説明

ストリーム印刷を改良するための動的位相シフト

印刷用液滴を形成する方法は、単位時間τの間に液滴形成エネルギーパルスを印加することによって第一の大きさの液滴を形成するステップと、第二の液滴時間τの間に液滴形成エネルギーパルスを印加することによって第二の大きさの液滴を形成するステップであって、第二の液滴時間は単位時間のm倍で、すなわちτ=m×τ、m≧2であるようなステップと、連続する画素を印刷するための液滴間に、τ=a×τのタイミングを提供するステップであって、aはmより大きい整数であるようなステップと、液体パターンデータに応じて非印刷用液滴と印刷用液滴を形成するステップと、gのグループの液滴形成トランスデューサに送信される液滴形成エネルギーパルスのためのパルスタイミングを、第一の集合のトランスデューサに送信される液滴形成エネルギーパルスに関して、遅延時間τだけ遅延させるステップであって、τ=g×(INT(a/n)+1/n)×τ+τXであり、gはnより小さい整数であるようなステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、デジタル制御式印刷装置に関し、より詳しくは、隣接ノズルの位相シフトによって「低速」での品質を改善した連続流型インクジェット印刷ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷は、それが非衝撃型であり、低ノイズ特性を有し、普通紙が使用可能であり、およびトナー転写と定着が不要であることから、デジタル制御式の電子印刷における代表的技術として認識されている。インクジェット印刷機構は、使用される技術によって、ドロップオンデマンド型インクジェットまたは連続流型インクジェットのいずれかに分類することができる。
【0003】
最初の技術、「ドロップオンデマンド型」インクジェット印刷では、インク小滴が供給され、このインク小滴は加圧アクチュエータ(熱、圧電等)の使用によって記録面の上に衝突する。一般的に実用されている多くのドロップオンデマンド技術は、熱による作動方式を利用して、インク小滴をノズルから吐出させる。ノズルに、またはその付近に位置付けられたヒータはインクを沸騰するまで加熱し、蒸気泡を発生させ、この蒸気泡がインク小滴を吐出させるのに十分な内圧力を生む。この形態のインクジェットは一般に、「サーマルインクジェット(TIJ)」と呼ばれる。他の周知のドロップオンデマンド型小滴吐出機構には、たとえば1993年7月6日にヴァン・リンテルに発行された特許文献1に記載されているような圧電アクチュエータ、たとえば2003年5月13日発行のジャロルドらの特許文献2に開示されているような熱機械アクチュエータおよび、たとえば2002年11月5日発行の藤井らの特許文献3に記載されているような静電アクチュエータがある。
【0004】
第二の、一般に「連続流型」インクジェット印刷と呼ばれる技術では、圧縮インク供給源を使用して、ノズルからインクの連続ストリームを発生する。このストリームを何らかの方法で擾乱し、それを制御下で液滴に分断する。一般に、擾乱は一定の周期で加えられ、それによって液体のストリームはノズルから名目上一定の距離で実質的に均一な大きさの液滴に分断され、この距離は分裂長さと呼ばれる。充電用電極構造が、名目上一定の分裂地点に配置され、分裂の瞬間の液滴に、データに応じた量の電荷を誘導する。帯電した小滴は、固定された静電界領域を通じて方向付けられ、それによって各小滴はその電荷に比例して偏向する。分裂地点において発生された電荷レベルにより、液滴は記録媒体上の特定の位置へと移動する(印刷用液滴)か、または、回収および再循環のための脇溝へと移動する(非印刷用液滴)。
【0005】
別のタイプの連続流型インクジェットは、ジャンメールらに発行された、“Continuous ink−jet printing method and appratus”と題する特許文献4に記載されており、また、ジャンメールらに発行された、“Continuous inkjet printhead with selectable printing volumes of ink”と題する特許文献5は、第一の状態において、第一の体積を有し、ある経路に沿って移動する小滴を形成し、第二の状態において、第一の体積より大きい複数の他の体積を有し、同じ経路に沿って移動する小滴を形成するように動作する小滴形成機構を備える連続流型インクジェット印刷装置を開示している。小滴偏向システムが、経路に沿って移動する小滴に力を加える。この力は、第一の体積を有する小滴が経路から分岐し、その一方で、複数の他の体積を有する、より大きな小滴はそのまま実質的にその経路に沿って移動するか、若干分岐して、印刷媒体に到達する前に脇溝の経路に沿って移動を開始するような方向にかけられる。第一の体積を有する小滴、すなわち印刷用液滴は受容印刷媒体に当たり、その一方で、複数の他の体積を有する、より大きな小滴は「非印刷用」液滴であり、脇溝または液滴捕捉手段に形成されたインク排出用通路を通じて再利用または廃棄される。
【0006】
好ましい実施形態において、可変液滴偏向手段は、空気流またはその他の気体流である。気体流は、大きな液滴の軌道に対してより、小さな液滴の軌道に対して、より大きな影響を与える、異なる大きさの液滴を異なる軌道に従わせる、このようなタイプの印刷装置は大型または小型液滴のいずれを印刷用液滴とするかに応じて、特許文献4または特許文献5において開示されているような、小型液滴印刷モードと、再び特許文献5または、ジャンメールらに発行された“Printhead having gas flow ink droplet separation and method of diverging ink droplets”と題する特許文献6において開示されているような大型液滴印刷モードの2つのモードのうち少なくとも一方で動作させることができる。本明細書において以下に説明する本発明は、大型液滴または小型液滴のいずれの印刷モードも実行するための方法と装置である。
【0007】
個別噴射刺激と異なる大きさの液滴の空気力学的偏向を組み合わせることによって、ある形態の液滴帯電と静電偏向を利用して所望の液体パターンを形成する、これまでのCIJの実施形態の問題を解決するような連続液滴吐出システムが得られる。液滴パターンは、それらを利用する代わりに、入力液体パターンに依存する液滴形成パルスシーケンスを各噴射に印加して液滴体積のパターンを作り、その後、非印刷用液滴を偏向させ、捕捉することによって形成される。また別の利点として、生成される液滴は名目上帯電せず、したがって、液滴が受容媒体または捕捉用脇溝へと横断する際に、液滴同士の間に静電相互作用力が発生しない。
【0008】
液体パターンを堆積させるこの構成には、高速、高品質パターン印刷を行う際に、いくつかの問題が残る。高速での高品質液体パターンの形成には、比較的小さな体積の、狭い間隔で分離された液滴を受容媒体に向ける必要がある。液滴パターンが、印刷ヘッドから気体流偏向領域を通じて受容媒体へと横断する際、液滴によって、隣接する液滴の周囲の気体流がパターンに依存した方法で変化する。変化された気体流により、今度は、印刷用の液滴の軌道と受容媒体上の到達位置が変化し、パターンに依存することになる。換言すれば、印刷用液滴は狭い間隔で受容媒体へと横断することによって、空気力学的相互作用が起こり、その後、液滴着弾エラーが発生する。これらのエラーは、所期の印刷液体パターンを外側方向に拡張させる効果を有するため、本明細書においては、「スプレイ(splay)」エラーと呼ぶ。
【0009】
特許文献7は、先行技術のスプレイエラーを排除することによって、高速での連続流型インクジェット印刷の画像品質を改善する方法を開示している。
【0010】
特許文献7は、高速での印刷品質の改善には有効であるが、すべての印刷速度において印刷品質が改善されるとは限らないことがわかった。特に、低速および中速印刷では、印刷上の欠陥が依然として明らかである。本発明は、最高速度以外のすべての速度での印刷品質を改善する方法を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,224,843号明細書
【特許文献2】米国特許第6,561,627号明細書
【特許文献3】米国特許第6,474,784号明細書
【特許文献4】米国特許第6,588,888号明細書
【特許文献5】米国特許第6,575,566号明細書
【特許文献6】米国特許第6,554,410号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第20080231669号
【特許文献8】米国特許第6,457,807 B1号明細書
【特許文献9】米国特許第6,491,362 B1号明細書
【特許文献10】米国特許第6,505,921 B2号明細書
【特許文献11】米国特許第6,793,328 B2号明細書
【特許文献12】米国特許第6,827,429 B2号明細書
【特許文献13】米国特許第6,851,796 B2号明細書
【特許文献14】米国特許第6,079,821号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の問題の1つ以上を克服することに関する。簡潔に言うなれば、本発明の1つの態様によれば、本発明は、n個のグループ(ただし、nは1より大きく、10より小さい整数である)に配置された複数のノズルから、液体の複数の連続ストリームを吐出する液滴吐出手段を使用して、液体パターンデータにしたがって印刷媒体に衝突する印刷用液滴の液体パターンを形成する方法であり、各グループのノズルは、他の各グループのノズルの間に挟まれて、他の各グループの1つのノズルがあるグループの隣接するノズルとノズルの間に位置付けられるようになっており、ノズルは一連のノズルの方向に沿って配置され、連続する液体ストリームの各々は、対応する複数の液滴形成エネルギーパルスが印加される、対応する複数の液滴形成トランスデューサによって、第一と第二の大きさの複数の液滴に分割されるような方法にあり、この方法は、(a)単位時間τの間に、液滴形成エネルギーパルスを印加することによって第一の大きさの液滴を形成するステップと、(b)第二の液滴時間τの間に、液滴形成エネルギーパルスを印加することによって第二の大きさの液滴を形成するステップであって、第二の液滴時間は、単位液滴時間のm倍であり、すなわち、τ=m×τであり、m≧2であるようなステップと、(c)連続する画素を印刷するための液滴間に、τ=a×τに等しいタイミングを設けるステップであって、aがm以上の整数で、印刷媒体速度の関数であるようなステップと、(d)液体パターンデータにしたがって非印刷用液滴と印刷用液滴を形成するように、対応する複数の液滴形成エネルギーパルスシーケンスを形成するステップと、(e)番号gのグループの液滴形成トランスデューサに送信される液滴形成エネルギーパルスのためのパルスのタイミングを、第一のグループの液滴形成トランスデューサに送信される液滴形成エネルギーパルスに関して、遅延時間τだけ遅延させるステップであって、近似値τ=g×(INT(a/n)+1/n)×τであり、gは第一のグループをゼロとして始まる、関心対象の特定のグループであるようなステップと、を含む。
【0013】
本発明の上記およびその他の目的、特徴および利点は、当業者にとって、以下の詳細な説明を、図面を参照しながら読めば明らかとなり、その中では本発明の例示的実施形態が示され、記述されている。
【0014】
本発明の上記およびその他の目的、特徴および利点は、以下の説明と図面を参照すればより明らかとなり、同一の参照番号は可能なかぎり、複数の図面で共通の同一の特徴を指すために使用されている。
【0015】
本明細書の末尾に、本発明の主題を詳しく指摘し、明確に請求する特許請求の範囲が記載されているが、本発明は以下の説明を、付属の図面を参照しながら読むことによって、よりよく理解されると考えられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、最高速度以外のすべての印刷速度における画像品質を改善するという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によって構成される印刷システムの例示的実施形態の簡略的なブロック概略図である。
【図2】本発明によって構成される連続流型印刷ヘッドの例示的実施形態の概略図である。
【図3】本発明の簡略的な気体流偏向機構の概略図である。
【図4】高速印刷時の大型および小型液滴を説明するための、本発明のインク滴パターンを示す図である。
【図5】図4の液滴パターンを作るためのパルス列を示す図である。
【図6a】従来技術による第一の低速印刷時の、先行技術によるインク滴パターンを示す図である。
【図6b】従来技術による印刷パターンが異なる液滴ストリームにシフトされた、第一の低速印刷時の、先行技術によるインク滴パターンを示す図である。
【図7】本発明の実施形態における第一の低速時の、本発明のインク滴パターンを示す図である。
【図8】図7のインク滴パターンを作るためのパルス列を示す図である。
【図9】本発明の実施形態における第二の低速時の、本発明のインク滴パターンを示す図である。
【図10】図9のインク滴パターンを作るためのパルス列を示す図である。
【図11】図2の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この説明は特に、本発明による装置の一部を構成する、または本発明による装置とより直接的に協働する要素に関するものである。当然のことながら、具体的に示されていない、または説明されていない要素は、当業者の間で周知のさまざまな形態をとることができる。以下の説明と図面において、同一の参照番号は、可能なかぎり、同一の要素を指すために使用されている。
【0019】
本発明の例示的実施形態は概略的に示されており、わかりやすさを期し、正確な縮尺では描かれていない。当業者であれば、本発明の例示的実施形態の要素の具体的な大きさと相互接続が容易にわかるであろう。
【0020】
本明細書においては、本発明の例示的実施形態として、一般的にインクジェット印刷システムで使用される印刷ヘッドまたは印刷ヘッド構成要素を提案している。しかしながら、そのほかにも、インクジェット印刷ヘッドを使用して、精密に測定し、高い空間精度で堆積させることが必要な液体(インク以外)を吐出させる数多くの用途が考案されている。したがって、本明細書においては、「液体」および「インク」という用語は、以下に説明する印刷ヘッドまたは印刷ヘッド構成要素によって吐出可能なあらゆる材料を指す。
【0021】
図1を参照すると、連続流型インクジェットプリンタシステム20は、スキャナまたはコンピュータ等の画像供給源22を有し、ここからラスタ画像データ、ページ記述言語の形態のアウトライン画像データ、またはその他の形態のデジタル画像データが供給される。この画像データは、画像処理ユニット24によってハーフトーンのビットマップ画像データに変換され、画像処理ユニット24はまた、画像データをメモリ内に保存する。複数の液滴形成機構制御回路26は、画像メモリからデータを読み出し、印刷ヘッド30の1つまたはそれ以上のノズルに関連付けられた液滴形成機構28に、時間変化する電気パルスを印加する。これらのパルスは、適当な時間に適当なノズルに印加され、それによって連続インクジェットストリームから形成される液滴により、記録媒体32の上の、画像メモリの中のデータによって指定される適当な位置にスポットが形成される。
【0022】
記録媒体32は、記録媒体搬送システム34によって印刷ヘッド30に関して移動され、記録媒体搬送システム34は、記録媒体搬送制御システム36によって電子的に制御され、記録媒体搬送制御システム36は、今度は、マイクロコントローラ38によって制御される。図1の記録媒体搬送システムは概略図にすぎず、これ以外の多くの機械的構成を利用できる。たとえば、転写ローラを記録媒体搬送システム34として使用して、インク滴の記録媒体32への転写を容易にすることができる。このような転写ローラ方式は、当業界でよく知られている。ページ幅印刷ヘッドの場合、記録媒体32を、静止した印刷ヘッドを通過するように移動させることが最も好都合である。しかしながら、走査式印刷システムの場合は、通常、印刷ヘッドを1つの軸に沿って(副走査方向)移動させ、記録媒体を相対ラスタ動作で、直交軸に沿って(主走査方向)移動させることが最も好都合である。
【0023】
インクは、圧縮された状態でインク貯蔵手段40に収容されている。非印刷状態では、連続インクジェット液滴ストリームは、ストリームをブロックするインク捕捉手段42によって記録媒体32に到達できず、このインク捕捉手段42は、インクの一部がインクリサイクルユニット44によってリサイクルされるようにしてもよい。インクリサイクルユニットは、インクを再生して、貯蔵手段40に戻す。このようなインクリサイクルユニットは当業界でよく知られている。最適な動作に適したインク圧力は、たとえばノズルの形状および熱特性や、インクの熱特性等、多数の要因に依存する。一定のインク圧力は、インク圧力調整手段46の制御の下で、インク貯蔵手段40に圧力を加えることによって実現することができる。
【0024】
インクは、インク供給路47を通じて印刷ヘッド30に分配される。インクは、好ましくは、印刷ヘッドのシリコン基板の中にその前面までエッチングにより形成されたスロットまたは穴を通じて流れ、この前面に、複数のノズルと液滴形成機構、たとえばヒータが設置される。印刷ヘッド30がシリコンで製作されている場合、液滴機構制御回26は印刷ヘッドと一体にすることができる。印刷ヘッド30はまた、偏向機構(図1には示さず)を有し、これについては、図2と図3を参照しながら以下により詳しく説明する。
【0025】
図2を参照すると、連続液流型印刷ヘッド30の概略図が示されている。印刷ヘッド30の噴射モジュール48は、ノズル板49に形成された一連の、または複数のノズル50を有する。図2において、ノズル板49は、噴射モジュール48に固定されている。しかしながら、それが好ましければ、ノズル板49を噴射モジュール48と一体に形成することができる。
【0026】
液体、たとえばインクは、圧縮されて一連の各ノズル50から吐出され、液体の糸状部52を形成する。図2において、一連の、または複数のノズルは図に入り、図から出る方向に延びており、好ましくは、一連のノズルは直線的な一連のノズルである。
【0027】
噴射モジュール48は、各ノズルから第一の大きさの液滴と第二の大きさの液滴を形成するように動作可能である。これを実現するために、噴射モジュール48は、液滴刺激または液滴形成装置またはトランスデューサ28、たとえばヒータ、圧電トランスデューサ、EHDトランスデューサおよびMEMSアクチュエータを有し、これらは、選択的に作動されると、液体、たとえばインクの糸状部52を擾乱し、その結果、各糸状部の一部が糸状部から分裂して、融合し、液滴54、56を形成する。
【0028】
図2において、液滴形成装置28は、ノズル板49の、ノズル50の片側または両側に配置されたヒータ51である。このタイプの液滴形成は周知であり、たとえば、2002年10月1日にホーキンズらに発行された特許文献8、2002年12月10日にジャンメールに発行された特許文献9、2003年1月14日にシュワレックらに発行された特許文献10、2003年4月29日にジャンメールらに発行された特許文献6、2003年6月10日にジャンメールらに発行された特許文献5、2003年7月8日にジャンメールらに発行された特許文献4、2004年9月21日にジャンメールに発行された特許文献11、2004年12月7日にジャンメールらに発行された特許文献12、2005年2月8日にジャンメールらに発行された特許文献13に記載されている。
【0029】
一般に、1つの液滴形成装置28は一連のノズルの中の各ノズル50に関連付けられる。しかしながら、液滴形成装置28は、一連のノズルの中のノズル50のグループまたはノズル50のすべてに関連付けることもできる。
【0030】
印刷ヘッド30の動作時に、液滴54、56は一般に、複数の大きさ、たとえば大型液滴56の形態の第一の大きさと、小型液滴54の第二の大きさで生成される。大型液滴56の質量と小型液滴54の質量の比率は一般に、約2から10の間の整数倍である。液滴54、56を含む液滴ストリーム58は、液滴経路すなわち軌道57に従う。
【0031】
印刷ヘッド30はまた、気体流偏向機構60を備え、これは気体流62、たとえば空気流を、液滴軌道57の一部を通るように方向付ける。液滴軌道のこの部分を、偏向領域64と呼ぶ。気体流62が偏向領域64の中で液滴54、56と相互作用すると、液滴の軌道が変化する。液滴軌道は、偏向領域64から出る際、偏向されていない液滴軌道57に関して、偏向角度と呼ばれる角度で延びていく。
【0032】
小型液滴54は気体流によって、大型液滴56より大きな影響を受けるため、小型液滴軌道66は大型液滴軌道68から分岐する。すなわち、小型液滴54の偏向角度は大型液滴56の場合より大きい。気体流62によって十分な液滴偏向が発生し、したがって、小型および大型液滴軌道が十分に分岐するため、捕捉手段42(図1に示される)を配置する位置を、小型液滴軌道66を妨害して、この軌道に従う液滴が捕捉手段42によって回収され、その一方で他の軌道に従う液滴が捕捉手段を迂回して、記録媒体32(図1に示す)に衝突するような位置とすることができる。
【0033】
捕捉手段42が小型液滴軌道66を妨害するように位置付けられていると、大型液滴56は、十分に偏向されて捕捉手段42との接触を回避し、印刷媒体に当たる。捕捉手段42が小型液滴軌道66を妨害するように位置付けられていれば、大型液滴56が印刷用の液滴となり、これを大型液滴印刷モードと呼ぶ。
【0034】
図3を参照すると、噴射モジュール48は一連の、または複数のノズル50を含む。供給路47を通じて供給される液体、たとえばインクは、圧縮されて一連の各ノズル50から吐出され、液体の糸状部52を形成する。図3において、一連の、または複数のノズル50は、図の中に入り、図から出る方向に延びている。
【0035】
噴射モジュール48に関連付けられる液滴刺激または液滴形成装置28(図1と図2に示す)は、選択的に作動されると、液体の糸状部52を擾乱し、それによって糸状部の一部が糸状部から分裂し、液滴を形成する。このようにして、液滴は選択的に、大型液滴と、記録媒体32に向かって移動する小型液滴の形態で生成される。
【0036】
気体流偏向機構60の陽圧気体流構造61は、液滴軌道57の第一の側に配置される。陽圧気体流構造61は、下側壁74と上側壁76を有する第一の気体流ダクト72を有する。気体流ダクト72は、陽圧供給源92から供給される気体流62を、液体の糸状部52に関して約45°の下方角度θで、液滴偏向領域64(図2にも示される)に向かわせる。任意で設けられる密閉材84(複数の場合もある)により、噴射モジュール48と気体流ダクト72の上側壁76の間が空気密閉される。
【0037】
気体流ダクト72の上側壁76は、液滴偏向領域64(図2にも示される)まで延びている必要はない。図3において、上側壁76は噴射モジュール48の壁96で終わっている。噴射モジュール48の壁96は、液滴偏向領域64で終わる上側壁76の一部となる。
【0038】
気体流偏向機構60の負圧気体流構造63は、液滴軌道57の第二の側に配置される。負圧気体流構造は、捕捉手段42と上側壁82の間に配置された第二の気体流ダクト78を有し、これは、偏向領域64からの気体流を排出する。第二のダクト78は負圧供給源94に接続され、負圧供給源94は、第二のダクト78を流れるガスを排出しやすくするために使用される。任意で設けられる密閉材80(複数の場合もある)により、噴射モジュール48と上壁82の間が空気密閉される。
【0039】
図3に示されるように、気体流偏向機構60は陽圧供給源92と負圧供給源94を含む。しかしながら、所期の具体的用途に応じて、気体流偏向機構60には、陽圧供給源92と負圧供給源94の一方しか設けなくてもよい。
【0040】
第一の気体流ダクト72により供給される気体は、液滴偏向領域64へと方向付けられ、ここで、この気体により、大型液滴56は大型液滴軌道68に従い、小型液滴54は小型液滴軌道66に従う。図3に示すように、小型液滴軌道66は、捕捉手段42の前面90によって遮断される。小型液滴54は面90と接触し、面90を下方に流れ、捕捉手段42と板88の間に配置された、または形成された液体回帰ダクト86の中に流れる。回収された液体はリサイクルされてインク貯蔵手段40(図1に示す)へと回帰され、再使用されるか、廃棄される。大型液滴56は捕捉手段42を迂回し、記録媒体32へと移動する。あるいは、捕捉手段42は、大型液滴軌道68を遮断するように位置付けることができる。すると、大型液滴56は捕捉手段42と接触し、捕捉手段42の中に配置された、または形成された液体回帰ダクトの中に流れる。回収された液体は、リサイクルされて再利用されるか、廃棄される。小型液滴54は捕捉手段42を迂回し、記録媒体32へと移動する。
【0041】
あるいは、偏向は、非対称ヒータ51を使用して、液体の糸状部52に非対称に熱を加えることによって実現できる。そのために使用された場合、非対称ヒータ51は一般に、偏向機構のほかに液滴形成機構としても機能する。このタイプの液滴形成と偏向は、たとえば2006年6月27日にシュワレックらに発行された特許文献14に記載されており、知られている。
【0042】
図3に示されるように、捕捉手段42は、一般に「コアンダ」キャッチャ(Coanda catcher)として知られるタイプの捕捉手段である。しかしながら、図1に示される「ナイフエッジ」キャッチャと図3に示される「コアンダ」キャッチャは互換的であり、同等の機能を果たす。あるいは、捕捉手段42はどのような好適な設計であってもよく、たとえば、これらに限定されないが、多孔質面捕捉手段、限定エッジ捕捉手段、または上記のいずれかのものの組み合わせがある。
【0043】
特許文献7によれば、一連のノズルのための液滴生成工程を、隣接するノズルの液滴形成エネルギーパルスの間にタイミングシフトまたは位相遅延が発生するように変更することによって、特定の印刷上の欠陥を排除し、または大幅に減少させることができる。これは図4において説明されており、同図は、一連のノズルによって生成された液滴ストリーム100の一部を示している。液滴の各列は、その一連のノズルの中の1つのノズルからの液体ストリーム流から分離された液滴のストリームに対応する。液滴のストリームには、100から100j+5の番号が付けられている。前述のように、あるノズルに関連付けられた液滴形成装置は、各ノズルから第一の大きさの液滴と第二の大きさの液滴を形成するように動作可能である。この図においては、液滴84が第一の大きさの液滴であり、液滴87が第二の大きさの液滴である。液滴87の体積または質量は液滴84の約3倍である。この図では液滴の体積比は3倍として示されているが、一般に、第二の大きさの液滴の体積は第一の大きさの液滴の体積の約m倍であり、mは2またはそれより大きい整数である。
【0044】
第一と第二の大きさの液滴は、ノズルから流れる液滴に印加される液滴形成エネルギーパルスの間の時間を変化させることによって形成される。1つの液滴形成エネルギーパルスから直前のパルスまでの時間がτであると、第一の大きさの液滴が作られる。時間τは、本明細書では単位時間と呼び、図5に示されており、図4に示される単位空間周期λに対応する。空間領域での単位空間周期は、小型液滴間の空間距離である。1つの液滴形成エネルギーパルスから直前のパルスまでの時間がτ、すなわちτ=m×τであると、第二の大きさの液滴が作られる。
【0045】
図4は、それぞれの液体ストリーム(図示されず、図の左外にある)から分離した一連の液滴の一部を示している。液滴は、左から右に移動する。液滴の各列は、一連のノズルの中の対応するノズルから流れる液体のストリームから、そのノズルに関連付けられた液滴形成装置によって印加されたエネルギーパルスに応答して形成される。一連の液滴のこの部分は、図3からわかるような、それらが個々の液体のストリーム52から分離した地点と非印刷用液滴が捕捉手段90に当たる地点の間の部分に対応する。図4の図は、図3の左から一連の液滴を見たものである。(図4では捕捉手段90と空気ダクトの壁74と82を示さず、液滴が見えるようにしている。)液滴84は第一の大きさの液滴である。液滴87は第二の大きさの液滴である。第二の大きさの液滴の液滴体積は、第一の大きさの液滴の体積の約m倍であり、mは整数であり、mは2または2より大きい。図の実施形態ではmは3であり、液滴87の体積は液滴84の3倍である。連続する第一の大きさの液滴84は、距離λ、すなわち単位空間周期だけ分離されている。連続する第二の大きさの液滴87は距離λだけ分離されている。距離λは距離λのm倍であり、この図では、λはλの3倍である。特許文献7は、隣接するノズルの液滴の間に、これらが印刷媒体に向かって飛翔しているときに、距離rの空間シフトを導入することによって、スプレイが大幅に減少することを開示している。その中で開示されているシフト距離rはλの半分と等しい。λがλの3倍に等しい図の実施形態の場合、空間シフト距離rはλの11/2倍に等しい。(列100j+5の中の第一の大きさの液滴84と列100j+4の中の第一の大きさの液滴84の間の空間シフト距離はすべてλの1/2と同じに見えるため、第二の大きさの液滴に関するシフトは実際にはλの11/2倍であるが、見かけ上の空間シフト距離はλの1/2のみである。)
【0046】
図5は、図4に示される一連の液滴を生成したノズルに関連付けられた液滴形成装置に印加される液滴形成パルスを示す。パルス列600の各々は、図4の中の液滴の対応する列の液滴を形成した液滴形成装置に関連付けられる。液滴形成装置に印加されるパルス610の各々によって、その液滴形成装置に関連付けられた液体のストリームから液滴が形成される。バルス610が直前のパルスから時間τだけ遅れると、そのパルスは第一の大きさの液滴を生成する。パルス610が直前のパルスから、τのm倍に等しい時間τだけ遅れると、そのパルスは第二の大きさの液滴を生成し、これが一般に印刷用液滴として使用される。
【0047】
隣接するノズルの液滴に空間シフトを発生させるために、隣接するノズルの液滴形成パルス列に位相シフトを導入する。たとえば、600j+1のパルス列はパルス列600jに関して、τの位相シフトだけ遅延されている。同様にして、600j+奇数のパルス列はすべて、600j+偶数のパルス列に関して、パルスシフトτだけ遅延される。特許文献7の教示のように、位相シフトτは約1/2τである。
【0048】
この方法はスプレイの減少に有効であるが、高速印刷時には印刷品質は十分であるものの、低速では印刷品質が劣化することがわかった。大量印刷は高速印刷で実行されるが、低速印刷は印刷動作の調整のために頻繁に使用される。すると、低速での品質劣化は、印刷システム調整能力に悪影響を与える。本発明は、この問題を克服する。
【0049】
本発明を理解するために、高速印刷と低速印刷の違いを理解するべきである。図4を参照すると、高速印刷時の印刷用および捕捉用液滴のパターンが示されており、この高速印刷では、連続する画素を印刷するために作られる液滴と液滴の間の時間τiは、印刷用液滴を作るのに必要な液滴形成パルスの間の時間τと等しい。
【0050】
従来技術による低速印刷に対応する図6aと図6bを考えると、この印刷速度では、連続する画素を印刷するための液滴と液滴の間の時間τは、印刷用液滴を作るための液滴形成パルスの間のτより大きい。所望の画素に着地するように印刷用液滴を適正に離間させるためには、連続する画素の液滴と液滴の間に非印刷用(捕捉用)液滴85を挿入する必要がある。さらに低速での印刷する場合、連続する画素の印刷用液滴の間には、さらに多くの非印刷用(捕捉用)液滴85が挿入される。連続する画素のための印刷用液滴の間に捕捉用液滴があることによって、印刷用液滴の間の空気流が変化する。特許文献7に記載の方法で低速印刷する場合、画素3つ分の幅のマークのうち外側の液滴にかかる空気抵抗により、これらの液滴は、図6aと図6bにおいて矢印により示されるように、中央の液滴より先にあれば分岐し、中央の液滴の後にあれば収束する。
【0051】
本発明に関して、図8と図10は、図7と図9に示される液滴パターンを生成するために使用される、対応するパルス列の図である。図8と図10を参照すると、連続する画素の液滴を作る間の時間τは、印刷用液滴τを作るための液滴形成パルスの間の時間τより大きい。時間τは単位時間τの数で測定され、τ=a×τであり、aは整数である。最高速度時には、aはmと等しく、低速印刷時には、aはmより大きい。低速印刷時の特許文献7に記載された従来技術の欠点を克服するために、本発明では異なる遅延時間τを用いる。
【0052】
一定のτを使用するのではなく、τは印刷速度に応じて動的に変化し、それによってτがτより大きいときにτが約τ/2となる(aはmより大きい)ことがわかった。τを2つのグループのノズルについて約τ/2に保持すると、τの数値は、隣接するノズルの第二の大きさの液滴の間の距離を最大にするための一般的なガイドラインとなる。画像品質、印刷作業性、システム制約等のその他の要素を使用して、ウェブ速度の関数としてτを制限、制約または最適化してもよい。
【0053】
たとえば、
1)τを約τ/2とすることは、特許文献7に記載された方法によって見られる空気の動的抵抗を回避するのに役立ち、その一方で、数値τを整数の1/2に制約することは、隣接する液滴の周囲の空気流を安定化させる上で役立ち、クロストークを減少させることができる。
2)a>20というごく低速においては、遅延時間τを91/2×τ±バイアス量τを超えるように増大させても、すなわちτ<10×τとしても、それ以上利益は得られないことがわかった。
【0054】
これらのガイドラインを使用すると、τはτの11/2倍、21/2倍、31/2倍、41/2倍、51/2倍、61/2倍、71/2倍、81/2倍、91/2倍のうちの1つと略等しくてもよい。多くの異なるステップにわたってτを動的に調整する方法の代替として、より低速印刷用のτのカスタムテーブル(上文のリストの中の1つまたは複数の数値)を作成する方法がある。印刷品質は、τが数学的に等式、τ/2<τ≦τに適合するかぎり、より低速での印刷にもう1つτを追加しても改善されるであろう。
【0055】
さらに、遅延を整数の1/2の数値からバイアス量τだけ若干異なるようにシフトさせることも選択でき、τは、0.05×τより大きく、0.5×τより小さい。
【0056】
数学的に、τ/2≦τ≦τとなる。液滴分離を最大にする場合、数学的にτは次のように表すことができる。
τ=(INT(a/2)+1/2)×τ±τ ・・・・ (式1)
【0057】
本発明を、ノズル50のグループが2つの場合に関して説明したが、図2のノズルにはn個のノズルグループがあってもよく、nは1より大きく、10より小さい。この場合、ノズル50の隣接する各グルーブの時間遅延はτであり、近似値τ=g×(INT(a/n)+1/n)×τ+τであり、gは関心対象の特定のグループを表す整数であり(第一のグループをゼロとして始まる)、τは任意である。ノズルのグループが2つである場合と同じ一般的ガイドラインはまた、n個のノズルグループにも適用される。
【0058】
さらにまた、本発明のインク液滴パターンは、各々異なる3つのインクの大きさがあってもよい。図11を参照すると、液滴ストリーム58の中に第三の大きさのインク滴55があり、これは液滴54より大きいが、液滴56より小さい。この場合、第三の大きさの(液滴の中間の大きさ)の液滴55の液滴軌道67は、小型液滴軌道66と大型液滴軌道68の間にある。小型液滴54と大型液滴56の場合と同様に、気体流62によって、第三の大きさの液滴は液滴軌道57に関して偏向角度を有する。第三の液滴の大きさの時間はτ=d×τであり、dは1より大きく、mより小さく、mは3より大きいか、3と等しい。第三の大きさの液滴はまた、受容媒体32に衝突する。
【0059】
上記の説明によれば、遅延時間は印刷速度の関数として変化される。見かけ上の速度が過渡的な印刷速度より速く、また遅く変化することに応答した2つの遅延時間の前後の変動をなるべく小さくするためには、印刷媒体速度の測定値をフィルタ処理することが有益である。フィルタ処理は、測定された速度の読取値をクリップして、高速閾値の量を超える測定速度読取値が閾値と置き換えられるようにすることであってもよい。同様に、低速閾値より低い測定速度読取値は、低速閾値と置き換えられる。フィルタ処理はまた、速度測定値をクリップするステップの後に複数地点移動平均を使用して、見かけ上の速度変動を縮小させることであってもよい。このようなフィルタ処理ステップは一般に、ソフトウェアまたは、フィールドプログラマブルゲートアレイのファームウェアで行われる。このフィルタ処理が有益であることがわかっているものの、他のフィルタ処理方法もまた使用可能であると予測される。
【0060】
本発明は、特に特定の好ましいその実施形態に関して詳細に説明したが、本発明の原理と範囲の中で、変更や改良を加えることができると理解されるであろう。
【符号の説明】
【0061】
20 連続流型インクジェットプリンタシステム、22 画像供給源、24 画像処理ユニット、26 機構制御回路、28 液滴形成機構、30 印刷ヘッド、32 記録媒体、34 記録媒体搬送システム、36 記録媒体搬送制御システム、38 マイクロコントローラ、40 貯蔵手段、42 捕捉手段、44 リサイクルユニット、46 圧力調整手段、47 供給路、48 噴射モジュール、49 ノズル板、50 複数のノズル、51 ヒータ、52 液体、54−56,87 液滴、57 軌道、58,100 液滴ストリーム、60 気体流偏向機構、61 陽圧気体流構造、62 気体流、63 負圧気体流構造、64 偏向領域、66 小型液滴軌道、67 中間軌道、68 大型液滴軌道、72 第一の気体流ダクト、74 下側壁、76 上側壁、78 第二の気体流ダクト、80 任意の密閉材、82 上側壁、84,86 (捕捉用)液滴、86 液滴回帰ダクト、88 板、90 前面、92 陽圧供給源、94 負圧供給源、96 壁、600 パルス列、610 パルス。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個のグループ(ただし、nは1より大きく、10より小さい整数である)に配置された複数のノズルから、液体の複数の連続ストリームを吐出する液滴吐出手段を使用して、液体パターンデータにしたがって印刷媒体に衝突する印刷用液滴の液体パターンを形成する方法であり、各グループのノズルは他の各グループのノズルの間に挟まれて、他の各グループの1つのノズルがあるグループの隣接するノズルとノズルの間に位置付けられるようになっており、ノズルは一連のノズルの方向に沿って配置され、連続する液体ストリームの各々は、対応する複数の液滴形成エネルギーパルスが印加される、対応する複数の液滴形成トランスデューサによって、第一と第二の大きさの複数の液滴に分割されるような方法であって、
(a)単位時間τの間に、液滴形成エネルギーパルスを印加することによって第一の大きさの液滴を形成するステップと、
(b)第二の液滴時間τの間に、液滴形成エネルギーパルスを印加することによって第二の大きさの液滴を形成するステップであって、第二の液滴時間は、単位液滴時間のm倍であり、すなわち、τ=m×τであり、m≧2であるようなステップと、
(c)連続する画素を印刷するための液滴間に、τ=a×τに等しいタイミングを設けるステップであって、aがm以上の整数で、印刷媒体速度の関数であるようなステップと、
(d)液体パターンデータにしたがって非印刷用液滴と印刷用液滴を形成するように、対応する複数の液滴形成エネルギーパルスシーケンスを形成するステップと、
(e)番号gのグループの液滴形成トランスデューサに送信される液滴形成エネルギーパルスのためのパルスのタイミングを、第一のグループの液滴形成トランスデューサに送信される液滴形成エネルギーパルスに関して、遅延時間τだけ遅延させるステップであって、近似値τ=g×(INT(a/n)+1/n)×τであり、gは第一のグループをゼロとして始まる、関心対象の特定のグループであるようなステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
一連のノズルが線形の一連のノズルであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
第三の液滴大きさ時間中に液滴形成エネルギーパルスを印加することによって第三の大きさの液滴を提供するステップをさらに含み、第三の液滴大きさ時間は、τ=q×τであり、qは1より大きく、mより小さく、mは3より大きいか、3と等しいことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
近似値τ/2が、τ=t/2プラスまたはマイナス、τ/2またはそれより小さいバイアス量であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、
近似値τ=g×(INT(a/n)+1/n)×τプラスまたはマイナス、τ/2またはそれより小さいバイアス量であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
n=2であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
τ<10×τであることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
第二の大きさの液滴が印刷用液滴として機能することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項4に記載の方法であって、
バイアス量>0.05×τであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
液滴形成トランスデューサが、ヒータ、圧電トランスデューサ、EHDトランスデューサおよびMEMSアクチュエータのうちの1つまたはそれ以上であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項5に記載の方法であって、
バイアス量>0.05×τであることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−510014(P2013−510014A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537221(P2012−537221)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/055373
【国際公開番号】WO2011/152852
【国際公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】