ステアリングメンバー
【課題】ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えステアリング支持剛性を向上させ所望の断面二次モーメントを得て、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を抑え、且つ、ステアリングメンバー本体に施す溶接箇所を少なくして、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制する。
【解決手段】ステアリングメンバー本体１の内部にブラケットバルクヘッド８を挿入し、ブラケットバルクヘッド８を、ステアリングメンバー本体１におけるステアリングサポートブラケット４が取付けられて構成されるステアリング支持部位１ｃに位置させ、ブラケットバルクヘッド８の外周端部を、ステアリングサポートブラケット４をステアリングメンバー本体１に取付けるための溶接部１０によって、ステアリングメンバー本体１の内周壁に固着した。
【解決手段】ステアリングメンバー本体１の内部にブラケットバルクヘッド８を挿入し、ブラケットバルクヘッド８を、ステアリングメンバー本体１におけるステアリングサポートブラケット４が取付けられて構成されるステアリング支持部位１ｃに位置させ、ブラケットバルクヘッド８の外周端部を、ステアリングサポートブラケット４をステアリングメンバー本体１に取付けるための溶接部１０によって、ステアリングメンバー本体１の内周壁に固着した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動車等車両用のステアリングシャフトを支持するステアリングメンバーに関する。
【背景技術】
【０００２】
車両の室内前部にはインストルメントパネルが設けられて、その内側には、ステアリングを支持するためのステアリングメンバーが車幅方向に延在し、ステアリングメンバーはその両端において車体両側部に装着されている。
【０００３】
この種のステアリングメンバーは、一般に、ステアリングシャフトを装着支持するために、ステアリングシャフトが操舵回転可能に挿通したステアリングコラムを装着するようになっているとともに、ステアリングコラムを装着するために、ステアリングサポートブラケットが取着されている。
【０００４】
したがって、ステアリングシャフトから及ぼされる荷重は、ステアリングサポートブラケットを介してステアリングメンバーが受け止めることになる。
【０００５】
この結果、ステアリングシャフトに関連して、ステアリングコラムの重量増加に対処するため、ステアリングサポートブラケットの剛性をより一層高め、定重量当りの断面二次モーメントを大きくすることが要求された場合には、該ステアリングサポートブラケットを構成する鋼材の板厚を大きくする対策や車体への取付け箇所を多くするためのブラケット個数を多くする等の対策を採ることになるが、このような対策では、ステアリングサポートブラケット自体の重量が増大してしまうとともに、ステアリングサポートブラケット等ブラケット類の空間占有率が大きくなり、他の隣接部材との干渉を避けるためのレイアウトに苦慮しなければならない。
【０００６】
このような課題を解決するために、従来、板厚を大きくすることやブラケット類の個数増加による剛性のアップ等の対策を採らずして、所望の断面二次モーメントが得られるように成したステアリングメンバーを提供しようとした技術が知られている（特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００８−２８４９６１号公報
【０００８】
かかる従来の技術によれば、図７及び図８に示すように、ステアリングメンバーは、中空状のステアリングメンバー本体１に、不図示のステアリングコラムを取付けるためのステアリングサポートブラケット４を取付けて構成している。
【０００９】
ステアリングサポートブラケット４は、車幅方向に幅広に形成されたステアリングコラム支持部４ａから一対のステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂが互いに車幅方向に離間した状態で突出延設されており、ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの車幅方向両側部にそれぞれ形成された取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２をステアリングメンバー本体１の外周部に溶接することによって、ステアリングメンバー本体１に装着され、かかるステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂ間をステアリング支持部位１ｃとして構成している。
【００１０】
ステアリング支持部位１ｃにおけるステアリングメンバー本体１の内部には、一対のブラケットバルクヘッド８、８が挿入されている。
【００１１】
ブラケットバルクヘッド８、８は、それぞれ、円板状を呈するバルクヘッド本体部８ａと、バルクヘッド本体部８ａの外周端部を折曲することによって形成した取付けフランジ部８ｂとを有して構成しており、ステアリング支持部位１ｃにおいて互いに離間した状態で各ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの両取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２の中間部にそれぞれ配設され、取付けフランジ部８ｂをステアリング支持部位１ｃにおけるステアリングメンバー本体１の内周壁１ｄに溶接部９によって固着されている。
【００１２】
このように構成する従来の技術においては、ステアリングメンバーは、ステアリングメンバー本体１におけるステアリング支持部位１ｃに、ステアリングメンバー本体１の内周壁１ｄに取付けフランジ部８ｂの外周端部が固着されたブラケットバルクヘッド８、８が存することから、ステアリングメンバー本体１の断面変形を抑えてステアリング支持剛性を向上させて所望の断面二次モーメントを得ることができ、しかも、ステアリングメンバー本体１の板厚増或いは外形増を抑え軽量且つ安価なものとすることができることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
しかしながら、上記した従来の技術においては、ブラケットバルクヘッド８、８は、それぞれ、ステアリング支持部位１ｃにおいて、ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの両取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２の中間部に配設されて、ステアリングメンバー本体１の内周壁１ｄに溶接部９によって固着する必要がある。
【００１４】
かかる結果、従来の技術においては、ステアリングサポートブラケット４のステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂにおける取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２を溶接にてステアリングメンバー本体１の外周部に取付けて構成している他に、ブラケットバルクヘッド８を溶接部９によってステアリングメンバー本体１に取付けることになることから、２工程の溶接作業を必要とすることになって、加工コスト延いては設備費を高くしており、又、ステアリングメンバー本体１に互いに異なる場所に二重の溶接を施すことによって、ステアリングメンバー本体１への溶接点数が多く、且つ溶接長さも長くなってしまい、溶接による入熱が大きくなって、ステアリングメンバー本体１が大きな熱歪みを起こしてしまうおそれがある。
【００１５】
そこで、本発明は、従来の技術と同様にステアリングメンバー本体内にブラケットバルクヘッドを設けて、ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えステアリング支持剛性を向上させ所望の断面二次モーメントを得るとともに、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を抑えるように構成したとしても、ステアリングメンバー本体に施す溶接箇所を少なくして、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制すべく成したステアリングメンバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
本発明に係るステアリングメンバーは、車幅方向に延在する中空状のステアリングメンバー本体に、ステアリングコラムシャフトを支持するステアリングサポートブラケットを取付け、且つ、前記ステアリングメンバー本体の両端部に取付けた車体取付けブラケットを用いて車体の両側部に装着するように構成した場合に、前記ステアリングメンバー本体の内部にブラケットバルクヘッドを挿入し、該ブラケットバルクヘッドを、前記ステアリングメンバー本体における前記ステアリングサポートブラケットが取付けられて構成されるステアリング支持部に位置させるとともに、前記ブラケットバルクヘッドの外周端部を、前記ステアリングサポートブラケットを前記ステアリングメンバー本体に取付けるための溶接部によって、前記ステアリングメンバー本体の内周壁に固着して構成したことを特徴とするものである。
【００１７】
かかる構成を有する本発明によれば、ステアリングメンバー本体の内部に挿入したブラケットバルクヘッドを、ステアリングサポートブラケットをステアリングメンバー本体に取付けるための溶接部によって、ステアリングメンバー本体の内周壁に固着することによって構成したことから、ブラケットバルクヘッドを取付けるための別個の溶接作業工程を無くすことができ、結果的に、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制することができ、しかも、ステアリングサポートブラケットに及ぼされたステアリングシャフトからの力が、ステアリングサポートブラケットから当該溶接部を経て、ブラケットバルクヘッドに確実且つ効率よく及ぼされ、ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えてステアリング支持剛性をさらに向上させて所望の断面二次モーメントを得ることができ、しかも、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を確実に抑え軽量且つ安価なものとすることができる。
【００１８】
又、本発明は、前記ステアリングサポートブラケットが、前記ステアリングメンバー本体の前記車幅方向に沿って互いに離間して配置された複数箇所の溶接部によって取付けられている場合に、該複数箇所の溶接部の２箇所以上の溶接部毎にそれぞれ個別に前記ブラケットバルクヘッドを対向させて、各ブラケットバルクヘッドの外周端部を、それぞれ前記各溶接部によって、前記ステアリングメンバー本体の内周壁に固着して構成するようにしてもよい。
【００１９】
かかる構成により、ブラケットバルクヘッドが、ステアリング支持部位において、複数箇所の溶接部の少なくとも２箇所以上の溶接部毎に互いに離間状態で設けられることになって、ステアリングメンバー本体の断面変形を強固に抑えることができ、ステアリング支持剛性を向上させてさらに所望の断面二次モーメントを得るための設計自由度を確保することができる。
【発明の効果】
【００２０】
上記のように構成する本発明は、ステアリングメンバー本体の内部に挿入したブラケットバルクヘッドを、ステアリングサポートブラケットをステアリングメンバー本体に取付けるための溶接部によって、ステアリングメンバー本体の内周壁に固着して構成したことから、ブラケットバルクヘッドを取付けるための別個の溶接作業工程を無くすことができ、結果的に、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制することができ、しかも、ステアリングサポートブラケットに及ぼされたステアリングシャフトからの力が、ステアリングサポートブラケットから当該溶接部を経て、ブラケットバルクヘッドに確実且つ効率よく及ぼされ、ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えてステアリング支持剛性をさらに向上させて所望の断面二次モーメントを得ることができ、しかも、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を確実に抑え軽量且つ安価なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】自動車における一般的なステアリングメンバーの概略構成を描画した斜視図である。
【図２】本発明に係る実施例１を採用した図１におけるステアリングメンバーのステアリング支持部位付近を一部破断して描画した拡大斜視図である。
【図３】図２におけるＡ−Ａ断面図である。
【図４】本発明に係る実施例２を採用したステアリングメンバーの図３と同様の断面図である。
【図５】本発明に係る実施例３を採用したステアリングメンバーの図３と同様の断面図である。
【図６】本発明に係る実施例４を採用したステアリングメンバーの図３と同様の断面図である。
【図７】従来の技術による図１におけるステアリングメンバーのステアリング支持部位付近を一部破断して描画した拡大斜視図である。
【図８】図６におけるＢ−Ｂ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２２】
本発明に係る各実施例は、従来の技術と同様にステアリングメンバー本体内にブラケットバルクヘッドを設けて、ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えてステアリング支持剛性を向上させ所望の断面二次モーメントを得、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を抑えるように構成したとしても、ステアリングメンバー本体に施す溶接箇所を少なくして、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制すべく構成している。
【００２３】
次に、図を用いて、本発明に係る実施例について説明する。かかる説明において、従来の技術に対応する部位については、同一符号を用いることとする。
【実施例１】
【００２４】
先ず、図１において、ステアリングメンバーの概略構成について説明すると、ステアリングメンバー本体１は、車幅方向に延在すると共に中空状に形成され、略中間部を境に車幅方向一側が太径部１ａに形成され、車幅方向他側が細径部１ｂに形成された異形部材として構成されている。
【００２５】
そして、ステアリングメンバー本体１は、その両端部にそれぞれ異なる形状を有する車体取付けブラケット２、３が固着されており、取付けブラケット２、３を介して不図示の車体両側部にそれぞれ装着されている。
【００２６】
ステアリングメンバー本体１の太径部１ａには、不図示のステアリングコラムシャフトを取付けるためのステアリングサポートブラケット４が後述の溶接部１０によって取付けられている。
【００２７】
ステアリングサポートブラケット４は、図２に示すように、車幅方向に幅広となって、ステアリングメンバー本体１の太径部１ａにおいてステアリングコラム支持部４ａを形成している。
【００２８】
さらに、ステアリングサポートブラケット４は、不図示のステアリングコラムを装着支持するステアリングコラム支持部４ａと、ステアリングコラム支持部位４ａから車体後方に向かって互いに離間した状態で突出延設された一対のステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂとで構成している。
【００２９】
ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの各車幅方向両側部には、それぞれ、取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２が形成され、取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２は、例えばワンサイド溶接機構によるスポット溶接等の不連続の間欠溶接により形成した溶接部１０によって、ステアリングメンバー本体１の外周部に溶接され、ステアリングサポートブラケット４をステアリングメンバー本体１に装着して、ステアリングメンバー本体１におけるステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂ間をステアリング支持部位１ｃとして構成している。
【００３０】
さらに、ステアリングメンバー本体１には、他に車体に締結するポストブラケット５やインストステイブラケット６、７が取付けられている。
【００３１】
ステアリング支持部位１ｃにおけるステアリングメンバー本体１の内部には、一対のブラケットバルクヘッド８、８が挿入されている。
【００３２】
ブラケットバルクヘッド８、８は、それぞれ、円板状を呈するバルクヘッド本体部８ａと、バルクヘッド本体部８ａの外周端部を折曲することによって形成した取付けフランジ部８ｂとを有して構成している。
【００３３】
ブラケットバルクヘッド８における取付けフランジ部８ｂは、ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂにおける各車幅方向両側部に形成した取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２のうち、互いに車幅方向外側に存する取付けフランジ部４ｂ−１に対向させた状態で配設されている。
【００３４】
かかる状態において、各取付けフランジ部８ｂは、ステアリングサポートブラケット４のステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂをステアリングメンバー本体１に取付けるためのスポット溶接による溶接部１０によってステアリングメンバー本体１のステアリング支持部位１ｃの内周部に固着されている。
【００３５】
したがって、ブラケットバルクヘッド８は、ステアリングサポートブラケット４を取付けるための溶接部１０によって、ステアリングメンバー本体１のステアリング支持部位１ｃに装着されていることになる。
【００３６】
ブラケットバルクヘッド８、８のバルクヘッド本体部８ａの中央部に形成された貫通孔８ａ−１は、ブラケットバルクヘッド８、８をステアリングメンバー本体１内に挿入する際に、例えばシリンダー装置の作動杆（不図示）が嵌合して、ブラケットバルクヘッド８、８を保持させ、前記作動杆によってブラケットバルクヘッド８、８をステアリングメンバー本体１内に挿入するために形成したものである。
【００３７】
以上のように構成する本発明に係る実施例１によれば、ステアリングメンバー本体１の内部に挿入したブラケットバルクヘッド８を、ステアリングサポートブラケット４をステアリングメンバー本体１に取付けるための溶接部１０によって、ステアリングメンバー本体１のステアリング支持部位１ｃの内周壁１ｄに固着することによって構成したことから、ブラケットバルクヘッド８を取付けるための個別の溶接作業工程を無くすことができ、結果的に、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体１の熱歪みを抑制することができ、しかも、ステアリングサポートブラケット４に及ぼされたステアリングシャフトからの力が、ステアリングサポートブラケット４から当該溶接部１０を経て、ブラケットバルクヘッド８に確実且つ効率よく及ぼされて、ステアリングメンバー本体１の断面変形を抑えてステアリング支持剛性をさらに向上させて所望の断面二次モーメントを得ることができ、しかも、ステアリングメンバー本体１の板厚増或いは外形増を益々抑え軽量且つ安価なものとすることができる。
【００３８】
次に、図４および図５を用いて、本発明に係る実施例２及び実施例３について説明する。
【実施例２】
【００３９】
図４に示す実施例２において、溶接部１０を、前記実施例１のようにスポット溶接によって間欠溶接することで構成する代わりに、ＣＯ２溶接或いはロウ付け溶接等によるステアリング支持部位１ｃの外周全域に渡って連続溶接することによって形成した点、及びステアリングサポートブラケット４のステアリングメンバー取付け部４ｂは、実施例１のように折曲形成した取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２を有さずに、直接ステアリングメンバー本体１の外周に溶接部１０によって装着したもので、これに関連して、ブラケットバルクヘッド８の取付けフランジ部８ｂが、ステアリングサポートブラケット４との板厚差くらいの幅を有して構成されている点相違するも、他の構成を同一とするものである。
【００４０】
かかる構成は、溶接部１０がステアリング支持部位１ｃの全域に渡って連続溶接によって構成していることから、ステアリングサポートブラケット４及びブラケットバルクヘッド８のステアリングメンバー本体１への取付け強度をより高めることができる。
【実施例３】
【００４１】
図５に示す実施例３において、ステアリングサポートブラケット４が、一対のステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの各取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２を溶接部１０によってステアリングメンバー本体１のステアリング支持部位１ｃにおける４箇所において装着されていることに鑑み、ブラケットバルクヘッド８、溶接部１０にそれぞれ対向させて、４個設けた点を特徴としている。
【００４２】
即ち、各溶接部１０に個別に対向するように、ステアリングメンバー本体１内のステアリング支持部位１ｃにブラケットバルクヘッド８がそれぞれ配設されていて、各ブラケットバルクヘッド８は、その外周端部が溶接部１０をステアリングメンバー本体１のステアリング支持部位１ｃの外周全域においてＣＯ２溶接或いはロウ付け溶接等による連続形成することによって固着されている。
【００４３】
又、実施例３においては、実施例２と同様に、ステアリングサポートブラケット４のステアリングメンバー取付け部４ｂは、取付けフランジ部４ｂ−１，４ｂ−２を有さないとともに、ブラケットバルクヘッド８の取付けフランジ部８ｂが、ステアリングサポートブラケット４との板厚差くらいの幅を有して構成されているものである。
【００４４】
さらに、上記実施例３においては、４箇所の溶接部１０毎にそれぞれ個別にブラケットバルクヘッド８を対向配置して構成されているが、かかる構成に限定されるものではなく、ステアリングサポートブラケット４が、ステアリングメンバー本体１の前記車幅方向に沿って互いに離間して配置された複数箇所の溶接部１０によって取付けられている場合、該複数箇所の溶接部１０の２箇所以上の溶接部毎に個別の前記ブラケットバルクヘッド８を対向させて、各ブラケットバルクヘッド８の外周端部を、各溶接部１０によって、ステアリングメンバー本体１の内周壁１ｄに固着して構成するようにして、所望の断面二次モーメントを得るための設計自由度を確保するようにしてもよい。
【００４５】
以上のように構成する本発明にかかる実施例３によれば、ブラケットバルクヘッド８が、ステアリング支持部位１ｃにおいて、４箇所の溶接部１０毎に互いに離間状態で設けられることになって、ステアリングメンバー本体１の断面変形を強固に抑えることができ、ステアリング支持剛性を向上させて所望の断面二次モーメントを得るための設計自由度を確保することができる。
【００４６】
また、図６に示す実施例４においては、溶接部１０が、前記実施例１のようにスポット溶接により間欠溶接して形成する代わりに、レーザー溶接によるステアリング支持部位１ｃの外周全域に亘って連続溶接することによって形成したものである。
【００４７】
かかる実施例４に係る構成においては、溶接部１０がステアリング支持部位１ｃの全域に渡ってレーザー溶接による連続溶接にて形成されることから、ステアリングサポートブラケット４及びブラケットバルクヘッド８のステアリングメンバー本体１へ取付け強度をより高めることができ、また、レーザー溶接によって溶接深度の深い溶接部１０が形成されることになって、１回の溶接作業によって所望の溶接強度を持った溶接部１０の形成が可能となり、しかも、ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの各取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２のうち、ブラケットバルクヘッド８の取付けフランジ部８ｂが対向する側だけに溶接部１０を施しても、所望の取付け強度を発揮することができるので、溶接箇所をさらに少なくして、更なる加工コスト延いては設備費の低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【００４８】
以上説明したように、本発明は、ステアリングメンバー本体内にブラケットバルクヘッドを設けて、ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えてステアリング支持剛性を向上させ所望の断面二次モーメントを得て、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を抑えるように構成したとしても、ステアリングメンバー本体に施す溶接箇所を少なくして、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制することができるために、自動車等の車両用のステアリングシャフトを支持するステアリングメンバー等に好適である。
【符号の説明】
【００４９】
１ ステアリングメンバー本体
１ｃ ステアリング支持部位
４ ステアリングサポートブラケット
４ｂ ステアリングメンバー取付け部
８ ブラケットバルクヘッド
１０ 溶接部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動車等車両用のステアリングシャフトを支持するステアリングメンバーに関する。
【背景技術】
【０００２】
車両の室内前部にはインストルメントパネルが設けられて、その内側には、ステアリングを支持するためのステアリングメンバーが車幅方向に延在し、ステアリングメンバーはその両端において車体両側部に装着されている。
【０００３】
この種のステアリングメンバーは、一般に、ステアリングシャフトを装着支持するために、ステアリングシャフトが操舵回転可能に挿通したステアリングコラムを装着するようになっているとともに、ステアリングコラムを装着するために、ステアリングサポートブラケットが取着されている。
【０００４】
したがって、ステアリングシャフトから及ぼされる荷重は、ステアリングサポートブラケットを介してステアリングメンバーが受け止めることになる。
【０００５】
この結果、ステアリングシャフトに関連して、ステアリングコラムの重量増加に対処するため、ステアリングサポートブラケットの剛性をより一層高め、定重量当りの断面二次モーメントを大きくすることが要求された場合には、該ステアリングサポートブラケットを構成する鋼材の板厚を大きくする対策や車体への取付け箇所を多くするためのブラケット個数を多くする等の対策を採ることになるが、このような対策では、ステアリングサポートブラケット自体の重量が増大してしまうとともに、ステアリングサポートブラケット等ブラケット類の空間占有率が大きくなり、他の隣接部材との干渉を避けるためのレイアウトに苦慮しなければならない。
【０００６】
このような課題を解決するために、従来、板厚を大きくすることやブラケット類の個数増加による剛性のアップ等の対策を採らずして、所望の断面二次モーメントが得られるように成したステアリングメンバーを提供しようとした技術が知られている（特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００８−２８４９６１号公報
【０００８】
かかる従来の技術によれば、図７及び図８に示すように、ステアリングメンバーは、中空状のステアリングメンバー本体１に、不図示のステアリングコラムを取付けるためのステアリングサポートブラケット４を取付けて構成している。
【０００９】
ステアリングサポートブラケット４は、車幅方向に幅広に形成されたステアリングコラム支持部４ａから一対のステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂが互いに車幅方向に離間した状態で突出延設されており、ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの車幅方向両側部にそれぞれ形成された取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２をステアリングメンバー本体１の外周部に溶接することによって、ステアリングメンバー本体１に装着され、かかるステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂ間をステアリング支持部位１ｃとして構成している。
【００１０】
ステアリング支持部位１ｃにおけるステアリングメンバー本体１の内部には、一対のブラケットバルクヘッド８、８が挿入されている。
【００１１】
ブラケットバルクヘッド８、８は、それぞれ、円板状を呈するバルクヘッド本体部８ａと、バルクヘッド本体部８ａの外周端部を折曲することによって形成した取付けフランジ部８ｂとを有して構成しており、ステアリング支持部位１ｃにおいて互いに離間した状態で各ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの両取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２の中間部にそれぞれ配設され、取付けフランジ部８ｂをステアリング支持部位１ｃにおけるステアリングメンバー本体１の内周壁１ｄに溶接部９によって固着されている。
【００１２】
このように構成する従来の技術においては、ステアリングメンバーは、ステアリングメンバー本体１におけるステアリング支持部位１ｃに、ステアリングメンバー本体１の内周壁１ｄに取付けフランジ部８ｂの外周端部が固着されたブラケットバルクヘッド８、８が存することから、ステアリングメンバー本体１の断面変形を抑えてステアリング支持剛性を向上させて所望の断面二次モーメントを得ることができ、しかも、ステアリングメンバー本体１の板厚増或いは外形増を抑え軽量且つ安価なものとすることができることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
しかしながら、上記した従来の技術においては、ブラケットバルクヘッド８、８は、それぞれ、ステアリング支持部位１ｃにおいて、ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの両取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２の中間部に配設されて、ステアリングメンバー本体１の内周壁１ｄに溶接部９によって固着する必要がある。
【００１４】
かかる結果、従来の技術においては、ステアリングサポートブラケット４のステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂにおける取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２を溶接にてステアリングメンバー本体１の外周部に取付けて構成している他に、ブラケットバルクヘッド８を溶接部９によってステアリングメンバー本体１に取付けることになることから、２工程の溶接作業を必要とすることになって、加工コスト延いては設備費を高くしており、又、ステアリングメンバー本体１に互いに異なる場所に二重の溶接を施すことによって、ステアリングメンバー本体１への溶接点数が多く、且つ溶接長さも長くなってしまい、溶接による入熱が大きくなって、ステアリングメンバー本体１が大きな熱歪みを起こしてしまうおそれがある。
【００１５】
そこで、本発明は、従来の技術と同様にステアリングメンバー本体内にブラケットバルクヘッドを設けて、ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えステアリング支持剛性を向上させ所望の断面二次モーメントを得るとともに、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を抑えるように構成したとしても、ステアリングメンバー本体に施す溶接箇所を少なくして、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制すべく成したステアリングメンバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
本発明に係るステアリングメンバーは、車幅方向に延在する中空状のステアリングメンバー本体に、ステアリングコラムシャフトを支持するステアリングサポートブラケットを取付け、且つ、前記ステアリングメンバー本体の両端部に取付けた車体取付けブラケットを用いて車体の両側部に装着するように構成した場合に、前記ステアリングメンバー本体の内部にブラケットバルクヘッドを挿入し、該ブラケットバルクヘッドを、前記ステアリングメンバー本体における前記ステアリングサポートブラケットが取付けられて構成されるステアリング支持部に位置させるとともに、前記ブラケットバルクヘッドの外周端部を、前記ステアリングサポートブラケットを前記ステアリングメンバー本体に取付けるための溶接部によって、前記ステアリングメンバー本体の内周壁に固着して構成したことを特徴とするものである。
【００１７】
かかる構成を有する本発明によれば、ステアリングメンバー本体の内部に挿入したブラケットバルクヘッドを、ステアリングサポートブラケットをステアリングメンバー本体に取付けるための溶接部によって、ステアリングメンバー本体の内周壁に固着することによって構成したことから、ブラケットバルクヘッドを取付けるための別個の溶接作業工程を無くすことができ、結果的に、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制することができ、しかも、ステアリングサポートブラケットに及ぼされたステアリングシャフトからの力が、ステアリングサポートブラケットから当該溶接部を経て、ブラケットバルクヘッドに確実且つ効率よく及ぼされ、ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えてステアリング支持剛性をさらに向上させて所望の断面二次モーメントを得ることができ、しかも、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を確実に抑え軽量且つ安価なものとすることができる。
【００１８】
又、本発明は、前記ステアリングサポートブラケットが、前記ステアリングメンバー本体の前記車幅方向に沿って互いに離間して配置された複数箇所の溶接部によって取付けられている場合に、該複数箇所の溶接部の２箇所以上の溶接部毎にそれぞれ個別に前記ブラケットバルクヘッドを対向させて、各ブラケットバルクヘッドの外周端部を、それぞれ前記各溶接部によって、前記ステアリングメンバー本体の内周壁に固着して構成するようにしてもよい。
【００１９】
かかる構成により、ブラケットバルクヘッドが、ステアリング支持部位において、複数箇所の溶接部の少なくとも２箇所以上の溶接部毎に互いに離間状態で設けられることになって、ステアリングメンバー本体の断面変形を強固に抑えることができ、ステアリング支持剛性を向上させてさらに所望の断面二次モーメントを得るための設計自由度を確保することができる。
【発明の効果】
【００２０】
上記のように構成する本発明は、ステアリングメンバー本体の内部に挿入したブラケットバルクヘッドを、ステアリングサポートブラケットをステアリングメンバー本体に取付けるための溶接部によって、ステアリングメンバー本体の内周壁に固着して構成したことから、ブラケットバルクヘッドを取付けるための別個の溶接作業工程を無くすことができ、結果的に、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制することができ、しかも、ステアリングサポートブラケットに及ぼされたステアリングシャフトからの力が、ステアリングサポートブラケットから当該溶接部を経て、ブラケットバルクヘッドに確実且つ効率よく及ぼされ、ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えてステアリング支持剛性をさらに向上させて所望の断面二次モーメントを得ることができ、しかも、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を確実に抑え軽量且つ安価なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】自動車における一般的なステアリングメンバーの概略構成を描画した斜視図である。
【図２】本発明に係る実施例１を採用した図１におけるステアリングメンバーのステアリング支持部位付近を一部破断して描画した拡大斜視図である。
【図３】図２におけるＡ−Ａ断面図である。
【図４】本発明に係る実施例２を採用したステアリングメンバーの図３と同様の断面図である。
【図５】本発明に係る実施例３を採用したステアリングメンバーの図３と同様の断面図である。
【図６】本発明に係る実施例４を採用したステアリングメンバーの図３と同様の断面図である。
【図７】従来の技術による図１におけるステアリングメンバーのステアリング支持部位付近を一部破断して描画した拡大斜視図である。
【図８】図６におけるＢ−Ｂ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２２】
本発明に係る各実施例は、従来の技術と同様にステアリングメンバー本体内にブラケットバルクヘッドを設けて、ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えてステアリング支持剛性を向上させ所望の断面二次モーメントを得、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を抑えるように構成したとしても、ステアリングメンバー本体に施す溶接箇所を少なくして、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制すべく構成している。
【００２３】
次に、図を用いて、本発明に係る実施例について説明する。かかる説明において、従来の技術に対応する部位については、同一符号を用いることとする。
【実施例１】
【００２４】
先ず、図１において、ステアリングメンバーの概略構成について説明すると、ステアリングメンバー本体１は、車幅方向に延在すると共に中空状に形成され、略中間部を境に車幅方向一側が太径部１ａに形成され、車幅方向他側が細径部１ｂに形成された異形部材として構成されている。
【００２５】
そして、ステアリングメンバー本体１は、その両端部にそれぞれ異なる形状を有する車体取付けブラケット２、３が固着されており、取付けブラケット２、３を介して不図示の車体両側部にそれぞれ装着されている。
【００２６】
ステアリングメンバー本体１の太径部１ａには、不図示のステアリングコラムシャフトを取付けるためのステアリングサポートブラケット４が後述の溶接部１０によって取付けられている。
【００２７】
ステアリングサポートブラケット４は、図２に示すように、車幅方向に幅広となって、ステアリングメンバー本体１の太径部１ａにおいてステアリングコラム支持部４ａを形成している。
【００２８】
さらに、ステアリングサポートブラケット４は、不図示のステアリングコラムを装着支持するステアリングコラム支持部４ａと、ステアリングコラム支持部位４ａから車体後方に向かって互いに離間した状態で突出延設された一対のステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂとで構成している。
【００２９】
ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの各車幅方向両側部には、それぞれ、取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２が形成され、取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２は、例えばワンサイド溶接機構によるスポット溶接等の不連続の間欠溶接により形成した溶接部１０によって、ステアリングメンバー本体１の外周部に溶接され、ステアリングサポートブラケット４をステアリングメンバー本体１に装着して、ステアリングメンバー本体１におけるステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂ間をステアリング支持部位１ｃとして構成している。
【００３０】
さらに、ステアリングメンバー本体１には、他に車体に締結するポストブラケット５やインストステイブラケット６、７が取付けられている。
【００３１】
ステアリング支持部位１ｃにおけるステアリングメンバー本体１の内部には、一対のブラケットバルクヘッド８、８が挿入されている。
【００３２】
ブラケットバルクヘッド８、８は、それぞれ、円板状を呈するバルクヘッド本体部８ａと、バルクヘッド本体部８ａの外周端部を折曲することによって形成した取付けフランジ部８ｂとを有して構成している。
【００３３】
ブラケットバルクヘッド８における取付けフランジ部８ｂは、ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂにおける各車幅方向両側部に形成した取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２のうち、互いに車幅方向外側に存する取付けフランジ部４ｂ−１に対向させた状態で配設されている。
【００３４】
かかる状態において、各取付けフランジ部８ｂは、ステアリングサポートブラケット４のステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂをステアリングメンバー本体１に取付けるためのスポット溶接による溶接部１０によってステアリングメンバー本体１のステアリング支持部位１ｃの内周部に固着されている。
【００３５】
したがって、ブラケットバルクヘッド８は、ステアリングサポートブラケット４を取付けるための溶接部１０によって、ステアリングメンバー本体１のステアリング支持部位１ｃに装着されていることになる。
【００３６】
ブラケットバルクヘッド８、８のバルクヘッド本体部８ａの中央部に形成された貫通孔８ａ−１は、ブラケットバルクヘッド８、８をステアリングメンバー本体１内に挿入する際に、例えばシリンダー装置の作動杆（不図示）が嵌合して、ブラケットバルクヘッド８、８を保持させ、前記作動杆によってブラケットバルクヘッド８、８をステアリングメンバー本体１内に挿入するために形成したものである。
【００３７】
以上のように構成する本発明に係る実施例１によれば、ステアリングメンバー本体１の内部に挿入したブラケットバルクヘッド８を、ステアリングサポートブラケット４をステアリングメンバー本体１に取付けるための溶接部１０によって、ステアリングメンバー本体１のステアリング支持部位１ｃの内周壁１ｄに固着することによって構成したことから、ブラケットバルクヘッド８を取付けるための個別の溶接作業工程を無くすことができ、結果的に、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体１の熱歪みを抑制することができ、しかも、ステアリングサポートブラケット４に及ぼされたステアリングシャフトからの力が、ステアリングサポートブラケット４から当該溶接部１０を経て、ブラケットバルクヘッド８に確実且つ効率よく及ぼされて、ステアリングメンバー本体１の断面変形を抑えてステアリング支持剛性をさらに向上させて所望の断面二次モーメントを得ることができ、しかも、ステアリングメンバー本体１の板厚増或いは外形増を益々抑え軽量且つ安価なものとすることができる。
【００３８】
次に、図４および図５を用いて、本発明に係る実施例２及び実施例３について説明する。
【実施例２】
【００３９】
図４に示す実施例２において、溶接部１０を、前記実施例１のようにスポット溶接によって間欠溶接することで構成する代わりに、ＣＯ２溶接或いはロウ付け溶接等によるステアリング支持部位１ｃの外周全域に渡って連続溶接することによって形成した点、及びステアリングサポートブラケット４のステアリングメンバー取付け部４ｂは、実施例１のように折曲形成した取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２を有さずに、直接ステアリングメンバー本体１の外周に溶接部１０によって装着したもので、これに関連して、ブラケットバルクヘッド８の取付けフランジ部８ｂが、ステアリングサポートブラケット４との板厚差くらいの幅を有して構成されている点相違するも、他の構成を同一とするものである。
【００４０】
かかる構成は、溶接部１０がステアリング支持部位１ｃの全域に渡って連続溶接によって構成していることから、ステアリングサポートブラケット４及びブラケットバルクヘッド８のステアリングメンバー本体１への取付け強度をより高めることができる。
【実施例３】
【００４１】
図５に示す実施例３において、ステアリングサポートブラケット４が、一対のステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの各取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２を溶接部１０によってステアリングメンバー本体１のステアリング支持部位１ｃにおける４箇所において装着されていることに鑑み、ブラケットバルクヘッド８、溶接部１０にそれぞれ対向させて、４個設けた点を特徴としている。
【００４２】
即ち、各溶接部１０に個別に対向するように、ステアリングメンバー本体１内のステアリング支持部位１ｃにブラケットバルクヘッド８がそれぞれ配設されていて、各ブラケットバルクヘッド８は、その外周端部が溶接部１０をステアリングメンバー本体１のステアリング支持部位１ｃの外周全域においてＣＯ２溶接或いはロウ付け溶接等による連続形成することによって固着されている。
【００４３】
又、実施例３においては、実施例２と同様に、ステアリングサポートブラケット４のステアリングメンバー取付け部４ｂは、取付けフランジ部４ｂ−１，４ｂ−２を有さないとともに、ブラケットバルクヘッド８の取付けフランジ部８ｂが、ステアリングサポートブラケット４との板厚差くらいの幅を有して構成されているものである。
【００４４】
さらに、上記実施例３においては、４箇所の溶接部１０毎にそれぞれ個別にブラケットバルクヘッド８を対向配置して構成されているが、かかる構成に限定されるものではなく、ステアリングサポートブラケット４が、ステアリングメンバー本体１の前記車幅方向に沿って互いに離間して配置された複数箇所の溶接部１０によって取付けられている場合、該複数箇所の溶接部１０の２箇所以上の溶接部毎に個別の前記ブラケットバルクヘッド８を対向させて、各ブラケットバルクヘッド８の外周端部を、各溶接部１０によって、ステアリングメンバー本体１の内周壁１ｄに固着して構成するようにして、所望の断面二次モーメントを得るための設計自由度を確保するようにしてもよい。
【００４５】
以上のように構成する本発明にかかる実施例３によれば、ブラケットバルクヘッド８が、ステアリング支持部位１ｃにおいて、４箇所の溶接部１０毎に互いに離間状態で設けられることになって、ステアリングメンバー本体１の断面変形を強固に抑えることができ、ステアリング支持剛性を向上させて所望の断面二次モーメントを得るための設計自由度を確保することができる。
【００４６】
また、図６に示す実施例４においては、溶接部１０が、前記実施例１のようにスポット溶接により間欠溶接して形成する代わりに、レーザー溶接によるステアリング支持部位１ｃの外周全域に亘って連続溶接することによって形成したものである。
【００４７】
かかる実施例４に係る構成においては、溶接部１０がステアリング支持部位１ｃの全域に渡ってレーザー溶接による連続溶接にて形成されることから、ステアリングサポートブラケット４及びブラケットバルクヘッド８のステアリングメンバー本体１へ取付け強度をより高めることができ、また、レーザー溶接によって溶接深度の深い溶接部１０が形成されることになって、１回の溶接作業によって所望の溶接強度を持った溶接部１０の形成が可能となり、しかも、ステアリングメンバー取付け部４ｂ、４ｂの各取付けフランジ部４ｂ−１、４ｂ−２のうち、ブラケットバルクヘッド８の取付けフランジ部８ｂが対向する側だけに溶接部１０を施しても、所望の取付け強度を発揮することができるので、溶接箇所をさらに少なくして、更なる加工コスト延いては設備費の低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【００４８】
以上説明したように、本発明は、ステアリングメンバー本体内にブラケットバルクヘッドを設けて、ステアリングメンバー本体の断面変形を抑えてステアリング支持剛性を向上させ所望の断面二次モーメントを得て、ステアリングメンバー本体の板厚増或いは外形増を抑えるように構成したとしても、ステアリングメンバー本体に施す溶接箇所を少なくして、加工コスト延いては設備費を低減するとともに、溶接熱によるステアリングメンバー本体の熱歪みを抑制することができるために、自動車等の車両用のステアリングシャフトを支持するステアリングメンバー等に好適である。
【符号の説明】
【００４９】
１ ステアリングメンバー本体
１ｃ ステアリング支持部位
４ ステアリングサポートブラケット
４ｂ ステアリングメンバー取付け部
８ ブラケットバルクヘッド
１０ 溶接部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
車幅方向に延在する中空状のステアリングメンバー本体に、ステアリングコラムシャフトを支持するステアリングサポートブラケットを取付け、且つ、前記ステアリングメンバー本体の両端部に取付けた車体取付けブラケットを用いて車体の両側部に装着するように構成したステアリングメンバーであって、前記ステアリングメンバー本体の内部にブラケットバルクヘッドを挿入し、該ブラケットバルクヘッドを、前記ステアリングメンバー本体における前記ステアリングサポートブラケットが取付けられて構成されるステアリング支持部位に位置させるとともに、前記ブラケットバルクヘッドの外周端部を、前記ステアリングサポートブラケットを前記ステアリングメンバー本体に取付けるための溶接部によって、前記ステアリングメンバー本体の内周壁に固着して構成したことを特徴とするステアリングメンバー。
【請求項２】
前記ステアリングサポートブラケットが、前記ステアリングメンバー本体の前記車幅方向に沿って互いに離間して配置された複数箇所の溶接部によって取付けられている場合、該複数箇所の溶接部の２箇所以上の溶接部毎にそれぞれ個別に前記ブラケットバルクヘッドを対向させて、各ブラケットバルクヘッドの外周端部を、それぞれ前記各溶接部によって、前記ステアリングメンバー本体の内周壁に固着して構成したことを特徴とする請求項１に記載のステアリングメンバー。
【請求項１】
車幅方向に延在する中空状のステアリングメンバー本体に、ステアリングコラムシャフトを支持するステアリングサポートブラケットを取付け、且つ、前記ステアリングメンバー本体の両端部に取付けた車体取付けブラケットを用いて車体の両側部に装着するように構成したステアリングメンバーであって、前記ステアリングメンバー本体の内部にブラケットバルクヘッドを挿入し、該ブラケットバルクヘッドを、前記ステアリングメンバー本体における前記ステアリングサポートブラケットが取付けられて構成されるステアリング支持部位に位置させるとともに、前記ブラケットバルクヘッドの外周端部を、前記ステアリングサポートブラケットを前記ステアリングメンバー本体に取付けるための溶接部によって、前記ステアリングメンバー本体の内周壁に固着して構成したことを特徴とするステアリングメンバー。
【請求項２】
前記ステアリングサポートブラケットが、前記ステアリングメンバー本体の前記車幅方向に沿って互いに離間して配置された複数箇所の溶接部によって取付けられている場合、該複数箇所の溶接部の２箇所以上の溶接部毎にそれぞれ個別に前記ブラケットバルクヘッドを対向させて、各ブラケットバルクヘッドの外周端部を、それぞれ前記各溶接部によって、前記ステアリングメンバー本体の内周壁に固着して構成したことを特徴とする請求項１に記載のステアリングメンバー。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１０−２１５１８６（Ｐ２０１０−２１５１８６Ａ）
【公開日】平成２２年９月３０日（２０１０．９．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−６６８３２（Ｐ２００９−６６８３２）
【出願日】平成２１年３月１８日（２００９．３．１８）
【出願人】（０００１７８８０４）ユニプレス株式会社 (83)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年９月３０日（２０１０．９．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年３月１８日（２００９．３．１８）
【出願人】（０００１７８８０４）ユニプレス株式会社 (83)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]