説明

ステッピングモータの駆動方法、駆動システムおよび電流パターン更新装置

【課題】短時間で回転角度が目標角度に到達し、かつ、到達後の振動を抑制可能なステッピングモータの駆動方法、駆動システムおよび電流パターン更新装置を提供する。
【解決手段】ステッピングモータのコイルに流れる電流の相が切り替わるのに要する遷移期間を用い、取り付けられた負荷部の動特性を考慮した前記ステッピングモータの動作を表現する数理モデルに基づいて、前記ステッピングモータのシャフトの回転角度の時間変化を算出する。コイル13A,13Bに流れる電流の遷移期間Tdと遷移波形、および、負荷部30の動特性も考慮しているため、シャフトの回転角度θを高精度にシミュレーションできる。結果として、電流IA,IBのパターンを最適化でき、短時間でシャフトの回転角度θ(t)が目標角度θtgに到達し、かつ、到達後の振動を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励磁電流相を切り替えてロータを回転させるステッピングモータの駆動システムおよび電流パターン更新装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータは、パルス電力に同期して動作する同期電動機で、その運動量(回転角度)は駆動パルスの数に比例する。このため、デジタル制御回路との相性がよく、簡易な回路構成により正確な位置決めを実現できる。
【0003】
従来のステッピングモータの駆動手法として、例えば、速度、加速度および減速度のパターンを複数通り組み合わせてテスト駆動し、その組み合わせの中でステッピングモータの実回転角と、予め設定された回転指令値との差が最小となるパルスパターンを導出する手法が提案されている(特許文献1)。また、ステッピングモータの共振特性に応じた禁止駆動周波数を予め記憶しておき、ステッピングモータ駆動時に算出された駆動周波数が禁止駆動周波数である場合に、禁止駆動周波数よりも低い周波数で駆動する手法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−211749号公報
【特許文献2】特開2008−113498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、速度、加速度および減速度のパターンによる複数パルスにより構成された励磁電流のパルス信号パターンにより、回転指令値に追従するように駆動されるものである。しかしながら、励磁電流のパルス信号パターンとステッピングモータの加減速度状態との関係が必ずしも明確ではないため、短時間かつ少ないパルス数で構成される励磁電流のパルス信号パターンで駆動されるステッピングモータに適用するのは困難である。
【0006】
また、特許文献2では、ステッピングモータの機構自身の振動である1次振動モードの共振周波数を禁止駆動周波数としており、1次振動モードを抑制できる。しかしながら、負荷の慣性モーメントが大きく、高速駆動する際に生じるモータシャフトのねじり振動などの高次振動モードが生じるステッピングモータでは、振動を十分に抑制できないこともある。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、短時間で回転角度が目標角度に到達し、かつ、到達後の振動を抑制可能なステッピングモータの駆動方法、駆動システムおよび電流パターン更新装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によるステッピングモータの駆動方法は、まず、ステッピングモータのコイルに流れる電流の相が切り替わるのに要する遷移期間を計測する。次に、取り付けられた負荷部の動特性を考慮した前記ステッピングモータの動作を表現する数理モデルにおける、前記ステッピングモータに関するパラメータを同定する。次に、前記数理モデルにおける、前記負荷部に関するパラメータを同定する。次に、前記計測された遷移期間と前記同定されたパラメータとを用い、前記数理モデルに基づいて、前記ステッピングモータのシャフトの回転角度の時間変化を算出する。次に、前記算出されたシャフトの回転角度が予め定めた目標角度に到達するまでに要する時間と、前記目標角度に到達した後の振動の大きさと、に基づいて、前記コイルに流れる電流のパターンを決定する。そして、前記決定された前記電流のパターンにて、前記ステッピングモータを駆動する。
【0009】
また、本発明の一態様によるステッピングモータの駆動方法は、まず、所定の電流パターンをコイルに流してステッピングモータを駆動し、前記ステッピングモータのシャフトの回転角度の振動を計測する。次に、前記計測された振動が所定の許容範囲内か否かを判定する。次に、前記許容範囲内でない場合、取り付けられた負荷部の動特性を考慮した前記ステッピングモータの動作を表現する数理モデルにおける前記負荷部に関するパラメータの少なくとも1つを、予め計測された前記コイルに流れる電流の相が変化するのに要する遷移時間を考慮して算出する。次に、前記算出されたパラメータに基づいて電流のパターンを更新する。そして、前記更新された前記電流のパターンにて、前記ステッピングモータを駆動する。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、ステッピングモータの駆動システムは、比較部と、電流パターン算出部と、駆動部とを備える。比較部は、ステッピングモータのシャフトの回転角度の振動が所定の許容範囲内か否かを判定する。電流パターン算出部は、前記許容範囲内でない場合、取り付けられた負荷部の動特性を考慮した前記ステッピングモータの動作を表現する数理モデルにおける前記負荷部に関するパラメータの少なくとも1つを、予め計測された前記ステッピングモータのコイルに流れる電流の相が変化するのに要する遷移時間を考慮して算出するとともに、前記算出されたパラメータに基づいて電流のパターンを更新する。駆動部は、前記更新された前記電流のパターンにて、前記ステッピングモータを駆動する。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、電流パターン更新装置は、ステッピングモータのシャフトの回転角度の振動が所定の許容範囲を超えている場合、取り付けられた負荷部の動特性を考慮したステッピングモータの動作を表現する数理モデルにおける前記負荷部に関するパラメータの少なくとも1つを、予め計測された前記ステッピングモータのコイルに流れる電流の相が変化するのに要する遷移時間を考慮して算出するとともに、前記算出されたパラメータに基づいて電流のパターンを更新する電流パターン算出部を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コイルに流れる電流の相が切り替わるのに要する遷移期間と、取り付けられた負荷部の動特性とを考慮するため、短時間で回転角度が目標角度に到達し、かつ、到達後の振動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ステッピングモータ10と、これに取り付けられた負荷部30とを模式的に示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るステッピングモータ10の駆動システムの概略構成を示すブロック図。
【図3】パルス生成部21が生成する第1〜第4パルスおよび電流IA,IBのパターンの一例を示すタイミング図。
【図4】各パラメータを求める手順を示すフローチャート。
【図5】シャフト12の回転角度θ(t)を示すグラフ。
【図6】シャフト12の回転角度θ(t)を示すグラフ。
【図7】得られた電流パターンを用いてモータ10を駆動した場合のシャフトの回転角度θ(t)を示すグラフ。
【図8】第1の実施形態の手法により得られた慣性モーメントJを用いて最適化された電流パターンにより駆動されるシャフトの回転角度θ(t)を示すグラフ。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るステッピングモータ10の駆動システムの概略構成を示すブロック図。
【図10】期間T1〜T3を更新する手順を示すフローチャート。
【図11】シャフト12の回転角度θ(t)の計測結果と、新たに同定された慣性モーメントJを用いたモータ10の動作のシミュレーション結果とを示すグラフ。
【図12】テーブル52に記憶される慣性モーメントJと期間T1〜T3との関係の一例を示す図。
【図13】期間T1〜T3を更新する前の回転角度θ(t)と、更新後の回転角度θ(t)とを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るステッピングモータの駆動方法および駆動装置の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、ステッピングモータ(以下、単にモータ)10と、これに取り付けられた負荷部30とを模式的に示す図である。また、図2は、本発明の第1の実施形態に係るモータ10の駆動システムの概略構成を示すブロック図である。このモータ10は、例えば、コンデンサ等のチップ型電子部品のテーピングを行うテーピング装置の搬送テーブルを位置決めするために用いられる。
【0016】
モータ10は、ロータ11と、シャフト12と、コイル13A,13Bとを備えている。シャフト12はロータ11を貫通するように設けられ、ロータ11が回転することによりシャフト12も回転する。コイル13Aはロータ11と対向して配置されるステータ(不図示)に巻回され、コイル13Bはロータ11と対向して配置される別のステータ(不図示)に巻回される。負荷32はカップリング31を介してシャフト12に取り付けられる。カップリング31および負荷32は負荷部30を構成し、シャフト12が回転すると負荷部30が回転する。また、シャフト12にはエンコーダ40が取り付けられ、シャフトの回転角度を計測できる。
【0017】
モータ10を駆動する駆動装置20は、パルス生成部21と、電流制御部22とを備えている。これらは駆動部を構成する。パルス生成部21は所定のタイミングで第1〜第4パルスを生成する。これらに同期して、電流制御部22はモータ10のコイル13A,13Bに供給する電流IA,IBを制御する。この電流IAは、コイル13Aの第1端14Aから共通端子COMAへ流れるA相励磁電流Iaと、コイル13Aの第2端14A’から共通端子COMAへ流れるA’相 励磁電流Ia’とを含む。同様に、電流IBはB相励磁電流IbとB’相励磁電流Ib’とを含む。
【0018】
図3は、パルス生成部21が生成する第1〜第4パルスおよび電流IA,IBのパターンの一例を示すタイミング図である。図3(a)〜(c)の縦軸はそれぞれ、パルスの有無、電流IA,IBであり、横軸は時間tである。また、縦軸の電流I0は定格電流を表し、電流IA=I0はA相励磁電流Iaに対応し、電流IA=−I0はA’相励磁電流Ia’に対応するものとする。電流IBについても同様とする。
【0019】
時刻t0で、電流制御部22は電流IA=I0および電流IB=I0を生成していると仮定する。この状態ではA相励磁電流IaおよびB相励磁電流Ib(以下「励磁電流AB」と呼ぶ。他の励磁電流も同様。)が流れている。
【0020】
時刻t1で、パルス生成部21は第1パルスを生成する。これに同期して、電流制御部22は電流IBを定格電流I0から−I0に、すなわち、B相励磁電流IbからB’相励磁電流Ib’に切り替える。ただし、電流IBは定格電流I0から−I0へ瞬時に切り替わるわけではなく、遷移期間Tdが経過した時刻t2で定格電流−I0に達する。時刻t2以降では、電流制御部22は励磁電流AB’を生成する。
【0021】
以下同様に、時刻t1から期間T1が経過した時刻t3でパルス生成部21は第2パルスを生成し、電流制御部22は励磁電流A’B’を生成する。また、時刻t3から期間T2が経過した時刻t5でパルス生成部21は第3パルスを生成し、電流制御部22は励磁電流A’Bを生成する。さらに、時刻t5から期間T3が経過した時刻t7でパルス生成部21は第4パルスを生成し、電流制御部22は再び励磁電流ABを生成する。
【0022】
このように、コイル13A,13Bに流す電流相を、例えば励磁電流AB,AB’,A’B’,A’Bの順に切り替えることにより、各ステータに励磁される磁極が変化する。ロータ11はN極またはS極に磁化した複数の歯を有し、これらのそれぞれとステータとが反発したり引き合ったりして、ロータ11は回転する。
【0023】
遷移期間Tdでの電流波形は直線と仮定することができ、図3(b),(c)の電流IA,IBのパターンは下記(1),(2)式によりそれぞれ表される。
【数1】

【0024】
これらを時刻t1=0とし、期間T1〜T3および遷移期間Tdを用いて、1周期分の電流パターンに書き直すと下記(1’),(2’)式のようになる。
【数2】

【0025】
本実施形態は、後述するモータ10の数理モデルに基づき、励磁電流の遷移期間Tdおよび遷移波形をも考慮して、シャフト12の回転角度をシミュレーションし、短時間でモータ10のシャフト12が目標角度に到達し、かつ、シャフト12の振動が抑制されるよう、期間T1〜T3を最適化するものである。
【0026】
以下、モータ10の数理モデルを説明する。
【0027】
モータ10に負荷部30が取り付けられていない場合、モータ10の動作は下記(3)式により表される。
【数3】

【0028】
ここで、J,D,T,θ(t)はそれぞれ、モータ10の慣性モーメント[kg・m]、減衰定数[kg・m・s]、発生トルク[N・m]、シャフト12の回転角度[rad]である。上記(3)式は、慣性モーメントJ、減衰定数Dのモータ10に、トルクTを与えると、シャフト12が回転角度θ(t)で回転することを意味する。トルクTは励磁電流IA,IBにより生じるが、詳細は後述する。
【0029】
一方、負荷部30には下記(4)式により表されるトルクT[N・m]が生じる。
【数4】

【0030】
ここで、J,K,θ(t)はそれぞれ、負荷部30の慣性モーメント[kg・m]、ばね定数[Nm/rad]、負荷部30の回転角度[rad]である。上記(4)式は、シャフト12の回転角度θ(t)と負荷部30の回転角度θ(t)との差、すなわち、シャフト12のねじれに比例したトルクが発生することを意味する。
【0031】
上記(4)式は負荷部30をいわゆる二慣性系モデルで表現したものである。モータ10の動作は負荷部30の動特性の影響を大きく受けるため、負荷部30を二慣性系モデルを用いて表現することで、モータ10の動作を精度よくシミュレーションできる。
【0032】
このトルクTは、モータ10の発生トルクTと逆向きに働く。したがって、負荷部30を取り付けた場合のモータ10の動作は下記(5)式により表される。
【数5】

【0033】
以上の(3)〜(5)式より、負荷部30を取り付けたモータ10の動作は、下記(6)式の数理モデルで表される。
【数6】

【0034】
次に、モータ10の発生トルクTを算出する。コイル13Aに流れる電流IAのうち、A相励磁電流Iaに起因するトルク(以下、A相の発生トルク)Tは下記(7)式で表される。
【数7】

【0035】
ここで、Kはトルク定数[Nm/A]であり、Nはロータの歯数である。一方、コイル13Bに流れる電流IBのうち、B相励磁電流Ibに起因するトルク(以下、B相の発生トルク)Tは、A相と位相がπ/2だけ遅れるように配置されるため、下記(8)式で表される。
【数8】

【0036】
また、A相励磁電流とA’相励磁電流は、図3(b)に示すように、互いに大きさが等しく、向きが逆であるため、A相の発生トルクT=A’相の発生トルクTA’である。同様に、B相の発生トルクT=B’相の発生トルクTB’である。したがって、モータ10の発生トルクTはA相の発生トルクTとB相の発生トルクTとの和であり、下記(9)式で表される。
【数9】

【0037】
上記(9)式では、各相を順繰りに励磁するため、A相とB相との中間の位相であるπ/4を初期値としている。また、同式の電流IA,IBは上記(1’),(2’)式で表される。
【0038】
以上のように、モータ10の数理モデルは、上記(1’),(2’),(4),(6)および(9)式により表される。したがって、各式におけるパラメータの値が分かれば、モータ10の動作である回転角度θ(t)をシミュレーションできる。特に、本実施形態では、遷移期間Tdおよび負荷部30の動特性を考慮するので、高精度にシミュレーションできる。
【0039】
続いて、数理モデルにおける各パラメータを求める手法を説明する。図4は、各パラメータを求める手順を示すフローチャートである。
【0040】
まず、負荷部30を外した状態で、パルス生成部21は1つのパルスを生成する。これにより電流IA,IBは定格電流I0から−I0(または−I0からI0)に変化する。このときのシャフト12の回転角度θ(t)の時間変化および電流IA,IBを計測する(ステップS1)。シャフトの回転角度θ(t)は図1のエンコーダ40により計測できる。また、電流IA,IBは、例えば、電流プローブを用いてオシロスコープにて遷移波形を計測できる。
【0041】
図5は、シャフト12の回転角度θ(t)を示すグラフである。縦軸は回転角度θ(t)であり、横軸は時間である。同図中の破線が計測された回転角度θ(t)を示している。
【0042】
そして、電流IA,IBの計測結果から、電流IA,IBが定格電流I0から−I0(または−I0からI0)に遷移するのに要した遷移期間Tdを同定する(ステップS2)。得られる遷移期間Tdの値は、例えば500[μs]である。モータ10によって遷移期間Tdは異なるので、モータ10ごとに計測を行って遷移期間Tdを同定するのが望ましい。
【0043】
さらに、計測された回転角度θ(t)を用いて、上記(6),(9)式からモータ10に関するパラメータ、すなわち、慣性モーメントJ、減衰定数Dおよびトルク定数Kを同定する(ステップS3)。なお、上記(6)式において、負荷部30が取り付けられていないためシャフト12のねじれは生じず、シャフト12の回転角度θ(t)=負荷部30の回転角度θ(t)としてよい。
【0044】
より具体的には、例えばNelder−Mead法を用いて以下のようにする。まず、パラメータJ,D,Kに任意の初期値を与え、上記(6)式を満たすシャフト12の回転角度θ(t)を算出する。以下では、上記(6)式を解いて算出された回転角度をθMS(t)とし、ステップS1で計測された回転角度をθME(t)とする。そして、回転角度θMS(t)とθME(t)とを比較する。次に、パラメータJ,D,Kを少しずつ変化させて回転角度θMS(t)を算出し、さらに比較を行う。この作業を繰り返し、試行したパラメータJ,D,Kのうち回転角度θMS(t)とθME(t)との差が最も小さくなるパラメータJ,D,Kを選択する。
【0045】
回転角度θMS(t)とθME(t)との比較のためには、例えば下記(10)式の目的関数F1(J,D,K)を用いることができ、この目的関数F1(J,D,K)が小さくなるようなパラメータJ,D,Kを同定すればよい。
【数10】

【0046】
同定される各パラメータの値は、例えば、J=8.5*10−6[kg・m],D=9.8*10−4[kg・m・s],K=2.8*10−1[Nm/A]である。これらのパラメータを用いて回転角度θMS(t)をシミュレーションすると、図5の実線のようになり、計測された回転角度θMS(t)とほぼ一致する。上記のようにしてパラメータJ,D,Kを同定するのに、例えば数値計算ソフトMATLAB(登録商標)を利用することができる。
【0047】
以上によりモータ10に関するパラメータを同定できたので、次に負荷部30に関するパラメータJ,Kを同定する。
【0048】
負荷部30を取り付けた状態で、パルス生成部21は図3の第1〜第4パルスを生成し、このときのシャフトの回転角度θ(t)の時間変化を計測する(ステップS4)。図6は、シャフト12の回転角度θ(t)を示すグラフであり、縦軸および横軸は図5と同様である。同図中の破線が計測された回転角度θ(t)を示している。
【0049】
さらに、計測された回転角度θ(t)を用いて、上記(1’),(2’),(4),(6),(9)式から負荷部30に関するパラメータ、すなわち、負荷部30の慣性モーメントJおよびばね定数Kを同定する(ステップS5)。より具体的には、例えばNelder−Mead法を用い、モータ10のパラメータと同様に、以下のようにして同定する。
【0050】
まず、パラメータJ,Kに任意の初期値を与えて上記(4)および(6)式を満たすシャフト12の回転角度θ(t)および負荷部30の回転角度θ(t)を算出する。以下では、上記(4),(6)式を解いて算出された回転角度をθMS(t)とし、ステップS4で計測された回転角度をθME(t)とする。そして、回転角度θMS(t)とθME(t)とを比較する。次に、パラメータJ,Kを少しずつ変化させて回転角度θMS(t)を算出し、さらに比較を行う。比較のためには、上記(10)式と同様の目的関数を用いることができる。この作業を繰り返し、試行したパラメータJ,Kのうち回転角度θMS(t)とθME(t)との差が最も小さくなるパラメータJ,Kを選択する。
【0051】
同定される各パラメータの値は、例えば、J=8.1*10−6[kg・m],K=1.1*10[Nm/rad]である。これらのパラメータを用いて回転角度θMS(t)をシミュレーションすると、図6の実線のようになり、計測された回転角度θMS(t)とほぼ一致する。
【0052】
以上のようにして、数理モデル中の各パラメータを同定できる。ステップS3,S5は、例えば、駆動装置20とは異なる1台のコンピュータにより実行できる。同定されたパラメータを用いて任意の電流IA,IBに対して、シャフトの回転角度θ(t)をシミュレーションできる。
【0053】
続いて、モータ駆動時に、シャフトの回転角度θ(t)が短時間で目標角度θtg[rad]に到達し、かつ、到達後の振動を抑制可能な電流IA,IBのパターンを算出する。より具体的には、以下のようにして上記(1’),(2’)式における期間T1〜T3を算出する。
【0054】
まず、下記(11)式のように目的関数F2(T1,T2,T3)を定義する。
【数11】

【0055】
目的関数F2(T1,T2,T3)は、時間T1+T2+T3+Td経過後、すなわち、1周期分の電流パターンでモータ10を駆動した後(図3の時刻t8以降)における、シャフト12の振動の最大値を表す。また、期間T1〜T3が短すぎるとモータ10が脱調するおそれがあるので、期間T1〜T3はそれぞれ予め定めた定数C1〜C3以上とする。定数C1〜C3はそれぞれ、例えば500μsに設定される。
【0056】
一般に、期間T1〜T3を短くするほど、目標角度θtgに到達するまでの時間を短くすることができるが、到達後の振動が大きくなってしまう。一方、期間T1〜T3を長くするほど、目標角度θtgに到達した後の振動を小さくすることができるが、到達するまでの時間が長くなってしまう。
【0057】
そこで、例えばNelder−Mead法を用い、種々のT1〜T3について目的関数F2(T1,T2,T3)を算出する。目的関数F2(T1,T2,T3)が単峰性を有さない場合もあるため、初期値を幾通りか試すのが望ましい。そして、目的関数F2(T1,T2,T3)が所定値より小さく、かつ、時間T1+T2+T3が所定時間内となる期間T1〜T3を算出する。これらの条件を満たす期間T1〜T3の組が複数存在する場合は、例えば、目的関数F2ができるだけ小さくなることと、および、時間T1+T2+T3ができるだけ短くなることのいずれかを優先して、期間T1〜T3を算出する。
【0058】
このようにして、例えばT1=1678μs,T2=653μs,T3=1716μsという電流IA,IBのパターンが得られる。
【0059】
図7は、得られた電流パターンを用いてモータ10を駆動した場合のシャフトの回転角度θ(t)を示すグラフである。縦軸および横軸は図5と同様である。同図では、目標角度θtgを3.6[deg]とし、エンコーダ40により計測された値を破線で示している。また、同図には、参考のために数理モデルに基づくシミュレーション結果も実線で示している。J等の各パラメータは上記の値としている。図7(b)は図7(a)の目標角度3.6[deg]付近の拡大図であり、見やすくするために計測値にはローパスフィルタを施している。
【0060】
図7(a),(b)に示すように、モータ10の動作はシミュレーション結果とほぼ一致しており、わずか5ms程度で目標角度θtgに到達し、しかも、到達後の振動も小さい。
【0061】
このように、第1の実施形態では、モータ10の数理モデルにおいて、コイル13A,13Bに流れる電流の遷移期間Tdと遷移波形、および、負荷部30の動特性も考慮しているため、シャフトの回転角度θを高精度にシミュレーションできる。結果として、電流IA,IBのパターンを最適化でき、短時間でシャフトの回転角度θ(t)が目標角度θtgに到達し、かつ、到達後の振動を抑制できる。
【0062】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態は、負荷部30の初期の慣性モーメントJを用いて、期間T1〜T3を最適化するものであった。これに対し、以下に説明する第2の実施形態では、負荷部30の変動も考慮して、動的に期間T1〜T3を最適化するものである。
【0063】
図8は、第1の実施形態の手法により得られた慣性モーメントJを用いて最適化された電流パターンにより駆動されるシャフトの回転角度θ(t)を示すグラフである。同図の破線は回転初期の回転角度θ(t)であり、実線はある程度時間が経過した時点での回転角度θ(t)である。同図に示すように、回転初期は振動を抑制できているが、時間が経過すると振動が大きくなっている。これは、実際にモータ10を使用していると、負荷部30が変動し、これに伴って、慣性モーメントJが変動してしまったためと考えられる。
【0064】
そこで、本実施形態では、負荷部30の慣性モーメントJの変動に応じて動的に期間T1〜T3を更新することにより、振動の抑制を図る。
図9は、本発明の第2の実施形態に係るモータ10の駆動システムの概略構成を示すブロック図である。図9では、図2と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0065】
図9の駆動装置20は比較部23をさらに有する。比較部23は、エンコーダ40により計測されるモータの回転角度θ(t)と目標角度θtgとの最大誤差が許容範囲θal以下か否かを判定する。
【0066】
また、駆動システムは、電流パターン更新装置50を備えている。電流パターン更新装置50は、電流パターン算出部51と、テーブル52とを有する。電流パターン算出部51は変動後の負荷部30の慣性モーメントJを同定し、同定された慣性モーメントJに応じて最適な期間T1〜T3を駆動装置20へ供給する。テーブル52は、予め算出された、負荷部30の慣性モーメントJと期間T1〜T3との関係を記憶している。電流パターン更新装置50は、例えば1台または複数台のコンピュータに内蔵される。
【0067】
図10は、期間T1〜T3を更新する手順を示すフローチャートである。駆動装置20は更新前の電流パターンにてモータ10を1周期分、すなわち、図3の時刻t1〜t8の駆動を行う(ステップS11)。そして、エンコーダ40は1周期分駆動した後のシャフト12の回転角度θ(t)を測定する(ステップS12)。さらに、駆動装置20内の比較部23は、下記(12)式に基づき、回転角度θ(t)と目標角度θtgとの最大誤差が許容範囲θal以下か否かを判定する(ステップS13)。
【数12】

【0068】
許容範囲θalを超える場合(ステップS13のNO)、負荷部30の慣性モーメントJが変動していると考えられるため、電流パターン算出部51は負荷部30の慣性モーメントJを新たに同定する。より具体的には、第1の実施形態のステップS5(図4)と同様に、計測されたモータの回転角度θ(t)およびモータ10の数理モデルに基づいて、慣性モーメントJを同定する。慣性モーメントJは、初期は上記のように8.1*10−6[kg・m]であったものが、例えば、8.5*10−6[kg・m]に変動する。
【0069】
図11は、シャフト12の回転角度θ(t)の計測結果と、新たに同定された慣性モーメントJを用いたモータ10の動作のシミュレーション結果とを示すグラフである。同図に示すように、シミュレーション結果は計測結果と近くなっている。これは、図8に示すように時間が経過すると回転角度θ(t)が変化する原因の1つが、負荷部30の慣性モーメントJの変動であることを意味している。
【0070】
その後、電流パターン算出部51は、同定された慣性モーメントJに応じ、テーブル52を用いて新たに最適な期間T1〜T3を算出し、電流パターンを更新する(ステップS15)。図12は、テーブル52に記憶される慣性モーメントJと期間T1〜T3との関係の一例を示す図である。第1の実施形態では、慣性モーメントJが8.1*10−6[kg・m]である場合の最適な期間T1〜T3を算出したが、本実施形態では、予め慣性モーメントJが8.1*10−6[kg・m]付近、例えば7.0*10−6〜10*10−6[kg・m]の場合の最適な期間T1〜T3を算出し、テーブル52に設定しておく。そして、電流パターン算出部51は同定された慣性モーメントJに対して最適な期間T1〜T3をテーブル52から読み出し、パルス生成部21に供給する。
【0071】
そして、パルス生成部21は、新たな期間T1〜T3に基づく電流パターンで第1〜第4パルスを生成して、モータ10を駆動する。以上の処理動作を例えば毎周期繰り返すことにより、負荷部30の慣性モーメントJが変動したとしても、この変動に追従して期間T1〜T3を更新でき、結果として、振動を抑えつつモータ10を駆動することができる。
【0072】
図13は、期間T1〜T3を更新する前の回転角度θ(t)と、更新後の回転角度θ(t)とを示すグラフであり、図13(b)は図13(a)の目標角度3.6[deg]付近の拡大図である。図示のように、期間T1〜T3を更新することで、振動を抑制できる。
【0073】
このように、第2の実施形態では、モータ10の駆動中にシャフト12の振動を計測し、振動が許容範囲を超えた場合、期間T1〜T3を更新する。そのため、負荷部30の慣性モーメントJが変動した場合でも、短時間でシャフト回転角度θ(t)が目標角度θtgに到達し、かつ、到達後の振動モードを抑制できる。
【0074】
なお、図10のステップS15では、テーブル52を用いずに、第1の実施形態と同様の手法で期間T1〜T3を算出してもよい。また、電流パターン更新装置50がコンピュータに内蔵される例を示したが、駆動装置20に内蔵されてもよい。さらに、本実施形態では電流パターン算出部で負荷部30の慣性モーメントJを算出する例を示したが、負荷部30に関するパラメータのうち他の少なくとも1つを算出して、電流パターンを更新してもよい。
【0075】
上述した実施形態で説明したモータの駆動システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、モータの駆動システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0076】
また、モータの駆動システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0077】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 ステッピングモータ
11 ロータ
12 シャフト
13A,13B コイル
20 駆動装置
21 パルス生成部
22 電流制御部
23 比較部
30 負荷部
31 カップリング
32 負荷
40 エンコーダ
50 電流パターン更新装置
51 電流パターン算出部
52 テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステッピングモータのコイルに流れる電流の相が切り替わるのに要する遷移期間を計測するステップと、
取り付けられた負荷部の動特性を考慮した前記ステッピングモータの動作を表現する数理モデルにおける、前記ステッピングモータに関するパラメータを同定するステップと、
前記数理モデルにおける、前記負荷部に関するパラメータを同定するステップと、
前記計測された遷移期間と前記同定されたパラメータとを用い、前記数理モデルに基づいて、前記ステッピングモータのシャフトの回転角度の時間変化を算出するステップと、
前記算出されたシャフトの回転角度が予め定めた目標角度に到達するまでに要する時間と、前記目標角度に到達した後の振動の大きさと、に基づいて、前記コイルに流れる電流のパターンを決定するステップと、
前記決定された前記電流のパターンにて、前記ステッピングモータを駆動するステップと、を備えることを特徴とするステッピングモータの駆動方法。
【請求項2】
前記ステッピングモータのコイルは第1および第2のコイルを含み、
前記数理モデルは下記(1)〜(3)式で表されることを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータの駆動方法。
【数1】

【数2】

【数3】

ここで、Jは前記負荷部の慣性モーメント、tは時間、θ(t)は前記負荷部の回転角度、Kは前記シャフトのねじりばね定数、θ(t)は前記ステッピングモータのシャフトの回転角度、Jは前記ステッピングモータの慣性モーメント、Dは前記ステッピングモータの減衰定数、Kは前記負荷部のばね定数、Tは前記ステッピングモータ発生トルク、IA,IBは前記第1および第2のコイルにそれぞれ流れる電流、Kはトルク定数、Nは前記ステッピングモータのロータの歯数。
【請求項3】
前記第1および第2のコイルに流れる電流IA,IBの1周期は下記(4),(5)式で表され、
前記コイルに流れる電流のパターンを算出するステップでは、(4),(5)式のT1〜T3を算出することを特徴とする請求項2に記載のステッピングモータの駆動方法。
【数4】

【数5】

ここで、I0は定格電流、Tdは前記遷移期間。
【請求項4】
前記電流のパターンを決定するステップは、
複数通りの前記期間T1乃至T3のそれぞれを前記(4),(5)式に設定し、前記(1)乃至(3)式に基づいて算出される、前記シャフトが前記目標角度に到達するまでに要する時間と、前記目標角度に到達した後の振動の大きさと、を算出するステップと、
前記複数通りの前記期間T1乃至T3のうち、前記目標角度に到達するまでに要する時間が所定時間以内であり、かつ、前記目標角度に到達した後の振動の大きさが所定値以下となる、期間T1乃至T3を選択するステップと、を有することを特徴とする請求項3に記載のステッピングモータの駆動方法。
【請求項5】
前記期間T1乃至T3は、前記ステッピングモータが脱調しないよう、予め定めた期間より長く設定されることを特徴とする請求項3または4に記載のステッピングモータの駆動方法。
【請求項6】
前記ステッピングモータに関するパラメータを同定するステップは、
前記負荷部を取り外した状態で前記第1および第2のコイルに電流を流し、前記シャフトの回転角度を計測するステップと、
前記(2)式および前記計測された前記シャフトの回転角度に基づいて、前記J,DおよびKを同定するステップと、を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のステッピングモータの駆動方法。
【請求項7】
前記J,DおよびKを同定するステップは、
複数通りの前記J,DおよびKのそれぞれを前記(2)式に設定し、前記シャフトの回転角度θ(t)を算出するステップと、
前記複数通りの前記J,DおよびKのうち、前記算出された回転角度θ(t)と、前記計測されたシャフトの回転角度と、の差が最も小さくなるJ、DおよびKを選択するステップと、を有することを特徴とする請求項6に記載のステッピングモータの駆動方法。
【請求項8】
前記負荷部に関するパラメータを同定するステップは、
前記負荷部を取り付けた状態で前記第1および第2のコイルに1周期の電流を流し、前記シャフトの回転角度を計測するステップと、
前記(1),(2)式および計測された前記シャフトの回転角度に基づいて、前記Jおよび前記Kを同定するステップと、を有することを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のステッピングモータの駆動方法。
【請求項9】
前記Jおよび前記Kを同定するステップは、
複数通りの前記JおよびKのそれぞれを前記(1)および(2)式に設定し、前記シャフトの回転角度θ(t)を算出するステップと、
前記複数通りの前記JおよびKのうち、前記算出された回転角度θ(t)と、前記計測されたシャフトの回転角度と、の差が最も小さくなるJおよびKを選択するステップと、を有することを特徴とする請求項8に記載のステッピングモータの駆動方法。
【請求項10】
前記ステッピングモータを駆動し、前記シャフトの回転角度の振動を計測するステップと、
前記計測された振動が所定の許容範囲内か否かを判定するステップと、
前記許容範囲内でない場合、前記負荷部に関するパラメータの少なくとも1つを算出するステップと、
前記算出されたパラメータに基づいて前記電流のパターンを更新するステップと、を備えることを特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載のステッピングモータの駆動方法。
【請求項11】
前記負荷部に関するパラメータの少なくとも1つは、前記Jであることを特徴とする請求項10に記載のステッピングモータの駆動方法。
【請求項12】
前記算出されたパラメータに基づいて前記コイルの電流のパターンを更新するステップは、予め算出した、前記Jと前記電流のパターンとの関係を示すテーブルを用いて、前記電流のパターンを更新することを特徴とする請求項11に記載のステッピングモータの駆動方法。
【請求項13】
前記コイルに1周期の電流を流すごとに、前記電流パターンを更新することを特徴とする請求項10乃至12に記載のステッピングモータの駆動方法。
【請求項14】
所定の電流パターンをコイルに流してステッピングモータを駆動し、前記ステッピングモータのシャフトの回転角度の振動を計測するステップと、
前記計測された振動が所定の許容範囲内か否かを判定するステップと、
前記許容範囲内でない場合、取り付けられた負荷部の動特性を考慮した前記ステッピングモータの動作を表現する数理モデルにおける前記負荷部に関するパラメータの少なくとも1つを、予め計測された前記コイルに流れる電流の相が変化するのに要する遷移時間を考慮して算出するステップと、
前記算出されたパラメータに基づいて電流のパターンを更新するステップと、
前記更新された前記電流のパターンにて、前記ステッピングモータを駆動するステップと、を備えることを特徴とするステッピングモータの駆動方法。
【請求項15】
ステッピングモータのシャフトの回転角度の振動が所定の許容範囲内か否かを判定する比較部と、
前記許容範囲内でない場合、取り付けられた負荷部の動特性を考慮した前記ステッピングモータの動作を表現する数理モデルにおける前記負荷部に関するパラメータの少なくとも1つを、予め計測された前記ステッピングモータのコイルに流れる電流の相が変化するのに要する遷移時間を考慮して算出するとともに、前記算出されたパラメータに基づいて電流のパターンを更新する電流パターン算出部と、
前記更新された前記電流のパターンにて、前記ステッピングモータを駆動する駆動部と、を備えることを特徴とするステッピングモータの駆動システム。
【請求項16】
前記負荷部に関するパラメータの少なくとも1つと、前記電流のパターンとの関係を示すテーブルを備え、
前記電流パターン算出部は、前記テーブルを用いて、前記電流のパターンを更新することを特徴とする請求項15に記載のステッピングモータの駆動システム。
【請求項17】
ステッピングモータのシャフトの回転角度の振動が所定の許容範囲を超えている場合、取り付けられた負荷部の動特性を考慮したステッピングモータの動作を表現する数理モデルにおける前記負荷部に関するパラメータの少なくとも1つを、予め計測された前記ステッピングモータのコイルに流れる電流の相が変化するのに要する遷移時間を考慮して算出するとともに、前記算出されたパラメータに基づいて電流のパターンを更新する電流パターン算出部を備えることを特徴とするステッピングモータの電流パターン更新装置。
【請求項18】
前記負荷部に関するパラメータの少なくとも1つと、前記電流のパターンとの関係を示すテーブルを備え、
前記電流パターン算出部は、前記テーブルを用いて、前記電流のパターンを更新することを特徴とする請求項17に記載の電流パターン更新装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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