説明

ステントおよびステントデリバリーカテーテル

【課題】 ステント本体の疲労耐久性を維持しつつ、ステントをデリバリーカテーテルに挿入する工程において、端部が座屈変形しないステントを提供する。
【解決手段】 筒状のステント29の両端におけるストラット21の少なくとも一方のストラット21では、外側に向いて尖った部分に、補強片10が形成される。この補強片10は、筒状のステント29の軸方向L1に沿う第1縁11と、この軸方向に交差(垂直等)する周囲方向L2に沿う第2縁12と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に留置するためのステント、および、そのステントを含むステントデリバリーカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、一般に、血管または他の生体内管腔が、狭窄または閉塞することによって生じる様々な疾患を治療するものである。詳説すると、ステントは、狭窄または閉塞部位を拡張し、その管腔サイズを維持するために、そこに留置する医療用具である。
【0003】
ステントには、例えば、1本の線状の金属もしくは高分子材料からなるコイル状のタイプ、金属チューブをレーザーによって切り抜いて加工したタイプ、線状の部材をレーザーによって溶接して組み立てたタイプ、または、複数の線状金属を織って作ったタイプがある。
【0004】
また、これらのステントは、そのステントをマウントしたバルーンによって拡張されるもの(バルーンエクスパンダブルタイプ)と、外部からの拡張を抑制する部材を取り除くことによって自ら拡張していくもの(セルフエクスパンダブルタイプ)とに分類される(特許文献1参照)。
【0005】
例えば、セルフエクスパンダブルタイプは、一般に、管内カテーテルの先端付近に取り付けられ、その上からシース等を被せられて使用される。詳説すると、カテーテルが、患者の体管腔内の治療部位へ進められ、治療部位にてシース等が取り除かれ、これに伴って、ステントが自己拡張することで留置される。近年、尿管、胆管、または下肢動脈の形成術に対して、これらのステントが多く用いられるようになってきている。
【0006】
しかし、セルフエクスパンダブルステントが普及するにしたがって、デバイスの様々な問題点が顕在化してきている。その中でも最も大きな問題が、ステントが金属疲労により破断してしまう現象である。この現象はステントフラクチャーと呼ばれている。
【0007】
ステントは、体内で様々な負荷(曲げ、捩り、長軸方向の圧縮)を受け、これらによる応力集中がステントの金属疲労の原因となる。ステントフラクチャーの発生は、治療成績予後の開存率に影響を与える可能性もあることから、疲労耐久性に優れたステントが求められている。
【0008】
ところで、一般的に、セルフエクスパンダブルステントの作成方法としては、細径の金属パイプをレーザーカットによってステントのデザインにカットし、目標とする径まで拡張後、熱処理を行う方法が挙げられる。
【0009】
そして、セルフエクスパンダブルステントを目標とする病変部にまでデリバリーするためには、そのステントは、デリバリーカテーテルのルーメンに挿入されることで、そのデリバリーカテーテルに装着される。このようなステントのルーメンへの挿入のためには、ステントは、デリバリーカテーテルのシース等の内径以下に縮径(クリンピング)されなくてはならない。
【0010】
さらに、縮径されたステントがデリバリーカテーテルのルーメンに挿入される場合には、金属製のプッシャーが用いられるが、ステントがプッシャーの押し力に負けてしまい、端部が座屈変形してしまう場合がある。このような座屈変形をしてしまったステントは、機械的特性または治療効果に大きな影響を及ぼす。なお、この座屈変形といった現象は、軸方向力の弱いステントにおいて発生しやすい。特に、軸方向の長さを長くしたステント(60mm以上)では、座屈変形が発生しやすい。
【0011】
このような座屈変形の対策として、ステントにおけるストラットの幅またはストラットの厚みを大きくし、ステントの軸方向力(ステントの軸方向に対するステント自体の耐久性)を強くすることが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2008−508033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、この対策だと、ステントの疲労耐久性が悪くなり、ステントフラクチャーを起こし易くなってしまう。
【0014】
つまり、本発明は、上記の問題点を解決するために(要は、相反する要求を満たすために)なされたものである。そして、その目的は、疲労耐久性を維持しつつ、端部を座屈変形させないステント等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ステントは、圧縮された径から拡径する管状である。そして、このステントは、伸長するストラットをつなげて環状にした環状要素が第1方向に沿って並ぶことで、管状が形成される。そして、ステントにおける筒状の両端の少なくとも一方の端に配置されるストラットには、外側に向いて尖った部分に、補強片が形成されており、補強片は、第1方向に沿う第1縁と、第1方向に交差する第2方向に沿う第2縁と、を含む。
【0016】
また、環状の周囲方向に沿って隣り合う補強片同士では、一方の補強片の第1縁と、他方の補強片の第1縁とが向かい合い、対向する一方の第1縁と他方の第1縁とには、互いの第1縁同士を係り合わせる係合部が形成されると好ましい。
【0017】
また、互いに係り合う係合部同士のうち、一方は凸部であり、他方が凹部であると好ましい。
【0018】
なお、以上のステントと、ステントを搬送するデリバリーカテーテルと、を含むステントデリバリーカテーテルも本発明といえる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のステントによれば、疲労耐久性が比較的高く維持されつつ、デリバリーカテーテルのルーメンに挿入される場合に、端部が座屈変形しない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】は、ステントの展開図である(実施例1)。
【図2】は、ステントの拡大図である(実施例1)。
【図3】は、ステントの展開図である(実施例2)。
【図4】は、ステントの拡大図である(実施例2)。
【図5】は、ステントの展開図である(実施例3)。
【図6】は、ステントの拡大図である(実施例3)。
【図7】は、ステントの展開図である(比較例)。
【図8】は、ステントの拡大図である(比較例)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態1]
実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【実施例】
【0022】
<実施例1>
図1は拡張状態のステント29の展開図であり、図2は図1に示されたステント29の一部分を示す拡大図である(なお、図1および図2に示されるステント29を実施例1と称する)。
【0023】
ステント29は、環状の略波形構成要素[環状要素]22を、一方向[第1方向]となる軸方向L1に連続(整列)させることによって、ほぼ管状体になるように形成される。略波形構成要素22は、伸長するストラット21を環状につなげることで形成される。そして、このようにして形成されたステント29は、圧縮(縮径)されたり、拡大(拡径)されたりする。例えば、管状のステント29は、圧縮された第1の直径から拡大された第2の直径まで、半径方向に拡張する。
【0024】
ここで、ストラット21に関して詳説する。ストラット21は、ジグザグ形状になっている。そのため、筒状のステント29の両端におけるストラット21は、外側に向いて尖った部分と、外側に向けてへこんだ部分とを、周囲方向L2[第2方向]に沿って、交互に並べる{なお、以降では、筒状のステント29の両端における一方端を遠位端(病変に近い側の端)、他方端を近位端(術者の手元に近い側の端)とする}。
【0025】
そして、筒状のステント29の両端におけるストラット21では、外側に向いて尖った部分に、補強片10が形成される。この補強片10は、筒状のステント29の軸方向L1に沿う第1縁11と、この軸方向L1に交差(垂直等)する周囲方向L2に沿う第2縁12と、を含む。
【0026】
このようなステント29がデリバリーカテーテルに装着される場合(なお、ステント29を装着したデリバリーカテーテルをステントデリバリーカテーテルと称する)、ステントデリバリーカテーテルのルーメンの開口に、縮径されたステント29が位置合わせされ、金属等の高硬度のプッシャーが、ステント29を押し出すことで、ルーメンに挿入される。
【0027】
このようなステント29の装着では、ステント29(ひいては、ストラット21)には、ステント29の軸方向L1に沿って圧がかかる(要は、ステント29の端部における補強片10の第2縁12が押さえられる)。しかしながら、ストラット21の補強片10は、軸方向L1に対して交差する方向に第2縁12を有する。そのため、この第2縁12が、軸方向L1に沿う圧を集中させずに分散させる(要は、ストラット21は、プッシャーに対して面接触する)。したがって、ストラット21、ひいては略波形構成要素22、さらにはステント29は、ステント29の軸方向L1に沿う圧によって座屈しない。
【0028】
また、このステント29が縮径される場合、ステント29の周囲方向L2にて、隣り合う補強片10の第1縁11同士が線接触(詳説すると、面接触)する。線接触は、点接触に比べると、ストラット21に対して比較的弱い圧しか与えない。そのため、ストラット21、ひいては略波形構成要素22、さらにはステント29は、縮径によって座屈しない。
【0029】
また、ステント29の軸方向力(ステント29の軸方向L1に対するステント29自体の耐久性)を向上させるために、ステント29におけるストラット21の幅またはステント29の厚みが増加しない。そのため、ストラット21の幅またはステント29の厚みに起因したステント29の疲労耐久性の劣化が起きない。したがって、このステント29は、ステントフラクチャー(ステント29が金属疲労により破断してしまう現象)を起こさない。
【0030】
なお、以下に、実施例1のステント29の、具体的な数値実施例および製造方法を記す。ただし、これに限定されるものではない。
【0031】
(数値実施例1)
重量比で、Ni:Ti=55:45のNiTi合金のパイプが冷間加工されることで、外径3.0mm、肉厚220μm、長さ約1mの超弾性金属パイプが作製される。このパイプに対して、レーザーによるステント加工が行われる。この加工では、非拡張状態で、図1に示す展開図の構造を有するステントが作成される。
【0032】
なお、レーザーによるステント加工には、数値制御加工機械が用いられ、その数値制御加工機械は、図1に示すようなステントの展開図を読み込み、パイプに対するレーザーの位置を、その位置に対応する数値情報で指令することにより加工を行う(なお、レーザーの電圧は197Vである)。
【0033】
次に、切り出したステント29に対して、ステント29の内面のバリの除去し、さらに平滑化をするために、内面研磨作業(ホーニング)が行われる。ホーニングには、ステント29の内径よりも細い径のダイヤモンドバーが使用される。
【0034】
次に、ステント29の拡径作業が行われる。ステント29の内腔に、直径4.0mmの芯材が通され、その芯材およびステント29は、熱処理炉に入れられ、数分間熱をかけた後、水中に浸されことで、急冷させられた。これにより、ステント29は拡径した形状を記憶する(この熱処理工程により、ステント29の外径は6.0mmまで拡張する)。
【0035】
なお、熱処理炉は、酸化雰囲気炉、電気炉、または、塩浴炉のいずれかであると好ましい。また、熱処理の温度は480〜520℃であると好ましく、熱処理時間は5〜15分であると好ましい。また、芯材の材料は、真鍮またはステンレス鋼であると好ましい。
【0036】
次に、ブラスト工程が行われる。ブラスト工程では、数値制御加工機械が用いられ、約17μmの酸化アルミナ粉末がノズルから吹き出し、ステント29の外表面、内表面の酸化皮膜、バリに触れることで、それらを除去する。その後、電解研磨工程が行われることで、ステント29は、表面を平滑化するとともに、光沢を有するようになる(なお、作製されたステントの外径は6.0mm、全長は50.0mmである)。
【0037】
<実施例2>
図3は拡張状態のステント29の展開図であり、図4は図3に示されたステント29の一部分を示す拡大図である(なお、図3および図4に示されるステント29を実施例2と称する)。
【0038】
実施例2と実施例1との違いは、補強片10の第1縁11に係合部CA(CA1・CA2)が形成されている点である。
【0039】
略波形構成要素22の環状の周囲方向L2(別表現すると、ステント29の管状の周囲方向L2)に沿って隣り合う補強片10同士では、一方の補強片10の第1縁11と、他方の補強片10の第1縁11とが向かい合う。そして、対向する一方の第1縁11と他方の第1縁11とには、互いの第1縁11同士を係り合わせる係合部CAが形成される。
【0040】
この係合部CAとしては、図3および図4に示すように、半円状の縁を有する突起部[凸部]CA1と、この突起部CA1に噛み合うような半円状の縁を有するへこみ部[凹部]CA2とが挙げられる(なお、突起部CA1は、補強片10の面積を増加させるように、第1縁11から突出する部分であり、へこみ部CA2は、補強片10の面積を減少させるように、第1縁11からへこむ部分である)。
【0041】
そして、このような係合部CAを含む第1縁11が、補強片10に形成されていると、ステント29が縮径される場合、ステント29の周囲方向L2にて、隣り合う補強片10の第1縁11同士の係合部CA同士が噛み合う(嵌り合う)。すると、第1縁11同士は、線接触するだけでなく、ステント29の軸方向L1に沿ってズレない。
【0042】
そのため、このようなステント29がステントデリバリーカテーテルに装着される場合に、ステント29(ひいては、ストラット21)に、ステント29の軸方向L1に沿う比較的大きな圧がかかったとしても、第1縁11同士は、ステント29の軸方向L1に沿ってズレない。
【0043】
つまり、このステント29におけるストラット21の補強片10では、第2縁12が、軸方向L1に沿う圧を集中させずに分散させるだけでなく、第1縁11が強固に係り合う。そのため、ストラット21、ひいては略波形構成要素22、さらにはステント29は、ステント29の軸方向L1に沿う圧によって、一層、座屈しない。
【0044】
もちろん、この実施例2のステント29は、実施例1のステント29同様に、縮径によっても座屈しないし、ステントフラクチャーも起こさない。
【0045】
(数値実施例2)
なお、実施例2のステント29の具体的な数値実施例は、実施例1と同値であり、製造方法もほとんど同じである。両実施例での製造方法の違いは、レーザーによるステント加工に用いられる数値制御加工機械は、図3に示すようなステント29の展開図を読み込み、パイプに対するレーザーの位置を、それに対応する数値情報で指令することにより加工を行った点である。
【0046】
<実施例3>
図5は拡張状態のステント29の展開図であり、図6は図5に示されたステント29の一部分を示す拡大図である(なお、図5および図6に示されるステント29を実施例2と称する)。
【0047】
実施例3と実施例1との違いは、補強片10の第1縁11に係合部CAが形成されている点である。また、実施例3と実施例2との違いは、係合部CAの形状が異なる点である。
【0048】
すなわち、この実施例3のステント29では、実施例2のステント同様に、略波形構成要素22の環状の周囲方向L2に沿って隣り合う補強片10同士では、一方の補強片10の第1縁11と、他方の補強片10の第1縁11とが向かい合う。そして、対向する一方の第1縁11と他方の第1縁11とには、互いの第1縁11同士を係り合わせる係合部CAが形成される。
【0049】
この係合部CAとしては、図5および図6に示すように、多角形状の縁を有する突起部[凸部]CA1と、この突起部CA1に噛み合うような多角形状の縁を有するへこみ部[凹部]CA2とが挙げられる。
【0050】
そして、このような実施例3のステント29は、実施例2と同様の作用効果が奏ずる。
【0051】
(数値実施例3)
なお、実施例3のステント29の具体的な数値実施例は、実施例1・2と同値であり、製造方法もほとんど同じである。実施例3と、実施例1・2とでの製造方法の違いは、レーザーによるステント加工に用いられる数値制御加工機械は、図5に示すようなステント29の展開図を読み込み、パイプに対するレーザーの位置を、それに対応する数値情報で指令することにより加工を行った点である。
【0052】
<比較例、および、その比較例と実施例との対比評価>
ここで、比較例となるステント129について説明する。図7は拡張状態のステント129の展開図であり、図8は図7に示されたステント129の一部分を示す拡大図である。この比較例のステント129は、実施例1〜3のステント29と違って、補強片が無い。
【0053】
(数値比較例)
比較例のステント129の具体的な数値実施例は、実施例1〜3と同値であり、製造方法もほとんど同じである(なお、便宜上、ストラットに部材番号121、略波形構成要素に部材番号122を付す)。
【0054】
比較例と、実施例1〜3とでの製造方法の違いは、レーザーによるステント加工に用いられる数値制御加工機械は、図7に示すようなステント129の展開図を読み込み、パイプに対するレーザーの位置を、その位置に対応する数値情報で指令することにより加工を行った点である。
【0055】
(対比評価)
実施例1〜3のステント29と比較例のステント129とに関して、以下の対比評価を実施した。
【0056】
(1)ステント端部座屈変形評価
クリンピング(縮径)されたステントが、デリバリーカテーテルのルーメンに挿入された後、そのステントが放出された場合のステントの端部形状を評価した。ステントのクリンピングには、自己拡張型ステントクリンピング装置(Machine Solutions Inc製のSC900)を使用した。
【0057】
デリバリーカテーテル(ステントデリバリーカテーテルとも称されることもある)には、外径2.04mm、内径1.78mmの編組チューブを使用した。最初に3.0mmのプレクリンプを行い、その後1.75mmまでポストクリンプを行い、チューブにステントを挿入した。放出後のステントの端部が座屈変形しなかったものを成功とし、端部が座屈変形したものを失敗として評価した(なお、各実施例につき、5本のステントデリバリーカテーテルを評価した)。
【0058】
(対比評価の結果)
結果は、以下の通りである。すなわち、実施例1〜3のステント29は、比較例のステント129と比較して、ステント29の端部が座屈変形しなかった。
【0059】
ステント座屈変形評価成功率(成功本数/全体本数)
実施例1 5本/5本[100%]
実施例2 5本/5本[100%]
実施例3 5本/5本[100%]
比較例 0本/5本[ 0%]
【0060】
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、補強片10は、実施例1〜3のように、筒状のステント29における両端に配置されている場合に限定されない。すなわち、ステント29の両端における一方だけに、補強片10が配置されていてもよい(要は、筒状のステント29の両端の少なくとも一方の端に配置されるストラット21には、外側に向いて尖った部分に、補強片10が形成されていればよい)。
【0062】
また、ステント29の成形方法としては、例えば、レーザー加工法、放電加工法、機械的な切削方法、または、エッチング方法が挙げられる。また、ステント29におけるストラット21の端部分の面取りは、例えば、ステント29の成形後にマイクロブラストまたは電解研磨が挙げられるが、これに限定されず、その他の研磨が用いられてもよい。
【0063】
また、実施例1〜3では、ステント29の材料は、超弾性を有するニッケルチタン合金が使用されていたが、これに限定されない。例えば、ステント29の材料は、金属材料であれば、例えば、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金、タングステン、およびタンタルからなる群から選択される1以上の材料で形成されていると好ましい。
【0064】
また、ステント29は、圧縮された直径(第1の直径)が2.0mm以下、好ましくは1.78mm以下となるように設定されていると好ましい。
【0065】
一方、拡張された直径(第2の直径)は、患者体管腔の内径にあわせて選択されるもので、治療目的とする管腔により全く異なるが、例えば浅大腿動脈用のステント29の場合、直径6.0mm以上10.0mm以下程度に設定されていると好ましい。
【0066】
なお、以上のステント29と、そのステント29を搬送するためのカテーテル(デリバリーカテーテル)とを含むステントデリバリーカテーテルも、本発明といえる。
【符号の説明】
【0067】
10 補強片
11 第1縁
12 第2縁
CA 係合部
CA1 突起部[凸部]
CA2 へこみ部[凹部]
21 ストラット
22 略波形構成要素[環状要素]
29 ステント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮された径から拡径する管状のステントにあって、
伸長するストラットをつなげて環状にした環状要素が第1方向に沿って並ぶことで、上記管状が形成されており、
上記筒状の両端の少なくとも一方の端に配置される上記ストラットには、外側に向いて尖った部分に、補強片が形成されており、
上記補強片は、上記第1方向に沿う第1縁と、上記第1方向に交差する第2方向に沿う第2縁と、を含むステント。
【請求項2】
上記環状の周囲方向に沿って隣り合う上記補強片同士では、一方の上記補強片の上記第1縁と、他方の上記補強片の上記第1縁とが向かい合い、
対向する一方の上記第1縁と他方の上記第1縁とには、互いの上記第1縁同士を係り合わせる係合部が形成される請求項1に記載のステント。
【請求項3】
互いに係り合う係合部同士のうち、一方は凸部であり、他方が凹部である請求項2に記載のステント。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のステントと、
上記ステントを搬送するデリバリーカテーテルと、
を含むステントデリバリーカテーテル。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−177(P2012−177A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135794(P2010−135794)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】