説明

ストッパ装置及び搬送装置

【課題】簡単な構成であって小型化が可能なストッパ装置及び搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置1のストッパ装置3は、搬送手段10に近接して設けられた軸体14に枢支された搬送手段10により搬送されるワーク100と干渉することで、ワーク100を待機させるストッパ15と、その内面31aにより搬送手段10上にストッパ15を押圧する切欠部31及び切欠部31に押圧されて搬送手段10上に移動したストッパ15の回動を規制する規制部25aを有する長板25と、長板25を往復動させるアクチュエータ27と、を備え、ストッパ15を切欠部31により押圧するとともに、規制部25aによりその回動を規制することで、ワーク100の移動を規制する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ラインで搬送されるワークを一時的に待機させるストッパ装置及び搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池等のワークの製造工程においては、搬送装置に設けられた搬送手段により各処理工程へとワークを搬送させる技術が知られている。具体的には、ワークは、搬送装置に設けられたベルトコンベアやローラコンベア等の搬送手段上に載置されて搬送される。また、ワークは、搬送ラインの所定の位置で一時的に待機し、製造や検査等の各処理が行われる。
【0003】
このようなワークとして、例えば鉛蓄電池が用いられる。鉛蓄電池が用いられる場合には、電槽化成の終了後に、搬送手段により電槽化成槽から搬送される。また、鉛蓄電池は、電槽化成状態等を検査するため、所定の位置に移動後、電解液液面の調整や端子電圧の測定等の処理が行われる。このため、搬送装置には、搬送されるワークを一時的に待機させるストッパ装置が設けられる。
【0004】
このようなストッパ装置として、カム穴が設けられたリンクプレートをピストンロッド及びシリンダからなるアクチュエータ等により移動させて、当該カム穴に連結されたストッパ部材を、ワークを搬送するローラコンベアから出没させることで当該搬送されるワークの搬送を一時的に待機させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−56834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したストッパ装置では、以下の問題があった。即ち、上述したストッパ装置では、ストッパをカム等の機構を介してアクチュエータに連結し、当該アクチュエータにより駆動させる構成のため、構造が複雑となる。また、ワークの搬送を一時的に待機させる場合には、当該ワークの搬送(移動)をストッパで規制する構成であるため、ワークによりストッパが押圧される。当該押圧による力(圧力)はストッパからカムを介してアクチュエータへと伝達され、結果シリンダはワークにより押圧されることとなる。
【0007】
このため、アクチュエータは、ワークの搬送を待機させるだけでなく、ワークにより押圧される圧力も支持可能に形成される必要があり、大型なものが必要となる。また、アクチュエータの大型化に伴って、ストッパ装置及び搬送装置の大型化にもなる。
【0008】
例えば、アクチュエータに当該圧力が印可されない機構をアクチュエータとカム、又は、カムとストッパの間に介在させることも考えられるが、当該機構を設けるとストッパ装置が複雑となる。
【0009】
そこで本発明は、簡単な構成であって小型化が可能なストッパ装置及び搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明のストッパ装置及び搬送装置は、次のように構成されている。
【0011】
本発明の一態様として、搬送手段により搬送されるワークを一時的に待機させるストッパ装置であって、軸体と、前記軸体に回動自在に枢支され、前記回動により前記搬送手段上に移動可能なストッパと、前記ストッパの一部を収納可能、且つ、その端部により前記搬送手段上に前記ストッパを押圧する切欠部、及び、前記切欠部に隣接して設けられ、前記切欠部に押圧されて前記搬送手段上に移動した前記ストッパの回動を規制する規制部を有する長板と、前記長板に連結され、前記長板を往復動させるアクチュエータと、を備え、前記ストッパは、前記アクチュエータにより一方向に移動した前記長板の前記切欠部により押圧されて前記搬送手段上に位置するとともに、前記規制部によりその回動を規制されることで、前記搬送手段に搬送されるワークの移動を規制し、且つ、前記アクチュエータにより他方向に移動した前記長板の前記切欠部と対向することで、前記切欠部に収納される。
【0012】
本発明の一態様として、搬送装置は、ワークを搬送する搬送手段と、前記搬送手段に近接して設けられた軸体と、前記搬送手段により搬送されるワークと干渉することで、前記ワークを待機させる、前記軸体に回動自在に枢支されたストッパと、前記ストッパの一部を収納可能、且つ、その端部により前記搬送手段上に前記ストッパを押圧する切欠部、及び、前記切欠部に隣接して設けられ、前記切欠部に押圧されて前記搬送手段上に移動した前記ストッパの回動を規制する規制部を有する長板と、前記長板に連結され、前記長板を往復動させるアクチュエータと、を備え、前記ストッパは、前記アクチュエータにより一方向に移動した前記長板の前記切欠部により押圧されて前記搬送手段上に位置するとともに、前記規制部によりその回動を規制されることで、前記搬送手段に搬送されるワークの移動を規制し、且つ、前記アクチュエータにより他方向に移動した前記長板の前記切欠部と対向することで、前記切欠部に収納される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成であって小型化が可能なストッパ装置及び搬送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置の構成を模式的に示す上面図。
【図2】同搬送装置の構成を模式的に示す上面図。
【図3】同搬送装置のストッパ装置の構成を模式的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至図3を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る搬送装置1の構成を模式的に示すとともに、搬送装置1によるワーク100の搬送状態を示す上面図、図2は搬送装置1の構成を模式的に示すとともに、ストッパ装置3によるワーク100の待機状態を示す上面図、図3はストッパ装置3の構成を示す側面図である。
【0016】
搬送装置1は、自動車用の鉛蓄電池等のワーク100を搬送可能に形成されている。また、搬送装置1は、例えば、ワーク100の製造装置の一部に設けられる。当該製造装置は、例えば、搬送装置1に併設して処理装置110が設けられている。なお、当該処理装置110は、ワーク100が搬送装置1により所定の位置に搬送された場合に、当該所定の位置で処理を行う装置であって、例えば、ワーク100の搬送方向に沿って、第1処理装置111、第2処理装置112及び第3処理装置113を備えている。
【0017】
図1乃至図3に示すように搬送装置1は、搬送ライン2と、ストッパ装置3と、制御手段4と、を備えている。搬送装置1は、自動車用の鉛蓄電池等のワーク100を搬送ライン2により搬送可能に形成されている。
【0018】
搬送ライン2は、ワーク100を搬送可能に形成されている。搬送ライン2は、駆動することで直線的にワーク100を搬送する搬送手段10と、ワーク100の位置を検出するセンサ11と、搬送手段10を搬送方向に駆動させるモータ等の駆動手段を備えている。なお、本実施の形態では、駆動手段についての詳細な説明は省略する。
【0019】
搬送手段10は、環状ベルトにより構成されたベルトコンベア、板状のトップチェーンにより構成されたチェーンコンベヤ、又は、複数の駆動ローラ等により構成されたローラコンベア等が用いられる。なお、図1及び図2に図示する搬送手段10は、環状ベルトを用いたベルトコンベアを用いた例を示し、以下、搬送手段10を搬送ベルト10として説明する。センサ11は、搬送ベルト10により搬送されたワーク100の位置を検知可能に形成されている。また、センサ11は、信号線Sを介して制御手段4に接続され、当該検知情報を制御手段4に送信可能に形成されている。
【0020】
ストッパ装置3は、軸体14と、ストッパ15と、回動手段16と、を備えている。ストッパ装置3は、軸体14及び回動手段16の一部を固定支持する架台17を備えている。なお、架台17は、図3にのみ図示し、図1及び図2中は省略する。ストッパ装置3は、搬送ベルト10の延設方向、換言すると、ワーク100の搬送方向に沿って設けられる。
【0021】
軸体14は、例えば円筒状に形成され、搬送ベルト10に沿って架台17に複数設けられる。軸体14は、図1及び図2に示すように、搬送されるワーク100の移動を規制する部位、ここでは、第1処理装置111、第2処理装置112及び第3処理装置113に近接して設けられる。軸体14は、SUS316等の金属材料で形成され、例えばその外径が10mmに形成される。
【0022】
ストッパ15は、軸体14にそれぞれ回動自在に枢支され、軸体14を中心に回動可能に形成されている。ストッパ15は、当該回動により、搬送手段10上に移動可能に形成されている。ストッパ15は、略矩形状に形成され、一方の短辺側を、軸体14により枢支される。
【0023】
ストッパ15は、例えば、その長辺の長さが55mmに、長辺に直交する一方の短辺が35mmに、他方の短辺が20mmに形成される。また、ストッパ15は、SUS316等で形成された一対の金属板21と、当該金属板21に狭持されるウレタン板22と、により構成される。
【0024】
例えば、ストッパ15は、金属板21の肉厚が5mmに、ウレタン板22の肉厚が10mmに形成されることで、総厚みが20mmに形成される。なお、ストッパ15は、ワーク100と当接する当接部15aにウレタン板の一部が露出するように、金属板21の一部が切欠して形成される。また、ストッパ15は、軸体14により枢支される側の一方の短辺側の端部を以下端部15bとして説明する。
【0025】
回動手段16は、ストッパ15を回動可能に形成されている。具体的には、回動手段16は、長板25と、支持体26と、アクチュエータ27と、を備えている。
【0026】
長板25は、例えば、SUS316等の金属平板であって、短冊状に形成されている。長板25は、その長手方向がワーク100の搬送方向に沿って複数の軸体14及びストッパ15に隣接するように一枚延設される。長板25は、ストッパ15と隣接する位置に設けられ、ストッパ15の一部を収納可能な切欠部31を備えている。長板25は、例えば、幅40mmであって厚みが5mmに形成される。なお、長板25は、その長さが、軸体14及びストッパ15の数、又は、搬送ライン2の長さ等により適宜変更されるため、説明は省略する。
【0027】
切欠部31は、ストッパ15の一部、具体的には、ストッパ15が長板25側に向かって回動した場合に、ストッパ15の軸体14から長板25側を収納可能に長板25に形成された開口である。例えば、図3に示すように、切欠部31は、長板25の上面から切欠して形成された、深さ20mm、且つ、長さ53mmの開口である。
【0028】
切欠部31は、その内面の一部、具体的には、アクチュエータ27側の内面(端部)31aが、ストッパ15の端部15bと当接することで、ストッパ15の回動を規制する。また、切欠部31は、長板25の移動時に、内面31aで端部15bを押圧することで、搬送手段10上に位置するようにストッパ15を回動させる。
【0029】
また、切欠部31は、ストッパ15が当接する内面31aと、ストッパ15が配置される側の側面25aとの陵部が、例えば円弧状に面取りされる。なお、当該面取りは、ストッパ15が切欠部31内へスムースに収納できればよい。
【0030】
また、長板25は、ストッパ15が図2に示すように搬送手段10上に回動した場合に、その側面25aであって、切欠部31に隣接する部位により、ストッパ15の端部15bと当接することで、ストッパ15の回動を規制可能に形成されている。即ち、長板25は、切欠部31に隣接する側面25aにより、搬送手段10上に位置するストッパ15の回動を規制する規制部を構成する。
【0031】
支持体26は、搬送ベルト10に沿って架台17に複数設けられたU字状のブロックである。支持体26は、長板25を支持可能、且つ、往復動する長板25を摺動可能に形成されている。なお、支持体26は、長板25の長さに基づいて複数設けられる。なお、本実施形態においては、図1乃至図3に示すように、支持体26は、軸体14及びストッパ15に近接して3つ設ける例を示す。
【0032】
支持体26は、例えば50×50×35mmのソリジュール又はハイモラー等の超高分子材料で形成されたブロックであって、その中央に、長板25を挿通させるとともに、長板25と摺動可能な、深さ43mm且つ幅5mmの凹部が形成される。
【0033】
アクチュエータ27は、架台17に取付台35aを介して固定されたシリンダ35と、シリンダ35の内部を往復動するピストンと、当該ピストンに接続されたロッド37と、ピストンを往復動させる動力源38と、を備えている。
【0034】
アクチュエータ27は、そのピストンがロッド37及び連結部材39を介して長板25に連結され、当該ピストンの往復動により長板25をワーク100の搬送方向に沿って往復動可能に形成されている。ピストン及びロッド37のストローク量は、例えば50mmに形成される。図1に示すように、連結部材39は、ロッド37の往復動方向に沿って、長板25を移動(往復動)可能であればよく、例えば、断面L字状の板材が用いられる。
【0035】
動力源38は、ピストンを往復動可能な、液圧を供給するポンプや、電気的にピストンを駆動させるモータ等である。動力源38は、制御手段4に信号線Sを介して接続されている。
【0036】
制御手段4は、センサ11及び処理装置110に基づいて、回動手段16をシーケンス制御可能な制御部である。制御手段4は、搬送ライン2の駆動手段、センサ11及び動力源38に接続されている。制御手段4は、センサ11により検知したワーク100の情報に基づいて、動力源38の駆動及び停止が可能に形成されている。また、制御手段4は、例えば、第1処理装置111、第2処理装置112及び第3処理装置113に接続され、各処理装置111〜113の処理に応じて、駆動手段を駆動可能に形成されている。
【0037】
このように構成されたストッパ装置3を用いた搬送装置1は、ワーク100の製造において、ワーク100を搬送するとともに、各位置でワーク100の処理に応じてワーク100を待機させる。例えば、搬送装置1及びストッパ装置3は、ワーク100である鉛蓄電池100の製造工程の一である電槽化成後に、化成槽から取り出して集積場所に移動させるために用いられる。
【0038】
また、搬送装置1及びストッパ装置3は、鉛蓄電池100の製造工程の一であって、電槽化成後の鉛蓄電池100の電解液の補充、レベル調整及び比重測定等の、化成が十分行われたか否かの検査を行う各検査工程において各処理を行うために、搬送される鉛蓄電池100を規制し、一時的に待機させる。以下、図1乃至図3を用いて、搬送装置1及びストッパ装置3による鉛蓄電池(ワーク)100の搬送及び規制について説明する。
【0039】
なお、搬送ライン2上に電槽化成が終了した鉛蓄電池100が、別ラインよりそれぞれ所定の間隔で離間して順次載置される。なお、所定の間隔で離間とは、例えば、複数の軸体14及びストッパ15の間以上の間隔である。また、電解液の補充は、第1処理装置111で、レベル調整は第2処理装置112で、比重測定は第3処理装置113にて行われるものとして、以下説明する。
【0040】
まず、搬送ベルト10上に第1の鉛蓄電池100が載置され、所定の位置、ここでは、第1処理装置111により処理が行われる位置に搬送される。なお、鉛蓄電池100が搬送ベルト10により搬送される場合には、ストッパ装置3は、図1に示すように回動手段16により鉛蓄電池100の搬送を規制しないようにストッパ15回動自在とし、ストッパ15を切欠部31に収納可能とする。
【0041】
具体的に説明すると、制御手段4及び回動手段16は、アクチュエータ27により、動力源38を駆動させて、ロッド37が縮む方向(他方向)にピストンを移動させることで、長板25を移動させる。回動手段16は、当該長板25の移動により、長板25の切欠部31をストッパ15とそれぞれ対向させる。ストッパ15は、軸体14により回動可能に枢支されているため、その一部が切欠部31に収納可能となる。
【0042】
この状態で搬送ベルト10により鉛蓄電池100が第1処理装置111により電解液の量の補充の処理が行われる位置に搬送されると、センサ11により当該位置への鉛蓄電池100の搬送が検知される。この検知情報に基づいて、ストッパ装置3及び制御手段4は、回動手段16によりストッパ15を回動させて、鉛蓄電池100の移動を規制する。なお、搬送ベルト10は、当該ストッパ15による鉛蓄電池100の移動の規制に併せて、駆動手段による駆動が停止される。
【0043】
具体的に説明すると、制御手段4は、センサ11による検知情報に基づいて動力源38を駆動させてロッド37が伸びる方向(一方向)にピストンを移動させ、長板25を移動させる。当該長板25の移動により、切欠部31の内面31aで、切欠部31に収納されたストッパ15の端部15bを押圧する。
【0044】
当該長板25の押圧により、ストッパ15は、軸体14を中心に回動し、図1に示すように切欠部31に収納された状態から回動し、図2に示すようにその当接部15aが搬送ベルト10上に鉛蓄電池100の搬送方向に対して直交するように、回動することとなる。また、ストッパ15は、その端部15bが、長板25の側面25aと略平行に位置し、且つ、当接することで、その回動が規制され、図2に示す位置で固定される。
【0045】
このようにしてストッパ装置3は、鉛蓄電池100の移動を規制し、鉛蓄電池100を所定の位置に待機させる。なお、ストッパ装置3は、第1処理装置111による電解液量の補充の処理が終了するまで、ストッパ15により鉛蓄電池100の移動を規制する。
【0046】
第1処理装置111による処理が終了すると、搬送ベルト10が駆動される。また、制御手段4及び回動手段16は、ロッド37が縮む方向にピストンを移動させて長板25を移動させる。当該長板25の移動により、切欠部31は、ストッパ15とそれぞれ隣接することとなる。
【0047】
この状態で搬送ベルト10の駆動により鉛蓄電池100が移動すると、鉛蓄電池100が搬送ベルト10上に位置するストッパ15を押圧する。ストッパ15は、鉛蓄電池100の押圧により、軸体14を中心に回動し、その一部が切欠部31に収納され、鉛蓄電池100の規制が解除される。規制が解除されると、鉛蓄電池100は、搬送ベルト10により次の検査工程の一である、第2処理装置112により電解液レベル調整の処理を行う位置まで搬送されることとなる。
【0048】
なお、このとき、搬送ベルト10には、新たに鉛蓄電池(第2の鉛蓄電池)100が載置され、これら鉛蓄電池100が同時に搬送ベルト10により搬送される。次に、第1の鉛蓄電池100及び第2の鉛蓄電池100の一方が、各処理を行う位置に搬送されると、センサ11により当該位置への鉛蓄電池100の搬送が検知される。
【0049】
具体的には、第1の鉛蓄電池100が次処理である第2処理装置112による電解液レベル調整の処理を行う位置に搬送されるか、又は、第2の鉛蓄電池100が第1処理装置111による電解液の量の補充の処理を行う位置に搬送されると、先に搬送された一方の鉛蓄電池100がセンサ11により検知される。
【0050】
所定の位置に先に搬送された一方の鉛蓄電池100がセンサ11により検知されると、ストッパ装置3及び制御手段4は、当該検知に基づいて回動手段16によりストッパ15を回動させて、鉛蓄電池100の移動を規制する。
【0051】
具体的には、制御手段4は、センサ11による検知情報に基づいて動力源38を駆動させてロッド37が伸びる方向にピストンを移動させ、長板25を移動させる。当該長板25の移動により、切欠部31の内面31aで、切欠部31に収納されたストッパ15の端部15bを押圧し、ストッパ15を図2に示すように回動させて搬送ベルト10上に位置させるとともに、側面25aによりストッパ15の回動を規制する。
【0052】
このストッパ15の回動により、鉛蓄電池100の移動を規制する。なお、このとき、全ての鉛蓄電池100が所定の位置に移動し、各ストッパ15に当接するまで搬送ベルト10を駆動させる。全ての鉛蓄電池100がストッパ15に当接したことをセンサ11等により検知後、又は、所定時間経過後、制御手段4は、駆動手段を停止させ、搬送ベルト10を停止させる。
【0053】
次に、第1処理装置111及び第2処理装置112により第1の鉛蓄電池100及び第2の鉛蓄電池100の両方の処理の終了後、制御手段4及び回動手段16は、ロッド37が縮む方向にピストンを移動させて長板25を移動させる。当該長板25の移動により、切欠部31は、ストッパ15とそれぞれ隣接することとなる。
【0054】
この状態で搬送ベルト10により鉛蓄電池100が移動すると、鉛蓄電池100が切欠部31に隣接したストッパ15をそれぞれ押圧する。ストッパ15は、鉛蓄電池100の押圧により、軸体14を中心に回動し、その一部が切欠部31に収納され、鉛蓄電池100の規制が解除される。これにより、これら鉛蓄電池100は、搬送ベルト10により、次の処理が行われる位置まで搬送される。
【0055】
このとき、搬送ベルト10には、新たに第3の鉛蓄電池100が載置され、3つの鉛蓄電池100が同時に搬送ベルト10により搬送される。次に、第1の鉛蓄電池100、第2の鉛蓄電池100及び第3の鉛蓄電池100のいずれか一つが、それぞれの処理を行う位置に搬送されると、センサ11により当該位置への鉛蓄電池100の搬送が検知される。
【0056】
具体的には、第1の鉛蓄電池100が次処理である第3処理装置113による比重測定が行われる位置に搬送させるか、第2の鉛蓄電池100が次処理である第2処理装置112による電解液レベル調整の処理を行う位置に搬送されるか、又は、第3の鉛蓄電池100が第1処理装置111による電解液の量の補充の処理を行う位置に搬送されると、先に搬送されたいずれかの鉛蓄電池100がセンサ11により検知される。
【0057】
いずれかの鉛蓄電池100がセンサにより検知されると、制御手段4及び回動手段16は、ロッド37が伸びる方向にピストンを移動させて、長板25を移動させる。当該長板25の移動により、切欠部31の内面31aによりストッパ15の端部15bを押圧し、ストッパ15を図2に示すように回動させる。
【0058】
このストッパ15の回動により、全ての鉛蓄電池100の移動を規制する。なお、このとき、全ての鉛蓄電池100が所定の位置に移動し、各ストッパ15に当接するまで搬送ベルト10を駆動させる。全ての鉛蓄電池100がストッパ15に当接後、制御手段4により搬送ベルト10が停止される。
【0059】
全ての鉛蓄電池100の処理終了後、制御手段4及び回動手段16は、ロッド37が縮む方向にピストンを移動させて長板25を移動させる。当該長板25の移動により、切欠部31は、ストッパ15とそれぞれ隣接することとなる。
【0060】
この状態で搬送ベルト10の駆動により全ての鉛蓄電池100が移動すると、鉛蓄電池100がストッパ15をそれぞれ押圧し、ストッパ15を切欠部31に収納させる。これにより、鉛蓄電池100の規制が解除され、これら鉛蓄電池100は、搬送ベルト10により搬送されることとなる。
【0061】
なお、例えば、第1の鉛蓄電池100は、第1処理装置111、第2処理装置112及び第3処理装置113での処理が完了すると、集積場所へと搬送されるとともに、搬送ベルト10に新たな鉛蓄電池100が載置される。このように、各処理を終えた鉛蓄電池100は、搬送ベルト10により次の工程まで搬送され、所定の工程終了後、集積場所や他の搬送ラインへと搬送されることとなる。また、上述したように、順次新たな鉛蓄電池100が搬送ベルト10上に載置され、搬送され、処理装置110で処理がなされる。
【0062】
このように構成されたストッパ装置3を用いた搬送装置1によれば、複数のストッパ15を複数の切欠部31を有する長板25により回動させることで、ワーク100の搬送及び待機の切り替えが可能となる。
【0063】
また、長板25は、アクチュエータ27のロッド37の往復動により直進運動だけを行い、ストッパ15は、当該直線運動で押圧されることで、軸体14を中心に回動する構成である。また、ストッパ15は、搬送手段10で搬送されたワーク100により押圧されることで、軸体14を中心に回動する構成である。このように、ストッパ装置3は、直線運動を回転運動として、ストッパ15を回動させる簡単な構成で、ワーク100の移動を規制可能となる。このように、ストッパ装置3は、簡単な構成でよく、また各構成品の外形状が小さくてよい。このため、ストッパ装置3の小型化が可能となる。
【0064】
また、ストッパ15の一方の短辺の端部15bを長板25の側面25aに干渉させることで、ストッパ15の回動を規制する構成とすることで、ワーク100により発生するストッパ15の押圧力が長板25の移動方向とは異なる方向に印可されることとなる。即ち、ワーク100によるストッパ15の回動方向の押圧がアクチュエータ27のピストンの可動方向とは異なるため、ワーク100の搬送による押圧力は、アクチュエータ27に伝達されない。このため、アクチュエータ27は、長板25を移動可能な能力を有する形状であればよい。即ち、アクチュエータ27は、長板25を移動可能な出力を有すれば小型なものでよく、このため、ストッパ装置3及び搬送装置1の大型化を防止することが可能となる。
【0065】
上述したように本実施形態に係る搬送装置1及びストッパ装置3によれば、簡単な構成であって小型化が可能となる。
【0066】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、搬送装置1及びストッパ装置3は、ワーク100として鉛蓄電池100の搬送及び搬送を規制する構成であって、当該鉛蓄電池100の検査工程等の処理を行う製造装置に用いられる構成を説明したがこれに限定されない。また、上述した例では、各ストッパ15でワーク100の搬送を規制して、それぞれの位置で異なる処理を行う旨を説明したが、これに限定されない。
【0067】
即ち、搬送装置1及びストッパ装置3で搬送されるワーク100は、鉛蓄電池以外であってもよく、また、他の製造工程や処理のために搬送する構成であってもよい。また、上述した処理を行う処理装置110は、第1処理装置111、第2処理装置112及び第3処理装置113で異なる処理を行う説明をしたが、第1処理装置乃至第3処理装置113は、同じ処理を行っても勿論よい。
【0068】
また、上述した例では、切欠部31は、長板25の上面の一部から長方形状に切欠された形状を説明したがこれに限定されない。例えば、切欠部31は、長板25の幅方向の略中央に長方形に形成されていてもよく、幅方向の一部にのみ形成される構成であってもよい。
【0069】
また、上述した例では、ストッパ15は、二枚の金属板21にウレタン板22を狭持する構成を説明したがこれに限定されない。またストッパ15の形状も、上述の形状に限定されない。
【0070】
また、上述した例では、ストッパ15は、軸体14に回動可能に枢支される構成のみを説明したがこれに限定されない。例えば、ストッパ15と軸体14とに、切欠部31に収納される方向に付勢するねじりバネ等の付勢部材を設け、常時収納方向に付勢されるとともに、規制するときのみ長板25により回動する構成であってもよい。
【0071】
なお、このような付勢部材を設ける構成では、上述したストッパ装置3よりも構成が複雑となる虞があるが、例えば、ワーク100が比較的軽量等であり、ストッパ15を切欠部31に収納する方向に押圧できない場合等に効果的である。なお、付勢部材を設けずに、例えば、ストッパ15自体を軽量とするとともに、軸体14とストッパ15との間に摺動性を向上させる軸受等を設ける構成であってもよい。
【0072】
さらには、上述した例では、支持体26は、長板25を摺動させる凹部を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、支持体26は、長板25の摺動抵抗をより低減させるために、リニアガイドであってもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…搬送装置、2…搬送ライン、3…ストッパ装置、4…制御手段、10…搬送手段(搬送ベルト)、11…センサ、14…軸体、15…ストッパ、15a…当接部、15b…端部、16…回動手段、17…架台、21…金属板、22…ウレタン板、25…長板、25a…側面(規制部)、26…支持体、27…アクチュエータ、31…切欠部、31a…内面(端部)、35…シリンダ、37…ロッド、38…動力源、39…連結部材、100…ワーク(鉛蓄電池)、110…処理装置、111…第1処理装置、112…第2処理装置、113…第3処理装置、S…信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により搬送されるワークを一時的に待機させるストッパ装置であって、
軸体と、
前記軸体に回動自在に枢支され、前記回動により前記搬送手段上に移動可能なストッパと、
前記ストッパの一部を収納可能、且つ、その端部により前記搬送手段上に前記ストッパを押圧する切欠部、及び、前記切欠部に隣接して設けられ、前記切欠部に押圧されて前記搬送手段上に移動した前記ストッパの回動を規制する規制部を有する長板と、
前記長板に連結され、前記長板を往復動させるアクチュエータと、を備え、
前記ストッパは、前記アクチュエータにより一方向に移動した前記長板の前記切欠部により押圧されて前記搬送手段上に位置するとともに、前記規制部によりその回動を規制されることで、前記搬送手段に搬送されるワークの移動を規制し、且つ、前記アクチュエータにより他方向に移動した前記長板の前記切欠部と対向することで、前記切欠部に収納されることを特徴とするストッパ装置。
【請求項2】
前記軸体及び前記ストッパは複数設けられ、
前記長板は、前記ストッパと同数の前記切欠部を有することを特徴とする請求項1に記載のストッパ装置。
【請求項3】
ワークを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段に近接して設けられた軸体と、
前記搬送手段により搬送されるワークと干渉することで、前記ワークを待機させる、前記軸体に回動自在に枢支されたストッパと、
前記ストッパの一部を収納可能、且つ、その端部により前記搬送手段上に前記ストッパを押圧する切欠部、及び、前記切欠部に隣接して設けられ、前記切欠部に押圧されて前記搬送手段上に移動した前記ストッパの回動を規制する規制部を有する長板と、
前記長板に連結され、前記長板を往復動させるアクチュエータと、を備え、
前記ストッパは、前記アクチュエータにより一方向に移動した前記長板の前記切欠部により押圧されて前記搬送手段上に位置するとともに、前記規制部によりその回動を規制されることで、前記搬送手段に搬送されるワークの移動を規制し、且つ、前記アクチュエータにより他方向に移動した前記長板の前記切欠部と対向することで、前記切欠部に収納されることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
前記軸体及び前記ストッパは複数設けられ、
前記長板は、前記ストッパと同数の前記切欠部を有することを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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