説明

ステント留置装置

【課題】 生体組織内にてステントの留置位置調整のための進退操作と、超音波内視鏡装置の処置具挿通管路内での進退操作が可能なステント留置装置を提供する。
【解決手段】 体腔内組織に形成された穿刺孔に留置するステント22が挿入軸方向に摺動自在に保持するガイドチューブ17と、ガイドチューブ17に摺動自在に保持されたステント22の摺動を係止させるガイドチューブ17に設けられた湾曲または凸状の係止部と、係止部により係止されているステント22を係止解除位置まで挿入軸方向に移動させるプッシャーチューブ16と、プッシャーチューブ16を手元側にて操作するハンドル部13を備えたステント留置装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波内視鏡装置による観察の基で、体腔内の深部に位置する臓器に穿刺針具等により形成した穿刺孔に、ステントを装着させて留置させるステント留置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、体腔内の深部に位置する臓器、例えば、膵臓等に生じる膵嚢胞の治療のために、超音波内視鏡装置による観察の基で、胃壁または十二指腸壁を介して、膵嚢胞にステントを装着して留置させることが行われている。
【0003】
胃壁または十二指腸壁から膵嚢胞にステントである留置チューブを留置させる留置チューブ装置は、例えば、特許文献1に提案されている。特許文献1に提案されている留置チューブ装置は、先端が鋭角に形成された針部と、針部に対して進退自在で、針部の先端が露出するように針部を被覆するチューブ部と、チューブ部から突出する針部に対して進退自在で、露出した針部の先端部を覆うように着脱自在に配置され、一端面がチューブ部の先端面に当接する留置チューブ(以下、ステントと称する)とから構成されている。ステントの一端面は、テーパー部が形成されている。このテーパー部の表面側に設けられたテーパー部は、ステントを目的部位に刺し入れるためのものであり、内周面側に設けたテーパー部はチューブ部の先端にステントを仮固定するものである。つまり、ステントは、ステントの一端面の内周面側のテーパー部とチューブ部の先端側との摩擦により仮固定されている。
【0004】
この留置チューブ装置は、針部をステントの先端面から突出させた状態にして、チューブ部と針部を同時に前進させることによって針部と共にステントが生体組織に刺し入れられる。針部と共に刺し入れたステントは、チューブ部にてステントを押圧保持した状態で針部をステントから抜き去ることによりステントを生体組織の目的部位に留置させることができる。
【特許文献1】特開2000−14769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に提案されている留置チューブ装置は、ステントの一端の内周面に形成されたテーパー部とチューブ部の先端側との間の摩擦により仮固定されている。この留置チューブ装置を用いて、超音波内視鏡装置による観察の基で、体腔内の目的部位にステントを留置させる際に、チューブ部の先端に仮固定されたステントは、針部が穿刺されて形成した穿刺針孔に刺し入れて、生体組織の目的部位に留置する。ステントを生体組織の目的部位より深い位置に刺し入れた際には、ステントを移動させるために抜き取る方向に針部やチューブ部を抜き取り牽引する。しかし、針部とチューブ部を抜き取り牽引すると、ステントが生体組織の穿刺針孔内に保持されているために、ステントの一端の内周面のテーパー部とチューブ部の先端との間で仮固定している摩擦力を超える牽引力がチューブ部に生じて、ステントがチューブ部から離れて目的部位よりも深い位置に留置されてしまうことがある。
【0006】
このような場合は、新たに把持用処置具を挿入させて、目的部位よりも深い位置に留置したステントを把持して抜き取ることが行われている。
【0007】
また、超音波内視鏡装置の挿入部の処置具挿通管路への留置チューブ装置の挿入操作途中にて、留置チューブ装置の挿入操作を停止させて、処置具挿通管路から抜き去る際に、超音波内視鏡装置の挿入部の湾曲形状により処置具挿通管路の内壁にステントが接触していると、チューブ部を引き抜き操作する牽引力が大きくなり、チューブ部とステントとの仮固定している摩擦力を超える牽引力が加わるとステントが処置具挿通管路内に放置されることもある。
【0008】
従来の留置チューブ装置は、上述したように、ステントは、チューブ部に摩擦力により仮固定されており、かつ、生体組織に穿刺針にて生成した穿刺針孔にステントを刺し入れて留置させている。このため、ステントを目的部位の位置よりも深く刺し入れた際に、留置位置の調整を行うためにステントを引き抜く方向にチューブ部を牽引すると、ステントはチューブ部との仮固定部分から離れてしまい、他の処置具を用いてステントの位置調整を行う必要がある。
【0009】
また、従来の留置チューブ装置は、超音波内視鏡装置の処置具挿通管路内に挿入途中にて挿入操作を中止して引き抜く際に、チューブ部とステントの仮固定されている摩擦力を超える牽引力が加わると、ステントが処置具挿通管路内に放置されることもある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みて、生体組織内にてステントの留置位置の調整のための進退操作と、超音波内視鏡装置の処置具挿通管路内での進退操作が可能であると共に、術者が望む体腔内の目的部位に正確にステントの留置を可能とするステント留置装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のステント留置装置は、体腔内組織に形成された穿刺孔に留置するステントを挿入軸方向に摺動自在に保持する保持手段と、前記保持手段に摺動自在に保持された前記ステントの摺動を係止させる前記保持手段に設けられた係止手段と、前記保持手段に摺動自在に保持されて前記係止手段により係止されている前記ステントを係止解除位置まで挿入軸方向に移動させる移動手段と、前記移動手段を手元側にて操作する操作手段と、を具備することを特徴としている。
【0012】
本発明のステント留置装置は、体腔内に挿入されて、体腔内臓器に穿刺孔を形成する穿刺針具と、前記穿刺針具にて形成された穿刺孔に装着されて留置するステントと、前記ステント手段が挿入軸方向に摺動自在に保持する保持手段と、前記保持手段に摺動自在に保持された前記ステントの摺動を係止させる前記保持手段に設けられた係止手段と、前記保持手段に摺動自在に保持されて前記係止手段により係止されている前記ステントを係止解除位置まで挿入軸方向に移動させる移動手段と、前記移動手段を手元側にて操作する操作手段と、を具備することを特徴としている。
【0013】
本発明のステント留置装置の前記係止手段は、前記保持手段に摺動自在に保持された前記ステントの内周面と摺動係合する係合部からなることを特徴としている。
【0014】
本発明のステント留置装置の前記係止手段は、前記保持手段に摺動自在に保持された前記ステントの先端側に形成され、前記ステントの内径よりも大きい湾曲面の湾曲部であることを特徴としている。
【0015】
本発明のステント留置装置の前記係止手段は、前記保持手段に摺動自在に保持された前記ステントの先端側に形成され、前記ステントの内径よりも大きい外径の凸状部であることを特徴としている。
【0016】
本発明のステント留置装置の前記係止手段は、前記保持手段の摺動自在に保持された前記ステントの摺動範囲の先端側と後端側とで異なる外径とし、外径の異なる位置に段差部を有していることを特徴としている。
【0017】
本発明のステント留置装置の前記係止手段は、前記保持手段の摺動自在に保持された前記ステントの摺動範囲の先端側と後端側とで異なる外径のテーパー部であることを特徴としている。
【0018】
本発明のステント留置装置の前記係止手段は、前記保持手段に設けられる前記ステントの摺動範囲の先端側の外径が前記ステントの内径と略同等以下で、後端側の外径が前記ステントの内径よりも大きいことを特徴としている。
【0019】
本発明のステント留置装置の前記係止手段は、前記保持手段に設けられる前記ステントの摺動範囲の先端側の外径が前記ステントの内径よりも大きく、後端側の外径が前記ステントの内径と略同等以下であることを特徴としている。
【0020】
本発明のステント留置装置の前記係止手段は、前記保持手段の摺動自在に保持された前記ステントの摺動範囲の前記ステントの係止位置に粗面加工された粗面部であることを特徴としている。
【0021】
本発明のステント留置装置の前記移動手段は、前記保持手段の前記係止手段により係止されている前記ステントを係止解除位置まで挿入軸方向に移動させるプッシャーチューブであることを特徴としている。
【0022】
本発明のステント留置装置の前記操作手段は、前記移動手段であるプッシャーチューブの基端に設けられたプッシャースライダを有するハンドル部であることを特徴としている。 本発明のステント留置装置の前記操作手段は、前記移動手段を操作して前記ステントが前記保持手段を摺動して留置されるステント留置位置を示す表示部を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明のステント留置装置は、生体組織に穿刺針具にて生成した穿刺針孔にステントを刺し入れて進退操作が可能で、目的部位の位置に正確にステントを留置できると共に、超音波内視鏡装置の挿入部の形状に拘わることなく処置具挿通管路内でステントを放置することなくステント留置装置の進退操作が可能となり、ステント留置の操作性が向上する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。最初に、図9を用いて本発明の実施形態のステント留置装置と内視鏡の関係について説明する。ステント留置装置11は、超音波内視鏡31に設けられている処置具挿通管路を介して、体腔内に導かれる。超音波内視鏡31は、体腔内に挿入される細長な挿入部32、挿入部32の後端に設けられた操作部33、操作部33から延出されたユニバーサルコード34、ユニバーサルコード34の末端に設けられた図示しない光源装置に接続する内視鏡コネクタ35、内視鏡コネクタ35の近傍から延出する超音波ケーブル36、超音波ケーブル36の末端に設けられた図示しない超音波観測装置に接続する超音波コネクタ37にて主に構成されている。
【0025】
操作部33の前端側には、例えば、ステント留置装置11または各種処置具等を挿入する処置具挿入口38が設けられている。処置具挿入口38は、挿入部32の先端の挿入部先端32aに形成された処置具導出口に処置具挿通管路を介して連通している。処置具挿通孔38からステント留置装置11が挿入されて挿入部先端32aの処置具導出口からステント留置装置11の挿入部12の挿入部先端12aが導出される。なお、挿入部先端32aには、処置具導出口以外に超音波振動子が内蔵されている。
【0026】
ステント留置装置11は、超音波内視鏡31の処置具挿入口38に装着固定されるハンドル部13と、ハンドル部13の先端に接続された図示してない挿入部12から構成されている。ハンドル部13は、詳細は後述するが超音波内視鏡31の処置具挿入口38に挿着されるハンドル部本体14、ハンドル部14の内周に進退自在に遊嵌されたプッシャーチューブ16をスライドさせるプッシャーチューブスライダ15、プッシャーチューブスライダ15からプッシャーチューブ16の内周に進退自在に遊嵌されたガイドチューブの基端に設けられたガイドチューブスライダ18、及びガイドチューブスライダ18からガイドチューブの内周に進退自在に遊嵌された針管の基端に設けられた針管ツマミ20から概略構成されている。挿入部12は、詳細は後述するが、針管、ガイドチューブ、プッシャーチューブ、及びガイドチューブの先端側に挿着されたステントから構成されている。
【0027】
ステント留置装置11の挿入部12の挿入部先端12aは、超音波内視鏡31の挿入部32の挿入部先端32aの処置具導出口から体腔内の目的部位に導出されて、針管にて形成した穿刺針孔にステントを留置させる。
【0028】
本発明の実施形態のステント留置装置11の詳細構成について、図1と図2を用いて説明する。図1は本発明の実施形態のステント留置装置の外観構成を示す平面図、図2は本発明の実施形態のステント留置装置の内部構成を示す縦断面図である。
【0029】
本発明の実施形態のステント留置装置11は、挿入部12とハンドル部13からなっている。挿入部12は、ハンドル部本体14の内周から進退自在に挿着されたプッシャーチューブ16、プッシャーチューブ16の内周に進退自在に挿着されたガイドチューブ17、ガイドチューブ17の内周に進退自在に挿着された針管19、及びプッシャーチューブ16の先端に位置し、ガイドチューブ17の先端側の外周に進退自在に挿着されたステント22からなっている。
【0030】
ハンドル部13は、超音波内視鏡31の処置具挿入口38に先端が装着固定される円筒形状のハンドル部本体14、ハンドル部本体14の内周を軸方向に進退自在に挿通されたプッシャーチューブ16の基端が固定された円筒形状のプッシャーチューブスライダ15、プッシャーチューブスライダ15の内周からプッシャーチューブ16の内周に進退自在に挿通されたガイドチューブ17の基端が固定された円筒形状のガイドスチューブスライダ18、及びガイドチューブスライダ18の内周からガイドチューブ17の内周に進退自在に挿通された針管19の基端が固定された針管ツマミ20から構成されている。
【0031】
プッシャーチューブスライダ15は、ハンドル部本体14に対してスライド操作するとプッシャーチューブ16が進退スライドすると共にガイドチューブ17に対して進退スライドする。
【0032】
ガイドチューブスライダ18は、プッシャーチューブスライダ15に対してスライド操作するとプッシャーチューブ16内をガイドチューブ17が進退スライドする。また、針管ツマミ20は、ガイドチューブスライダ18に対してスライド操作すると、ガイドチューブ17内を針管19が進退スライドする。ハンドル部本体14の後端側には、ハンドル部本体14に対するプッシャーチューブ16の進退スライドを停止固定するための固定ネジ14aが設けられている。
【0033】
なお、図1に示すように、ハンドル部本体14の先端には、超音波内視鏡31の操作部33の処置具挿入口35にハンドル部本体14を取り付けて固定する接続部14bが設けられている。また、プッシャーチューブ16の外周面には、プッシャーチューブ16を進退させてガイドチューブ17の先端に挿着されているステント22をガイドチューブ17の先端から脱着する位置、すなわち、生体組織への留置位置を示すステント留置位置表示16aが設けられている。
【0034】
本発明のステント留置装置11は、針管ツマミ20をガイドチューブスライダ18に対して進退操作すると、針管19の先端がガイドチューブ17の先端からガイドチューブ17の軸方向先方に突出進退される。針管ツマミ20がガイドチューブスライダ18に固定されると針管19の先端がガイドチューブ17の先端から所定量突出された状態が維持される。
【0035】
ガイドチューブスライダ18は、プッシャーチューブスライダ15に対して進退操作すると、プッシャーチューブ16の先端からガイドチューブ17の先端が進退する。ガイドチューブスライダ18がプッシャーチューブスライダ15に固定されるとガイドチューブ17の先端がプッシャーチューブ16の先端から所定量突出された状態が維持される。プッシャーチューブ16の先端から突出したガイドチューブ17の先端側には、ステント22が進退自在に挿着されると共に、後述する係止手段にて係止される。
【0036】
プッシャーチューブスライダ15は、ハンドル部本体14に対して進退操作すると、プッシャーチューブ16が進退スライドする。また、プッシャーチューブスライダ15をガイドチューブ17に対して進退操作すると、プッシャーチューブ16によりガイドチューブ17の先端側に挿着されているステント22を押し出す。ハンドル部本体14の固定ネジ14aは、プッシャチューブ16の進退スライドの操作を停止固定される。
【0037】
つまり、挿入部12の挿入部先端12aは、進退スライドするプッシャーチューブ16、プッシャーチューブ16の先端から進退突出するステント22が挿着されたガイドチューブ17の先端、ガイドチューブ17の先端から進退突出する針管19の先端から構成される。
【0038】
なお、針管19は、尖鋭に形成された針管先端を有し、尖鋭な針管先端を生体組織に穿刺して穿刺孔を形成する針管、あるいは、針管先端に電極を有し、電極にラジオ波電流を供給させて、ラジオ波電流により生体組織に穿刺孔を形成させるラジオ波針管等が用いられる。
【0039】
このような構成の本発明のステント留置装置11は、挿入部先端12aに挿着されるステント22が生体組織内、及び超音波内視鏡31の処置具挿通管路内でのステント留置位置の調整のための進退操作が可能とするものである。以下、本発明のステント留置装置11の挿入部先端12aの構成について、図3乃至図7を用いて説明する。
【0040】
図3は本発明の第1の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aの構成を示す縦断面図、図4は本発明の第2の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aの構成を示す縦断面図、図5は本発明の第3の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aの構成を示す縦断面図、図6は本発明の第4の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aの構成を示す縦断面図、図7は本発明の第5の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aの構成を示す縦断面図である。
【0041】
最初に、本発明の第1の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aについて図3を用いて説明する。
【0042】
本発明の第1の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aは、針管19の先端側の一部を軸方向に湾曲させて形成した針管湾曲部19aが設けられている。針管19は、軟性部材にて形成されているガイドチューブ17に挿入されると針管湾曲部19aにてガイドチューブ17を湾曲変形される。すなわち、針管19をガイドチューブスライダ18からガイドチューブ17に挿入して、針管ツマミ20をガイドチューブスライダ18に固定した針管19の先端がガイドチューブ17の先端から所定量突出された状態において、ガイドチューブ17の先端側に針管湾曲部19aによって変形湾曲されたチューブ湾曲部17aが形成される。
【0043】
なお、針管湾曲部19aによりガイドチューブ17に形成されるチューブ湾曲部17aは、ステント22の内径よりも大きい外径とする。ただし、チューブ湾曲部17aの外径は、ステント22をガイドチューブ17から押し出す際に、チューブ湾曲部17aにてステント22の内径が拡径されて押し出し可能な大きさとする。
【0044】
針管湾曲部19aにて形成されたガイドチューブ17の先端側のチューブ湾曲部17aとガイドチューブ17に遊嵌されているプッシャーチューブ16の先端との間に ステント22を挿着する。つまり、ステント22は、ガイドチューブ17のチューブ湾曲部17aとプッシャーチューブ16の先端との間に係止される。これにより、ガイドチューブ17の先端からのステント22の脱落が防止できる。
【0045】
このような構成のステント留置装置11の生体組織へ留置操作について説明する。ステント留置装置11の挿入部12の挿入部先端12aは、針管19の先端をガイドチューブ17の先端から突出させ、かつ、ガイドチューブ17の先端側に針管19の針管湾曲部19aにて形成されたチューブ湾曲部17aとプッシャーチューブ16の先端との間のガイドチューブ17の外周にステント22を挿着して係止させた状態とする。この状態のステント留置装置11の挿入部12は、超音波内視鏡の処置具挿通管路から体腔内の生体組織へと挿入される。
【0046】
ステント留置装置11の挿入部12は、例えば、超音波内視鏡による胃壁の外側に位置する膵嚢胞の超音波断層画像の基で、ハンドル部本体14を進退操作させて、針管19の針先にて胃壁から膵臓へと穿刺針孔を形成させると共に、穿刺針孔にガイドチューブ17とガイドチューブ17の外周に挿着して係止されたステント22を穿刺する操作を行う。
【0047】
針管19にて生成された穿刺針孔にガイドチューブ17とステント22の穿刺操作において、ステント22を膵嚢胞の所望の位置よりも深く穿刺した場合には、ハンドル部本体14を引き抜き操作すると、ステント22は、ガイドチューブ17のチューブ湾曲部17aに係止されているために膵嚢胞から引き抜く方向に移動できる。つまり、生体組織へのステント22の留置位置調整が可能となる。
【0048】
次に、膵嚢胞の所定の位置に穿刺されたステント22を留置する操作について説明する。ハンドル部12の針管ツマミ20とガイドチューブスライダ18との固定を解除して、針管ツマミ20をガイドチューブスライダ18から引き抜く方向に牽引する。針管ツマミ20のガイドチューブスライダ18からの引き抜き牽引によりガイドチューブ17から針管19が引き抜き牽引される。針管19の引き抜き牽引により針管湾曲部19aによりチューブ湾曲部17aがガイドチューブ17のガイドチューブスライダ18側である基端側へと移動する。なお、チューブ湾曲部17aの移動中は、ステント22も湾曲変形するがプッシャーチューブ16にて後端が固定されているために位置移動は生じない。チューブ湾曲部17aが少なくともガイドチューブ17の外周に挿着されているステント22の後端であるプッシャーチューブ16の先端以降まで引き抜かれるとステント22の係止が解除される。
【0049】
針管19を引き抜いた後に、ハンドル部本体14の固定ネジ14aを弛めてハンドル部本体14に対してプッシャーチューブスライダ15を押し込むように操作してプッシャーチューブ16をガイドチューブ17に対してスライドさせる。プッシャーチューブ16のスライドにより、プッシャーチューブ16の先端に位置するステント22がガイドチューブ17の先端から押し出される。ステント22は、ガイドチューブ17のチューブ湾曲部17aによる係止が外れているために膵嚢胞の所定の位置に留置される。
【0050】
あるいは、針管19を引き抜き針管湾曲部19aにて形成されたチューブ湾曲部17aによるステント22の係止が解除され、かつ、プッシャーチューブ16の先端にステント22の後端を係止させている状態で、針管ツマミ20とガイドチューブスライダ18とを共にプッシャーチューブスライダ15から引き抜きスライドさせる。針管ツマミ20とガイドチューブスライダ18を引き抜きスライドするとガイドチューブ17と針管19がステント22から引き抜かれる。これにより、ステント22は、所望の位置に留置される。
【0051】
すなわち、本発明の第1の実施形態のステント留置装置11は、ステント22を軸方向に進退自在に挿着されて保持するガイドチューブ15からなる保持手段と、ステント22がガイドチューブに保持された際に、ステント22の摺動を係止させる針管湾曲部19aにて形成されるチューブ湾曲部17aからなる係止手段と、ステント22の係止位置から係止解除位置まで係止手段である針管湾曲部19aによるチューブ湾曲部17aを移動させるプッシャーチューブ16からなる移動手段と、移動手段のプッシャーチューブ16を手元側にて操作するプッシャーチューブスライダ15を有するハンドル部13である操作手段とから構成されている。
【0052】
本発明の第1の実施形態のステント留置装置11は、生体組織の所望の位置よりも深い位置にステント22を穿刺した際に、針管19の針管湾曲部19aにて形成されたガイドチューブ17のチューブ湾曲部17aとプッシャーチューブ16の先端との間にステント22を係止させて固定しているために、生体組織内にてステント22の進退調整が可能となる。また、ステント22を所望の位置に留置させる際に、プッシャーチューブ16にてステント22の位置を固定した状態でガイドチューブ17と針管19の引き抜くことができ、ガイドチューブ17の先端側からステント22を留置位置に留置させることができる。
【0053】
また、ステント留置装置11を超音波内視鏡装置の挿入部の処置具挿通管路に挿入途中で引き抜く際も、ステント22は、針管19の湾曲部19aにて形成されるチューブ湾曲部17aにて係止されているので処置具挿通管路に放置することなく引き抜きが可能となる。
【0054】
次に、本発明の第2の実施形態のステント留置装置について図4を用いて説明する。なお、図1乃至図3と同じ部分は、同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0055】
本発明の第2の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aは、前述した第1の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aとは、ガイドチューブ17の先端側の形状に相違がある。
【0056】
第2の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aは、図4に示すように、ガイドチューブ17の先端側の外側の円周に凸状部17bが設けられている。この凸状部17bは、ガイドチューブ17の先端側の外周に進退自在に挿着されるステント22の内径よりも大きい外径に形成されている。更に、凸状部17bは、ガイドチューブ17に挿着されるステント22の先端を係止するガイドチューブ17の先端側位置に設けられている。つまり、凸状部17bは、ガイドチューブ17と同じ軟性部材にて形成され、ガイドチューブ17に挿着されるステント22の先端を係止するように形成される。
【0057】
このような構成のステント留置装置11は、図4に示すように、ステント22をガイドチューブ17の先端側に挿着して、凸状部17bとプッシャーチャープ16の先端との間に係止させる。針管19にて生体組織に穿設した穿刺針孔に、ガイドチューブ17、ステント22を穿刺する。
【0058】
生体組織に穿刺されたステント22の位置を調整する際には、ステント22をガイドチューブ17の凸状部17bとプッシャーチューブ16の先端にて係止した状態で行えるために、ステント22の生体組織への留置位置調整が可能となる。
【0059】
ステント22が目的部位の位置まで刺し入れられると、針管19をガイドチューブ17から引き抜き、更にプッシャーチューブ16をスライドさせてステント22をガイドチューブ17の先端側に押し出し操作すると、針管19が引き抜かれたガイドチューブ17の凸状部17bとステント22とが変形されてステント22が凸状部17bを乗り越えてガイドチューブ15の先端から押し出されて生体組織に留置される。
【0060】
または、針管19を引き抜いた後に、プッシャーチューブ16の位置を固定した状態で、ガイドチューブ17を引き抜くと、ガイドチャーブ17の凸状部17bとステント22が変形してガイドチューブ17がステント22から引き抜かれる。
【0061】
すなわち、第2の実施形態のステント留置装置11は、ステント22を軸方向に進退自在に挿着されて保持するガイドチューブ17からなる保持手段と、ステント22がガイドチューブ17に保持された際に、ステント22を係止させるガイドチューブ17に設けられた凸状部17bからなる固定手段と、ステント22の係止解除位置まで移動操作するプッシャーチューブ16からなる移動手段と、移動手段のプッシャーチューブ16を操作するプッシャーチューブスライダ15を有するハンドル部13である操作手段から構成されている。
【0062】
本発明の第2の実施形態のステント留置装置11は、前述した第1の実施形態と同じに、生体組織内にてステント22の進退調整が可能となる。また、ステント22を所望の位置に留置させる際に、ガイドチューブ17の凸状部17bは、プッシャーチューブ16からステント22に与える押し出し力により変形させることで留置できる。また、ステント留置装置11を超音波内視鏡装置の挿入部の処置具挿通管路に挿入途中で引き抜く際も、ステント22は、ガイドチューブ17の凸状部17bにて係止されているので処置具挿通管路に放置することなく引き抜きが可能となる。
【0063】
次に、本発明の第3の実施形態のステント留置装置について、図5を用いて説明する。なお、図1乃至図3と同じ部分は、同一符号を付して詳細説明は省略する。また、挿入部先端12aは、中心軸から見て対称であるために、図5は中心軸から1方の半径側のみ表示している。
【0064】
本発明の第3の実施形態のステント留置装置11は、前述した第1の実施形態のステント留置装置11とは、ガイドチューブ17の先端側の構成が相違する。第3の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aは、図5に示すように、ガイドチューブ17の先端側のステント22の装着部分に外径が異なる段差装着部17sを形状している。
【0065】
段差装着部17sは、ガイドチューブ17の先端側の外周にステント22の内径と略同等か同等以下のステント22が進退自在に挿着される外径φm1に形成された小径部17mと、小径部17mよりも大きく、かつ、ステント22の内径よりも大きい外径φl1(φm1<φl1)に形成された大径部17lと、小径部17mと大径部17lとの間に形成された段差部17nとからなる。なお、大径部17lは、少なくともステント22の後端側からステント22の全長の長さの略半分位の長さl1が係止されるように形成する。 すなわち、ガイドチューブ17の先端から装着されるステント22は、小径部17mから段差部17nを経て大径部17lへと挿着される。ステント22は、樹脂等の弾性部材にて形成されているために、大径部17lに挿着される際にステント22の内径が広げられて大径部17lに密着されて挿着される。
【0066】
これにより、ステント22は、ステント22の内周とガイドチューブ17の段差装着部17sの大径部17lの外径とが密着している力以上の力が加わらない限りガイドチューブ17に係止される。
【0067】
このような構成のステント留置装置11は、図5に示すように、ステント22をガイドチューブ17の段差装着部17sに挿着して係止させ、かつ、プッシャーチューブ16の先端をステント22の後端に位置させた状態で、針管19にて生体組織に穿設した穿刺針孔に、ガイドチューブ17、ステント22を穿刺する。
【0068】
生体組織に穿刺したステント22の位置を調整する際には、ステント22をガイドチューブ17の段差装着部17sの小径部17mと大径部17lにて係止した状態で行えるために、ステント22の生体組織での留置位置調整が可能となる。
【0069】
ステント22が目的部位の位置まで穿刺されると、針管19をガイドチューブ17から引き抜いた後、プッシャーチューブ16をスライド操作してステント22の後端からガイドチューブ17をガイドチューブ17の先端へと押し出し力を与える。これにより、ステント22は、ガイドチューブ17の大径部17lから段部17nを経て小径部17mと移動してガイドチューブ17の先端から生体組織に留置される。
【0070】
または、プッシャーチューブ16にてステント22の位置を固定した状態で、ガイドチューブ17と針管19を引き抜くと、ガイドチューブ17の大径部17lからステント22が引き抜かれ、かつ、ガイドチューブ17の小径部17mと先端が引き抜かれてステント22が生体組織に留置させる。
【0071】
すなわち、第3の実施形態のステント留置装置11は、ステント22を軸方向に進退自在に挿着されて保持するガイドチューブ17からなる保持手段と、ステント22がガイドチューブ17に保持された際に、ステント22の係止させる大径部17lと段差部17nの段差装着部17sからなる固定手段と、ステント22の係止位置から係止解除位置へと移動させるプッシャーチューブ16からなる移動手段と、移動手段であるプッシャーチューブ16を進退操作するプッシャーチューブスライダ15を有するハンドル部13である操作手段とから構成されている。
【0072】
本発明の第3の実施形態のステント留置装置11は、前述した第1の実施形態と同じに、生体組織内にてステント22の進退調整が可能となる。また、ステント22を所望の位置に留置させる際に、ガイドチューブ17の段差装着部17sの大径部17lからプッシャーチューブ16による押し出し操作で留置できる。また、ステント留置装置11を超音波内視鏡装置の挿入部の処置具挿通管路に挿入途中で引き抜く際も、ステント22は、ガイドチューブ17の大径部17lにて係止されているので処置具挿通管路に放置することなく引き抜きが可能となる。
【0073】
次に、本発明の第4の実施形態のステント留置装置について、図6を用いて説明する。なお、図1乃至図3と同じ部分は、同一符号を付して詳細説明は省略する。また、挿入部先端12aは、中心軸から見て対称であるために、図6は中心軸から1方の半径側のみ表示している。
【0074】
本発明の第4の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aは、前述した第1の実施形態とは、ガイドチューブ17の先端側の構成が相違する。第4の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aは、図6に示すように、ガイドチューブ17の先端側にステント22が装着されるテーパー装着部17tが設けられている。
【0075】
ガイドチューブ17のテーパー挿着部17tは、ステント22の先端側が位置する部分に、ステント22の内径と略同等か同等以下のステント22が進退自在に挿着される外径φm2に形成された小径部17m’と、ステント22の後端側が位置する部分に、先端側の側の小径部17m’の外径φm2よりも大きく、かつ、ステント22の内径よりも大きい外径φl2(φm2<φl2)に形成された大径部17l’からなる。つまり、ガイドチューブ17の先端側のテーパー装着部17tは、大径部17l’の外径φl2から小径部17m’の小径φm2へのテーパ形状に形成されている。なお、大径部17l’は、少なくともステント22の後端側からステント22の全長の長さの略半分位の長さl2が係止されるように形成する。
【0076】
ガイドチューブ17の先端側から装着されたステント22は、ガイドチューブ17の先端のテーパ装着部17tの小径部17m’から大径部17l’へと挿着される。ステント22は、テーパ装着部17tの大径部17l’に挿着される際にステント22の内径が広げられて密着挿着される。
【0077】
これにより、ステント22は、ステント22の内周とガイドチューブ17のテーパ装着部17tの大径部17l’とが密着して挿着している力以上の力が加わらない限りガイドチューブ17に係止される。
【0078】
このような構成のステント留置装置11は、図6に示すように、ステント22をガイドチューブ17のテーパ挿着部17tに挿着して大径部17l’にて係止させた状態で、針管19にて生体組織に穿設した穿刺針孔に、ガイドチューブ17、ステント22を穿刺する。
【0079】
生体組織に穿刺したステント22の位置を調整する際には、ステント22をガイドチューブ17のテーパ装着部17tの大径部17l’にて係止した状態で行えるために、ステント22の生体組織への留置位置調整が可能となる。
【0080】
ステント22が目的部位の位置まで穿刺されると、針管19をガイドチューブ17から引き抜いた後、プッシャーチューブ16をスライド操作してステント22の後端からステント22をガイドチューブ17の先端へと押し出す力を与える。これにより、ステント22は、ガイドチューブ17のテーパ装着部17tの大径部17l’から小径部17m’へと移動してガイドチューブ17の先端から生体組織に留置される。
【0081】
または、プッシャーチューブ16にてステント22の位置を固定した状態で、ガイドチューブ17と針管19を引き抜くと、ガイドチューブ17のテーパ装着部17tの大径部17l’からステント22が引き抜かれ、かつ、ガイドチューブ17の小径部17m’から先端へと引き抜かれてステント22が生体組織に留置させる。
【0082】
すなわち、第4の実施形態のステント留置装置11は、ステント22を軸方向に進退自在に挿着されて保持するガイドチューブ17からなる保持手段と、ステント22がガイドチューブ17に保持された際に、ステント22を係止させるテーパ部17tからなる固定手段と、ステント22の係止位置から係止解除位置まで移動させるプッシャーチャープ16からなる移動手段と、移動手段であるプッシャーチューブ16を進退操作するプッシャーチューブスライダ15を有するハンドル部13である操作手段とから構成されている。
【0083】
本発明の第4の実施形態のステント留置装置11は、前述した第1の実施形態と同じに、生体組織内にてステント22の進退調整が可能となる。また、ステント22を所望の位置に留置させる際に、ガイドチューブ17のテーパ装着部17tの大径部17l’からプッシャーチューブ20による押し出し操作で留置できる。また、ステント留置装置11を超音波内視鏡装置の挿入部の処置具挿通管路に挿入途中で引き抜く際も、ステント22は、ガイドチューブ17のテーパ挿着部17tにて係止されているので処置具挿通管路に放置することなく引き抜きが可能となる。
【0084】
なお、前述した図5と図6を用いて説明した本発明の第3と第4の実施形態のステント留置装置11のガイドチューブ17の先端は、段差装着部17sの小径部17m、または、テーパ装着部17tの小径部17m’がガイドチューブ17の先端側となるように形成し、段差装着部17sの大径部17l、または、テーパ装着部17tの大径部17l’がガイドチューブの基端側になるように形成した。しかし、実施形態と逆に、ガイドチューブ17の先端側に段差装着部17sの大径部17l、またはテーパ装着部17tの大径部17l’として、ガイドチューブ17の後端側に段差装着部17sの小径部17m、またはテーパ装着部17tの小径部17m’としても良い。
【0085】
すなわち、ガイドチューブ17の先端側に挿着されるステント22がガイドチューブ17の外径により拡径されてステント22の弾性力によりガイドチューブ17の外側に比較的強固に係止されればよい。
【0086】
次に、本発明の第5の実施形態のステント留置装置について、図7を用いて説明する。なお、図1乃至図3と同じ部分は、同一符号を付して詳細説明は省略する。また、挿入部先端12aは、中心軸から見て対称であるために、図7は中心軸から1方の半径側のみ表示している。
【0087】
本発明の第5の実施形態のステント留置装置11は、前述した第1の実施形態のステント留置装置11とは、挿入部先端12aのガイドチューブ17が相違している。
【0088】
第5の実施形態のステント留置装置11の挿入部先端12aは、図7に示すように、ガイドチューブ17の先端側のステント22が挿着される部分の外側が粗面加工された粗面部17uが設けられている。
【0089】
ガイドチューブ17のステント22が挿着される部分の粗面部17uは、ステント22の挿着された際に、ステント22の後端側の内径と接触する部分に梨地加工等による粗面化して、ステント22のガイドチューブ17との進退スライドがしにくい状態、あるいは、ステント22の内周面との摩擦抵抗を大きくして所定以上の進退スライド力が加わらない限りステント22が進退スライドできないよう状態とする。
【0090】
これにより、ガイドチューブ17の粗面部17uに挿着されたステント22は、ステント22の内周面が粗面部17uと接触して係止される。
【0091】
このような構成のステント留置装置11は、図7に示すように、ステント22をガイドチューブ17の粗面部17uに挿着して係止させた状態で、針管19にて生体組織に穿設した穿刺針孔に、ガイドチューブ17、ステント22を穿刺する。
【0092】
生体組織に穿刺されたステント22の位置を調整する際には、ステント22をガイドチューブ17の粗面部17uにて係止した状態で行えるために、ステント22の生体組織への留置位置調整が可能となる。
【0093】
ステント22が目的部位の位置まで穿刺されると、針管19をガイドチューブ17から引き抜いた後、プッシャーチューブ16をスライド操作してステント22の後端からステント22をガイドチューブ17の先端へと押し出す力を与える。これにより、ステント22は、ガイドチューブ17の粗面部17uから移動してガイドチューブ17の先端から生体組織に留置される。
【0094】
または、プッシャーチューブ16にてステント22の位置を固定した状態で、ガイドチューブ17と針管19を引き抜くと、ガイドチューブ17の粗面部17uからステント22が引き抜かれ、かつ、ガイドチューブ17の先端からステント22が生体組織に留置させる。
【0095】
すなわち、第5の実施形態のステント留置装置11は、ステント22を軸方向に進退自在に挿着されて保持するガイドチューブ17からなる保持手段と、ステント22がガイドチューブ17に保持された際に、ステント22を係止させる粗面部17uからなる固定手段と、ステント22の係止位置から係止解除位置まで移動させるプッシャーチューブ16からなる移動手段と、移動手段であるプッシャーチューブ16を進退操作するプッシャーチューブスライダ15を有するハンドル部13である操作手段とから構成されている。
【0096】
本発明の第5の実施形態のステント留置装置11は、前述した第1の実施形態と同じに、生体組織内にてステント22の進退調整が可能となる。また、ステント22を所望の位置に留置させる際に、ガイドチューブ17の粗面部17uからプッシャーチューブ16による押し出し操作で留置できる。また、ステント留置装置11を超音波内視鏡装置の挿入部の処置具挿通管路に挿入途中で引き抜く際も、ステント22は、ガイドチューブ17の粗面部17uにて係止されているので処置具挿通管路に放置することなく引き抜きが可能となる。
【0097】
一方、本発明のステント留置装置11は、図1を用いて説明したように、ハンドル部13のプッシャーチューブスライダ15に基端が固定されたプッシャーチューブ16には、ハンドル部本体14に対してプッシャーチューブスライダ15を操作してプッシャーチューブ16をスライドさせて、ガイドチューブ17の先端からステント22が押し出して留置する位置を示すステント留置位置表示16aが設けられている。
【0098】
すなわち、図8に示すように、プッシャーチューブスライダ15をハンドル部本体14に対してスライド操作して、プッシャーチューブ16のステント留置位置表示16aがハンドル部本体14の基端に位置するまで押し込みスライドすると、ガイドチューブ17の先端側に挿着されていたステント22が挿入部12のガイドチューブ17の先端から放置されて生体組織に留置される。これにより、術者は、挿入部12の先端からステント22が放置される位置までのハンドル部12のプッシャーチューブ16のスライド操作の確認が容易なる。
【0099】
なお、プッシャーチューブ16の位置を固定した状態でガイドチューブ17と針管19を引き抜き操作する場合は、図示してないが、ガイドチューブ17にステント22から引き抜かれる位置にプッシャーチューブスライダ15の基端位置との引き抜き関係位置を示すステント留置位置表示を設けることにより術者によるスライド操作の確認が容易となる。
【0100】
また、上記の本発明の実施形態の説明において、針管19の鋭利な針先にて生体組織に穿刺針孔を形成するとしているが、針先に電極が設けられた電極針を用いて、電極に供給したラジオ波電流にて生体組織に穿刺針孔を生成させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態のステント留置装置の外観構成を示す平面図。
【図2】本発明の実施形態のステント留置装置の内部構成を示す縦断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態のステント留置装置の挿入部先端の構成を示す縦断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態のステント留置装置の挿入部先端の構成を示す縦断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態のステント留置装置の挿入部先端の構成を示す縦断面図。
【図6】本発明の第4の実施形態のステント留置装置の挿入部先端の構成を示す縦断面図。
【図7】本発明の第5の実施形態のステント留置装置の挿入部先端の構成を示す縦断面図。
【図8】本発明の実施形態のステント留置装置によるステント留置操作を説明する説明図。
【図9】本発明の実施形態のステント留置装置の超音波内視鏡装置を用いた使用状態を説明する説明図。
【符号の説明】
【0102】
11 ステント留置装置
12 挿入部
13 ハンドル部
14 ハンドル部本体
15 プッシャーチューブスライダ
16 プッシャーチューブ
17 ガイドチューブ
18 ガイドチューブスライダ
19 針管
20 針管ツマミ
22 ステント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内組織に形成された穿刺孔に留置するステントを挿入軸方向に摺動自在に保持する保持手段と、
前記保持手段に摺動自在に保持された前記ステントの摺動を係止させる前記保持手段に設けられた係止手段と、
前記保持手段に摺動自在に保持されて前記係止手段により係止されている前記ステントを係止解除位置まで挿入軸方向に移動させる移動手段と、
前記移動手段を手元側にて操作する操作手段と、
を具備することを特徴としたステント留置装置。
【請求項2】
体腔内に挿入されて、体腔内臓器に穿刺孔を形成する穿刺針具と、
前記穿刺針具にて形成された穿刺孔に装着されて留置するステントと、
前記ステントが挿入軸方向に摺動自在に保持する保持手段と、
前記保持手段に摺動自在に保持された前記ステントの摺動を係止させる前記保持手段に設けられた係止手段と、
前記保持手段に摺動自在に保持されて前記係止手段により係止されている前記ステントを係止解除位置まで挿入軸方向に移動させる移動手段と、
前記移動手段を手元側にて操作する操作手段と、
を具備することを特徴としたステント留置装置。
【請求項3】
前記係止手段は、前記保持手段に摺動自在に保持された前記ステントの内周面と摺動係合する係合部からなることを特徴とした請求項1または2のいずれかに記載のステント留置装置。
【請求項4】
前記係止手段は、前記保持手段に摺動自在に保持された前記ステントの先端側に形成され、前記ステントの内径よりも大きく湾曲した湾曲部であることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載のステント留置装置。
【請求項5】
前記係止手段は、前記保持手段に摺動自在に保持された前記ステントの先端側に形成され、前記ステントの内径よりも大きい外径の凸状部であることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載のステント留置装置。
【請求項6】
前記係止手段は、前記保持手段の摺動自在に保持された前記ステントの摺動範囲の先端側と後端側とで異なる外径とし、外径の異なる位置に段差部を有していることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載のステント留置装置。
【請求項7】
前記係止手段は、前記保持手段の摺動自在に保持された前記ステントの摺動範囲の先端側と後端側とで異なる外径のテーパー部であることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載のステント留置装置。
【請求項8】
前記係止手段は、前記保持手段に設けられる前記ステントの摺動範囲の先端側の外径が前記ステントの内径と略同等以下で、後端側の外径が前記ステントの内径よりも大きいことを特徴とした請求項6または7のいずれかに記載のステント留置装置。
【請求項9】
前記係止手段は、前記保持手段に設けられる前記ステントの摺動範囲の先端側の外径が前記ステントの内径よりも大きく、後端側の外径が前記ステントの内径と略同等以下であることを特徴とした請求項6または7のいずれかに記載のステント留置装置。
【請求項10】
前記係止手段は、前記保持手段の摺動自在に保持された前記ステントの摺動範囲の前記ステントの係止位置に粗面加工された粗面部であることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載のステント留置装置。
【請求項11】
前記移動手段は、前記保持手段の前記係止手段により係止されている前記ステントを係止解除位置まで挿入軸方向に移動させるプッシャーチューブであることを特徴とした請求項1乃至10のいずれかに記載のステント留置装置。
【請求項12】
前記操作手段は、前記移動手段であるプッシャーチューブの基端に設けられたプッシャースライダを有するハンドル部であることを特徴とした請求項1乃至11のいずれかに記載のステント留置装置。
【請求項13】
前記操作手段は、前記移動手段を操作して前記ステントが前記保持手段を摺動して留置されるステント留置位置を示す表示部を有していることを特徴とした請求項1乃至12のいずれかに記載のステント留置装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−304994(P2006−304994A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130230(P2005−130230)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】