説明

ステアバイワイヤ装置

【課題】 乗員のハンドル操作が違和感なく行われるコンパクトなステアバイワイヤ装置を提供する。
【解決手段】
ステアバイワイヤ装置1は、
ステアリング11の回転操作によって前輪をフレーム12に対してトー方向に回転させる車両に用いるステアバイワイヤ装置1において、
ステアリング11の回転角を取得する回転角取得部材2と、
回転角取得部材2の取得した角度に応じて駆動力を発生するアクチュエータ3,4と、
アクチュエータ3,4の駆動力を前輪のトー方向の回転へと伝達する連結シャフト5と、
フレーム12に取り付けられアクチュエータ3,4を支持する支持部材6と、
を有する
ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両の操舵部分に用いるステアバイワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車のハンドル操作性を制御する技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−5935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術は、ハンドルと前輪が回動軸で連結されており、その回動軸に負荷装置が回動力を発生するものである。したがって、地面からの衝撃と共に負荷装置の回動力が直接ハンドルに伝わり、乗員のハンドル操作に違和感を与えることがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、乗員のハンドル操作が違和感なく行われるコンパクトなステアバイワイヤ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために本発明の請求項1に係るステアバイワイヤ装置は、ステアリングの回転操作によって前輪をフレームに対してトー方向に回転させる車両に用いるステアバイワイヤ装置において、前記ステアリングの回転角を取得する回転角取得部材と、前記回転角取得部材の取得した角度に応じて駆動力を発生するアクチュエータと、前記アクチュエータの駆動力を前記前輪のトー方向の回転へと伝達する連結シャフトと、前記フレームに取り付けられ前記アクチュエータを支持する支持部材と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係るステアバイワイヤ装置は、前記アクチュエータの出力軸から伝達された駆動力を前記アクチュエータの出力方向と異なる方向で前記連結シャフトに伝達するジョイント部を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係るステアバイワイヤ装置は、前記ステアリングの回転に抵抗力を与えるステアリングダンパを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係るステアバイワイヤ装置は、前記前輪が直進方向となるように前記ステアリングを付勢する付勢部材を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係るステアバイワイヤ装置では、前記ステアリングは、ステアリングバーであり、前記車両は鞍乗型車両であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ステアリングの回転操作によって前輪をフレームに対してトー方向に回転させる車両に用いるステアバイワイヤ装置において、前記ステアリングの回転角を取得する回転角取得部材と、前記回転角取得部材の取得した角度に応じて駆動力を発生するアクチュエータと、前記アクチュエータの駆動力を前記前輪のトー方向の回転へと伝達する連結シャフトと、前記フレームに取り付けられ前記アクチュエータを支持する支持部材と、を有するので、乗員のステアリング操作に違和感を与えることがなく、乗員が円滑にステアリング操作をすることが可能となる。また、乗員が安定して運転することが可能となる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記アクチュエータの出力軸から伝達された駆動力を前記アクチュエータの出力方向と異なる方向で前記連結シャフトに伝達するジョイント部を有するので、アクチュエータの設置箇所の自由度が高くなる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記ステアリングの回転に抵抗力を与えるステアリングダンパを有するので、乗員の操舵に抵抗力が加えられて、適度な操舵感を演出することが可能となる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記前輪が直進方向となるように前記ステアリングを付勢する付勢部材を有するので、付勢部材の力によって、前輪が自然に直進状態となるように、ステアリングが付勢され、より良い操舵感を得ることが可能となる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明によれば、前記ステアリングは、ステアリングバーであり、前記車両は鞍乗型車両であるので、乗員のステアリング操作により違和感を与えることがなく、乗員がより円滑にステアリング操作をすることが可能となる。また、乗員がより安定して運転することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態のステアバイワイヤ装置の斜視図である。
【図2】第1実施形態のステアバイワイヤ装置の断面図である。
【図3】第2実施形態のステアバイワイヤ装置の斜視図である。
【図4】第2実施形態のステアバイワイヤ装置の断面図である。
【図5】第3実施形態のステアバイワイヤ装置の斜視図である。
【図6】第3実施形態のステアバイワイヤ装置の断面図である。
【図7】第4実施形態のステアバイワイヤ装置の斜視図である。
【図8】第5実施形態のステアバイワイヤ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は第1実施形態のステアバイワイヤ装置の斜視図、図2は第1実施形態のステアバイワイヤ装置の断面図である。
【0019】
第1実施形態のステアバイワイヤ装置1は、鞍乗型車両10のフレーム12の先端に連結されたヘッドチューブ12aに支持されて、ステアリングバー11の上方に延びるように設置する。なお、第1実施形態では、鞍乗型車両10のステアリングバー11に対して説明するが、例えば、バケットシート等を有する一般車両の環状等のステアリングに用いることも可能である。
【0020】
ステアバイワイヤ装置1は、ステアリングバー11の回転を検出するエンコーダ2と、駆動力を発生するモータ3と、モータ3の回転を減速する減速部4と、モータ3の駆動力をフロントフォーク14に伝達する連結シャフト5と、フレーム12に対してモータ3を支持するマウント6と、を有する。
【0021】
エンコーダ2は、マウント6のステアリング支持部6aに支持固定される。エンコーダ2は、フレーム12に対して相対的に回転するステアリングバー11のステアリング軸11aの回転角度を検出し取得する。
【0022】
モータ3は、減速部4に支持される。モータ3の回転はモータ出力部3aから減速部4で減速されて連結シャフト5に出力される。
【0023】
減速部4は、マウント6のモータ支持部6bに支持される。減速部4は、プラネタリギヤ等から構成され、モータ3の回転を減速して減速出力部4aから連結シャフト5に出力する。
【0024】
第1実施形態では、モータ3及び減速部4でアクチュエータを構成する。なお、減速部4は、必ずしも設ける必要はない。また、モータ3及び減速部4を一体で構成してもよい。
【0025】
連結シャフト5は、減速出力部4aとフロントフォーク14を連結して、モータ3の駆動力を、フロントフォーク14を介して前輪のトー方向の回転へと伝達するものである。連結シャフト5は、管状のステアリング軸11aの内部を挿通してステアリング軸11aと相対回転可能に設置される。連結シャフト5はシャフトアダプタ5aを介してフロントフォーク14と連結される。シャフトアダプタ5aとフロントフォーク14は図示しないボルトを介して連結される。
【0026】
マウント6は、フレーム12に支持固定されるステアリング支持部6aと、モータ3及び減速部4を支持するモータ支持部6bと、ステアリング支持部6aとモータ支持部6bとを連結する連結支持部6cと、を有する。
【0027】
また、ステアリングバー11のステアリング軸11aには、ステアリングバー11の回転に抵抗力を与える図示しないステアリングダンパを設けることが好ましい。ステアリングダンパを設けることで、乗員の入力に抵抗が加えられて、適度な操舵感を演出することが可能となる。
【0028】
さらに、ステアリングダンパと共に付勢部材としてのバネを設けるとより好ましい。バネの力によって、前輪が自然に直進状態となるように、ステアリングバー11が付勢され、より良い操舵感を得ることが可能となる。
【0029】
次に、第1実施形態のステアバイワイヤ装置1の動作について説明する。
【0030】
第1実施形態のステアバイワイヤ装置1では、乗員がステアリングバー11を回転させると、ステアリング軸11aが回転する。エンコーダ2は、ステアリング軸11aの回転を検出して、図示しない制御部へ検出値を送信する。
【0031】
制御部は、エンコーダ2の検出値に応じてモータ3に作動信号を送信する。モータ3は、制御部からの信号に応じて回転する。モータ3の回転は、減速部4で減速され、連結シャフト5に伝達される。連結シャフト5が回転すると、フロントフォーク14が回転し、図示しない前輪がトー方向に回転して操舵される。
【0032】
このように、第1実施形態によれば、ステアリングバー11と図示しない前輪を支持するフロントフォーク14が直接連結されておらず、モータ3の回動力が直接ステアリングバー11に伝わることがないので、乗員のステアリング操作に違和感を与えることがなく、乗員が円滑にステアリング操作をすることが可能となる。
【0033】
さらに、ステアバイワイヤ装置1をフレーム12に設置できるので、乗員が安定して運転することが可能となる。
【0034】
図3は第2実施形態のステアバイワイヤ装置の斜視図、図4は第2実施形態のステアバイワイヤ装置の断面図である。
【0035】
第2実施形態のステアバイワイヤ装置1は、鞍乗型車両10のフレーム12の先端に連結されたヘッドチューブ12aに支持されて、ステアリングバー11の前方に延びるように設置する。なお、第2実施形態では、鞍乗型車両10のステアリングバー11に対して説明するが、例えば、バケットシート等を有する一般車両の環状等のステアリングに用いることも可能である。
【0036】
ステアバイワイヤ装置1は、ステアリングバー11の回転を検出するエンコーダ2と、駆動力を発生するモータ3と、モータ3の回転を減速する減速部4と、モータ3の駆動力をフォーク14に伝達する連結シャフト5と、フレーム12に対してモータ3を支持するマウント6と、を有する。
【0037】
エンコーダ2は、マウント6のステアリング支持部6aに支持固定される。エンコーダ2は、フレーム12に対して相対的に回転するステアリングバー11のステアリング軸11aの回転角度を検出し取得する。
【0038】
モータ3は、減速部4に支持される。モータ3の回転はモータ出力部3aから減速部4で減速されて連結シャフト5に出力される。
【0039】
減速部4は、マウント6のモータ支持部6bに支持される。減速部4は、プラネタリギヤ等から構成され、モータ3の回転を減速して減速出力部4aから連結シャフト5に出力する。
【0040】
第2実施形態では、モータ3及び減速部4でアクチュエータを構成する。なお、減速部4は、必ずしも設ける必要はない。また、モータ3及び減速部4を一体で構成してもよい。
【0041】
連結シャフト5は、減速出力部4aとフロントフォーク14を連結して、モータ3の駆動力を、フロントフォーク14を介して前輪のトー方向の回転へと伝達するものである。連結シャフト5はシャフトアダプタ5aを介してフロントフォーク14と連結される。シャフトアダプタ5aとフロントフォーク14は図示しないボルトを介して連結される。
【0042】
第2実施形態では、減速出力部4aと連結シャフト5とを連結するジョイント部7を有する。
【0043】
図4に示すように、モータ出力部3a及び減速出力部4aは同軸で回転可能に取り付けられる。また、連結シャフト5及びフロントフォーク14は同軸で回転可能に取り付けられる。そして、モータ出力部3a及び減速出力部4aの回転軸と、連結シャフト5及びフロントフォーク14の回転軸は、直角に配置される。したがって、ジョイント部7は、減速出力部4aからの出力を直角に曲げて連結シャフト5に伝達する。
【0044】
マウント6は、ステアリングバー11のステアリング軸11aを回転可能に支持するステアリング支持部6aと、モータ3及び減速部4を支持し、フレーム12に支持固定されるモータ支持部6bと、ステアリング支持部6aとモータ支持部6bとを連結する連結支持部6cと、を有する。
【0045】
また、ステアリングバー11のステアリング軸11aには、ステアリングバー11の回転に抵抗力を与える図示しないステアリングダンパを設けることが好ましい。ステアリングダンパを設けることで、乗員の入力に抵抗が加えられて、適度な操舵感を演出することが可能となる。
【0046】
さらに、ステアリングダンパと共に付勢部材としてのバネを設けるとより好ましい。バネの力によって、前輪が自然に直進状態となるように、ステアリングバー11が付勢され、より良い操舵感を得ることが可能となる。
【0047】
次に、第2実施形態のステアバイワイヤ装置1の動作について説明する。
【0048】
第2実施形態のステアバイワイヤ装置1では、乗員がステアリングバー11を回転させると、ステアリング軸11aが回転する。エンコーダ2は、ステアリング軸11aの回転を検出して、図示しない制御部へ検出値を送信する。
【0049】
制御部は、エンコーダ2の検出値に応じてモータ3に作動信号を送信する。モータ3は、制御部からの信号に応じて回転する。モータ3の回転は、減速部4で減速され、ジョイント部7を介して連結シャフト5に伝達される。連結シャフト5が回転すると、フロントフォーク14が回転し、図示しない前輪がトー方向に回転して操舵される。
【0050】
このように、第2実施形態によれば、ステアリングバー11と図示しない前輪を支持するフロントフォーク14が直接連結されておらず、モータ3の回動力が直接ステアリングバー11に伝わることがないので、乗員のステアリング操作に違和感を与えることがなく、乗員が円滑にステアリング操作をすることが可能となる。
【0051】
また、ジョイント部7を設けることで、モータ3の出力軸3aとフロントフォーク14の回転軸の方向を変更することが可能となり、モータ3の設置箇所の自由度が高くなる。
【0052】
さらに、モータ3をステアリングバー11の前方に配置することにより、乗員の視界が広くなり、快適に運転することが可能となる。
【0053】
また、モータ3の出力軸3aとフロントフォーク14の回転軸を直角に配置することにより、ジョイント部7をカサバ歯車等の簡単な構造にすることができると共に、モータ3の回転力をフロントフォーク14に的確に伝達することが可能となる。
【0054】
さらに、ステアバイワイヤ装置1をフレーム12に設置できるので、乗員が安定して運転することが可能となる。
【0055】
図5は第3実施形態のステアバイワイヤ装置の斜視図、図6は第3実施形態のステアバイワイヤ装置の断面図である。
【0056】
第3実施形態のステアバイワイヤ装置1は、鞍乗型車両10のフレーム12の先端に連結されたヘッドチューブ12aに支持されて、ステアリングバー11の下方に延びるように設置する。なお、第3実施形態では、鞍乗型車両10のステアリングバー11に対して説明するが、例えば、バケットシート等を有する一般車両の環状等のステアリングに用いることも可能である。
【0057】
ステアバイワイヤ装置1は、ステアリングバー11の回転を検出するエンコーダ2と、駆動力を発生するモータ3と、モータ3の回転を減速する減速部4と、モータ3の駆動力をフォーク14に伝達する連結シャフト5と、フレーム12に対してモータ3を支持するマウント6と、を有する。
【0058】
エンコーダ2は、マウント6のステアリング支持部6aに支持固定される。エンコーダ2は、フレーム12に対して相対的に回転するステアリングバー11のステアリング軸11aの回転角度を検出し取得する。
【0059】
モータ3は、減速部4に支持される。モータ3の回転はモータ出力部3aから減速部4で減速されて連結シャフト5に出力される。
【0060】
減速部4は、マウント6のモータ支持部6bに支持される。減速部4は、プラネタリギヤ等から構成され、モータ3の回転を減速して減速出力部4aから連結シャフト5に出力する。
【0061】
第3実施形態では、モータ3及び減速部4でアクチュエータを構成する。なお、減速部4は、必ずしも設ける必要はない。また、モータ3及び減速部4を一体で構成してもよい。
【0062】
連結シャフト5は、減速出力部4aとフロントフォーク14を連結して、モータ3の駆動力を、フロントフォーク14を介して前輪のトー方向の回転へと伝達するものである。連結シャフト5はシャフトアダプタ5aを介してフロントフォーク14と連結される。シャフトアダプタ5aとフロントフォーク14は図示しないボルトを介して連結される。
【0063】
第3実施形態では、減速出力部4aと連結シャフト5とを連結するジョイント部7を有する。
【0064】
ジョイント部7は、減速出力部4aと同軸に連結されるカウンタ軸7aと、減速出力部4aとカウンタ軸7aとを連結するカップリング7bと、カウンタ軸7aのカップリング7bとは反対側の端部に設けられた第1カウンタギヤ7cと、連結シャフト5のフロントフォーク14とは反対側の端部に設けられ第1カウンタギヤ7cに噛み合う第2カウンタギヤ7dと、を有する。
【0065】
図6に示すように、モータ出力部3a、減速出力部4a、及びカウンタ軸7aは同軸で回転可能に取り付けられる。また、連結シャフト5及びフロントフォーク14は同軸で回転可能に取り付けられる。そして、モータ出力部3a、減速出力部4a、及びカウンタ軸7aの回転軸と、連結シャフト5及びフロントフォーク14の回転軸は、平行に配置される。したがって、ジョイント部7は、減速出力部4aからの出力を180度折り返して連結シャフト5に伝達する。
【0066】
マウント6は、ステアリングバー11のステアリング軸11aを回転可能に支持するステアリング支持部6aと、モータ3及び減速部4を支持し、フレーム12に支持固定されるモータ支持部6bと、ステアリング支持部6aとモータ支持部6bとを連結する連結支持部6cと、を有する。
【0067】
また、ステアリングバー11のステアリング軸11aには、ステアリングバー11の回転に抵抗力を与えるステアリングダンパ8を設けることが好ましい。ステアリングダンパ8を設けることで、乗員の入力に抵抗が加えられて、適度な操舵感を演出することが可能となる。
【0068】
さらに、ステアリングダンパと共に付勢部材としてのバネを設けるとより好ましい。バネの力によって、前輪が自然に直進状態となるように、ステアリングバー11が付勢され、より良い操舵感を得ることが可能となる。
【0069】
次に、第3実施形態のステアバイワイヤ装置1の動作について説明する。
【0070】
第3実施形態のステアバイワイヤ装置1では、乗員がステアリングバー11を回転させると、ステアリング軸11aが回転する。エンコーダ2は、ステアリング軸11aの回転を検出して、図示しない制御部へ検出値を送信する。
【0071】
制御部は、エンコーダ2の検出値に応じてモータ3に作動信号を送信する。モータ3は、制御部からの信号に応じて回転する。モータ3の回転は、減速部4で減速され、ジョイント部7に伝達される。
【0072】
ジョイント部7では、まず、モータ3の回転は、減速出力部4aからカップリング7bを介してカウンタ軸7aに伝達される。続いて、カウンタ軸7aに設けられた第1カウンタギヤ7cに伝達され、第1カウンタギヤ7cに噛み合う第2カウンタギヤ7dに伝達される。そして、第2カウンタギヤ7dを設けた連結シャフト5が回転する。ここで、モータ3のモータ出力軸3aから伝達された回転力は、180度折り返されて連結シャフト5に伝達される。連結シャフト5が回転すると、フロントフォーク14が回転し、図示しない前輪がトー方向に回転して操舵される。
【0073】
このように、第3実施形態によれば、ステアリングバー11と図示しない前輪を支持するフロントフォーク14が直接連結されておらず、モータ3の回動力が直接ステアリングバー11に伝わることがないので、乗員のステアリング操作に違和感を与えることがなく、乗員が円滑にステアリング操作をすることが可能となる。
【0074】
また、ジョイント部7を設けることで、モータ3の出力軸3aとフロントフォーク14の回転軸の方向を変更することが可能となり、モータ3の設置箇所の自由度が高くなる。
【0075】
さらに、モータ3をステアリングバー11の前方且つ下方に配置することにより、乗員の視界が広くなると共に、運転時の乗員の膝等の邪魔にならず、乗員が快適に運転することが可能となる。
【0076】
また、モータ3の出力軸3aとフロントフォーク14の回転軸を平行に配置することにより、ジョイント部7をカウンタギヤ等の簡単な構造にすることができると共に、モータ3の回転力をフロントフォーク14に的確に伝達することが可能となる。
【0077】
さらに、ステアバイワイヤ装置1をフレーム12に設置できると共に、ステアバイワイヤ装置1の重心がフロントフォーク14の回転軸の近くに配置できるので、乗員が安定して運転することが可能となる。
【0078】
図7は第4実施形態のステアバイワイヤ装置の斜視図、図8は第5実施形態のステアバイワイヤ装置の斜視図である。
【0079】
図7及び図8に示すように、第4実施形態及び第5実施形態ステアバイワイヤ装置1はヘッドチューブ12aの側方に取り付けたものである。その他の構成については、第3実施形態と同一である。
【0080】
このように、第4実施形態及び第5実施形態によれば、ステアリングバー11と図示しない前輪を支持するフロントフォーク14が直接連結されておらず、モータ3の回動力が直接ステアリングバー11に伝わることがないので、乗員のステアリング操作に違和感を与えることがなく、乗員が円滑にステアリング操作をすることが可能となる。
【0081】
また、ジョイント部7を設けることで、モータ3の出力軸3aとフロントフォーク14の回転軸の方向を変更することが可能となり、モータ3の設置箇所の自由度が高くなる。
【0082】
さらに、モータ3をステアリングバー11の前方且つ下方に配置することにより、乗員の視界が広くなり、乗員が快適に運転することが可能となる。
【0083】
また、モータ3の出力軸3aとフロントフォーク14の回転軸を平行に配置することにより、ジョイント部7をカウンタギヤ等の簡単な構造にすることができると共に、モータ3の回転力をフロントフォーク14に的確に伝達することが可能となる。
【0084】
さらに、ステアバイワイヤ装置1をフレーム12に設置できると共に、ステアバイワイヤ装置1の重心がフロントフォーク14の回転軸の近くに配置できるので、乗員が安定して運転することが可能となる。
【0085】
また、ステアバイワイヤ装置1をヘッドチューブ12aの側方に取り付けることで、鞍乗型車両10に設けられた他の部品との重量バランスを調整することができ、姿勢が安定した快適な運転をすることが可能となる。
【0086】
このように、本実施形態に係る発明によれば、ステアリングバー11の回転操作によって前輪をフレーム12に対してトー方向に回転させる鞍乗型車両10に用いるステアバイワイヤ装置1において、ステアリングバー11の回転角を取得するエンコーダ2と、エンコーダ2の取得した角度に応じて駆動力を発生するアクチュエータとしてのモータ3と、モータ3の駆動力を前輪のトー方向の回転へと伝達する連結シャフト5と、フレーム12に取り付けられモータ3を支持するマウント6と、を有するので、乗員のステアリング操作に違和感を与えることがなく、乗員が円滑にステアリング操作をすることが可能となる。また、乗員が安定して運転することが可能となる。
【0087】
また、モータ3の出力軸から伝達された駆動力をモータ3の出力方向と異なる方向で連結シャフト5に伝達するジョイント部7を有するので、アクチュエータの設置箇所の自由度が高くなる。
【0088】
また、ステアリングバー11の回転に抵抗力を与えるステアリングダンパを有するので、乗員の操舵に抵抗力が加えられて、適度な操舵感を演出することが可能となる。
【0089】
また、前輪が直進方向となるようにステアリングバー11を付勢する付勢部材を有するので、付勢部材の力によって、前輪が自然に直進状態となるように、ステアリングバー11が付勢され、より良い操舵感を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1…ステアバイワイヤ装置
2…エンコーダ(回転角取得した角度部材)
3…モータ(アクチュエータ)
4…減速部(アクチュエータ)
5…連結シャフト
6…マウント(支持部材)
7…ジョイント部
8…ステアリングダンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングの回転操作によって前輪をフレームに対してトー方向に回転させる車両に用いるステアバイワイヤ装置において、
前記ステアリングの回転角を取得する回転角取得部材と、
前記回転角取得部材の取得した角度に応じて駆動力を発生するアクチュエータと、
前記アクチュエータの駆動力を前記前輪のトー方向の回転へと伝達する連結シャフトと、
前記フレームに取り付けられ前記アクチュエータを支持する支持部材と、
を有する
ことを特徴とするステアバイワイヤ装置。
【請求項2】
前記アクチュエータの出力軸から伝達された駆動力を前記アクチュエータの出力方向と異なる方向で前記連結シャフトに伝達するジョイント部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のステアバイワイヤ装置。
【請求項3】
前記ステアリングの回転に抵抗力を与えるステアリングダンパを有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のステアバイワイヤ装置。
【請求項4】
前記前輪が直進方向となるように前記ステアリングを付勢する付勢部材を有する
ことを特徴とする請求項3に記載のステアバイワイヤ装置。
【請求項5】
前記ステアリングは、ステアリングバーであり、
前記車両は鞍乗型車両である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のステアバイワイヤ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−71606(P2013−71606A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212342(P2011−212342)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】