説明

スクロール方法、プログラム、及び電子機器

【課題】 電子機器で表示されたコンテンツをスクロールする際にコンテンツの位置に応じてスクロール速度を設定し、自由に速度を変えながらスクロールを制御すること。
【解決手段】 スクロールキーの押下/開放を検出しイベントを発生するキーイベント処理部13と、タイマーを起動され所定時間を経過するとイベントを発生するタイマーイベント処理部14を有し、キー押下のイベントが発生するとその時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割し、分割された領域毎にスクロール速度を設定してタイマーを起動し、タイマーイベントが発生するとその時点の表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクロール方法、プログラム、及び電子機器に関し、特に、表示装置に全体を表示できない大きなコンテンツをスクロールして表示する電子機器においてスクロール速度を制御方法とプログラムとその電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機のような電子機器においてインターネット上のウェブページや電子メールなどで扱える映像や静止画や音声や文字で構成されるコンテンツのサイズが大きくなってきている。一方、電子機器に接続又は内蔵する表示装置の表示画面のサイズはあまり変わっていないためユーザがスクロール操作を行う頻度が高くなっている。特に携帯電話機のように携帯可能な電子機器は表示画面のサイズを大きくできないため、スクロール操作を行う頻度が著しく高くなっている。
【0003】
特開2003−162356号公報の発明は、スクロールキーを長押しするとスクロール速度を大きくし、長押しを継続することによりスクロール速度を加速していくことを記載している。これにより大容量のコンテンツをユーザが見る場合のスクロール操作を減らし、且つスクロール速度を加速していくことでコンテンツから目的の箇所までのスクロール時間を短縮することができる。
【0004】
また、特開平7−140963号公報の発明は、表示対象のメッセージにスクロール速度データが関連づけられたデータをスクロール表示するものであって、メッセージを作成した段階で作成者がメッセージの内容を吟味してスクロール速度を指定しておくことにより、作成者の指示した速度でスクロールをするようにしている。難解な内容のメッセージはスクロールを遅くし簡単な内容のメッセージはスクロールを速くすることにより、スクロール速度を最適に調整できる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−162356号公報
【特許文献2】特開平7−140963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明は、スクロール速度をスクロールキーの押下時間に応じて加速するようにしているため、コンテンツの表示位置に応じてスクロール速度を制御することができなかった。例えば、コンテンツの最後に近づくにつれてスクロールを遅くすれば、ユーザはコンテンツの最後に近づいたことを察知できるが、特許文献1の発明では実現できなかった。
【0007】
また、特許文献2の発明は、コンテンツを構成する個々のメッセージ単位にスクロール速度を付与しているので、メッセージ毎にスクロール速度を設定することができるが、予めメッセージにスクロール速度を関連づけたデータを作成しておく必要があった。
【0008】
本発明の目的は、スクロール開始時点でスクロール方向のコンテンツを領域に分割し、領域毎にスクロール速度を設定することにより、コンテンツの位置に応じてスクロール速度を制御可能としたスクロール方法、プログラム、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1のスクロール方法は、表示データを自動的にスクロールして表示する電子機器のスクロール方法であって、電子機器は、スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておき、スクロールキーが押下され続けると、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続することを特徴とする。
【0010】
本発明の第2のスクロール方法は、表示データを自動的にスクロールして表示する電子機器のスクロール方法であって、電子機器は、スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、設定された量のスクロールを実行して表示開始位置をスクロール方向に移動し、スクロールキーの押下が第1の所定時間継続すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、スクロールキーの押下が第2の所定時間継続するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動し、タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動することを特徴とする。
【0011】
本発明の第3のスクロール方法は、前記電子機器は、前記領域に設定するスクロール速度を、スクロール開始時点の前記領域から中間の前記領域までは順次加速するように設定し、中間の前記領域から最後の前記領域までは順次減速するように設定することを特徴とする。
【0012】
本発明の第4のスクロール方法は、本発明の第2のスクロール方法において、前記電子機器は、前記スクロールキーの開放を検出したとき、又は前記表示開始位置が前記表示データの最後に到達したときに前記スクロールを停止することを特徴とする。
【0013】
本発明の第5のスクロール方法は、表示データ内の指定された位置まで自動的にスクロールする電子機器のスクロール方法であって、電子機器は、スクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておき、その後、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続し、指定された位置でスクロールを停止することを特徴とする。
【0014】
本発明の第6のスクロール方法は、表示データ内の指定された位置まで自動的にスクロールする電子機器のスクロール方法であって、電子機器は、スクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、所定時間経過するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動し、タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動し、表示開始位置が指定された位置に到達するとスクロールを停止することを特徴とする。
【0015】
本発明の第7のスクロール方法は、本発明の第5又は第6のスクロール方法において、前記電子機器は、前記領域に設定するスクロール速度を、スクロール開始時点の前記領域から指定された位置の前記領域まで順次減速するように設定することを特徴とする。
【0016】
本発明の第1のプログラムは、スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておく手順と、
スクロールキーが押下され続けると、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0017】
本発明の第2のプログラムは、スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、設定された量のスクロールを実行して表示開始位置をスクロール方向に移動する手順と、スクロールキーの押下が第1の所定時間継続すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、スクロールキーの押下が第2の所定時間継続するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動する手順と、タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0018】
本発明の第3のプログラムは、本発明の第1又は第2のプログラムにおいて、前記スクロールキーの開放を検出したとき、又は前記表示開始位置が前記表示データの最後に到達したときに前記スクロールを停止する手順をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明の第4のプログラムは、表示データ内の指定された位置まで実行するスクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておく手順と、
その後、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続し、指定された位置でスクロールを停止する手順をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0020】
本発明の第5のプログラムは、表示データ内の指定された位置まで実行するスクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、所定時間経過するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動する手順と、タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動する手順と、表示開始位置が指定された位置に到達するとスクロールを停止する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0021】
本発明の第1の電子機器は、表示データをスクロールして表示する電子機器であって、
スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておき、
スクロールキーが押下され続けると、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続することを特徴とする。
【0022】
本発明の第2の電子機器は、表示データをスクロールして表示する電子機器であって、
スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、設定された量のスクロールを実行して表示開始位置をスクロール方向に移動し、
スクロールキーの押下が第1の所定時間継続すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、スクロールキーの押下が第2の所定時間継続するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動し、
タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動することを特徴とする。
【0023】
本発明の第3の電子機器は、本発明の第2の電子機器において、前記スクロールキーの開放を検出したとき、又は前記表示開始位置が前記表示データの最後に到達したときに前記スクロールを停止することを特徴とする。
【0024】
本発明の第4の電子機器は、表示データをスクロールして表示する電子機器であって、
スクロールを指示するキーが押下又は開放されたことを検出するとイベントを発生するキーイベント処理部と、開始タイマー又は間隔タイマーを起動されると時間を計数しそれぞれ決められた所定時間を経過するとイベントを発生するタイマーイベント処理部とを有し、
キーイベント処理部からキー押下のイベントが発生すると表示データを参照し、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割し、分割された領域毎にスクロール速度を設定し、設定された量のスクロールを実行して表示開始位置をスクロール方向に移動し、開始タイマーを起動し、
タイマーイベント処理部からイベントが発生すると、スクロールの余地があれば間隔タイマーを起動して、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、スクロールの余地がなければスクロールを終了することを特徴とする。
【0025】
本発明の第5の電子機器は、本発明の第4の電子機器において、前記キーイベント処理部がキー開放のイベントを発生すると前記開始タイマー及び前記間隔タイマーを停止してスクロールを終了することを特徴とする。
【0026】
本発明の第6の電子機器は、本発明の第1、第2、又は第4の電子機器において、前記領域に設定するスクロール速度を、スクロール開始時点の前記領域から中間の前記領域までは順次加速するように設定し、中間の前記領域から最後の前記領域までは順次減速するように設定することを特徴とする。
【0027】
本発明の第7の電子機器は、表示データ内の指定された位置までスクロールする電子機器であって、
スクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておき、
その後、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続し、指定された位置でスクロールを停止することを特徴とする。
【0028】
本発明の第8の電子機器は、表示データ内の指定された位置までスクロールする電子機器であって、
スクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、所定時間経過するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動し、
タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動し、
表示開始位置が指定された位置に到達するとスクロールを停止することを特徴とする。
【0029】
本発明の第9の電子機器は、本発明の第7又は第8の電子機器において、前記領域に設定するスクロール速度を、スクロール開始時点の前記領域から指定された位置の前記領域まで順次減速するように設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、ユーザがコンテンツを取得してこれを表示して閲覧する際のスクロール操作において、コンテンツを分割した領域毎にスクロール速度を設定できるので、ユーザの希望に合ったスクロール制御を容易に実現できるという効果がある。
【0031】
例えば、表示開始位置からスクロール速度を速めていき、中間を過ぎると最後に向かってスクロール速度を遅くしていくことにより、ユーザはスクロール方向に対してコンテンツのどのあたりをスクロール中なのかや、コンテンツの最後が近づいたことを直感的に察知することができる。また、コンテンツの内容をキーワード検索する際にキーワードのある位置に向かってスクロール速度を段階的に遅くすることにより、ユーザはキーワード位置が近づいたことを察知でき、またキーワードの直前の情報を読み取りやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態の構成を示した図であり、電子機器の一例である携帯電話機10の構成を示している。電子機器としては、携帯電話機の他に、PDA(personal digital assistant)のような携帯端末や、パーソナルコンピュータやサーバ装置のような情報処理装置がある。この他にも表示装置の画面サイズに全体を表示できない大きな情報をスクロールして表示する機能を有する電子機器が本発明の適用対象となる。
【0033】
本発明は電子機器上で自動スクロールをする場合に適用できる。ユーザは下方へ1行スクロールする場合は下方のスクロールキーを1回押下すればよい。また2行スクロールする場合は下方のスクロールキーを2回押下すればよい。さらにスクロールする場合も必要な回数だけスクロールキーを押下すればよいが、何回もスクロールキーを押すことはユーザにとって操作が煩わしい。そこで、スクロールキーを押し続けることによりスクロールを連続して実行するようにしている。これを自動スクロールという。
【0034】
携帯電話機10は、ハードウェア手段を含んで機能するキー入力部11、表示部12、通信部18と、プログラムで実現されるキーイベント処理部13、タイマーイベント処理部14、表示処理部15、スクロール処理部16を含む。携帯電話機10は、図示しないがプログラムを実行するCPUとプログラムや表示データ情報17のようなデータを記憶する記憶手段とを含む。携帯電話機10以外の電子機器も同じ構成を有することにより本発明を適用できる。
【0035】
キー入力部11は、キーボードのようなキー入力装置であり、スクロールとその方向を指示するキー(例えば方向キー等が該当するが以降スクロールキーという)を有し、キーの押下/開放を検出しスクロール方向の情報とともにキーイベント処理部13に通知する機能を有する。開放とはユーザがキーを押下することをやめて、キーが押下状態から解除されたことを意味する。
【0036】
表示部12は液晶ディスプレイのような表示装置であり表示処理部15から指示されたデータを表示する機能を有する。なお、キー入力部11又は表示部12とCPUとの間にはインターフェースを制御するハードウェア手段があり、キー入力部11とキーイベント処理部13との間や表示部12と表示処理部15との間はドライバやOS(operating system)のようなソフトウェア或いはファームウェアにより仲介されるがこれらは通常の機能のものでよいので説明は省略する。
【0037】
通信部18は、インターネットアクセスや電子メールの送受信や通話の際に、無線電話網の基地局との通信を実行する機能を有する。無線電話網のシステムがインターネットとの接続機能や電子メール機能を持つことにより、携帯電話機10は様々なコンテンツを基地局を介して外部から取得し表示データ情報17として記憶手段に保持することができる。小型のメモリカードのような記憶媒体を利用することにより、通信部18を使わずにコンテンツを取得することもできる。
【0038】
また、パーソナルコンピュータのような電子機器では、通信部18は有線電話網等の別の通信手段と接続する機能を有るものであってもよい。DVD(digital versatile disk)のような媒体上のデータをそのまま表示データ情報17として表示することができる電子機器や、自身で表示データを生成する電子機器においては、通信部18を構成に含まなくても本発明を適用できる。
【0039】
キーイベント処理部13は、キー入力部11からスクロールキーが押下された通知を受けるとスクロールの実行を指示するキー押下イベントをスクロール方向情報とともにスクロール処理部16に通知し、キー入力部11からスクロールキーが開放された通知を受けるとスクロールの停止を指示するキー開放イベントをスクロール処理部16に通知する。
【0040】
なお、キー入力部11の代わりに位置入力装置であるマウスを操作してスクロールキーの押下/開放に該当する操作をした場合も、キーイベント処理部13はキー入力部11の操作と同様にキー押下イベント/キー開放イベントをスクロール処理部16に通知する。例えばスクロール操作を実行するアイコンが表示画面に表示され、それをマウスで操作してキー入力部11のスクロールキーの押下/開放に該当する操作をした場合も、キーイベント処理部13はキー押下イベント/キー開放イベントとして動作するものとする。
【0041】
タイマーイベント処理部14は、スクロール処理部16から開始タイマー又は間隔タイマーが起動された際、一定時間ごとにOSから通知されるタイマー通知を計数して時間を計測し、予め決められたそれぞれの所定時間を経過したときにタイマーイベントをスクロール処理部16に通知する。タイマーイベント処理部14はタイマーイベントの通知によって開始タイマーと間隔タイマーを停止し、スクロール処理部16のタイマー停止指示によって指定された開始タイマー又は間隔タイマーを停止する。
【0042】
携帯電話機10は、ユーザがスクロールキーを短時間押下すると所定量(例えば1行分)だけ指定方向にスクロールし、ユーザがスクロールキーを所定時間以上押下するとスクロールを自動的に繰り返す自動スクロールを行う。開始タイマーは、自動スクロール状態へ移行する判断をするためのタイマーであり、キー押下イベントにより起動され、起動後所定時間が経過するとタイマーイベント処理部14がタイマーイベントを通知することにより自動スクロール状態となる。間隔タイマーはスクロールを繰り返す間隔を計測するタイマーである。
【0043】
表示処理部15は、スクロール処理部16やその他の処理部(図示しない)から表示すべきデータの位置やサイズの情報を含む要求を受けて表示部12にデータを表示する。表示処理部15はスクロール処理部16から要求を受けると表示データ情報17のコンテンツから表示すべきデータを取得し表示部12に表示する。
【0044】
スクロール処理部16は、キー押下イベントによりスクロール処理を開始し、タイマーイベントによりスクロールを継続し、キー開放イベントによりスクロール処理を終了する。スクロール処理部16は、スクロールする際のスクロール量を領域毎に設定し、スクロール速度を制御する。詳細な内容は後述する実施の形態の動作の説明に記載する。
【0045】
ここで、スクロール速度はスクロール量をスクロール間隔の時間で除算した値によって決められるが、本発明ではスクロールの間隔は一定としているのでスクロール量がスクロール速度に相当する。スクロール速度を設定する方法として、スクロール量を一定としスクロール間隔の時間を設定するようにしてもかまわない。間隔を制御してスクロール速度を制御する場合、スクロール量の代わりに間隔タイマ−の設定値を分割された領域毎に設定し、その設定値をスクロール処理部16がタイマーイベント処理部14に通知して間隔タイマーがタイマーイベントを発生させる時間として設定するようにすればよい。
【0046】
表示データ情報17は、通信部18を介して外部から取得したコンテンツや内部で生成したコンテンツや記憶媒体上のコンテンツ等の表示データと、表示データを表示処理部15を介して表示部12に表示するための表示制御情報とを含む。図2は表示データ情報17の構成を示した図である。
【0047】
表示データは、例えばインターネット上のウェブページや電子メールなどで扱える映像や静止画や文字で構成されるコンテンツやユーザが電子機器上で生成した文書や画像等の表示可能なコンテンツであるが、表示部12に表示するものであればよく、その内容は限定しない。例えば、表示データは、電子メールの内容や電話番号と氏名を記憶するアドレス帳であってもよく、携帯電話機10を操作する際の制御画面であってもよい。ただし、表示データ全体を閲覧するために多くのスクロールを必要としない場合は効果が十分に発揮されない。パーソナルコンピュータのように携帯電話機より大きな表示部を有する電子機器でも同様に多くのスクロールを必要としない場合は効果が十分に発揮されない。
【0048】
表示制御情報は、コンテンツの表示開始位置S(S番地)とスクロール方向に応じて計算される表示必要量とスクロール情報を含む。表示開始位置Sはコンテンツを取得した初期状態ではコンテンツ先頭位置(0番地)にあり、スクロール処理に応じてスクロール方向へ移動する。表示必要量は表示開始位置Sからコンテンツのスクロール方向の最後の位置(上下方向のスクロールの場合は先頭Tか最後Bとなる)までのデータ量である。
【0049】
スクロール情報はユーザがスクロールキーを押下した時点で作成され、ユーザがスクロールキーを押し続けた場合自動的にスクロールを繰り返す自動スクロール中に参照される。スクロール情報は表示必要量を分割した領域毎に領域の位置とスクロール量が設定される。図2では、最初の領域の位置がa0でスクロール量がn0、次の領域の位置がa1でスクロール量がn1とスクロール方向の領域順に設定される。位置a0はスクロールを開始したときの表示開始位置Sである。なお、一定間隔でスクロールを繰り返す場合スクロール量はスクロール速度に相当する。
【0050】
図3は領域に分割した際の一例を示した図である。図3はコンテンツ全体を示しており、表示領域とは表示部12にスクロールせずに同時に表示できるサイズを示している。図3は表示開始位置Sが初期状態の0番地から下方の位置a0までスクロールにより移動された状態を表している。
【0051】
図3は現在の状態に対して下方へのスクロールを開始する場合のスクロール情報の様子を示している。表示必要量はコンテンツ最後位置Bと表示開始位置Sとの間の“B−S”であり、領域はD0〜D4に5等分割され、各領域のスクロール量n0〜n4がn0=1行分、n1=2行分、n2=4行分、n3=2行分、n4=1行分と設定されていることを表している。ここでは表示データが文字データであり特定の文字サイズの場合にスクロールする行数に基づいてスクロール量を示しているが、画像データの場合は各行数に相当する量だけスクロールし、文字サイズによってスクロールする行数は補正される。
【0052】
図3では、自動スクロールを実行すると領域D0から領域D2に向かってスクロールが加速され、領域D2から領域D4に向かってスクロールが減速される設定になっている。スクロール量の設定は限定するものではなく、これ以外の設定をしてもよく、また、領域の分割数も5に限定するものではなく、また分割は等分でなくおもよく、スクロール速度に応じてサイズを変えるようにしてもよい。
【0053】
次に、本発明を第1の実施の形態の動作について図面を参照して説明する。スクロール処理は図3の状態で実行する場合を例に説明する。図3ではスクロールは上下方向のみとし左右方向にはスクロールしないものとするが、もちろん左右方向のスクロールについても適用できし、上方向へのスクロールでも適用できる。
【0054】
図3の状態では、スクロール方向の指示は下方であり、表示開始位置はコンテンツの先頭ではなく中間にあり、コンテンツを表示部12に同時に表示可能なサイズは表示領域として示される。表示領域のサイズである表示領域高Hに対して、表示必要量(B−H)が十分大きく、ユーザはコンテンツの最後まで閲覧するために多くのスクロールを必要とする。表示領域高Hは表示部12のサイズや解像度等の表示能力によって決められる。
【0055】
スクロールの開始時点では、表示データ情報17としてコンテンツと表示開始位置Sとコンテンツ最後Bが設定されているがスクロール情報は未設定である。この状態で、ユーザが下方向へのスクロール操作をした場合の動作について説明する。以下の説明ではキー入力部11をユーザが操作した場合について説明するが、マウスのような位置入力装置やこれに代わる装置でスクロール操作してもかまわない。
【0056】
図4は第1の実施の形態の動作を示したフローチャートである。図4を参照して以降説明する。まず、ユーザがキー入力部11の下方向のスクロールキーを押下すると、キー入力部11はスクロールキーの押下を検出しキーイベント処理部13に通知する。キーイベント処理部13はキー入力部11からスクロールキーが押下された通知を受けるとキー押下イベントをスクロール方向の情報とともにスクロール処理部16に通知する。
【0057】
図4は、これ以降の動作を示したフローチャートであり、図4の動作はスクロール処理部16が実行する内容を示している。図4を参照すると、スクロール処理部16はキー押下イベントを受けると(S51)、キーイベント処理部13からスクロール方向情報を取得し(S52)、スクロールの余地があるか判断する(S53)。スクロールの余地がなければスクロール処理部16はスクロールすることなく処理を終了する。
【0058】
スクロール処理部16はスクロール方向が下方であることから、コンテンツ最後Bと表示開始位置Sと表示領域高Hに基づいてスクロールの余地を判断する。スクロール処理部16は、表示開始位置Sがすでに最後の部分を表示している状態(S=B−H)であればクロールの余地がないと判断し、S>(B−H)であればまだスクロールの余地があると判断する。スクロール方向が上方である場合、スクロール処理部16は表示開始位置Sがコンテンツ先頭Tになければ余地有りと判断する。
【0059】
スクロールの余地があれば、スクロール処理部16はタイマーイベント処理部14に対して開始タイマーを起動する(S54)。タイマーイベント処理部14は開始タイマーの起動を受けるとOSから一定間隔でされるタイマー通知の計数を開始し、計数値が予め決められた所定値(タイマー通知の一定間隔より十分大きく例えば1秒)になるとタイマーイベントをスクロール処理部16に通知する。
【0060】
次にスクロール処理部16はスクロール方向の領域を分割し分割された領域毎にスクロール量を設定する(S55)。表示開始位置Sとコンテンツ最後Bから1画面表示分の表示領域高Hを減じた“B−H”との間の領域が分割対象の領域となる。すなわちスクロール処理部16は位置Sから始まる“B−H−S”のサイズの領域を分割する。
【0061】
図3は分割の一例を示した図であり、スクロール処理部16は分割対象領域を表示開始位置から順に領域D0〜領域D4の5つの領域に等分し、領域D0〜D4のスクロール量を1、2、4、2、1と割り当てている。図3では分割対象の領域(B−H−S)が十分大きくスクロール処理部16は5分割することができたが、スクロール処理部16は分割対象の領域が十分大きくない場合は分割数を減らしたり、数行分程度しかない場合は分割しないようにしてもよい。
【0062】
次にスクロール処理部16は設定されたスクロール速度すなわちスクロール量(スクロール速度に相当)によりスクロールを実行する(S56)。最初のスクロールは領域D0であるのでスクロール処理部16は1行分をスクロールする。スクロール実行後にスクロール処理部16は表示開始位置を更新する(S57)。この場合、スクロール処理部16は表示開始位置Sを1行分下方へ移動して“a0”から“a0+1”へ更新し、次回のスクロールを1行下方の位置(a0+1)から実行することに備える。
【0063】
なお、スクロール処理部16はスクロール後の表示をする場合、スクロール後の表示開始位置S(a0+1)の記憶手段上のアドレスを表示処理部15に通知し、表意処理部15が記憶手段にある表示データ情報17から表示領域に表示可能な量のデータを取得して表示部12に指示し、表示部12がスクロール後のデータを表示する。
【0064】
以上によりキー押下イベントの動作が終了するが、ステップS54で開始タイマーが起動されているためタイマーイベント処理部14は計数を続けている。この後の処理はユーザの操作によって動作が分かれる。ユーザが所定時間以上スクロールキーを押し続けると開始タイマーが所定時間に到達しタイマーイベント処理部14はタイマーイベントをスクロール処理部16に通知する。ユーザがスクロールキーを開放するとキーイベント処理部13がスクロールキーの開放を検出してキー開放イベントをスクロール処理部16に通知する。
【0065】
次にタイマーイベントが発生した場合の動作について説明する。スクロール処理部16はタイマーイベントの通知を受けると(S61)、自動スクロールフラグの状態を調べる(S62)。自動スクロールフラグは自動スクロール実行状態にあるときオン状態で自動スクロール実行状態にないときオフ状態になるよう制御される。
【0066】
最初のタイマーイベント発生のとき自動スクロールフラグはオフ状態なのでスクロール処理部16は自動スクロールフラグをオン状態にする(S63)。次回以降のタイマーイベントの発生時には自動スクロールフラグはオン状態となっているのでステップS63は省略される。
【0067】
次にスクロール処理部16は表示開始位置とコンテンツの最後を比較してスクロールの余地があるか判断し(S64)、スクロール余地があれば間隔タイマーを起動し(S65)、続いてすでに説明したステップS56、S57を実行してスクロール動作を実行し表示開始位置を更新して、タイマーイベント動作を終了する。スクロール余地がなければスクロールは実行せずに動作を終了する。
【0068】
このとき実行するスクロールは表示開始位置の属する領域で指定されたスクロール量で決定される。表示開始位置がどの領域に属するかは表示開始位置Sと各領域(D0〜D5)の位置a0〜a4とを比較することで判断できる。スクロール処理部16は表示データ情報17からスクロール情報を取りだして、スクロール情報の位置情報a0〜a4と表示開始位置Sを比較することにより表示開始位置Sがどの領域に属するか判断でき、該当する領域のスクロール量を取りだして実行するスクロール量として使用する。例えば、a1≦S<a2であれば表示開始位置が領域D1にあることが分かり、そのスクロール量はn1で図3の場合スクロール量が2となる。
【0069】
最初のタイマーイベントの際、表示開始位置が領域D0内にあれば、スクロール処理部16はキー押下イベント動作で1行下方へスクロールされた位置(a0+1)からさらに1行下方(a0+2)へ移動するようにスクロールする。ただし領域D0の大きさが1行分しかなければ表示開始位置が領域D1に移動しているため、スクロール処理部16はキー押下イベント動作で1行下方へスクロールされた位置(a1=a0+1)からさらに1行下方(a2=a0+2)へ移動するようにスクロールする。
【0070】
タイマーイベント処理部14は、スクロール処理部16から間隔タイマーの起動を受けるとOSから一定間隔でされるタイマー通知の計数を開始し、計数値が予め決められた所定値(タイマー通知の一定間隔より十分大きく例えば0.5秒)になるとタイマーイベントをスクロール処理部16に通知する。なお、所定時間の値については特に限定しないが、ユーザが表示部10を見るという行為に要する時間に対して適切な範囲で設定される。通常は開始タイマーに比べて間隔タイマーの法が所定時間は短く設定されるが限定するものではない。
【0071】
以降、開始タイマーによるタイマーイベント発生後もユーザがスクロールキーを押し続けると、間隔タイマーによるタイマーイベントが発生する。間隔タイマーによるタイマーイベントの動作も開始タイマーによるタイマーイベントと同様に動作する。ただし、自動スクロールフラグはすでにオン状態となっているのでステップS63はスキップされる。スクロールの余地があればステップS56とS57を実行し表示開始位置が属する領域のスクロール量に応じて再度スクロールを実行し表示開始位置を更新して、タイマーイベント動作を終了する。
【0072】
間隔タイマーはステップS65で再び起動されるのでその後もユーザがスクロールキーを押し続ければ間隔タイマーによるタイマーイベントが繰り返される。ユーザがスクロールキーを押し続ければスクロールがコンテンツの最後まで進みスクロールの余地がなくなってスクロールが終了する。
【0073】
次にキー開放イベントが発生した場合の動作について説明する。ユーザがスクロールキーを開放するとキーイベント処理部13がスクロールキーの開放を検出してキー開放イベントをスクロール処理部16に通知する。スクロール処理部16はキー開放イベントを検出すると(S71)、自動スクロールフラグの状態を調べる(S72)。
【0074】
自動スクロールフラグがオン状態であれば自動スクロールフラグをオフ状態にして(S73)、間隔タイマーを停止し(S74)、開始タイマーも停止する(S75)。すなわち、すでに自動スクロール状態にあり間隔タイマーが動作している場合は自動スクロールフラグをオフにし間隔タイマーを停止して自動スクロール状態を解除する。
【0075】
自動スクロールフラグがオフ状態であれば間隔タイマーはまだ起動されていないので開始タイマーのみを停止する(S75)。すなわちまだ自動スクロール状態になければ開始タイマーを止めて開始タイマーによるタイマーイベントの発生を抑止し、自動スクロール状態への移行を抑止する。
【0076】
このように、自動スクロール状態になる前にスクロールキーが開放されるとスクロールは1回のみ実行されて終了し、すでに自動スクロール状態になってからスクロールキーが開放されるとその時点までスクロールが実行された後にスクロールが終了する。
【0077】
スクロール速度は表示開始位置が属する領域のスクロール量に従って決められるので、多段階の速度で実行される。図3のように設定した場合、スクロール速度は最初1行単位でスクロールし、スクロールが進むに従って2行単位、4行単位とスクロール速度は加速する。さらにスクロールが進むと4行単位から2行単位、1行単位とスクロール速度は減速する。
【0078】
従って、ユーザはスクロール速度の変化によって現在の表示位置が最初の部分か最後の部分か中間の部分かを察知できる。また、最後の部分は減速するので、ユーザは最後の部分の手前の情報が見やすくなる。図3のスクロール速度は中間まで順次加速し中間から順次減速するように設定したが、領域D0からD3までを加速し、領域D4で急激に減速するようにしてもよく、又、もっと分割数を増やしてより滑らかに加速/減速するようにしてもよい。
【0079】
また、以上の説明では領域を等分割したが領域の大きさをスクロール速度に比例した大きさに分割し等間隔の時間でスクロール速度が変わるようにしてもよいし、スクロール速度が一番大きい領域D2を相対的に十分大きくして最後までのスクロール時間を短縮するようにしてもよい。
【0080】
このように本発明はスクロールを開始した時点でスクロール方向の領域を分割して各領域に所定のスクロール速度を設定するようにしたので、領域の分割方法とスクロール速度の設定方法を操作することにより、様々なスクロール速度の加速/減速パターンを容易に実現することができる。
【0081】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。第2の実施の形態は第1の実施の形態のようにユーザのスクロール操作によってスクロールが開始されるだけでなく、コンテンツ上のキーワードの検索によっても検索キーワードを表示する為にスクロールが開始される点で異なる。
【0082】
従って、図5に示した第2の形態の携帯電話機20は第1の実施の形態の携帯電話機10にキーワード検索処理部29が追加された構成となる。第2の実施の形態においても携帯電話機以外の電子機器に本発明を適用できることはいうまでもない。また、第1の実施の形態と同様の機能を有する構成要素については図1と同じ符号を付け、説明は省略する。スクロール処理部26はスクロール処理部16の動作と異なり、検索イベントを処理する動作が追加されている点で異なるが、その内容は以降の動作説明の中で説明する。
【0083】
表示データ情報27は表示必要量として“B−S”の代わりに“K−S”となる点が異なる。ここで“K”とは検索処理部29から与えられる検索対象のキーワードが含まれるコンテンツ内の位置を示す情報であり、第2の実施の形態ではスクロールは位置Kまで自動的に実行して停止し、停止したときに検索対象のキーワードが表示されるようになる。
【0084】
スクロールの停止条件は、第1の実施の形態ではコンテンツの最後まで到達するか、或いはユーザがスクロール中にスクロールキーを開放するかの2通りあるが、第2の実施の形態では予め指定された停止位置(検索キーワードのある位置)となり途中で停止することはない。従って、第2の実施の形態は、第1の実施の形態のスクロール停止位置を最後からキーワード位置に代えた動作と考えることもできる。
【0085】
キーワード検索処理部29は、ユーザが表示データ情報27のコンテンツに対してキーワード等の検索操作を指示した場合に動作し、コンテンツ上に該当するキーワードを検索する。検索した結果、コンテンツ上にキーワードが存在すれば、キーワード検索処理部29はそのキーワード位置を検索結果として表示するためにキーワード位置を含んだ検索イベントをスクロール処理部26へ通知する。
【0086】
次に本発明の第2の実施の形態の動作について図面を参照して説明する。図6は第2の実施の形態の動作を示したフローチャートである。ただし、キー押下/開放イベントに関する動作は第1の実施の形態で説明しているのでその動作に関する記載は省略している。
【0087】
まず、スクロール処理部26はキーワード検索処理部29からの検索イベント通知があると(S81)、検索したキーワード位置を取得する(S82)。続いてスクロール処理部26は現在の表示開始位置の表示範囲内に取得したキーワード位置が含まれるか判断する(S83)。すなわち、すなわち現時点で検索したキーワードが表示されているかを判断する。スクロール処理部26はキーワード位置Kが“S≦K≦S+H”の条件を満たすかによりステップS83の判断をする。すでにキーワード位置が表示範囲内にあればスクロール処理部26は処理を終了しスクロールは実行しない。
【0088】
キーワード位置が表示領域内にない場合、スクロール処理部26は表示開始位置Sとキーワード位置Kとの間の領域を予め決められた方法により複数の領域に分割し分割された領域毎にスクロール速度を設定する(S84)。スクロールを停止したときの表示開始位置Sは、キーワードを表示領域の一番上に表示するとすれば“K”となり、キーワードを表示領域の一番下に表示するとすれば“K−H”となるが、キーワードを表示領域のどこに表示するようにするかは任意に選択すればよい。
【0089】
図7は第2の実施の形態の分割とスクロール速度の設定の一例を示した図である。図7に示した例では表示開始位置Sに対してキーワード位置Kは一番上にあり、“K−S”の領域が分割対象となる。図7では分割対象領域を領域D0〜D2の3つに分割している。スクロール量は領域D0〜D2に対して“4、2、1”と順次小さくなるように設定され、領域D0〜D2のサイズは“4:2:1”とスクロール量に比例するように設定されている。従って、各領域D0〜D2のスクロール時間はほぼ同じになる。なお、分割される領域が十分大きくない場合、スクロール処理部26は分割数を予め決められた数より減らしたり分割をしないようにしてもよい。
【0090】
次にスクロール処理部26はタイマーイベント処理部14に対して間隔タイマーを起動する(S85)。タイマーイベント処理部14は起動されると間隔タイマーを動作させ、OSのタイマー通知を計数して所定時間になるとタイマーイベントをスクロール処理部26に通知する。タイマーイベント処理部14の動作は第1の実施の形態と同じである。
【0091】
次にスクロール処理部26は表示開始位置Sが属する領域のスクロール量に従ってスクロールを実行し(S86)、表示開始位置を更新する(S87)。図7の場合、最初は表示開始位置Sは領域D0にあるので4行スクロールされ、表示開始位置が“a0”から“a0+4”に更新される。
【0092】
次に、タイマーイベント処理部14が間隔タイマーの動作によりタイマーイベントをスクロール処理部26に通知すると、スクロール処理部26はタイマーイベントを検出して(S91)、現在の表示開始位置Sの表示範囲内(S+Hまで)に取得したキーワード位置Kが含まれるか判断する(S92)。すでに表示範囲内にキーワードが含まれていれば、スクロール処理部16は処理を終了しスクロールは実行しない。
【0093】
表示範囲内キーワード位置Kが含まれていなければ、スクロール処理部26は再び間隔タイマーを起動して(S93)、続いて表示開始位置Sが属する領域のスクロール量に従ってスクロールを実行し(S86)、表示開始位置を更新する(S87)。
【0094】
間隔タイマーによるタイマーイベントはキーワード位置が表示領域に入るまで繰り返されて停止する。図7の場合、タイマーイベントによるスクロールが繰り返され、領域D0〜D2へと表示開始位置Sが移動していく。このときスクロール速度はキーワード位置に近づくにつれて段階的に遅くなっていく。従って、ユーザはスクロール開始時点ではコンテンツの内容が読みにくいが、キーワード位置の近くではコンテンツの内容が読みやすくなる。ユーザはスクロール速度の変化によりキーワード位置が近づいたことを察知でき、
キーワードの手前の部分のコンテンツ内容を確認しやすくなる。
【0095】
なお、第2の実施の形態でキー押下/開放イベントの処理もする場合の動作については示していないが、スクロール処理部26がキー押下によるスクロール中か検索中かを示すフラグを設けて制御し、タイマーイベント発生時にこのフラグの状態により図4の処理か図6の処理に分けて処理するようにすれば容易に実現できる。
【0096】
また、第2の実施の形態では3つの領域に分割する例を示したが、第1の実施の形態と同じく5等分割し、スクロール量も同じに設定し検索キーワード位置に向かって初めに加速し終わりに向かって減速するように設定してもよい。逆に第1の実施の形態の分割とスクロール量を第2の実施の形態と同じようにしてもよい。もちろん、ユーザの要望に応じて、第1の実施の形態や第2の実施の形態以外の分割とスクロール速度の設定をしてもよく、本発明では容易に対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
実施の形態では電子機器として携帯電話機を例に説明したが、すでに記載しているように、携帯電話機以外の携帯情報機器や、パーソナルコンピュータやサーバ装置のような情報処理装置でも本発明は利用できる。また、これ以外の電子機器においても、本発明で必要とする構成を備える電子機器で表示データをスクロール表示する装置であれば、本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施の形態の構成を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の表示データ情報17の内容を示した図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態のスクロール領域の分割の一例を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の動作を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態の構成を示した図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の動作を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態のスクロール領域の分割の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0099】
10 携帯電話機
11 キー入力部
12 表示部
13 キーイベント処理部
14 タイマーイベント処理部
15 表示処理部
16 スクロール処理部
17 表示データ情報
18 通信部
20 携帯電話機
26 スクロール処理部
27 表示データ情報
29 検索処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示データをスクロールして表示する電子機器のスクロール方法であって、
電子機器は、スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておき、
スクロールキーが押下され続けると、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続することを特徴とするスクロール方法。
【請求項2】
表示データをスクロールして表示する電子機器のスクロール方法であって、
電子機器は、スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、設定された量のスクロールを実行して表示開始位置をスクロール方向に移動し、
スクロールキーの押下が第1の所定時間継続すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、スクロールキーの押下が第2の所定時間継続するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動し、
タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動することを特徴とするスクロール方法。
【請求項3】
前記電子機器は、前記領域に設定するスクロール速度を、スクロール開始時点の前記領域から中間の前記領域までは順次加速するように設定し、中間の前記領域から最後の前記領域までは順次減速するように設定することを特徴とする請求項1又は2のスクロール方法。
【請求項4】
前記電子機器は、前記スクロールキーの開放を検出したとき、又は前記表示開始位置が前記表示データの最後に到達したときに前記スクロールを停止することを特徴とする請求項2のスクロール方法。
【請求項5】
表示データ内の指定された位置までスクロールする電子機器のスクロール方法であって、
電子機器は、スクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておき、
その後、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続し、指定された位置でスクロールを停止することを特徴とするスクロール方法。
【請求項6】
表示データ内の指定された位置までスクロールする電子機器のスクロール方法であって、
電子機器は、スクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、所定時間経過するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動し、
タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動し、
表示開始位置が指定された位置に到達するとスクロールを停止することを特徴とするスクロール方法。
【請求項7】
前記電子機器は、前記領域に設定するスクロール速度を、スクロール開始時点の前記領域から指定された位置の前記領域まで順次減速するように設定することを特徴とする請求項5又は6のスクロール方法。
【請求項8】
スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておく手順と、
スクロールキーが押下され続けると、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、設定された量のスクロールを実行して表示開始位置をスクロール方向に移動する手順と、
スクロールキーの押下が第1の所定時間継続すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、スクロールキーの押下が第2の所定時間継続するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動する手順と、
タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記スクロールキーの開放を検出したとき、又は前記表示開始位置が前記表示データの最後に到達したときに前記スクロールを停止する手順をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項8又は9のプログラム。
【請求項11】
表示データ内の指定された位置まで実行するスクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておく手順と、
その後、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続し、指定された位置でスクロールを停止する手順をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
表示データ内の指定された位置まで実行するスクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、所定時間経過するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動する手順と、
タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動する手順と、
表示開始位置が指定された位置に到達するとスクロールを停止する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
表示データをスクロールして表示する電子機器であって、
スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておき、
スクロールキーが押下され続けると、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続することを特徴とする電子機器。
【請求項14】
表示データをスクロールして表示する電子機器であって、
スクロールを指示するキーが押下されたことを検出すると、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、設定された量のスクロールを実行して表示開始位置をスクロール方向に移動し、
スクロールキーの押下が第1の所定時間継続すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、スクロールキーの押下が第2の所定時間継続するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動し、
タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動することを特徴とする電子機器。
【請求項15】
前記スクロールキーの開放を検出したとき、又は前記表示開始位置が前記表示データの最後に到達したときに前記スクロールを停止することを特徴とする請求項14の電子機器。
【請求項16】
表示データをスクロールして表示する電子機器であって、
スクロールを指示するキーが押下又は開放されたことを検出するとイベントを発生するキーイベント処理部と、開始タイマー又は間隔タイマーを起動されると時間を計数しそれぞれ決められた所定時間を経過するとイベントを発生するタイマーイベント処理部とを有し、
キーイベント処理部からキー押下のイベントが発生すると表示データを参照し、その時点の表示開始位置と表示データのスクロール方向の最後の位置との間を複数の領域に分割し、分割された領域毎にスクロール速度を設定し、設定された量のスクロールを実行して表示開始位置をスクロール方向に移動し、開始タイマーを起動し、
タイマーイベント処理部からイベントが発生すると、スクロールの余地があれば間隔タイマーを起動して、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、スクロールの余地がなければスクロールを終了することを特徴とする電子機器。
【請求項17】
前記キーイベント処理部がキー開放のイベントを発生すると前記開始タイマー及び前記間隔タイマーを停止してスクロールを終了することを特徴とする請求項16の電子機器。
【請求項18】
前記領域に設定するスクロール速度を、スクロール開始時点の前記領域から中間の前記領域までは順次加速するように設定し、中間の前記領域から最後の前記領域までは順次減速するように設定することを特徴とする請求項13、14又は16の電子機器。
【請求項19】
表示データ内の指定された位置までスクロールする電子機器であって、
スクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定しておき、
その後、表示開始位置の移動に伴って表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ったスクロールを継続し、指定された位置でスクロールを停止することを特徴とする電子機器。
【請求項20】
表示データ内の指定された位置までスクロールする電子機器であって、
スクロールが起動されると、その時点の表示開始位置と指定された位置との間を複数の領域に分割するとともに、分割された領域毎にスクロール速度を設定して、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、所定時間経過するとタイマーイベントを発生する間隔タイマーを起動し、
タイマーイベントが発生すると、表示開始位置が属する領域のスクロール速度に従ってスクロールを実行し、表示開始位置をスクロール速度に従って移動し、前記間隔タイマーを再起動し、
表示開始位置が指定された位置に到達するとスクロールを停止することを特徴とする電子機器。
【請求項21】
前記領域に設定するスクロール速度を、スクロール開始時点の前記領域から指定された位置の前記領域まで順次減速するように設定することを特徴とする請求項19又は20の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−34631(P2007−34631A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216259(P2005−216259)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(390001395)エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】