説明

ストロンチウムラネレートのアルファー(α)−結晶形、その製造方法、及びそれを含む医薬組成物

【課題】濾過および製剤化の容易なストロンチウムラネレートの結晶系、その製造方法及びそれを含む医薬組成物の提供。
【解決手段】
粉末X線回析ダイヤグラムおよび22〜24%の水分含有量により特徴付けられる、式(I):


のストロンチウムラネレートのα−結晶形。薬剤類。
X’Celerator検出器とともにPANalytical X’Pert Pro回折装置を用いて測定され、光線位置、光線高、光線範囲、半分の高さにおける光線幅および面間距離の項目で表される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロンチウムラネレートのアルファー(α)−結晶形、その製造方法、及びそれを含む医薬組成物に関する。
【0002】
式(I):
【0003】
【化2】

【0004】
で表されるストロンチウムラネレート、または5−[ビス(カルボキシメチル)アミノ]−3−カルボキシメチル−4−シアノ−2−チオフェンカルボン酸のジストロンチウム塩、及びその水和物は、非常に価値有る薬理学的および治療的特性、とりわけ、顕著な抗骨粗鬆症特性を有しており、この特性が、骨疾患の治療および予防において、これらの化合物を有用なものとしている。
【0005】
ストロンチウムラネレートおよびその水和物は、関節症の治療および予防において、それらの化合物を有用なものとする特性も有している。
【0006】
ストロンチウムラネレートならびにその四水和物、七水和物および八水和物の製造、および治療的用途は、ヨーロッパ特許明細書 第0415850号に記載されている。
【0007】
関節症の予防及び治療におけるストロンチウムラネレートの使用は、ヨーロッパ特許明細書、第0813869号明細書に記載されている。
【0008】
出願人は、今、ストロンチウムラネレートが良く定義される結晶形で得られ、その結晶体が完全に再現可能であり、その事実のため、濾過および製剤化の容易さという点で、価値有る特性を有していることを見出した。
【0009】
より具体的には、本発明は、22〜24%の水分含有量ならびに、X'Celerator検出器とともにPANalytical X'Pert Pro回析装置を用いて測定され、光線位置(ブラッグ角度2θ、度数表示)、光線高(総数表示)、光線範囲(x度の総数表示)、半分の高さにおける光線幅("FWHM"、度数表示)および面間距離d(Å表示)の項目で表されている、以下の粉末X線回析ダイアグラム:
【0010】
【表2】



【0011】
により特徴付けられる、ストロンチウムラネレートのα−結晶形に関する。
【0012】
本発明は、また、水中の、ストロンチウムラネレートまたはその水和物の溶液を加熱還流し、その後、結晶化が終了するまで冷却し、その生成物を濾過により採集することを特徴とする、ストロンチウムラネレートのα−結晶形の製造方法に関する。
【0013】
● 本発明の製造方法において、どんな製法で得られるストロンチウムラネレートまたはその水和物、たとえば、ヨーロッパ特許明細書、第0415850号に記載される製造方法により得られるストロンチウムラネレート・八水和物を使用することが可能である。
【0014】
● 前記結晶形を得ることの利点は、とりわけ、迅速で効率的な濾過を可能にし、一貫し、再現可能な組成物の医薬製剤の製造方法も可能にすることであり、その製剤が経口投与を目的とするときに、とりわけ有利である。
【0015】
● そのようにして得られる結晶形は、十分に安定であり、温度、光、湿度または酸素レベルの項目において、特別な条件なしに、延長される期間につき、貯蔵を可能にする。
【0016】
また、本発明は、一つ以上の適切な不活性かつ非毒性な賦形剤とともに、活性成分として、ストロンチウムラネレートのα−結晶形を含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物の中で、特に、経口、非経口(静脈ないし皮下)または経鼻投与に適したもの、錠剤ないし糖衣錠、顆粒、舌下錠剤、カプセル、舐剤、座薬、クリーム、軟膏、皮膚用のゲル、注射用製剤、飲用可能な懸濁剤およびチューインガムが挙げられる。
【0017】
有用な投与量は、疾病の性質と重度、投与経路および患者の年齢と体重により変化しうる。投与量は、一回以上の投与において、1日あたり0.2〜10gの範囲で変化する。
【0018】
次の実施例は、本発明を例証する。
【0019】
X線粉末回析スペクトルは、次の実験条件下で測定された。
【0020】
− PANalytical X'Pert Pro回析装置、X'Celerator検出器、
− 電圧45kV、強度40mA、
− マウンティング θ−θ、
− Kβ(Ni)フィルター、
− 入射ビーム側および回析ビーム ソーラースリット:0.04ラド、
− 発散スリット:自動、照射長:10mm、
− マスク:10mm、
− 散乱線除去スリット:1/2°、
− 測定モード:3°〜34°の範囲で連続、0.017°の増分にて、
− ステップごとの測定時間:31.1秒、
− 合計時間:8分07秒、
− 測定速度:0.068°/秒、
− スピナー:1秒当たり1回転、
− 測定温度:周囲温度。
【0021】
実施例1:ストロンチウムラネレートのα−結晶形
ヨーロッパ特許明細書 第0415850号に記載されるプロセスにより得られる、ストロンチウムラネレート・八水和物200gを水2リットルと混合し、加熱還流する。その後、混合物を20℃まで冷却する。得られる固体を濾過により採集する。
【0022】
乾燥による損失により定められる、得られる生成物の水分含有量は、22〜24%であり、これは、ストロンチウムラネレート1分子当たり、水の8.1〜9分子に相当する。
【0023】
X線粉末回析ダイヤグラム。
【0024】
ストロンチウムラネレートのα−形のX線粉末回析プロファイル(回析角度)を、次表:
【0025】
【表3】



【0026】
に対照にされる顕著な光線群により示す。
【0027】
実施例2:医薬組成物
各々、活性成分0.5gを含有する錠剤1000錠の製造の処方
実施例1の化合物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・658g
カルボキシメチル澱粉ナトリウム・・・・・・・・・・・・・25.5g
微結晶性セルロース・・・・・・・・・・・・・・・・・・119.4g
ポビドン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38g
無水コロイドシリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5g
ステアリン酸マグネシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・7.6g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
22〜24%の水分含有量ならびに、X'Celerator検出器とともにPANalytical X'Pert Pro回析装置を用いて測定され、光線位置(ブラッグ角度2θ、度数表示)、光線高(総数表示)、光線範囲(x度の総数表示)、半分の高さにおける光線幅("FWHM"、度数表示)および面間距離d(Å表示)の項目で表される、以下の粉末X線回析ダイヤグラム:
【表1】




で特徴づけられる、式(I):
【化1】

のストロンチウムラネレートのα−結晶形。
【請求項2】
水中の、ストロンチウムラネレートあるいはその水和物の溶液を加熱還流し、その後、結晶化が終了するまで冷却し、その生成物を濾過により採集することを特徴とする、請求項1に記載のストロンチウムラネレートのα−結晶形の製造方法。
【請求項3】
活性成分として、請求項1に記載のストロンチウムラネレートのα−結晶形を、一つ以上の薬理上許容される、不活性かつ非毒性な担体と組み合わせて、含む医薬組成物
【請求項4】
骨粗鬆症の治療または予防に使用する薬剤の製造における、請求項1に記載のストロンチウムラネレートのα−結晶形の使用。
【請求項5】
関節症の治療または予防に使用する薬剤の製造における、請求項1に記載のストロンチウムラネレートのα−結晶形の使用。

【公開番号】特開2006−104184(P2006−104184A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−177199(P2005−177199)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】