説明

スクロールラップ収容箱

【課題】 本発明は、箱体の中に収めたスクロールラップから、任意の長さのラップフィルムをスムーズ且つ確実に取り出すことが可能なスクロールラップ収容箱を提供することにある。
【解決手段】 箱体1の中に納めるスクロールラップ8から取出口Rを介してラップフィルム13を引き出し、該ラップフィルム13を前記箱体1及び取出口Rを覆う外蓋2に備えた刃部4により、任意の長さに切り取って使用するスクロールラップ収容箱であって、前記箱体1又は外蓋2には、取出口Rから引き出したラップフィルム13を、当該箱体1における外蓋2と重なる箇所Lとの間で挟む押さえ部3を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生鮮食品の保存などに使用されるラップフィルムを巻き取って形成したスクロールラップを収容する箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のスクロールラップは通常、紙製の箱体の中に収められた態様で市販されるものであり、さらに詳細には、ボール紙を折りまげて形成した蓋付きの直方体形状の箱体の中に、前述したスクロールラップを収めるものが一般に広く知られている。
【特許文献1】特開2003−155082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
箱体の取出口を経てスクロールラップから引き出したラップフィルムは、刃部により切り取られるが、この際に当該刃部がラップフィルムの切り取り時の支点も兼ねることから、使用者の把持に伴う外蓋からの押圧力によって、該ラップフィルムが箱体側に強く押し付けられてしまい、結果、ラップフィルムが前記刃部や箱体の取出口の端面などに密着し、このままの状態で使用者が無理にスクロールラップからラップフィルムを切り取ろうとすれば、該ラップフィルムを破ってしまう欠点があった。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであって、箱体の中に収めたスクロールラップから、任意の長さのラップフィルムをスムーズ且つ確実に取り出すことが可能なスクロールラップ収容箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1記載のスクロールラップ収容箱は、箱体の中に納めるスクロールラップから取出口を介してラップフィルムを引き出し、該ラップフィルムを前記箱体及び取出口を覆う外蓋に備えた刃部により、任意の長さに切り取って使用するスクロールラップ収容箱であって、前記箱体又は外蓋には、取出口から引き出したラップフィルムを、当該箱体における外蓋と重なる箇所との間で挟む押さえ部を備えていることを特徴とする。
【0006】
箱体の素材や形状は特に限定するものではなく、この種のものでは一般的なボール紙は勿論、例えば樹脂やアルミ、ベニア板などで箱型、筒型など様々な形状をなすように形成してもよい。さらに押さえ部は、外蓋の開閉を妨げることなく当該外蓋又は箱体のいずれかに備えてあればよい。また押さえ部の形状についても特に限定するものではないが、ラップフィルムの保護の観点から、箱体と外蓋との重なる箇所に沿った蓋あるいは板状をなすものであることが望ましい。
【0007】
以上のように形成すると、箱体の中に収めたスクロールラップから任意の長さのラップフィルムを引き出した際に、外蓋に加わる使用者の把持力などの外力に影響されることなく、箱体と外蓋との間に介在した押さえ部がラップフィルムの表面側に当接し、当該箱体との間でラップフィルムを挟むことになり、切り取りの際には、刃部に対してラップフィルムを強く押し付けることなく、スムーズに切り取ることが可能となる。
【0008】
本発明のうち請求項2記載の発明では、前記押さえ部は、ガイド手段により、少なくとも箱体と外蓋とが重なる箇所に囲まれた範囲内で、前記ラップフィルムに近づく方向と遠ざかる方向とに移動自在に備えてあるので、前記押さえ部が箱体との間でラップフィルムを挟んだ際には、当該押さえ部が、箱体と外蓋との重なる箇所で囲まれた範囲内で移動自在に備えてあることにより、押さえ部の重みのみで当該押さえ部がガイド手段に沿って引き出したラップフィルム側に移動し、該ラップフィルムを箱体の外蓋と重なる箇所との間で柔らかく挟むことになる。
【0009】
ガイド手段は、押さえ部に対して何らかの強制的な力を加えることなく、当該押さえ部の重みのみで引き出したラップフィルムの側に案内できるものであればよく、例えば軸棒を中心として、蓋状に形成した押さえ部が自在に回動するものや、あるいは外蓋を閉じた状態で板状に形成した押さえ部が、前記外蓋と箱体との間に介在したガイドレールに沿って自在にスライドするもの等、様々な手法が考えられる。
【0010】
請求項3記載の発明では、前記箱体と押さえ部との重なる箇所のうちの少なくとも箱体側の箇所は、ラップフィルムの引き出し方向に沿って丸みを帯びているので、箱体と押さえ部との間に挟まれたラップフィルムが、丸みを帯びた前記箱体側の箇所に柔らかくフィットした状態で当接し、該ラップフィルムの保護がなされることになる。
【0011】
ここで重なる箇所が丸みを帯びるとは、スクロールラップから引き出したラップフィルムが外蓋の刃部に接触するまでの経路において、角を有するような箇所に当接しないような形状をいい、具体的には、箱体側に外蓋が閉じた際に断面円形状をなすものや、あるいは箱体における取出口の端面を丸く加工したものなどが挙げられる。
【0012】
請求項4記載の発明では、前記箱体と押さえ部との重なる箇所のうちの一方又は双方には、ラップフィルムとの当接部分が丸みを帯びた突部を備えているので、例えば箱体と押さえ部の双方に前述の突部を有するものであれば、スクロールラップから引き出したラップフィルムの表面側には押さえ部側の突部が当接する一方、当該ラップフィルムの裏面側には箱体側の突部が当接する。従って前記各突部が、ラップフィルムの表裏面側をそれぞれ柔らかく挟み込み、しかも当該各突部によって一定の押圧力を該ラップフィルムに付与することで、ラップフィルムを引き出した任意の長さでの位置決めが確実に行われる。
【0013】
ここで突部の形状は、ラップフィルムとの当接部分が丸みを帯びていれば特に限定するものではなく、例えば箱体及び押さえ部の端部を膨大状に形成したり、あるいは、先端を丸くした突起を備えたものなどが挙げられる。さらに突部を箱体と押さえ部の双方に備える場合、各々が対向する位置関係にあってもよいし、あるいはラップフィルムの引き出し方向の前後に違わせた位置関係にあってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のうち請求項1及び2記載の発明によれば、箱体の取出口から引き出したラップフィルムが、例えるなら手で添えるような柔らかな押圧力によりラップフィルムを挟むので、ラップフィルムに無理な力を加えることなく、任意の長さに確実に切り取ることできる。また押さえ部が常にラップフィルムを挟んでいることで、未使用時の箱体内へのラップフィルムの巻き戻りを防ぐこともできる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、請求項1及び2記載の発明の効果に加えて、ラップフィルムの表裏面に対し、箱体又は/及び押さえ部の丸みを帯びた箇所が柔らかく接触して挟み込むことで、使用時の前記ラップフィルムの保護がなされる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1、2及び3記載の発明の効果に加えて、箱体と押さえ部との間が丸みを帯びた突部によって、ラップフィルムの表裏面に対して、柔らかくフィットした状態を保ちながら点あるいは線接触することにより、ラップフィルムの表面を傷つける不安もなく一層確実な位置決めがなされ、該ラップフィルムの任意の長さでの切り取りが一層好適に行えることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明によるスクロールラップ収容箱の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
本スクロールラップ収容箱の第1実施形態は図1に示すように、スクロールラップ8を収容する円筒状の箱体1と、該箱体1の長手方向に沿って延長したスクロールラップ8からのラップフィルム13の取出口Rと、前記取出口Rを覆う位置で箱体1に開閉可能に備える外蓋2と、該外蓋2と取出口Rとの重なる面19,Lの間に介在する内蓋3とからなっている。
【0018】
前記箱体1は、スクロールラップ8を回転可能に収容できる円筒形状をなしており、この箱体1の周壁には、ラップフィルム13の引き出し方向とは反対側の箇所の約1/4の周壁を切除し、箱体1の中に収めたスクロールラップ8から引き出したラップフィルム13の取出口Rを設けている。また、前記取出口Rよりも箱体1におけるラップフィルム13の引き出し方向側の約1/4の周壁は、ラップフィルム13の引き出し方向側に回動可能に軸支する開閉部5を形成しており、この開閉部5の蝶番7bを介する開け閉めによって箱体1へのスクロールラップ8の出し入れを行えるようになっている。また箱体1の周壁外側中央のやや下側の箇所には凹部6を設けており、この凹部6に使用者が親指や人指し指を掛けて箱体1を把持することで、スクロールラップ8から引き出したラップフィルム13の切り取り時に箱体1を持ちやすくできる(図1参照)。
尚、符号14は脚部であり、未使用時などに本スクロールラップ収容箱を置いた場所から転がらないようにする手段となる。また符号9は係合片で符号10は突起であり、各々は開閉部5を閉じた際に箱体1に係合する手段となる。
【0019】
外蓋2は、前記箱体1の周壁に沿って彎曲した形状をなし、該外蓋2の一端側は蝶番7aにより開け閉めが自在に箱体1に備えてあり、さらに該外蓋2の他端側の端縁には、スクロールラップ8から引き出したラップフィルム13を切り取るための刃部4を備えている。また外蓋2には該外蓋2を閉じた際、箱体1に設けた突起12に係合する爪部11を備えている。また爪部11と突起12との係合する位置は自由に設定してもよく、例えば当該外蓋2を閉じた状態に保つとともに、箱体1と外蓋2の刃部4との間に僅かな隙間を形成し、引き出したラップフィルム13と刃部4とを常に密着しないようにすることもできる。
【0020】
内蓋3は図2(a)(b)及び図3に示すように、前述した外蓋2と同様に箱体1の周壁の丸みに沿って彎曲した形状をなし、その先端側は、取出口R及び前記開閉部5を覆う位置まで延びる一方、この内蓋3の基端側は、箱体1の上部において外蓋2の軸支してある箇所から取出口R寄りの箇所に、その開閉する方向を外蓋2と同じとなるように軸棒15により軸支してある。さらに内蓋3の先端側の端縁は、下面側が丸みを帯びた膨大部16を備えており、スクロールラップ8から任意の長さのラップフィルム13を引き出した際には、引き出されたラップフィルム13の表面側に前記膨大部16が押し当てられることで、ラップフィルム13の表面を傷つけることなく該ラップフィルム13の位置決めを行え、この位置決めした状態を保ちながら刃部4によって、任意の長さのラップフィルム13の確実な切り取りを行える。また、開閉部5における取出口R側の端縁においても膨大部17を設けてあれば、各膨大部16,17によりラップフィルム13を表裏面から挟むように位置決めでき、一層確実な位置決めの作用を呈するようになる。
【0021】
本スクロールラップ収容箱を以上のように形成することにより、図3に示すように、箱体1に収めたスクロールラップ8から任意の長さのラップフィルム13を取出口Rから引き出した際、内蓋3と開閉部5との重なる箇所18,Lがそれぞれ丸みを帯び、しかも双方に先端が丸みを帯びた棒大部16,17を備えていることで、ラップフィルム13の表裏面のそれぞれに柔らかく当接し、さらに前記内蓋3によるラップフィルム13への押圧力については、外蓋2に加わる使用者の把持力などに影響されることなく、内蓋3の重みのみでラップフィルム13に当接し、このことから前記内蓋3により引き出した状態でのラップフィルム13の位置決めの作用を呈しつつも、ラップフィルム13には無理な力が加わらない構成となる。
【0022】
また図4は、本スクロールラップ収容箱の第2実施形態を示すものであり、ここでは前述した第1実施形態の構成と相違する部分のみを説明する。
このスクロールラップ収容箱では、取出口Rから引き出したラップフィルム13に対し、押さえ片22で挟むものであり、具体的に前記押さえ片22は、外蓋2に備えたガイドレール20に突起21を介して取り付けてある。これにより押さえ片22は、前記ガイドレール20に沿って、引き出したラップフィルム13に近づく方向と離れる方向とに移動自在に案内されることになり、外蓋2を箱体1側に閉じた際には、押さえ片22がガイドレール20に沿って自然に摺動し、ラップフィルム13の表面側に当接するが、該ラップフィルム13に加わる押圧力は前記押さえ片22の重量によるもののみとなり、結果、前述した第1実施形態のものと同様、ラップフィルム13に押さえ片22から無理な力が加わらない構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のスクロールラップ収容箱において各部を開いた状態を示す斜視図である。
【図2(a)(b)】本スクロールラップ収容箱の縦断面図である。
【図3】図2(a)中Aを拡大して示す縦断面図である。
【図4】本スクロールラップ収容箱の他の実施形態を示し、その主要部を拡大した縦断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 箱体
2 外蓋
3 内蓋(押さえ部)
4 刃部
8 スクロールラップ
13 ラップフィルム
15 軸棒(ガイド手段)
16 内蓋側膨大部(突部)
17 開閉部側膨大部(突部)
L,18,19 重なる箇所
20 ガイドレール(ガイド手段)
22 押さえ片(押さえ部)
R 取出口
S 範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体(1)の中に納めるスクロールラップ(8)から取出口(R)を介してラップフィルム(13)を引き出し、該ラップフィルム(13)を前記箱体(1)及び取出口(R)を覆う外蓋(2)に備えた刃部(4)により、任意の長さに切り取って使用するスクロールラップ収容箱であって、
前記箱体(1)又は外蓋(2)には、取出口(R)から引き出したラップフィルム(13)を、当該箱体(1)における外蓋(2)と重なる箇所(L)との間で挟む押さえ部(3)を備えていることを特徴とするスクロールラップ収容箱。
【請求項2】
前記押さえ部(3)は、ガイド手段(15,20)により、少なくとも箱体(1)と外蓋(2)とが重なる箇所(19,L)に囲まれた範囲(S)内で、前記ラップフィルム(13)に近づく方向と遠ざかる方向とに移動自在に備えてあることを特徴とする請求項1記載のスクロールラップ収容箱。
【請求項3】
前記箱体(1)と押さえ部(3)との重なる箇所(18,L)のうち、少なくとも箱体(1)側の箇所(L)は、ラップフィルム(13)の引き出し方向に沿って丸みを帯びていることを特徴とする請求項1又は2記載のスクロールラップ収容箱。
【請求項4】
前記箱体(1)と押さえ部(3)との重なる箇所(18,L)のうちの一方(18又はL)又は双方(18,L)には、ラップフィルム(13)との当接部分が丸みを帯びた突部(16,17)を備えていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のスクロールラップ収容箱。

【図1】
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【図2(a)(b)】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−347618(P2006−347618A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179470(P2005−179470)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(594144326)
【Fターム(参考)】