレイに比べて低価格で同画面サイズの商品を供給できることである。しかし、直視型においても低価格化が進展しており、プロジェクタ表示装置にもより高い画質性能が求められつつある。
【0003】
プロジェクタは、アークランプ等の光源から射出された光を液晶ライトバルブの光変調素子に照射し、光変調素子により変調された投射光をスクリーンに投射することで画像をスクリーンに表示するものである。このとき、スクリーンには、画像が表示されるだけでなく、スクリーン全面がぎらついて見える。これは、光線の干渉に伴う輝度ムラによるもので、スペックルノイズ、所謂シンチレーションと呼ばれる。
【0004】
ここで、シンチレーションの発生原理について述べる。
図15に示すように、光源101から照射された光が液晶ライトバルブ102を透過して投射レンズ103によりスクリーン104へと投射される。スクリーン104に投射された投射光は、スクリーン104の散乱構造により回折し、それらが二次波源のように振舞うことによって拡散される。二次波源による2つの球面波が、互いの位相関係に応じて光の強めあいや弱めあいを起こすことによって、スクリーン104と鑑賞者との間に明暗の縞模様(干渉縞)となって現れる。この干渉縞が発生する像面105に鑑賞者の焦点が合わせられると、鑑賞者は干渉縞をスクリーンをぎらつかせるシンチレーションとして認識する。
【0005】
シンチレーションは、スクリーン面に結像された画像を見ようとする鑑賞者によって、スクリーン面と鑑賞者との間にあたかもベール、レース布、くもの巣を張ったかのような不快感を与える。また、鑑賞者はスクリーン上の画像とシンチレーションとの2重の像を見ることになり、それぞれに視点を合わせようとするため大きな疲労を招く。したがって、このシンチレーションは、ストレスを鑑賞者に与えてしまう。
【0006】
最近では、従来の高圧水銀ランプに替わる新しい光源の開発が進められており、特にレーザ光源は、エネルギー効率、色再現性、長寿命、瞬時点灯等の点で次世代プロジェクタ用光源として期待が高まっている。しかしながら、レーザ光源によるスクリーン上の投射光は、隣接する領域の光線の位相が揃っていることから干渉性が非常に高いものとなる。レーザ光源のコヒーレンス長は数十メートルにも及ぶこともあるため、同一の光源を分割して再合成すると、コヒーレンス長より短い光路差を経て合成された光が強い干渉を引き起こすことになり、高圧水銀ランプよりもはっきりとしたシンチレーション(干渉縞)が出現してしまう。
よって、特にレーザ光源を用いたプロジェクタの製品化においてシンチレーションの低減は必須技術となっている。
【0007】
このようなシンチレーションの低減対策として、ライトバルブの後段に配置された投射系、特にスクリーンにおいて、スクリーン散乱性を最適化して、干渉斑を目立たなくさせる技術(例えば、特許文献1参照。)と、スクリーンを動かして、干渉斑を高速で変化させ見えなくする技術(例えば、特許文献2参照。)とが開示されている。
この特許文献1は、スクリーンの拡散性を最適化したもので、拡散層、透明層(レンチキュラーレンズ)、拡散層の3層構造からなるスクリーンが記載されている。このように、散乱層が複雑化することによって干渉斑のランダム性は大きくなる。そのため、斑のうち細かい成分(空間周波数が小さい干渉縞)が多くなると、何らかの視線移動が起きたときに人間の眼の残像特性により光が積分平均化されるという効果が生じ得る。特に、動画鑑賞の場合は頻繁に視線移動が行われるため、シンチレーションの低減が期待できる。
【0008】
さらに、特許文献2に記載のレーザディスプレイ装置は、赤色,緑色,青色の半導体レーザと、各半導体レーザから射出されたレーザ光を平行光にする複数のコリメータレンズと、コリメータレンズにより平行化された光の強度分布を均一化する複数のマイクロレンズと、各マイクロレンズから射出された光を変調する空間光変調器とを備えている。このレーザディスプレイ装置は、マイクロレンズが光軸を回転軸として回転可能となっている。そして、このマイクロレンズを回転させることによって空間光変調器を照射するレーザ光のスペックルノイズを低減もしくは消滅するようになっている。
【特許文献1】特開平11−038512号公報
【特許文献2】特開2001−100316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の透過型スクリーンのように、散乱度が高いスクリーンは、スクリーンゲインの低下や像ボケを招いていた。また、本質的に干渉縞が消えるわけではなく、干渉縞の空間周波数スペクトルが広がることによって細かい干渉縞の成分が多くなっている。このようにして、静的な視力や、動的な視力(視線移動時の視力)の限界の中で視認できなくなるようにしているので、シンチレーションが減少したように見えるに過ぎない。
【0010】
また、特許文献2に記載のレーザディスプレイ装置では、スペックルを低減させるために、マイクロレンズを回転させている。これにより、回転駆動系等の機構部品が必要になり、コストが高くなり、さらには、余分なエネルギーを要したり、振動や音、像ボケが発生してしまうという問題が生じる。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、低コスト、かつ、振動や像ボケを抑えて、射出される光のシンチレーションを防止し、高画質化を図ることが可能なスクリーン及びプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のスクリーンは、画像光が投射されるスクリーンであって、入射する光の焦点位置を変化可能な複数の可変焦点レンズを有する光変調部材と、該光変調部材により変調された光を散乱させる散乱部材と、前記光変調部材の可変焦点レンズの焦点位置を時間的に変化させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るスクリーンでは、可変焦点レンズの焦点位置が変化可能(焦点距離の変化を含む)であるため、入射した光は光変調部材の複数の可変焦点レンズにより、微小領域ごとに区切られ集光される。このとき、制御部により可変焦点レンズの焦点位置が時間的に変化されるため、光変調部材から射出された光の微小領域ごとの方向及び位相が変化する。そして、光変調部材から射出された光は、散乱部材により散乱されて射出される。
したがって、散乱部材として、例えば媒質中に分散されている光散乱材の位置が固定されていても、光変調部材から射出される光の方向及び位相が変化しているため、光変調部材から射出され散乱部材に入射する光の位相関係が変化する。これにより、散乱部材から射出される光も複数の微小領域における2次波源間の位相関係が変化する。したがって、スクリーンから射出される光の散乱状態が時間的に様々に変化し、視認されていた干渉縞が動き、干渉縞のパターンがより複雑に変化することになる。その結果、被投射面から射出された光が人間の眼の残像特性によって積分平均化され、干渉縞が視認されなくなる。つまり、人間の眼には、残像により画像がある一定時間保持された状態となるので画像が均一に表示されて見えるという特性がある。これにより、被投射面と鑑賞者との間に生じていた干渉縞が解消されてシンチレーションが低減する。よって、シンチレーションによる不快感(表示ムラやぎらつき感)もなくなり鑑賞者の疲労も軽減される。また、本発明は、光変調部材の可変焦点レンズにより入射した光を集光させるため、光の散乱に伴う画像ボケが生じることもないため、画像が良好に視認される。以上のことから、高輝度、高解像度、高品位な画像を得ることができるようになる。
【0014】
また、本発明のスクリーンは、前記可変焦点レンズが、容器に充填された油滴と、該油滴を覆うとともに前記油滴と屈折率の異なる電解液と、該電解液に電圧を印加する電極とを備え、前記制御部が、前記電極に印加される電圧を制御することにより、前記油滴の曲率を変化させることが好ましい。
【0015】
本発明に係るスクリーンでは、制御部により電解液と油滴との界面形状を変化させる。これにより、油滴の曲率が時間とともに変化するため、これに伴い焦点位置も変化する。したがって、油滴及び電解液の応答速度が速いため、複数の可変焦点レンズの焦点位置を高速で調節することが可能となる。
【0016】
また、本発明のスクリーンは、前記可変焦点レンズが、容器内に設けられた電極と、前記容器内に充填され前記電極から電圧が印加されることにより気化可能な液体とを備え、前記制御部が、前記電極に印加される電圧を制御することにより、前記液体の曲率を変化させることが好ましい。
【0017】
本発明に係るスクリーンでは、制御部が液体を気化させることにより、気体と液体との界面形状が変化する。これにより、液体の曲率が時間とともに変化するため、焦点位置が変化する。すなわち、簡易な構成で複数のレンズを形成することが可能となる。
【0018】
また、本発明のスクリーンは、前記可変焦点レンズが、円形状の中心電極及び半径の異なる複数の同心円状の輪帯電極が形成された第1基板と、一面に共通電極が形成された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板との間に設けられた液晶とを備え、前記制御部が、前記中心電極,前記輪帯電極及び前記共通電極に印加される電圧を制御することにより、前記液晶の配向状態を制御することが好ましい。
【0019】
本発明に係るスクリーンでは、制御部が中心電極,輪帯電極と共通電極との間の液晶の配向状態を制御することにより、中心電極,輪帯電極と共通電極との間の光学的距離が変化する。これにより、時間とともに焦点位置が変化する。したがって、通常の液晶パネルの製造方法と同様の工程で作製することができるため、スクリーンの製造コストを抑えることが可能となる。
【0020】
また、本発明のスクリーンは、各前記可変焦点レンズが光軸に対して偏心可能であることが好ましい。
本発明に係るスクリーンでは、可変焦点レンズが光軸に対して偏心可能であるため、焦点位置の変化が起こり易い。これにより、散乱部材から射出される光も複数の微小領域における2次波源間の位相関係が不規則に変化する。したがって、スクリーンから射出される光の散乱状態が時間的に様々に不規則に変化し、視認されていた干渉縞が動き、干渉縞のパターンがより複雑に変化することになる。これにより、被投射面と鑑賞者との間に生じていた干渉縞が解消されてシンチレーションがより低減する。
【0021】
また、本発明のプロジェクタは、光を射出する光源装置と、該光源装置から射出された光を変調する光変調手段と、該光変調手段によって変調された光が投射される上記のスクリーンと、前記光変調手段によって変調された光を前記スクリーン上に投射する投射手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明に係るプロジェクタでは、光源装置から射出された光は、光変調手段により変調される。そして、変調された画像は投射手段によりスクリーンに投射される。このとき、本発明のプロジェクタは、上記本発明のスクリーンを備えているため、画像ボケが生じることなく、シンチレーションが確実に除去され、視聴者が快適に画像を鑑賞することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係るスクリーン及びプロジェクタの実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0024】
[第1実施形態]
図1(a)は本実施形態に係るプロジェクタとして背面投射型のリアプロジェクタ1の概略構成を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すリアプロジェクタ1の側面断面図である。本実施形態に係るリアプロジェクタ1は、光源装置から射出された光を光変調手段により変調し、この変調した光をスクリーン50に拡大投射するものである。
【0025】
図1(a)に示すように、リアプロジェクタ1は、筐体2と、筐体2の前面に取り付けられ、画像が投影されるスクリーン50とを備えている。スクリーン50の下方の筐体2にはフロントパネル3が設けられ、フロントパネル3の左右側にはスピーカからの音声を出力する開口部4が設けられている。
【0026】
次に、リアプロジェクタ1の筐体2の内部構造について説明する。
図1(b)に示すように、リアプロジェクタ1の筐体2内部の下方には投射光学系20が配設されている。投射光学系20とスクリーン50との間には反射ミラー5,6が設けられており、投射光学系20から出射された光が反射ミラー5,6によって反射され、スクリーン50に拡大投影されるようになっている。
【0027】
次に、リアプロジェクタ1の投射光学系20の概略構成について図2を参照して説明する。なお、図2中においては、簡略化のためリアプロジェクタ1を構成する筐体2は省略している。
【0028】
[投射光学系の全体構成]
投射光学系20は、図2に示すように、照明装置10と、色分離部(色分離手段)30と、液晶ライトバルブ40と、ダイクロイックプリズム(色合成手段)45とを備えている。
【0029】
[照明装置]
照明装置10は、光を射出する高圧水銀ランプ(光源装置)11と、高圧水銀ランプ11から射出された光の照度分布を均一化する第1,第2インテグレータレンズ12,13と、均一化された不定偏光状態の光を特定の偏光方向の光に変換する偏光変換素子14とを備えている。また、高圧水銀ランプ11は、赤色光(以下、「R光」という。)と緑色光(以下、「G光」という。)と青色光(以下、「B光」という。)とを含む白色光を射出するものである。
【0030】
[色分離部]
色分離部30は、図2に示すように、高圧水銀ランプ11から射出された光のうち、R光を反射させ、G光及びB光を透過させるR光反射ダイクロイックミラー31と、G光を反射させ、B光を透過させるG光反射ダイクロイックミラー32とを備えている。
高圧水銀ランプ11から射出された光のうちR光は、R光反射ダイクロイックミラー31において光路が90度折り曲げられ、反射ミラー35に入射する。そして、R光は、反射ミラー35により光路が90度折り曲げられ、R光用液晶ライトバルブ(光変調手段)40Rに入射される。
【0031】
高圧水銀ランプ11から射出された光のうちG光は、R光反射ダイクロイックミラー31を透過し、G光反射ダイクロイックミラー32においてG光の光路が90度曲げられる。そして、G光はG光用液晶ライトバルブ(光変調手段)40Gに入射される。
高圧水銀ランプ11から射出された光のうちB光は、R光反射ダイクロイックミラー31及びG光反射ダイクロイックミラー32を透過し、リレーレンズ36を経由して反射ミラー37に入射する。反射ミラー37に入射したB光は、光路が90度曲げられ、リレーレンズ38を経由して反射ミラー39に入射する。反射ミラー39に入射した光は、光路が90度曲げられ、B光用液晶ライトバルブ(光変調手段)40Bに入射される。
【0032】
[ダイクロイックプリズム]
各液晶ライトバルブ40R,40G,40Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム45に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投射レンズ(投射手段)46によりスクリーン50上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0033】
[スクリーン]
本実施形態のスクリーン50は、図3に示すように、フレネルレンズ板51と、レンチキュラレンズアレイ板52と、光変調板(光変調部材)53と、散乱板(散乱部材)54と、保護板55とがこの順に積層されて構成されている。これらの部材は、フレネルレンズ板51側が筐体2の内部側に、保護板55が筐体2の外部側(視聴者側)に位置するように、投射光の光路上に積層されている。
また、光変調板53及び散乱板54により、スクリーン50に入射した光を散乱させる散乱層60を構成している。
【0034】
散乱層60は、図4に示すように、光変調板53のレンズ面を有する側に散乱板54が配置された構成になっている。なお、図4は、光変調板53を模式的に示した図である。
まず、光変調板53の詳細について説明する。
光変調板53には、図3に示すように、入射する光の焦点距離(焦点位置)を変化させる複数の微小レンズ(可変焦点レンズ:液体レンズ)53aがマトリクス状に設けられている。この微小レンズ53aは、図5(a),図5(b)の拡大図に示すように、時間とともに曲率が変化するようになっている。すなわち、時刻t1での微小レンズ53aの曲率はR1となり、光変調板53に入射した光は、光変調板53を通過することにより光L1として射出される。また、時刻t2での微小レンズ53aの曲率はR2となり、光変調板53に入射した光は、光変調板53を通過することにより光L2として射出される。ここで、時刻t1及び時刻t2での微小レンズ53aの曲率R1,R2は異なる、すなわち、焦点距離が異なるため、光L1と光L2との光路は異なるものになる。この結果、光変調板53は、微小レンズ53aの大きさに応じた微小領域ごとに、入射した光の方向及び位相を変化させる。
なお、本実施形態の微小レンズ53aの大きさは画素サイズと同等以下の大きさである。
【0035】
次に、光変調板53の微小レンズ53aの詳細について図6(a),図6(b)を参照して説明する。なお、図6(a),図6(b)は、図3に示す光変調板53に設けられた複数の微小レンズのうち1つの微小レンズを取り上げた図である。
光変調板53は、図6(a)に示すように、凹部61aが形成された封止部材(容器)61と、凹部61aの内側面61b,61cに形成された第1電極62及び第2電極63と、第1電極62及び第2電極63に接触して設けられた油滴64と、第1電極62及び第2電極63に接触し油滴64を覆う水性の電解液65とを備えている。
この封止部材61の凹部61aの底面61dに対向する面61eには透明電極66が設けられている。また、第1電極62,第2電極63及び透明電極66は、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)膜により形成されている。
また、第1電極62,第2電極63及び透明電極66には電源Eが接続されており、第1電極62及び第2電極63と透明電極66との間に電圧が印加されるようになっている。また、電源Eには、第1電極62,第2電極63及び透明電極66に印加する電圧を時間的に変化させる制御部50aが設けられている。なお、電源Eにより印加される電圧の波形は、正弦波の波形となっている。
【0036】
まず、図6(a)に示すように、時刻taにおいて、電源Eにより、光変調板53の第1電極62及び第2電極63と透明電極66との間に電圧が印加されていない状態では、油滴64と電解液65との界面はほぼ平坦となっている。このとき、光変調板53の入射端面53bより入射した光は、油滴64内を直進する。そして、図6(b)に示すように、時刻tbにおいて、電源Eにより、光変調板53の第1電極62及び第2電極63と透明電極66との間に電圧値Saの電圧が印加されると、電解液65は第1,第2電極62,63に引き込まれ、油滴64の曲率はRaとなる。このとき、光変調板53の入射端面53bに入射した光は、レンズ性能を有する油滴64により光軸Oを中心に集光して射出端面53cより射出される。
さらに、図6(c)に示すように、時刻tcにおいて、電源Eにより、光変調板53の第1電極62及び第2電極63と透明電極66との間に電圧値Saより大きいSbの電圧が印加されると、油滴64の曲率はRaより大きいRbとなる。このとき、光変調板53の入射端面53bに入射した光は、レンズ性能を有する油滴64により光軸Oを中心に集光し、時刻tbにおける光の射出方向及び位相と異なって射出端面53cより射出される。このように、第1電極62及び第2電極63と透明電極66との間に印加する電圧を上げて行くと、油滴64の曲率が大きくなる。
また、本実施形態では、電源Eにより印加される電圧の波形は、正弦波の波形としているため、時刻taから時刻tb、時刻tbから時刻tcの間の油滴64の曲率は滑らかに(連続的に)変化している。
【0037】
散乱板54は、図3に示すように、平面視が円形もしくはフィルム材からなり、透明部材中にこの透明部材とは屈折率が異なるビーズ(光散乱材)54aがランダムな分布で分散されたものである。この散乱板54は透過型の拡散板であり、光を一面から他面に透過させつつ拡散させる機能(前方散乱性)を有している。散乱板54は、ガラス板のような板状部材、樹脂等のフィルム状部材のいずれであっても良い。あるいは、散乱板54として、光を拡散させる機能を有するものであれば、光散乱材が分散されたものに限らず、表面に凹凸を有する擦りガラス板、拡散面が形成されたフィルム等を用いても良い。
【0038】
また、図3に示すように、レンチキュラレンズアレイ板52の視聴者側には、ブラックマスク56が格子状に設けられている。ブラックマスク56によってスクリーン50の高コントラスト化を図ることができる。また、筐体2の前面に設けられた窓(開口部)2aに保護板55が嵌め込まれている。保護板55によって散乱板54に外部の埃や塵が付着したり、キズが付くのを防止することができる。
【0039】
このようなスクリーン50に、反射ミラー6によって反射された光が入射すると、図3に示すように、フレネルレンズ板51により集光され、レンチキュラレンズアレイ板52によって平行化されて散乱層60に入射する。散乱層60に入射した光は、図7(a)に示すように、光変調板53の第1電極62及び第2電極63と透明電極66との間に電圧が印加されていない状態では、光変調板53を直進する。そして、光変調板53の射出端面53cから射出された光は、散乱板54に設けられたランダムに分散されたビーズ54aにより拡散される。拡散された光は、保護板55を透過して筐体2の外部側(視聴者側)に射出される。
また、光変調板53の第1電極62及び第2電極63と透明電極66との間に電圧が印加された状態では、図7(b)に示すように、油滴64が曲率を有し、光変調板53には微小レンズ53aが複数形成される。これにより、光変調板53の射出端面53cから射出された光は、散乱板54に向かって集光され、散乱板54により拡散される。その後、拡散された光は、保護板55を透過して筐体2の外部側(視聴者側)に射出される。
【0040】
このとき、微小レンズ53aの油滴64の曲率は時間とともに変化しているため、微小レンズ53aの焦点距離が変化する。この微小レンズ53aの焦点距離の変化に伴い、散乱板54に入射した光は異なるビーズ54aにおいて拡散されたり、散乱板54に入射した光のビーズ54aへの入射角の変化が起きる。このように、光変調板53から射出された光の微小レンズ53aごとの方向及び位相が時間とともに変化するため、散乱板54から射出される光の拡散特性が時間とともに変化する。
【0041】
本実施形態に係るリアプロジェクタ1では、光変調板53により、スクリーン50から射出される光の散乱状態が時間を追って様々に変化する。その変化に伴い、視聴者が視認する干渉縞が移動したり、干渉縞のパターンが複雑に変化する。その結果、人間の眼の残像時間内で干渉縞のパターンが積分平均化され、干渉縞(シンチレーション)が視認されなくなる。
また、光変調板53には焦点距離が変化可能な微小レンズ53aが設けられているため、光変調板53から射出された光は、散乱板54で像が結ばれる。したがって、スクリーン50から射出される画像のボケが生じることがないので、鮮明な画像を表示させることが可能となる。また、可変焦点レンズとして液体レンズを用いているため、油滴64及び電解液65の応答速度が速いので、微小レンズ71aの焦点距離を高速で調節することが可能となる。
さらには、従来のようにスクリーンを振動させる構成に比べ、音や振動の発生が少ないため、快適な鑑賞が可能となる。また、従来のように回転駆動系を用いた場合に比べ、耐久性が高く、かつ低コストで製造することが可能となる。
また、光変調板53にはレンズ性能を有する複数の微小レンズ53aが設けられているため、スクリーン50のゲインを所望の値にすることができる。したがって、スクリーン50上から射出される光の明るさが均一になるため、画像の輝度ムラを抑えことが可能となる。
つまり、本実施形態のリアプロジェクタ1は、低コスト、かつ、振動や像ボケを抑えて、射出される光のシンチレーションを防止し、高画質化を図ることが可能である。
【0042】
なお、本実施形態では、電源Eにより印加される電圧の波形は、正弦波の波形としたが、三角波の波形であっても、油滴64の曲率を滑らか(連続的に)変化させることが可能である。また、電源Eにより印加される電圧の波形は、三角波,正弦波に限らず矩形波であってもシンチレーションを防止することは可能であるが、三角波,正弦波の方が時間的な干渉パターンの変化が大きいため、よりシンチレーションを防止することが可能となる。
また、スクリーン50の拡散性をより高めるために、微小レンズ53aを所定の領域に区切り、領域ごとに印加電圧の波形を変化させても良い。
【0043】
[第1実施形態の変形例]
図1に示す第1実施形態では、微小レンズ53aは電圧の印加により光軸を中心として油滴64の表面形状が等方的に変化する等方形状としたが、光軸を中心に偏心可能な異方形状の微小レンズ(可変焦点レンズ)71aを有する光変調板(光変調部材)71を備えたスクリーンであっても良い。このような変形例について図8(a),図8(b)及び図9を参照して説明する。
光変調板71には、図8(a)に示すように、第1電極62と透明電極66との間に電圧を印加する電源E1と、図8(b)に示すように、第2電極63と透明電極66との間に電圧を印加する電源E2とが設けられている。なお、図8(a),図8(b)において、実際は電源E1及び電源E2が設けられた構成であるが、油滴64の形状を分り易くするために、片側の電源のみ図示して説明する。
【0044】
電源E1により第1電極62に電圧を印加した場合、図8(a)に示すように、電解液65は第1電極62に引き込まれる。これにより、微小レンズ71aは偏心するため、光変調板71の微小レンズ71aを通過した光は、図9(a)に示すように、上記実施形態で示した光軸O上以外で集光する。そして、光変調板71から射出された光は、散乱板54に設けられたランダムに分散されたビーズ54aにより拡散される。
また、電源E2により第2電極63に電圧を印加した場合、図8(b)に示すように、電解液65は第2電極63に引き込まれるため、同様に、光変調板71の微小レンズ71aを通過した光は、図9(b)に示すように、上記実施形態で示した光軸O上以外であるとともに、図9(a)に示す位置とは異なる位置に集光する。
また、第1電極62及び第2電極63に印加する電圧は正弦波であり、位相が揃っていない電圧波形となっている。これにより、油滴64の形状は図8(a)に示す状態から図8(b)に示す状態まで滑らかに(連続的に)変動する。
【0045】
本変形例のスクリーンでは、光変調板71の微小レンズ71aが偏心可能とされているため、第1電極62及び第2電極63に印加される電圧の変化に伴い、光変調板71に入射した光の集光位置が変化する。この結果、人間の眼の残像時間内で干渉縞のパターンが積分平均化され、干渉縞(シンチレーション)が視認されなくなる。
また、光変調板71には偏心可能とされたレンズ性能を有する複数の微小レンズ71aが設けられているため、散乱板54における光の拡散角を所定の範囲内に収めることができる。したがって、スクリーン上から射出される光の明るさが均一になるため、画像の輝度ムラを抑えることが可能となる。
なお、電源を1つだけ用い、接続を第1電極62と第2電極63とに切り替えるスイッチを設けた構成であっても良い。
また、第1電極62及び第2電極63を形成する位置を変えて偏心可能としても良い。さらには、電源E1及び電源E2のうちいずれか一方により、油滴64の形状を変化させても良い。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態について、図10から図13を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、上述した第1実施形態に係るリアプロジェクタ1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
第1実施形態では、可変焦点レンズとして液体レンズを用いたが、本実施形態では、バブルレンズを用いている点において第1実施形態と異なる。
【0047】
光変調板(光変調部材)81には、図12(b)に示すように、入射する光の焦点距離(焦点位置)を変化させる複数の微小レンズ(可変焦点レンズ:バブルレンズ)81aがマトリクス状に設けられている。
次に、光変調板81の微小レンズ81aの詳細について図10(a),図10(b)を参照して説明する。なお、図10(a),図10(b)は、図12(b)に示す光変調板81に設けられた複数の微小レンズのうち1つの微小レンズを取り上げた図である。
光変調板81は、図10(a)に示すように、凹部81bが形成された封止部材(容器)82と、凹部81bの底面81cに形成された第1電極83と第2電極84と、第1電極83及び第2電極84に接触して設けられた液体85とを備えている。また、第1電極83及び第2電極84は、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)膜により形成されている。この第1電極83及び第2電極84は、図11に示すように、凹部81bの底面81cに所定の間隔をあけて帯状に形成されている。また、液体85は第1電極83及び第2電極84に電流を注入することにより容易に気化が可能な低沸点液である。
また、第1電極83及び第2電極84には電源Eが接続されており、第1電極83と第2電極84との間に電圧が印加されるようになっている。なお、電源Eにより印加される電圧の波形は、正弦波の波形となっている。また、電源Eには、第1電極83及び第2電極84に印加する電圧を時間的に変化させる制御部80aが設けられている。
【0048】
まず、図10(a)に示すように、時刻taにおいて、電源Eにより、光変調板81の第1電極83と第2電極84との間に電圧が印加されていない状態では、液体85中には何も発生していない。このとき、光変調板81より入射した光は、液体85内を直進する。そして、図10(b)に示すように、時刻tbにおいて、電源Eにより、光変調板81の第1電極83と第2電極84との間に電圧値Saの電圧が印加されると、第1電極83と第2電極84とは液体85を介して導通する。このとき、液体85を流れる電流は、液体85の抵抗によってジュール熱を発生する。これにより、液体85の熱が上昇し、液体85が気化したもの、すなわち、バブル86が発生する。このバブル86は表面張力により曲面となる。このとき、光変調板81に入射した光は、レンズ性能を有するバブル86により光軸Oを中心に集光して射出端面81dより射出される。
また、本実施形態でも第1実施形態と同様に、電源Eにより印加される電圧の波形は、正弦波の波形としているため、時刻taから時刻tbの間の液体85中に形成されるバブル86の曲率は滑らかに(連続的に)変化している。
【0049】
このようなスクリーン50に、第1実施形態と同様に、反射ミラー6によって反射された光が入射する。そして、光変調板81に入射した平行光は、図12(a)に示すように、光変調板81の第1電極83と第2電極84との間に電圧が印加されていない状態では、臨界角以下となるため光変調板81を直進する。そして、光変調板81の射出端面81dから射出された光は、散乱板54に設けられたランダムに分散されたビーズ54aにより拡散される。拡散された光は、保護板55を透過して筐体2の外部側(視聴者側)に射出される。
また、光変調板81の第1電極83と第2電極84との間に電圧が印加された状態では、図12(b)に示すように、液体85中にバブル86が発生し、光変調板81には微小レンズ81aが複数形成される。これにより、光変調板81の射出端面81dから射出された光は、散乱板54に向かって集光され、散乱板54により拡散される。その後、拡散された光は、保護板55を透過して筐体2の外部側(視聴者側)に射出される。
【0050】
本実施形態に係るリアプロジェクタでは、第1実施形態のリアプロジェクタ1と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態のリアプロジェクタでは、可変焦点レンズとしてバブルレンズを用いているため、液体85として低沸点液を用いればレンズが形成されるので、構成が簡易である。
なお、凹部81bの底面81cの電極の形状は上記に限るものではなく、図13に示すように、円形状の電極88aと、電極88aを中心に形成されたリング状の電極88bとを備えていても良い。このような構成により、電極88aと電極88bとの間にリング状のバブルレンズが形成される。
【0051】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る第3実施形態について、図14を参照して説明する。
第1実施形態では、可変焦点レンズとして液体レンズを用いたが、本実施形態では、液晶レンズを用いている点において第1実施形態と異なる。
【0052】
光変調板91には、図14(a)に示すように、入射する光の焦点距離(焦点位置)を変化させる微小レンズ(可変焦点レンズ:液晶レンズ)91aがマトリクス状に形成可能とされている。
光変調板91は、一対の光透過性を有する第1基板92及び第2基板93を備え、この第1基板92及び第2基板93の間に設けられた封止材94により液晶95が充填された構成になっている。
第1基板92の液晶95が設けられた側には、フレネル形状のレンズパターン領域Pが複数形成されている。この領域Pには、図14(b)に示すように、円形状の中心電極96aと、この中心電極96aの回りに、半径の異なる複数の同心円の輪帯電極96bとが形成されている。一方、第2基板93の液晶95が設けられた側には、一面に共通電極97が形成されている。また、これら電極96a,96b,97は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)で形成されている。形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法で基板92,93の全面にITO膜を形成した後、フォトリソグラフィ法によって所望の形状に形成する。また、中心電極96aと輪帯電極96bとは引き出し電極(図示略)により電気的に接続されている。
また、中心電極96aと共通電極97とには電源Eが接続されており、中心電極96aと共通電極97との間に電圧が印加されるようになっている。なお、電源Eにより印加される電圧の波形は、正弦波の波形となっている。
【0053】
電源Eにより、中心電極96a及び輪帯電極96bと共通電極97との間に電圧が印加されていない状態では、液晶95の配向状態は変化していないため、光変調板91より入射した光は、液体85内を直進する。そして、電源Eにより、中心電極96a及び輪帯電極96bと共通電極97との間に印加する電圧が上がると、液晶95の配向が変わるため、光変調板91から射出される光の焦点距離は時間とともに変化する。そして、光変調板91から射出された光は、散乱板54に向かって集光され、散乱板54により様々な方向に拡散される。その後、拡散された光は、保護板55を透過して筐体2の外部側(視聴者側)に射出される。
【0054】
本実施形態に係るリアプロジェクタでは、第1実施形態のリアプロジェクタ1と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態のリアプロジェクタでは、可変焦点レンズとして液晶レンズを用いているため、通常の液晶パネルの製造方法と同様の工程で作製することができるため、スクリーンの製造コストを抑えることが可能となる。
【0055】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態において、背面投射型のプロジェクタであるリアプロジェクタに本発明のスクリーンを適用した例を挙げて説明したが、フロント投射型のプロジェクタ(画像表示装置)のスクリーンに適用しても良い。
また、光変調手段として、透過型の液晶ライトバルブを用いた例を示したが、反射型の液晶ライトバルブ、及び、微小ミラーアレイデバイスを光変調手段として用いることもできる。その際には、投射光学系の構成は適宜変更される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係るリアプロジェクタの概略構成図である。
【図2】本発明のリアプロジェクタの投射光学系の概略構成図である。
【図3】本発明のリアプロジェクタのスクリーンの詳細を示す断面斜視図である。
【図4】本発明のリアプロジェクタのスクリーンの光変調部材と散乱部材とを模式的に示した図である。
【図5】本発明のリアプロジェクタのスクリーンの光変調部材と散乱部材とを模式的に示した拡大図である。
【図6】本発明のリアプロジェクタのスクリーンの電圧の変化による油滴の形状の変化を示す断面図である。
【図7】本発明のリアプロジェクタのスクリーンの電圧の変化によるスクリーンを通過する光の方向を示す断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るリアプロジェクタのスクリーンの変形例を示す断面図である。
【図9】図8のリアプロジェクタの電圧の変化によるスクリーンを通過する光の方向を示す断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るリアプロジェクタのスクリーンの一部を示す要部拡大断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るリアプロジェクタのスクリーンの電極を示す断面図である。
【図12】本発明のリアプロジェクタのスクリーンの電圧の変化による液体の形状の変化を示す断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係るリアプロジェクタのスクリーンの電極の変形例を示す断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係るリアプロジェクタのスクリーンを示す要部拡大断面図である。
【図15】シンチレーションの原理を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1…リアプロジェクタ(プロジェクタ)、11…高圧水銀ランプ(光源装置)、40R…R光用液晶ライトバルブ(光変調手段)、40G…G光用液晶ライトバルブ(光変調手段)、40B…B光用液晶ライトバルブ(光変調手段)、46…投射レンズ(投射手段)、50…スクリーン、50a,80a…制御部、53,71,81,91…光変調板(光変調部材)、53a,71a,81a,91a…微小レンズ(可変焦点レンズ)、61…封止部材(容器)、64…油滴、65…電解液、83,84…電極、85…液体、92,93…基板、94…封止材、95…液晶、96a…中心電極、96b…輪帯電極、97…共通電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像光が投射されるスクリーンであって、
入射する光の焦点位置を変化可能な複数の可変焦点レンズを有する光変調部材と、
該光変調部材により変調された光を散乱させる散乱部材と、
前記光変調部材の可変焦点レンズの焦点位置を時間的に変化させる制御部とを備えることを特徴とするスクリーン。
【請求項2】
前記可変焦点レンズが、容器に充填された油滴と、該油滴を覆うとともに前記油滴と屈折率の異なる電解液と、該電解液に電圧を印加する電極とを備え、
前記制御部が、前記電極に印加される電圧を制御することにより、前記油滴の曲率を変化させることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン。
【請求項3】
前記可変焦点レンズが、容器内に設けられた電極と、前記容器内に充填され前記電極から電圧が印加されることにより気化可能な液体とを備え、
前記制御部が、前記電極に印加される電圧を制御することにより、前記液体の曲率を変化させることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン。
【請求項4】
前記可変焦点レンズが、円形状の中心電極及び半径の異なる複数の同心円状の輪帯電極が形成された第1基板と、一面に共通電極が形成された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板との間に設けられた液晶とを備え、
前記制御部が、前記中心電極,前記輪帯電極及び前記共通電極に印加される電圧を制御することにより、前記液晶の配向状態を制御することを特徴とする請求項1に記載のスクリーン。
【請求項5】
各前記可変焦点レンズが光軸に対して偏心可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスクリーン。
【請求項6】
光を射出する光源装置と、
該光源装置から射出された光を変調する光変調手段と、
該光変調手段によって変調された光が投射される請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスクリーンと、
前記光変調手段によって変調された光を前記スクリーン上に投射する投射手段とを備えたことを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−129392(P2008−129392A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315344(P2006−315344)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】