説明

スクリーン装置およびこれを備えた映像視聴システム

【課題】視聴者の姿勢に応じてスクリーンの角度を変更することができるスクリーン装置等を提供する。
【解決手段】映像を投影するスクリーン21と、スクリーン21を、ボトム側を中心に傾動させるスクリーン傾動機構22と、を備え、スクリーン傾動機構22は、スクリーン21を、ボトム側において繰出し・巻取り自在に保持する巻取り機構24と、スクリーン21を、アッパー側において保持するアッパーバー25と、巻取り機構24と協働し、アッパーバー25を天井面Cに沿って進退させる進退動機構26と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を投影するスクリーンを前方に傾斜させるスクリーン装置およびこれを備えた映像視聴システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水平な設置面に直交するスクリーンに対して投影した映像の投影状態を変更する投影状態変更手段と、設置面を移動可能に構成された移動手段と、移動手段により移動した移動量に基づいて移動前後のそれぞれの投影状態から変更量を算出する投影状態演算手段と、を備えた投影装置(プロジェクター)が知られている(特許文献1参照)。
このプロジェクターでは、プロジェクター自体を移動させると、その移動量に応じて、その位置での最適な投影方向等の投影状態の変更量を算出し、その変更量に基づいて映像の投影状態(光量や画角等)を最適な状態に変更することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−083414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなプロジェクターでは、それ自体を移動させるため、プロジェクターの設置場所によっては、移動が制限され、投影状態の変更が適切に行うことができないという問題があった。また、プロジェクターを移動することで、プロジェクターとスクリーンとの関係が映像の投影状態として最適であったとしても、視聴者の姿勢によっては、スクリーンに投影された映像が視聴者にとって見やすいものとならない場合があった。
【0005】
本発明は、視聴者の姿勢に応じてスクリーンの角度を変更することができるスクリーン装置およびこれを備えた映像視聴システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスクリーン装置は、映像を投影するスクリーンと、スクリーンを、ボトム側を中心に傾動させるスクリーン傾動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この場合、スクリーン傾動機構は、スクリーンを、ボトム側において繰出し・巻取り自在に保持する巻取り機構と、スクリーンを、アッパー側において保持するアッパーバーと、巻取り機構と協働し、アッパーバーを天井面に沿って進退させる進退動機構と、を有していることが好ましい。
【0008】
これらの構成によれば、視聴者の姿勢に合わせてスクリーンを傾斜させることができる。これにより、視聴者にとって見やすい角度のスクリーンを提供することができる。
また、繰り出したスクリーンの端部となるアッパーバーを天井面に沿って進退させ、スクリーンの繰り出し或いは巻き取りを行うという単純な構成で、スクリーンを傾斜させることができる。その際、巻取り機構は、スクリーンの巻取り方向に、常に、力(テンション)を作用させ、スクリーンに張りを与える。
【0009】
また、この場合、スクリーン傾動機構は、アッパーバーの進退動をガイドする一対のガイドレールを、更に有していることが好ましい。
【0010】
さらに、この場合、進退動機構は、アッパーバーに連結した索状体と、索状体を繰出し可能に巻き取る巻取り駆動機構と、を含むことが好ましい。
【0011】
これらの構成によれば、一対のガイドレールに沿ってアッパーバーが移動することで、スクリーンを自在に傾斜させることができる。したがって、スクリーンの繰り出し或いは巻き取りを行う際に、スクリーンが弛むことがない。これにより、歪みのない投影面(スクリーン)を形成することができ、プロジェクター等の投影装置からの映像の投影を適切に受けることができる。
【0012】
本発明の映像視聴システムは、上記したスクリーン装置と、スクリーン装置に映像を投影するプロジェクターと、映像を視聴する視聴者ためのリクライニングシートに組み込まれ、リクライニングシートの背もたれの傾斜角度を検出する角度検出手段と、角度検出手段の検出結果に基づいて、スクリーン装置を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、リクライニングシートの背もたれの傾斜角度に応じてスクリーンを傾斜させることができる。これにより、リクライニングシートに着座した視聴者にとって見やすい角度にスクリーンを自動調整することができる。
【0014】
この場合、制御手段は、角度検出手段の検出結果に基づいて、更にプロジェクターの映像の投影角度を調整することが好ましい。
【0015】
また、この場合、制御手段は、角度検出手段の検出結果に基づいて、更にプロジェクターにおいて映像に対しキーストーン補正を実施することが好ましい。
【0016】
これらの構成によれば、傾斜したスクリーンに対しても、適正な映像を投影することができる。これにより、視聴者は見やすい姿勢で且つ適正な映像を視聴することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態(第1実施形態)に係る映像視聴システムの概要図である。
【図2】スクリーン傾動機構を備えたスクリーン装置の正面図である。
【図3】プロジェクターの外観斜視図(a)およびプロジェクターの内部構成を示したブロック図(b)である。
【図4】第2実施形態に係る映像視聴システムにおける角度調整機構およびプロジェクターの側面図(a)、正面図(b)および映像視聴システムの概要図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るスクリーン装置を備えた映像視聴システムについて説明する。この映像視聴システムは、プロジェクターの映像を視聴するユーザー(視聴者)ために、リクライニングシートの背もたれの角度に合わせるように、スクリーンを傾斜させるものである。
【0019】
図1に示すように、映像視聴システム1は、映像が投影されるスクリーン21を有し、スクリーン21の下端部を中心に傾動可能に構成したスクリーン装置2と、スクリーン21に対して映像を投影するプロジェクター3と、スクリーン21に投影された映像を視聴するユーザー(視聴者)が着座し、背もたれ41が傾動可能に構成されたリクライニングシート4と、リクライニングシート4の背もたれ41の傾斜角度に応じてプロジェクター3およびスクリーン装置2を制御する制御装置5(制御手段)と、を備えている。なお、以降の説明では、プロジェクター3により映像が投影される方向を前方と規定し、その反対方向を後方と規定して説明する。
【0020】
図1および図2に示すように、スクリーン装置2は、プロジェクター3による映像の投影面を構成するスクリーン21と、スクリーン21を、その下端部(ボトム側)を中心に傾動させるスクリーン傾動機構22と、を備えている。
【0021】
スクリーン21は、いわゆるロールスクリーンであり、巻取り機構24を有するケース23に収納されている。巻取り機構24は、上記のケース23と、ケース23に回転自在に収納され、スクリーン21を繰出し・巻取り自在に保持する巻取りドラム24aと、巻取りドラム24aを巻取り方向に付勢するゼンマイばね等の巻取りばね(図示省略)と、を有している。そして、この巻取りばねにより、スクリーン21には、常に巻き取り方向にテンションが付与される。また、本実施形態の巻取り機構24は、鉛直方向下側(床面)に配設され、スクリーン21は、ケース23から鉛直方向上側に引き出す(繰り出す)ようになっている。なお、上記のケース23の配設位置やスクリーン21の繰り出し方向は、一例であり、これに限られたものではなく、例えば、ケース23を天井面Cに配設し、鉛直方向下側にスクリーン21を繰り出すようにしてもよい。
【0022】
スクリーン傾動機構22は、繰り出されたスクリーン21の繰出し端部に連結されたアッパーバー25と、アッパーバー25を前後方向に進退させる進退動機構26と、アッパーバー25の進退動をガイドする一対のガイドレール27と、を備えている。
【0023】
アッパーバー25は、繰り出されたスクリーン21の端部(アッパー側)に、スクリーン21の幅方向に沿って接続された棒状の部材である。アッパーバー25の幅方向両端には、各ガイドレール27上を転動する一対の車輪25aが回転自在に取り付けられている(図2参照)。そして、アッパーバー25は、一対の車輪25aを介してガイドレール27上を移動自在に構成されている。
【0024】
進退動機構26は、アッパーバー25に連結されたワイヤー26a(索状体)と、アッパーバー25を介してスクリーン21を後方に引っ張る駆動モーター26bと、駆動モーター26bの主軸に連結され、ワイヤー26aを巻き取る減速器付の巻取り軸26cと、各ガイドレール27の後方端付近において、ワイヤー26aの向きを巻取り軸26cへと向ける滑車26dと、を備えている。なお、請求項に言う「巻取り駆動機構」とは、駆動モーター26b、巻取り軸26cおよび滑車26dを指す。
【0025】
駆動モーター26bは、一対のガイドレール27の後方端付近において、天井裏(天井面Cの上側)に設けられている。アッパーバー25に連結されたワイヤー26aは、滑車26dを介して、駆動モーター26bの回転軸に連結された巻取り軸26cに巻き取られる。そして、駆動モーター26bは、後述する制御装置5からの制御信号により、滑車26dを介して所定量(長さ)のワイヤー26aを巻き取る(アッパーバー25を後方に引っ張る)ことができるようになっている。一方、駆動モーター26bを逆転させると、上記の巻取り機構24の巻き取り力により、ワイヤー26aが、巻取り軸26cから繰り出される(アッパーバー25を前方に引かれる)ようになっている。また、詳細は後述するが、本実施形態では、制御装置5により駆動モーター26bの駆動時間を制御することでワイヤー26aの巻き取り量或いは繰り出し量を調整している。なお、上記の駆動モーター26bを配設位置は、一例であり、これに限られたものではない。例えば、ユーザーが着座するリクライニングシート4の後方の床面上等に配設してもよい。
【0026】
各ガイドレール27は、断面が「L」字状の形材で形成されており、映像視聴システム1が設置された部屋の天井面Cにおいて、スクリーン21をケース23から垂直に繰り出した位置から後方に向かって延在している。また、一対のガイドレール27は、上記したアッパーバー25に設けられた一対の車輪25aが転動自在に係合するようになっている。そして、上記した駆動モーター26bを駆動させ、アッパーバー25を一対のガイドレール27に沿って前後方向に移動させると、スクリーン21は、張った状態で巻取り機構24から繰り出され或いは巻き取られ、その下端部を中心にして自在に傾動(角度変化)する。なお、各ガイドレール27の前方端部および後方端部には、各車輪25aの脱落を防止する車止め(図示省略)が、取り外し可能に設けられている。
【0027】
このスクリーン装置2による映像の投影面の形成手順を説明する。先ず、アッパーバー25を持ち、スクリーン21を、巻き取り方向の力に抗してケース23から引き出し(繰り出し)、アッパーバー25に設けられた一対の車輪25aを、一対のガイドレール27に載せ、ワイヤー26aを接続する。この状態で、スクリーン21は、床面に対し垂直な投影面を形成している(図1において実線で示したスクリーン21を参照)。なお、以下の説明では、この状態を、スクリーン21の初期位置と規定する。
【0028】
この初期位置から駆動モーター26bを駆動(正転)させ、ワイヤー26aを巻き取ると、アッパーバー25は、一対のガイドレール27沿って後方に移動する。すると、スクリーン21は、巻取り機構24から繰り出されながら、ケース23(巻取りドラム24a)の軸心を回転中心として後方に傾いて行く。すなわち、スクリーン21は、床面に対して後方に傾斜した投影面を形成することとなる(図1において二点破線で示したスクリーン21を参照)。このように、繰り出したスクリーン21の端部となるアッパーバー25を天井面Cに沿って進退させるという単純な構成で、スクリーン21を傾斜させることができる。
【0029】
次に、スクリーン21が傾斜した状態から、駆動モーター26bを逆転させると、巻取り機構24により、スクリーン21は、ケース23内に巻き取られて行く。これにより、スクリーン21は、弛むことなくケース23内に巻き取られ、やがて、スクリーン21は、初期位置まで戻る。これにより、歪みのないスクリーン21を形成することができ、プロジェクター3からの映像を適切(スクリーン21に対して略垂直)に投影することができる。
【0030】
続いて、図1および図3を参照して、プロジェクター3について説明する。プロジェクター3は、スクリーン21に対して映像を投影するものであり、本実施形態では、スクリーン装置2とリクライニングシート4との間の床面上に、プロジェクター3の投影方向を僅かに上側に向けた状態で配設している(図1参照)。なお、このプロジェクター3を配設位置は、一例であり、これに限られたものではなく、例えば、天井面Cに吊り下げるようにしてもよい。
【0031】
図3に示すように、プロジェクター3は、これの筐体31上面に位置してユーザー(視聴者)により操作される電源ボタン等が配設された操作部32と、パーソナルコンピューター(PC)等の外部装置(図示省略)から映像信号を受信する受信部33と、外部装置から供給された映像信号を入力し、投影用の映像データに変換する映像信号処理部34と、映像をスクリーン21に投射する投影部35と、プロジェクター3を制御する制御部36と、を備えている。
【0032】
受信部33は、各種ケーブル等(図示省略)を介して外部装置と接続するためのコネクター(例えば、USBコネクター,D−Sub,DVI−D,S端子等)等を有し、外部装置とのデータ通信に関する制御を行う。
【0033】
映像信号処理部34は、外部から供給された映像信号を受け、プロジェクター3の内部で処理可能な形式の映像データに変換する。そして、変換した映像データに対して、輝度調整、色バランス調整、コントラスト調整などの画質調整を行う。また、映像信号処理部34は、変換された投影用の映像データに対し、キーストーン補正(台形補正)を実行することができるように構成されている。この場合、後述する制御装置5による背もたれ41の傾斜角度の算出結果に基づいて、変換された投影用の映像データに対し、適切なキーストーン補正を施す。これにより、傾斜したスクリーン21に対しても歪みのない適正な映像を投影することができる。
【0034】
投影部35は、液晶パネル35aを制御する液晶パネル制御部35bと、投影光の光源となる光源ランプ35cを制御する光源ランプ制御部35dと、光源ランプ35cからの投影光をスクリーン21上に拡大投影する投影レンズ35eの駆動を制御するレンズ制御部35fと、を備えている。また、レンズ制御部35fは、投影角度を僅かに変更することができるレンズシフト機能と、スクリーン21に投影する映像の合焦を行うレンズフォーカス機能と、を有している。本実施形態の投影部35は、R・G・B3色の液晶パネル35aを有し、3色の映像を合成してスクリーン21に投影する。
【0035】
制御部36は、制御に必要な演算処理を行うCPU36aと、各種処理を行う際の作業領域(ワーク領域)として使用されるRAM36bと、プロジェクター3を制御するための制御プログラムなどが記憶されたフラッシュROM36cと、を有し、プロジェクター3を統括制御する。
【0036】
次に、図1を参照して、リクライニングシート4について説明する。リクライニングシート4は、その背もたれ41を後方へ傾動させる傾動モーター42と、背もたれ41の傾斜角度を検出する角度検出センサー43(角度検出手段)と、を備えている。傾動モーター42は、ブレーキ機能付のギヤードモーターであり、ユーザーの指示により、背もたれ41の傾斜角度を細かく調整することができ、且つその傾斜角度を維持することができるようになっている。なお、背もたれ41は、ユーザーが手動(背もたれ41に対し後方に力を加える)で、傾斜させるようにしてもよい。
【0037】
角度検出センサー43は、加速度センサー等であり、背もたれ41に内蔵され、背もたれ41の傾斜角度を検出することができるようになっている。この角度検出センサー43で検出した傾斜角度の情報は、後述する制御装置5に送信され、スクリーン装置2の投影面の傾斜角度およびプロジェクター3の投影角度を調整するために用いられる。なお、本実施形態では、角度検出センサー43で背もたれ41の傾斜角度を検出しているが、角度検出センサー43を省略し、傾動モーター42を回転角度検出が可能なサーボモーターで構成し、或いはエンコーダーを設け、この傾動モーター42やエンコーダーの回転角度から背もたれ41の傾斜角度を算出するようにしてもよい。
【0038】
続いて、図1を参照して、制御装置5および制御装置5による映像視聴システム1の制御手順について説明する。制御装置5は、リクライニングシート4(の背もたれ41)に内蔵された角度検出センサー43の検出結果を用いて、スクリーン装置2を傾斜させると共に、プロジェクター3で投影する映像を調整する。なお、以下の説明では、リクライニングシート4の背もたれ41が、床面に対して垂直となっている状態を、背もたれ41の初期位置と規定する。また、請求項に言う「制御手段」とは、制御装置5および映像信号処理部34を指す。
【0039】
詳細には、ユーザーが、背もたれ41を初期位置から傾斜させる(図1において二点破線で示した背もたれ41を参照)と、この傾斜角度を角度検出センサー43が検出し、この検出結果が制御装置5に送信される。すると、この検出結果から背もたれ41の傾斜角度が算出され、この算出された傾斜角度に基づいて、スクリーン傾動機構22の駆動モーター26bの駆動時間が算出される。そして,制御装置5は、算出された駆動時間だけ駆動モーター26bを駆動すると、スクリーン21は、背もたれ41の傾斜角度と略同一となる。
【0040】
なお、駆動モーター26bの駆動時間とスクリーン21の傾斜角度との対応関係は、予め求めておき制御装置5のROM等に記憶装置に記憶されているものとする。これにより、リクライニングシート4に着座したユーザーにとって見やすい角度のスクリーン21を形成することができる。なお、本実施形態では、駆動モーター26bの駆動時間を制御することでワイヤー26aの巻き取り量或いは繰り出し量を調整しているが、例えば、巻取り軸26cの回転数を検出するセンサーやエンコーダー等を設け、巻取り軸26cの回転数からワイヤー26aの巻き取り量等を求めるようにしてもよいし、駆動モーター26bを角度検出が可能なサーボモーターで構成し、検出した角度に基づいて巻き取り量等を求めてもよい。
【0041】
また、これと並行して、プロジェクター3の映像信号処理部34は、制御装置5による背もたれ41の傾斜角度の算出結果に基づいて、変換された投影用の映像データに対し、キーストーン補正を実行する。そして、キーストーン補正後の映像を、投影部35を介して傾斜したスクリーン21に投影する。また、適宜、レンズシフト機能およびレンズフォーカス機能を用いて、投影される映像の調整(拡大または縮小、合焦等)を行う。これにより、傾斜したスクリーン21であっても歪みのない適正な映像を投影することができる。
【0042】
以上の構成によれば、リクライニングシート4に着座したユーザー(視聴者)の姿勢に合わせてスクリーン21を傾斜させることができ、ユーザーにとって見やすい角度のスクリーン21を提供することができる。これにより、ユーザーは、視聴しやすい姿勢で且つ歪みのない適正な映像を視聴することができる。
【0043】
次に、他の実施形態(第2実施形態)に係る映像視聴システム1について説明する。上述の実施形態(第1実施形態)では、プロジェクター3の映像信号処理部34によるキーストーン補正により、傾斜したスクリーン21に対して適正な映像を投影するようにしていたが、第2実施形態に係る映像視聴システム1では、これに代えて、または、これと共に、プロジェクター3の姿勢を制御して投影角度を変更する角度調整機構6を更に備えている。なお、角度調整機構6以外の説明は、上述の第1実施形態と同様であるため省略する。
【0044】
図4に示すように、角度調整機構6は、プロジェクター3を搭載する板状の角度調整台61と、角度調整台61を前後方向(ピッチ軸方向)に傾ける角度調整軸部62と、角度調整軸部62を支持するベースプレート63と、角度調整軸部62の駆動源となる角度調整モーター64と、を備えている。なお、角度調整モーター64は、ブレーキ機能付のギヤードモーターで構成されている。
【0045】
角度調整軸部62は、ベースプレート63上に固定された前面視U字状(図4(b)参照)の固定部65と、固定部65の間に回動自在に支持されたブロック状の回動部66と、を備えている。固定部65は、鉛直方向上側を開放し、回動部66を挟むようにして、ピッチ軸方向に回動自在にピン67により軸支されている。また、回動部66の上端面には、角度調整台61が固定されている。そして、固定部65の一方の側面に配設された角度調整モーター64を駆動することで、ピン67を回転中心として、回動部66をピッチ軸方向に回動させることができるようになっている(図4(a)参照)。これにより、角度調整台61上に搭載されたプロジェクター3を、ピッチ軸方向に対して任意の角度に傾けることができる。
【0046】
具体的には、スクリーン21を、初期位置(床面に垂直)から後方に傾斜させた場合、制御装置5は、背もたれ41の傾斜角度に基づいて、角度調整モーター64の駆動時間を算出する。そして、算出した駆動時間だけ角度調整モーター64を駆動して、プロジェクター3の姿勢を前方斜め上向きに回動させる(図4(c)参照)。これにより、初期位置のスクリーン21に対するプロジェクター3からの投影角度と、傾斜したスクリーン21に対するそれとが、相対的に略同一角度を維持することができるため、歪みのない適正な映像を投影することができる。なお、角度調整モーター64を回転角度の検出が可能なサーボモーター等で構成し、制御装置5が算出した傾斜角度に基づいて、プロジェクター3を回動させてもよい。また、適宜、映像信号処理部34により映像にキーストーン補正を施すようにしてもよい。さらに、傾斜したスクリーン21に映像を投影する場合には、投影部35のレンズ制御部35fのレンズシフト機能およびレンズフォーカス機能を用いて、適宜、投影される映像の調整(拡大または縮小、合焦等)を行うことが好ましい。
【0047】
ここで、極端なキーストーン補正を行うと、投影用の映像が乱れたり、画質が劣化する等の問題を生ずることが、一般的に知られている。しかし、この構成によれば、主に角度調整機構6による投影角度の調整を行うことで、投影する映像を高画質に維持することができ、且つ角度調整機構6またはキーストーン補正のどちらか一方のみでは、補正しきれない映像の歪みも、確実に補正することができる。
【符号の説明】
【0048】
1:映像視聴システム、2:スクリーン装置、3:プロジェクター、4:リクライニングシート、5:制御装置、6:角度調整機構、21:スクリーン、22:スクリーン傾動機構、24:巻取り機構、25:アッパーバー、26:進退動機構、26a:ワイヤー、27:ガイドレール、41:背もたれ、43:角度検出センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を投影するスクリーンと、
前記スクリーンを、ボトム側を中心に傾動させるスクリーン傾動機構と、を備えたことを特徴とするスクリーン装置。
【請求項2】
前記スクリーン傾動機構は、
前記スクリーンを、ボトム側において繰出し・巻取り自在に保持する巻取り機構と、
前記スクリーンを、アッパー側において保持するアッパーバーと、
前記巻取り機構と協働し、前記アッパーバーを天井面に沿って進退させる進退動機構と、を有していることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン装置。
【請求項3】
前記スクリーン傾動機構は、
前記アッパーバーの前記進退動をガイドする一対のガイドレールを、更に有していることを特徴とする請求項2に記載のスクリーン装置。
【請求項4】
前記進退動機構は、前記アッパーバーに連結した索状体と、
前記索状体を繰出し可能に巻き取る巻取り駆動機構と、を含むことを特徴とする請求項2または3に記載のスクリーン装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のスクリーン装置と、
前記スクリーン装置に映像を投影するプロジェクターと、
映像を視聴する視聴者ためのリクライニングシートに組み込まれ、前記リクライニングシートの背もたれの傾斜角度を検出する角度検出手段と、
前記角度検出手段の検出結果に基づいて、前記スクリーン装置を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする映像視聴システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記角度検出手段の検出結果に基づいて、更に前記プロジェクターの映像の投影角度を調整することを特徴とする請求項5に記載の映像視聴システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記角度検出手段の検出結果に基づいて、更に前記プロジェクターにおいて映像に対しキーストーン補正を実施することを特徴とする請求項5または6に記載の映像視聴システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−250135(P2010−250135A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100453(P2009−100453)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】