説明

スクリーン

本発明は、スクリーンを互いに結合し、かつ、貫通部を有する少なくとも2つのスクリーン層(1)から成っており、スクリーンを貫通するスクリーン開口(3)がもたらされるように貫通部の少なくとも一部分を配置する、繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーンを製造する方法に関する。この場合、スクリーンの製造は、スクリーンの表側にスクリーンを貫通しない切欠き(4)が設けられるように貫通部の一部分を配置し、かつ、少なくとも切欠き(4)を形成する貫通部をスクリーン層(1)の結合前にスクリーンに加工することにより簡単になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーンを製造する方法、及び、互いに結合され、貫通部を有する少なくとも2つのスクリーン層から成る繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するためのスクリーンに関する。貫通部の少なくとも一部分は、スクリーンを貫通するスクリーン開口がもたらされるように配置されるか若しくは配置されている。
【0002】
この種のスクリーンは、有利には繊維材料懸濁液内に存在する不純物を除去するために、繊維材料懸濁液の湿式ふるい分けのために使用される。
【0003】
この種のスクリーンの特性は、実質的にサイズ、形状及びスクリーンに設けられているスクリーン開口の数からもたらされる。
【0004】
有利には、スクリーンは、処理のためのパルパ及びソータにおいて使用される。
【0005】
大きな流量の他に、液圧に対する高い耐性も求められる。
【0006】
このことを満たすために、DE19547585において支持層と選別層とを備えたスクリーンを提案している。
【0007】
しかし、様々な理由から、スクリーンの表側に切欠きを備え付けることが必要となることがある。このことは、スクリーン開口の製造よりも極めて手間がかかる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、切欠きを備えたスクリーン若しくはスクリーンの構造を簡略化することである。
【0009】
上記目的は本発明によれば、複数の貫通部の一部分が、スクリーンの表側においてスクリーンを貫通しない切欠きをもたらすように配置されるか若しくは配置されていることにより達成される。
【0010】
少なくとも、切欠きを形成する貫通部がスクリーン層の結合前にスクリーン層に加工されることは、製造方法には重要である。
【0011】
本発明に係るスクリーンを製造する方法は、繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーンを製造する方法であって、スクリーンは互いに結合された、貫通部を有する少なくとも2つのスクリーン層から成っており、スクリーンを貫通するスクリーン開口が設けられるように貫通部の少なくとも一部分を配置する、繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーンを製造する方法において、スクリーンの表側にスクリーンを貫通しない切欠きが設けられるように貫通部の一部分を配置し、少なくとも、切欠きを形成する貫通部をスクリーン層の結合前にスクリーン層に加工することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、スクリーン層の結合前に全ての貫通部をスクリーン層に加工する。
【0013】
好ましくは、スクリーンを3つのスクリーン層から製造する。
【0014】
好ましくは、スクリーンを4つのスクリーン層から製造する。
【0015】
好ましくは、スクリーンを4つより多いスクリーン層から製造する。
【0016】
好ましくは、切欠きは溝を形成する。
【0017】
好ましくは、切欠きは盲孔を形成する。
【0018】
好ましくは、切欠きに表側から突出している妨害条片を位置固定する。
【0019】
好ましくは、切欠きを繊維材料懸濁液に接触するスクリーンの表側の表面の3から50%の間において形成する。
【0020】
好ましくは、切欠きを繊維材料懸濁液に接触するスクリーンの表側の表面の5から30%の間において形成する。
【0021】
好ましくは、スクリーンの表側を形成するスクリーン層が、他のスクリーン層よりも高い磨耗耐性を有している。
【0022】
本発明に係るスクリーンは、繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーンであって、該スクリーンは互いに結合されていて、かつ、貫通部を有する少なくとも2つのスクリーンから成っており、スクリーンを貫通するスクリーン開口が設けられるように貫通部の少なくとも一部分は配置されている、繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーンにおいて、スクリーンの表側においてスクリーンを貫通しない切欠きが設けられるように、貫通部の一部分は配置されていることを特徴とする。
【0023】
好ましくは、スクリーンは3つのスクリーン層から成っている。
【0024】
好ましくは、スクリーンは4つのスクリーン層から成っている。
【0025】
好ましくは、スクリーンは4つより多いスクリーン層から成っている。
【0026】
好ましくは、切欠きは溝を形成する。
【0027】
好ましくは、切欠きは盲孔を形成する。
【0028】
好ましくは、切欠きに表側から突出する妨害条片が位置固定されている。
【0029】
好ましくは、切欠きを形成する貫通部を備えたスクリーン層は妨害体として形成されている。
【0030】
好ましくは、切欠きが、繊維材料懸濁液に接触するスクリーンの表側の表面の3から50%の間において形成されている。
【0031】
好ましくは、切欠きが、繊維材料懸濁液に接触するスクリーンの表側の表面の5から30%の間において形成されている。
【0032】
好ましくは、スクリーンの表側を形成するスクリーン層は、他のスクリーン層よりも高い磨耗耐性を有している。
【0033】
好ましくは、スクリーン層は1から20mm、有利には1から10mmの厚さを有している。
【0034】
好ましくは、スクリーンは4から100mm、有利には6から50mmの全体厚さを有している。
【0035】
好ましくは、最狭の個所におけるスクリーン開口は1から20mm、有利には4から20mmの大きさを有している。
【0036】
好ましくは、スクリーンは堅固に形成されている。
【0037】
好ましくは、スクリーン層は同じ材料から成っていない。
【0038】
これにより切欠きは極めて簡単に製造でき、かつ、非常に正確に製造することもできる。
【0039】
前記利点を包括的に利用することができるように、全貫通部は可能な限りスクリーン層の結合前にスクリーン層に加工したい。このことは既にスクリーン層が僅かな厚さであるために極めて簡単となっており、特に打抜き加工及びレーザカット、また例えばフライス切削、穿孔、エッチング等により可能である。
【0040】
スクリーンの所望の安定性、スクリーンの表側の形状及び開口に基づき、スクリーンが3つ又は4つ又は4つより多いスクリーン層から製造されるか、若しくは、成っていると有利であり得る。
【0041】
スクリーン開口が、例えば表側から出発して貫流方向に拡幅しているか又は傾斜して延在していると、比較的多くのスクリーン層を備えたスクリーン開口の横断面経過を比較的連続的に、つまり突部なく又は小さな突部を備えたスクリーン開口の横断面経過を形成することができる。
【0042】
貫通部の製造も、特に複数のひいては比較的薄いスクリーン層における繊細なスクリーンの製造も、比較的簡単にかつ極めて正確に可能である。
【0043】
他方で、比較的多い数のスクリーン層は当然製造コストも上げる。
【0044】
スクリーン層の結合は、可能な限り平面状に行うことが望まれ、特にろう接、溶接、ネジ締結又は接着により達成することができる。
【0045】
切欠きが溝又は盲孔を形成すると、多くの使用事例にとっては有利である。
【0046】
有利には、切欠きにおいて表側から突出している妨害条片は位置固定され得るか、若しくは位置固定されていてもよい。補足的には、妨害条片はスクリーンに付加的に、例えば螺合によって固定することができる。
【0047】
この妨害条片はスクリーンの貫流効果を促進し、乱流を形成し、スクリーンの磨耗を減じ、裂断エッジ(Abreiskanten)を形成する。
【0048】
妨害条片は、とりわけロータがスクリーンの表側の前に配置されているアッセンブリにおいて使用される。ロータと磨耗条片との協働は、渦中心からの不純物の搬送に貢献する。
【0049】
また、補完的又は択一的には、切欠きを形成する貫通部を備えたスクリーン層自体が妨害体として形成されていると、有利であってもよい。これにより妨害体、特に妨害条片の取付けを完全に省くことができる。
【0050】
妨害体の十分な機能及び安定性、また、スクリーン層の間の確実な結合も保証することができるように、切欠きを繊維材料懸濁液に接触するスクリーンの表側の表面の3〜50%、有利には5〜30%において形成したい。
【0051】
長寿命という利点においてはスクリーンの形態に関係なく、スクリーンの表側を形成するスクリーン層は別のスクリーン層よりも高い磨耗耐性を有していることが望まれる。
【0052】
製造のために、スクリーン層が1〜20mm、有利には1〜10mmの厚さを有していると、有利であることが判明した。
【0053】
十分な安定性を保証するために、スクリーンが4〜100mm、有利には6〜50mmの全体厚さを有していると有利である。
【0054】
多層のスクリーンの製造時の利点は、スクリーン開口が最狭の個所において1〜20mm、有利には4〜20mmの寸法を有している場合、スクリーン層のないスクリーンに比べて最適に使用される。
【0055】
本発明は、柔軟だが、特に堅固なスクリーンにおいて使用することができる。
【0056】
安定性及び磨耗に関する要求に応じて、スクリーン層は材料コスト及び重量の低減のために、同じ材料から成っていないことが望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】妨害条片5を備えたスクリーンの部分断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】切欠き4を備えた他のスクリーンの部分断面図である。
【図4】図3の平面図である。
【0058】
以下に、本発明による2つの実施の形態を詳細に説明する。
【0059】
全実施の形態は、製紙機のための繊維材料懸濁液を処理するアッセンブリのソータの堅固で円形状のスクリーンが複数のスクリーン層1から成っている、という点で共通している。流れ方向にスクリーンの前に回転するスクリーン室(図示せず)が配置されている。
【0060】
これらのスクリーン層1は1〜5mmの厚さを有しており、互いにろう接されている。しかし、スクリーン層1の結合前に貫通部がスクリーン層1に打抜き加工されている。貫通部はスクリーンにおいて、繊維材料懸濁液に接触する、スクリーンの表側2に切欠き4と、貫通しているスクリーン開口3とを形成する。図1,2における切欠き4を単に外側の1つのスクリーン層1から形成する一方で、図3,4における切欠き4は外側の2つのスクリーン層1により形成される。
【0061】
スクリーン層1の僅かな厚さによって、貫通部を比較的簡単且つ正確に製造することができる。
【0062】
磨耗を減じるために、表側を形成するスクリーン層1は、高い磨耗耐性の材料から成っている。下方に位置するスクリーン層1はスクリーンの安定性を保証し、特に比較的廉価且つ/又は比較的軽い材料から成っていてよい。
【0063】
スクリーン開口3は、最狭の個所において4〜20mmの寸法を有している。
【0064】
図1,2に記載した実施の形態においては、互いに重畳していて且つ互いに平面状に結合されている3つのスクリーン層1からスクリーンは成っている。切欠き4は溝として形成されていて、切欠き4内に妨害条片5が嵌められている。細長い妨害条片5はスクリーンの表側2から突出していて、スクリーンの磨耗を減じ、乱流を形成し、中心から妨害材料を取り除き、離解ための作業エッジを製造することが望まれる。
【0065】
切欠き4を介して妨害条片5は既にスクリーンにおける確実な位置固定を確保している。しかし、補強のために妨害条片5は、さらにネジ6を介してスクリーンに結合されている。
【0066】
図3,4に記載したスクリーンは、互いに相重なっている4つのスクリーン層1から成っている。この実施の形態における切欠き4は、2つのスクリーン層1から形成されるので、切欠き4も比較的深くなっている。
【0067】
しかし、繊維材料懸濁液に接触するスクリーンの表側2の表面の5〜30%の間において、切欠きを形成することが重要である。切欠き4の大きな面積寸法により、切欠き4を形成する貫通部を備えたスクリーン層1自体が妨害体として作用することができることを可能にする。こうして妨害条片5の手間のかかる取付けを省略できる。
【0068】
さらに、スクリーン開口3は切欠き4内にも、切欠き4の外側にも見ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーンを製造する方法であって、前記スクリーンは互いに結合された、貫通部を有する少なくとも2つのスクリーン層(1)から成っており、前記スクリーンを貫通するスクリーン開口(3)が設けられるように貫通部の少なくとも一部分を配置する、繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーンを製造する方法において、
前記スクリーンの表側(2)に前記スクリーンを貫通していない切欠き(4)が設けられるように貫通部の一部分を配置し、少なくとも、切欠き(4)を形成する貫通部をスクリーン層(1)の結合前にスクリーン層(1)に加工することを特徴とする、繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーンを製造する方法。
【請求項2】
スクリーン層(1)の結合前に全ての貫通部をスクリーン層(1)に加工することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記スクリーンを3つのスクリーン層から製造することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記スクリーンを4つのスクリーン層(1)から製造することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
前記スクリーンを4つより多いスクリーン層(1)から製造することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
切欠き(4)は溝を形成することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
切欠き(4)は盲孔を形成することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
切欠き(4)に表側(2)から突出している妨害条片(5)を位置固定することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
切欠き(4)を繊維材料懸濁液に接触する前記スクリーンの表側(2)の表面の3から50%の間において形成することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
切欠き(4)を繊維材料懸濁液に接触する前記スクリーンの表側(2)の表面の5から30%の間において形成することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記スクリーンの表側(2)を形成するスクリーン層(1)が、他のスクリーン層(1)よりも高い磨耗耐性を有していることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーンであって、該スクリーンは互いに結合されていて、かつ、貫通部を有する少なくとも2つのスクリーン(1)から成っており、前記スクリーンを貫通するスクリーン開口(3)が設けられるように貫通部の少なくとも一部分は配置されている、特に請求項1から11までのいずれか一項記載の繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーンにおいて、
前記スクリーンの表側(2)において前記スクリーンを貫通しない切欠き(4)が設けられるように、貫通部の一部分は配置されていることを特徴とする、繊維材料ウェブ製造に適した繊維材料懸濁液を処理するスクリーン。
【請求項13】
前記スクリーンは3つのスクリーン層(1)から成っていることを特徴とする、請求項12記載のスクリーン。
【請求項14】
前記スクリーンは4つのスクリーン層(1)から成っていることを特徴とする、請求項12記載のスクリーン。
【請求項15】
前記スクリーンは4つより多いスクリーン層(1)から成っていることを特徴とする、請求項12記載のスクリーン。
【請求項16】
切欠き(4)は溝を形成することを特徴とする、請求項12から15までのいずれか一項記載のスクリーン。
【請求項17】
切欠き(4)は盲孔を形成することを特徴とする、請求項12から16までのいずれか一項記載のスクリーン。
【請求項18】
切欠き(4)に表側(2)から突出する妨害条片(5)が位置固定されていることを特徴とする、請求項12から17までのいずれか一項記載のスクリーン。
【請求項19】
切欠き(4)を形成する貫通部を備えたスクリーン層(1)は妨害体として形成されていることを特徴とする、請求項12から16までのいずれか一項記載のスクリーン。
【請求項20】
前記切欠きが、繊維材料懸濁液に接触する前記スクリーンの表側(2)の表面の3から50%の間において形成されていること特徴とする、請求項19記載のスクリーン。
【請求項21】
前記切欠きが、繊維材料懸濁液に接触する前記スクリーンの表側(2)の表面の5から30%の間において形成されていること特徴とする、請求項19記載のスクリーン。
【請求項22】
前記スクリーンの表側(2)を形成するスクリーン層(1)は、他のスクリーン層(1)よりも高い磨耗耐性を有していることを特徴とする、請求項12から21までのいずれか一項記載のスクリーン。
【請求項23】
スクリーン層(1)は1から20mm、有利には1から10mmの厚さを有していることを特徴とする、請求項12から22までのいずれか一項記載のスクリーン。
【請求項24】
前記スクリーンは4から100mm、有利には6から50mmの全体厚さを有していることを特徴とする、請求項12から23までのいずれか一項記載のスクリーン。
【請求項25】
最狭の個所におけるスクリーン開口(3)は1から20mm、有利には4から20mmの大きさを有していることを特徴とする、請求項12から24までのいずれか一項記載のスクリーン。
【請求項26】
前記スクリーンは剛性をもって形成されていることを特徴とする、請求項12から25までのいずれか一項記載のスクリーン。
【請求項27】
スクリーン層(1)は同じ材料から成っていないことを特徴とする、請求項12から26までのいずれか一項記載のスクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−525186(P2010−525186A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504587(P2010−504587)
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051602
【国際公開番号】WO2008/131976
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(506408818)フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (52)
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】