説明

スチレン−イソブチレン−スチレンおよびスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーを含有する組成物

本発明は、少なくとも1つのブロックAおよび少なくとも1つのブロックBを有する水素化スチレンブロックコポリマー並びに約10から約90重量パーセントのスチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマーを含む組成物を提供する。各々のAはモノアルケニルアレーンであり、並びに各々のBブロックは少なくとも1種類のモノアルケニルアレーンおよび少なくとも1種類の共役ジエンの制御分布コポリマーであり、一般式A−EB/A−Aおよび(A−EB/A)nXを有する。各々のBブロックは、共役ジエン単位に富む、Aブロックに隣接する末端領域および、モノアルケニルアレーン単位に富む、Aブロックに隣接しない1以上の領域を含む。容易な加工性に適するメルトフローレートを維持しながら、低い気体透過性、低い熱伝導性、強力な振動および音波減衰並びに、場合により、比較的低い曇り値での高いレベルの光透過の組み合わせをもたらす油非含有組成物が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、容易加工性に適するメルトフローレートを維持しながら、低い気体透過性、低い熱伝導性、強力な振動および音波減衰並びに、場合により、比較的低い曇り値での高いレベルの光透過を組み合わせてもたらす、(1)一般式A−EB/A−Aおよび/または(A−EB/A)nXを有するモノアルケニルアレーンおよび共役ジエンの制御分布ブロックコポリマー並びに(2)スチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー(SiBS)を含有する新規組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
モノアルケニルアレーンおよび共役ジエンのブロックコポリマーの調製は周知である。スチレンおよびブタジエンで製造される直鎖ABAブロックコポリマーに関する最初の特許の1つが米国特許番号3,149,182である。次に、これらのポリマーを水素化してより安定なブロックコポリマー、例えば、米国特許番号3,595,942および米国特許番号Re.27,145に記述されるものを形成することが可能であった。それ以来、多数の新規スチレンジエンポリマーが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,149,182号明細書
【特許文献2】米国特許第3,595,942号明細書
【特許文献3】米国再発行特許発明第27,145号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特定の組成物は、スチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー(SiBS)並びにモノアルケニルアレーンおよび共役ジエンの制御分布ブロックコポリマーの配合物である。特に、制御分布ブロックコポリマーはA−EB/A−Aおよび/または(A−EB/A)nXである。この好ましくは油非含有の組み合わせは、独特の特徴、例えば、容易加工性に適するメルトフローレートを維持しながら、低い気体透過性、低い熱伝導性、強力な振動および音波減衰並びに、場合により、比較的低い曇り値での高レベルの光透過性を含むことが示されている。さらに、この特定の組み合わせは、他のポリマーの配合物、特にポリオレフィンポリマー、最も好ましくはポリプロピレンとで特に適切でもある。
【発明を実施するための形態】
【0005】
Varmaは、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマーとスチレン−イソブチレン−スチレン(SiBS)ブロックコポリマーとの組み合わせが独自の特徴をもたらすことを、US2006/0229402A1(参照により本明細書に組み込まれる。)において従来示している。Varmaは加工性を強化するのに可塑剤、例えば、プロセスオイルの使用を必要とする。本発明の組成物は、良好な加工性を付与する制御分布ブロックコポリマー、例えば、S−EB/S−Sまたは(S−EB/S)nXの組み込みにより、可塑剤の使用を必要としない点で独自である。加えて、制御分布ブロックコポリマー、例えば、S−EB/S−Sまたは(S−EB/S)nXは、予期せぬことに、スチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマーの屈折率に類似する屈折率を有し、従来技術においては不可能である光学的に透明な組成物をもたらす。光学的に透明の組成物は、ポリマーの配合物の屈折率がほぼ同じ値を有する場合に可能である。本発明では、これはすべての成分の屈折率が約1.53+/−0.03でなければならないことを意味する。
【0006】
本発明の特定の組成物は、好ましくは、(1)制御分布ブロックコポリマーおよび(2)スチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマーの油非含有配合物である。制御分布ブロックコポリマー、例えば、S−EB/S−Sまたは(S−EB/S)nXの配合物は、得られる組成物が高レベルの光透過率および比較的低い曇り値を達成しながら良好な加工性を示すという点で独自であることが見出されている。これらの組成物は、光学的透明度を維持するため、約1.53の屈折率を有するプラスチックとさらに配合することができる。光学的透明度が最終用途に要求されない場合、ポリオレフィンを組み込むこともできる。
【0007】
制御分布ブロックコポリマーはA−EB/A−Aおよび/または(A−EB/A)nXである。「A」ブロックはアルケニルアレーンであり、これはスチレン、アルファ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンおよびパラ−ブチルスチレンまたはこれらの混合物から選択することができる。「B」ブロックは少なくとも1種類のモノアルケニルアレーンと少なくとも1種類の共役ジエンとの制御分布コポリマーであり、これは1,3−ブタジエンおよび置換ブタジエン、例えば、イソプレン、ピペリレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンおよび1−フェニル−1,3−ブタジエンまたはこれらの混合物から選択することができる。上記式において、「E」は水素化されているジエンを意味し、ブタジエンを水素化するとき、これはエチレンブチレン(EB)となる。同様に、水素化されたイソプレンでは、これは通常IPと記述されるイソプレンプロピレンになるが、本発明において有用である多くの許容し得る共役ジエンのため、「E」は単に少なくとも80wt.%、好ましくは少なくとも85wt.%、最も好ましくは少なくとも90wt.%まで水素化されているジエンを意味する。
【0008】
一実施形態において、本発明は:(1)少なくとも1つのブロックAおよび少なくとも1つのブロックBを有する水素化ブロックコポリマーであって、並びに:
a.水素化の前、各々のAブロックはモノアルケニルアレーンホモポリマーブロックであり、並びに各々のBブロックは少なくとも1種類の共役ジエンおよび少なくとも1種類のモノアルケニルアレーンの制御分布コポリマーブロックであり;
b.水素化の後、アレーン二重結合の約0−10%が還元されており、および少なくとも共役ジエン二重結合の約90%が還元されており;
c.各々のAブロックは約3,000から約60,000の数平均分子量を有し、および各々のBブロックは約30,000から約300,000の数平均分子量を有し;
d.各々のBブロックは、共役ジエン単位に富む、Aブロックに隣接する末端領域および、モノアルケニルアレーン単位に富む、Aブロックに隣接しない1以上の領域を含み;
e.水素化ブロックコポリマー内のモノアルケニルアレーンの総量は約20重量パーセントから約80重量パーセントであり;並びに
f.各々のBブロック内のモノアルケニルアレーンの重量パーセントは約10パーセントから約75パーセントである;
水素化ブロックコポリマー、および
(2)約10から約90重量パーセントのスチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー;
を含む油非含有組成物であって、組成物の総wt.%は100wt.%であり、ASTM D1003による、中間のすべての点を含め、約70から約90%透過の光透過率およびASTM D1003による、中間のすべての点を含め、約5から約50%の曇りを有する、油非含有組成物を提供する。
【0009】
油非含有組成物がより好ましいものの、良好な光学的透明性を維持しながらプロセッシングオイルを組み込むことが可能である。本発明の別の実施形態によると、本発明は、(1)少なくとも1つのブロックAおよび少なくとも1つのブロックBを有する水素化ブロックコポリマーであって、並びに:
a.水素化の前、各々のAブロックはモノアルケニルアレーンホモポリマーブロックであり、並びに各々のBブロックは少なくとも1種類の共役ジエンおよび少なくとも1種類のモノアルケニルアレーンの制御分布コポリマーブロックであり;
b.水素化の後、アレーン二重結合の約0−10%が還元されており、および少なくとも共役ジエン二重結合の約90%が還元されており;
c.各々のAブロックは約3,000から約60,000の数平均分子量を有し、および各々のBブロックは約30,000から約300,000の数平均分子量を有し;
d.各々のBブロックは、共役ジエン単位に富む、Aブロックに隣接する末端領域および、モノアルケニルアレーン単位に富む、Aブロックに隣接しない1以上の領域を含み;
e.水素化ブロックコポリマー内のモノアルケニルアレーンの総量は約20重量パーセントから約80重量パーセントであり;並びに
f.各々のBブロック内のモノアルケニルアレーンの重量パーセントは約10パーセントから約75パーセントである;
水素化ブロックコポリマー、
(2)約10から約90重量パーセントのスチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー;および
(3)約5から約40重量パーセントの油;
の組成物であって、組成物の総wt.%は100wt.%であり、ASTM D1003による、中間のすべての点を含め、約70から約90%透過の光透過率およびASTM D1003による、中間のすべての点を含め、約5から約50%の曇りを有する組成物を提供する。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態によると、本発明は、(1)少なくとも1つのブロックAおよび少なくとも1つのブロックBを有する水素化ブロックコポリマーであって、並びに:
a.水素化の前、各々のAブロックはモノアルケニルアレーンホモポリマーブロックであり、並びに各々のBブロックは少なくとも1種類の共役ジエンおよび少なくとも1種類のモノアルケニルアレーンの制御分布コポリマーブロックであり;
b.水素化の後、アレーン二重結合の約0−10%が還元されており、および少なくとも共役ジエン二重結合の約90%が還元されており;
c.各々のAブロックは約3,000から約60,000の数平均分子量を有し、および各々のBブロックは約30,000から約300,000の数平均分子量を有し;
d.各々のBブロックは、共役ジエン単位に富む、Aブロックに隣接する末端領域および、モノアルケニルアレーン単位に富む、Aブロックに隣接しない1以上の領域を含み;
e.水素化ブロックコポリマー内のモノアルケニルアレーンの総量は約20重量パーセントから約80重量パーセントであり;並びに
f.各々のBブロック内のモノアルケニルアレーンの重量パーセントは約10パーセントから約75パーセントである;
水素化ブロックコポリマー、
(2)約10から約90重量パーセントのスチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー;
(3)約0から約40重量パーセントの油;および
(4)約2から約40重量パーセントのエンジニアリング熱可塑性樹脂;
の組成物であって、組成物の総wt.%は100wt.%であり、ASTM D1003による、中間のすべての点を含め、約60から約90%透過の光透過率およびASTM D1003による、中間のすべての点を含め、約5から約60%の曇りを有する組成物を提供する。
【0011】
光学的透明性は最終使用用途に必要ではないこともあり得る。このようなものとして、ポリオレフィンまたはスチレン樹脂を組み込むことが適切であり得る。本発明のさらに別の実施形態によると、本発明は、(1)少なくとも1つのブロックAおよび少なくとも1つのブロックBを有する水素化ブロックコポリマーであって、並びに:
a.水素化の前、各々のAブロックはモノアルケニルアレーンホモポリマーブロックであり、並びに各々のBブロックは少なくとも1種類の共役ジエンおよび少なくとも1種類のモノアルケニルアレーンの制御分布コポリマーブロックであり;
b.水素化の後、アレーン二重結合の約0−10%が還元されており、および少なくとも共役ジエン二重結合の約90%が還元されており;
c.各々のAブロックは約3,000から約60,000の数平均分子量を有し、および各々のBブロックは約30,000から約300,000の数平均分子量を有し;
d.各々のBブロックは、共役ジエン単位に富む、Aブロックに隣接する末端領域および、モノアルケニルアレーン単位に富む、Aブロックに隣接しない1以上の領域を含み;
e.水素化ブロックコポリマー内のモノアルケニルアレーンの総量は約20重量パーセントから約80重量パーセントであり;並びに
f.各々のBブロック内のモノアルケニルアレーンの重量パーセントは約10パーセントから約75パーセントである;
水素化ブロックコポリマー、
(2)約10から約90重量パーセントのスチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー;
(3)約0から約40重量パーセントの油;および
(4)約5から約30重量パーセントのポリオレフィンまたはスチレン樹脂;
の組成物であって、組成物の総wt.%は100wt.%であり、100%O試験気体濃度および760mmHg試験気体圧を用いて23℃および0%相対湿度での測定で<0.9×10−12(ccxcm)/(cmxsxPa)の酸素透過係数を有する組成物を提供する。
【0012】
制御分布ブロックコポリマー
本発明の制御分布ブロックコポリマーはUS7,169,848(これは参照により本明細書に組み込まれる。)においてBeningらによって詳細に記載されている。本発明の制御分布ブロックコポリマーはモノアルケニルアレーン末端ブロック並びにモノアルケニルアレーンおよび共役ジエンの独自中間ブロックを含む。驚くべきことに、(1)モノマー添加の独自制御および(2)(「分配剤(distribution agents)と呼ばれる」)溶媒の成分としてのジエチルエーテルまたは他の改質剤の使用の組み合わせは、2種類のモノマーの特定の特徴的な分布(本明細書では「制御分布」重合、即ち、「制御分布」構造をもたらす重合と呼ばれる。)を生じ、その上、ポリマーブロック内の特定のモノアルケニルアレーン豊富領域および特定の共役ジエン豊富領域の存在をもたらす。本明細書での目的のため、「制御分布」は以下の特質を有する分子構造を指すものと定義される:(1)共役ジエン単位に富む(即ち、平均量より多くの共役ジエン単位を有する)モノアルケニルアレーンホモポリマー(「A」)ブロックに隣接する末端領域;(2)モノアルケニルアレーン単位に富む(即ち、平均量より多くのモノアルケニルアレーン単位を有する)Aブロックに隣接しない1以上の領域;および(3)ブロック状化(blockiness)が比較的少ない全体構造。本明細書での目的のため、「に富む」は平均量を上回る、好ましくは、平均量を5wt.%上回るものと定義される。この比較的少ないブロック状化は、示差走査熱量測定(「DSC」)(熱的)法を用いて分析されるか、もしくは機械的方法によって分析されるとき、いずれかのモノマー単独のTgの間にただ1つの(「Tg」)中間値が存在することによって示すことができ、またはプロトン核磁気共鳴(「H−NMR」)法によって示されるように示すことができる。ブロック状化の可能性は、Bブロックの重合の最中のポリスチリルリチウム末端基の検出に適する波長範囲でのUV−可視吸光度の測定から推測することもできる。この値の鋭い実質的な増加はポリスチリルリチウム鎖末端の実質的な増加を示すものである。この方法において、これは、共役ジエン濃度が制御分布重合を維持する臨界レベルを下回って低下する場合にのみ生じる。この時点で存在するあらゆるスチレンモノマーはブロック状化の方式で付加される。当業者によりプロトンNMRを用いて測定される「スチレンブロック状化(styrene blockiness)」という用語は、ポリマー鎖に2つのS最近傍隣接体を有するポリマーにおけるS単位の割合となるものと定義される。スチレンブロック状化は、以下のようにH−1 NMRを用いて2つの実験量を測定した後に決定される。
【0013】
まず、H−1 NMRスペクトルにおける7.5から6.2ppmまでの総スチレン芳香族シグナルを積分し、この量を5で除して各スチレン芳香族環上の5個の芳香族水素を明らかにすることにより、スチレン単位(即ち、比をとるときに相殺される任意機器単位(arbitrary instrument units))の総数を決定する。
【0014】
次に、H−1 NMRスペクトルにおける6.88から6.80のシグナル最小から6.2ppmまでの芳香族シグナルの部分を積分し、この量を2で除して各ブロック状スチレン芳香族環上の2個のオルト水素を明らかにすることにより、ブロック状スチレン単位を決定する。2つのスチレン最近傍隣接体を有する、スチレン単位のリング上の2個のオルト水素へのこのシグナルの割当は、F.A.Bovey,High Resolution NMR of Macromolecules(Academic Press,New York and London,1972),Chapter 6において報告された。
【0015】
スチレンブロック状化は、単に、ブロック状スチレンの全スチレン単位に対するパーセンテージである:
ブロック状%=100×(ブロック状スチレン単位/全スチレン単位)
このように表すと、ポリマー−Bd−S−(S)n−S−Bd−ポリマー(式中、nは0を上回る。)はブロック状スチレンであるものと定義される。例えば、上の例においてnが8に等しい場合、ブロック状化指数(blockiness index)は80%である。ブロック状化指数は約40未満であることが好ましい。10重量パーセントから40重量パーセントのスチレン含有率を有する幾つかのポリマーでは、ブロック状化指数は約10未満であることが好ましい。
【0016】
この制御分布構造は、その制御分布構造が2種類のモノマーの相分離が事実上存在しないことを保証するため、即ち、モノマーが、実際には、別のTgを有するが実際には共に化学的に結合する別々の「ミクロ相」のままであるブロックコポリマーとは対照的であるため、得られるコポリマーの強度およびTgを維持する上で非常に重要である。この制御分布構造は、ただ1つのTgが存在し、従って、得られるコポリマーの熱的性能が予測可能であり、実際、予め決定できることを保証する。さらに、このような制御分布構造を有するコポリマーがジブロック、トリブロックまたは多ブロックコポリマー中でブロックの1つとして用いられるとき、おそらくは適切に構成された制御分布コポリマー領域の存在によって可能となる比較的高いTgが流動および加工性を改善する傾向にある。特定の他の特性の改質も達成され得る。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において、主題である制御分布コポリマーブロックは3つの異なる領域−ブロックの末端の共役ジエン豊富領域およびブロックの中間または中央近辺のモノアルケニルアレーン豊富領域を有する。典型的には、Aブロックに隣接する領域はこのブロックの最初の15から25%およびこの間のすべての点を含み、およびジエン豊富領域を含み、残部はアレーン豊富であると考えられる。「ジエン豊富」という用語は、この領域が、アレーン豊富領域よりも測定可能な程度まで高い、アレーンに対するジエンの比を有することを意味する。望ましいものは、このポリマーブロックが完全に重合するまで、モノアルケニルアレーン単位の割合がこのブロックの中間または中央近傍での最大まで徐々に増加し(ABA構造を説明するとき)、次いで徐々に減少するモノアルケニルアレーン/共役ジエン制御分布コポリマーブロックである。この構造は従来技術において考察されるテーパードおよび/またはランダム構造とは区別され、異なるものである。
【0018】
本発明の新規制御分布コポリマーを調製するための出発物質には開始モノマーが含まれる。アルケニルアレーンはスチレン、アルファ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンおよびパラ−ブチルスチレンまたはこれらの混合物から選択することができる。これらのうち、スチレンが最も好ましく、様々な製造者から商業的に入手可能であって比較的安価である。本明細書で用いるための共役ジエンは1,3−ブタジエンおよび置換ブタジエン、例えば、イソプレン、ピペリレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンおよび1−フェニル−1,3−ブタジエンまたはこれらの混合物である。これらのうち、1,3−ブタジエンが最も好ましい。本明細書で、および請求の範囲において用いられる場合、「ブタジエン」は具体的には「1,3−ブタジエン」を指す。
【0019】
本明細書で用いられる場合、「熱可塑性ブロックコポリマー」は、少なくともモノアルケニルアレーン、例えば、スチレンの第1ブロック並びにジエンおよびモノアルケニルアレーンの制御分布コポリマーの第2ブロックを有するブロックコポリマーと定義される。この熱可塑性ブロックコポリマーを調製する方法はブロック重合について一般に公知である方法のいずれかによるものである。本発明は一実施形態として熱可塑性コポリマー組成物を含み、この組成物はジブロック、トリブロックコポリマーまたは多ブロック組成物のいずれかであり得る。ジブロックコポリマー組成物の場合、ブロックの1つはアルケニルアレーン系ホモポリマーブロックであり、これらと重合されるのはジエンおよびアルケニルアレーンの制御分布コポリマーの第2ブロックである。トリブロック組成物の場合、これは末端ブロックとしてガラス状アルケニルアレーン系ホモポリマーを含み、および中間ブロックとしてジエンおよびアルケニルアレーンの制御分布コポリマーを含む。トリブロックコポリマー組成物が好ましい場合、制御分布ジエン/アルケニルアレーンコポリマーを本明細書では「B」に指定し、アルケニルアレーン系ホモポリマーを「A」に指定することができる。このA−B−A、トリ−ブロック組成物は連続重合またはカップリングのいずれかによって製造することができる。連続溶液重合技術においては、まずモノアルケニルアレーンを導入して比較的硬い芳香族ブロックを生成し、これに続いて制御分布ジエン/アルケニルアレーン混合物を導入して中間ブロックを形成した後、モノアルケニルアレーンを導入して末端ブロックを形成する。直鎖A−B−A配置に加えて、放射状(分岐鎖)ポリマー、(A−B)Xもしくは(A−B−A)Xが形成されるようにブロックを構築することができ、または両タイプの構造を混合物中で組み合わせることができる。幾らかのA−Bジブロックポリマーが存在し得るが、好ましくは、強度が付与されるように、ブロックコポリマーの少なくとも約70重量パーセントがA−B−Aまたは放射状である(または、さもなければ、分子あたり2以上の末端樹脂ブロックを有するように分岐する。)。他の構造には(A−B)および(A−B)Aが含まれる。上記式において、nは2から約30、好ましくは2から約15、より好ましくは2から6の整数であり、Xはカップリング剤の残部または残基である。
【0020】
様々なブロックの分子量を制御することも重要である。ABジブロックでは、望ましいブロック重量は、モノアルケニルアレーンAブロックについて3,000から約60,000、制御分布共役ジエン/モノアルケニルアレーンBブロックについて30,000から約300,000である。好ましい範囲は、Aブロックについては5000から45,000、Bブロックについては50,000から約250,000である。トリブロックでは、これが連続ABAであってもカップリング(AB)Xブロックコポリマーであってもよいが、Aブロックは3,000から約60,000、好ましくは、5000から約45,000であるべきであり、その一方で連続ブロックのBブロックは約30,000から約300,000であるべきであり、カップリングしたポリマーのBブロック(2)はこの量の半分であるべきである。トリブロックコポリマーの合計平均分子量は約40,000から約400,000であるべきであり、放射状コポリマーでは約60,000から約600,000であるべきである。これらの分子量は光散乱測定によって最も正確に決定され、真の数平均分子量として表される。
【0021】
本発明の別の重要な態様は制御分布コポリマーブロック中の共役ジエンの微小構造またはビニル含有率を制御することである。「ビニル含有率」という用語は、共役ジエンが1,2−付加(ブタジエンの場合。イソプレンの場合、これは3,4−付加である。)によって重合するという事実を指す。純粋な「ビニル」基は1,3−ブタジエンの1,2−付加重合の場合にのみ形成されるが、ブロックコポリマーの最終調製に対するイソプレンの3,4−付加重合(および他の共役ジエンでの類似の付加)の効果は同様である。「ビニル」という用語はポリマー鎖上のペンダントビニル基の存在を指す。ブタジエンの共役ジエンとしての使用が参照されるとき、コポリマーブロック内の約20から約80モルパーセントの縮合ブタジエン単位がプロトンNMR解析による決定で1,2ビニル配置を有することが好ましく、好ましくは、約30から約80モルパーセントの縮合ブタジエン単位が1,2−ビニル配置を有するべきである。これは分配剤の相対量を変化させることによって有効に制御される。理解されるように、分配剤は2つの目的を果たす。即ち、分配剤は、モノアルケニルアレーンおよび共役ジエンの制御分布を創出し、その上、共役ジエンの微小構造を制御する。分配剤のリチウムに対する適切な比は米国特許番号Re 27,145に開示および教示され、この開示は参照により組み込まれる。
【0022】
Bブロックの制御分布については、各Bブロック内のモノアルケニルアレーンの重量パーセントは約10重量パーセントから約75重量パーセント、好ましくは、約25重量パーセントから約50重量パーセントである。
【0023】
1以上の制御分布ジエン/アルケニルアレーンコポリマーブロックおよび1以上のモノアルケニルアレーンブロックを含む本発明の熱可塑性弾性ジブロックおよびトリブロックポリマーの重要な特徴は、これらが少なくとも2つのTgを有し、低いほうが、この構成モノマー「Tg」の中間である、制御分布コポリマーブロックの単一のTgであることである。このようなTgは、好ましくは、少なくとも約−60℃を上回り、より好ましくは、約−40℃から約+30℃、最も好ましくは、約−40℃から約+10℃である。第2のTg、モノアルケニルアレーン「ガラス状」ブロックのものは、好ましくは、約+80℃を上回り、より好ましくは、約+80℃から約+110℃である。ブロックのミクロ相分離を示すものである2つのTgの存在は、多様な用途におけるこの物質の著しい弾性および強度並びにその加工の容易さおよび望ましいメルトフロー特性に寄与する。
【0024】
ブロックコポリマーは選択的に水素化される。水素化は当業者に公知の幾つかの水素化または選択的水素化法のいずれかによって行うことができる。例えば、このような水素化は、例えば、米国特許番号3,494,942;3,634,594;3,670,054;3,700,633;および米国特許番号Re.27,145において教示されるもののような方法を用いて達成されている。水素化は、共役ジエン二重結合の少なくとも約90パーセントが還元されており、およびアレーン二重結合のゼロから10パーセントが還元されているような条件下で行うことができる。好ましい範囲は、共役ジエン二重結合の少なくとも約95パーセントが還元され、より好ましくは、共役ジエン二重結合の約98パーセントが還元されるものである。
【0025】
代替法において、本発明のブロックコポリマーを幾つかの方法で官能化することができる。方法の1つは、1以上の官能基またはそれらの誘導体、例えば、カルボン酸基およびそれらの塩、無水物、エステル、イミド基、アミド基並びに酸塩化物を有する不飽和モノマーで処理することによるものである。ブロックコポリマーにグラフト化するのに好ましいモノマーは、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸およびそれらの誘導体である。このようなブロックコポリマーの官能化のさらなる記述は、Gergenら、米国特許番号4,578,429および米国特許番号5,506,299に見出すことができる。別の方法においては、選択的に水素化された本発明のブロックコポリマーを、米国特許番号4,882,384において教示されるようにケイ素またはホウ素含有化合物をポリマーにグラフト化することによって官能化することができる。さらに別の方法においては、本発明のブロックコポリマーをアルコキシ−シラン化合物と接触させてシラン−修飾ブロックコポリマーを形成することとができる。さらに別の方法においては、本発明のブロックコポリマーを、米国特許番号4,898,914において教示されるように少なくとも1つのエチレンオキシド分子をポリマーにグラフト化することによって、または米国特許番号4,970,265において教示されるようにポリマーを二酸化炭素と反応させることによって、官能化することができる。さらに、本発明のブロックコポリマーを米国特許番号5,206,300および5,276,101において教示されるようにメタル化することができ、ここではポリマーをアルカリ金属アルキル、例えば、リチウムアルキルと接触させる。さらに、本発明のブロックコポリマーを、米国特許番号5,516,831において教示されるようにスルホン酸基をポリマーにグラフト化することによって官能化することができる。
【0026】
本発明の制御分布ブロックコポリマーには、Kraton Polymersによって商品名Kraton A(登録商標)で販売されるコポリマーが含まれ得る。
【0027】
SiBS
スチレン−イソブチレン−スチレン(SiBS)ブロックコポリマーを前記制御分布ブロックコポリマーと組み合わせ、容易な加工性に適するメルトフローレートを維持しながら、低い気体透過性、低い熱伝導性、強力な振動および音波減衰並びに、場合により、比較的低い曇り値での高レベルの光透過性の組み合わせを備える配合物を形成する。SiBSブロックコポリマーは約50,000から約500,000の範囲の数平均分子量を有し、スチレンのイソブチレンに対する重量比は5/95から40/60の範囲をとる。SiBSは、好ましくは、ショアA 20−100の範囲の硬さ、約0.5から10MPaの範囲の100%伸び時引張り(tensile at 100% elongation)および0.9から0.99の範囲の比重を有する。本発明において用いられるSiBSブロックコポリマーは商品名SIBSTAR(登録商標)でKanekaによって販売される。SiBSおよび制御分布ブロックコポリマー配合物はSiBSを、この間のすべての点を含めて、約10から約90重量%の量で含む。
【0028】
エクステンダー油
油非含有組成物が好ましいものの、本発明の組成物は、場合により、非極性エクステンダー油もSiBSおよび制御分布ブロックコポリマーの合計に対して0から200phrの量で含む。非極性エクステンダー油は当分野において周知であり、高飽和物含有油(high saturates content oils)および高芳香族含有油(high aromatic content oils)の両者が含まれる。好ましいエクステンダー油は高度に飽和した油、例えば、鉱油、ナフテン油およびパラフィン油の両者または低分子量ポリマー、例えば、ポリイソブチレンまたはブタジエンおよび/もしくはスチレンの水素化コポリマーである。適切なエクステンダー油の例には、これらに限定されるものではないが、RENOIL 371(Renkert Oilから商業的に入手可能なナフテン油)、TUFFLO 6056(Lyondell Lubricantsから商業的に入手可能な白色鉱油)、DRAKEOL 34(Calumet Specialty Productsから商業的に入手可能なパラフィン油)およびKAYDOL Oil(Sonnebornから商業的に入手可能な白色鉱油)が含まれる。RENOIL、TUFFLO、DRAKEOLおよびKAYDOLは商標である。本発明において用いられる非極性エクステンダー油の量は、好ましくは、0phrから200phr、より好ましくは、0phrから100phr、最も好ましくは、約0phrから約50phrの範囲である。組成物中で用いることができるエクステンダー油は、劣化することなしにこの組成物の他の成分と共に処理することができなければならない。適切な植物油(例えば、ナタネ油)および動物油および/またはそれらの誘導体を非極性エクステンダー油として用いることもできる。
【0029】
粘着付与樹脂(Tackifying Resin)
本発明は、場合により、ポリスチレン末端ブロックまたは中間ブロック(ゴム状ブロック)と適合し得る脂肪族粘着付与樹脂も含む。ポリスチレンブロック適合性樹脂および中間ブロック適合性樹脂は、適合性C炭化水素樹脂、水素化C炭化水素樹脂、スチレン化C樹脂、C/C樹脂、スチレン化テルペン樹脂、完全水素化または部分的水素化C炭化水素樹脂、ロジンエステル、ロジン誘導体およびそれらの混合物からなる群より選択することができる。これらの樹脂の例は、Regalrez、ArkonおよびOpperaの商標で販売される。環状脂肪族粘着付与樹脂の量はこのエラストマー化合物の総重量の約0から約25wt.%である。
【0030】
「メルトインデックス」という用語は、ASTM D1238による230℃および5kg重でのブロックコポリマー組成物の溶融流動の尺度である。これは溶融流動計オリフィスを10分で通過するポリマーのグラムの単位で表される。一実施形態において、Kraton(登録商標)AおよびSIBSTAR(登録商標)のブロックコポリマーは2−50のメルトフローレート範囲を有し、これは押出しおよび射出成型から繊維紡糸までの範囲の加工に適する。しかしながら、本発明の別の実施形態においてポリオレフィンまたはエンジアニリング熱可塑性物質(以下で説明される。)がKraton(登録商標)AおよびSIBSTAR(登録商標)と組み合わされるとき、メルトインデックスは、この間のすべての点を含めて、約1から約100、好ましくは約1から約50、より好ましくは約3から約50である。
【0031】
安定化剤
当分野において公知の安定化剤を組成物中に組み込むこともできる。安定化剤は、最終製品の寿命の間における、例えば、酸素、オゾンおよび紫外線に対する保護のためのものである。これらは、高温処理の間、熱・酸化劣化に対する安定化のためのものでもあり得る。好ましいUV阻害剤はUV吸収剤、例えば、ベンゾトリアゾール化合物である。配合物中の安定化剤の量はこの製品の目的とする用途に大いに依存する。加工性および耐久性要件が低い場合、配合物中の安定化剤の量は1phr未満である。
【0032】
一次および二次酸化防止剤の組み合わせを用いることができる。このような組み合わせには、立体障害フェノール系物質とホスファイトまたはチオエーテルとの組み合わせ、例えば、ヒドロキシフェニルプロピオネートとアリールホスフェートもしくはチオエーテルとの組み合わせ、またはアミノフェノールとアリールホスフェートとの組み合わせが含まれる。有用な酸化防止剤の組み合わせの具体的な例には、これらに限定されるものではないが、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)メタン(IRGANOX 1010、BASFから商業的に入手可能)とトリス(ノニル−フェニル)ホスファイト(POLYGARD HR、Uniroyalから商業的に入手可能)との組み合わせ、IRGANOX 1010とビス(2,4−ジ−t−ブチル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ULTRANOX 626、Chemturaから商業的に入手可能)との組み合わせ、およびIRGANOX 1010とジラウリル−3,3’−チオジプロプリオネート(DLTDP、BASFから商業的に入手可能)が含まれる。塩基として作用する酸化防止剤は一般には回避するべきである。IRGANOX、ULTRANOXおよびPOLYGARDは商標である。本発明の例は、Ethanox 330、Irgafos(登録商標)168およびGenox(登録商標)EPを用いる。
【0033】
一次酸化防止剤およびUV安定化剤の組み合わせを用いることもできる。このような組み合わせは立体障害フェノール系物質をベンゾチアゾールまたはピペリジニル化合物と共に含んでいた。本発明における安定化剤として有用な具体例はIRGANOX 1010と2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN 328、BASFから商業的に入手可能)との組み合わせ、およびIRGANOX 1010とビス(l,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セベケート(TINUVIN 765、BASFから商業的に入手可能)との組み合わせ、並びにIRGANOX 1010とTINUVIN 328およびTINUVIN 765との三元組み合わせである。TINUVINは商標である。
【0034】
エンジニアリング熱可塑性物質
ブロックコポリマー組成物は少量のエンジニアリング熱可塑性物質を約2から約35重量パーセントの量で含むことができる。SIBSTAR(登録商標)およびKraton A(登録商標)ポリマーの両者の利点の1つは、これらが約1.53の類似の屈折率を有し、これが、透明製品を達成することができるように、約1.53の屈折率を有する様々なエンジニアリング熱可塑性物質との配合を容易にすることである。適切なエンジニアリング熱可塑性物質の例には、これらに限定されるものではないが、環状オレフィンコポリマー(Ticona Topas 6015)、非晶質ナイロン(DuPont Zytel 330 NC010)、MMA−SAN(Blendex 866)、メタクリレート−アクリロニトリル−スチレン(Cycolac GRM5300)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(GE Specialty Chemicals、Kaneka KANE ACE)および熱可塑性ポリウレタン(TPUs)、例えば、Lubrizol Advanced Materials製で1.527の屈折率を有するEstane 58300が含まれる。
【0035】
加工熱可塑性物質(engineered thermoplastics)はAおよびSIBSTAR(登録商標)を好ましく含む本発明の組成物に添加することができる。
【0036】
屈折率マッチングは透明製品を達成するために複数のポリマー物質を混合する公知技術である。屈折率を一致させる能力は、本発明の制御分布ブロックコポリマーおよびスチレン−イソブチレン−スチレン組成物の上限使用温度性能を改善しながら、広範な硬度範囲にわたって製造される透明配合物をもたらす。0.03単位内の屈折率が「一致」と見なされる。
【0037】
エンジニアリング熱可塑性物質で改質された本発明の組成物は、驚くべきほど、および予期せざるほど低い気体透過係数を有する。透明性と低いCOおよびO透過係数との組み合わせは、とりわけ、気体不透過性シール剤に重要である。エンジニアリング熱可塑性物質、例えば、環状オレフィンコポリマー(Topas 6013)と組み合わされている本発明の組成物は、予期せぬことに、約0.5から約1のさらに低いCO透過係数を有する。エンジニアリング熱可塑性物質を含まない本発明の組成物は約1から約1.5のCO透過率を有する。エンジニアリング熱可塑性物質、例えば、環状オレフィンコポリマー(Topas 6013)と組み合わされている本発明の組成物は約0.1から約0.2のO透過係数を有する。エンジニアリング熱可塑性物質を含まない本発明の組成物は約0.2から約0.8のO透過率を有する。すべての透過係数は単位1−12(ccxcm)/(cmxsxPa)でのものである。
【0038】
ポリオレリンおよびスチレン樹脂(Styrenic Resins)
ブロックコポリマー組成物は、最終用途にとって光学的透明性が求められる特徴ではないとき、少量のポリオレフィンまたはスチレン樹脂を含むこともできる。ポリオレフィンおよび/またはスチレン樹脂は全組成物の約5から約25%の量で存在できる。
【0039】
オレフィンポリマーには、例えば、エチレンホモポリマー、エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマー、耐衝撃性ポリプロピレン、ブチレンホモポリマー、ブチレン/アルファオレフィンコポリマー並びに他のアルファオレフィンコポリマーまたはインターポリマーが含まれる。代表的なポリオレフィンには、例えば、これらに限定されるものではないが、実質的に直鎖のエチレンポリマー、均一に分岐した直鎖エチレンポリマー、不均一に分岐した直鎖エチレンポリマーが含まれ、これには直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPEまたはVLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)および高圧低密度ポリエチレン(LDPE)が含まれる。以下に含まれる他のポリマーは、エチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン/メタクリル酸(EMAA)イオノマー、エチレン/ビニルアセテート(EVA)コポリマー、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)コポリマー、エチレン/環状オレフィンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマー、プロピレン/スチレンコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリブチレン、エチレン一酸化炭素インターポリマー(例えば、エチレン/一酸化炭素(ECO)コポリマー、エチレン/アクリル酸/一酸化炭素ターポリマー等である。以下に含まれるさらに他のポリマーは塩化ポリビニル(PVC)およびPVCと他の物質との配合物である。用いられるオレフィンポリマーの量は、100重量部のゴムまたはブロックコポリマーあたり約5から約100重量部、好ましくは、約20から約50重量部変化する。
【0040】
スリップ剤および他の添加物
スリップ剤を本発明に組み込んで組成物の加工性を強化し、および繊維粘着性を減少させることができる。このようなものとして、高速の押出し速度および紡糸速度を達成することができる。適切なスリップ剤には、低分子量アミド、金属ステアリン酸塩、例えば、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸亜鉛等、シリコーン、フッ化炭化水素、アクリル樹脂(aclylics)およびシリコーン、ワックス等が含まれる。適切な一級アミドの例は、ベヘンアミド(behanamide)(CrodaからCrodamide BRとして、およびAkzo NobelからARMOSLIP(登録商標)Bとして入手可能)、エルカミド(CrodaからCrodamide Eとして、Akzo NobelからARMOSLIP Eとして、ChemturaからKemamide Eとして、およびUniqemaからATMER(登録商標)SA 1753として入手可能)、オレアミド(CrodaからCrodamide VRXとして、Akzo NobelからARMOSLIP CPとして、およびUniqemaからATMER SA 1758として入手可能)およびステアラミド(CrodaからCrodamide SRとして、Akzo NobelからARMOSLIP 18 LFとして、およびUniqemaからATMER SA 1750として入手可能)である。適切な二級アミンの例はオレイルパルミトアミド(oleyl palitamide)(CrodaからCrodamide 203として入手可能)およびステアリルエルカミド(CrodaからCrodamide 212として入手可能)である。飽和および不飽和アミドの両者とも適切である。ブロックコポリマー組成物は特定の目的が意図される他の添加物、例えば、曇りをさらに低減して透明性を改善する脱色剤を含むことができる。適切な脱色剤は、Clariant(登録商標)によって製造される脱色剤6015である。他の添加物、例えば、発泡物品の製造のための吸熱性または発熱性発泡剤を組成物中に組み込むこともできる。スリップ剤および添加物は、好ましくは、全組成物の0.01から5.0重量パーセントの量で用いられる。
【0041】
任意の充填剤
最終用途にとって光学的透明性が必要とされないとき、適切な充填剤を本発明の組成物中に組み込むこともできる。適切な充填剤の例には、タルク、炭酸カルシウム、カーボンブラック、フライアッシュ、スレート粉、石灰岩、苦灰岩およびケイ質充填剤、例えば、粘土、雲母および他のシートケイ酸塩が含まれる。異なる充填剤の混合物を用いることができる。好ましくは、炭酸カルシウムまたはタルクを充填剤として用いる。充填剤の量は、好ましくは、ブロックコポリマー組成物および充填剤の総重量を基準にして、0重量%から適切には80重量%未満までである。
【0042】
制御分布ブロックコポリマー、スチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマーおよび、場合により、エクステンダー油で構成される本発明の組成物は、高レベルの光透過性および比較的低い曇り値によって示されるように透明な物質をもたらす。これらの組成物は、ASTM D1003による、この間のすべての点を含む、約70から約90%透過の光透過率およびASTM D1003による、この間のすべての点を含む、約10から約50%の曇りを有する。これらの組成物は、ASTM D2240による、この間のすべての点を含む、約20から約95のショアA硬さを有する。
【0043】
本発明の組成物は、動的機械分析によって示されるように、予期せぬほど、および驚くべきほど改善された振動減衰性および減音挙動を示した。振動を消散させる弾性物質の能力はこのtanデルタ応答の大きさおよび幅によって示される。tanデルタは損失弾性率対貯蔵弾性率の分配量(ration)である[J.J.Aklonis & W.J.MacKnight,Introduction to Polymer Viscoelasticity 2nd Edition,John Wiley & Sons,NY,1983,p 18]。本発明の組成物は、この間のすべての点を含めて、約0.90から約1.5のtanデルタ値を有する。より好ましくは、tanデルタ値は約>1である。これらの組成物によって示される非常に広範なtanデルタ応答と組み合わされたこのtanデルタ値は優れた振動および音波消散性を備える組成物をもたらす。
【0044】
本発明の組成物は低い熱伝導率を示す。低い熱伝導率は約0.14W/mKと測定される熱伝導率によって定義される。断熱活性は低い熱伝導率を必要とし、本発明の組成物はとりわけこれらの用途において有用である。本発明の組成物はASTM C518による約0.13から約0.15W/mKの熱伝導率を示す。
【0045】
様々な成分の相対量に関して、これは部分的には特定の最終用途に依存する。本発明のポリマーは多数の用途において用いることができる。以下の様々な最終用途および/または方法は説明となるべきものであり、本発明を限定するものではない:
【0046】
一般的な射出成型品、例えば、銃器用のリコイルパッドおよびアーチェリー用の弓安定装置、クッションおよびゲル、フロアマット、衝撃軽減パッドおよびグリップ(靴の中敷き、ゴルフクラブグリップ、衝撃軽減手袋)、エネルギー吸収フォームおよび緩衝装置。
【0047】
押出し品、例えば、積層床またはカーペット下張り、ワインコルク、ボトルキャップライナー、エネルギー吸収フォームおよびゲル、断熱パイプラップ、保護フィルム並びに弾性フィルム。
【0048】
工業製品、例えば、音響カーテン囲いにおけるビューウィンドウ、音響カーテン囲い内への立ち入りを可能にするストリップドア、音響パイプラップ、ダクト被覆材および他のHVAC用途、並びに音波および振動消散用途の艶消しスパンボンドまたはメルトブロー式不織布もしくはスフ。このような用途の一例はガラス複合材料またはガラス濾過媒体の保護である。
【0049】
医療品、例えば、医療用チューブ、マネキンスキン(mannequin skins)および医療用ストッパー。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は本発明を説明するために提供される。これらの例は本発明の範囲を限定するものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0051】
以下の成分を実施例において用いた。
【0052】
[実施例1]
良好な透明性を有する油非含有二元配合物
SIBSTARおよび様々な制御分布Kraton Aポリマー(A1536およびポリマー1)の配合物を、成分をBerstorff 25mm径同時回転2軸スクリュー押出機(低剪断Dスクリュー)内、210℃から230℃の溶融温度で配合することによって調製した。Gala水中ペレット製造機を用いてペレットを製造した後、これらのペレットをNパージの下で48時間乾燥させた。Krauss−Maffei射出成型機の助けを借りて試験検体を製造した。
【0053】
以下で生成されるデータは、SIBSTARおよびKraton A(WF27−2およびWF27−7)の配合物が高レベルの光透過率および比較的低い曇り値によって示される透明物質をもたらすことを示す。配合物WF27−5は従来のSEBSポリマー(Kraton G1650)と配合されたSIBSTARをベースとする対照配合物であり、生じる透明性は乏しい。Kraton Aポリマーの分子量に基づき、広範囲のメルトフローインデックスを達成することができる。光学特性、例えば、曇りおよび透過率は、ASTM D−1003に従い、0.125インチ厚の射出成型ディスクで測定した。メルトフローレートは乾燥化合物ペレットに対して230C/5kgで測定する。硬さはASTM D2240に従って試験し、引張り特性はASTM D−412に従って測定する。
【0054】
ポリマー1はBeningらのUS7,169,848に記載される方法に従って製造された制御分布ブロックコポリマーであり、メチルトリメトキシシランと結合した(S−EB/s)nX型のものである。この分子量はS=7.3kg/mol、EB/s=45.5kg/molである。ポリマー1は34.1%の全ポリスチレン含有率および22.0%の中間ブロックポリスチレン含有率を有する。EB/s中間ブロックにおける1,2 Bdの1,4 Bdに対する比は68%:32%である。ポリマー1は0の中間ブロックブロック状化指数および9℃の中間ブロックTgを有する。表1を参照のこと。
【0055】
【表1】

【0056】
[実施例2]
良好な透明性を有する油展配合物
非極性延展油(extending oil)DRAKEOL 34をKraton(登録商標)A1536と組み合わせることによって実施例を調製した。このDRAKEOL 34およびA1536の混合物を、A1536によって油が完全に吸収されるまで振盪した。SIBSTAR(登録商標)073TおよびKemamide EをA1536およびDRAKEOL 34の混合物に添加した。これらの成分を振盪して均一混合物を形成した。Berstorff 25mm径同時回転二軸スクリュー押出機内で成分を配合することによってサンプルを調製し、Gala水中ペレット製造機を用いてペレットを製造した。次いで、これらのペレットをNパージの下で48時間乾燥させた。Krauss−Maffei射出成型機の助けを借りて試験検体を製造した。
【0057】
以下に生成されるデータ(配合物B)は、SIBSTARおよびKraton Aの配合物を望み通りにプロセス油と効果的に配合し、高レベルの光透過率および比較的低い曇り値によって示される透明物質を生じることができることを示す。Kraton Aポリマーの分子量に基づき、広範囲のメルトフローインデックスを達成することができる。光学特性、例えば、曇りおよび透過率は、ASTM D−1003に従い、0.125インチ厚の射出成型ディスクで測定した。メルトフローレートは乾燥化合物ペレットに対して230C/5kgで測定する。硬さはASTM D2240に従って試験し、引張り特性はASTM D−412に従って測定する。表2を参照のこと。
【0058】
【表2】

【0059】
[実施例3]
良好な減衰挙動を備える配合物
実施例1および2に記載されるものと同じSIBSTAR/Kraton A配合物は、予期せぬことに、当業者に公知の技術を用いる動的機械分析によって示されるように、改善された振動減衰および音波軽減挙動を示す。振動を消散させる弾性物質の能力はそのtanデルタ応答の大きさおよび幅によって示される。tanデルタは損失弾性率対貯蔵弾性率の比である。実施例配合物WF27−2、WF27−7および配合物Bはすべて約1の高いtanデルタ値を示す。これは、非常に広範なtanデルタ応答と組み合わされ、優れた振動消散をもたらす。W27−5によって示されるSIBSTARの従来のSEBS(Kraton G1650)との配合物は、より低いtanデルタの大きさを有し、振動の消散において劣る。
【0060】
Hybrar 7125は、Kuraray Co.Ltd.から商業的に入手可能な、選択的に水素化されたSEEPSである。Hybrar 7125は、通常、産業において弾性振動減衰および音波軽減用途に用いられる。比較により、SIBSTAR/Kraton A配合物はHybrar 7125と比較して同様のtanデルタの大きさおよび増加した幅を有し、これらのタイプの用途へのこれらの適合性が確認される。表3を参照のこと。
【0061】
【表3】

【0062】
[実施例4]
屈折率約1.53の熱可塑性物質との油非含有三元配合物
屈折率マッチングは透明製品を達成するために複数のポリマー物質を混合する公知技術である。最も従来的なSEBSブロックコポリマーは1.51未満の屈折率を有し、これはエンジニアリング熱可塑性物質との透明配合物を達成が困難なものとする。下記配合物WF27−4およびWF27−10はSIBSTAR/Kraton A/および環状オレフィンコポリマー(Topas 6013)の油非含有三元配合物を生成する能力を示す。両配合物は比較的高い光透過率を有し、WF27−10によって示されるような脱色剤の添加は曇りをさらに減少させ、透明性を改善し得る。屈折率を一致させる能力の予期せぬ利点は、SIBSTAR/Kraton A配合物の上限使用温度性能を改善しながら、(ETPの量に依存して)広範な硬度範囲にわたって透明配合物を製造することを可能にする。表4を参照のこと。
【0063】
【表4】

【0064】
[実施例5]
溶剤溶着性配合物
前述の配合物WF27−2、WF27−7およびWF27−10は、医療産業において通常用いられる溶媒であるTHFおよびシクロヘキサノンによって溶剤溶着する能力を示す。0.5インチ幅および0.125インチ厚の2つの射出成型サンプルをそれぞれの溶媒中に1インチの深さまで10秒間浸漬した。次に、1インチ浸漬領域を互いに重ね合わせ、48時間乾燥させた。その結合を破壊する次の力を、重量ポンドで以下に記録されるように、電気機械的試験フレームにおいて測定した。以下の3つの配合物は、本発明の配合物が良好な溶剤溶着特性を示すことを示す。表5を参照のこと。
【0065】
【表5】

【0066】
[実施例6]
コンシューマ(consumer)蒸気滅菌可能な配合物
引張り検体をMedela(登録商標)によるQuick Clean Micro−Steam Bagに2オンスの水と共に入れることにより、コンシューマ蒸気滅菌の適合性を評価した。滅菌に先立ち、検体の寸法を記録した。1250W Panasonic住宅用電子レンジを2分間用いて、引張り検体を強でマイクロ波処理した。これらの検体をスチームバッグから取り出して30分間冷却し、その時点で検体寸法を測定した。その後、サンプルを24時間状態調節(condition)した。次いで引張り測定を行い、マイクロ波蒸気滅菌による引張り強さおよび伸びの変化を以下に示す。従来のSEBSをベースとする比較例WF27−5は高レベルの焼結歪み、弓反りおよび収縮を示した。本発明のWF27−2およびWF27−10は有意に低いレベルの焼結歪み、弓反りおよび収縮を示し、予期せぬほどに優れた性能が示された。表6を参照のこと。
【0067】
【表6】

【0068】
[実施例7]
良好な障壁性能を有する配合物
エンジニアリング熱可塑性物質で改質することができる透明弾性配合物をもたらすSIBSTAR/Kraton A配合物に加えて、これらの配合物は下記表に示されるように予期せぬほど低い気体透過係数も有する。従来の配合物はKraton G2705によって説明され、選択的に水素化されたSEBSブロックコポリマーをベースとする。Kraton A1536は純粋なKraton Aポリマーである。両者は比較的高いWVTR並びにCOおよびO透過係数を有する。本発明のSIBSTAR/Kraton A配合物は、配合物WF27−2によって示されるように、同様の硬さで、有意に低い透過速度および透過係数を示す。透明性と低いO透過係数との組み合わせは、一例として、気体不透過性シール剤に重要である。WF27−2は、実施例1に示されるように優れた透明性を兼ね備えるA1536単独と比較して、O透過係数の75%減少を示す。WF27−4における環状オレフィンコポリマーの添加はO透過係数をさらに40%減少させ、同じ単位で0.10のO透過係数を有するブチルゴムに類似する障壁特性をもたらす[Reference Polymer Handbook:S.Pauly「Permeability and Diffusion Data」in Polymer Handbook Third Edition Eds.J.Brandrup and E.H.Immergut,John Wiley & Sons,1989,p.VI/442.]。表7を参照のこと。
【0069】
【表7】

【0070】
[実施例8]
低い熱伝導率を有する配合物
米国特許番号6,910,507に記述されるように、断熱用途は低い熱伝導率を必要とする。今日用いられるほとんどの物質は中空充填剤を含む硬質プラスチックまたは複雑な製造過程を有する架橋もしくは部分的に架橋したゴムのいずれかである。低い熱伝導率は約0.14W/mKと測定される熱伝導率と説明されている。本発明における配合物の熱伝導率は、ASTM C518に従い、射出成型プラークで測定した。驚くべきことに、Kraton AへのさらなるSIBSTARは断熱用途に必要な範囲まで熱伝導率を有意に低下させる。Kraton Aがもたらす利点は、これらのタイプの用途において独立に用いるにはしばしば柔らかすぎるSIBSTARの硬さをあつらえる能力である。表8を参照のこと。
【0071】
【表8】

【0072】
[実施例9]
液体ポリイソブチレン拡張配合物
Indopol H−100をKraton A1536と異なる比で組み合わせることによって実施例を調製した。Indopol H−100はINEOS Olefins & Polymers USAから入手可能な液体ポリイソブチレンホモポリマーである。液体ポリマーがA1536によって完全に吸収されるまでこの混合物を振盪した。酸化防止剤および独自スリップ剤に加えてSIBSTAR 103T−Fを添加した。以下で生成されるデータは、液体ポリイソブチレンホモポリマーの量を変化させることにより、最終配合物の粘度を劇的に変更できることを示す。表9を参照のこと。
【0073】
【表9】

【0074】
[実施例10]
様々なポリオレフィンとの配合物
SIBSTAR、様々な制御分布Kraton Aポリマー(A1535、A1536およびポリマー2)および様々なポリオレフィン(PP H20H−00、PP 5D49およびDMDA8007)の配合物を、実施例1に記述される方法と同様に成分を配合することによって調製した。スリップ剤に加えてIrganox 1010およびIrganox PS800を用いた。WF29−11、WF29−12およびWF29−13におけるように、さらなるSEBSポリマー、例えば、G1633を配合物中に組み込むこともできる。WF29−12はポリマー2も含み、これは米国特許7,582,702において配合物#10として記述されているEB/sあつらえ軟化改質剤をも含む(S−EB/s)nX制御分布ブロックコポリマーである。PP H20H−00はINEOS olefins & Polymers USAから入手可能な20MFRホモポリマーポリプロピレンである。PP 5D49はDow Chemical Company製の38MFRホモポリマーポリプロピレンである。DMDA8007はDow Chemical Company製の8.3MI高密度ポリエチレンである。
【0075】
以下に生成されるデータは、様々なポリオレフィンをSIBSTAR/Kraton A配合物と組み合わせて、55から75ショアAの硬さおよび(下記表10に示されるキャピラリ流量計によって200℃で測定される)広範囲の工程に適する粘度を有する配合物を生成できることを示す。
【0076】
【表10】


【0077】
[実施例11]
高強度押出しキャストフィルム
Drakeol 34またはOppera PR100に加えてSIBSTARおよび制御分布Kraton A1536の配合物を、それぞれ実施例2および1に概述される手順と同様に調製した。Oppera PR100は、ExxonMobil Chemical Companyから入手可能な、約138℃の軟化点を有する水素化炭化水素樹脂である。
【0078】
以下に生成されるデータは、高強度弾性用途、例えば、弾性フィルムまたは繊維構築体におけるこのような配合物の有用性を示す。表11を参照のこと。
【0079】
【表11】

【0080】
好ましい実施形態およびこれらの具体例を参照して本発明を説明し、本明細書に記載したが、他の実施形態および例が類似の機能を果たし、および/または同様の結果を達成し得ることは当分野における通常の技術を有する者には容易に明らかであろう。すべてのこのような等価実施形態および例は本発明の精神および範囲内にあり、以下の特許請求の範囲が及ぶことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)少なくとも1つのブロックAおよび少なくとも1つのブロックBを有する水素化ブロックコポリマーであって、並びに:
a.水素化の前、各々のAブロックはモノアルケニルアレーンホモポリマーブロックであり、並びに各々のBブロックは少なくとも1種類の共役ジエンおよび少なくとも1種類のモノアルケニルアレーンの制御分布コポリマーブロックであり;
b.水素化の後、アレーン二重結合の約0−10%が還元されており、および少なくとも共役ジエン二重結合の約90%が還元されており;
c.各々のAブロックは約3,000から約60,000の数平均分子量を有し、および各々のBブロックは約30,000から約300,000の数平均分子量を有し;
d.各々のBブロックは、共役ジエン単位に富む、Aブロックに隣接する末端領域および、モノアルケニルアレーン単位に富む、Aブロックに隣接しない1以上の領域を含み;
e.水素化ブロックコポリマー内のモノアルケニルアレーンの総量は約20重量パーセントから約80重量パーセントであり;並びに
f.各々のBブロック内のモノアルケニルアレーンの重量パーセントは約10パーセントから約75パーセントである;
水素化ブロックコポリマー、
(2)約10から約90重量パーセントのスチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー;および
(3)場合により、約0から約40重量パーセントのエクステンダー油または粘着付与製樹脂
を含むブロックコポリマー組成物であって、
組成物の総wt.%は100wt.%であり、ASTM D1003による、中間のすべての点を含め、約70から約90%透過の光透過率およびASTM D1003による、中間のすべての点を含め、約5から約50%の曇りを有する、ブロックコポリマー組成物。
【請求項2】
モノアルケニルアレーンがスチレンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
共役ジエンがブタジエンおよびイソプレンからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
約0.80から約1.5の範囲のtanデルタ値をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
エクステンダー油または粘着付与性樹脂を約5から約40重量パーセントの量でさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
約2から約40重量パーセントの環状オレフィンコポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
全制御分布ブロックコポリマーが約30から約80パーセント全スチレン含有率を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
約2から約40phrの環状オレフィンコポリマーをさらに含み、およびASTM D2240による80を上回るショアA硬さを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ASTM D2240による約20から約95のショアA硬さをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
メルトインデックスがASTM D1238により230℃および5Kg重量で約1から約100グラム/10分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ASTM C518による約0.14W/mKの見かけの熱伝導率をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
約0.8から約1.5の範囲のtanデルタ値をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
モノアルケニルアレーンがスチレンであり、並びに共役ジエンがブタジエンおよびイソプレンからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
各々のBブロックが約5wt%から約10wt%の官能化ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
メルトインデックスがASTM D 1238により230℃および5Kg重量で約1から約100グラム/10分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
約20から約70のショアA硬さおよびASTM D1003による約10から約50%の曇りの、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
約0から約0.5重量パーセントの酸化防止剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
約0から約5重量パーセントのスリップ剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
約0から約5重量パーセントの脱色剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
約0から約5重量パーセントの発砲剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
(1)a.少なくとも1つのブロックAおよび少なくとも1つのブロックBを有する水素化ブロックコポリマーであって、並びに:
b.水素化の前、各々のAブロックはモノアルケニルアレーンホモポリマーブロックであり、並びに各々のBブロックは少なくとも1種類の共役ジエンおよび少なくとも1種類のモノアルケニルアレーンの制御分布コポリマーブロックであり;
c.水素化の後、アレーン二重結合の約0−10%が還元されており、および少なくとも共役ジエン二重結合の約90%が還元されており;
d.各々のAブロックは約3,000から約60,000の数平均分子量を有し、および各々のBブロックは約30,000から約300,000の数平均分子量を有し;
e.各々のBブロックは、共役ジエン単位に富む、Aブロックに隣接する末端領域および、モノアルケニルアレーン単位に富む、Aブロックに隣接しない1以上の領域を含み;
f.水素化ブロックコポリマー内のモノアルケニルアレーンの総量は約20重量パーセントから約50重量パーセントである;
水素化ブロックコポリマー、
(2)約10から約90重量パーセントのスチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー;および
(3)約2から約40重量パーセントのエンジニアリング熱可塑性物質
を含むブロックコポリマー組成物であって、
ASTM D1003による、中間のすべての点を含め、約70から約90%透過の光透過率およびASTM D1003による、中間のすべての点を含め、約5から約50%の曇りを有する、ブロックコポリマー組成物。
【請求項22】
約0.8から約1.5の範囲のtanデルタ値をさらに含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
ASTM D2240による50を上回るショアA硬さをさらに含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
ASTM D1238により230℃および5Kg重量で約1から約100グラム/10分のメルトインデックスをさらに含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
100%O試験気体濃度および760mmHg試験気体圧を用いて23℃および0%相対湿度での測定で3×10−12(ccxcm)/(cmxsxPa)未満の二酸化炭素透過係数をさらに含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
100%O試験気体濃度および760mmHg試験気体圧を用いて23℃および0%相対湿度での測定で約0.1から約0.9×10−12(ccxcm)/(cmxsxPa)の酸素透過係数をさらに含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項27】
(1)少なくとも1つのブロックAおよび少なくとも1つのブロックBを有する水素化ブロックコポリマーであって、並びに:
a.水素化の前、各々のAブロックはモノアルケニルアレーンホモポリマーブロックであり、並びに各々のBブロックは少なくとも1種類の共役ジエンおよび少なくとも1種類のモノアルケニルアレーンの制御分布コポリマーブロックであり;
b.水素化の後、アレーン二重結合の約0−10%が還元されており、および少なくとも共役ジエン二重結合の約90%が還元されており;
c.各々のAブロックは約3,000から約60,000の数平均分子量を有し、および各々のBブロックは約30,000から約300,000の数平均分子量を有し;
d.各々のBブロックは、共役ジエン単位に富む、Aブロックに隣接する末端領域および、モノアルケニルアレーン単位に富む、Aブロックに隣接しない1以上の領域を含み;
e.水素化ブロックコポリマー内のモノアルケニルアレーンの総量は約20重量パーセントから約80重量パーセントであり;並びに
f.各々のBブロック内のモノアルケニルアレーンの重量パーセントは約10パーセントから約75パーセントである;
水素化ブロックコポリマー、
(2)約10から約90重量パーセントのスチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー;
(3)約0から約40重量パーセントの油;および
(4)約5から約30重量パーセントのポリオレフィンまたはスチレン樹脂;
を含むブロックコポリマー組成物であって、
100%O試験気体濃度および760mmHg試験気体圧を用いて23℃および0%相対湿度での測定で<0.9×10−12(ccxcm)/(cmxsxPa)の酸素透過係数を有する、ブロックコポリマー組成物。
【請求項28】
約0から約5重量パーセントのスリップ剤をさらに含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
エクステンダー油を約5から約40重量パーセントの量でさらに含む、請求項27に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−518170(P2013−518170A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551196(P2012−551196)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2011/021609
【国際公開番号】WO2011/094094
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(510145211)クレイトン・ポリマーズ・ユー・エス・エル・エル・シー (10)
【Fターム(参考)】