ストロボポップアップ機構及び撮影装置
【課題】カメラの繰返しの鏡筒動作においても、ストロボポップアップメカの位置決めを適切に行う。
【解決手段】撮影レンズ鏡筒6を動作させるドライブリング部材3上に具備されるカム溝3a及びカム溝3bに対応してスライドレバー部材1に具備されるカムフォロワ部材1a及びカムフォロワ部材1bがあり、最初はカム溝3aとカムフォロワ部材1aが当接しており、カム溝3a及びカムフォロワ部材1aが繰返し動作により磨耗した場合、次にカム溝3bとカムフォロワ部材1bが当接することでスライドレバー部材1の極端な位置ずれを防止し、スライドレバー部材1のずれ量をストロボポップアップ機構のバネ吸収機構により吸収することでストロボポップアップメカを適切な位置に移動させる。
【解決手段】撮影レンズ鏡筒6を動作させるドライブリング部材3上に具備されるカム溝3a及びカム溝3bに対応してスライドレバー部材1に具備されるカムフォロワ部材1a及びカムフォロワ部材1bがあり、最初はカム溝3aとカムフォロワ部材1aが当接しており、カム溝3a及びカムフォロワ部材1aが繰返し動作により磨耗した場合、次にカム溝3bとカムフォロワ部材1bが当接することでスライドレバー部材1の極端な位置ずれを防止し、スライドレバー部材1のずれ量をストロボポップアップ機構のバネ吸収機構により吸収することでストロボポップアップメカを適切な位置に移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロボ発光部のポップアップ/ポップダウン動作を行うストロボポップアップ機構、及び前記ストロボポップアップ機構を有するフィルムカメラやデジタルカメラ等の撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラ等の撮影装置には、複数の光学レンズを光軸方向に移動させ撮影倍率を変更するズーム機構を有する撮影レンズ鏡筒を備えたものがある。例えば、特許文献1に記載される撮影レンズ鏡筒では、複数の光学レンズを保持する複数のレンズ保持部材をカムリングで光軸方向に移動させ、さらに回転規制部材によりレンズ保持部材の回転方向への移動を規制している。この構成により、光学レンズを指定の位置に移動させることができる。
【0003】
近年、レンズ性能が向上し、よりワイドな画角が撮影できるズームレンズや、大口径レンズを用いてより明るい開放F値をもつレンズが小型カメラにも搭載されるようになった。その弊害として、カメラ本体内蔵型のストロボで、ストロボ照射光がレンズ先端に遮られて被写体に到達しない、所謂「ケラレ」の問題がクローズアップされるようになってきた。
【0004】
撮影レンズ鏡筒の繰出し距離が伸びたり、直径が大きくなったりすると、カメラで被写体を撮影した時に、ストロボ発光が撮影レンズ鏡筒で遮られて撮影された写真の斜め下に影ができる。通常はこの影が撮影画面の外側で収まるようにストロボの位置を撮影レンズ鏡筒より離すようにするが、近年カメラの小型化に対する要望が大きく、全てのストロボのケラレを解消するとカメラが大型化してしまうためその対処が求められていた。
【0005】
その1つの解決策として、撮影時にはストロボ発光部をカメラ本体から飛び出して撮影レンズ鏡筒から遠くに移動させ影が写り込まないようにする、所謂「ポップアップストロボ」が実用化されている。
【0006】
このようなポップアップストロボの実用例としては、例えば特許文献2に示されているように、ファインダレンズの移動に連動するようにストロボの駆動レバーを移動させ、ストロボをポップアップさせている。
【0007】
ストロボのポップアップの方式としては、ユーザーの判断によりユーザー自らが自分でストロボを操作してポップアップさせる手動式と、カメラが自動でストロボをポップアップさせるオートポップアップ方式の2種類ある。オートポップアップ方式を採った場合には、カメラの電源スイッチに連動してカメラより進退する撮影レンズ鏡筒の駆動力を使用する場合も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−324663号公報
【特許文献2】特開平7−199295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、撮影レンズ鏡筒の駆動力を使用して、ストロボを自動でポップアップさせる方式では、次のような問題点があった。
【0010】
即ち、ズーム機構を有する撮影レンズ鏡筒において、光学レンズを光軸方向に移動させる回転駆動筒に、ストロボを連動するための1本のカム溝が形成されている。このカム溝にカムフォロワ部材を追従させて、ストロボの位置決めを行っている。
【0011】
通常、撮影レンズ鏡筒が移動する度に回転駆動筒が回転し、それに伴って前記カム溝とカムフォロワ部材が接触しながら動作することになる。しかし、カメラを繰返し使用するとこの両者の接触する部分が磨耗により削れてしまい、連動の位置がずれる結果、ストロボの位置決めが正確に行われず、ストロボが適切にポップアップ動作しないという問題があった。
【0012】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、次のような、ストロボポップアップ機構及び撮影装置を提供することを目的とする。即ち、撮影装置を繰返し使用しても、ストロボのポップアップ/ポップダウン動作を行うためのカム溝とカムフォロワ部材の接触部分の磨耗を抑制することができ、また磨耗してもストロボの位置決めを適切に行うことができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のストロボポップアップ機構は、撮影装置本体に収納されたポップダウン位置と、該本体の上面から上方に突出したポップアップ位置との間で移動するストロボ発光部と、前記ストロボ発光部を駆動するスライドレバー手段と、前記スライドレバー手段を光軸方向に移動させるドライブリング手段と、前記スライドレバー手段に複数のカムフォロワ手段を設けると共に、前記ドライブリング手段に、前記カムフォロワ手段に対応する同軌跡の複数のカム溝手段を設け、前記カムフォロワ手段が前記カム溝手段に追従することによって前記スライドレバー手段が光軸前後方向に移動して、前記ストロボ発光部を駆動することを特徴とするストロボポップアップ機構であって、前記複数のカムフォロワ手段のうちの第一カムフォロワ手段がこれに対応した第一カム溝手段に当接した後、前記第一カムフォロワ手段または前記第一カム溝手段が磨耗することで、残りのカムフォロワ手段及びカム溝手段である第二カムフォロワ手段と第二カム溝手段が順次当接することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の撮影装置は、上記ストロボポップアップ機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、撮影装置を繰返し使用しても、ストロボ発行部のポップアップ/ポップダウン動作を行うためのカム溝手段とカムフォロワ手段の接触部分の磨耗を抑制することができ、また磨耗してもストロボ発行部の位置決めを適切に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態におけるストロボポップアップ機構の斜視図である。
【図2】図1に示したストロボポップアップ機構の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示したストロボポップアップ機構のポップアップ状態の断面図である。
【図4】図1に示したストロボポップアップ機構のポップダウン状態の断面図である。
【図5】撮影レンズ鏡筒の繰出し時の斜視図である。
【図6】撮影レンズ鏡筒の繰出し時の分解斜視図である。
【図7】スライドレバー部材とドライブリング部材の接触部の拡大図である。
【図8】デジタルカメラの電源オフ状態の斜視図である。
【図9】デジタルカメラの電源オン状態の斜視図である。
【図10】デジタルカメラの要部の電気的な構成を示すブロック図である。
【図11】デジタルカメラの電源オンから撮影終了までの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<本実施の形態におけるストロボ機構の構造>
まず、本発明に係る撮影装置の一例であるデジタルカメラに備えられた撮影レンズ鏡筒に連動して動作するストロボ機構の構造について、図1〜図7を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態におけるストロボポップアップ機構の斜視図であり、撮影レンズ鏡筒にストロボポップアップ機構が組み込まれた状態を示している。図2は、図1に示したストロボポップアップ機構の構成を示す分解斜視図である。また、図3は、本実施の形態におけるストロボポップアップ機構のポップアップ状態の断面図であり、図4は、ストロボポップアップ機構のポップダウン状態の断面図である。
【0020】
本実施の形態におけるストロボポップアップ機構300は、リンク部材10をリンクレバー部材13で動かすことによって、ストロボ発光部7がポップアップ/ポップダウン動作を行うようになっている。即ち、ストロボ発光部7は、撮影装置本体つまりカメラ本体19に収納されたポップダウン位置と、カメラ本体19の上面から上方に突出したポップアップ位置との間で移動する。図3に示すようにストロボ発光部7がポップアップ状態であるときに、スライドレバー部材1が前進すると、それに押されてリンクレバー部材13とリンク部材10が回転して、図4に示すようにストロボ発光部7をポップダウンする。そして、スライドレバー部材1が後退すると、再び図3に示すようにポップアップする仕組みである。
【0021】
次に、図2を参照して、ストロボポップアップ機構300全体の組立て構造を説明する。
【0022】
まず、図2に示すストロボベース12は、ストロボポップアップ機構300の全体の基台部分である。ストロボベース12の上部は、ストロボ発光部7を収納するための収納部となっており、その両側面には、摺動軸11が摺動するためのガイド溝12a、12bが形成されている。
【0023】
即ち、摺動軸11は、ストロボ発光部7の移動方向と直交方向になるように、前記ストロボ発光部7の後方に設けられ、ガイド溝12a、12bは、摺動軸11を案内するようにストロボベース部材12に設けられている。
【0024】
ストロボ発光部7の軸受7a、7bには、前述のリンク部材10が第一バネ部材8と第一シャフト部材9と共に取り付けられている。つまり、リンク部材10は、第一シャフト部材9によってストロボ発光部7に軸支されている。第一バネ部材8は、ストロボ発光部7をポップダウン位置からポップアップ位置へ移動するように付勢させるバネである。
【0025】
また、リンク部材10は、第二シャフト部材17によってストロボベース部材12に軸支されている。即ち、ストロボベース部材12の軸受12c及び12dには、リンク部材10、リンクレバー部材13、及び第二バネ部材14が挿入され、これらが第二シャフト部材17で回転自在に取り付けられている。
【0026】
リンク部材10と一体に回動するように第二シャフト部材17に取り付けられたリンクレバー部材13は、リンク部材10に当接して該リンク部材10に対し所定角度を成す係止位置と、該所定角度より開いた作動位置との間で作動可能である。
【0027】
第二バネ部材14は、第一バネ部材8より線径が太く且つ許容応力の強い材料から成り第一バネ部材8より所定量強いバネ力になるように設定され、リンクレバー部材13を係止位置の方向へ付勢させるバネである。
【0028】
ストロボ発光部7は、ガイド溝12a、12bを摺動する摺動軸11の摺動軌道に応じてカメラ本体19の後方から前方へ移動すると同時に、リンク部材10の第二シャフト部材17を中心に第一シャフト部材9が旋回移動する。
【0029】
また、ストロボ回路基板16がストロボベース12に固定されている。このストロボ回路基板16には、リード線16aが接続され、ストロボ発光部7の動作状態を検出するための検出スイッチ16bが実装されている。また、ストロボベース12の下部にはメインコンデンサ15が配置されている。メインコンデンサ15は、ストロボ発光に必要な電力を予め充電し、発光時に電力供給するものである。
【0030】
図5は、上記ストロボポップアップ機構300を搭載している撮影レンズ鏡筒6の繰出し時の斜視図であり、図6は、その分解斜視図である。
【0031】
図5に示すように、上記のスライドレバー部材1は撮影レンズ鏡筒6に組み込まれた状態になっている。撮影レンズ鏡筒6は、ズームモータ駆動部5(図10参照)によって駆動力を得て動作するが、ズームモータ駆動部5による駆動力がドライブリング部材3に伝達され、最終的に撮影レンズ鏡筒6内部のレンズ群を光軸方向へ進退動作させる。
【0032】
ドライブリング部材3はその内周に配置されている固定筒部材4に沿って回転駆動し、ドライブリング部材3の外周には図6に示すように2本のカム溝3a、3bが形成されている。ドライブリング部材3の近傍にはスライドレバー部材1が配置され、スライドレバー部材1はガイド軸2によって軸支されている。
【0033】
図6に示すように、スライドレバー部材1にはカム溝3a及び3bに挿入されるカムフォロワ部材1a、1bが一体で設けられている。ガイド軸2及びスライドレバー部材1は撮影レンズ鏡筒6全体を収納するカバー筒部材18(図1参照)によって保持され、スライドレバー部材1はガイド軸2に対して回転できないように規制されている。ドライブリング部材3が回転することで、スライドレバー部材1はカム溝3a及び3bの軌跡にしたがって光軸方向に前後移動する。
【0034】
このように、スライドレバー部材1には複数のカムフォロワ部材1a,1bが具備され、ドライブリング部材3には各カムフォロワ部材1a,1bにそれぞれ対応する同軌跡の複数のカム溝3a,3bが具備されている。そして、カムフォロワ部材1a,1bが前記カム溝3a,3bに追従することによってスライドレバー部材1が光軸前後方向に移動する。これを受けてリンクレバー部材13が移動し、ストロボ発光部7がポップアップ/ポップダウン動作を行うのである。
【0035】
<本実施の形態におけるストロボ機構の動作>
次に、本実施の形態におけるストロボ機構のポップアップ/ポップダウン動作について詳細に説明する。
【0036】
図3に示すようにストロボ発光部7がポップアップ状態であるときに、撮影レンズ鏡筒6が繰り込み方向に移動すると、スライドレバー部材1が光軸方向に前進してリンクレバー部材13を作動させる。これによって、第一バネ部材8の付勢力に抗してストロボ発光部7を図3に示すポップアップ位置から図4に示すようなポップダウン位置へ移動させることができる。
【0037】
図4に示すポップダウン状態では、スライドレバー部材1が前進してリンクレバー部材13を時計回転方向に押しており、このリンクレバー部材13に取り付けられた第二バネ部材14が第二シャフト部材17を中心にリンク部材10を時計回転方向に押している。それで、リンク部材10が第一シャフト部材9を介してストロボ発光部7を押し下げるので、ストロボ発光部7は摺動軸11を中心に反時計方向へ回転して、ポップダウンした状態を維持する。
【0038】
その後、撮影レンズ鏡筒6が繰り出し方向に移動すると、スライドレバー部材1が光軸方向に後退してリンクレバー部材13の作動が解除される。これによって、第一バネ部材8の付勢によって該ストロボ発光部7を図4のポップダウン位置から図3のポップアップ位置へ移動させることができる。即ち、スライドレバー部材1が後退すると、リンクレバー部材13が第二バネ部材14のバネ力で回転する。その結果、リンクレバー部材13のストッパーがリンク部材10の受け面に当たり、それ以上、リンクレバー部材13がリンク部材10に対して回転しない状態に係止する。さらにスライドレバー部材1が後退すると、その係止状態を維持したまま、第一バネ部材8のバネ力によってリンク部材10がストロボ発光部7に対して回転するので、ストロボ発光部7全体が摺動軸11とガイド溝12a、12bによって案内され、ポップアップ位置に至る。
【0039】
また、ストロボ発光部7がポップアップ状態/ポップダウン状態のいずれであっても、スライドレバー部材1の位置ずれに対して、ある程度の誤差を見込むように設計されている。
【0040】
即ち、図4に示すポップダウン状態では、スライドレバー部材1がカム溝3a、3bにより光軸方向前方へ移動している。つまり、スライドレバー部材1は、リンクレバー部材13がストロボ発光部7をポップアップ位置からポップダウン位置へ移動させるのに必要な移動量より所定量多く、光軸方向の前方へ移動する。このとき、第一バネ部材8と第二バネ部材14のバネバランスにより、ストロボ発光部7は閉じ側に付勢されている。そして、ストロボ発光部7のポップダウン位置は、スライドレバー部材1の位置が多少ばらついても、前記バネバランス(バネ吸収機構)とメカ的係止部材で決められている。
【0041】
また、図3に示すポップアップ状態では、スライドレバー部材1がカム溝3a、3bにより方向の後方へ移動している。つまり、スライドレバー部材1は、リンクレバー部材13の作動を解除させてストロボ発光部7をポップアップ位置へ移動させるのに必要な移動量より所定量多く、光軸方向の後方へ移動する。このとき、ストロボポップアップ機構300としては力が解放され、ストロボ発光部7のポップアップ位置は、第一バネ部材8と第二バネ部材14のバネバランス(バネ吸収機構)とメカ的係止部材で決定されている。
【0042】
一方、撮影レンズ鏡筒6が移動する度にドライブリング部材3が回転し、それに伴ってカム溝とカムフォロワ部材が接触しながら動作することになるが、繰返しカメラを使用すると、この両者の接触する部分が磨耗してくる。これによって、スライドレバー部材1の位置ずれが発生する。
【0043】
この問題に対して、本実施の形態では、次のように対処している。図7は、スライドレバー部材1とドライブリング部材3の接触部の拡大図である。
【0044】
本実施の形態では、最初にカムフォロワ部材1aとカム溝3aが接触することでスライドレバー部材1の位置を制御している。このとき、図7に示すように、カムフォロワ部材1bとカム溝3bはクリアランスが空いた状態になっている。この状態で撮影レンズ鏡筒6を繰返し動作させることで、カムフォロワ部材1aとカム溝3aが接触する部分が磨耗し、スライドレバー部材1が光軸方向後方へずれていくことになる。
【0045】
そして、スライドレバー部材1がずれた状態になったとき、第二カムフォロワ部材1bと第二カム溝3bとが接触を開始する。このように、最初は1つのカムフォロワ部材1aがカム溝3aに当接し、該カムフォロワ部材1aまたはカム溝3aが磨耗することで、残りの第二カムフォロワ部材1bと第二カム溝3bが順次当接する。
【0046】
このときは、第一カムフォロワ部材1aと第一カム溝3a、及び第二カムフォロワ部材1bと第二カム溝3bの両方で、スライドレバー部材1のスラスト位置が決定される。この状態では、更なる磨耗は抑制され、スライドレバー部材1の位置ずれは発生しづらくなる。
【0047】
このとき、スライドレバー部材1の位置が微小に変化するが、前述するようにストロボ発光部7のポップアップ状態及びポップダウン状態のいずれにおいても、スライドレバー部材1の位置づれに対して、ある程度の誤差を見込むように設計されている。即ち、スライドレバー部材1のずれ量をストロボポップアップ機構300のバネ吸収機構により吸収する。そのため、ストロボ発光部7のポップアップ位置及びポップダウン位置については影響を受けない。
【0048】
なお、本実施の形態では、カムフォロワ部材及びカム溝を2対で構成したが、場所さえ許容できれば3対以上で構成しても良く、この場合では磨耗に対して更に強度を増すことになる。
【0049】
以上の構成を採ることで、カメラを繰返し動作してもストロボ発光部7のポップアップ位置及びポップダウン位置が変動せず、ストロボ発光部7を適切な位置に移動させることができる。
【0050】
<本実施の形態におけるストロボ機構の利点>
本実施の形態によれば、第一カム溝3a及び第一カムフォロワ部材1aがカメラの繰返し動作により磨耗した場合、次に第二カム溝3bと第二カムフォロワ部材1bが当接するように構成した。これにより、カム溝とカムフォロワ部材の接触部分の磨耗の進行を遅らせることができる。さらに、前記磨耗によってスライドレバー部材1のストロークが変化することを抑制することができるので、スライドレバー部材1の極端な位置ずれを防止することができる。
【0051】
また、前記磨耗で位置ずれしたスライドレバー部材1のずれ量は、微小であっても、ストロボポップアップ機構300のバネ吸収機構により吸収するようにしたので、ストロボ発光部7を適切な位置に移動させることができる。
【0052】
<カメラの構成及び動作>
次に、上述した本実施の形態のストロボポップアップ機構300を搭載したデジタルカメラの構成について、図8〜図11を参照して説明する。
【0053】
図8は、本実施の形態におけるストロボポップアップ機構300を有するデジタルカメラの電源オフ状態の斜視図であり、図9は、該デジタルカメラの電源オン状態の斜視図である。本実施の形態で示すデジタルカメラは、撮影倍率を変更できるズーム機構を有するカメラであり、デジタルカメラに備えられた撮影レンズ鏡筒に連動してストロボポップアップ機構300が動作する。
【0054】
図8及び図9に示すように、本実施の形態のデジタルカメラの正面には、測光測距を行う場合の光源の補助を行う補助光216、被写体の構図を決めるファインダ217、ストロボ発光部7、及び撮影レンズ鏡筒6が構成されている。カメラ上面には、レリーズボタン213、ズーム切換えスイッチ214、及び電源切換えボタン215が配置されている。また、図示はしないが、カメラ背面には、機能切換えを行うための操作ボタンが配置されると共に、LCDより成るディスプレイ、ファインダ接眼部などが配置されている。
【0055】
図10は、本実施の形態におけるデジタルカメラの要部の電気的な構成を示すブロック図である。
【0056】
このデジタルカメラの制御部はCPU246、ROM245、RAM247で構成され、バス244を介して、レリーズボタン213、操作ボタン部221、ディスプレイ220、メモリ240、及びメモリカードドライブ242等の各種構成要素が接続されている。バス244を介して制御系と接続する駆動回路243には、ズームモータ駆動部5、フォーカスモータ駆動部231、シャッタ駆動部232、絞り駆動部235、CCDやCMOS等の撮像素子237、及びストロボ発光部7が接続されている。そして、制御系からの信号により各々の駆動を制御することになる。
【0057】
ROM245には上述の各機能構成要素を制御するプログラムが記憶されている。RAM47には各制御プログラムに必要なデータが記憶されている。
【0058】
以上のように、デジタルカメラは構成されているが、使用者が電源切換えボタン215を操作することで電源をオフからオンにすると、CPU246はROM245から必要な制御プログラムを読み出して初期動作を開始する。つまり、撮影レンズ鏡筒6を所定の撮影可能領域に移動させ、撮影機能を立ち上げてカメラを撮影スタンバイ状態にする。
【0059】
撮影を行うためにレリーズボタン213を押すと、撮像素子237により被写体の明るさを検知し、その測光値に基づき絞り値やシャッタスピード、またストロボ発光部7を発光するかどうかを判断する。次に測距を行い、被写体との距離を測定してフォーカスモータ駆動部31を駆動することにより所定のフォーカス位置へフォーカス部材230を移動させる。
【0060】
次にシャッタ233の開閉を行い、所望の画像を撮像素子237に取り込む。撮像素子237には、露光制御値に基づいて入射した光の光量に応じた電荷が蓄積され、その電荷が画像信号となり、アナログ信号処理部236へと出力される。アナログ信号処理部236では、取り込まれた画像データにアナログ処理を施し、A/D変換部238に出力する。A/D変換部238では取り込まれたアナログデータをデジタルデータに変換する。このデジタルデータをデジタル信号処理部239に出力し、ここでデジタルデータの処理を行う。最終的にデジタルデータはメモリ240に記憶されることになる。メモリ240に記憶された画像データやメモリカードドライブ242に記憶されている画像データを圧縮伸張部241によって伸張処理を行い、その画像データをバス244を介してディスプレイ220に表示させることができる。
【0061】
また、ズーム切換えスイッチ214を操作することにより、駆動回路243を介してズームモータ駆動部5を制御して撮影レンズ鏡筒6を光軸方向に移動させることができるようになっている。
【0062】
次に、デジタルカメラの電源オンから撮影終了までフローについて、図11を参照して説明する。
【0063】
図11は、本実施の形態におけるデジタルカメラの電源オンから撮影終了までの処理を示すフローチャートである。
【0064】
まず使用者が撮影装置の電源をオンすると(ステップS101)、CPU246はズームモータ駆動部5に指令を送り、鏡筒駆動モータをCW回転させる(ステップS102)。その後、所定の動作を行い、撮影レンズ鏡筒6が撮影位置に移動したことが確認できたら(ステップS103)、停止させる。このとき、図8の状態から図9の状態へレンズ鏡筒の状態は変化する。
【0065】
次に使用者がレリーズボタン13をオンすると(ステップS104)、測光を行い、被写体の輝度情報を得る(ステップS105)。得られた輝度情報が既定の輝度より高輝度の場合(ステップS106)、絞り234を光軸内に侵入させ、入射光量を変化させる(ステップS107)。得られた輝度情報が既定の輝度より低輝度の場合(ステップS106)、絞り234の動作は行わず光軸より退避した状態にしておく。
【0066】
その後、フォーカス部材230を作動させて、被写体のピントが合う位置へ移動させ(ステップS108)、そこで画像の取り込みを開始する(ステップS109)。次にシャッタ233を開状態から閉状態へ移動させ(ステップS110)、入射光量を遮り、画像取り込みは終了となる(ステップS111)。その後、絞り34を光軸から退避させ(ステップS112)、フォーカス部材230を初期位置に移動させて動作終了となる(ステップS113)。
【符号の説明】
【0067】
1 スライドレバー部材
1a カムフォロワ部材
1b カムフォロワ部材
2 ガイド軸
3 ドライブリング部材
3a カム溝
3b カム溝
5 ズームモータ駆動部
6 撮影レンズ鏡筒
7 ストロボ発光部
8 第一バネ部材
9 第一シャフト部材
10 リンク部材
11 摺動軸
12 ストロボベース部材
13 リンクレバー部材
17 第二シャフト部材
19 撮影装置(デジタルカメラ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロボ発光部のポップアップ/ポップダウン動作を行うストロボポップアップ機構、及び前記ストロボポップアップ機構を有するフィルムカメラやデジタルカメラ等の撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラ等の撮影装置には、複数の光学レンズを光軸方向に移動させ撮影倍率を変更するズーム機構を有する撮影レンズ鏡筒を備えたものがある。例えば、特許文献1に記載される撮影レンズ鏡筒では、複数の光学レンズを保持する複数のレンズ保持部材をカムリングで光軸方向に移動させ、さらに回転規制部材によりレンズ保持部材の回転方向への移動を規制している。この構成により、光学レンズを指定の位置に移動させることができる。
【0003】
近年、レンズ性能が向上し、よりワイドな画角が撮影できるズームレンズや、大口径レンズを用いてより明るい開放F値をもつレンズが小型カメラにも搭載されるようになった。その弊害として、カメラ本体内蔵型のストロボで、ストロボ照射光がレンズ先端に遮られて被写体に到達しない、所謂「ケラレ」の問題がクローズアップされるようになってきた。
【0004】
撮影レンズ鏡筒の繰出し距離が伸びたり、直径が大きくなったりすると、カメラで被写体を撮影した時に、ストロボ発光が撮影レンズ鏡筒で遮られて撮影された写真の斜め下に影ができる。通常はこの影が撮影画面の外側で収まるようにストロボの位置を撮影レンズ鏡筒より離すようにするが、近年カメラの小型化に対する要望が大きく、全てのストロボのケラレを解消するとカメラが大型化してしまうためその対処が求められていた。
【0005】
その1つの解決策として、撮影時にはストロボ発光部をカメラ本体から飛び出して撮影レンズ鏡筒から遠くに移動させ影が写り込まないようにする、所謂「ポップアップストロボ」が実用化されている。
【0006】
このようなポップアップストロボの実用例としては、例えば特許文献2に示されているように、ファインダレンズの移動に連動するようにストロボの駆動レバーを移動させ、ストロボをポップアップさせている。
【0007】
ストロボのポップアップの方式としては、ユーザーの判断によりユーザー自らが自分でストロボを操作してポップアップさせる手動式と、カメラが自動でストロボをポップアップさせるオートポップアップ方式の2種類ある。オートポップアップ方式を採った場合には、カメラの電源スイッチに連動してカメラより進退する撮影レンズ鏡筒の駆動力を使用する場合も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−324663号公報
【特許文献2】特開平7−199295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、撮影レンズ鏡筒の駆動力を使用して、ストロボを自動でポップアップさせる方式では、次のような問題点があった。
【0010】
即ち、ズーム機構を有する撮影レンズ鏡筒において、光学レンズを光軸方向に移動させる回転駆動筒に、ストロボを連動するための1本のカム溝が形成されている。このカム溝にカムフォロワ部材を追従させて、ストロボの位置決めを行っている。
【0011】
通常、撮影レンズ鏡筒が移動する度に回転駆動筒が回転し、それに伴って前記カム溝とカムフォロワ部材が接触しながら動作することになる。しかし、カメラを繰返し使用するとこの両者の接触する部分が磨耗により削れてしまい、連動の位置がずれる結果、ストロボの位置決めが正確に行われず、ストロボが適切にポップアップ動作しないという問題があった。
【0012】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、次のような、ストロボポップアップ機構及び撮影装置を提供することを目的とする。即ち、撮影装置を繰返し使用しても、ストロボのポップアップ/ポップダウン動作を行うためのカム溝とカムフォロワ部材の接触部分の磨耗を抑制することができ、また磨耗してもストロボの位置決めを適切に行うことができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のストロボポップアップ機構は、撮影装置本体に収納されたポップダウン位置と、該本体の上面から上方に突出したポップアップ位置との間で移動するストロボ発光部と、前記ストロボ発光部を駆動するスライドレバー手段と、前記スライドレバー手段を光軸方向に移動させるドライブリング手段と、前記スライドレバー手段に複数のカムフォロワ手段を設けると共に、前記ドライブリング手段に、前記カムフォロワ手段に対応する同軌跡の複数のカム溝手段を設け、前記カムフォロワ手段が前記カム溝手段に追従することによって前記スライドレバー手段が光軸前後方向に移動して、前記ストロボ発光部を駆動することを特徴とするストロボポップアップ機構であって、前記複数のカムフォロワ手段のうちの第一カムフォロワ手段がこれに対応した第一カム溝手段に当接した後、前記第一カムフォロワ手段または前記第一カム溝手段が磨耗することで、残りのカムフォロワ手段及びカム溝手段である第二カムフォロワ手段と第二カム溝手段が順次当接することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の撮影装置は、上記ストロボポップアップ機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、撮影装置を繰返し使用しても、ストロボ発行部のポップアップ/ポップダウン動作を行うためのカム溝手段とカムフォロワ手段の接触部分の磨耗を抑制することができ、また磨耗してもストロボ発行部の位置決めを適切に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態におけるストロボポップアップ機構の斜視図である。
【図2】図1に示したストロボポップアップ機構の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示したストロボポップアップ機構のポップアップ状態の断面図である。
【図4】図1に示したストロボポップアップ機構のポップダウン状態の断面図である。
【図5】撮影レンズ鏡筒の繰出し時の斜視図である。
【図6】撮影レンズ鏡筒の繰出し時の分解斜視図である。
【図7】スライドレバー部材とドライブリング部材の接触部の拡大図である。
【図8】デジタルカメラの電源オフ状態の斜視図である。
【図9】デジタルカメラの電源オン状態の斜視図である。
【図10】デジタルカメラの要部の電気的な構成を示すブロック図である。
【図11】デジタルカメラの電源オンから撮影終了までの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<本実施の形態におけるストロボ機構の構造>
まず、本発明に係る撮影装置の一例であるデジタルカメラに備えられた撮影レンズ鏡筒に連動して動作するストロボ機構の構造について、図1〜図7を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態におけるストロボポップアップ機構の斜視図であり、撮影レンズ鏡筒にストロボポップアップ機構が組み込まれた状態を示している。図2は、図1に示したストロボポップアップ機構の構成を示す分解斜視図である。また、図3は、本実施の形態におけるストロボポップアップ機構のポップアップ状態の断面図であり、図4は、ストロボポップアップ機構のポップダウン状態の断面図である。
【0020】
本実施の形態におけるストロボポップアップ機構300は、リンク部材10をリンクレバー部材13で動かすことによって、ストロボ発光部7がポップアップ/ポップダウン動作を行うようになっている。即ち、ストロボ発光部7は、撮影装置本体つまりカメラ本体19に収納されたポップダウン位置と、カメラ本体19の上面から上方に突出したポップアップ位置との間で移動する。図3に示すようにストロボ発光部7がポップアップ状態であるときに、スライドレバー部材1が前進すると、それに押されてリンクレバー部材13とリンク部材10が回転して、図4に示すようにストロボ発光部7をポップダウンする。そして、スライドレバー部材1が後退すると、再び図3に示すようにポップアップする仕組みである。
【0021】
次に、図2を参照して、ストロボポップアップ機構300全体の組立て構造を説明する。
【0022】
まず、図2に示すストロボベース12は、ストロボポップアップ機構300の全体の基台部分である。ストロボベース12の上部は、ストロボ発光部7を収納するための収納部となっており、その両側面には、摺動軸11が摺動するためのガイド溝12a、12bが形成されている。
【0023】
即ち、摺動軸11は、ストロボ発光部7の移動方向と直交方向になるように、前記ストロボ発光部7の後方に設けられ、ガイド溝12a、12bは、摺動軸11を案内するようにストロボベース部材12に設けられている。
【0024】
ストロボ発光部7の軸受7a、7bには、前述のリンク部材10が第一バネ部材8と第一シャフト部材9と共に取り付けられている。つまり、リンク部材10は、第一シャフト部材9によってストロボ発光部7に軸支されている。第一バネ部材8は、ストロボ発光部7をポップダウン位置からポップアップ位置へ移動するように付勢させるバネである。
【0025】
また、リンク部材10は、第二シャフト部材17によってストロボベース部材12に軸支されている。即ち、ストロボベース部材12の軸受12c及び12dには、リンク部材10、リンクレバー部材13、及び第二バネ部材14が挿入され、これらが第二シャフト部材17で回転自在に取り付けられている。
【0026】
リンク部材10と一体に回動するように第二シャフト部材17に取り付けられたリンクレバー部材13は、リンク部材10に当接して該リンク部材10に対し所定角度を成す係止位置と、該所定角度より開いた作動位置との間で作動可能である。
【0027】
第二バネ部材14は、第一バネ部材8より線径が太く且つ許容応力の強い材料から成り第一バネ部材8より所定量強いバネ力になるように設定され、リンクレバー部材13を係止位置の方向へ付勢させるバネである。
【0028】
ストロボ発光部7は、ガイド溝12a、12bを摺動する摺動軸11の摺動軌道に応じてカメラ本体19の後方から前方へ移動すると同時に、リンク部材10の第二シャフト部材17を中心に第一シャフト部材9が旋回移動する。
【0029】
また、ストロボ回路基板16がストロボベース12に固定されている。このストロボ回路基板16には、リード線16aが接続され、ストロボ発光部7の動作状態を検出するための検出スイッチ16bが実装されている。また、ストロボベース12の下部にはメインコンデンサ15が配置されている。メインコンデンサ15は、ストロボ発光に必要な電力を予め充電し、発光時に電力供給するものである。
【0030】
図5は、上記ストロボポップアップ機構300を搭載している撮影レンズ鏡筒6の繰出し時の斜視図であり、図6は、その分解斜視図である。
【0031】
図5に示すように、上記のスライドレバー部材1は撮影レンズ鏡筒6に組み込まれた状態になっている。撮影レンズ鏡筒6は、ズームモータ駆動部5(図10参照)によって駆動力を得て動作するが、ズームモータ駆動部5による駆動力がドライブリング部材3に伝達され、最終的に撮影レンズ鏡筒6内部のレンズ群を光軸方向へ進退動作させる。
【0032】
ドライブリング部材3はその内周に配置されている固定筒部材4に沿って回転駆動し、ドライブリング部材3の外周には図6に示すように2本のカム溝3a、3bが形成されている。ドライブリング部材3の近傍にはスライドレバー部材1が配置され、スライドレバー部材1はガイド軸2によって軸支されている。
【0033】
図6に示すように、スライドレバー部材1にはカム溝3a及び3bに挿入されるカムフォロワ部材1a、1bが一体で設けられている。ガイド軸2及びスライドレバー部材1は撮影レンズ鏡筒6全体を収納するカバー筒部材18(図1参照)によって保持され、スライドレバー部材1はガイド軸2に対して回転できないように規制されている。ドライブリング部材3が回転することで、スライドレバー部材1はカム溝3a及び3bの軌跡にしたがって光軸方向に前後移動する。
【0034】
このように、スライドレバー部材1には複数のカムフォロワ部材1a,1bが具備され、ドライブリング部材3には各カムフォロワ部材1a,1bにそれぞれ対応する同軌跡の複数のカム溝3a,3bが具備されている。そして、カムフォロワ部材1a,1bが前記カム溝3a,3bに追従することによってスライドレバー部材1が光軸前後方向に移動する。これを受けてリンクレバー部材13が移動し、ストロボ発光部7がポップアップ/ポップダウン動作を行うのである。
【0035】
<本実施の形態におけるストロボ機構の動作>
次に、本実施の形態におけるストロボ機構のポップアップ/ポップダウン動作について詳細に説明する。
【0036】
図3に示すようにストロボ発光部7がポップアップ状態であるときに、撮影レンズ鏡筒6が繰り込み方向に移動すると、スライドレバー部材1が光軸方向に前進してリンクレバー部材13を作動させる。これによって、第一バネ部材8の付勢力に抗してストロボ発光部7を図3に示すポップアップ位置から図4に示すようなポップダウン位置へ移動させることができる。
【0037】
図4に示すポップダウン状態では、スライドレバー部材1が前進してリンクレバー部材13を時計回転方向に押しており、このリンクレバー部材13に取り付けられた第二バネ部材14が第二シャフト部材17を中心にリンク部材10を時計回転方向に押している。それで、リンク部材10が第一シャフト部材9を介してストロボ発光部7を押し下げるので、ストロボ発光部7は摺動軸11を中心に反時計方向へ回転して、ポップダウンした状態を維持する。
【0038】
その後、撮影レンズ鏡筒6が繰り出し方向に移動すると、スライドレバー部材1が光軸方向に後退してリンクレバー部材13の作動が解除される。これによって、第一バネ部材8の付勢によって該ストロボ発光部7を図4のポップダウン位置から図3のポップアップ位置へ移動させることができる。即ち、スライドレバー部材1が後退すると、リンクレバー部材13が第二バネ部材14のバネ力で回転する。その結果、リンクレバー部材13のストッパーがリンク部材10の受け面に当たり、それ以上、リンクレバー部材13がリンク部材10に対して回転しない状態に係止する。さらにスライドレバー部材1が後退すると、その係止状態を維持したまま、第一バネ部材8のバネ力によってリンク部材10がストロボ発光部7に対して回転するので、ストロボ発光部7全体が摺動軸11とガイド溝12a、12bによって案内され、ポップアップ位置に至る。
【0039】
また、ストロボ発光部7がポップアップ状態/ポップダウン状態のいずれであっても、スライドレバー部材1の位置ずれに対して、ある程度の誤差を見込むように設計されている。
【0040】
即ち、図4に示すポップダウン状態では、スライドレバー部材1がカム溝3a、3bにより光軸方向前方へ移動している。つまり、スライドレバー部材1は、リンクレバー部材13がストロボ発光部7をポップアップ位置からポップダウン位置へ移動させるのに必要な移動量より所定量多く、光軸方向の前方へ移動する。このとき、第一バネ部材8と第二バネ部材14のバネバランスにより、ストロボ発光部7は閉じ側に付勢されている。そして、ストロボ発光部7のポップダウン位置は、スライドレバー部材1の位置が多少ばらついても、前記バネバランス(バネ吸収機構)とメカ的係止部材で決められている。
【0041】
また、図3に示すポップアップ状態では、スライドレバー部材1がカム溝3a、3bにより方向の後方へ移動している。つまり、スライドレバー部材1は、リンクレバー部材13の作動を解除させてストロボ発光部7をポップアップ位置へ移動させるのに必要な移動量より所定量多く、光軸方向の後方へ移動する。このとき、ストロボポップアップ機構300としては力が解放され、ストロボ発光部7のポップアップ位置は、第一バネ部材8と第二バネ部材14のバネバランス(バネ吸収機構)とメカ的係止部材で決定されている。
【0042】
一方、撮影レンズ鏡筒6が移動する度にドライブリング部材3が回転し、それに伴ってカム溝とカムフォロワ部材が接触しながら動作することになるが、繰返しカメラを使用すると、この両者の接触する部分が磨耗してくる。これによって、スライドレバー部材1の位置ずれが発生する。
【0043】
この問題に対して、本実施の形態では、次のように対処している。図7は、スライドレバー部材1とドライブリング部材3の接触部の拡大図である。
【0044】
本実施の形態では、最初にカムフォロワ部材1aとカム溝3aが接触することでスライドレバー部材1の位置を制御している。このとき、図7に示すように、カムフォロワ部材1bとカム溝3bはクリアランスが空いた状態になっている。この状態で撮影レンズ鏡筒6を繰返し動作させることで、カムフォロワ部材1aとカム溝3aが接触する部分が磨耗し、スライドレバー部材1が光軸方向後方へずれていくことになる。
【0045】
そして、スライドレバー部材1がずれた状態になったとき、第二カムフォロワ部材1bと第二カム溝3bとが接触を開始する。このように、最初は1つのカムフォロワ部材1aがカム溝3aに当接し、該カムフォロワ部材1aまたはカム溝3aが磨耗することで、残りの第二カムフォロワ部材1bと第二カム溝3bが順次当接する。
【0046】
このときは、第一カムフォロワ部材1aと第一カム溝3a、及び第二カムフォロワ部材1bと第二カム溝3bの両方で、スライドレバー部材1のスラスト位置が決定される。この状態では、更なる磨耗は抑制され、スライドレバー部材1の位置ずれは発生しづらくなる。
【0047】
このとき、スライドレバー部材1の位置が微小に変化するが、前述するようにストロボ発光部7のポップアップ状態及びポップダウン状態のいずれにおいても、スライドレバー部材1の位置づれに対して、ある程度の誤差を見込むように設計されている。即ち、スライドレバー部材1のずれ量をストロボポップアップ機構300のバネ吸収機構により吸収する。そのため、ストロボ発光部7のポップアップ位置及びポップダウン位置については影響を受けない。
【0048】
なお、本実施の形態では、カムフォロワ部材及びカム溝を2対で構成したが、場所さえ許容できれば3対以上で構成しても良く、この場合では磨耗に対して更に強度を増すことになる。
【0049】
以上の構成を採ることで、カメラを繰返し動作してもストロボ発光部7のポップアップ位置及びポップダウン位置が変動せず、ストロボ発光部7を適切な位置に移動させることができる。
【0050】
<本実施の形態におけるストロボ機構の利点>
本実施の形態によれば、第一カム溝3a及び第一カムフォロワ部材1aがカメラの繰返し動作により磨耗した場合、次に第二カム溝3bと第二カムフォロワ部材1bが当接するように構成した。これにより、カム溝とカムフォロワ部材の接触部分の磨耗の進行を遅らせることができる。さらに、前記磨耗によってスライドレバー部材1のストロークが変化することを抑制することができるので、スライドレバー部材1の極端な位置ずれを防止することができる。
【0051】
また、前記磨耗で位置ずれしたスライドレバー部材1のずれ量は、微小であっても、ストロボポップアップ機構300のバネ吸収機構により吸収するようにしたので、ストロボ発光部7を適切な位置に移動させることができる。
【0052】
<カメラの構成及び動作>
次に、上述した本実施の形態のストロボポップアップ機構300を搭載したデジタルカメラの構成について、図8〜図11を参照して説明する。
【0053】
図8は、本実施の形態におけるストロボポップアップ機構300を有するデジタルカメラの電源オフ状態の斜視図であり、図9は、該デジタルカメラの電源オン状態の斜視図である。本実施の形態で示すデジタルカメラは、撮影倍率を変更できるズーム機構を有するカメラであり、デジタルカメラに備えられた撮影レンズ鏡筒に連動してストロボポップアップ機構300が動作する。
【0054】
図8及び図9に示すように、本実施の形態のデジタルカメラの正面には、測光測距を行う場合の光源の補助を行う補助光216、被写体の構図を決めるファインダ217、ストロボ発光部7、及び撮影レンズ鏡筒6が構成されている。カメラ上面には、レリーズボタン213、ズーム切換えスイッチ214、及び電源切換えボタン215が配置されている。また、図示はしないが、カメラ背面には、機能切換えを行うための操作ボタンが配置されると共に、LCDより成るディスプレイ、ファインダ接眼部などが配置されている。
【0055】
図10は、本実施の形態におけるデジタルカメラの要部の電気的な構成を示すブロック図である。
【0056】
このデジタルカメラの制御部はCPU246、ROM245、RAM247で構成され、バス244を介して、レリーズボタン213、操作ボタン部221、ディスプレイ220、メモリ240、及びメモリカードドライブ242等の各種構成要素が接続されている。バス244を介して制御系と接続する駆動回路243には、ズームモータ駆動部5、フォーカスモータ駆動部231、シャッタ駆動部232、絞り駆動部235、CCDやCMOS等の撮像素子237、及びストロボ発光部7が接続されている。そして、制御系からの信号により各々の駆動を制御することになる。
【0057】
ROM245には上述の各機能構成要素を制御するプログラムが記憶されている。RAM47には各制御プログラムに必要なデータが記憶されている。
【0058】
以上のように、デジタルカメラは構成されているが、使用者が電源切換えボタン215を操作することで電源をオフからオンにすると、CPU246はROM245から必要な制御プログラムを読み出して初期動作を開始する。つまり、撮影レンズ鏡筒6を所定の撮影可能領域に移動させ、撮影機能を立ち上げてカメラを撮影スタンバイ状態にする。
【0059】
撮影を行うためにレリーズボタン213を押すと、撮像素子237により被写体の明るさを検知し、その測光値に基づき絞り値やシャッタスピード、またストロボ発光部7を発光するかどうかを判断する。次に測距を行い、被写体との距離を測定してフォーカスモータ駆動部31を駆動することにより所定のフォーカス位置へフォーカス部材230を移動させる。
【0060】
次にシャッタ233の開閉を行い、所望の画像を撮像素子237に取り込む。撮像素子237には、露光制御値に基づいて入射した光の光量に応じた電荷が蓄積され、その電荷が画像信号となり、アナログ信号処理部236へと出力される。アナログ信号処理部236では、取り込まれた画像データにアナログ処理を施し、A/D変換部238に出力する。A/D変換部238では取り込まれたアナログデータをデジタルデータに変換する。このデジタルデータをデジタル信号処理部239に出力し、ここでデジタルデータの処理を行う。最終的にデジタルデータはメモリ240に記憶されることになる。メモリ240に記憶された画像データやメモリカードドライブ242に記憶されている画像データを圧縮伸張部241によって伸張処理を行い、その画像データをバス244を介してディスプレイ220に表示させることができる。
【0061】
また、ズーム切換えスイッチ214を操作することにより、駆動回路243を介してズームモータ駆動部5を制御して撮影レンズ鏡筒6を光軸方向に移動させることができるようになっている。
【0062】
次に、デジタルカメラの電源オンから撮影終了までフローについて、図11を参照して説明する。
【0063】
図11は、本実施の形態におけるデジタルカメラの電源オンから撮影終了までの処理を示すフローチャートである。
【0064】
まず使用者が撮影装置の電源をオンすると(ステップS101)、CPU246はズームモータ駆動部5に指令を送り、鏡筒駆動モータをCW回転させる(ステップS102)。その後、所定の動作を行い、撮影レンズ鏡筒6が撮影位置に移動したことが確認できたら(ステップS103)、停止させる。このとき、図8の状態から図9の状態へレンズ鏡筒の状態は変化する。
【0065】
次に使用者がレリーズボタン13をオンすると(ステップS104)、測光を行い、被写体の輝度情報を得る(ステップS105)。得られた輝度情報が既定の輝度より高輝度の場合(ステップS106)、絞り234を光軸内に侵入させ、入射光量を変化させる(ステップS107)。得られた輝度情報が既定の輝度より低輝度の場合(ステップS106)、絞り234の動作は行わず光軸より退避した状態にしておく。
【0066】
その後、フォーカス部材230を作動させて、被写体のピントが合う位置へ移動させ(ステップS108)、そこで画像の取り込みを開始する(ステップS109)。次にシャッタ233を開状態から閉状態へ移動させ(ステップS110)、入射光量を遮り、画像取り込みは終了となる(ステップS111)。その後、絞り34を光軸から退避させ(ステップS112)、フォーカス部材230を初期位置に移動させて動作終了となる(ステップS113)。
【符号の説明】
【0067】
1 スライドレバー部材
1a カムフォロワ部材
1b カムフォロワ部材
2 ガイド軸
3 ドライブリング部材
3a カム溝
3b カム溝
5 ズームモータ駆動部
6 撮影レンズ鏡筒
7 ストロボ発光部
8 第一バネ部材
9 第一シャフト部材
10 リンク部材
11 摺動軸
12 ストロボベース部材
13 リンクレバー部材
17 第二シャフト部材
19 撮影装置(デジタルカメラ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置本体に収納されたポップダウン位置と、該本体の上面から上方に突出したポップアップ位置との間で移動するストロボ発光部と、前記ストロボ発光部を駆動するスライドレバー手段と、前記スライドレバー手段を光軸方向に移動させるドライブリング手段と、前記スライドレバー手段に複数のカムフォロワ手段を設けると共に、前記ドライブリング手段に、前記カムフォロワ手段に対応する同軌跡の複数のカム溝手段を設け、前記カムフォロワ手段が前記カム溝手段に追従することによって前記スライドレバー手段が光軸前後方向に移動して、前記ストロボ発光部を駆動することを特徴とするストロボポップアップ機構であって、
前記複数のカムフォロワ手段のうちの第一カムフォロワ手段がこれに対応した第一カム溝手段に当接した後、前記第一カムフォロワ手段または前記第一カム溝手段が磨耗することで、残りのカムフォロワ手段及びカム溝手段である第二カムフォロワ手段と第二カム溝手段が順次当接することを特徴とするストロボポップアップ機構。
【請求項2】
前記ストロボ発光部の移動方向と直交方向になるように該ストロボ発光部の後方に設けた摺動軸と、
前記摺動軸を案内するようにストロボベース手段に設けたガイド溝と、
第一シャフト手段によって前記ストロボ発光部に軸支され、第二シャフト手段によって前記ストロボベース手段に軸支されたリンク手段と、
前記第一シャフト手段に取り付けられた第一バネ手段とを有し、
前記ストロボ発光部は、前記ガイド溝を摺動する前記摺動軸の摺動軌道に応じて前記本体の後方から前方へ移動するように構成し、
前記リンク手段の前記第二シャフト手段を中心に前記第一シャフト手段が旋回移動し、前記第一バネ手段の付勢力により、前記ストロボ発光部を前記ポップダウン位置から前記ポップアップ位置へ移動させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項3】
前記リンク手段と一体で回動するように前記第二シャフト手段に設けられ、前記リンク手段に当接して該リンク手段に対し所定角度を成す係止位置と該所定角度より開いた作動位置との間で作動可能なリンクレバー手段を有し、
前記スライドレバー手段によって前記リンクレバー手段を作動させることにより、前記第一バネ手段の付勢に抗して前記ストロボ発光部を前記ポップアップ位置から前記ポップダウン位置へ移動させ、前記リンクレバー手段の作動を解除させることにより、前記第一バネ手段の付勢によって前記ストロボ発光部を前記ポップダウン位置から前記ポップアップ位置へ移動させることを特徴とする請求項2に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項4】
前記スライドレバー手段が光軸前後方向に移動することで、前記リンクレバー手段を作動させることを特徴とする請求項3に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項5】
前記リンクレバー手段を前記係止位置の方向へ付勢させる第二バネ手段を有し、
前記第二バネ手段は、前記第一バネ手段より所定量強いバネ力に設定されたことを特徴とする請求項3または4に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項6】
前記スライドレバー手段は、前記リンクレバー手段の作動を解除させて前記ストロボ発光部をポップアップ位置へ移動させるのに必要な移動量より所定量多く、光軸方向後方へ移動することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項7】
前記スライドレバー手段は、前記リンクレバー手段が前記ストロボ発光部を前記ポップアップ位置から前記ポップダウン位置へ移動させるのに必要な移動量より所定量多く、光軸方向前方へ移動することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたストロボポップアップ機構を備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項1】
撮影装置本体に収納されたポップダウン位置と、該本体の上面から上方に突出したポップアップ位置との間で移動するストロボ発光部と、前記ストロボ発光部を駆動するスライドレバー手段と、前記スライドレバー手段を光軸方向に移動させるドライブリング手段と、前記スライドレバー手段に複数のカムフォロワ手段を設けると共に、前記ドライブリング手段に、前記カムフォロワ手段に対応する同軌跡の複数のカム溝手段を設け、前記カムフォロワ手段が前記カム溝手段に追従することによって前記スライドレバー手段が光軸前後方向に移動して、前記ストロボ発光部を駆動することを特徴とするストロボポップアップ機構であって、
前記複数のカムフォロワ手段のうちの第一カムフォロワ手段がこれに対応した第一カム溝手段に当接した後、前記第一カムフォロワ手段または前記第一カム溝手段が磨耗することで、残りのカムフォロワ手段及びカム溝手段である第二カムフォロワ手段と第二カム溝手段が順次当接することを特徴とするストロボポップアップ機構。
【請求項2】
前記ストロボ発光部の移動方向と直交方向になるように該ストロボ発光部の後方に設けた摺動軸と、
前記摺動軸を案内するようにストロボベース手段に設けたガイド溝と、
第一シャフト手段によって前記ストロボ発光部に軸支され、第二シャフト手段によって前記ストロボベース手段に軸支されたリンク手段と、
前記第一シャフト手段に取り付けられた第一バネ手段とを有し、
前記ストロボ発光部は、前記ガイド溝を摺動する前記摺動軸の摺動軌道に応じて前記本体の後方から前方へ移動するように構成し、
前記リンク手段の前記第二シャフト手段を中心に前記第一シャフト手段が旋回移動し、前記第一バネ手段の付勢力により、前記ストロボ発光部を前記ポップダウン位置から前記ポップアップ位置へ移動させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項3】
前記リンク手段と一体で回動するように前記第二シャフト手段に設けられ、前記リンク手段に当接して該リンク手段に対し所定角度を成す係止位置と該所定角度より開いた作動位置との間で作動可能なリンクレバー手段を有し、
前記スライドレバー手段によって前記リンクレバー手段を作動させることにより、前記第一バネ手段の付勢に抗して前記ストロボ発光部を前記ポップアップ位置から前記ポップダウン位置へ移動させ、前記リンクレバー手段の作動を解除させることにより、前記第一バネ手段の付勢によって前記ストロボ発光部を前記ポップダウン位置から前記ポップアップ位置へ移動させることを特徴とする請求項2に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項4】
前記スライドレバー手段が光軸前後方向に移動することで、前記リンクレバー手段を作動させることを特徴とする請求項3に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項5】
前記リンクレバー手段を前記係止位置の方向へ付勢させる第二バネ手段を有し、
前記第二バネ手段は、前記第一バネ手段より所定量強いバネ力に設定されたことを特徴とする請求項3または4に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項6】
前記スライドレバー手段は、前記リンクレバー手段の作動を解除させて前記ストロボ発光部をポップアップ位置へ移動させるのに必要な移動量より所定量多く、光軸方向後方へ移動することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項7】
前記スライドレバー手段は、前記リンクレバー手段が前記ストロボ発光部を前記ポップアップ位置から前記ポップダウン位置へ移動させるのに必要な移動量より所定量多く、光軸方向前方へ移動することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載のストロボポップアップ機構。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたストロボポップアップ機構を備えたことを特徴とする撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−175630(P2010−175630A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15547(P2009−15547)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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