スクロール型圧縮機
【課題】可動スクロールの旋回半径を任意に小径化できる自転防止機構を備えたスクロール型圧縮機を提供する。
【解決手段】外部動力の回転力がスクロール公転機構に伝達されたときは、可動スクロール12が公転旋回運動を行なう。この可動スクロール12の公転旋回運動の際、可動スクロール12に自転力が付加されるが、この自転力が可動ピン21に伝達され、可動ピン21が突起拘束部材22の軸心を中心にして回転する。これにより、可動スクロール12の自転力が可動ピン21の旋回運動に変換され、可動スクロール12の自転が防止される。また、可動スクロール12の旋回半径を小さくするときは、突起受容穴22aの設置位置を突起拘束部材22の軸心に近づければよい。
【解決手段】外部動力の回転力がスクロール公転機構に伝達されたときは、可動スクロール12が公転旋回運動を行なう。この可動スクロール12の公転旋回運動の際、可動スクロール12に自転力が付加されるが、この自転力が可動ピン21に伝達され、可動ピン21が突起拘束部材22の軸心を中心にして回転する。これにより、可動スクロール12の自転力が可動ピン21の旋回運動に変換され、可動スクロール12の自転が防止される。また、可動スクロール12の旋回半径を小さくするときは、突起受容穴22aの設置位置を突起拘束部材22の軸心に近づければよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可動スクロールと固定スクロールをかみ合わせ、可動スクロールを公転旋回運動させて流体を圧縮するスクロール型圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスクロール型圧縮機として、例えば特許文献1,2に記載されたものが知られている。
【0003】
このスクロール型圧縮機は、固定側板の一側面に立設した渦巻き状の固定壁を有する固定スクロールと、可動側板の一側面に立設した渦巻き状の可動壁を有する可動スクロールと、可動スクロールの自転運動を阻止する自転防止機構とを備えた構造となっている。
【0004】
ここで、自転防止機構の一例として図10及び図11に示すものが知られている。この自転防止機構1は可動スクロール2に圧入された突起(可動ピン2a)と、スクロール公転機構のハウジング3に同じく圧入された突起(固定ピン3a)と、各ピン2a,3aを拘束する突起拘束部材4とから構成されている。突起拘束部材4はその中心を間にして2個の突起受容穴4a,4bを有し、各突起受容穴4a,4bに各ピン2a,3aが遊嵌状態で挿入されている。
【0005】
この自転防止機構1によれば、可動スクロール2が公転運動する際、可動スクロール2に自転力が付加されるが、この自転力が固定ピン3aを中心とする可動ピン2aの旋回運動に変換され、可動スクロール2の自転防止され、かつ、可動スクロール2の公転半径の長さが規制される。ここで、可動ピン2aの半径をR1a、固定ピン3aの半径をR2a、可動ピン2aの旋回半径をR0aとするとき、図11に示すように、
R0a>R1a+R2a
の条件を満足していなければならない。
【0006】
また、自転防止機構の他の例として図12及び図13に示すものが知られている。この自転防止機構1’は可動スクロール2に圧入された突起(可動ピン2a)と、スクロール公転機構のハウジング3に同じく圧入された突起(固定ピン3a)と、各ピン2a,3aを拘束する突起拘束部材4’とから構成されている。突起拘束部材4’は環状に形成され、内側に各ピン2a,3aが挿入される1個の突起受容穴4cを有している。
【0007】
この自転防止機構1’によれば、可動スクロール2が公転運動する際、可動スクロール2に自転力が付加されるが、この自転力が固定ピン3aを中心として可動ピン2aの旋回運動に変換され、可動スクロール2の自転防止され、かつ、可動スクロール2の公転半径の長さが規制される。ここで、可動ピン2aの半径をR1b、固定ピン3aの半径をR2b、可動ピン2bの旋回半径R0bとするとき、図13に示すように、
R0b>R1b+R2b
の条件を満足していなければならない。
【0008】
以上のように、自転防止機構1,1’の何れにおいても、旋回半径R0a,R0bは、可動ピン2a,3aの半径R1a,R1bと固定ピン2b,3bの半径R2a,R2bとの和より大きくなければならない。
【特許文献1】特開2000−230487号公報
【特許文献2】特開2001−132670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、冷媒としてフロンを使用する圧縮機においては、冷媒吐出容量が大きなものとなっているため、可動スクロール2(可動ピン2a)の旋回半径R0a,R0bもその分大きく、前記従来の自転防止機構を使用したものでも支障はない。
【0010】
一方、冷媒として二酸化酸素を使用する圧縮機では、冷媒吐出容量がそれの1/5〜1/8となっているため、可動スクロール2(可動ピン2a)の旋回半径R0a,R0bとして小さなものが必要となる。
【0011】
しかしながら、前記従来の自転防止機構では、前述の如く、旋回半径R0a,R0bが可動ピン半径R1a,R1bと固定ピン半径R2a,R2bとの和より大きくする必要があり、旋回半径R0a,R0bの小径化にも限界があり、二酸化炭素冷媒の圧縮機に適したものとなっていなかった。
【0012】
本発明の目的は前記従来の課題に鑑み、可動スクロールの旋回半径を任意に小径化できる自転防止機構を備えたスクロール型圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前記課題を解決するため、請求項1の発明は、固定側板の一側面に立設した渦巻き状の固定壁を有する固定スクロールと、可動側板の一側面に立設した渦巻き状の可動壁を有する可動スクロールと、固定壁と可動壁とをかみ合わせた状態で可動スクロールを公転旋回運動させるスクロール公転機構と、可動スクロールの他側面に対向する部位を有するフロントハウジングと、可動スクロールの自転運動を阻止する自転防止機構とを備えたスクロール型圧縮機において、自転防止機構は、可動側板の他側面から突出する突起と、突起を摺動させながら可動側板の半径方向への変位を許容しつつ最大変位を規制する摺動接触部を備えた突起拘束部材と、フロントハウジングの対向部位に形成され突起拘束部材を摺動接触可能に収容する凹部とを有する構造となっている。
【0014】
請求項1の発明によれば、可動スクロールが公転運動する際、可動スクロールに自転力が付加される。この自転力が突起拘束部材の軸心を中心とする突起の旋回運動に変換され、これにより、可動スクロールの自転が防止される。また、可動スクロール(突起)の旋回半径は突起拘束部材の軸心と突起の軸心との距離となる。この距離は限りなく小さくできるので、これにより、可動スクロールの旋回半径を任意に小さくすることができる。
【0015】
請求項2の発明は、固定側板の一側面に立設した渦巻き状の固定壁を有する固定スクロールと、可動側板の一側面に立設した渦巻き状の可動壁を有する可動スクロールと、固定壁と該可動壁とをかみ合わせた状態で可動スクロールを公転旋回運動させるスクロール公転機構と、可動スクロールの他側面に対向する部位を有するフロントハウジングと、可動スクロールの自転運動を阻止する自転防止機構とを備えたスクロール型圧縮機において、自転防止機構は、フロントハウジングの対向部位から突出する突起と、突起を摺動させながら可動スクロールの半径方向への変位を許容しつつ最大変位を規制する摺動接触部を備えた突起拘束部材と、可動スクロールの他側面に形成され突起拘束部材を摺動接触可能に収容する凹部とを有する構造となっている。
【0016】
請求項2の発明によれば、可動スクロールが公転運動する際、可動スクロールに自転力が付加される。この自転力により突起拘束部材が突起を中心とする旋回運動(相対的には突起拘束部材の軸心を中心とする突起の旋回運動)に変換され、これにより、可動スクロールの自転が防止される。また、可動スクロール(突起)の旋回半径は突起拘束部材の軸心と突起の軸心との距離となる。この距離は限りなく小さくできるので、これにより、可動スクロールの旋回半径を任意に小さくすることができる。
【0017】
なお、突起拘束部材と突起受容穴との軸心が一致していないもの(請求項3)、或いは、一致しているもの(請求項4)、これら何れであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、可動スクロールの旋回半径を小さくでき、二酸化炭素冷媒のスクロール型圧縮機を実現することができる。また、自転防止機構の部品点数も少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1乃至図3は本発明に係るスクロール型圧縮機の第1実施形態を示すもので、図1はスクロール型圧縮機の断面図、図2は自転防止機構の拡大断面図、図3は図2のC−C線矢視方向の断面図である。
【0020】
まず、図1を参照して、スクロール型圧縮機の概略構造を説明する。スクロール型圧縮機10は例えば二酸化炭素冷媒を使用するもので、冷媒を圧縮する固定スクロール11及び可動スクロール12と、該可動スクロール12を公転旋回運動させるスクロール公転機構13と、スクロール公転機構13に外部動力を断続して伝達する電磁クラッチ14とを有している。ここで、スクロール公転機構13はフロントハウジング15に収容されている。また、固定スクロール11及び可動スクロール12はリアハウジング16に収容されている。
【0021】
固定クロール11は、円盤状の固定側板111と、固定側板111の一側面111aから立設された渦巻き状の固定壁112とを有している。ここで、固定側板111の他側面とリアハウジング16との間には冷媒の吐出室161が形成され、また、固定側板111には圧縮冷媒を吐出室161に向かって吐出する吐出口111bが形成されている。この吐出室161に吐出された圧縮冷媒は図示しない冷媒回路に供給される。
【0022】
可動スクロール12は、円盤状の可動側板121と、可動側板121の一側面121aから立設された渦巻き状の可動壁122とを有している。この可動壁122は、固定スクロール11の固定壁112にかみ合わせるよう配置され、可動スクロール12の公転旋回運動により固定壁112と可動壁122との間に圧縮空間が形成される。なお、可動壁122の外側には図示しないが冷媒の吸入口を有し、各壁112,122の外側周縁側から各壁112,122の内側に冷媒を導くようになっている。
【0023】
スクロール公転機構13は、カウンタウェイト131が固定された駆動ブッシュ132と、駆動ブッシュ132に偏心ピン133を介して連結したクランク134と、クランク134と電磁クラッチ14に連結した主軸135とを有している。また、駆動ブッシュ132は可動側板121の他側面121bに軸受け136を介して填り込んでいる。ここで、電磁クラッチ14が励磁され、外部動力が主軸135に伝達されると主軸135が回転する。この主軸135の回転力がクランク134及び偏心ピン133を通じて駆動ブッシュ132に伝達され、可動スクロール12が公転運動を行なう。
【0024】
以上のような構成は前記従来のスクロール型圧縮機においても同様であり、可動スクロール12の公転運動により各壁112,122間に冷媒が吸入され、更に各壁112,122で取り囲んだ圧縮空間を順次減少させて冷媒の圧力を上昇させるよう構成されている。
【0025】
本実施形態に係るスクロール型圧縮機1の特徴点は、可動スクロール12の自転を防止する自転防止機構20の構造にある。この自転防止機構20の構造を主に図2及び図3を参照して説明する。
【0026】
自転防止機構20は、可動側板121の他側面121bとこれに対向するフロントハウジング15の内面(対向面)15aとの間に設置されたもので、可動側板121の周縁に沿って周方向に複数設置されている。また、自転防止機構20は他側面121aから突出した円柱状の可動ピン21と、可動ピン21に連係した円盤状の突起拘束部材22と、突起拘束部材22を収容した有底円筒状の凹部23とを有している。なお、可動ピン21は可動側板121の他側面121bから突出して突起状態となっていれば足り、可動ピン21に限るものではない。
【0027】
この可動ピン21は主軸135の軸方向に沿って設置されている。可動ピン21の一端側が可動側板121の取り付け穴25に圧入され、可動ピン21の中央から他端側が突起拘束部材22に挿入されている。
【0028】
突起拘束部材22には可動ピン21が挿入される突起受容穴22aが形成されている。突起受容穴22aの孔開け位置は突起拘束部材22の軸心から離隔した位置に形成されている。また、突起受容穴22aの内径が可動ピン21の外径よりも僅かに大きく形成しており、可動ピン21が突起受容穴22aに遊嵌状態で挿入されている。また、可動ピン21が可動スクロール12の公転旋回運動する際は、突起受容穴22aの内周面に可動ピン21が摺動接触し、これにより、突起受容穴22aの内周面が可動ピン21の摺動接触部22bとなっている。
【0029】
凹部23はフロントハウジング15の内面15aに有底筒状に形成されている。凹部23の内径が突起拘束部材22の外径より僅かに大きくなっており、これにより、突起拘束部材22が凹部23の内面に摺動接触して回動可能となっている。
【0030】
本実施形態によれば、外部動力の回転力がスクロール公転機構13に伝達されたときは、可動スクロール12が公転旋回運動を行なう。この可動スクロール12の公転旋回運動の際、可動スクロール12に自転力が付加されるが、この自転力が可動ピン21に伝達され、可動ピン21が突起拘束部材22の軸心を中心に回転する。これにより、可動スクロール12の自転力が可動ピン21の旋回運動に変換され、可動スクロール12の自転が防止される。
【0031】
また、突起受容穴22aと可動ピン21との間隙、並びに、突起拘束部材22と凹部23との間隙により多少の誤差はあるが、図3に示すように、概ね、可動ピン21の旋回半径R0c1が可動ピン21の軸心と突起拘束部材22の軸心との距離となる。これにより、可動スクロール12の最大変位が旋回半径R0c1に規制される。
【0032】
更に、可動ピン21が挿入或いは圧入される、突起受容穴22a及び取り付け穴23の設置位置を変えれば、可動ピン21の軸心と突起拘束部材22の軸心との距離も同じく変わる。特に、可動スクロール12の旋回半径R0c1を小さくするときは、突起受容穴22a(及び取り付け穴25)の設置位置を図3の2点鎖線に示すように突起拘束部材22の中心に近づければよく、これにより、可動スクロール12の旋回半径をR0c1からR0c2に変更することができる(R0c1>R0c2)。
【0033】
図4乃至図5は本発明に係るスクロール型圧縮機の第2実施形態を示すもので、図4は自転防止機構の断面図、図5は図2のD−D矢視方向の断面図である。なお、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0034】
本実施形態は前記第1実施形態に係る突起拘束部材22とは異なる他の突起拘束部材24を採用した。即ち、本実施形態に係る突起拘束部材24は、その突起受容穴24aの摺動接触部24bが突起拘束部材24の軸心を中心に円状に形成されている。ここで、可動スクロール12に外部動力が伝達されるとき、可動ピン21が摺動接触部24bに摺動接触して公転する。従って、可動ピン21(可動スクロール12)の旋回半径R0d1が可動ピン21の軸心と突起受容穴24aの軸心との距離となる。
【0035】
ここで、可動スクロール12の旋回半径R0d1を変更するときは、突起受容穴24aの半径を変更すればよい。例えば、可動スクロール12の旋回半径R0d2を小さく設定するときは、図5の2点鎖線に示すように突起受容穴24aの半径を小さくすればよい(R0d1>R0d2)。このように、突起受容穴24aを小径化することにより、可動スクロール12の旋回半径R0d1,R0d2を限りなく小さくすることができる。なお、その他の構成、作用は前記第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0036】
図6は本発明に係るスクロール型圧縮機の第3実施形態を示すものである。なお、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0037】
前記第1実施形態に係る突起受容穴22aは有底筒状に形成されている。これに対して、本実施形態に係る突起受容穴22a’は突起拘束部材22’の軸方向に貫通した構造となっている。本実施形態によれば、可動ピン21’が突起拘束部材22’全体に貫通し、可動ピン21’と突起受容穴22a’との対向面積が大きくなるため、可動ピン21’が傾くことなく円滑に自転する。なお、その他の構成、作用は前記第1実施形態と同様である。
【0038】
図7は本発明に係るスクロール型圧縮機の第4実施形態を示すものである。なお、前記第2実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0039】
前記第2実施形態に係る大径の突起受容穴24aは有底筒状に形成されている。これに対して、本実施形態に係る突起受容穴24a’は突起拘束部材22の軸方向に貫通した構造となっている。本実施形態によれば、可動ピン21’が突起拘束部材24’全体に貫通し、可動ピン21’と突起受容穴22a’との対向面積が大きくなるため、これまた、可動ピン21’が傾くことなく円滑に自転する。なお、その他の構成、作用は前記第2実施形態と同様である。
【0040】
図8は本発明に係るスクロール型圧縮機の第5実施形態を示すものである。なお、前記第3実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0041】
前記第3実施形態では、可動ピン21’を可動側板121に固着する一方、突起拘束部材22を収容する凹部23をフロントハウジング15に形成している。これに対して、本実施形態ではこれとは逆に、可動ピストン21’をフロントハウジング15に固着する一方、凹部23’を可動側板121の他側面121bに形成した構造となっている。
【0042】
本実施形態によれば、可動スクロール12が公転運動する際、可動スクロール12に自転力が付加される。この自転力により突起拘束部材22’が可動ピン21’を中心とする旋回運動(相対的には突起拘束部材22’の軸心を中心とする可動ピン21’の旋回運動)に変換され、これにより、可動スクロール12の自転が防止される。なお、その他の構成、作用は前記第3実施形態と同様である。
【0043】
図9は本発明に係るスクロール型圧縮機の第6実施形態を示すものである。なお、前記第4実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0044】
前記第4実施形態では、可動ピン21’を可動側板121に固着する一方、突起拘束部材24’を収容する凹部23をフロントハウジング15に形成している。これに対して、本実施形態ではこれとは逆に、可動ピストン21’をフロントハウジング15に固着する一方、凹部23’を可動側板121の他側面121bに形成した構造となっている。
【0045】
本実施形態によれば、可動スクロール12が公転運動する際、可動スクロール12に自転力が付加される。この自転力により突起拘束部材22が可動ピン21’を中心とする旋回運動(相対的には突起拘束部材24’の軸心を中心とする可動ピン21’の旋回運動)に変換され、これにより、可動スクロール12の自転が防止される。なお、その他の構成、作用は前記第4実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】スクロール型圧縮機の断面図
【図2】第1実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図3】図2のC−C線矢視方向の断面図
【図4】第2実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図5】図4のD−D線矢視方向の断面図
【図6】第3実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図7】第4実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図8】第5実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図9】第6実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図10】従来の自転防止機構の一例を示す断面図、
【図11】図10のA−A線矢視方向の断面図
【図12】従来の自転防止機構の他の例を示す断面図、
【図13】図12のB−B線矢視方向の断面図
【符号の説明】
【0047】
10…スクロール型圧縮機、11…固定スクロール、12…可動スクロール、13…スクロール公転機構、20…自転防止機構、21、21’…可動ピン、22,22’,24,24’…突起拘束部材、22a,22a’,24a,24a’…突起受容穴、22b,24b…摺動接触部、23,23’…凹部、R0c1,R0c2,R0d1,R0d2…旋回半径
【技術分野】
【0001】
本発明は可動スクロールと固定スクロールをかみ合わせ、可動スクロールを公転旋回運動させて流体を圧縮するスクロール型圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスクロール型圧縮機として、例えば特許文献1,2に記載されたものが知られている。
【0003】
このスクロール型圧縮機は、固定側板の一側面に立設した渦巻き状の固定壁を有する固定スクロールと、可動側板の一側面に立設した渦巻き状の可動壁を有する可動スクロールと、可動スクロールの自転運動を阻止する自転防止機構とを備えた構造となっている。
【0004】
ここで、自転防止機構の一例として図10及び図11に示すものが知られている。この自転防止機構1は可動スクロール2に圧入された突起(可動ピン2a)と、スクロール公転機構のハウジング3に同じく圧入された突起(固定ピン3a)と、各ピン2a,3aを拘束する突起拘束部材4とから構成されている。突起拘束部材4はその中心を間にして2個の突起受容穴4a,4bを有し、各突起受容穴4a,4bに各ピン2a,3aが遊嵌状態で挿入されている。
【0005】
この自転防止機構1によれば、可動スクロール2が公転運動する際、可動スクロール2に自転力が付加されるが、この自転力が固定ピン3aを中心とする可動ピン2aの旋回運動に変換され、可動スクロール2の自転防止され、かつ、可動スクロール2の公転半径の長さが規制される。ここで、可動ピン2aの半径をR1a、固定ピン3aの半径をR2a、可動ピン2aの旋回半径をR0aとするとき、図11に示すように、
R0a>R1a+R2a
の条件を満足していなければならない。
【0006】
また、自転防止機構の他の例として図12及び図13に示すものが知られている。この自転防止機構1’は可動スクロール2に圧入された突起(可動ピン2a)と、スクロール公転機構のハウジング3に同じく圧入された突起(固定ピン3a)と、各ピン2a,3aを拘束する突起拘束部材4’とから構成されている。突起拘束部材4’は環状に形成され、内側に各ピン2a,3aが挿入される1個の突起受容穴4cを有している。
【0007】
この自転防止機構1’によれば、可動スクロール2が公転運動する際、可動スクロール2に自転力が付加されるが、この自転力が固定ピン3aを中心として可動ピン2aの旋回運動に変換され、可動スクロール2の自転防止され、かつ、可動スクロール2の公転半径の長さが規制される。ここで、可動ピン2aの半径をR1b、固定ピン3aの半径をR2b、可動ピン2bの旋回半径R0bとするとき、図13に示すように、
R0b>R1b+R2b
の条件を満足していなければならない。
【0008】
以上のように、自転防止機構1,1’の何れにおいても、旋回半径R0a,R0bは、可動ピン2a,3aの半径R1a,R1bと固定ピン2b,3bの半径R2a,R2bとの和より大きくなければならない。
【特許文献1】特開2000−230487号公報
【特許文献2】特開2001−132670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、冷媒としてフロンを使用する圧縮機においては、冷媒吐出容量が大きなものとなっているため、可動スクロール2(可動ピン2a)の旋回半径R0a,R0bもその分大きく、前記従来の自転防止機構を使用したものでも支障はない。
【0010】
一方、冷媒として二酸化酸素を使用する圧縮機では、冷媒吐出容量がそれの1/5〜1/8となっているため、可動スクロール2(可動ピン2a)の旋回半径R0a,R0bとして小さなものが必要となる。
【0011】
しかしながら、前記従来の自転防止機構では、前述の如く、旋回半径R0a,R0bが可動ピン半径R1a,R1bと固定ピン半径R2a,R2bとの和より大きくする必要があり、旋回半径R0a,R0bの小径化にも限界があり、二酸化炭素冷媒の圧縮機に適したものとなっていなかった。
【0012】
本発明の目的は前記従来の課題に鑑み、可動スクロールの旋回半径を任意に小径化できる自転防止機構を備えたスクロール型圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前記課題を解決するため、請求項1の発明は、固定側板の一側面に立設した渦巻き状の固定壁を有する固定スクロールと、可動側板の一側面に立設した渦巻き状の可動壁を有する可動スクロールと、固定壁と可動壁とをかみ合わせた状態で可動スクロールを公転旋回運動させるスクロール公転機構と、可動スクロールの他側面に対向する部位を有するフロントハウジングと、可動スクロールの自転運動を阻止する自転防止機構とを備えたスクロール型圧縮機において、自転防止機構は、可動側板の他側面から突出する突起と、突起を摺動させながら可動側板の半径方向への変位を許容しつつ最大変位を規制する摺動接触部を備えた突起拘束部材と、フロントハウジングの対向部位に形成され突起拘束部材を摺動接触可能に収容する凹部とを有する構造となっている。
【0014】
請求項1の発明によれば、可動スクロールが公転運動する際、可動スクロールに自転力が付加される。この自転力が突起拘束部材の軸心を中心とする突起の旋回運動に変換され、これにより、可動スクロールの自転が防止される。また、可動スクロール(突起)の旋回半径は突起拘束部材の軸心と突起の軸心との距離となる。この距離は限りなく小さくできるので、これにより、可動スクロールの旋回半径を任意に小さくすることができる。
【0015】
請求項2の発明は、固定側板の一側面に立設した渦巻き状の固定壁を有する固定スクロールと、可動側板の一側面に立設した渦巻き状の可動壁を有する可動スクロールと、固定壁と該可動壁とをかみ合わせた状態で可動スクロールを公転旋回運動させるスクロール公転機構と、可動スクロールの他側面に対向する部位を有するフロントハウジングと、可動スクロールの自転運動を阻止する自転防止機構とを備えたスクロール型圧縮機において、自転防止機構は、フロントハウジングの対向部位から突出する突起と、突起を摺動させながら可動スクロールの半径方向への変位を許容しつつ最大変位を規制する摺動接触部を備えた突起拘束部材と、可動スクロールの他側面に形成され突起拘束部材を摺動接触可能に収容する凹部とを有する構造となっている。
【0016】
請求項2の発明によれば、可動スクロールが公転運動する際、可動スクロールに自転力が付加される。この自転力により突起拘束部材が突起を中心とする旋回運動(相対的には突起拘束部材の軸心を中心とする突起の旋回運動)に変換され、これにより、可動スクロールの自転が防止される。また、可動スクロール(突起)の旋回半径は突起拘束部材の軸心と突起の軸心との距離となる。この距離は限りなく小さくできるので、これにより、可動スクロールの旋回半径を任意に小さくすることができる。
【0017】
なお、突起拘束部材と突起受容穴との軸心が一致していないもの(請求項3)、或いは、一致しているもの(請求項4)、これら何れであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、可動スクロールの旋回半径を小さくでき、二酸化炭素冷媒のスクロール型圧縮機を実現することができる。また、自転防止機構の部品点数も少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1乃至図3は本発明に係るスクロール型圧縮機の第1実施形態を示すもので、図1はスクロール型圧縮機の断面図、図2は自転防止機構の拡大断面図、図3は図2のC−C線矢視方向の断面図である。
【0020】
まず、図1を参照して、スクロール型圧縮機の概略構造を説明する。スクロール型圧縮機10は例えば二酸化炭素冷媒を使用するもので、冷媒を圧縮する固定スクロール11及び可動スクロール12と、該可動スクロール12を公転旋回運動させるスクロール公転機構13と、スクロール公転機構13に外部動力を断続して伝達する電磁クラッチ14とを有している。ここで、スクロール公転機構13はフロントハウジング15に収容されている。また、固定スクロール11及び可動スクロール12はリアハウジング16に収容されている。
【0021】
固定クロール11は、円盤状の固定側板111と、固定側板111の一側面111aから立設された渦巻き状の固定壁112とを有している。ここで、固定側板111の他側面とリアハウジング16との間には冷媒の吐出室161が形成され、また、固定側板111には圧縮冷媒を吐出室161に向かって吐出する吐出口111bが形成されている。この吐出室161に吐出された圧縮冷媒は図示しない冷媒回路に供給される。
【0022】
可動スクロール12は、円盤状の可動側板121と、可動側板121の一側面121aから立設された渦巻き状の可動壁122とを有している。この可動壁122は、固定スクロール11の固定壁112にかみ合わせるよう配置され、可動スクロール12の公転旋回運動により固定壁112と可動壁122との間に圧縮空間が形成される。なお、可動壁122の外側には図示しないが冷媒の吸入口を有し、各壁112,122の外側周縁側から各壁112,122の内側に冷媒を導くようになっている。
【0023】
スクロール公転機構13は、カウンタウェイト131が固定された駆動ブッシュ132と、駆動ブッシュ132に偏心ピン133を介して連結したクランク134と、クランク134と電磁クラッチ14に連結した主軸135とを有している。また、駆動ブッシュ132は可動側板121の他側面121bに軸受け136を介して填り込んでいる。ここで、電磁クラッチ14が励磁され、外部動力が主軸135に伝達されると主軸135が回転する。この主軸135の回転力がクランク134及び偏心ピン133を通じて駆動ブッシュ132に伝達され、可動スクロール12が公転運動を行なう。
【0024】
以上のような構成は前記従来のスクロール型圧縮機においても同様であり、可動スクロール12の公転運動により各壁112,122間に冷媒が吸入され、更に各壁112,122で取り囲んだ圧縮空間を順次減少させて冷媒の圧力を上昇させるよう構成されている。
【0025】
本実施形態に係るスクロール型圧縮機1の特徴点は、可動スクロール12の自転を防止する自転防止機構20の構造にある。この自転防止機構20の構造を主に図2及び図3を参照して説明する。
【0026】
自転防止機構20は、可動側板121の他側面121bとこれに対向するフロントハウジング15の内面(対向面)15aとの間に設置されたもので、可動側板121の周縁に沿って周方向に複数設置されている。また、自転防止機構20は他側面121aから突出した円柱状の可動ピン21と、可動ピン21に連係した円盤状の突起拘束部材22と、突起拘束部材22を収容した有底円筒状の凹部23とを有している。なお、可動ピン21は可動側板121の他側面121bから突出して突起状態となっていれば足り、可動ピン21に限るものではない。
【0027】
この可動ピン21は主軸135の軸方向に沿って設置されている。可動ピン21の一端側が可動側板121の取り付け穴25に圧入され、可動ピン21の中央から他端側が突起拘束部材22に挿入されている。
【0028】
突起拘束部材22には可動ピン21が挿入される突起受容穴22aが形成されている。突起受容穴22aの孔開け位置は突起拘束部材22の軸心から離隔した位置に形成されている。また、突起受容穴22aの内径が可動ピン21の外径よりも僅かに大きく形成しており、可動ピン21が突起受容穴22aに遊嵌状態で挿入されている。また、可動ピン21が可動スクロール12の公転旋回運動する際は、突起受容穴22aの内周面に可動ピン21が摺動接触し、これにより、突起受容穴22aの内周面が可動ピン21の摺動接触部22bとなっている。
【0029】
凹部23はフロントハウジング15の内面15aに有底筒状に形成されている。凹部23の内径が突起拘束部材22の外径より僅かに大きくなっており、これにより、突起拘束部材22が凹部23の内面に摺動接触して回動可能となっている。
【0030】
本実施形態によれば、外部動力の回転力がスクロール公転機構13に伝達されたときは、可動スクロール12が公転旋回運動を行なう。この可動スクロール12の公転旋回運動の際、可動スクロール12に自転力が付加されるが、この自転力が可動ピン21に伝達され、可動ピン21が突起拘束部材22の軸心を中心に回転する。これにより、可動スクロール12の自転力が可動ピン21の旋回運動に変換され、可動スクロール12の自転が防止される。
【0031】
また、突起受容穴22aと可動ピン21との間隙、並びに、突起拘束部材22と凹部23との間隙により多少の誤差はあるが、図3に示すように、概ね、可動ピン21の旋回半径R0c1が可動ピン21の軸心と突起拘束部材22の軸心との距離となる。これにより、可動スクロール12の最大変位が旋回半径R0c1に規制される。
【0032】
更に、可動ピン21が挿入或いは圧入される、突起受容穴22a及び取り付け穴23の設置位置を変えれば、可動ピン21の軸心と突起拘束部材22の軸心との距離も同じく変わる。特に、可動スクロール12の旋回半径R0c1を小さくするときは、突起受容穴22a(及び取り付け穴25)の設置位置を図3の2点鎖線に示すように突起拘束部材22の中心に近づければよく、これにより、可動スクロール12の旋回半径をR0c1からR0c2に変更することができる(R0c1>R0c2)。
【0033】
図4乃至図5は本発明に係るスクロール型圧縮機の第2実施形態を示すもので、図4は自転防止機構の断面図、図5は図2のD−D矢視方向の断面図である。なお、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0034】
本実施形態は前記第1実施形態に係る突起拘束部材22とは異なる他の突起拘束部材24を採用した。即ち、本実施形態に係る突起拘束部材24は、その突起受容穴24aの摺動接触部24bが突起拘束部材24の軸心を中心に円状に形成されている。ここで、可動スクロール12に外部動力が伝達されるとき、可動ピン21が摺動接触部24bに摺動接触して公転する。従って、可動ピン21(可動スクロール12)の旋回半径R0d1が可動ピン21の軸心と突起受容穴24aの軸心との距離となる。
【0035】
ここで、可動スクロール12の旋回半径R0d1を変更するときは、突起受容穴24aの半径を変更すればよい。例えば、可動スクロール12の旋回半径R0d2を小さく設定するときは、図5の2点鎖線に示すように突起受容穴24aの半径を小さくすればよい(R0d1>R0d2)。このように、突起受容穴24aを小径化することにより、可動スクロール12の旋回半径R0d1,R0d2を限りなく小さくすることができる。なお、その他の構成、作用は前記第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0036】
図6は本発明に係るスクロール型圧縮機の第3実施形態を示すものである。なお、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0037】
前記第1実施形態に係る突起受容穴22aは有底筒状に形成されている。これに対して、本実施形態に係る突起受容穴22a’は突起拘束部材22’の軸方向に貫通した構造となっている。本実施形態によれば、可動ピン21’が突起拘束部材22’全体に貫通し、可動ピン21’と突起受容穴22a’との対向面積が大きくなるため、可動ピン21’が傾くことなく円滑に自転する。なお、その他の構成、作用は前記第1実施形態と同様である。
【0038】
図7は本発明に係るスクロール型圧縮機の第4実施形態を示すものである。なお、前記第2実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0039】
前記第2実施形態に係る大径の突起受容穴24aは有底筒状に形成されている。これに対して、本実施形態に係る突起受容穴24a’は突起拘束部材22の軸方向に貫通した構造となっている。本実施形態によれば、可動ピン21’が突起拘束部材24’全体に貫通し、可動ピン21’と突起受容穴22a’との対向面積が大きくなるため、これまた、可動ピン21’が傾くことなく円滑に自転する。なお、その他の構成、作用は前記第2実施形態と同様である。
【0040】
図8は本発明に係るスクロール型圧縮機の第5実施形態を示すものである。なお、前記第3実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0041】
前記第3実施形態では、可動ピン21’を可動側板121に固着する一方、突起拘束部材22を収容する凹部23をフロントハウジング15に形成している。これに対して、本実施形態ではこれとは逆に、可動ピストン21’をフロントハウジング15に固着する一方、凹部23’を可動側板121の他側面121bに形成した構造となっている。
【0042】
本実施形態によれば、可動スクロール12が公転運動する際、可動スクロール12に自転力が付加される。この自転力により突起拘束部材22’が可動ピン21’を中心とする旋回運動(相対的には突起拘束部材22’の軸心を中心とする可動ピン21’の旋回運動)に変換され、これにより、可動スクロール12の自転が防止される。なお、その他の構成、作用は前記第3実施形態と同様である。
【0043】
図9は本発明に係るスクロール型圧縮機の第6実施形態を示すものである。なお、前記第4実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0044】
前記第4実施形態では、可動ピン21’を可動側板121に固着する一方、突起拘束部材24’を収容する凹部23をフロントハウジング15に形成している。これに対して、本実施形態ではこれとは逆に、可動ピストン21’をフロントハウジング15に固着する一方、凹部23’を可動側板121の他側面121bに形成した構造となっている。
【0045】
本実施形態によれば、可動スクロール12が公転運動する際、可動スクロール12に自転力が付加される。この自転力により突起拘束部材22が可動ピン21’を中心とする旋回運動(相対的には突起拘束部材24’の軸心を中心とする可動ピン21’の旋回運動)に変換され、これにより、可動スクロール12の自転が防止される。なお、その他の構成、作用は前記第4実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】スクロール型圧縮機の断面図
【図2】第1実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図3】図2のC−C線矢視方向の断面図
【図4】第2実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図5】図4のD−D線矢視方向の断面図
【図6】第3実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図7】第4実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図8】第5実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図9】第6実施形態に係る自転防止機構の拡大断面図
【図10】従来の自転防止機構の一例を示す断面図、
【図11】図10のA−A線矢視方向の断面図
【図12】従来の自転防止機構の他の例を示す断面図、
【図13】図12のB−B線矢視方向の断面図
【符号の説明】
【0047】
10…スクロール型圧縮機、11…固定スクロール、12…可動スクロール、13…スクロール公転機構、20…自転防止機構、21、21’…可動ピン、22,22’,24,24’…突起拘束部材、22a,22a’,24a,24a’…突起受容穴、22b,24b…摺動接触部、23,23’…凹部、R0c1,R0c2,R0d1,R0d2…旋回半径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側板の一側面に立設した渦巻き状の固定壁を有する固定スクロールと、可動側板の一側面に立設した渦巻き状の可動壁を有する可動スクロールと、該固定壁と該可動壁とをかみ合わせた状態で該可動スクロールを公転旋回運動させるスクロール公転機構と、該可動スクロールの他側面に対向する部位を有するフロントハウジングと、該可動スクロールの自転運動を阻止する自転防止機構とを備えたスクロール型圧縮機において、
前記自転防止機構は、
前記可動側板の他側面から突出する突起と、
前記突起を摺動させながら前記可動スクロールの半径方向への変位を許容しつつ最大変位を規制する摺動接触部を備えた突起拘束部材と、
前記フロントハウジングの対向部位に形成され前記突起拘束部材を摺動接触可能に収容する凹部とを有する
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項2】
固定側板の一側面に立設した渦巻き状の固定壁を有する固定スクロールと、可動側板の一側面に立設した渦巻き状の可動壁を有する可動スクロールと、該固定壁と該可動壁とをかみ合わせた状態で該可動スクロールを公転旋回運動させるスクロール公転機構と、該可動スクロールの他側面に対向する部位を有するフロントハウジングと、該可動スクロールの自転運動を阻止する自転防止機構とを備えたスクロール型圧縮機において、
前記自転防止機構は、
前記フロントハウジングの対向部位から突出する突起と、
前記突起を摺動させながら前記可動スクロールの半径方向への変位を許容しつつ最大変位を規制する摺動接触部を備えた突起拘束部材と、
前記可動スクロールの他側面に形成され前記突起拘束部材を摺動接触可能に収容する凹部とを有する
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項3】
前記突起拘束部材は、前記突起が遊嵌状態で挿入され、かつ、中心が該突起拘束部材の軸心から距離をおいて配置した突起受容穴を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクロール型圧縮機。
【請求項4】
前記突起拘束部材は、前記突起が公転旋回可能に挿入され、かつ、中心が該突起拘束部材の軸心と一致するよう配置した突起受容穴を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクロール型圧縮機。
【請求項1】
固定側板の一側面に立設した渦巻き状の固定壁を有する固定スクロールと、可動側板の一側面に立設した渦巻き状の可動壁を有する可動スクロールと、該固定壁と該可動壁とをかみ合わせた状態で該可動スクロールを公転旋回運動させるスクロール公転機構と、該可動スクロールの他側面に対向する部位を有するフロントハウジングと、該可動スクロールの自転運動を阻止する自転防止機構とを備えたスクロール型圧縮機において、
前記自転防止機構は、
前記可動側板の他側面から突出する突起と、
前記突起を摺動させながら前記可動スクロールの半径方向への変位を許容しつつ最大変位を規制する摺動接触部を備えた突起拘束部材と、
前記フロントハウジングの対向部位に形成され前記突起拘束部材を摺動接触可能に収容する凹部とを有する
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項2】
固定側板の一側面に立設した渦巻き状の固定壁を有する固定スクロールと、可動側板の一側面に立設した渦巻き状の可動壁を有する可動スクロールと、該固定壁と該可動壁とをかみ合わせた状態で該可動スクロールを公転旋回運動させるスクロール公転機構と、該可動スクロールの他側面に対向する部位を有するフロントハウジングと、該可動スクロールの自転運動を阻止する自転防止機構とを備えたスクロール型圧縮機において、
前記自転防止機構は、
前記フロントハウジングの対向部位から突出する突起と、
前記突起を摺動させながら前記可動スクロールの半径方向への変位を許容しつつ最大変位を規制する摺動接触部を備えた突起拘束部材と、
前記可動スクロールの他側面に形成され前記突起拘束部材を摺動接触可能に収容する凹部とを有する
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項3】
前記突起拘束部材は、前記突起が遊嵌状態で挿入され、かつ、中心が該突起拘束部材の軸心から距離をおいて配置した突起受容穴を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクロール型圧縮機。
【請求項4】
前記突起拘束部材は、前記突起が公転旋回可能に挿入され、かつ、中心が該突起拘束部材の軸心と一致するよう配置した突起受容穴を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクロール型圧縮機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−138243(P2006−138243A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327569(P2004−327569)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
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