説明

スズ及び遷移金属を含まないポリウレタンフォーム

本発明は、a)ポリイソシアネートを、b)イソシアネート反応性の水素原子を有する化合物と、c1)触媒としてのビスマスカルボキシレートの存在下で反応させることにより得られるスズ非含有ポリウレタンフォームに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)ポリイソシアネートを、b)イソシアネート反応性の水素原子を有する化合物と、c1)触媒としてのビスマスカルボキシレートの存在下で反応させることにより得られるスズ非含有ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン(PUR)からなるフォームは、以前から知られており、技術的に有用な多くの性質、例えばエネルギー吸収性又は断熱性を低質量と組み合わせて有している。広範な利用法としては、特に靴底、ステアリングホイール又は自動車工業の減衰素子である。成形体を経済的に製造するために、短時間の離型時間と満足のいく硬化性(硬化特性)とを保証する必要がある。これは、系(組成物)における触媒の組み合わせによって達成される。このために、通常、第3級アミン及び有機スズ化合物を用いることが従来技術として分かっている。触媒として用いられる第3級アミンは、例えば、トリエチレンジアミン及びビス(ジメチルアミノエチル)エーテルである。これらの化合物が活性成分として含まれる市販の触媒として、例えば、ルプラゲンN203(Lupragen N203)(登録商標)(BASF社)及びニアックスA1(Niax A1)(登録商標)(クロンプトン社)が挙げられる。これらのアミンの混合物も屡々用いられる。使用される有機スズ化合物の例は、ジブチルスズジラウレート(ニアックス(登録商標)D22、クロンプトン社)である。
【0003】
アミンと有機スズ化合物の同時使用は、触媒特性に対して相乗作用を有しているので、アミン触媒の単独使用は、多くの用途で満足のいく硬化性を達成することができない。このような用途として、例えば、靴底の製造に用いられ、ポリエーテルオールを基礎とするマイクロセルラーフォーム(極小多孔性フォーム)が挙げられる。特に、座屈時間が長いか、又は離型後の靴底の寸法安定性が不満足なときに硬化性が満足いかないものとなる。座屈時間は、靴底の製造で用いられる靴底の離型時間を判断するための方法である。座屈時間は、その後に試験プレートを180°まで湾曲させた際に表面のクラックの発生を防止するために試験片が金型に残らなければならない時間である。
【0004】
例えば靴を含む衣類として働く製品に有機スズ化合物を使用することについて、毒学的な状況が不明確であることに起因して、批判的な見方が強まっている。従って、スズ触媒を用いることなく加工処理可能であると同時に、少なくとも従来のスズ触媒系に匹敵する硬化性を有する系が求められている。
【0005】
PUR系に触媒作用を及ぼすビスマスカルボキシレートを、コンパクト塗料系に対して使用することは公知である。
【0006】
更に、特許文献1は、ポリウレタンエラストマーの製造方法を開示し、触媒として、チタン含有化合物の代わりに、チタン及びジルコニウム化合物を必要によりビスマス化合物と組み合わせて用いている。
【0007】
【特許文献1】DE−A10142296
【発明の開示】
【0008】
しかしながら、上述した理由と同様の理由から、遷移金属を含まないポリウレタンフォームを提供することが実用的である。
【0009】
従って、本発明の目的は、ポリウレタンフォーム、特にマイクロセルラーPUR成形体の製造に使用可能であり、スズ触媒を用いず且つ遷移金属を含む触媒を用いずに、公知の組成物に少なくとも匹敵する硬化性を示し且つ少なくとも公知の組成物に匹敵する他の加工特性及び使用特性を示すと同時に、毒物学的に有利で且つ経済的に有効な組成物を提供することにある。
【0010】
上記目的は、特定量のビスマスカルボキシレートをスズの代換物として使用することにより達成可能であった。
【0011】
本発明は、
a)ポリイソシアネートを、
b)イソシアネート反応性の水素原子(対イソシアネート反応性水素原子)を有する化合物と、
c1)成分b)の合計質量に対して、0.2〜2質量%、好ましくは0.4〜1.5質量%、特に好ましくは0.5〜1質量%の量で用いられる触媒としてのビスマスカルボキシレートの存在下で反応させることにより得られ、100〜800g/Lの密度を有するスズ非含有ポリウレタンフォーム、好ましくはスズ非含有インテグラルポリウレタンフォーム、特に好ましくは軟質のスズ非含有インテグラルポリウレタンフォームを提供する。
【0012】
更に本発明は、
a)ポリイソシアネートを、
b)イソシアネート反応性の水素原子を有する化合物と、
c1)成分b)の合計質量に対して、0.2〜2質量%、好ましくは0.4〜1.5質量%、特に好ましくは0.5〜1質量%の量で用いられる触媒としてのビスマスカルボキシレートの存在下で反応させることにより得られ、100〜800g/Lの密度を有するスズ非含有ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【0013】
最後に、本発明は、ポリウレタン、特に100〜800g/Lの密度を有するポリウレタンフォームの製造でビスマスカルボキシレートをスズ含有触媒の代わりに使用する方法を提供する。
【0014】
本発明の場合、スズ非含有ポリウレタンは、スズ含有化合物、例えば公知のスズ含有触媒を添加することなく製造されるポリウレタンである。しかしながら、十分に正確な分析法を用いた場合、スズを本発明のポリウレタンにおいて認めることがあることは除外され得ない。なぜなら、これにより、ポリウレタンフォームが一般的な出発物質での不純物となってしまうことがあるからである。
【0015】
本発明のポリウレタンは、100〜800g/L、好ましくは150〜700g/L、特に好ましくは200〜600g/Lの密度を有している。
【0016】
好ましい実施の形態において、本発明のポリウレタンは、ドイツ工業規格7726に準拠するインテグラルフォームである。一般に、本発明のインテグラルポリウレタンフォームは、ドイツ工業規格7726に準拠するインテグラルフォームである。好ましい実施の形態において、本発明は、ドイツ工業規格53505に準拠して測定される20〜90ショアAの範囲、好ましくは50〜80ショアAの範囲のショア硬度を有するポリウレタンを基礎とするインテグラルフォームを提供する。更に、本発明のインテグラルフォームは、ドイツ工業規格53504に準拠して測定される2〜20N/mm2の範囲、好ましくは6〜18N/mm2の範囲の引っ張り強さを有しているのが好ましい。更に、本発明のインテグラルフォームは、ドイツ工業規格53504に準拠して測定される100〜800%の範囲、好ましくは220〜700%の範囲の伸びを有しているのが好ましい。最後に、本発明のインテグラルフォームは、ドイツ工業規格53507に準拠して測定される2〜45N/mmの範囲、好ましくは8〜38N/mmの範囲の耐引き裂き性を有しているのが好ましい。
【0017】
特に、本発明のポリウレタンは、エラストマーの、軟質インテグラルポリウレタンフォームである。
【0018】
本発明のポリウレタンフォームの製造に使用されるポリイソシアネート(a)は、従来技術で知られている脂肪族、脂環式及び芳香族イソシアネートであり、更にこれらの混合物である。例示は、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、モノマーのジフェニルメタンジイソシアネートと大多数の環を有する同族体のジフェニルメタンジイソシアネートの混合物(ポリマーのMDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)及びこれらの混合物である。
【0019】
4,4’−MDI及び/又はHDIを使用するのが好ましい。特に好ましい4,4’−MDIは、少量の、すなわち約10質量%以下のアロファネート−又はウレトンイミン変性ポリイソシアネートを含んでいても良い。少量のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(粗MDI)を用いることも可能である。これらの高官能性ポリイソシアネートの合計量は、使用されるイソシアネートに対して5質量%を超えない。
【0020】
ポリイソシアネート(a)をポリイソシアネートプレポリマーの形で用いることも可能である。かかるプレポリマーは、従来技術で公知である。かかるプレポリマーは、、上述のポリイソシアネート(a)を、例えば約80℃の温度条件下に、イソシアネート反応性水素原子を有し、以下に記載の化合物(b)と反応させて、プレポリマーを形成することにより、それ自体公知の方法で調製される。ポリオール/ポリイソシアネート比は、プレポリマーのNCO含有量が8〜25質量%、好ましくは10〜22質量%、特に好ましくは13〜20質量%となるように選択されるのが一般的である。
【0021】
イソシアネート反応性水素原子を有する化合物(b)として、OH基、SH基、NH基、NH2基及びCH酸基(例えばβ−ジケト基)から選択される反応性基を分子中に2個以上有する化合物を用いることができる。成分(b)の選択に応じて、本発明の場合に使用されるポリウレタンなる用語は、一般にポリイソシアネート重付加生成物、例えば更にポリ尿素も包含する。
【0022】
一般に、成分(b)として使用される化合物は、1.8〜8の範囲、好ましくは2〜6の範囲の官能価(官能性)及び300〜8000の範囲、好ましくは400〜6000の範囲の分子量を有している。有用であると見出された化合物は、例えば、ポリエーテルポリアミン及び/又はポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル含有ポリアセタール及びヒドロキシル含有脂肪族ポリカーボネートからなる群から選択されるポリオール並びに少なくとも2種の上述のポリオールの混合物である。
【0023】
ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを使用するのが好ましい。ポリエーテルポリオール、特に、少なくとも10%の第一級ヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオールを使用するのが特に好ましい。ポリヒドロキシル化合物のヒドロキシル価は、一般に5〜1000の範囲であり、15〜200の範囲が好ましい。更に、化合物(b)を、一般的な連鎖延長剤及び/又は架橋剤、例えばエチレングリコール、ブタンジオール、又はジエチレングリコールとの混合物として使用可能である。
【0024】
低不飽和含有量のポリエーテルオールをポリエーテルオール(b)として用いることも可能である。本発明の場合、低不飽和含有量のポリオールは、特に、0.02meq/g未満、好ましくは0.01meq/g未満の不飽和化合物含有量のポリエーテルアルコールである。かかるポリエーテルアルコールは、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びこれらの混合物を、二重金属シアニド触媒の存在下、少なくとも二官能性のアルコールに付加することによって調製されるのが一般的である。
【0025】
更に、本発明の場合、熱可塑性ポリマー含有量が2〜50質量%、好ましくは10〜45質量%のポリマーポリオールを成分(b)として使用するときに成分(c1)を極めて有利に使用可能であることが見出された。これは、ポリウレタンの分野で一般的であり且つ屡々、グラフトポリオールと称されることもあるポリマーポリオールである。かかるポリマーポリオールは、一般に公知で且つ市販されており、適当なオレフィン性モノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、アクリレート及び/又はアクリルアミドを、グラフトベースとして働くポリエーテルオールにおいてフリーラジカル重合することによって調製されるのが一般的である。側鎖は、成長ポリマー鎖のフリーラジカルをポリエーテルオールに移動させることによって形成するのが一般的である。ポリマーポリオールは、グラフト共重合体の他に、主として、未変化ポリエーテルオールに分散されるオレフィンの単独重合体を含む。
【0026】
好ましい実施の形態において、アクリロニトリル、スチレン、特に1:1〜3:1の割合のスチレン及びアクリロニトリルをモノマーとして使用し、そして、グラフト反応を連続相としてのポリエーテルオール又はポリエステルオール中において、適宜、他のモノマー、マクロマー、減速材の存在下で、フリーラジカル開始剤、一般的にはアゾ化合物又は過酸化物化合物を用いて行う。
【0027】
使用可能な基材のポリエーテルオールは、上述のポリエーテルオールである。
【0028】
安定剤と称されることもあるマクロマーは、2000g/モル以下の数平均分子量を有し、少なくとも1個の反応性のオレフィン性不飽和末端基を含む直鎖又は分岐のポリオールである。エチレン性不飽和基を、無水物(無水マレイン酸、無水フマル酸)、アクリレート及びメタクリレート誘導体、そして更にイソシアネート誘導体、例えば3−イソプロペニル−1,1−ジメチルベンジルイソシアネート及びイソシアナトエチルメタクリレートとの反応によって、存在するポリオールに差し込むことができる。
【0029】
フリーラジカル重合中に、マクロマーを共重合体鎖に組み込む。これにより、ポリエーテルブロック及びポリアクリロニトリル−スチレンブロックを有し、連続相と分散相の界面で相の相溶化剤として作用し、そしてポリマーポリオール粒子の凝集を抑制するブロック共重合体を形成する。マクロマーの割合は、ポリマーポリオールの調製に用いられるモノマーの合計質量に対して、通常1〜15質量%の範囲である。
【0030】
好ましい実施の形態において、100質量%の成分(b)に対して、2〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは7〜30質量%、特に好ましくは10〜25質量%のポリマーポリオールを用いることができる。
【0031】
成分(a)と(b)の反応は、通常、発泡剤(d)の存在下で行われる。発泡剤(d)として、化学的又は物理的に作用する公知の化合物を使用可能である。化学的に作用する発泡剤として、水を使用するのが好ましい。物理発泡剤は、例えば、4〜8個の炭素原子を有し、ポリウレタン形成条件下で蒸発する不活性な脂肪族炭化水素又は脂環式炭化水素である。使用される発泡剤の量は、フォームの所望の密度に応じて異なる。
【0032】
成分(a)と(b)の反応は、適宜、成分(e)の助剤及び/又は添加剤、例えばセル調整剤(cell regulator)、離型剤、顔料、強化材、例えばガラス繊維、界面活性化合物及び/又は酸化、熱、加水分解又は微生物の分解又は熟成に対する安定剤の存在下で行われ得る。
【0033】
触媒(成分c)として、本発明のポリウレタンフォームにおけるビスマスカルボキシレート(成分c1)を用いることができる。ビスマスカルボキシレート(c1)において、ビスマスは、2又は3、特に3の酸化状態で存在するのが好ましい。塩の形成に用いられるカルボン酸として、炭素原子数6〜14のカルボン酸を使用するのが好ましく、炭素原子数8〜12のカルボン酸を使用するのが特に好ましい。特に有用なビスマス塩は、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2−エチルヘキサノエート及びビスマスオクタノエートである。
【0034】
好ましい実施の形態において、成分(c1)を、成分(a)と(b)の反応に添加する前に、カルボン酸に溶解させ、そして溶解状態で反応に添加する。溶剤として、炭素原子数6〜14のカルボン酸を使用するのが好ましく、炭素原子数8〜12のカルボン酸を使用するのが特に好ましい。例示は、オクタン酸及びネオデカン酸である。溶剤として、成分(c1)中のカルボキシレート基も形成する同一の酸を使用するのが好ましい。
【0035】
好ましい実施の形態において、成分(a)と(b)の反応は、有機金属触媒としてのビスマスカルボキシレート(c1)の存在下でのみ起こり、すなわち他の有機金属触媒を反応に添加しない。
【0036】
好ましい実施の形態において、成分(a)と(b)の反応は、触媒としてのビスマスカルボキシレート(c1)の存在下でのみ行われずに、更に有機アミン(成分c2)の存在下で行われる。
【0037】
有機アミンとして、従来技術で公知の第3級アミンを使用可能である。第3級アミンを使用するのが好ましい。
【0038】
使用可能なアミンは、例えば、有機アミン、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、3−メチル−6−ジメチルアミノ−3−アザペントール、ジメチルアミノプロピルアミン、1,3−ビスジメチルアミノブタン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−シクロヘキシルモルホリン、2−ジメチルアミノエトキシエタノール、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミノ−N−メチルエタノールアミン、N−メチルイミダゾール、N−(3−アミノプロピル)イミダゾール、N−(3−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、N−ホルミル−N,N’−ジメチルブチレンジアミン、N−ジメチルアミノエチルモルホリン、3,3’−ビス(ジメチルアミノ)ジ−n−プロピルアミン及び/又はビス(2−ピペラジノイソプロピル)エーテル、ジメチルピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン及び/又はトリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、又は少なくとも2種の上述のアミンを含む混合物である。例えば、DE−A2812256に記載されている高分子量の第3級アミンも使用可能である。
【0039】
好ましい実施の形態において、c2)に対するc1)の質量比は、0.005:1〜0.5:1の範囲であり、0.01:1〜0.3:1の範囲が好ましい。
【0040】
一般に、成分(a)は、イソシアネート成分と称され、成分(c)との、使用した場合には成分(c)と発泡剤及び添加剤との混合状態の成分(b)は、ポリオール成分と称される。
【0041】
ポリウレタンフォームを製造するために、成分(a)及び(b)を、反応性水素原子の合計に対するNCO基の当量比が1:0.8〜1:1.25の範囲、好ましくは1:0.9〜1:1.15の範囲となるような量で反応させるのが一般的である。1:1の割合は、NCOインデックス100に相当する。
【0042】
本発明のポリウレタンフォームに加えて、更に本発明は、スズ含有触媒の代わりに、唯一の有機金属触媒としてのビスマスカルボキシレート(c1)を、ポリウレタンフォーム、好ましくは100〜800g/Lの密度を有するポリウレタンフォームの製造に使用する方法を提供する。
【0043】
本発明のスズ非含有ポリウレタンは、靴底の製造に用いられるのが好ましい。従って、本発明は、本発明のポリウレタンフォームを含むスズ非含有靴底を提供する。
【0044】
唯一の有機金属触媒としてのビスマスカルボキシレートを、スズの代換物として、ポリウレタン、特にエラストマーのマイクロセルラーフォームの製造、特に靴底の製造に使用する方法は、従来技術で示唆されていない。それどころか、スズ非含有PURエラストマーを製造するための文献から知られている解決法では、種々の有機金属触媒の混合物を必要としている。
【0045】
本発明を、以下の実施例で説明する
【実施例】
【0046】
使用される出発物質:
ポリオール1:ポリエーテルポリオール、OHN=27、名目上の官能価f=3、PO/EO比=77/21、EOキャップ;
ポリオール2:ポリエーテルポリオール、OHN=29、名目上の官能価f=2、PO/EO比=81/19、EOキャップ;
ポリオール3:グラフトポリエーテルポリオール、OHN=27、名目上の官能価f=3、約40%のアクリロニトリル/スチレン;
CE1:モノエチレングリコール;
CE2:1,4−ブタンジオール;
安定剤:ダブコDC193(Dabco DC 193)(登録商標)(Air Products社);
C1:アミン触媒、ダブコDC1(登録商標)(Air Products社);
C2:アミン触媒、ルプラゲンN206(Lupragen N 206)(登録商標)(BASF社);
C3:アミン触媒、ルプラゲンN202(登録商標)(BASF社);
C4:スズ触媒、ニアックス(Niax)(登録商標)D22;
C5:ビスマスネオデカノエートを含む触媒;
ISO510(登録商標)、ISO750/19(登録商標)、ISO500(登録商標):4,4’−MDIを基礎とするエラストグラン社製のイソシアネートプレポリマー、ポリエーテルポリオール、適宜、低分子量のジオールを添加、NCO含有量=13.9%(ISO510及びISO750/19の場合)及び20.4%(ISO500の場合)。
【0047】
インテグラルフォームの製造:
成分A及びBを、実施例に記載の混合比で23℃の条件下にて激しく混合し、そして混合物を、密閉金型中での発泡及び硬化後に550g/Lの密度を有するインテグラルフォーム板が得られるような量で、20×20×1cmの寸法を有し、50℃に加熱された板状アルミニウム金型に導入した。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
表1は、本発明の触媒を含む4種類の組成物(1〜4)の組成と、スズ触媒を含む類似の比較用組成物(比較1〜比較4)の組成を要約したものである。
【0051】
表2は、組成物の加工特性及び機械特性の概要を示している。組成物1〜4の座屈時間の有意な短縮は、比較用組成物の比較1〜比較4と比較して、硬化性が改善されたことを示していた。更に、離型後に同程度の寸法安定性が達成された。重要な機械特性、例えば引っ張り強さ、伸び又は曲げ疲労性についても同様であった。
【0052】
測定値は、以下に規定される方法に従って測定された:
反発弾性はドイツ工業規格53512に準拠し、引っ張り強さ、伸びはドイツ工業規格53504に準拠し、ショアA硬度はドイツ工業規格53505に準拠し、耐引き裂き性はドイツ工業規格53507に準拠し、曲げ疲労性はドイツ工業規格53543に準拠して行われた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリイソシアネートを、
b)イソシアネート反応性の水素原子を有する化合物と、
c1)成分b)の合計質量に対して、0.2〜2質量%の量で用いられる触媒としてのビスマスカルボキシレートの存在下で反応させることにより得られ、100〜800g/Lの密度を有するスズ非含有ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
ビスマスカルボキシレートc1)を、唯一の有機金属触媒として成分a)とb)との反応に添加する請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
成分a)とb)との反応を、c1)及びc2)のアミンの存在下で行い、c1:c2の質量比は0.005:1〜0.5:1の範囲である請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
インテグラルポリウレタンフォーム、好ましくは軟質のインテグラルポリウレタンフォームである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項5】
ビスマスカルボキシレートc1)は、炭素原子数6〜12のカルボン酸から得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項6】
a)ポリイソシアネートを、
b)イソシアネート反応性の水素原子を有する化合物と、
c1)成分b)の合計質量に対して、0.2〜2質量%の量で用いられる触媒としてのビスマスカルボキシレートの存在下で反応させることにより得られ、200〜800g/Lの密度を有するスズ非含有ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項7】
スズ含有触媒の代わりに唯一の有機金属触媒としてのビスマスカルボキシレートをポリウレタンフォームの製造に使用する方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームを含む靴底。

【公表番号】特表2007−523983(P2007−523983A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500114(P2007−500114)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001674
【国際公開番号】WO2005/080464
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】