説明

ストッカー装置

【課題】クリーンルームの空間を有効活用でき、クリーンルーム内のフロアーに空きスペースが無く、保管棚を設置できない場合にも増設が可能なストッカー装置を提供する。
【解決手段】キャリア1を平面的に保管する保管棚14を有する保管棚部10と、保管棚部10の上方に配設され、キャリア1をチャッキングするチャック機構81、82をXY軸方向に駆動されるホイスト機構部80を有する移載ハンドリング部50と、前工程より保管棚部10にキャリア1を搬送又は保管棚部10よりキャリア1を次工程に搬送するホイスト装置142、143とを備え、保管棚部10の枠体13上に移載ハンドリング部50の枠体51が一体的に固定され、移載ハンドリング部50の枠体51は天井2に吊り下げられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアを一時的に保管するストッカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路、液晶表示装置などの製造はクリーンルーム内で行われ、例えば基板や半導体ウェハーの製品をキャリアに収納して各工程に送っている。前の工程から次の工程にキャリアを搬送する場合、時間調整等のためにストッカー装置に一時的に保管するようにしている。ストッカー装置は、キャリアを保管する保管棚と、保管棚にキャリアを受け渡すホイスト装置とからなっている。ホイスト装置には種々のタイプがあるが、天井搬送車を用いたものとして例えば特許文献1〜3等が挙げられる。
【特許文献1】特開2004−14750号公報
【特許文献2】特開2005−150129号公報
【特許文献3】特開2007−22677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術は、保管棚が縦型であり、クリーンルームのフロアーに設置するものである。このため、クリーンルームのフロアーに空きスペースが無くては設置することができなかった。
【0004】
本発明の課題は、クリーンルームの空間を有効活用でき、クリーンルーム内のフロアーに空きスペースが無く、保管棚を設置できない場合にも増設が可能なストッカー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の請求項1は、被搬送物を平面的に保管する保管棚を有する保管棚部と、この保管棚部の上方に配設され、被搬送物をチャッキングするチャック機構をXY軸方向に駆動されるホイスト機構部を有する移載ハンドリング部と、前工程より前記保管棚部に被搬送物を搬送又は前記保管棚部より被搬送物を次工程に搬送するホイスト装置とを備え、前記チャック機構は、前記ホイスト装置より保管棚部の入出庫ポートに搬送された被搬送物を保管棚に移載又は保管棚上の被搬送物を入出庫ポートに搬送し、前記保管棚部の枠体上に前記移載ハンドリング部の枠体が一体的に固定され、前記移載ハンドリング部の枠体は天井に吊り下げられていることを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決するための本発明の請求項2は、上記請求項1において、前記入出庫ポートは、前記ホイスト装置と前記保管棚部とで被搬送物を受け渡しするホイスト装置との受け渡し部と、この受け渡し部に隣接し、前記ホイスト機構部で被搬送物を受け渡しするホイスト機構部の受け渡し部とを有し、前記入出庫ポートには、被搬送物を位置決め載置して前記ホイスト装置との受け渡し部と前記ホイスト機構部の受け渡し部とに往復駆動されるスライドテーブルを有することを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の請求項3は、被搬送物を平面的に保管する保管棚を有し、天井に吊り下げられた保管棚部と、この保管棚部の上方で天井に支持して配設され、被搬送物をチャッキングするチャック機構をXY軸方向に駆動されるホイスト機構部と、前工程より前記保管棚部に被搬送物を搬送又は前記保管棚部より被搬送物を次工程に搬送するホイスト装置とを備え、前記チャック機構は、前記ホイスト装置より保管棚部の入出庫ポートに搬送された被搬送物を保管棚に移載又は保管棚上の被搬送物を入出庫ポートに搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1及び3によれば、保管棚は平面的に形成され、天井に吊り下げられているので、クリーンルームの空間を有効活用でき、クリーンルーム内のフロアーに空きスペースが無く、保管棚を設置できない場合にも増設が可能である。また、請求項2によれば、スライドテーブルでキャリアをホイスト装置との受け渡し部とホイスト機構部の受け渡し部とに搬送できるので、キャリアをスムーズに効率良く受け渡しすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のストッカー装置の一実施の形態を図1乃至図5により説明する。本実施の形態は、図1及び図2に示すように、キャリア1を保管する保管棚部10と、この保管棚部10にキャリア1を受け渡す移載ハンドリング部50と、保管棚部10の入庫ポート11A、11B及び出庫ポート12A、12Bにキャリア1を受け渡すホイスト装置142、143とからなっている。そして、保管棚部10及び移載ハンドリング部50は天井2に吊るされている。
【0010】
まず、保管棚部10の構造について説明する。保管棚部10は、上方が完全に開放し、周囲及び底部が枠組みされた枠体13となっている。枠体13は、高さがキャリア1より高く形成されており、内側がキャリア1の保管部分となっている。本実施の形態は、枠体13の四隅の奥側が入庫ポート11A、11Bとなっており、手前側が出庫ポート12A、12Bとなっている。入出庫ポート11A、11B及び12A、12Bの内側部分は保管棚14となっている。本実施の形態においては、保管棚14は、X軸方向(横)に4個、Y軸方向(縦)に12個、合計4×12=48個を載置できる棚となっている。
【0011】
入出庫ポート11A、11B及び12A、12Bは、図3に示す構造となっている。なお、図3は出庫ポート12Aの部分を示すが、他の入出庫ポート11A、11B及び12Bも同様の構造となっている。入出庫ポート11A、11B及び12A、12Bには移動式のスライドテーブル20が配設されている。キャリア1の底部には図示しない位置決め穴が形成されており、スライドテーブル20には、キャリア1の位置決め穴に係合する位置決めピン21と、キャリア1の在荷を検出する在荷センサー22とが設けられている。スライドテーブル20の下方両側部は、保管棚14の方向に向けて平行に配設されたガイドレール23、24にスライド可能に嵌挿されており、ガイドレール23、24は枠体13に固定されたレール固定板25、26に固定されている。外側のレール固定板25の両端部上には、プーリブラケット27、28が固定されており、プーリブラケット27、28にはタイミングプーリ29、30が回転自在に支承されている。タイミングプーリ29には、レール固定板25に固定された駆動モータ31の出力軸が連結されている。タイミングプーリ29、30には、両端がスライドテーブル20に固定されたタイミングベルト32が巻回されている。
【0012】
スライドテーブル20には位置決め検出板33が固定されており、この位置決め検出板33を検出するテーブル位置センサー34、35がレール固定板25に固定されている。ここで、テーブル位置センサー34は、キャリア1をスライドテーブル20と図1に示すホイスト装置142、143とに受け渡す位置にスライドテーブル20が位置した場合を検出するように設けられている。テーブル位置センサー35は、キャリア1をスライドテーブル20と後記する移載ハンドリング部50のホイスト機構部80とに受け渡す位置にスライドテーブル20が位置した場合を検出するように設けられている。
【0013】
図1及び図2に示す保管棚14の枠体13の底板上には、図4に示すように、4個のキャリア1を位置決め載置する固定テーブル40が敷き詰められている。本実施の形態においては、保管棚14は48個の棚よりなるので、固定テーブル40は12個設けられている。固定テーブル40には、キャリア1の位置決め穴に係合する位置決めピン41と、キャリア1の在荷を検出する在荷センサー42とが設けられている。
【0014】
次に移載ハンドリング部50の構造を図1、図2及び図6〜図8により説明する。図2に示すように、移載ハンドリング部50の枠体51は、下方が完全に開放し、周囲及び上部が枠組みされており、保管棚部10の枠体13の上端に固定されている。枠体51は、入出庫ポート11A、11B及び12A、12Bの端部側のホイスト装置142、143の走行経路を除いた大きさとなっており、図1に示すように、吊り棒52を介して天井2より吊り下げられている。
【0015】
図2に示す枠体51の奥側と手前側の内側で中間部には、図5に示すように、Y軸方向に伸びたY軸ガイドレール53、54が固定されている。Y軸ガイドレール53、54にはY軸スライダ55、56が摺動自在に嵌挿されている。Y軸スライダ55、56には、X軸方向に伸びたX軸ガイドレール57、58が固定されており、X軸ガイドレール57、58には可動テーブル59が摺動自在に嵌挿されている。
【0016】
Y軸スライダ55、56にはプーリ支持ブラケット60、61が固定されており、プーリ支持ブラケット60、61にはタイミングプーリ62、63が回転自在に支承されている。タイミングプーリ62にはY軸スライダ55に固定された駆動モータ64の出力軸が連結されている。タイミングプーリ62、63には、両端が可動テーブル59に固定されたタイミングベルト65が巻回されている。従って、駆動モータ64が駆動されると、可動テーブル59はX軸ガイドレール57、58に沿ってタイミングベルト65によってX軸方向に移動させられる。
【0017】
Y軸スライダ56にはプーリ支持ブラケット70が固定されており、プーリ支持ブラケット70にはタイミングプーリ71とアイドラプーリ72、73が回転自在に支承されている。タイミングプーリ71にはY軸スライダ56に固定された駆動モータ74の出力軸が連結されている。タイミングプーリ71に対応してY軸ガイドレール54の両端部分にはベルト固定プレート75、76が固定されており、ベルト固定プレート75、76にはタイミングベルト77の両端がそれぞれ固定されている。タイミングプーリ71とアイドラプーリ72、73には、両端がベルト固定プレート75、76に固定されたタイミングベルト77が掛け渡されている。従って、駆動モータ74が駆動されると、可動テーブル59はY軸方向に移動させられる。
【0018】
可動テーブル59にはホイスト機構部80が固定されており、ホイスト機構部80は、図6及び図7に示すように、キャリア1をチャッキングするチャック開閉機構部81と、チャック開閉機構部81を上下駆動させるチャック上下駆動部82と、フラットケーブル機構部83とからなっている。
【0019】
チャック開閉機構部81は、図6に示すように、チャック支持板84の下面に平行に配設されたガイドレール85、86が固定されており、ガイドレール85、86にはスライダ87、88、89及び90、91、92が摺動自在に嵌挿されている。スライダ87、88、90にはチャック固定板93、94が固定されており、スライダ89、91、92はチャック固定板95、96が固定されている。チャック固定板93、94及び95、96には相対向して配設されたチャック97、98が固定されている。チャック97、98には位置検出板99、100が固定されており、位置検出板99、100に対応してチャック支持板84にはチャック位置センサー101、102が固定されている。
【0020】
チャック支持板84のガイドレール85、86間には、チャック開閉モータ103が固定されており、チャック開閉モータ103の出力軸にはピニオン104が固定されている。チャック固定板93、96には、ピニオン104に噛合するラック105、106が固定されている。図6はチャック97、98が開放した状態を示す。この状態よりチャック開閉モータ103が駆動してピニオン104が矢印A方向に回転すると、ラック105、106が相反する矢印B、B’方向に移動する。これにより、チャック固定板93、96を介してチャック97、98が閉じる方向に移動してキャリア1をチャックすることができる。この状態よりチャック開閉モータ103が前記と逆方向に回転すると、チャック97、98が開く方向に移動してチャックしているキャリア1を開放する。
【0021】
次にチャック上下駆動部82の構造を図7により説明する。図6に示すチャック支持板84にはスチールベルト111、112の下端が固定されており、スチールベルト111、112の上端は上下駆動部支持板113の上方に配設されたベルト巻き取りリール114、115に巻回して固定されている。ベルト巻き取りリール114、115の軸部は、上下駆動部支持板113に固定された支持板116、117、117に回転自在に支承されており、ベルト巻き取りリール114、115の一方の軸部には、マイタギヤ118、119が固定されている。マイタギヤ118、119側には、ベルト巻き取りリール114、115の軸心に直角にギヤ軸120が配設されており、ギヤ軸120は上下駆動部支持板113に固定された支持板121、121、121に回転自在に支承されている。ギヤ軸120には、マイタギヤ118、119に噛合するマイタギヤ122、123と、後記するマイタギヤ125に噛合するマイタギヤ124が固定されている。マイタギヤ125は、上下駆動部支持板113に固定されたベルト巻き取り駆動モータ126の出力軸に固定されている。
【0022】
図6及び図7は、チャック開閉機構部81即ちチャック97、98が下降した状態を示す。この状態よりベルト巻き取り駆動モータ126が駆動してマイタギヤ125が矢印C方向に回転すると、マイタギヤ124、122、123が矢印D方向に回転し、マイタギヤ118、119が相反する矢印E、E’方向に回転する。これにより、ベルト巻き取りリール114、115がスチールベルト111、112を巻き上げ、チャック開閉機構部81、即ちチャック97、98は上昇する。この状態より、ベルト巻き取り駆動モータ126が前記と逆方向に回転すると、前記と逆にチャック97、98は下降する。
【0023】
次にフラットケーブル機構部83の構造を図7及び図8により説明する。チャック開閉機構部81は、前記したように、チャック上下駆動部82によって上下動させられる。このため、チャック開閉機構部81のチャック開閉モータ103を駆動する信号を配信するフラットケーブル130を巻き取るようになっている。配線が形成されたフラットケーブル130の一端には、図示しないコネクタが設けられており、このコネクタはチャック開閉モータ103の配線に接続されたコネクタに接続される。フラットケーブル130の他端は上下駆動部支持板113の上方に配設されたケーブル巻き取りリール131に巻回されている。
【0024】
ケーブル巻き取りリール131の中心軸132は、チャック支持板84に固定された支持板133に固定されている。中心軸132には板バネ134の一端が固定されており、板バネ134の他端はケーブル巻き取りリール131に固定されている。ケーブル巻き取りリール131には前記フラットケーブル130の他端部が固定され、フラットケーブル130の他端部には、コネクタ135を介してスリップリング136の回転側配線に接続され、スリップリング136の固定側配線137は図示しない制御部に接続されている。スリップリング136は支持板138に固定され、支持板138はチャック支持板84に固定されている。
【0025】
フラットケーブル130もチャック開閉機構部81の上昇及び下降によって移動させられ、弛みが生じる。この弛みは板バネ134が巻き込まれることにより除かれる。即ち、フラットケーブル130の一端はケーブル巻き取りリール131に固定されているので、ケーブル巻き取りリール131が板バネ134の反時計方向に回転すると、フラットケーブル130が巻き取られる。
【0026】
最後に、ホイスト装置142、143を図1により説明する。ホイスト装置142、143は、X軸方向に伸びて天井2に固定されたガイドレール144、145に沿って走行するようになっている。ホイスト装置142、143は、公知の構造であり、キャリア1をチャックするチャック部146が上下駆動されるようになっている。
【0027】
次に作用について説明する。まず、ある工程が終り、ホイスト装置143で搬送してきたキャリア1を入庫ポート11Aに供給し、このキャリア1を保管棚14に保管する場合について説明する。この場合、入庫ポート11Aのスライドテーブル20は図2及び図3において右側に移動した状態にある。ホイスト装置143がガイドレール145に沿って移動して入庫ポート11Aの上方に位置すると、チャック部146が下降してキャリア1の図示しない位置決め穴を位置決めピン21に位置決めする。次にチャック部146が開くことにより、キャリア1はスライドテーブル20上に載置される。その後、ホイスト装置143は上昇する。
【0028】
スライドテーブル20上にキャリア1が載置されると、図3に示す在荷センサー22がオンとなる。これにより、駆動モータ31が駆動してタイミングベルト32が回転し、スライドテーブル20がガイドレール23、24に沿って入庫ポート11Aの左側のホイスト機構部80への受け渡し位置に移動する。またスライドテーブル20にキャリア1が載置されると同時に、図2に示す駆動モータ64及び74が駆動する。この状態においては、ホイスト機構部80はチャック97、98が開き、また前記したようにベルト巻き取り駆動モータ126が矢印C方向に回転してスチールベルト111、112がベルト巻き取りリール114、115に巻き上げられてチャック97、98が上昇した状態にある。
【0029】
駆動モータ64が駆動すると、前記したようにタイミングプーリ65が回転して可動テーブル59と共にホイスト機構部80がX軸方向に移動する。駆動モータ74が駆動すると、前記したようにタイミングベルト77が回転して可動テーブル59と共にホイスト機構部80がY軸方向に移動する。即ち、駆動モータ64及び74の駆動により、ホイスト機構部80は任意の位置に移動させられる。駆動モータ64及び74が駆動してホイスト機構部80は入庫ポート11Aの左側に位置しているスライドテーブル20(スライドテーブル20上には前記したようにキャリア1が載置されている)の上方に位置する。
【0030】
次に上昇していたチャック97、98を下降させるために、前記したようにベルト巻き取り駆動モータ126が駆動してマイタギヤ125を矢印C方向と逆方向に回転させ、チャック97、98をスライドテーブル20上のキャリア1をチャッキングする位置まで下降させる。続いてチャック開閉モータ103を駆動してピニオン104を矢印A方向に回転させ、前記したようにチャック97、98を閉じる。これにより、スライドテーブル20上のキャリア1はチャック97、98にチャッキングされる。
【0031】
次にベルト巻き取り駆動モータ126が駆動してチャック97、98を上昇させた後、駆動モータ64及び74を駆動し、保管棚14の固定テーブル40上にキャリア1が載置されていない、即ち在荷センサー42がオフとなっている固定テーブル40上のキャリア1の載置位置の上方に移動する。続いてベルト巻き取り駆動モータ126が駆動してチャック97、98が下降してキャリア1の図示しない位置決め穴を位置決めピン41に位置決めする。次にチャック開閉モータ103が駆動してチャック97、98が開いた後、チャック97、98はキャリア1を固定テーブル40上に残して上昇する。これにより、保管棚14へのキャリア1の保管が完了する。
【0032】
次に保管棚14に保管されているキャリア1を出庫ポート12A位置よりホイスト装置143に受け渡す場合について説明する。この動作は、前記した保管動作とほぼ同じであるので簡単に説明する。この場合、出庫ポート12Aのスライドテーブル20は、駆動モータ31の駆動によってホイスト機構部80との受け渡し位置、即ち左側に移動させられている。チャック97、98は開き、また上昇した位置にある。ホイスト機構部80がX軸方向及びY軸方向に移動し、在荷センサー42がオンとなっている固定テーブル40上のキャリア1の上方に位置する。次にチャック97、98が下降した後に閉じ、キャリア1をチャッキングする。
【0033】
チャック97、98が上昇した後、チャック97、98は出庫ポート12Aの左側の受け渡し位置に位置しているスライドテーブル20の上方に移動させられる。次にチャック97、98が下降してチャック97、98でチャッキングしているキャリア1を出庫ポート12Aのスライドテーブル20の位置決めピン21に位置決めした後、チャック97、98が開く。これにより、キャリア1はスライドテーブル20上に載置される。その後、チャック97、98は上昇する。続いてスライドテーブル20はホイスト装置143と受け渡し位置である左側に移動して待機する。
【0034】
次の工程からキャリア1の供給指令があると、ホイスト装置143は出庫ポート12Aの受け渡し位置で待機しているキャリア1の上方に移動する。続いて開いていた状態のチャック部146が下降した後に閉じ、キャリア1をチャッキングする。その後は、チャック部146は上昇し、ホイスト装置143はキャリア1を次工程に供給するために走行させられる。これにより、保管棚14に保管されているキャリア1の次工程への搬送が完了する。
【0035】
なお、上記説明は、ホイスト装置143から入庫ポート11Aにキャリア1を供給し、このキャリア1を入庫ポート11Aよりホイスト機構部80で保管棚14に保管する場合について説明した。この動作は、ホイスト装置143から入庫ポート11Bにキャリア1を供給し、このキャリア1を入庫ポート11Bよりホイスト機構部80で保管棚14に保管する場合も同様である。また同様に、上記説明は、保管棚14に保管されているキャリア1をホイスト機構部80で出庫ポート12Aに供給し、このキャリア1を出庫ポート12Aよりホイスト装置143に受け渡す場合について説明した。この動作は、保管棚14に保管されているキャリア1をホイスト機構部80で出庫ポート12Bに供給し、このキャリア1を出庫ポート12Bよりホイスト装置143に受け渡す場合も同様である。
【0036】
また上記実施の形態においては、2個の入庫ポート11A、11Bと、2個の出庫ポート12A、12Bを設けた場合について説明したが、入庫ポートを1個又は2個以上、出庫ポートも1個又は2個以上設けてもよい。また入庫ポートと出庫ポートを兼用させ、1個の入出庫ポートとしてもよい。
【0037】
また上記実施の形態においては、保管棚部10の枠体13に移載ハンドリング部50の枠体51を一体的に固定し、枠体51は吊り棒52を介して天井2に吊り下げた。本発明は、前記実施の形態の他に、保管棚部10の枠体13を天井2に直接吊り下げる。またチャック開閉機構部81及びチャック上下駆動部82を有するホイスト機構部80を保管棚部10の上方に配設し、ホイスト機構部80を天井にXY軸方向に駆動させるように設けてもよい。
【0038】
このように、保管棚10は平面的に形成され、天井2に吊り下げられているので、クリーンルームの空間を有効活用でき、クリーンルーム内のフロアーに空きスペースが無く、保管棚を設置できない場合にも増設が可能である。また、入出庫ポート11A、11B及び12A、12Bには、ホイスト装置142、143と保管棚部10とでキャリア1を受け渡しするホイスト装置142、143との受け渡し部と、ホイスト機構部80でキャリア1を受け渡しするホイスト機構部80の受け渡し部とを有する。そして、キャリア1を位置決め載置してホイスト装置142、143との受け渡し部とホイスト機構部80の受け渡し部とに往復駆動されるスライドテーブル20を有する。即ち、スライドテーブル20でキャリア1をホイスト装置142、143との受け渡し部とホイスト機構部80の受け渡し部とに搬送できるので、キャリア1をスムーズに効率良く受け渡しすることができる。
【0039】
図9は本発明のホイスト機構部80のチャック上下駆動部82の他の実施の形態を示す。前記実施の形態(図6及び図7)においては、チャック上下駆動部82にスチールベルト111、112を用いた。本実施の形態は、スチールベルト111、112に代えてタイミングベルト150、151を用いた場合を示す。図6に示す可動テーブル59には、2分割された上下駆動部支持板152、153が一定間隔離れて固定されており、対向端には上方に立ち上がった支持部152a、153aが形成されている。支持部152a、153aの内側部分には、ベルト巻き取りリール154、155が回転自在に支承されている。
【0040】
ベルト巻き取りリール154、155の外側には、上下駆動部支持板152、153の支持部152a、153aに巻き取りタイミングプーリ156、157が回転自在に支承されている。タイミングベルト150、151は、一端がチャック支持板84(図6参照)に固定されており、他端は巻き取りタイミングプーリ156、157に掛けられてベルト巻き取りリール154、155に巻回して固定されている。タイミングベルト150、151が巻き取りタイミングプーリ156、157より離れないように、タイミングベルト150、151は押さえローラ158、159で巻き取りタイミングプーリ156、157に押さえ付けられている。
【0041】
ベルト巻き取りリール154、155の軸部の一端には互いに噛合するギヤ160、161が固定されている。ベルト巻き取りリール154の軸部の他端には、スリップクラッチ162が固定されており、スリップクラッチ162はベルト巻き取りモータ163の出力軸に連結されている。ベルト巻き取りモータ163は上下駆動部支持板152に固定された支持板164に固定されている。ベルト巻き取りリール155の軸部の他端には、カップリング165を介してスリップリング166が固定されており、スリップリング166は上下駆動部支持板152に固定された支持板167に固定されている。
【0042】
巻き取り駆動タイミングプーリ156の軸部の一端部にはマイタギヤ170が固定され、巻き取り駆動タイミングプーリ157の軸部の一端部にはマイタギヤ171、172が固定されている。マイタギヤ170、171にはマイタギヤ173、174が噛合しており、マイタギヤ173、174は回転軸175の両端部に固定されている。回転軸175は支持板176、177に回転自在に支承されており、支持板176、177は上下駆動部支持板153に固定されている。マイタギヤ172にはマイタギヤ178が噛合しており、マイタギヤ178は支持板177に固定されたベルト駆動モータ179の出力軸に固定されている。
【0043】
図9はチャック97、98が上昇している状態を示す。チャック97、98を下降させる場合は、ベルト駆動モータ179が駆動してマイタギヤ178が矢印F方向に回転する。これにより、マイタギヤ171、172が矢印G方向、マイタギヤ173、174が矢印F方向に回転してマイタギヤ170が矢印G’方向に回転する。マイタギヤ170、171が矢印G’、G方向に回転すると、巻き取りタイミングプーリ156、157が矢印G’、G方向に回転してタイミングベルト150、151をベルト巻き取りリール154、155より繰り出し、チャック97、98が下降する。チャック97、98を上昇させる場合は、ベルト駆動モータ179がマイタギヤ178を前記と逆方向に回転させる。
【0044】
ところで、ベルト巻き取りリール163はタイミングベルト150、151を常時ベルト巻き取りリール154、155に巻き込む方向に駆動させるようになっている。ベルト巻き取りリール163が駆動してスリップクラッチ162が矢印H方向に回転すると、ベルト巻き取りリール154及びギヤ160も矢印H方向に回転し、ギヤ161及びベルト巻き取りリール155は矢印H’方向に回転する。ベルト巻き取りリール154、155が矢印H、H’方向に回転すると、タイミングベルト150、151をベルト巻き取りリール154、155に巻き込み、ベルト巻き取りリール154と巻き取りタイミングプーリ156間、ベルト巻き取りリール155と巻き取りタイミングプーリ157間にはタイミングベルト150、151の弛みは生じない。前記したようにベルト巻き取りリール154、155よりタイミングベルト150、151を繰り出す場合には、スリップクラッチ162及びスリップリング166がスリップし、何ら支障を生じない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のストッカー装置の一実施の形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図2】天井より取外した状態のストッカー装置を示し、(a)は全体斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図3】入出庫ポート部分の斜視図である。
【図4】保管棚の固定テーブルの斜視図である。
【図5】ホイスト機構部の駆動部を示し、(a)は拡大斜視図、(b)はY軸駆動部分の平面図、(c)は(b)の正面図である。
【図6】ホイスト機構部を示し、(a)は正面図、(b)はチャック開閉機構部の底面図である。
【図7】チャック上下駆動部を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図8】ケーブル巻き取りリールの断面図である。
【図9】チャック上下駆動部の他の実施の形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 キャリア
2 天井
10 保管棚部
11A、11B 入庫ポート
12A、12B 出庫ポート
13 枠体
14 保管棚
20 スライドテーブル
23、24 ガイドレール
29、30 タイミングプーリ
31 駆動モータ
32 タイミングベルト
40 固定テーブル
50 移載ハンドリング部
51 枠体
52 吊り棒
53、54 Y軸ガイドレール
55、56 Y軸スライダ
57、58 X軸ガイドレール
59 可動テーブル
62、63 タイミングプーリ
64 駆動モータ
65 タイミングベルト
71 タイミングプーリ
72、73 アイドラプーリ
74 駆動モータ
75、76 ベルト固定プレート
77 タイミングベルト
80 ホイスト機構部
81 チャック開閉機構部
82 チャック上下駆動部
83 フラットケーブル機構部
103 チャック開閉モータ
104 ピニオン
111、112 スチールベルト
114、115 ベルト巻き取りリール
120、122、123、124、125 マイタギヤ
126 ベルト巻き取り駆動モータ
130 フラットケーブル
131 ケーブル巻き取りリール
154、155 ベルト巻き取りリール
156、157 巻き取りタイミングプーリ
170、171、172、173、174、178 マイタギヤ
179 ベルト駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を平面的に保管する保管棚を有する保管棚部と、この保管棚部の上方に配設され、被搬送物をチャッキングするチャック機構をXY軸方向に駆動されるホイスト機構部を有する移載ハンドリング部と、前工程より前記保管棚部に被搬送物を搬送又は前記保管棚部より被搬送物を次工程に搬送するホイスト装置とを備え、前記チャック機構は、前記ホイスト装置より保管棚部の入出庫ポートに搬送された被搬送物を保管棚に移載又は保管棚上の被搬送物を入出庫ポートに搬送し、前記保管棚部の枠体上に前記移載ハンドリング部の枠体が一体的に固定され、前記移載ハンドリング部の枠体は天井に吊り下げられていることを特徴とするストッカー装置。
【請求項2】
前記入出庫ポートは、前記ホイスト装置と前記保管棚部とで被搬送物を受け渡しするホイスト装置との受け渡し部と、この受け渡し部に隣接し、前記ホイスト機構部で被搬送物を受け渡しするホイスト機構部の受け渡し部とを有し、前記入出庫ポートには、被搬送物を位置決め載置して前記ホイスト装置との受け渡し部と前記ホイスト機構部の受け渡し部とに往復駆動されるスライドテーブルを有することを特徴とする請求項1記載のストッカー装置。
【請求項3】
被搬送物を平面的に保管する保管棚を有し、天井に吊り下げられた保管棚部と、この保管棚部の上方で天井に支持して配設され、被搬送物をチャッキングするチャック機構をXY軸方向に駆動されるホイスト機構部と、前工程より前記保管棚部に被搬送物を搬送又は前記保管棚部より被搬送物を次工程に搬送するホイスト装置とを備え、前記チャック機構は、前記ホイスト装置より保管棚部の入出庫ポートに搬送された被搬送物を保管棚に移載又は保管棚上の被搬送物を入出庫ポートに搬送することを特徴とするストッカー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate