説明

スピロジラクタムポリカーボナート中間体転写部材

【課題】破断強度、耐熱性に優れ、経時劣化が少なく表面電気抵抗の湿度依存性が抑えられ、かつ製造性も良好な中間転写体を提供する。
【解決手段】単層中間転写ベルトとして、スピロジラクタムポリカーボナート3、またはスピロジラクタムポリカーボナート3とポリカーボナート4との混合物又はスピロジラクタムポリカーボナート3と必要に応じてシロキサンポリマー5と電気抵抗を調整する導伝性フィラー6との混合物から構成される。さらに離型層を設けて多層構成とすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、スピロジラクタムポリカーボナートを含む中間体転写部材、例えば、スピロジラクタムポリカーボナート、必要に応じてポリシロキサン、及び必要に応じて導伝性構成要素の混合物からなる中間体転写部材に関する。
【背景技術】
【0002】
中間体転写部材、例えば、乾式複写系において現像画像を転写させるために選択される中間体転写ベルトが、知られている。例えば、受容不可能な低い係数又は破断強度、金属基板からの乏しい離脱特徴を有する材料を備える多くの中間体転写部材、或いは、費用又は原材料不足及び長い乾燥時間ゆえに本来製造コストがかさむ多くの中間体転写部材が、知られている。また、脆弱になって、現像された画像の不適切な受容及びその結果としての紙などの基材への乾式複写の現像画像の部分的な転写をもたらす特徴を有する種々の中間体転写部材もまた、知られている。
【0003】
中間体転写部材の製造に関する不都合は、通常、金属基板上に分離離型層が堆積され、その後、この離型層に中間体転写部材構成要素が適用されること、及びこの離型層が、得られた中間体転写部材を剥離によって若しくは機械的デバイスの使用によって金属基板から分離させることである。その後、中間体転写部材は、乾式複写画像系のために選択され得るフィルム形状であるか、又はフィルムが、ポリマー層のような支持基材上に堆積され得る。離型層の使用は、製造に費用及び時間がかかり、このような層は、多くの中間体転写部材特徴を変更し得る。
【0004】
1分間に約30ページ以下を印刷するローエンドの乾式複写機及びプリンターのために、通常、低コストであるがゆえに、熱可塑性中間体転写部材が使用される。しかし、熱可塑性材料、例えばある種のポリカーボナート、ポリエステル及びポリアミドの係数値又は破断強度は、比較的低く、例えば、約1,000〜2,000メガパスカル(MPa)である。
【0005】
1分間に少なくとも30ページ、1分間に約75ページまで又はそれ以上を印刷するハイエンドの乾式複写機及びプリンターは、通常、主に約3,500Mpa以上の高い係数ゆえに、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド又はポリアミドイミドの中間体転写部材を使用する。しかし、これらの材料を用いる中間体転写部材は、原材料コスト及び製造プロセスコストの両方において、熱可塑性又は熱硬化性のポリイミド又はポリアミドイミドを用いるより高価である。従って、ハイエンド機のための高い係数及び優れた離脱特徴を有する経済的な中間体転写部材が、望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
公知の多くの中間体転写部材の不都合を実質的に有さないか又は最小化する中間体転写部材が、必要とされる。
【0007】
また、係数測定によって決定される優れた破断強度を有し、基板から容易に離脱され、例えば約200℃よりも高い、約210℃〜約400℃まで、及び約215℃〜約375℃までの高いガラス遷移温度を有し、時間経過による劣化がないか又は最小化される改善された安定性を有する中間体転写部材が、必要とされる。
【0008】
さらに、中間体転写部材が製造される場合に選択される多くの基板から迅速に離脱される特徴を有する中間体転写部材材料が、必要とされる。
【0009】
別の必要性は、優れた導伝性又は抵抗率を有し、且つ受容可能な湿度不感性特徴を有して解像度問題を最小化した現像画像をもたらす、シームレスな中間体転写部材の提供に関する。
【0010】
さらに、経済的かつ効率的に製造され得る構成要素を含むシームレスな中間体転写部材が、必要とされる。
【0011】
これら及び他の必要性が、本明細書中で開示される中間体転写部材及びその構成要素によって、いくつかの実施形態において達成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
スピロジラクタムポリカーボナートを含有するポリマー層からなる、中間体転写部材が、開示される。
【0013】
スピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマー、ポリシロキサン及び導伝性フィラー構成要素の混合物からなる中間体転写部材もまた開示され、このコポリマーは、以下の式/構造:
【化1】

又は
【化2】

又はこれらの混合物によって表され、式中、xは、約5〜約30モル%までであり、yは、約70〜約95モル%までである。
【0014】
さらに、スピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマー、ポリシロキサン及び導伝性フィラー構成要素の混合物からなる中間体転写部材が開示され、この部材は、約3,000〜約5,500メガパスカルまでの係数を有し、この混合物は、金属基板から容易に離脱可能である。
【0015】
以下の図面により、本明細書中で開示される中間体転写部材をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本開示の1層中間体転写部材の実施形態の例を図示する。
【図2】図2は、本開示の2層中間体転写部材の実施形態の例を図示する。
【図3】図3は、本開示の3層中間体転写部材の実施形態の例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書中で、スピロジラクタム系のポリカーボナートからなる中間体転写部材が提供され、この中間体転写部材は、ステンレス鋼のような基板からの効率的な離脱を可能にするか又は効率的な離脱を可能にすることを補助し、それによって、基板上の分離離型層の必要性を排除する。
【0018】
より詳細には、スピロジラクタムポリカーボナート、フィラー又は導伝性構成要素及びポリシロキサンの混合物をポリマー層の構成からなるシームレス中間体転写部材が、本明細書中で提供される。
【0019】
また、スピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマー、ポリシロキサン及び導伝性フィラー構成要素からなるスピロジラクタム系のポリカーボナートの混合物並びに必要に応じて離型層からなるシームレス中間体転写部材が、本明細書中で説明される。
【0020】
図1において、スピロジラクタムポリカーボナート3、又はスピロジラクタムポリカーボナート、例えばスピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナート4とのコポリマー、必要に応じてシロキサンポリマー5、及び必要に応じて導伝性構成要素6の混合物からなる層2からなる中間体転写部材が図示される。
【0021】
図2において、スピロジラクタムポリカーボナート8又はスピロジラクタムポリカーボナート、例えばスピロジラクタムポリカーボナート8とポリカーボナート9とのコポリマー、シロキサンポリマー10及び導伝性構成要素11の混合物からなる下層7、並びに必要に応じて上層すなわち離脱構成要素14を含有する外側トナー離型層からなる2層中間体転写部材が図示される。
【0022】
図3において、支持基材15、スピロジラクタムポリカーボナート17又はスピロジラクタムポリカーボナート、例えばスピロジラクタムポリカーボナート17とポリカーボナート18とのコポリマー、必要に応じてシロキサンポリマー19、及び必要に応じて導伝性構成要素21からなる上の層16、並びに必要に応じて離脱構成要素24を含有する離型層23からなる3層中間体転写部材が図示される。
【0023】
本明細書中で開示される中間体転写部材は、優れた離脱特徴(自己離脱)を示し、例えば、ステンレス鋼基板上に存在する外側離型層の使用を避けることができ;迅速且つ完全な転写、例えば、乾式現像画像の約90〜約99%まで、又は約95〜約100%までの転写を可能にしながら優れた機械強度を有し;例えば、約3,000〜約7,000メガパスカル(Mpa)まで、約3,000〜約5,500MPaまで、約3,600〜約6,000MPaまで、約3,500〜約5,000MPaまで、約3,000〜約5,000MPaまで、約4,800〜約5,000MPaまで、又は約3,700〜約4,000Mpaまでのヤング係数を有し;約200〜約400℃まで、約250〜約375℃まで、又は約215〜約375℃までの高いガラス遷移温度(T)を有し;約20〜約70ppm/°K(百万分率/ケルビン度)まで、又は約30〜約60ppm/°KまでのCTE(熱膨張率)を有し;公知の高抵抗率計で測定して優れた抵抗率、例えば、約10〜約1013ohm/平方まで、約10〜約1013ohm/平方まで、約10〜約1012ohm/平方まで、又は約1010〜約1012ohm/平方までの抵抗率を有する。開示の中間体転写部材の抵抗率は、導伝性粒子の濃度を変更することによって調整され得る。
【0024】
任意の外的供給源、例えばこじ開け器具の補助なしでの自己離脱特徴は、効率的且つ経済的な形成を可能にし、そして完全な分離、例えば基板(例として鋼)からの開示された中間体転写部材の、例えば約95〜約100%まで、又は約97〜約99%までの分離を可能にし、ここで、この部材は、最初、フィルムの形状に製造される。自己離脱はまた、金属基板上の離脱材料及び分離離型層の必要性を排除する。自己離脱特徴を得るための時間は、例えば、本明細書で開示されるスピロジラクタムポリカーボナートについて選択される構成要素によって変わる。しかし、一般に、この時間は、約1〜約60秒まで、例えば約1〜約35秒まで、約1〜約15秒まで、約1〜約10秒まで、又は1〜約5秒まで、そしていくつかの場合では、約1秒未満である。
【0025】
本開示の中間体転写部材は、任意の種類の構成、例えば、1層構成、又は例えば上部離型層を含む多層構成で提供され得る。より具体的には、最終的な中間体転写部材は、可撓性エンドレスベルト、ウェブ、可撓性のドラム又はローラー、剛性のローラー又はシリンダー、シート、ドレルト(ドラムとベルトとの十字)、可撓性のエンドレスシームベルト、シームレスベルト(部材中にいかなるシームも可視のつなぎ目も存在しない)などの形状であってもよい。
【0026】
本明細書中の中間体転写部材は、スピロジラクタムポリカーボナートを含有するポリマー層からなる。スピロジラクタムポリカーボナートは、例えば、完全に又はほぼ完全にスピロジラクタムカーボナートモノマーで形成されたポリマー、完全に又はほぼ完全にスピロジラクタムカーボナートモノマーとカーボナートモノマーとで形成されたコポリマー、又はスピロジラクタムカーボナートモノマー、カーボナートモノマー及び他のモノマーで形成されたコポリマー、ターポリマーなどであり得る。別の記載がない限り、これらの全ての変形が、本明細書中でスピロジラクタムポリカーボナートと呼ばれる。従って、例えば、スピロジラクタムポリカーボナートとしては、スピロジラクタム系のポリカーボナート又はスピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマーを含む。
【0027】
スピロジラクタムポリカーボナートの例であって、Shell Development Company, Houston Texasから入手可能であり、いくつかの実施形態において、スピロジラクタム系のポリカーボナート、例えばスピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマーからなり、本明細書中で説明される中間体転写部材のために選択されるものは、少なくとも以下の式/構造のうちの1つで表される:
【化3】

【化4】

及び
【化5】

式中、xとyはモル%を表し、xとyとの合計は、100モル%である。
【0028】
より具体的には、上記の式/構造中で、xは、約1〜約30モル%まで、約5〜約30モル%まで、約6〜約25モル%まで、約6〜約20モル%まで、約2〜約20モル%まで、約1〜約5モル%まで、約3〜約10モル%まで、又は他の好適なモル%であり、そしてyは、例えば、約70〜99モル%まで、約70〜約95モル%まで、約80〜約98モル%まで、約99〜約95モル%まで、約90〜約97モル%まで、約80〜約94モル%まで、約75〜約94モル%まで、又は他の好適なモル%である。スピロジラクタムポリカーボナートは、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析のような公知の分析プロセスによって測定した場合、約50,000〜約300,000まで、約100,000〜約250,000まで、約75,000〜約200,000まで、又は約150,000〜約200,000までの重量平均分子量を有する。
【0029】
モル%は、本開示のいくつかの実施形態において、ポリマー中の特定のモノマーのモル対モノマーの総モルの比を意味する。
【0030】
スピロジラクタムポリカーボナートの製造のために使用され得るプロセスが限定されることは望まれないが、スピロジラクタムポリカーボナートは、スピロジラクタム、ビスフェノール及びホスゲンを反応させることによって形成されると考えられ、ここで、スピロジラクタムは、ホスゲンと反応してスピロジラクタムポリカーボナートを形成し、ビスフェノールは、ホスゲンと反応して、ポリカーボナートを形成する。スピロジラクタムと選択されたビスフェノールとの比及びホスゲンの量に基づき、本明細書中で図示される式/構造のポリマー又はコポリマーのxとyとのモル比が、決定される。
【0031】
本明細書中で図示される式/構造のポリマーの形成のために選択されるスピロジラクタムの例としては、例えば、1,6‐ジ(4‐ヒドロキシフェニル)‐1,6‐ジアザスピロ[4.4]ノナン‐2,7‐ジオン、1,6‐ジ(4‐ヒドロキシフェニル)‐3,4,8,9‐テトラフルオロ‐1,6‐ジアザスピロ[4.4]ノナン‐2,7‐ジオン、1,6‐ジ(3‐ヒドロキシ‐4‐クロロフェニル)‐3,3,4,4,8,8,9又は9‐オクチルメチル‐1,6ジアザスピロ4,4ノナン‐2,7‐ジオンが挙げられる。ビスフェノールの例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
スピロジラクタムポリカーボナートは、約100%の量で中間体転写部材中に存在し得る。いくつかの実施形態において、スピロジラクタム系のポリカーボナート又はスピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマーの全てを含めて、スピロジラクタムポリカーボナートは、本明細書中で記載される比で、且つ種々の有効量、例えば、存在する構成要素すなわち成分の総量に対して、約50〜約90重量%まで、約70〜約85重量%まで、約65〜約95重量%まで、約60〜約95重量%まで、約80〜約90重量%まで、又は約80〜約85重量%までで、中間体転写部材中に存在し得る。
【0033】
スピロジラクタムポリカーボナートは、約100%までの量で中間体転写部材中に存在し得る。いくつかの実施形態において、スピロジラクタムポリカーボナートは、本明細書中で記載される比で、且つ種々の有効量、例えば、ポリマー層中に存在する構成要素すなわち成分の総量に対して、約50〜約90重量%まで、約70〜約85重量%まで、約65〜約95重量%まで、約60〜約95重量%まで、約80〜約90重量%まで、又は約80〜約85重量%までで、中間体転写部材のポリマー層中に存在し得る。
【0034】
スピロジラクタムポリカーボナート、導伝性フィラー及びポリシロキサンの混合物は、本明細書中で記載される量及び比で存在する。比の例としては、約80/19.95/0.05、約85/14.95/0.05又は約90/9.9/0.1、或いはこれらの比の間の任意の量が挙げられる。
【0035】
中間体転写部材はまた、一般に、ポリシロキサンポリマーからなる。本明細書中で開示される中間体転写部材のために選択されるポリシロキサンポリマーの例としては、公知の好適なポリシロキサン、例えば、BYK(登録商標)333、BYK(登録商標)330(メトキシプロピルアセタート中約51重量%で存在する)及びBYK(登録商標)344(キシレン/イソブタノール、比80/20中約52.3重量%で存在する)としてBYK Chemicalから市販されるポリエーテルとポリジメチルシロキサンとのコポリマー;BYK(登録商標)‐SILCLEAN 3710及びBYK(登録商標)3720(メトキシプロパノール中約25重量%で存在する);BYK(登録商標)310(キシレン中約25重量%で存在する)及びBYK(登録商標)370(キシレン/アルキルベンゼン/シクロヘキサノン/モノフェニルグリコール、比75/11/7/7中約25重量%で存在する)としてBYK Chemicalから市販されるポリエステルとポリジメチルシロキサンとのコポリマー;BYK(登録商標)‐SILCLEAN 3700(メトキシプロピルアセタート中約25重量%で存在する)としてBYK Chemicalから市販されるポリアクリラートとポリジメチルシロキサンとのコポリマー;BYK(登録商標)375(ジ‐プロピレングリコールモノメチルエーテル中約25重量%で存在する)としてBYK Chemicalから市販されるポリエステルポリエーテルとポリジメチルシロキサンとのコポリマーなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
ポリシロキサンポリマー又はそのコポリマーは、ポリマー層混合物中に種々の有効量、例えば、存在する構成要素すなわち成分の総重量に対して、約0.01〜約1重量%まで、約0.05〜約1重量%まで、約0.05〜約0.5重量%まで、約0.1〜約0.5重量%まで、又は約0.1〜約0.3重量%までで含まれ得る。
【0037】
必要に応じて、中間体転写部材は、例えば、中間体転写部材の導伝性を変えるか又は調整するために、1種以上のフィラーを含んでもよい。中間体転写部材が1層構造である場合、導伝性フィラーは、本明細書中で開示されるスピロジラクタムポリカーボナートの混合物中に含まれ得る。しかし、中間体転写部材が多層構造である場合、導伝性フィラーは、中間体転写部材の1以上の層、例えば支持基材、ポリマー層、又はこれらの上に被覆されるその混合物、或いは支持基材とポリマー層の両方中に含まれ得る。
【0038】
所望の結果を提供する任意の好適なフィラーが、使用され得る。例えば、好適なフィラーとしては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン、グラファイト、アセチレンブラック、フッ化カーボンブラック、他の公知の好適なフィラー、及びフィラーの混合物が挙げられる。
【0039】
本明細書中で記載される中間体転写部材のために選択され得るカーボンブラックフィラーの例としては、Evonik‐Degussaから入手可能なspecial black 4(B.E.T.表面積=180m/g、DBP吸油量=1.8ml/g、1次粒子径=25ナノメートル)、special black 5(B.E.T.表面積=240m/g、DBP吸油量=1.41ml/g、1次粒子径=20ナノメートル)、color black FW1(B.E.T.表面積=320m/g、DBP吸油量=2.89ml/g、1次粒子径=13ナノメートル)、color black FW2(B.E.T.表面積=460m/g、DBP吸油量=4.82ml/g、1次粒子径=13ナノメートル)、color black FW200(B.E.T.表面積=460m/g、DBP吸油量=4.6ml/g、1次粒子径=13ナノメートル)、全てEvonik‐Degussaから入手可能;Cabot Corporationから入手可能なVULCAN(登録商標)カーボンブラック、REGAL(登録商標)カーボンブラック、MONARCH(登録商標)カーボンブラック、及びBLACK PEARLS(登録商標)カーボンブラックが挙げられる。導伝性カーボンブラックの具体例としては、BLACK PEARLS(登録商標)1000(B.E.T.表面積=343m/g、DBP吸油量=1.05ml/g)、BLACK PEARLS(登録商標)880(B.E.T.表面積=240m/g、DBP吸油量=1.06ml/g)、BLACK PEARLS(登録商標)800(B.E.T.表面積=230m/g、DBP吸油量=0.68ml/g)、BLACK PEARLS(登録商標)L(B.E.T.表面積=138m/g、DBP吸油量=0.61ml/g)、BLACK PEARLS(登録商標)570(B.E.T.表面積=110m/g、DBP吸油量=1.14ml/g)、BLACK PEARLS(登録商標)170(B.E.T.表面積=35m/g、DBP吸油量=1.22ml/g)、VULCAN(登録商標)XC72(B.E.T.表面積=254m/g、DBP吸油量=1.76ml/g)、VULCAN(登録商標)XC72R(VULCAN(登録商標)XC72のふわふわ形状)、VULCAN(登録商標)XC605、VULCAN(登録商標)XC305、REGAL(登録商標)660(B.E.T.表面積=112m/g、DBP吸油量=0.59ml/g)、REGAL(登録商標)400(B.E.T.表面積=96m/g、DBP吸油量=0.69ml/g)、REGAL(登録商標)330(B.E.T.表面積=94m/g、DBP吸油量=0.71ml/g)、MONARCH(登録商標)880(B.E.T.表面積=220m/g、DBP吸油量=1.05ml/g、1次粒子径=16ナノメートル)、及びMONARCH(登録商標)1000(B.E.T.表面積=343m/g、DBP吸油量=1.05ml/g、1次粒子径=16ナノメートル);並びにEvonik‐Degussaから入手可能なチャンネルカーボンブラックである。本明細書中で特に開示されない他の公知の好適なカーボンブラックが、本明細書中で開示される中間体転写部材のためのフィラーすなわち導伝性構成要素として選択され得る。
【0040】
中間体転写部材に配合されるために選択され得るポリアニリンフィラーの例としては、Panipol Oy, Finlandから市販されるPANIPOLTM F;及び公知のリグノスルホン酸グラフトポリアニリンである。これらのポリアニリンは、通常、比較的小さい粒子サイズ径、例えば、約0.5〜約5ミクロンまで;約1.1〜約2.3ミクロンまで、又は約1.5〜約1.9ミクロンまでを有する。
【0041】
開示される中間体転写部材のために選択され得る金属酸化フィラーとしては、例えば、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、二酸化アンチモン、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化亜鉛、インジウムドープ三酸化スズ、インジウムスズ酸化物及び酸化チタンが挙げられる。
【0042】
好適なアンチモンドープ酸化スズとしては、不活性コア粒子上に被膜されたアンチモンドープ酸化スズ(例えば、ZELEC(登録商標)ECP‐S、M及びT)、及びコア粒子を含まないこれらのアンチモンドープ酸化スズ(例えば、ZELEC(登録商標)ECP‐3005‐XC及びZELEC(登録商標)ECP‐3010‐XC;ZELEC(登録商標)は、DuPont Chemicals, Jackson Laboratories, Deepwater, N.Jの商標である)が挙げられる。これらのコア粒子は、雲母、TiO又は中空若しくはソリッドコアを有する針晶粒子であってもよい。
【0043】
アンチモンドープ酸化スズ粒子は、シリカシェル又はシリカ系粒子の表面上にアンチモンドープ酸化スズの薄層を高密度で層形成し、次いで、このシェルを、コア粒子上に堆積することによって製造され得る。導伝性の微結晶は、シリカ層上に高密度導伝性表面を形成するように分散される。これにより、最適な導伝性が得られる。また、この粒子は、適切な透明度を提供するために充分に小さいサイズである。シリカは、中空のシェルであるか又は不活性コアの表面上で層状であるかのどちらであってもよく、固体構造を形成する。アンチモンドープ酸化スズの形態としては、ZELEC(登録商標)ECP(導電性粉末)の商標の下でDuPont Chemicals Jackson Laboratories, Deepwater, New Jerseyから市販されている。特に好ましいアンチモンドープ酸化スズとしては、ZELEC(登録商標)ECP 1610‐S、ZELEC(登録商標)ECP 2610‐S、ZELEC(登録商標)ECP 3610‐S、ZELEC(登録商標)ECP 1703‐S、ZELEC(登録商標)ECP 2703‐S、ZELEC(登録商標)ECP 1410‐M、ZELEC(登録商標)ECP 3005‐XC、ZELEC(登録商標)ECP 3010‐XC、ZELEC(登録商標)ECP 1410‐T、ZELEC(登録商標)ECP 3410‐T、ZELEC(登録商標)ECP‐S‐X1などである。3種の市販等級のZELEC(登録商標)ECP粉末が好ましく、その例としては、針状中空シェル製品(ZELEC(登録商標)ECP‐S)、等軸二酸化チタンコア製品(ZELEC(登録商標)ECP‐T)、及び板状雲母コア製品(ZELEC(登録商標)ECP‐M)が挙げられる。
【0044】
存在する場合、フィラーは、例えば、フィラーが含まれる成分の総量に対して、約0.1〜約50重量%まで、約1〜約60重量%まで、約1〜約40重量%まで、約3〜約40重量%まで、約4〜約30重量%まで、約10〜約30%まで、約10〜約20重量%まで、又は約5〜約20重量%までから選択される量で存在し得る。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態において、中間体転写部材のポリマー層は、さらに、必要に応じてポリマーを含み、これは、主にバインダーとして機能する。追加の好適なポリマーの例としては、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボナート、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレン‐コ‐ポリテトラフルオロエチレンなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
追加のポリマーが選択される場合、これは、任意の所望の有効な量で含まれ得る。例えば、追加のポリマーは、成分の総量に対して、約1〜約75重量%まで、約2〜約45重量%まで、又は約3〜約15重量%までの量で存在し得る。
【0047】
所望される場合、支持基材が、中間体転写部材中、例えば、ポリマー層の下に含まれ得る。支持基材は、中間体転写部材の剛性及び強度を増大するために含まれ得る。
【0048】
スピロジラクタムポリカーボナートの被膜分散物は、任意の好適な支持基材材料上に被覆されて、二層中間体転写部材を形成し得る。支持基材材料の例としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、これらの混合物などが挙げられる。
【0049】
より具体的には、中間体転写部材支持基材の例としては、公知の低温迅速硬化ポリイミドポリマーを含むポリイミド、例えば、全てRichard Blaine International, Incorporated, Reading, PA.から入手可能であるVTECTM PI 1388、080‐051、851、302、203、201及びPETI‐5、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどである。熱硬化性ポリイミドは、約180℃〜約260℃までの温度で、短時間、例えば約10〜約120分間、又は約20〜約60分間硬化され得、一般に、約5,000〜約500,000まで又は約10,000〜約100,000までの数平均分子量を有し、そして約50,000〜約5,000,000まで又は約100,000〜約1,000,000までの重量平均分子量を有する。また、支持基材について、約300℃より高い温度で硬化し得る熱硬化性ポリイミド、例えば、全てIndustrial Summit Technology Corporation, Parlin, NJから市販されるPYRE M.L.(登録商標)RC‐5019、RC 5057、RC‐5069、RC‐5097、RC‐5053及びRK‐692;両方ともUnitech LLC, Hampton, VAから市販されるRP‐46及びRP‐50;FUJIFILM Electronic Materials U.S.A., Inc., North Kingstown, RIから市販されるDURIMIDE(登録商標)100;並びに全てE.I. DuPont, Wilmington, DEから市販されるKAPTON(登録商標)HN、VN及びFNが、選択され得る。
【0050】
本明細書中で開示される中間体転写部材のための支持基材として選択され得るポリアミドイミドの例としては、全て日本の東洋紡株式会社から市販されるVYLOMAX(登録商標)HR‐11NN(N‐メチルピロリドン中15重量%溶液、T=300℃、及びM=45,000)、HR‐12N2(N‐メチルピロリドン/キシレン/メチルエチルケトン=50/35/15中30重量%溶液、T=255℃及びM=8,000)、HR‐13NX(N‐メチルピロリドン/キシレン=67/33中30重量%溶液、T=280℃、及びM=10,000)、HR‐15ET(エタノール/トルエン=50/50中25重量%溶液、T=260℃、及びM=10,000)、HR‐16NN(N‐メチルピロリドン中14重量%溶液、T=320℃、及びM=100,000)、並びにSolvay Advanced Polymers, LLC, Alpharetta, GA.から市販されるTORLON(登録商標)AI‐10(T=272℃)である。
【0051】
本明細書中で開示される中間体転写部材のために選択され得るポリエーテルイミド支持基材の具体例としては、全てSabic Innovative Plasticsから市販されるULTEM(登録商標)1000(T=210℃)、1010(T=217℃)、1100(T=217℃)、1285、2100(T=217℃)、2200(T=217℃)、2210(T=217℃)、2212(T=217℃)、2300(T=217℃)、2310(T=217℃)、2312(T=217℃)、2313(T=217℃)、2400(T=217℃)、2410(T=217℃)、3451(T=217℃)、3452(T=217℃)、4000(T=217℃)、4001(T=217℃)、4002(T=217℃)、4211(T=217℃)、8015、9011(T=217℃)、9075、及び9076である。
【0052】
一旦形成されると、支持基材は、任意の所望で好適な厚みを有し得る。例えば、支持基材は、約10〜約300ミクロンまで、例えば、約50〜約150ミクロンまで、約75〜約125ミクロンまで、約80〜約105ミクロンまで、又は約80〜約90ミクロンまでの厚みを有し得る。
【0053】
所望される場合、必要に応じて離型層が、中間体転写部材中に、例えば、ポリマー層の上の層の構成に含まれ得る。この離型層は、トナークリーニングを補助するため及び光導伝体から中間体転写部材への現像画像の転写効率をさらに補助するために含まれ得る。
【0054】
選択される場合、離型層は、任意の所望で好適な厚みを有し得る。例えば、離型層は、約1〜約100ミクロンまで、約10〜約75ミクロン、又は約20〜約50ミクロンまでの厚みを有し得る。
【0055】
必要に応じて離型層は、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン(PFA TEFLON(登録商標))、及び他のTEFLON(登録商標)様材料を含むTEFLON(登録商標)様材料;シリコーン材料、例えばフルオロシリコーン及びシリコーンゴム、例えばSampson Coatings,Richmond, Va.から入手可能であるSilicone Rubber 552(ポリジメチルシロキサン/ジブチルスズジアセタート、ポリジメチルシロキサンゴム混合物100グラム中0.45グラムDBTDA、約3,500の分子量Mを有する);及びフルオロエラストマー、例えばVITON(登録商標)として売られているもの、例えば種々の名称、VITON A(登録商標)、VITON E(登録商標)、VITON E60C(登録商標)、VITON E45(登録商標)、VITON E430(登録商標)、VITON B910(登録商標)、VITON GH(登録商標)、VITON B50(登録商標)、及びVITON GF(登録商標)として公知であり市販されるビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン及びテトラフルオロエチレンのコポリマー並びにターポリマーからなり得る。VITON(登録商標)の名称は、E.I. DuPont de Nemours,Inc.の商標である。2種の公知のフルオロエラストマーは、(1)VITON A(登録商標)として公知であり市販されるビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン及びテトラフルオロエチレンのコポリマーの1種;(2)VITON B(登録商標)として公知であり市販されるビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン及びテトラフルオロエチレンのターポリマーの1種;並びに(3)ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン及び硬化部位モノマーのテトラポリマーであって、35モル%のビニリデンフルオリド、34モル%のヘキサフルオロプロピレン、29モル%のテトラフルオロエチレン及び2%の硬化部位モノマーを有するテトラポリマーの1種、例えばVITON GF(登録商標)からなる。硬化部位モノマーは、E.I. DuPont de Nemours,Inc.から入手可能なもの、例えば4‐ブロモペルフルオロブテン‐1,1,1‐ジヒドロ‐4‐ブロモペルフルオロブテン‐1,3‐ブロモペルフルオロプロペン‐1,1,1‐ジヒドロ‐3‐ブロモペルフルオロプロペン‐1、又は任意の他の好適な、公知の、市販の硬化部位モノマーであり得る。
【0056】
本明細書中で記載される、スピロジラクタムポリカーボナート、ポリシロキサン及び必要に応じて導伝性フィラー構成要素からなるスピロジラクタムポリカーボナート中間体転写部材又は混合物は、任意の好適な方法によって、中間体転写部材に調合され得る。例えば、公知のミリングプロセスによって、スピロジラクタムポリカーボナートの均一な分散物又は中間体転写部材混合物が得られ得、次いで、公知のドローバーコーティング方法又はフローコーティング方法を用いて、個々の金属基板、例えばステンレス鋼基板などの上に被覆される。得られた個々のフィルムは、基板上に残しながら、例えば、約100℃〜約400℃まで、約160℃〜約320℃まで、又は約125℃〜約190℃までで、好適な一定時間、例えば約20〜約180分間まで、約40〜約120分間まで、又は約25〜約35分間までの加熱によって乾燥され得る。より具体的には、形成されたフィルムは、125℃で30分間、190℃で30分間、及び320℃で60分間の加熱によって硬化され得る。
【0057】
乾燥させ、室温、約23℃〜約25℃まで冷ました後、フィルムは、ステンレス鋼から容易に離脱する。すなわち、得られたフィルムは、直ちに、例えば、約1〜約15秒まで、約5〜約15秒まで、又は約5〜約10秒まで以内に、いかなる外的補助もなしに離脱する。得られた中間体転写フィルム製品は、例えば、約30ミクロン〜約400ミクロンまで、約15〜約150ミクロンまで、約20〜約100ミクロンまで、約50ミクロン〜約200ミクロンまで、約70ミクロン〜約150ミクロンまで又は約25〜約75ミクロンまでの厚みを有し得る。
【0058】
本明細書中で開示される混合物の堆積のために選択される金属基板として、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅及びこれらの合金、ガラス板並びに他の従来の代表的な公知の材料が、選択され得る。
【0059】
中間体転写部材混合物の形成のために選択される溶剤の例としては、例えば、その溶剤は混合物成分の総量の約60〜約95重量%まで、又は約70〜約90重量%までの量で選択され得、アルキレンハライド、例えばメチレンクロリド、テトラヒドロフラン、トルエン、モノクロロベンゼン、N‐メチル‐2‐ピロリドン、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルイソブチルケトン、ホルムアミド、アセトン、エチルアセタート、シクロヘキサノン、アセトアニリド、これらの混合物などが挙げられる。希釈剤が、中間体転写部材混合物のために選択される溶剤と混合され得る。溶剤及び希釈剤の重量に対して約1〜約25重量%まで及び1〜約10重量%までの量で溶剤に加えられる希釈剤の例としては、芳香族炭化水素、エチルアセタート、アセトン、シクロヘキサノン及びアセトアニリドのような公知の希釈剤である。
【0060】
本明細書中で記載の中間体転写部材は、乾式複写印刷システムを含む多くの印刷システム及び複写システムのために選択され得る。例えば、開示の中間体転写部材は、現像されて転写されるトナー画像それぞれが、画像形成ステーションにおいて画像化ドラムすなわち光導伝性ドラム上に形成されて、これらの画像のそれぞれが現像ステーションにて現像され、そして中間体転写部材に転写される、多重画像化乾式複写機に組み込まれ得る。画像は、光導伝体上で形成されそして順次現像され、中間体転写部材に転写され得る。代替の方法において、それぞれの画像は、光導伝体ドラムすなわち光受容体ドラム上に形成されて、現像されて、次いで、位置合わせされながら中間体転写部材へ転写され得る。1つの実施形態において、多重画像システムは、カラー複写システムであり、ここでは、複写される画像のそれぞれの色が、光受容体ドラム上で形成され、現像されて中間体転写部材に転写される。
【0061】
トナーが潜在する画像が光受容体ドラムから中間体転写部材へと転写された後、中間体転写部材は、加熱下及び加圧下で、画像受容基材、例えば紙上と接触され得る。次いで、中間体転写部材上のトナー画像は、画像の構成において、紙などの基材に転写されて定着される。
【0062】
画像転写における画像において、色トナー画像は、まず、光受容体上に堆積され、次いで全てのカラートナー画像は、本明細書中で開示される中間体転写部材に同時に転写される。タンデム転写において、トナー画像は、光受容体から本明細書中で記載される中間体転写部材の同じ領域へ一度に転写される。
【実施例】
【0063】
比較例1
コーティング組成物を、Degussa Chemicalsから入手したspecial carbon black 4、PYRE‐M.L.(登録商標)RC‐5019としてIndustrial Summit Technologyから入手可能なピロメリト酸二無水物/4,4′‐オキシジアニリンのポリアミック酸のポリイミド、及びBYK(登録商標)333としてBYK Chemicalから入手可能なポリエステル改変ポリジメチルシロキサンの混合物を、約13重量固体のN‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)中、混合物初期供給量に対して14/85.95/0.05の比で撹拌することによって、製造した。得られた中間体転写部材分散物を、0.5ミリメートル厚のステンレス鋼基板上に被覆し、次いで、この混合物を125℃で30分間、190℃で30分間、及び320℃で60分間の加熱によって硬化した。上記の比で上記の構成要素からなる得られた中間体転写部材は、ステンレス鋼基板から離脱せず、むしろ基板上に付着していた。得られた中間体転写部材フィルムは、水中に3ヶ月間浸漬した後、遂に基板から離脱した。
【0064】
比較例2
中間体転写部材を、ピロメリト酸二無水物/4,4′‐オキシジアニリンのポリアミック酸のポリイミドを三菱ガス化学株式会社から入手可能なポリカーボナートであるPCZ‐400[ポリ(4,4′‐ジヒドロキシ‐ジフェニル‐1‐1‐シクロヘキサン、M=40,000)]と置き換えたことを除いて比較例1のプロセスを繰り返すことによって製造し、表面抵抗が幾分か類似している結果を得た。
【0065】
実施例1
Degussa Chemicalsから入手したspecial carbon black 4、Shell Development Company,Houston Texasから入手した以下の式/構造のスピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマーA、及び主に表面の平滑性のためにBYK Chemicalから入手したポリエステルとポリジメチルシロキサンとのコポリマーであるBYK(登録商標)333を、約25重量固体のN‐メチル‐2‐ピロリドン中への初期供給量に対してスピロジラクタムコポリマー/カーボンブラック/シロキサンコポリマーの比85/14.95/0.05で含有するコーティング組成物を撹拌及び粉砕で混合することによって製造した。
【0066】
得られた中間体転写部材分散物を、0.5ミリメートル厚のステンレス鋼基板上に被覆し、次いで、得られた混合物を160℃で40分間の加熱によって硬化した。得られた80ミクロン厚の屈曲のない平坦な構成であり、上記成分スピロジラクタム含有コポリマー/カーボンブラック/ポリエステル改変ポリジメチルシロキサンBYK(登録商標)333からなる85/14.95/0.05の比で構成される中間体転写部材は、ステンレス鋼基板からいかなる外部プロセスの補助もなしで、15秒で容易に離脱した。
【0067】
上記のスピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートAとのコポリマーの式/構造は、以下のとおりである:
【化6】

式中、xは、6モル%に等しく、yは、94モル%に等しく、重量平均分子量Mは、GPC分析によって決定したところ100,000に等しく、そしてガラス遷移温度Tは、223℃に等しい。
【0068】
実施例2
中間体転写部材を、xが10、20又は30モル%、yが90、80又は70モル%であり、そして重量平均分子量Mがそれぞれ150,000、200,000又は250,000である上記の式/構造のコポリマーを選択した以外は、実施例1のプロセスを繰り返すことによって製造した。
【0069】
測定
上記の実施例1並びに比較例1及び比較例2の中間体転写部材を、ヤング係数について公知のASTM D882‐97プロセスに従って測定した。各中間体転写部材のサンプル(0.5インチ×12インチ)を、Instron Tensile Tester測定機中に置き、次いで、このサンプルを、一定の引っ張り速度で破断するまで伸長した。この間、得られた負荷対サンプル伸長を記録した。このヤング係数を、記録した曲線結果の初期直線部分に対し正接する任意の点を取り、対応する引っ張りで引っ張り応力を除算することによって計算した。引っ張り応力を、負荷を各試験サンプルの平均断面積で除算することによって計算した。結果を、下の表に示す。
【0070】
上記実施例1、比較例1及び比較例2の中間体転写部材の表面抵抗もまた、高抵抗率計を用いて測定した。その結果を下の表に示す。
【表1】

【0071】
開示された実施例1のスピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマー混合物中間体転写部材は、比較例2のポリカーボナートZ中間体転写部材に対して3倍のヤング係数を有した。また、比較例1のポリイミド中間体転写部材及び実施例1のスピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとの中間体転写部材は、匹敵するヤング係数を有するが、しかし実施例1の中間体転写部材は、15秒で自己離脱したが、それに対し、比較例1の中間体転写部材は、自己離脱しなかった。
【0072】
85/14.95/0.05の比である実施例1に加えて、スピロジラクタムポリカーボナートと導伝性フィラーとポリシロキサンとの混合物は、約80/19.95/0.05、又は約90/9.9/0.1の比で存在してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピロジラクタムポリカーボナートを含有するポリマー層からなる、中間体転写部材。
【請求項2】
前記スピロジラクタムポリカーボナートは、ゲル透過クロマトグラフィー分析によって測定して約50,000〜約300,000までの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の中間体転写部材。
【請求項3】
前記ポリマー層は、前記スピロジラクタムポリカーボナート、ポリシロキサン、及び必要に応じて導伝性フィラー構成要素からなる成分の混合物からなり、前記スピロジラクタムポリカーボナートは、スピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマーからなる、請求項1に記載の中間体転写部材。
【請求項4】
前記ポリマー層と接触する離型層をさらに含み、前記離型層は、フッ化エチレンプロピレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン、フルオロシリコーン、ビニリデンフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとのターポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分からなる、請求項3に記載の中間体転写部材。
【請求項5】
前記スピロジラクタムポリカーボナートコポリマーは、以下の式/構造:
【化1】

【化2】

又は
【化3】

によって表され、式中、xとyとの合計は、100モル%である、請求項3に記載の中間体転写部材。
【請求項6】
前記スピロジラクタムポリカーボナートコポリマーは、以下の式/構造:
【化4】

によって表され、式中、xは、約5〜約30モル%までであり、yは、約70〜約95モル%までである、請求項3に記載の中間体転写部材。
【請求項7】
前記ポリシロキサンは、ポリエーテルとポリジメチルシロキサンとのコポリマー、ポリエステルとポリジメチルシロキサンとのコポリマー、ポリアクリラートとポリジメチルシロキサンとのコポリマー、又はポリエステルポリエーテルとポリジメチルシロキサンとのコポリマーである、請求項3に記載の中間体転写部材。
【請求項8】
前記混合物の成分それぞれについて、前記スピロジラクタムポリカーボナートコポリマーは、前記成分の総量を約100重量%とした場合、約60〜約95重量%までの量で存在し、前記ポリシロキサンは、約0.05〜約1重量%までの量で存在し、前記導伝性フィラー構成要素は、約1〜約40重量%までの量で存在する、請求項3に記載の中間体転写部材。
【請求項9】
スピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマー、ポリシロキサン及び導伝性フィラー構成要素の混合物からなる中間体転写部材であって、前記コポリマーは、以下の式/構造:
【化5】

又は
【化6】

によって表され、式中、xは、約5〜約30モル%までであり、yは、約70〜約95モル%までである、中間体転写部材。
【請求項10】
スピロジラクタムポリカーボナートとポリカーボナートとのコポリマー、ポリシロキサン及び導伝性フィラー構成要素の混合物からなる中間体転写部材であって、前記部材は、約3,000〜約5,500メガパスカルまでの係数を有し、前記混合物は、金属基板から容易に離脱可能である、中間体転写部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−242824(P2012−242824A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97462(P2012−97462)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】