説明

スパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法およびその製造装置

【課題】透過液流路材および分離膜ユニットを集水管の外周上にずれること無く均等に配置し、これにより、集水管と同芯でかつ外周が真円形状となるスパイラル型分離膜エレメントの製造装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】枚葉分離膜を、間に原液流路材を挟むように二つ折りにして分離膜ユニットを形成する第1工程と、前記分離膜ユニットと透過液流路材とを交互にそれぞれ50枚以上300枚以下積層するとともに、前記分離膜ユニットそれぞれの上面における折り返し端部とその両側縁部とに接着剤28を塗布して積層体29を形成する第2工程と、積層体29を集水管34の周りに巻囲する第3工程とを有することを特徴とする、スパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法において、前記第2工程と前記第3工程との間に、積層された全ての枚数の前記透過液流路材における前記集水管側の端部を、熱板によって一括して熱融着させる熱接圧工程を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜を用いたスパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法およびその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透装置や限外濾過装置、精密濾過装置等に用いられ、さらには気体分離装置にも適用可能な流体分離装置に用いられる流体分離膜エレメントとして、原液(気体の場合には原気体)が供給される原液流路材、原液を分離する分離膜、分離膜を透過し原液から分離された透過液を集水管中へと導く透過液流路材からなるユニットを、集水管の周りに巻囲したスパイラル型の流体分離膜エレメントが知られている。これまで、この様なスパイラル型流体分離膜エレメントの製造においては、そのほとんどの工程を手作業に頼っていたが、ここ近年、競争力向上のためのコストダウン化、生産性向上のための自動化が進められてきた。また、さらにプラント設備のコスト削減等、ユーザー側の需要に応えエレメントの大径化が急激に進められ、大径エレメントに対応した製造設備の開発への需要が高まっている。
【0003】
以下に従来のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置および製造方法について、図1〜図4および図7〜図10を用いて説明する。従来のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置では、図1に示す工程によって、分離膜と原液流路材と透過液流路材との積層体を集水管に接着するまでを行い、図8に示す工程では、集水管に積層体を巻き付けスパイラル型のエレメントに形成するものである。
【0004】
まず、図1および図2を参照しながら説明する。ロール状に巻かれた分離膜ロール1から分離膜2が引き出され(巻き出され)、ガイドロール3、ニップロール4を経た後、台車5の上方位置まで引き出される。このとき、分離膜ロール1を湿潤状態に保ち、引き出された分離膜2がニップロール4に至るまでに、片面または両面上に適当な水切り手段または水拭き手段を設けている。また、巻出装置には、巻出張力を適切な張力にコントロールできるよう、適宜制動手段を設けている。分離膜2としては、逆浸透膜や限外濾過膜、精密透過膜、さらには気体分離膜等が使用できる。
【0005】
引き出された分離膜2は、分離膜2を横断する方向に走行するカッタ6によって、予め定められた長さ(以後、定長と表記する)に切断され、枚葉状の分離膜8が台車5上に形成される。この動作は、図2(イ)に対応している。
【0006】
この台車5上の位置Aにおいて、枚葉状の分離膜8上の所定位置に、枚葉状の原液流路材9が配置される。原液流路材9は、図1および図2(ロ)に示すように、原液流路材ロール10から巻き出された原液流路材9がカッタ11により定長に切断されて形成される。この原液流路材9には、たとえばネットが使用される。切断された枚葉状の原液流路材9は、たとえば、平板12上に載置された状態で前記枚葉状の分離膜8上まで運ばれ、原液流路材9の先端部が押さえられた状態で平板12が差し抜かれ、原液流路材9が分離膜8上に配置された後、先端部の押さえが解除されることにより、分離膜8上の所定位置に配置される。
【0007】
分離膜8の前述の引出方向における先端部が、膜折り返し用搬送アーム13に把持され、該アーム13の作動により、間に原液流路材9を挟むように二つ折りにされる。二つ折りにされた分離膜8と原液流路材9とからなる分離膜ユニット14は、図2(ハ)に示すような状態になる。このとき、分離膜8の上側の片がδだけ長くなるように二つ折りされる。δは、たとえば5〜15mmの範囲に設定される。また、二つ折りの折り曲げ部には、挟持等の適当な方法により、折り目付与手段15によって折り目が付けられる。この折り目部分(折り曲げ部分)で、たとえば超音波ウェルダ16により、分離膜8と原液流路材9とが溶着により接合される(図2(ハ)接合部17)。
【0008】
このように形成された分離膜ユニット14が、台車5の移動により、台車18上の積層位置Bへと搬送される。分離膜ユニット14の端部押さえ手段や吸引保持手段等の適当な手段、たとえば台車5の後退動作と吸着兼搬送手段24により、分離膜ユニット14が台車5から台車18に移載される。この分離膜ユニット14が台車18に移載される前までの工程を「分離膜ユニット形成工程」と呼ぶ。
【0009】
積層位置Bの側部では、図1および図2(ニ)に示すように、透過液流路材ロール19から透過液流路材20が巻き出され、カッタ21により定長に切断される。切断された透過液流路材20は、一旦テーブル22上に置かれた後、複数の吸引パッド23を有する吸着兼搬送手段24により、吸着保持されて、積層位置Bへと搬送される。まず、1枚目の透過液流路材20が、積層位置Bの台車18上に配置され、その後に前記分離膜ユニット14が、1枚目の透過液流路材20上の所定位置に重ねられる。このとき、テーピング手段25によるテープ26(図2(ホ))によって、分離膜ユニット14の二つ折りにされた分離膜8の端部折り曲げ部が、透過液流路材20上に固定される。テープ固定は、分離膜8の幅方向両端部2箇所で行っている。
【0010】
その後、この分離膜ユニット14上面おける折り返し端部とその両側縁部とに、接着剤塗布ガン27により、接着剤28が塗布される。すなわち、接着剤28は、図2(ヘ)に示すように、分離膜ユニット14の分離膜8の二つ折りの折り目方向に開口する、コの字状に塗布される。このコの字状の開口部が後述の集水管側に配置され、他の三辺部分は袋状に閉じられて、集水管へと透過水を流す流路を形成する。接着剤28の塗布後に続いて、1枚目とは異なる長さに切断された2枚目の透過液流路材20が、上記分離膜ユニット14上の所定位置に重ねられ、これらの動作が所定回数、たとえば4〜36回繰り返されて、図3に示すような所望の積層体29が形成される。分離膜ユニット14と透過液流路材20とのそれぞれは、この所定回数に応じて長さ方向にずらしながら積層する。
【0011】
〔ずらし量Tの総和〕+〔ずらし量T〕が、集水管の周長になる様設定している。こうすることで透過液流路材20および透過液流路材20と相対的に同じ位置に配置された分離膜ユニット14は、集水管34の外周上に等ピッチに配置され、外径が真円なエレメントを形成することができる。なお、接着剤塗布ガン27は、該ガン27を三次元に移動可能な走査手段30によって移動制御され、接着剤は適当な接着剤タンク31から供給される。
【0012】
積層体の最下層は、上述の如く寸法の長い1枚目の透過液流路材20であり、図3に示す様、積層体29の各透過液流路材20は、テープ33によって長さ方向に両端部2カ所で固定されている。
【0013】
また、後述する積層体29の巻囲は、接着剤が硬化する前に行うので、図2(ホ)に示すように、巻囲後に隣接分離膜の開口側先端E とE 、E とE 、・・・E とEn+1 が揃うように、この積層体29の形成においては、隣接する分離膜ユニット14の二つ折り分離膜8の隣接片同士の開口側先端E とE 、E とE 、・・・E とEn+1 それぞれをPずつずらしておくことが好ましい。このPは分離膜ユニット14や集水管34の径に応じて計算、設定される。これによって、後述の巻囲の後に、隣接分離膜ユニット14同士が間に透過液流路材20を介在させた状態で正確に接合される。
【0014】
また、図3に示すように、1枚目の透過液流路材20の先端部は、2枚目の先端部よりも、集水管3側にLだけ長く延長されている。このLは、少なくとも集水管34の円周長分に設定されている。この延長により、後述の巻囲後にも、集水管34内へと連通する透過水の流路が確実に確保される。
【0015】
上記のように形成された積層体29の1枚目の透過液流路材20の先端部が、図3に示すように集水管34の表面に接合される。この集水管34は、図4に示すように、表面に多数の集水孔35が開設されたパイプからなり、上記接合用に両面テープ36等の接合手段が設けられて予め準備される。両面テープ36の離型紙は、上記接合時に剥ぎ取られる。
【0016】
集水管34は、図1の装置においては、C位置で供給される。すなわち、形成された積層体29は、台車18の移動によりC位置へと搬送され、集水管ストック手段38に収容されている集水管34が、1本ずつ、各積層体29に対応して、その1枚目の透過液流路材20の先端部に供給される。集水管34上の両面テープ36の離型紙が剥ぎ取られ、図3に示したように透過液流路材20に接合される。この状態で、集水管34および積層体29が、搬送アーム39により図7〜図9に示す後述する巻囲工程に送られる。この巻囲工程に送られるまでの工程を「積層体形成工程」と呼ぶ。
【0017】
従来のスパイラル型分離膜エレメント製造装置は、大きく3つの工程から構成されており、図1に示した第1工程としての「分離膜ユニット形成工程」と第2工程としての「積層体形成工程」、これらの後に図8および図9に示した第3の工程である「巻囲工程」が続けて配置されている。
【0018】
図1に示す搬送アーム39により、巻囲工程に送られる集水管34および積層体29は、まず、図7に示す巻囲台車61に移載される。巻囲台車61上には、斜板62が設けられており、斜板62は、軸63を中心に、シリンダ64の伸長作動により水平姿勢から所定の傾斜角の傾斜姿勢まで傾動可能となっており、水平姿勢に保たれた斜板62上に積層体29が移載される。また、巻囲台車61は、走行部66の駆動力で走行できる。
【0019】
斜板62上の先端側には、管受け65が設けられており、この上に集水管34が配置される。次に巻囲台車61が矢印の方向に前進し、図8に示す巻囲装置60の位置まで移動した後、斜板62は、シリンダ64の伸長作動により水平姿勢から所定の傾斜角に傾斜され、同時に、管受け65に保持されている集水管34が上昇される。集水管34が所定位置まで上昇されると、図10に示す様に、その両端側から巻囲軸67が前進され、巻囲軸67が集水管34に連結される。次に、巻囲軸67の回転駆動により、集水管34が回転され、集水管34の周囲に積層体29が巻き付けられていく。集水管34に巻き付けられていく積層体29は、図9に示すように、巻囲台車61が後退待避した後も、回転する駆動ロール43上にて、一対のニップロール44で適当な圧力をもって押圧しながら、集水管34の周りに積層体29をロール状に巻囲する。巻囲完了後にも所定時間回転を続行することにより、ほぼ真円の巻囲体が得られる。また、巻囲後に、巻き締めテープ(図示せず)を用いて、巻き締めを行ってもよい。
【0020】
このように形成された巻囲体は、たとえば図11に示すような流体分離膜エレメント50に構成される。図11の流体分離膜エレメント50においては、集水管34の周りに積層体29がロール状に巻囲された巻囲体51の長手方向両側に、原水52が通過可能な端板53と、濃縮水54が通過可能な端板55が配置され、各端板53、55にはシール材56が装着される。透過水57は、集水管34から送り出される。全体がパイプ状圧力容器(図示略)に収容され、各端板53、55と圧力容器内周面との間がシール材56によってシールされる。図11に示す流体分離膜エレメント50は、必要に応じて、要求本数だけ、長手方向に連接して使用される。
【0021】
しかしながら、上述の様な従来の流体分離膜エレメント製造装置では次の様な問題点があった。
【0022】
透過液流路材20の長手方向先端部をそれぞれテープ33で粘着させているが、積層体29の透過液流路材20および分離膜ユニット14の各積層数が50以上となる濾過面積の大きい大径エレメントでは、積層体29を形成する際の適正な、ずらし量Tが通常4ミリ〜5ミリ以上あるものが4ミリ未満となる。これにより、テープ33の透過液流路材20を粘着させる長手方向の粘着領域も4ミリ未満となり、テープ33での透過液流路材20の固定力が低減する。さらにずらし量Tが小さくなることで、図12に示す、積層体29の長手方向先頭側の斜面角度αが大きくなり、パイプ34に積層体29を巻き付ける際に生じる透過液流路材20を長手方向に押す接圧力、すなわちパイプ34に積層体29を巻き付ける際の抵抗が大きくなる。これら両者の影響により、巻囲装置60で積層体29は、パイプ34に巻かれる際に、パイプ34の巻き付け時に生じる接圧力により、積層体29は、層ずれ(図12,29a)を生じ、積層体29を形成した時に設定し積層した、ずらし量Tが大きくなり、巻き上がった状態のエレメントは、結果的に〔ずらし量Tの総和〕+〔ずらし量T〕がパイプ34の周長よりも大幅に大きくなる。これにより、透過液流路材20および分離膜ユニット14は集水管34の外周上に均等に配置されなくなる。
【0023】
図14(イ)では、巻囲装置60にて集水管34に積層体29を巻き付けた後の、集水管34と分離膜ユニット14の集水管34側の先端部の位置関係を示しており、分離間膜ユニット14の1層目を14a,最上層目を14zで示している。通常の積層数50枚未満のものであれば、図14(イ)に示す様、集水管34の周囲に分離膜ユニット14が均等に配置され、図15(イ)に示す様、積層体29は集水管34の周囲に同芯で真円な巻囲体51を形成するのである。しかしながら、積層数50枚以上の場合は、同様に図14(ロ)に示す様、集水管34の周囲に分離膜ユニット14が均等に配置されず、例えばR寸法分オーバーして配置されるため、図15(ロ)に示す様、集水管34とは芯ズレした真円でない巻囲体51を形成する。
【0024】
この様に芯ズレまたは真円に形成されない偏芯または変形したエレメントは、圧力容器に収納できないため、不良品となり出荷できず、屑として廃棄処理せざるを得ないという問題があった。
【0025】
また、前述した従来のスパイラル型流体分離膜エレメント製造装置では、透過液流路材20をテープ33にて接合していたが、別の接合方式として図5、図6に示すように、1枚目の透過液流路材20の上に第1のウェルダ用プレート40を配置して(aの位置)、その上に分離膜ユニット14と2枚目の透過液流路材20を置く。分離膜ユニット14は、多少、集水管側から離れるように、台車18を前進させ、透過液流路材20とは長さ方向にずらす。そして、1枚目と2枚目の透過液流路材20を、金属の台車18と挟むように、第1のウェルダ用プレート40を配置した場所とは巾方向にずらして、超音波ウェルダ41をあてて融着固定する。第1のウェルダ用プレート40は、次の透過液流路材の融着固定のために先に設置しているだけで、このとき用いない。次に、融着固定した上に第2のウェルダ用プレート42を置き(bの位置)、その上に分離膜ユニット14と3枚目の透過液流路材20を置く。このとき、分離膜ユニット14は上述したようにずらす。そして、2枚目と3枚目の透過液流路材20を第1のウェルダ用プレート40と挟むように、超音波ウェルダ41をあてて融着固定する。そして、今回融着固定した上に第1のウェルダを置き直し(cの位置)、分離膜ユニット14と4枚目の透過液流路材20を置く。そして、3枚目と4枚目の透過液流路材20を第2のウェルダ用プレート42とで挟むように、超音波ウェルダ41をあてて融着固定する。このように、第1のウェルダ用プレート40と第2のウェルダ用プレート42を交互に用いて、隣接する透過液流路材20の端部を融着固定することができる。
【0026】
この溶着による各透過液流路材20の端部同士の固定においては、全ての透過液流路材20の端部同士を積層体29の長手方向(台車18移動方向)に連続的に固定されず、固定を飛び飛びに不連続に行われる。
【0027】
しかしながら、後者における従来のスパイラル型流体分離膜エレメント製造装置においても、積層体29の透過液流路材20および分離膜ユニット14の各積層数が50以上となる濾過面積の大きい大径エレメントでは、前者と同様に、ずらし量Tが小さくなることで、積層体29の長手方向先頭側の斜面角度αが大きくなる現象は変わらず、また、透過液流路材20は飛び飛びに固定されるため、巻囲装置60で積層体29は、パイプ34に巻かれる際に、パイプ34の巻き付け時の接圧力により、積層体29の透過液流路材20部は、図13に示す様、長手方向にパンタグラフ状に層ずれを生じ、形成時に設定したずらし量Tに対して、積層したずらし量Tが実質大きくなり、最終的に巻き上げられた状態のエレメントは、結果的に〔ずらし量Tの総和〕+〔ずらし量T〕がパイプ34の周長よりも大幅に大きくなる。これにより、透過液流路材20および分離膜ユニット14は集水管34の外周上に均等に配置されなくなる。この結果、通常は集水管34と同芯でかつ真円な外周形状に形成されるエレメントが、集水管34とエレメント外周とで芯は合わず、かつ外径が真円に形成されなくなる。この様に芯ズレまたは真円に形成されない偏芯または変形したエレメントは、圧力容器に収納できないため、不良製品となり出荷できないため、前者同様に、屑として廃棄処理せざるを得ないという問題があった。
【特許文献1】特開平11−226366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、上述した従来のスパイラル型流体分離膜エレメント製造装置における問題点を解決できるスパイラル型流体分離膜エレメント製造装置およびその製造方法を提供することにある。すなわち、透過液流路材20および分離膜ユニット14を集水管34の外周上にずれること無く均等に配置し、これにより、集水管34と同芯でかつ外周が真円形状となるスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するための本発明によれば、
枚葉分離膜を、間に原液流路材を挟むように二つ折りにして分離膜ユニットを形成する第1工程と、前記分離膜ユニットと透過液流路材とを交互にそれぞれ50枚以上300枚以下積層するとともに、前記分離膜ユニットそれぞれの上面における折り返し端部とその両側縁部とに接着剤を塗布して積層体を形成する第2工程と、前記積層体を集水管の周りに巻囲する第3工程とを有するスパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法において、前記第2工程と前記第3工程との間に、積層された全ての枚数の前記透過液流路材における前記集水管側の端部を、熱板によって一括して熱融着させる熱接圧工程を設けることを特徴とするスパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法が提供される。
【0030】
また本発明の好ましい形態によれば、
前記熱接圧工程の前または前記熱接圧工程と同時に、前記集水管側の端部であって前記熱融着させる位置の近傍において、積層された全ての枚数の前記透過液流路材を固定具にて接圧固定し、かつ前記熱接圧工程の後に、前記固定具を前記透過液流路材より解放することを特徴とするスパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法が提供される。
【0031】
また本発明の別の形態によれば、
前記熱接圧工程において、前記積層体の上層部と下層部とを、それぞれ独立した別の前記熱板によって一括して熱融着させることを特徴とするスパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法が提供される。
【0032】
また本発明の別の形態によれば、
原液流路材、分離膜、および透過液流路材をそれぞれ所定長切り出す切断手段と、切り出された前記分離膜を、間に切り出された前記原液流路材を挟むように二つ折りにして分離膜ユニットを形成する分離膜ユニット形成手段と、前記分離膜ユニットと切り出された前記透過液流路材とを交互にそれぞれ50枚以上300枚以下積層するとともに、前記分離膜ユニットそれぞれの上面における折り返し端部とその両側縁部とに接着剤を塗布して積層体を形成する積層手段と、前記積層体を集水管の周りに巻囲する巻囲手段を有するスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置において、積層された全ての枚数の前記透過液流路材における前記集水管側の端部を、一括して圧接し熱融着させる熱板を有することを特徴とするスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置が提供される。
【0033】
また本発明の好ましい形態によれば、
前記集水管側の端部であって前記熱融着させる位置の近傍において、積層された全ての枚数の前記透過液流路材を接圧固定する固定具を有することを特徴とするスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置が提供される。
【0034】
また本発明の別の形態によれば、
前記熱板が、前記積層体の上層部を熱融着させる熱板と前記積層体の下層部を熱融着させる熱板とにそれぞれ独立していることを特徴とするスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0035】
本発明の形態によれば、以下に説明するとおり、
全ての透過液流路材および分離膜ユニットを積み上げ積層体を形成した後、巻囲する前に積層された全ての枚数の透過液流路材における集水管側の端部を、熱板によって一括して熱融着させるため、透過液流路材および分離膜ユニットをそれぞれ50枚以上積層する、積層ピッチの小さくなるエレメントにおいても、強固な接着力が得られるため、積層体を巻囲する際に層ズレを生じることなく、積層時に設定したずらし量を維持し、透過液流路材および分離膜ユニットを集水管の外周に均等に配置することができる。このため巻囲後に、集水管と同芯でかつ真円な外径のエレメントを形成することができる。
【0036】
以上により、本発明のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置およびその製造方法によれば、これまで屑または廃棄処理していた真円度の悪いエレメントをほぼ皆無にすることができ、生産効率を大幅に向上することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の最良の実施形態の例を、逆浸透膜を用いた超純水製造用途のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
【0038】
本実施形態について、図1に示す「分離膜ユニット形成工程」と「積層体形成工程」および、図8および図9に示す「巻囲工程」は従来装置で説明したものと同じとし省略し、本説明では、「積層体形成工程」と「巻囲工程」の間に、積層体29の全ての透過液流路材20を熱板により一括して熱融着させる目的で、新たに設けた「熱接圧工程」について詳細に説明する。
【0039】
この「熱接圧工程」は、図19に示す様、巻囲台車60上の積層体29の斜面、すなわち透過液流路材20の走行方向先端側の全数の透過液流路材20に対し接圧するとともに一括して融着可能な熱板としてのヒーターブロック74が、図示していないエアーシリンダにより進退可能な様、積層体29の巾方向に7カ所設けられている。本実施形態で、積層体29は、透過液流路材20と分離膜ユニット14がそれぞれ交互に100枚積層されており、ヒーターブロック74は、透過液流路材20の最下部の1枚目から30枚目までの下層部を接圧し熱融着させるヒーターブロック74aと、透過液流路材20の20枚目から100枚目までの上層部を接圧し熱融着させるヒーターブロック74bとの2種類から構成し、下層部用のヒーターブロック74aと上層部用のヒーターブロック74bとの接圧境界位置で未融着部ができない様、透過液流路材20の20枚目から30枚目については、両者ヒーターブロックともに接圧し熱融着させる構成としている。
【0040】
本発明において、分離膜ユニット14と透過液流路材20との各積層枚数が50〜300枚としている理由については、積層枚数50枚未満のものでは、従来の技術でスパイラル型流体分離膜エレメントを製造することができるためであり、本発明は、従来の技術では成し得なかった積層数50枚以上の多積層体のエレメント化、すなわち大径のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造を可能とするために有効な技術である。また、上限として、積層枚数が300枚を越える場合は、透過液流路材20を含むエレメント構成部材自体のトータル重量が大幅に大きくなることや、エレメントのさらなる大径化による、巻囲抵抗(積層体29を集水管34に巻き付ける際の積層体29にかかる抵抗)の増大により、本発明で実施しているヒーターブロック74による熱融着を含め、透過液流路材20の接着状態の変更または接着力強化をいくら実施しても、透過液流路材20自体の強度限界による破損を生じ、適正なスパイラル型流体分離膜エレメントを製造することが非常に困難となる。また、このような、超大径のスパイラル型流体分離膜エレメントは、定期交換およびメンテナンスを前提とした、流体濾過エレメントとしてはハンドリング性が悪く、実用的ではない。
【0041】
本実施形態で、ヒーターブロック74を下層部と上層部とで分割している理由は、図19に示す積層体29を真横から見た図20のF部拡大図である図21に示す様、積層体29の中の透過液流路材20の最下層から20枚目の位置(角度変位点P)まではそれら直下に、分離膜ユニット14が存在せず、20枚目を越えた位置、角度変位点P部から上層部にかけては、直下に分離膜ユニットが存在する積層となっており、前者は透過液流路材20のみを重ねた積層厚みであるのに対し後者は、分離膜ユニット14も含めた厚みになり、積層体29の斜面の傾斜角度が異なるため、それら異なる角度に対しヒーターブロック74の角度を同じ角度にあわせるべく、上層部と下層部とでヒーターブロック74を分割することで、より確実にヒーターブロック74を積層体29の全ての透過液流路材20に密着させ、透過液流路材20を確実に熱融着させるためである。本実施形態では、前者であるヒーターブロック74aの角度αは、9°で後者であるヒーターブロック74bの角度βは30°であるが、透過液流路材20などの積層部材厚みおよび積層枚数や積層構成により異なり、ヒーターブロック74a,74bのそれぞれの角度および、角度変位点Pの位置は、対象となるスパイラル型流体分離膜エレメントを形成するための積層体斜面形状に適宜あわせることが好ましい。
【0042】
また、ヒーターブロック74を下層部と上層部とで分割している別の理由は、下層部は、巻囲台車60の上面である斜板62直上に配置され、斜板62は金属板の剛体であるため、積層体29の下層部に対するヒーターブロック74aの位置決め(特に角度)は非常に精度が必要とされ、位置精度が、透過液流路剤20の融着性に大きく影響する。これに対し、積層体29の上層部は、下層部に分離膜ユニット14および透過液流路剤20が複数介在するため、ヒーターブロック74bを積層体29に接圧した際に、ある程度の弾力性があり、積層体29の斜面角度βに対し、ヒーターブロック74bの角度は、ある程度許容巾があるため、ヒーターブロック74を上層部と下層部とで分割しておくことで、積層体29の斜面角度βが若干異なる品種に対しても、上層部のヒーターブロック74bは、同じ設定位置で対応できるため、この場合下層部用のヒーターブロック74aのみの交換または、位置変更で、他品種対応が可能である。また、ヒーターブロック74を上層部と下層部とで分割しておくことで、透過液流路剤20のみの積層配置である下層部を熱融着するヒーターブロック74aと下層に分離膜ユニット14を配設する上層部を熱融着するヒーターブロック74bとで、それぞれで温度設定を変更することもでき、積層枚数によっては下層部のみの、ヒーターブロック74aのみ加熱して使用することもでき、品種に応じた最適な条件設定が可能である。
【0043】
ここで、本実施形態では透過液流路材20の下層部を最下部の1枚目から30枚目、上層部を20枚目から100枚目としたが、透過液流路材20の枚数が異なる場合など、本発明においては下層部と上層部のそれぞれの枚数を、ヒーターブロック74aの位置決めなど上述した観点を考慮して適宜設定することができる。
【0044】
また、本実施形態では、積層体29の巾は960mmであり、この巾方向に対し、巾30mmのヒーターブロック74aを4カ所、同じく巾30mmヒーターブロック74bを3カ所、それぞれ交互に設けている。また、これらヒーターブロック74の各間および積層体29の両端には、図16に示す様、ヒーターブロック74により熱融着した透過液流路材20が、融着剥がれしない様、ヒーターブロック74が接圧後、積層体29から待避した後も、所定時間透過液流路材20の熱融着部近傍で最下層から最上層までの全ての透過液流路材20を押さえ付け接圧固定する役割をする固定具としての押さえ板72が、進退可能なように積層体29の巾方向に計8カ所設けている。押さえ板72は、ヒーターブロック74が積層体29に接圧するよりも先に接圧させることで、ヒーターブロック74を安定して、積層体29に接圧させる機能もある。
【0045】
押さえ板72は、ヒーターブロック74と同様に、積層体29の斜面、すなわち全ての透過液流路剤20の走行方向先端部に接圧するため、図17および図18に示す様、本実施形態では、透過液流路剤20の最下層から20枚目の位置までは、角度α=9°で、20枚目を越えた位置(角度変位点P)から上層部は、角度β=30°に形状をあわせており、押さえ板72は、一体の板状の部品構成である。本実施形態で押さえ板72は、一体の板状の部品であるが、ヒーターブロック72と同様に下層部と上層部とで分割形態にしても良い。押さえ板72とヒーターブロック74の取り合いについて、わかり易い様、図19においては、押さえ板72が積層体29を接圧した位置を押さえ位置73として、ヒーターブロック74と並べて表示している。
【0046】
本実施形態では、さらに、ヒーターブロック74および押さえ板72が積層体29の斜面を接圧した際にその接圧力で積層体29がずれたり、上流側に移動したりしない様、積層体29最上部の分離膜ユニット14を下方に押さえる固定板71が設けられている。
【0047】
以上の様な本実施形態の「熱接圧工程」が「積層体形成工程」と「巻囲工程」との間に設けられたスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置では、以下のようにスパイラル型流体分離膜エレメントが製造される。
【0048】
図16に示す様、「積層体形成工程」で形成された積層体29は、巻囲台車60に移載された後、巻囲台車60上で、積層体29の最上層の100枚目の分離膜ユニット14を固定板71で接圧、その後、積層体29の斜面を押さえ板72で接圧し、続けてヒーターブロック74を積層体29斜面に接圧し熱融着させる。本実施形態ではヒーターブロック74は表面温度を230°に設定し、20秒間接圧しているが、熱融着させる透過液流路材20の材質特性により適宜温度設定するのが好ましい。所定時間経過したら、ヒーターブロック74は積層体29から離間させる。その後、透過液流路材20の熱融着部76(図22参照)の温度が下がり、融着部が固化するまで、押さえ板72は積層体29を押さえままで、所定時間経過後、押さえ板72を積層体29より離間させる。本実施例では、ヒーターブロック74が積層体29から離間した後、押さえ板72を積層体29から離間させるまでの時間は30秒に設定している。その後、積層体29の最上層の分離膜ユニット14を押さえていた押え板71を積層体29から離間させる。
【0049】
以上で、「熱接圧工程」の処理は完了し、巻囲台車60は積層体29を載せ前進し、従来装置同様に、「巻囲工程」へと送られ、積層体29は集水管34周囲に巻かれる。
【0050】
この際に、「熱接圧工程」で全数の透過液流路材20を強固に一括に熱融着で固定しているため、「積層体形成工程」で設定したずらし量Tが、変化することはなく、〔ずらし量Tの総和〕+〔ずらし量T〕が集水管34の周長と一致するため、透過液流路材20および分離膜ユニット14は集水管34の外周上に等ピッチ配置され、集水管34と同芯でかつ真円な形状のエレメントが形成される様になっている。
【0051】
図23には、集水管34に積層体29を巻上げた後の集水管34と分離膜ユニット14の先端部の配置を示したものであるが、最下層の分離膜ユニット14aから最上層の分離膜ユニット14zまでが、集水管34の周りに等ピッチで配設された様子を示し、図24では、集水管34に対し巻囲体51が、同芯で真円に巻かれた状態を示す。
【0052】
本発明において、枚葉状分離膜である分離膜2は、膜強度を補うためのシート状の多孔性支持体の上に分離機能膜を形成したものを一般的に使用するが、多孔性支持体には、ポリエステル,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアミド等を素材とする織布,不織布,ネット等を使用しており、好ましくはポリエステルの不織布を使用するのが良い。また、分離機能膜の材料には、ポリアクリロニトリル,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,ポリフェニレンスルホン,ポリフェニレンスルフィドスルホン,ポリフッ化ビニリデン,酢酸セルロース,ポリエチレン,ポリプロピレン等を使用しており、好ましくはポリスルホンを使用するのが良い。また、分離機能膜は、細密性をさらに向上させるために、さらにその上に、ポリアミド,ポリイミド,酢酸セルロースなどの半透膜を形成することが好ましい。
【0053】
また、原液流路材9は、エレメントの端板53側から分離膜2の膜面側へと原液を導くための流路空間を、折り返した分離膜2の間に形成するシート形状のものであれば、特に材質および形態に限定は無いが、ポリプロピレン,ポリエチレンおよびポリエステルなどからなるネット形態のものを使用するのが好ましい。
【0054】
また、透過液流路材20は、分離膜2で濾過した、透過液を集水管34側に導くための流路空間を、隣接する分離膜ユニット14同士の間に形成するシート形状のものであれば、特に材質および形態に限定は無いが、トリコットと呼ばれるポリエステル樹脂やポリオレフィン樹脂から織られた織物または編み物で、集水管34方向に表面に複数の溝を有する形態のものを使用するのが好ましい。
【0055】
さらに、集水管34には、巻囲時の巻付け抵抗力,巻囲体の重量,および流体圧力に対しての剛性および強度のある材質であれば特に限定は無いが、低コストである樹脂系、例えば、塩化ビニルやポリプロピレン,ポリエステルおよびFRPなどの樹脂を使用するのが良く、より好ましくはABS樹脂やポリフェニレンオキシド樹脂を使用するのが良い。
【0056】
また、接着剤28については、エポキシ系およびウレタン系などを使用するが、これらの中でも、比較的、強度、耐熱性等に優れたものを使用するのがより好ましい。
【0057】
さらに、固定具である斜面押え板72は、耐熱性の高いゴムや樹脂,表面を防錆処理した金属などを使用するが、好ましくは、ステンレス材を使用するのが良い。
【実施例】
【0058】
[実施例1]
以上説明した本実施形態に係るスパイラル型分離膜エレメントの製造装置を用いて、透過液流路材および逆浸透膜を用いた分離膜ユニットを各100枚積層し、半導体産業用の超純水を創るための外径390mmのスパイラル型分離膜エレメントを製造した。「熱接圧工程」で全数の透過液流路材は強固にかつ一括に熱融着されて、次工程の「巻囲工程」で、集水管周りに積層体を巻き付ける際に、透過液流路材および分離膜ユニットは、ずれることなく、集水管周りに等ピッチ配置で巻き付けられ、この結果、集水管と同芯でかつ真円な外径のエレメントが、100個製造して100個とも安定して製造できエレメントを100個全数製品として出荷することができた。
[比較例1]
次に本実施形態の効果を確認するため、図1および図2,図8および図9に示す従来のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置を用いて、透過液流路材および逆浸透膜を用いた分離膜ユニット各100枚を積層し、半導体産業用の超純水を創るための外径390mmのスパイラル型分離膜エレメントを製造した。「積層体形成工程」で透過液流路材の全数の先端を粘着テープで接着された積層体は、「巻囲工程」で集水管への巻き付け時に、巻き付け抵抗で粘着テープと透過液流路材との粘着部がずれて、透過液流路材および分離膜ユニットは、集水管周りに等ピッチ配置で巻き付けられない場合があり、このような場合、エレメントは、集水管とエレメント外周とで芯は合わず、かつ外径が真円に形成されなかった。このような芯ズレまたは真円に形成されない変芯・変形したエレメントは、圧力容器に収まらないため、製造したエレメント100個中40個は不良製品となり出荷できず、屑として廃棄処理することになった。
[比較例2]
次に本実施形態の効果を確認するため、図1および図2,図8および図9に示すもう一方のタイプの従来のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置を用いて、透過液流路材および逆浸透膜を用いた分離膜ユニット各100枚を積層し、半導体産業用の超純水を創るための外径390mmのスパイラル型分離膜エレメントを製造した。「積層体形成工程」で透過液流路材の先端を超音波ウェルダにて不連続に融着された積層体は、「巻囲工程」で集水管への巻き付け時に、巻き付け抵抗で、超音波ウェルダ融着部以外のところで透過液流路材がパンタグラフ状にずれて、それにともない分離膜ユニットもずれてしまい、透過液流路材および分離膜ユニットは、集水管周りに等ピッチ配置で巻き付けられない場合があり、このような場合、エレメントは、集水管とエレメント外周とで芯は合わず、かつ外径が真円に形成されなかった。このような芯ズレまたは真円に形成されない変芯・変形したエレメントは、圧力容器に収まらないため、製造したエレメント100個中60個は不良製品となり出荷できず、屑として廃棄処理することになった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、複数枚,複数種類のシート状物を重ね合わせ、中心軸となるパイプ状または棒状のものの外周にシート状物を等ピッチで巻き付ける必要のある形態のもので、かつシート状物が熱融着できるスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置に応用するものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】従来のスパイラル型流体分離膜エレメント製造装置の「分離膜ユニット形成工程」および「積層体形成工程」の斜視図である。
【図2】図1の従来装置を用いた製造方法を示す概略構成図である。
【図3】図2の方法により形成された積層体の概略構成図である。
【図4】従来装置に用いる集水管の一例を示す斜視図である。
【図5】従来装置の別の形態に係る積層体形成時の透過液流路材固定方法を示す概略側面図である。
【図6】図5の概略平面図である。
【図7】従来装置の「積層体形成工程」から「巻囲工程」へ、積層体を移動する巻囲台車の概略側面図である。
【図8】従来のスパイラル型流体分離膜エレメント製造装置の「巻囲工程」の概略側面図である。
【図9】従来装置の「巻囲工程」にて巻囲体を形成する様子を示す概略側面図である。
【図10】図8装置における巻囲軸部の正面図である。
【図11】従来装置に係るスパイラル型流体分離膜エレメントの組立体の一例を示す分解斜視図である。
【図12】大径エレメント巻囲における積層ずれの状態説明図である。
【図13】従来装置の別の形態に係る透過液流路材固定方法での積層ずれの状態説明図(正面図)である。
【図14】従来装置で製造した、通常のスパイラル型流体分離膜エレメントと大径のスパイラル型流体分離膜エレメントの各集水管と分離膜ユニットの配置関係の説明図である。
【図15】従来装置で巻囲した、通常のスパイラル型流体分離膜エレメントと大径のスパイラル型流体分離膜エレメントの各集水管と巻囲体の状態説明図である。
【図16】本発明に係る「熱接圧工程」における積層体の押さえ板および斜面押え板の状態説明図である。
【図17】図16に示す積層体部の概略側面図である。
【図18】図17に示す積層体の下層部近辺の部分拡大図である。
【図19】本発明に係る「熱接圧工程」におけるヒーターブロックを積層体に接圧した状態を示す図である。
【図20】図19に示す積層体部の概略側面図である。
【図21】図19に示す積層体の下層部近辺の部分拡大図である。
【図22】図19にてヒーターブロックを積層体に接圧しことで、透過液流路材が熱融着した状態を示す説明図である。
【図23】本発明に係るスパイラル型流体分離膜エレメント製造装置にて製造したスパイラル型流体分離膜エレメントの集水管と分離膜ユニットの配置関係の説明図である。
【図24】本発明に係るスパイラル型流体分離膜エレメント製造装置にて製造したスパイラル型流体分離膜エレメントの集水管と巻囲体の状態説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1:分離膜ロール
2:分離膜
3:ガイドロール
4:ニップロール
5:台車
6:カッタ
8:枚葉状の分離膜
9:原液流路材
10:原液流路材ロール
11:カッタ
12:平板
13:膜折り返し用搬送アーム
14:分離膜ユニット
14a:最下層分離膜ユニット
14z:最上層分離膜ユニット
15:折り目付与手段
16:超音波ウェルダ
17:接合部
18:台車
19:透過液流路材ロール
20:透過液流路材
21:カッタ
22:テーブル
23:吸引パッド
24:吸着兼搬送手段
25:テーピング手段
26:テープ
27:接着剤塗布ガン
28:接着剤
29:積層体
29a:積層体29が層ずれした状態
30:ガン走査手段
31:接着剤タンク
33:テープ
34:集水管
35:集水孔
36:両面テープ
38:集水管ストック手段
39:搬送アーム
40:ウェルダ用プレート
41:超音波ウェルダ
42:ウェルダ用プレート
43:駆動ロール
44:ニップロール
45:溶着部
50:流体分離膜エレメント
51:巻囲体
52:原水
53:端板
54:濃縮水
55:端板
56:シール材
57:透過水
60:巻囲装置
61:巻囲台車
62:斜板
63:軸
64:シリンダ
65:管受け
66:走行部
67:巻囲軸
71:押え板
72:斜面押え板
73:斜面押え位置
74a:ヒーターブロック(下層部用)
74b:ヒーターブロック(上層部用)
76a:熱融着部(下層部)
76b:熱融着部(上層部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉分離膜を、間に原液流路材を挟むように二つ折りにして分離膜ユニットを形成する第1工程と、前記分離膜ユニットと透過液流路材とを交互にそれぞれ50枚以上300枚以下積層するとともに、前記分離膜ユニットそれぞれの上面における折り返し端部とその両側縁部とに接着剤を塗布して積層体を形成する第2工程と、前記積層体を集水管の周りに巻囲する第3工程とを有するスパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法において、前記第2工程と前記第3工程との間に、積層された全ての枚数の前記透過液流路材における前記集水管側の端部を、熱板によって一括して熱融着させる熱接圧工程を設けることを特徴とするスパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法。
【請求項2】
前記熱接圧工程の前または前記熱接圧工程と同時に、前記集水管側の端部であって前記熱融着させる位置の近傍において、積層された全ての枚数の前記透過液流路材を固定具にて接圧固定し、かつ前記熱接圧工程の後に、前記固定具を前記透過液流路材より解放することを特徴とする、請求項1に記載のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法。
【請求項3】
前記熱接圧工程において、前記積層体の上層部と下層部とを、それぞれ独立した別の前記熱板によって一括して熱融着させることを特徴とする、請求項1または2に記載のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造方法。
【請求項4】
原液流路材、分離膜、および透過液流路材をそれぞれ所定長切り出す切断手段と、切り出された前記分離膜を、間に切り出された前記原液流路材を挟むように二つ折りにして分離膜ユニットを形成する分離膜ユニット形成手段と、前記分離膜ユニットと切り出された前記透過液流路材とを交互にそれぞれ50枚以上300枚以下積層するとともに、前記分離膜ユニットそれぞれの上面における折り返し端部とその両側縁部とに接着剤を塗布して積層体を形成する積層手段と、前記積層体を集水管の周りに巻囲する巻囲手段を有するスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置において、積層された全ての枚数の前記透過液流路材における前記集水管側の端部を、一括して圧接し熱融着させる熱板を有することを特徴とするスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置。
【請求項5】
前記集水管側の端部であって前記熱融着させる位置の近傍において、積層された全ての枚数の前記透過液流路材を接圧固定する固定具を有することを特徴とする請求項4に記載のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置。
【請求項6】
前記熱板が、前記積層体の上層部を熱融着させる熱板と前記積層体の下層部を熱融着させる熱板とにそれぞれ独立していることを特徴とする請求項4または5に記載のスパイラル型流体分離膜エレメントの製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2010−82575(P2010−82575A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256016(P2008−256016)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】