説明

スナック生地、スナック生地の製造方法及びスナック菓子

【課題】従来のジャガイモ風味を有するスナック菓子と比較して同等程度の風味を有するスナック菓子であって、従来のものよりアクリルアミド含量を低減したスナック菓子、上記スナック菓子を製造するためのスナック生地及びその製造方法。
【解決手段】ジャガイモ原料を乾物質量として25〜31質量%、無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を乾物質量として3〜7質量%、水分を37〜54質量%、各々含有するスナック生地。また、(1)水分含有量30質量%未満の無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を使用し、水以外の全原料を混合した後に水を加えて混練するか、または(2) 水分含有量30質量%以上の該無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を使用し、該乳原料及び必要に応じて加えられる水以外の全原料を混合した後に該乳原料及び必要に応じて水を加えて混練した後得られた混練物を圧延するスナック生地の製法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナック生地、スナック生地の製造方法、及びスナック菓子に関するものである。更に詳しくは、健康上好ましくない物質であるアクリルアミドの生成又は含有量の少ないスナック生地、スナック生地の製造方法、及びスナック菓子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からフライドポテトやポテトチップスをはじめとする、ジャガイモを原料としたジャガイモ風味を有する食品は、世界中で愛用され、そして大量に消費されていた。しかしながら、近年、これらジャガイモを原料とするスナック菓子から健康上好ましくない物質であるアクリルアミドが検出され、フライドポテトやポテトチップスなどのように、高温で調理することによりアクリルアミドが生成することが判明した。
即ち、アクリルアミドは、ジャガイモ中に多量に含まれているアスパラギンと、デンプンの分解産物であるグルコースとのアミノカルボニル反応によって生成するのであり、ジャガイモを原料とする食品業界、特に、販売量の観点からジャガイモを原料とするスナック菓子業界において大きな問題となっている。
【0003】
このアクリルアミドの生成を抑制するために、ジャガイモスナック菓子のジャガイモ原料の一部を他のデンプン原料に置換することも考えられるが、そうするとジャガイモの風味が希薄化してしまう問題がある。
それ故、これまでジャガイモ原料を他の原料に置換することなくスナック菓子を製造するために、アクリルアミドの生成を抑制する技術が開示されている。
例えば、アスパラギンを分解するアスパラギナーゼという酵素で食品素材を処理することにより、アクリルアミドの生成を抑制する方法が開示されている(特許文献1)。しかし、アスパラギナーゼは、医薬品に分類されるため直接食品に使用することはできない。
また、ルテオリンを有効成分として食品のアクリルアミドの生成を抑制する方法が開示されている(特許文献2)。しかし、ルテオリンは、香辛料からの抽出物であるため、味に悪影響をあたえるという問題点がある。
更にまた、アミノ酸等を添加してアクリルアミドの生成を抑制する方法も開示されている(特許文献3)が、アミノ酸特有の苦味が製品の味に影響を及ぼすという問題点が残される。
このように、従来の公知のいずれの方法をもってしても、満足のいくジャガイモの風味を残しながらアクリルアミドの生成を抑制したスナック菓子を製造することができなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−283062号公報
【特許文献2】特開2004−215559号公報
【特許文献3】特開2004−305201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような状況に鑑み、従来存在するジャガイモ風味を有するスナック菓子と同等程度のジャガイモ風味を有するスナック菓子であって、かつ従来存在するスナック菓子よりもアクリルアミド含量を低減したスナック菓子を提供することを最終目的とする。そしてこの最終目的を達成するためにその前提として上記スナック菓子を製造するためのスナック生地を提供し、併せてその生地の製造方法も提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、ジャガイモ原料を従来のスナック生地より30%程度減少させると共に、特定の乳原料を特定量添加することにより、その目的を達成しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)ジャガイモ原料を乾物質量として25〜31質量%、無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を乾物質量として3〜7質量%を、各々含有し、水分量が37〜54質量%であることを特徴とするスナック生地、
(2)更に、乾物質量として0.05〜0.20質量%の膨張剤を含有する上記(1)のスナック生地、
(3)膨張剤がミョウバンである、上記(2)のスナック生地、
(4)無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料が脱脂粉乳、チーズパウダー及びホエーパウダーのうち1種以上である上記(1)〜(3)のいずれかのスナック生地、
(5) (1)水分含有量30質量%未満の無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を使用し、水以外の全原料を混合した後に水を加えて混練するか、または(2) 水分含有量30質量%以上の無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を使用し、該乳原料及び必要に応じて加えられる水以外の全原料を混合した後に該乳原料及び必要に応じて水を加えて混練した後、得られた混練物を圧延することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかのスナック生地の製造方法、
(6)生デンプン又は生デンプンとα化デンプンとの混合物を使用し、混練するに際して加える水及び/又は無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を80〜100℃に加熱して加えることにより、生デンプンをα化する上記(5)のスナック生地の製造方法、
(7)上記(1)〜(4)のいずれかのスナック生地より製造されるスナック菓子、
及び
(8)上記(5)又は(6)の製造方法で製造されるスナック生地より製造されるスナック菓子
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ジャガイモ原料を従来のスナック生地より減少させることによりアクリルアミドの生成を抑制すると共に、特定の乳原料を特定量添加することにより、ジャガイモ風味が低減するのを防止できる。また、更に膨張剤を添加することにより、アクリルアミドの生成を更に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、原料の乾物質量とは、原料中の含有水分を除いた質量であり、生地中の水分とは、原料が本来的に有している水分と加水に由来する水との両方を合わせたものを意味する。
本発明のスナック生地において使用するジャガイモ原料としては、ポテトフレーク、乾燥ポテト、ポテトグラニュール等を例示することができる。
スナック生地中のジャガイモ原料の含有量は、乾物質量として25〜31質量%であることが必要であり,特に27〜29質量%であることが好ましい。ジャガイモ原料の含有量を25質量%以上とすることにより、ジャガイモ風味の低下を抑えることができ、31質量%以下とすることにより、アクリルアミドの生成を低く抑えることができる。
【0010】
本発明のスナック生地において使用する無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料(以下、低脂質乳原料と記載する。)は、無脂乳固形分を豊富に含有していること、即ち、原料中の無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量よりも多いものであることが必要であり、さらに、乾物質量中に80%以上無脂乳固形分が含まれているものが好ましい。
低脂質乳原料としては、牛乳及び山羊乳等の乳汁、全脂粉乳及び脱脂粉乳等の乳汁由来の粉末、チーズ、チーズパウダー、ヨーグルト及びヨーグルトパウダー等の乳加工品、並びにホエー及びホエーパウダー等の乳加工品に伴う副産物が例示できる。
これらの低脂質乳原料のうち、ジャガイモ風味の補強の点からは、脱脂粉乳、チーズパウダー、ホエーパウダーのうち1種以上の乳原料が好ましい。
これらの無脂乳固形分を豊富に含有している低脂質乳原料を使用することによって、ジャガイモ風味がより増強される。
なお、同じ乳原料由来の生産物であるバター、高油脂含有チーズ、クリーム等の油脂含有量の多い原料は、使用しても本発明の目的を達成することができないものであり、本発明の低脂質乳原料には含まれない。
【0011】
スナック生地中の低脂質乳原料の含有量は、乾物質量として3〜7質量%であることが必要であり,特に4〜6質量%であることが好ましい。低脂質乳原料の含有量を3質量%以上とすることにより、ジャガイモ風味を増強することができ、7質量%以下とすることにより、過度の焼き色の発現を抑えることができる。
【0012】
本発明のスナック生地においては、さらに膨張剤を含有することにより、アクリルアミドの生成を相乗的に抑制することができる。
膨張剤としては、クエン酸(無水)、L−酒石酸、フマル酸、L−酒石酸水素カリウム、グルコノデルタラクトン等の有機酸性剤や、リン酸二水素カルシウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム(無水)、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)等の無機酸性剤を例示することができる。これらの膨張剤のうち、無機酸性剤、中でもミョウバンがアクリルアミドの生成を抑制する効果が特に高く、好ましい。
スナック生地中の膨張剤の含有量は、乾物質量として0.05〜0.20質量%であることが好ましく、特に0.10〜0.12質量%であることが好ましい。膨張剤の含有量を0.05質量%以上とすることにより、アクリルアミドの生成を抑制する効果を高めることができ、0.20質量%以下とすることにより、膨張剤特有の苦味や渋味のスナック菓子の味への影響を抑制することができる。
【0013】
本発明のスナック生地においては、ジャガイモ原料の減少に伴い、不足するデンプンを加えることができる。デンプンとしては、生デンプン及びα化デンプンを加えることができる。
生デンプンとしては、馬鈴薯デンプン、小麦デンプン、サツマイモデンプン、コーンスターチ等を例示することができる。
α化デンプンとしては、α化タピオカデンプン、α化ワキシーコーンスターチ等を例示することができる。また、生地を製造する際に上記生デンプンを配合し、熱湯や蒸気を用いながら混練し、α化することにより、α化デンプンとして生地中に含有させてもよい。
生デンプンの原料としての配合量は、乾物原料として5〜30質量%が好ましく、α化デンプンの原料としての配合量は、乾物原料として1〜6質量%が好ましい。また、生地中のα化デンプンの量は、ジャガイモ原料由来のデンプンもα化デンプンとして検出されるため、乾物原料として22〜45質量%であることが好ましい。
【0014】
本発明のスナック生地においては、上記の原料の他に、必要に応じて、調味料、油脂、香料や着色料が配合される。
調味料としては、甘みを付与するものとして、砂糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、トレハロース、異性化糖等の糖類や、アスパルテーム、エリスリトール、ステビア、アセスルファームK、スクラロース等の高感度甘味料が挙げられ、塩味を付与するものとして、塩、醤油、味噌、魚醤が挙げられる。その他の調味料として、ウスターソース、とんかつソースをはじめとするソース類、食酢、クエン酸、りんご酸、酒石酸、アスコルビン酸等の酸類が挙げられる。
【0015】
油脂としては、食品で使用される油脂ならば制限はなく、製品の性質を考慮して適宜種類を選択して使用することができる。具体的には、バター、クリーム、マーガリン、ショートニング、カカオバター、ヤシ油等の菓子によく使用される乳由来又は植物由来の食用油脂が好ましいが、これに限ることなく、大豆油、菜種油、ひまわり油、紅花油、ごま油等の食用植物油、牛脂、豚脂、クジラ脂等の食用動物油、及び食用魚油であってもよい。
これらのうち、風味や味の観点から、バター、マーガリン及びショートニングが好ましい。
香料や着色料としては、一般的に食用の香料又は着色料として使用・販売されているものが好ましい。
これらの配合割合は、スナック菓子の味、風味、食感等によって適宜調整することができるが、スナック生地(加水の水分含量を含む)に対し、乾物質量として、調味料は、1.5〜2.0質量%が好ましく、油脂は、4〜6質量%が好ましい。
【0016】
本発明のスナック生地においては、個性のある原料を配合することによって、スナック菓子に特有の味を付すこともできる。
かかる個性のある原料とは、にんじん、ピーマン、ごぼう、たまねぎ、セロリ等の植物原料、えび、かに、かき、ホタテ、いわし等の水産原料、ベーコン、ソーセージ、ハム等の畜産原料、とうがらし、コショウ、山椒等の香辛料が含まれる。これら個性のある原料は、そのまま生地原料に加えても良いが、水分の関係から乾燥粉末の状態で生地原料に加えることが好ましい。なお、個性のある原料は、生原料を乾燥させたものであっても焼成したもの、蒸したもの、ゆでたもの、及び醗酵したもののいずれであってもよい。
【0017】
次に、本発明のスナック生地を製造する方法を説明するが、その方法は、低脂質乳原料の水分含有量によって異なる。
即ち、本発明のスナック生地を製造する方法は、(1)水分含有量30質量%未満の低脂質乳原料を使用し、水以外の全原料を混合した後に水を加えて混練するか、または(2) 水分含有量30質量%以上の低脂質乳原料を使用し、該低脂質乳原料及び必要に応じて加えられる水以外の全原料を混合した後に該低脂質乳原料及び必要に応じて水を加えて混練した後、得られた混練物を圧延する方法である。
【0018】
更に具体例で説明すると、次の如くになる。
(1)水分含量が30%未満の低脂質乳原料を使用する場合
生地を製造する全原料質量に対する量として、膨張剤を乾物質量として0.05〜0.20質量%、低脂質乳原料を乾物質量として3〜7質量%、ジャガイモ原料を乾物質量として25〜31質量%及びデンプン(α化デンプン及び/又は生デンプン)を乾物質量として6〜36質量%の比率で混合した後、水を35〜50質量%加えて混練し、得られた混練物を圧延する。
(2)水分含量が30%以上の低脂質乳原料を使用する場合
生地を製造する全原料質量に対する量として、膨張剤を乾物質量として0.05〜0.20質量%、ジャガイモ原料を乾物質量として25〜31質量%及びデンプン(α化デンプン及び/又は生デンプン)を乾物質量として6〜36質量%の比率で混合した後、低脂質乳原料を乾物質量として3〜7質量%及び水を0〜48質量%加えて混練し、得られた混練物を圧延する。
【0019】
ここで、水分含有量が30質量%未満の低脂質乳原料としては、上記低脂質乳原料のうち、全脂粉乳及び脱脂粉乳等の乳汁由来の粉末、チーズ、チーズパウダー及びヨーグルトパウダー等の乳加工品、並びにホエーパウダー等の乳加工品に伴う副産物が例示できる。
一方、水分含量が30質量%以上の低脂質乳原料としては、上記低脂質乳原料のうち、牛乳及び山羊乳等の乳汁、ヨーグルト等の乳加工品、並びにホエー等の乳加工品に伴う副産物が例示できる。
【0020】
ここで、「水を加える」とは、混合した原料に水を加える意味で、その水には、原料中に予め含まれている水は含まれない。従って、例えば、低脂質乳原料として乳汁を使用する場合、その水分含量が極端に多いので加水量を極端に少なくすることが可能となり、水を加えない(0%)のときもあり得るのである。
また、「混合」とは、原料がほぼ均一に分散した状態にすることであり、原料を均一に分散させることによって、次の混練工程においてα化デンプンの吸水率又はデンプンのα化率をスナック生地の中で均等な品質にすることができるのである。
具体的な混合方法は、ボールに上記原料を入れてへら等で攪拌する方法、ミキサーやニーダーによって混合する方法、袋に入れて反転を繰り返す方法が例示できる。
さらに、「混練」とは、水分を含んだ原料を力強く練り上げることであり、これによって、スナック生地中にあるα化デンプンが水を持ち、膨化しやすくなるのである。
具体的な混練方法は、ニーダーによって混練することが一般的である。
【0021】
なお、原料として油脂を使用する場合には、上記の「混合」は、油脂以外の原料(乾燥原料)を先ず混合し、次いで油脂を加えて混合する2段階で行う。親油性の原料である、乳化剤、香料、着色料も、油脂と一緒に、予め混合してから加え混合する。
また、生デンプンを原料として使用する場合には、α化をするために、混練に際し加える水及び/又は低脂質乳原料を80〜100℃に加熱しておくのが好ましい。
混練物の圧延は、圧延ロールで行うのが適当である。圧延した後は、必要に応じて、通常の形抜き装置で形抜きした後、オーブンで125〜280℃程度の温度で焼成し、中空スナック菓子とすることができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
なお、以下の記載において、%、部及び混合比は、質量%、質量部及び質量混合比を表す。
また、アクリルアミドの含有量は、吉田ら〔吉田ら「日本で市販されている加工食品中のアクリルアミドの分析」日本食品科学工学会誌49巻(2002年)第12号822−825ページ〕の方法を用いて測定した。
【0023】
実施例1
乾燥原料である、乾燥ジャガイモ(水分含量9%)60部、α化デンプンと生デンプンとの混合物(混合比はα化デンプン:生デンプン=1:5、水分含量10%)30部、脱脂粉乳(水分含量3.9%)10部、砂糖(水分含量0%)3部及び食塩(水分含量1.4%)0.35部をニーダーで混合した。ニーダーは、ジャッケット構造を有しており、これらの乾燥原料を混合しながら55℃にした。続いて、マーガリン(水分含量17%)12部、乳化剤(水分含量2%)0.2部及び香料(水分含量50%)0.25部を予め混合したものをニーダー中の混合原料に加え、さらにニーダーで混合した。
続いて、95℃の熱水80部をニーダー中の混合原料に注ぎ、4分間混練してスナック生地を得た。このスナック生地を圧延装置によって2mmの厚さに圧延し、形抜き装置で10mmX20mm程度の大きさでかつ一定形状に抜いた。
形抜きしたスナック生地を200℃で4分間焼成して、スナック菓子を製造した。
【0024】
実施例2
乾燥原料として、更にミョウバン(水分含量45%)0.4部を追加・混合した以外は実施例1と全く同様に実施し、スナック菓子を製造した。
【0025】
比較例1
乾燥原料として、脱脂粉乳及び混合デンプンを使用せず、且つ、乾燥ジャガイモ(水分含量9%)の量を85部に増やした仕込でスナック菓子を製造した。
すなわち、このスナック菓子の生地は、ほぼ実施例1と同じ方法で製造した。実施例1と異なる点は、表1に示すような原料配合(デンプンの混合比は、α化デンプン:生デンプン=1:1)で製造した点、乾燥減量を加熱しない点、及び95℃の熱水の代わりに20℃の水を使用した点である。そして、上記製造方法で得られたスナック生地を用いて、実施例1と同じ方法で形を抜き、焼成してスナック菓子を製造した。
【0026】
実施例1で製造したスナック菓子のアクリルアミド含量は、520ppbであり、実施例2で製造したスナック菓子のアクリルアミド含量は、400ppbであった。
一方、比較例1で製造したスナック菓子のアクリルアミド含量は、2800ppbであった。
また、各実施例及び比較例で製造したスナック菓子のジャガイモ風味について5人の専門パネラーによる官能試験を行った。
その結果、いずれの専門パネラーも、実施例1及び2のスナック菓子のジャガイモ風味は、比較例1のスナック菓子のジャガイモ風味とほぼ同等であると評価した。
なお、各実施例及び比較例の原料配合量及び製造したスナック菓子のアクリルアミド含量を、まとめて表1に示す。
【0027】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャガイモ原料を乾物質量として25〜31質量%、無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を乾物質量として3〜7質量%、水分を37〜54質量%、各々含有することを特徴とするスナック生地。
【請求項2】
更に、乾物質量として0.05〜0.20質量%の膨張剤を含有する請求項1に記載のスナック生地。
【請求項3】
膨張剤がミョウバンである、請求項2に記載のスナック生地。
【請求項4】
無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料が脱脂粉乳、チーズパウダー及びホエーパウダーのうち1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載のスナック生地。
【請求項5】
(1)水分含有量30質量%未満の無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を使用し、水以外の全原料を混合した後に水を加えて混練するか、または(2) 水分含有量30質量%以上の無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を使用し、該乳原料及び必要に応じて加えられる水以外の全原料を混合した後に該乳原料及び必要に応じて水を加えて混練した後、得られた混練物を圧延することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のスナック生地の製造方法。
【請求項6】
生デンプン又は生デンプンとα化デンプンとの混合物を使用し、混練するに際して加える水及び/又は無脂乳固形分の含有量が脂質の含有量より多い乳原料を80〜100℃に加熱して加えることにより、生デンプンをα化する請求項5に記載のスナック生地の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載のスナック生地より製造されるスナック菓子。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の製造方法で製造されるスナック生地より製造されるスナック菓子。


【公開番号】特開2006−191884(P2006−191884A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8311(P2005−8311)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】