説明

スクロール看板及び映像スクリーン複合化システム

【課題】看板の有する露出度の高さを維持しつつ複数コンテンツの提供を可能とするスクロール看板と、投射型映像スクリーンを組み合わせ、昼夜切替運用可能なシステムを提供する。
【解決手段】広告宣伝用コンテンツを複数枚連続印刷した帯状のシート106をサイクリックにスクロールすることにより、同一看板面に複数コンテンツを順次露出可能とするスクロール看板と、映像スクリーンの背面側から投射し該映像スクリーンの表面側から視認可能な背面投射型映像スクリーン装置107とを組合せたシステムであって、前記映像スクリーン109が前記看板面の背面に略並行に配置され、前記スクロール看板の帯状のシートの一部が透明シートであり、前記スクロール看板の看板面に前記透明シートが送り出される場合に、前記スクロール看板の背面照射ランプ111を消灯し、前記映像スクリーンの光源を点灯する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告宣伝用コンテンツを複数枚連続印刷した帯状のシートを巻取り巻き戻しし、サイクリックに上下スクロールすることにより同一看板面にて複数コンテンツの順次露出を可能とするスクロール看板と映像スクリーンの背面から投射し、表面側から映像視認が可能な背面投射型映像装置を組合せ、その特性を活かすことを前提に昼夜切替使用することによる複合ビジョンシステムとしての多機能化、省エネ化、低価格化をめざすシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビジョンシステムは、昨今広告宣伝媒体として街頭にても多用されつつあるが、その普及率は未だ低い。特に大型媒体ほどその傾向が強い。屋外広告宣伝用としての最適使用が可能な媒体が不足していることがその原因として挙げられる。つまりビジョンシステムの構成、形態、表示性能によって、単位表示面積当たりの価格や運用費(電力消費・保守費等)に大きな差異がある。例えば、看板による広告宣伝のアピール度では満足できず、鮮明な大型映像システムの利用をクライアントが所望した場合でも、広告代理店側の判断では、設備費が高額で投資回収が困難であり、また運営費も高いといった理由から、導入を断念せざるを得ないケースがある。また、映像では広告宣伝効果としての露出度が低く、看板も併用したい等、クライアント要求は多種多様である。それら要求に十分に答えきれない状況がビジョンシステムの広告宣伝媒体としての普及速度を緩慢なものとしている一因と言える。
【0003】
このような背景において発案されたのが本発明である。看板の有する露出度の高さを維持しつつ、複数コンテンツの提供を可能とするスクロール看板と、その映像の美しさにおいては屋外にても卓越した性能を発揮する投射型映像スクリーン装置を組み合わせ、それらの特性を活かし昼夜切替運用可能な複合化システムとすることにより、ビジョンシステムとしての多機能化、省エネ化、低価格化を実現したものである。
【0004】
これまでは、上述したスクロール看板は、屋外用として大型のものは未だ普及していない(例えば、特許文献1参照)。また投射式映像スクリーンを広告宣伝用として屋外設置運用した例は殆どなく、本来両者が持つ優位性を十分に活かしきれていない実情がある。大画面スクリーンが、プロジェクターによる背面投射の場合で、大画面スクリーンの前面に昇降自在の電動シャッターを設け、該電動シャッターの前表面を看板広告スペースとして利用するものが知られている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−047513号公報
【特許文献2】特開2006−267956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した如く、投射型映像スクリーンは、日中屋外においてその映像を鮮明なものとするには極めて大きな電力消費が予想されるため昼夜通じての運用は不適切である。またスクロール看板は、露出度は高いが、映像コンテンツを希望するクライアントの要望には答えられないとの実態がある。
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明は、看板の有する露出度の高さを維持しつつ複数コンテンツの提供を可能とするスクロール看板と、その映像の美しさにおいては屋外にても卓越した性能を発揮する投射型映像装置を組み合わせ、多機能化、省エネ化、低価格化を実現し、それらの特性を活かしそれらを昼夜切替使用可能な複合化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決すべく、本発明の請求項1のスクロール看板及び映像スクリーン複合化システムは、広告宣伝用コンテンツを複数枚連続印刷した帯状のシートをサイクリックにスクロールすることにより、同一看板面に複数コンテンツを順次露出可能とするスクロール看板と、映像スクリーンの背面側から投射し該映像スクリーンの表面側から視認可能な背面投射型映像スクリーン装置とを組合せたシステムであって、前記映像スクリーンが前記看板面の背面に略並行に配置され、前記スクロール看板の帯状のシートの一部が透明シートであり、前記スクロール看板の看板面に前記透明シートが送り出される場合に、前記スクロール看板の背面照射ランプを消灯し、前記映像スクリーンの光源を点灯する制御を行うことを特徴とする。
【0009】
次に、本発明の請求項2のスクロール看板及び映像スクリーン複合化システムは、請求項1のスクロール看板及び映像スクリーン複合化システムにおいて、スクロール看板の看板面の照度を検出し得る看板面照度センサー部と、前記看板面照度センサー部の検出結果により、前記スクロール看板の背面照射ランプをON/OFF制御する基点となる出力信号を発生し得るランプ制御信号出力部とを更に備える構成とされたことを特徴とする。
【0010】
次に、本発明の請求項3のスクロール看板及び映像スクリーン複合化システムは、請求項1のスクロール看板及び映像スクリーン複合化システムにおいて、スクロール看板と前記映像スクリーンの切替タイミングを制御する切替スケジュール制御部を更に備え、前記看板照度センサー部の出力信号を受信し、かつ、予め登録された前記切替タイミングと前記スクロール看板の看板面にスクロール表示する広告宣伝用コンテンツ毎の露出時間の個別時間幅に基づいて印刷シートのスクロール制御と、前記映像スクリーンの映像出力制御と、背面照射ランプON/OFF制御とを行うことを特徴とする。
【0011】
上述の如く、本発明のスクロール看板及び映像スクリーン複合化システムは、看板の有する露出度の高さを維持しつつ複数コンテンツの提供を可能とするスクロール看板と、その映像の美しさにおいては屋外にても卓越した性能を発揮する投射型映像を組み合わせ、更に看板面照度センサー部、スクロール看板・投射式映像切替スケジュール設定部の付加により、その特性を活かしそれらを昼夜切替運用可能なシステムとすることにより、ビジョンシステムとしての多機能化、省エネ化、低価格化を実現するものである。
【0012】
従って、本発明によれば、システムとしての多機能化、省エネ化、低価格化が可能となりビジョンシステムの最適利用に寄与するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、看板の有する露出度の高さを維持しつつ複数コンテンツの提供を可能とするスクロール看板と、その映像の美しさにおいては屋外にても卓越した性能を発揮する投射型映像を組み合わせ、更に看板面照度センサー部、切替スケジュール制御部の付加により、その特性を活かしそれらを昼夜切替運用可能なシステムとすることにより、ビジョンシステムとしての多機能化、省エネ化、低価格化を実現するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、添付図面を参照して、この発明に関わるスクロール看板及び映像スクリーン複合化システムの実施の形態を詳細に説明する。但し、本発明の範囲は、図示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
先ず、図1を基に説明する。スクロール看板印刷シート106は、印刷シート上巻取ロール102により、コンテンツ毎の一定時間静止露出をしながら順次上方に巻き取られる、複数コンテンツを含む帯状印刷シートが上方エンドまで巻き上げられると、次に印刷シート下巻取ロール103により既述上方巻上げ時同様の動作で順次下方に巻き取られる。このような動作が上下サイクリックに繰返されるのがスクロール看板の基本動作である。一方、プロジェクター107から投射された映像は、投射距離短縮用の映像反射ミラー108を経由し背面投射型スクリーン109に背面投射され、その反対面側から映像が視認できる。
背面照射ランプ111は、スクロール看板モード時夜間に内面から照射し、看板としての視認性向上を実現するものである。
【0016】
次に、図2を基に説明する。理想的には、夜間は投射型映像、昼間はスクロール看板として運用すればよいが、クライアントの要求によりコンテンツの公開を行う場合、必ずしも単純にモード切替はできない、例えば夜間であってもスクロール看板の運用が必要なケースもあり、また昼間でも極度の曇天で看板面照度が低く、スクロール看板照度が落ちる場合は、背面照射ランプの点灯が必要となる。したがって、スクロール看板・投射式映像切替運用スケジュール設定部202にて、看板面照度センサー部201からの信号を参照しながら、プロジェクター映像出力制御部204、背面照射ランプON・OFF制御部205に指令信号を送り状況に適した、クライアント要望に基づく運営に則したモード切替、ランプON/OFF制御がなされる。また夜間投射型映像モードとする場合、背面投射型スクリーンの前面に位置するスクロール看板印刷シートは、映像の視認を妨げることとなるため、スクロール看板・投射式看板映像切替運用スケジュール設定部202より印刷シート巻取制御部203に指令を送り、特定のシート(後述の映像透過シート)に切替わるよう制御する。
【0017】
次に、スクロール看板印刷シートコンテンツ構成イメージに就き、図3を基に説明する。
図示の如く、スクロール看板の印刷シートは複数のコンテンツを含み、帯状に構成されている。
この場合、例えばコンテンツ(N)が一定時間静止露出すると、次は(N+1)というように順次スクロール露出される。上方にすべて巻上げられると、今度は逆方向スクロールにてコンテンツが露出され、サイクリックに上下同様動作が繰返される、この場合、着目すべきは図の最下段にある“コンテンツなし透明”の部分である。夜間投射型映像を放映する場合、看板印刷シートが映像視認の妨げにならぬよう、このモードの場合は常にこのシートが露出するように制御するものである。
【0018】
さて、これまで本発明の実施の形態に就いて説明したが、本発明は既述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々異なる実施の形態に実施されてよいものである。
【0019】
実施例1において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を人為作業にて行うことも可能である。またあるいは人為的に行うものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、既述文章中や図面中で示した処理手順、具体的名称に就いては、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また図示した各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、屋外広告宣伝等におけるメディアとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】スクロール看板及び映像スクリーン複合化システム構成図1
【図2】スクロール看板及び映像スクリーン複合化システム構成図2
【図3】スクロール看板における印刷シートコンテンツ構成イメージ
【符号の説明】
【0022】
101 看板面照度センサー
102 印刷シート上巻取ロール
103 印刷シート下巻取ロール
104 上巻取軸
105 下巻取軸
106 スクロール看板印刷シート
107 プロジェクター
108 映像反射ミラー
109 背面投射型スクリーン
111 背面照射ランプ
201 看板面照度センサー部
202 切替スケジュール制御部
203 印刷シート巻取制御部
204 プロジェクター映像出力制御部
205 背面照射ランプON・OFF制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告宣伝用コンテンツを複数枚連続印刷した帯状のシートをサイクリックにスクロールすることにより、同一看板面に複数コンテンツを順次露出可能とするスクロール看板と、映像スクリーンの背面側から投射し該映像スクリーンの表面側から視認可能な背面投射型映像スクリーン装置とを組合せたシステムであって、前記映像スクリーンが前記看板面の背面に略並行に配置され、前記スクロール看板の帯状のシートの一部が透明シートであり、前記スクロール看板の看板面に前記透明シートが送り出される場合に、前記スクロール看板の背面照射ランプを消灯し、前記映像スクリーンの光源を点灯する制御を行うことを特徴とするスクロール看板及び映像スクリーン複合化システム。
【請求項2】
前記スクロール看板の看板面の照度を検出し得る看板面照度センサー部と、前記看板面照度センサー部の検出結果により、前記スクロール看板の背面照射ランプをON/OFF制御する基点となる出力信号を発生し得るランプ制御信号出力部とを更に備えたことを特徴とする請求項1記載のスクロール看板及び映像スクリーン複合化システム。
【請求項3】
前記スクロール看板と前記映像スクリーンの切替タイミングを制御する切替スケジュール制御部を更に備え、前記看板照度センサー部の出力信号を受信し、かつ、予め登録された前記切替タイミングと前記スクロール看板の看板面にスクロール表示する広告宣伝用コンテンツ毎の露出時間の個別時間幅に基づいて印刷シートのスクロール制御と、前記映像スクリーンの映像出力制御と、背面照射ランプON/OFF制御とを行うことを特徴とする請求項2記載のスクロール看板及び映像スクリーン複合化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−298919(P2008−298919A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142963(P2007−142963)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(507111494)株式会社マルチソリューション (15)
【Fターム(参考)】