説明

ステント

【課題】ステント軸方向の延伸性を制限することにより、ステント半径方向への収縮性を低く抑えると共に、ステント半径方向への拡張力を高く維持することが可能なステントを提供する。
【解決手段】人体の血管等の管腔内に留置して使用される略管状体に形成されたステント10であって、ステント軸に対して45度以下の鋭角に配線された横方向の第1ワイヤ群21と前記第1ワイヤ群21と交差する縦方向の第2ワイヤ群22によって網目状に形成され、前記第1ワイヤ群21と前記第2ワイヤ群22が織り成す四角形の網目形状が、ステント軸41の断面方向に対して非対称であり、当該ステント10の一方の端の周縁12における第1端部14と、ステント軸41に対して前記第1端部14の対称位置にある他方の端の周縁13における第2端部15とが、ステント軸41方向に相反方向に伸延した形状を成す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の管腔内に留置して管腔内の閉塞や管腔の破損を防止するためのステントに関する。
【背景技術】
【0002】
脳血管障害の中でも急性的に突然発症する脳卒中は、脳血管の閉塞や脳血管からの出血を主な原因として発症する。
【0003】
その中でも脳血管の閉塞により起こる脳卒中は、脳の動脈に塞栓(血栓のほか、脂肪塞栓、腫瘍塞栓等)が入り込み、動脈を狭窄させて血流を遮断し、脳虚血を引き起こした際に生じる疾患で、脳梗塞と呼ばれる。脳への血流が塞栓により遮断されると、脳細胞は酸素と栄養の補給が絶たれ、短時間のうちに壊死へ向かう。このため、脳梗塞の発症初期の段階においては、正常な血流を迅速に確保することが重要である。早期に正常な血流が確保されなければ、脳組織がその部位の機能を失い、患者の生命も脅かされる危険性が高くなる。
【0004】
一方、脳血管からの出血により起こる脳卒中は、出血した場所によって脳出血とクモ膜下出血とに分けられる。その中でもクモ膜下出血は脳動脈壁にできた脳動脈瘤の破裂が起因となる場合がほとんどである。動脈瘤は血管壁が中膜を欠いているために破裂しやすく、また、クモ膜下出血は一度起こると再発しやすい特徴があるため、未破裂の動脈瘤が見つかった場合は破裂を防ぐ処置を行うか否か慎重な判断が必要となる。
【0005】
これまで、上記のように脳血管の閉塞の治療や脳血管にできた動脈瘤の処置を行う必要がある場合は、開頭や頸部切開により脳血管を直接手術する方法が多く採られてきた。その一方で、近年では、血管内治療技術の進歩により患者の身体的負担の少ない非侵襲的手法が注目を浴びている。ステント留置術は、このような手法の中でもよく知られるものの一つである。
【0006】
ステント留置術とは、ステントと呼ばれる微細な筒を血管等の管腔内に留置して、狭窄した部位を広げたり、動脈瘤の破裂を予防したりする手法である。一般的にステント留置術は、局所麻酔下に足の付け根の血管(大腿動脈)等からカテーテルを挿入し、これを通じて動脈瘤や狭窄が生じた病変部へステントを搬送して留置する。
【0007】
図10に、従来のステント留置術で用いられるステントの一例を示す。従来のステント100は、通常、図10(a)に示すように金属製のワイヤを編んで筒状にし、適度な大きさにカットすることにより形成される。そして、必要に応じてその周面に樹脂コーティング等がなされている。
【0008】
ステント100を構成するワイヤは、非常に細く柔軟性に富んでいると共に弾性を有するため、ステント100は容易に変形し弾性によって元に戻る。従ってステント100の中心軸に向かって外周から力を加えると、図10(b)に示すように、ステント100は縮径しながら軸方向に延伸する。従ってステント100は、ステント導入器などの搬送カテーテルに、延伸し縮径した状態で格納されて、病変部までガイドワイヤを辿って搬送される。そして病変部に達したら、ステント100は搬送カテーテルから血管内へと放出される。搬送カテーテルから放出されると、ステント100は復元力によって拡張して、病変部の血管内壁にフィットして配置される。このように血管内にステント100を留置することによって、狭窄部の拡張による血流の確保や、動脈瘤への血流の制限を行うことが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のステント100には、以下のような問題があった。
【0010】
(1)ステント100を軸方向へ大きく延伸させた状態で病変部へ搬送すると、搬送カテーテルから放出して除荷した際に軸方向への収縮も大きくなり、その変形の際の勢いで意図した病変部の位置からずれてしまうことがあった。
【0011】
(2)ステント100の軸方向への延伸性を高くすると、これに伴って半径方向への収縮性も高くなるため、配置施術後に血流などによって移動してしまう恐れがあった。
【0012】
(3)ステント100を設置した血管が収縮する場合、良好な血流を維持するには、ステント100の半径方向への拡張力(血管の収縮に対する抵抗力)が大きい必要があるが、従来のステント100ではステント軸方向への延伸性が高すぎるためにこの抵抗力が小さかった。
【0013】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、ステント軸方向の延伸性を制限することにより、ステント半径方向への収縮性を低く抑えると共に、ステント半径方向への拡張力を高く維持することが可能なステントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、人体の血管等の管腔内に留置して使用される略管状体に形成されたステントであって、ステント軸に対して45度以下の鋭角に配線された横方向の第1ワイヤ群と前記第1ワイヤ群と交差する縦方向の第2ワイヤ群によって網目状に形成され、前記第1ワイヤ群と前記第2ワイヤ群が織り成す四角形の網目形状が、ステント軸の断面方向に対して非対称であり、当該ステントの一方の端の周縁における第1端部と、ステント軸に対して前記第1端部の対称位置にある他方の端の周縁における第2端部とが、ステント軸方向に相反方向に伸延した形状を成すことを特徴とするステントを提供する。
【0015】
これにより、本発明に係るステントは、ステント軸方向の延伸性を制限すると共に、ステント半径方向への収縮性を低く抑えてステント半径方向への拡張力を高く維持することを実現したのである。
【0016】
ここで、当該ステントのステント軸方向の伸延比率は、前記第1ワイヤ群のステント軸に対する角度によって調整される。そして、前記第2ワイヤ群のステント軸に対する角度は、45度以上であるのが好適である。
【0017】
そして、前記第2ワイヤ群は、ステントの中央部の網目が両端部の網目に対して密に形成されている。これにより、ステントが配置される血管患部(例えば、動脈瘤)における血流圧を当該中央部の密の網目により受け止めるようにして、当該血管患部の破裂を防止するようにしたのである。
【0018】
また、前記第1端部と前記第2端部は、X線に対して非透過性の金属素材によるマーカーを形成するのが良い。
【0019】
さらに、前記第1端部は当該ステントを移動させるための操作ワイヤとの接続部を形成し、当該第1端部に電流を流すことによって前記操作ワイヤとの接続が開放されるのが好ましい。あるいは、当該第1端部は前記操作ワイヤの先端部とフック又は螺子によって接続され、当該フック又は螺子を外すことによって前記操作ワイヤとの接続が開放されるようにしても良い。
【0020】
前記第1ワイヤ群及び前記第2ワイヤ群は、弾性を有する複数のワイヤ素材により形成され、当該ワイヤ素材が前記ステントの前記一方の端及び/又は前記他方の端部において折曲せずにカーブ状に湾曲した状態で、前記ステント軸方向に相反方向に伸延した形状であるのが好適である。あるいは、当該ワイヤ素材が前記ステントの前記一方の端と前記他方の端において、カットされた状態で相互に溶接されているようにしても良い。
【0021】
前記ワイヤ素材は、金、プラチナ又はタングステンにより構成されるワイヤ、もしくはニッケルチタンに金又はプラチナがコーティングされた形状記憶ワイヤであるのが好適である。
【0022】
そして、前記形状記憶ワイヤには、プラス・ヘリウムイオンが注入された膠原物質が塗布されることが望ましい。これにより、血液の凝固を防止すると共に、拒絶反応作用を抑制することができるのである。
【0023】
さらに、当該ステントの外形直径が3乃至6ミリメートルに形成され、脳血管内に留置して使用されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のステントによれば、ステント軸方向の延伸性を制限することにより、ステント半径方向への収縮性を低く抑えると共に、ステント半径方向への拡張力を高く維持することができる。これにより、ステントは意図した病変部からずれることなく正しく配置され、血流の良好な維持や動脈瘤への血流の制限などを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るステントの外観の概略を示す模式図である。
【図2】図1に示すステントの概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るステントの、各ワイヤ群とステント軸との角度について説明するための模式図である。
【図4】図1に示すステントを使用する病変部の状態の一例を示す模式図である。
【図5】図1に示すステントの使用方法の一例を示す模式図(その1)である。
【図6】図1に示すステントの使用方法の一例を示す模式図(その2)である。
【図7】図1に示すステントを脳動脈瘤に適用する場合の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るステントの外観の概略を示す模式図(その1)である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るステントの外観の概略を示す模式図(その2)である。
【図10】従来のステント留置術で用いられるステントの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るステントの外観の概略を示す模式図であり、図1(a)はその正面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。また、図2は、図1に示すステントの概略斜視図である。
【0028】
これらの図に示すように、本発明のステント10は、非常に細く柔軟性に富むと共に弾性を有する複数のワイヤ11を、円筒状(管状)に編むことにより構成されている。ステント10の外観は、図2に示すように斜め切りにした円筒状であり、正面からは図1(a)のように略平行四辺形状に見える。ステント10の二つの端縁12、13のうち、一方の最端部(第1の端部)14と他方の最端部(第2の端部)15とには、それぞれステント10の位置確認をするためのマーカー31が配置されている。
【0029】
ステント10を構成する複数のワイヤ11は、第1のワイヤ群21と第2のワイヤ群22とから成り、この第1のワイヤ群21と第2のワイヤ群22が互いに交差して、四角形の網目を作るように編まれることによってステント10は形成される。各ワイヤ群21、22が作るこの網目の四角形は、略平行四辺形となり、ステント10の中心軸41〔ステント軸;図1(a)参照〕の断面方向に対して非対称となっている。
【0030】
なお、ステント10を構成するワイヤ11は、金、プラチナ、タングステンから構成されるワイヤ、あるいはニッケルチタンに金又はプラチナコーティングを施した形状記憶ワイヤを用いるのが好適である。
【0031】
ところで、本ステント10を形成するワイヤ11は、形状記憶ワイヤであって、プラス・ヘリウムイオンが注入された膠原物質が塗布されることが望ましい。これにより、血液の凝固を防止すると共に、拒絶反応作用を抑制することを可能にしたのである。
【0032】
ここで、第1のワイヤ群21は、図3(a)に示すように、ステント10の中心軸41に対して角度α(第1の角度)を成している。本発明のステント10は、ステント軸方向の延伸性を制限するため、角度αを45度以下とする。従って、ここでは便宜上、第1のワイヤ群21を横方向のワイヤという。なお、このステント10の延伸比率は、角度αによって容易に調整することが可能である。例えば、角度αを45度としたときは√2以下、角度αを30度としたときは2/√3以下となる。このように、本発明では、ステント10の延伸性を制限することによりステント10の半径方向への収縮性を抑制する。ステント10の半径方向への収縮性を抑制すると、配置施術後もステント10は移動しにくくなる。
【0033】
また、第2のワイヤ群22は、図3(b)に示すように、ステント10の中心軸41に対して角度β(第2の角度)を成している。そして、本発明のステント10では、ステントの半径方向の拡張性を高めるため、角度βを45度以上とする。従って、ここでは便宜上、第2のワイヤ群22を縦方向のワイヤという。ステントの半径方向の拡張性を高めると、血管の収縮に対する抵抗力を大きくすることができる。
【0034】
なお、ステント10の二つの最端部14、15に設置されるマーカー31は、X線不透過性を有する金属素材(例えば、プラチナ、イリジウム等)から形成され、このマーカー31によりX線透視下でのステント10の位置確認が可能となる。
【0035】
以下、上記した本発明のステント10の使用方法について、その一例を説明する。ここでは、図4に示すように塞栓63による脳血管61の狭窄部62に、本ステント10を用いる場合を例にとって説明する。
【0036】
(1)バルーンによる狭窄部の拡張
まず、図5(a)に示すように、狭窄部62を超える位置までガイドワイヤ71を脳血管61内へ送る。
【0037】
そして、図5(b)に示すように、このガイドワイヤ71にバルーンカテーテル72を通して脳血管61内へ送り込み、バルーンカテーテル72のバルーン部73が狭窄部62に達する位置まで移動させる。
【0038】
次いで図5(c)に示すように、バルーンカテーテル72に空気を送り、バルーン部73を膨張させて狭窄部62を拡張する。その後、バルーンカテーテル72を取り去る。
【0039】
(2)搬送カテーテルの挿入、及びステントの放出
次に、図6(a)に示すように、ガイドワイヤ71に搬送カテーテル74を通して、拡張した狭窄部62′近傍まで送り込む。この搬送カテーテル74は、脳血管61の径よりも細く、予めステント10が挿入され格納されている。ステント10の第1の端部14は、マーカー31が設けられているほか、フックによって操作ワイヤ75と接続されている。次に、二つのマーカー31の位置からステント10の位置を確認し、狭窄部62′に対して位置決めした後、操作ワイヤ75でステント10を押さえながら搬送カテーテル74を後退させて、ステント10を放出する。
【0040】
すると、図6(b)に示すように、ステント10は脳血管61内で拡張し、狭窄部62′を覆う。そこで操作ワイヤ75を操作してフックをステント10から外し、図6(c)に示すように、そのままステント10を留置する。その後、ガイドワイヤ71、搬送カテーテル74、操作ワイヤ75は体内から引き抜く。以上により、狭窄部62の血流を確保することが可能となる。
【0041】
なお、ここでは操作ワイヤ75とステント10の第1の端部14をフックにより固定する例を示したが、フックのほか、螺子によって固定しても良い。即ち、ステント10の第1の端部14と操作ワイヤ75の先端にそれぞれ雌螺子部、雄螺子部が形成されており、ステント10から操作ワイヤ75を外すときには操作ワイヤ75を回転させる。もしくは、操作ワイヤ75の先端とステント10の第1の端部14をハンダで固定しても良い。ステント10から操作ワイヤ75を外す場合には、操作ワイヤ75に電流を流してハンダを溶解させる。
【0042】
上記では、塞栓による脳血管の狭窄部にステントを留置して血流を確保する場合の例について述べたが、本発明のステント10はこのほか、動脈瘤へ流れ込む血流を制限し、動脈瘤の破裂を防ぐためのステント留置術にも同様に適用できる。
【0043】
図7にその動脈瘤への適用例を示す。図7(a)では、脳動脈81に生じた動脈瘤82にコイル83を充填した上でステント10を図5及び図6と同様の方法で留置する。このように、動脈瘤82内にコイル83を詰めて血流を制限すると、動脈瘤82内が血栓化し、動脈瘤82の破裂を防止することができる。このとき、ステント10が動脈瘤82の入口をカバーすることにより、コイル83の移動を防いで血液の再開通などを防ぎ、確実に動脈瘤82の破裂を防止することが可能となる。
【0044】
図7(b)では、ステント10の内外面を例えば樹脂などのカバー材でコーティングした被覆ステント10Aを用いて、脳動脈81に生じた動脈瘤82への血流の制限を行っている。即ち、ステント10をコーティングして被覆ステント10Aとすることにより、ワイヤ11の網目の間から流通する血液を減少させ、コイル83を用いずとも動脈瘤82内を血栓化させて、動脈瘤82の破裂を防止することができる。
【0045】
そして、図7(b)に示すように、本ステント10においては、第2ワイヤ群22は、ステント10の中央部の網目が両端部の網目に対して密に形成されている。これにより、ステント10が配置される動脈瘤等の血管患部82における血流圧を当該中央部の密の網目において受け止めて、血管患部82の破裂を防止するようにしたのである。
【0046】
なお、上記では、ステント10を構成する複数のワイヤ11は、端縁12、13においてカーブ状に丸みを持って湾曲させてある。このように、端縁12、13でワイヤ11に丸みを持たせることによって、血管内膜を傷つける恐れを低減させている。
【0047】
一方、図8に示すように、端縁12、13においてワイヤ11を互いに溶接したステント10Bとしても良い。さらに、製造工程を簡易にするために、図9に示すように、端縁12、13をカットしただけのステント10Cとしても良い。
【0048】
なおここまでは、例としてワイヤのみで形成されたステント10、10B、10C、樹脂などでコーティングされた被覆ステント10Aについて述べたが、このほか、薬剤コーティング(DES;薬剤溶出性ステント)等を施すこともできる。DESは、ステントに細胞増殖を抑制する薬剤等を塗布したもので、体内でゆっくりと薬剤が溶出することにより、ステントの設置に対して起こる血管内膜の過剰形成を防ぎ、血管の再狭窄を有効に防止することができる。
【0049】
さらに、上記では脳血管を例にとって説明したが、ステント留置術は脳血管に限らず他の部位の血管のほか、人体の管腔全般(例えば気管、食道、十二指腸、大腸、胆道等)にも適用できる。そのため、本発明のステントも治療する部位に応じたサイズで人体の管腔全般に適用が可能である。例えば脳血管に留置して使用する場合には、ステント10の外形直径は3乃至6ミリメートル、より好適には5ミリメートル程度であるのが最適である。
【0050】
以上のように構成したことにより、本発明のステントによれば、ステント軸方向の延伸性を制限することにより、ステント半径方向への収縮性を低く抑えると共に、ステント半径方向への拡張力を高く維持することができる。これにより、ステントは意図した病変部からずれることなく正しく配置され、血流の良好な維持や動脈瘤への血流の制限などを行うことが可能となる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、人体の管腔内に留置して管腔内の閉塞や管腔の破損を防止するためのステントに関し、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0053】
10 ステント
10A 被覆ステント
10B ステント
10C ステント
11 ワイヤ
12 端縁
13 端縁
14 第1の端部
15 第2の端部
21 第1のワイヤ群
22 第2のワイヤ群
31 マーカー
41 中心軸
61 脳血管
62 狭窄部
62′ 拡張した狭窄部
63 塞栓
71 ガイドワイヤ
72 バルーンカテーテル
73 バルーン部
74 搬送カテーテル
75 操作ワイヤ
81 脳動脈
82 動脈瘤
83 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の血管等の管腔内に留置して使用される略管状体に形成されたステントであって、
ステント軸に対して45度以下の鋭角に配線された横方向の第1ワイヤ群と前記第1ワイヤ群と交差する縦方向の第2ワイヤ群によって網目状に形成され、
前記第1ワイヤ群と前記第2ワイヤ群が織り成す四角形の網目形状が、ステント軸の断面方向に対して非対称であり、
当該ステントの一方の端の周縁における第1端部と、ステント軸に対して前記第1端部の対称位置にある他方の端の周縁における第2端部とが、ステント軸方向に相反方向に伸延した形状を成すことを特徴とするステント。
【請求項2】
前記第2ワイヤ群は、ステントの中央部の網目が両端部の網目に対して密に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項3】
当該ステントのステント軸方向の伸延比率は、前記第1ワイヤ群のステント軸に対する角度によって調整されることを特徴とする請求項1又は2に記載のステント。
【請求項4】
前記第2ワイヤ群のステント軸に対する角度は、45度以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のステント。
【請求項5】
前記第1端部と前記第2端部は、X線に対して非透過性の金属素材によるマーカーを形成することを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項6】
前記第1端部は当該ステントを移動させるための操作ワイヤとの接続部を形成し、当該第1端部に電流を流すことによって前記操作ワイヤとの接続が開放されることを特徴とする請求項5に記載のステント。
【請求項7】
前記第1端部は当該ステントを移動させるための操作ワイヤとの接続部を形成し、当該第1端部は前記操作ワイヤの先端部とフック又は螺子によって接続され、当該フック又は螺子を外すことによって前記操作ワイヤとの接続が開放されることを特徴とする請求項5に記載のステント。
【請求項8】
前記第1ワイヤ群及び前記第2ワイヤ群は、弾性を有する複数のワイヤ素材により形成され、当該ワイヤ素材が前記ステントの前記一方の端及び/又は前記他方の端部において折曲せずにカーブ状に湾曲した状態で、前記ステント軸方向に相反方向に伸延した形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のステント。
【請求項9】
前記第1ワイヤ群及び前記第2ワイヤ群は、弾性を有する複数のワイヤ素材により形成され、当該ワイヤ素材が前記ステントの前記一方の端と前記他方の端において、カットされた状態で相互に溶接されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のステント。
【請求項10】
前記ワイヤ素材は、金、プラチナ又はタングステンにより構成されるワイヤ、もしくはニッケルチタンに金又はプラチナがコーティングされた形状記憶ワイヤであることを特徴とする請求項8又は9に記載のステント。
【請求項11】
前記形状記憶ワイヤには、プラス・ヘリウムイオンが注入された膠原物質が塗布されていることを特徴とする請求項10に記載のステント。
【請求項12】
当該ステントの外形直径が3乃至6ミリメートルに形成され、脳血管内に留置して使用されることを特徴とする請求項11に記載のステント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−24479(P2012−24479A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168462(P2010−168462)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(505329233)アクセスポイント テクノロジーズ有限会社 (8)
【Fターム(参考)】