説明

スピンドルモータとディスク駆動装置

【課題】低背化が可能なスピンドルモータを提供することにある。
【解決手段】ディスクが載置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるモータとを備え、前記モータの回転軸15と一体に回転する磁性体のロータケース10の上面板11を前記ターンテーブルとしたスピンドルモータ1であって、前記センタリング部材20Aは、前記ディスクの内縁部を案内する円環状ガイド部21と、前記円環状ガイド部21の中心に配されて前記回転軸15の周りに装着されるボス部22と、前記円環状ガイド部21と前記ボス部22を連絡する複数の架橋部23Aと、前記円環状ガイド部21と前記ボス部22の間の貫通口部24とを有し、クランプマグネット30Aが、前記貫通口部24に配されて、前記ロータケース10の上面板11に当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク、光磁気ディスク等を回転させるためのスピンドルモータと、このスピンドルモータを備えたディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクに記録された情報を読み取り、あるいは情報をディスクに書き込むヘッド機構を備えたディスク駆動装置は、例えばCD、DVD、MD等の光ディスク、光磁気ディスク装置として知られている。
このようなディスク駆動装置では、ディスクを回転駆動するいわゆるスピンドルモータとして、図16に示すような外転型のスピンドルモータが用いられている。
【0003】
図16のスピンドルモータ101には、ディスク102の中心孔の内縁部に当接してディスク102を支持するディスク支持部材(センタリング部材)103が、ロータホルダ(ロータケース)104の上面に設けられている。このディスク支持部材103は、ロータホルダ104に固定される円筒部103Aと、円筒部103Aの下端部から径方向外側に延びる平板部103Bと、平板部103Bから径方向外側に延びてディスク102を案内するガイド部103Cとからなる収容部103Dを有する。収容部103Dには、クランプマグネット106とバックヨーク107が配されている。クランプマグネット106とバックヨーク107は、ディスク102の上面に配された磁性体のクランパ108をロータホルダ側に引き寄せる役割を果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−170632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図16のスピンドルモータでは、ディスク支持部材103の平板部103Bの上にバックヨーク107とクランプマグネット106を積層して配置しており、また、ディスク支持部材103のガイド部103Cによってディスク102を確実にガイドするために、ガイド部103Cの上端はクランプマグネット106の上面よりも高く設計されているのが一般的である。このため、ロータホルダ104の上面からクランプマグネット106の上面までの高さが高くなると共にディスク支持部材103の高さが高くなり、その結果、スピンドルモータ全体の高さが高くなってしまう。
【0006】
また、ディスク支持部材103の高さを抑えようとすると、クランプマグネット106の厚みを抑える必要があるが、厚みを抑えつつ所定の吸引力を確保するためには、希土類マグネットのような磁束密度の高い高価なマグネットを用いる必要があり、コストが高くなってしまう。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術が抱える課題を解決しようとするものであり、低背化が可能なスピンドルモータを提供することを第1の目的とし、低コスト化が可能なスピンドルモータを提供することを第2の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成すべく成された本発明の請求項1のスピンドルモータは、
ディスクが載置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるモータとを備え、前記モータの回転軸と一体に回転する磁性体のロータケースの上面板を前記ターンテーブルとしたスピンドルモータであって、
前記ロータケースの上面板に、前記回転軸と同心状にセンタリング部材が配され、
前記センタリング部材は、前記ディスクの内縁部を案内する円環状ガイド部と、前記円環状ガイド部の中心に配されて前記回転軸の周りに装着されるボス部と、前記円環状ガイド部と前記ボス部を連絡する複数の架橋部と、前記円環状ガイド部と前記ボス部の間の貫通口部とを有し、
クランプマグネットが、前記貫通口部に配されて、前記ロータケースの上面板に当接していることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載のスピンドルモータは、請求項1に記載のスピンドルモータにおいて、
前記クランプマグネットは、円環状マグネットからなり、前記架橋部の下に配されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載のスピンドルモータは、請求項1に記載のスピンドルモータにおいて、
前記クランプマグネットは、下面に凹部が形成された円環状マグネットからなり、
前記クランプマグネットは、前記凹部が前記架橋部と嵌合されて前記架橋部の上に配されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に記載のスピンドルモータは、請求項1に記載のスピンドルモータにおいて、
前記クランプマグネットは、回転方向に分割された複数の分割マグネットからなり、
前記複数の分割マグネットは、間隙部を介して配され、
前記架橋部が前記間隙部に配されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5に記載のスピンドルモータは、請求項4に記載のスピンドルモータにおいて、
前記複数の分割マグネットは、円弧状マグネットであり、前記間隙部を介して円環状に配されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に記載のスピンドルモータは、請求項4または5に記載のスピンドルモータにおいて、
前記センタリング部材には、前記複数の分割マグネットの上面と軸方向に対面する突部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7に記載のスピンドルモータは、請求項4または5に記載のスピンドルモータにおいて、
前記回転軸は、前記ロータケースの上面板から突出した突出部分を有し、
前記突出部分の周囲に円筒部材が固定され、
前記円筒部材は、前記複数の分割マグネットの上面と軸方向に対面することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項8に記載のディスク駆動装置は、本発明の請求項6に記載のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスクの上面に配され前記クランプマグネットにより前記ロータケース側に吸引されるクランパを有し、
前記突部は、前記円環状ガイド部の内周部に設けられ、
前記クランパは、下面に突出する円環状突起部を有し、前記円環状突起部の外周部が前記突部の先端に当接して位置決めされることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項9に記載のディスク駆動装置は、本発明の請求項6に記載のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスクの上面に配され前記クランプマグネットにより前記ロータケース側に吸引されるクランパを有し、
前記突部は、前記ボス部の外周部に設けられ、
前記クランパは、下面に突出する円環状突起部を有し、前記円環状突起部の内周部が前記突部の先端に当接して位置決めされることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項10に記載のディスク駆動装置は、本発明の請求項7に記載のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスクの上面に配され前記クランプマグネットにより前記ロータケース側に吸引されるクランパを有し、
前記クランパは、下面に突出する円環状突起部を有し、前記円環状突起部の内周部が前記円筒部材の外周部に当接して位置決めされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスピンドルモータによれば、センタリング部材には、従来例のような平板部がないことにより、クランプマグネットがロータケースの上面板に直接当接して配され、磁性体のロータケースがバックヨークとなり、従来例のようなバックヨークは配置せずにすむ。したがって、ロータケースの上面からクランプマグネットの上面までの高さが低くなると共にセンタリング部材の高さを低くできるため、スピンドルモータ全体の高さを低背化できる。
また、本発明のスピンドルモータによれば、スピンドルモータ全体の高さを抑える必要がない場合には、従来例のものよりも厚いクランプマグネットを用いることができる。このため、所定の吸引力を確保するために、クランプマグネットの材料として磁気吸引力の高い高価な希土類マグネット等に代えて安価なフェライトマグネット等を用いることができ、より低コストなスピンドルモータが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。
【図2】図1中の矢印A−Aにおける断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。
【図4】図3中の矢印B−Bにおける断面図である。
【図5】(a)は、本発明の第2実施形態例におけるクランプマグネットの平面図、(b)は、(a)中の矢印C−Cにおける側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。
【図7】図6中の矢印D−Dにおける断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。
【図9】図8中の矢印E−Eにおける断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。
【図11】図10中の矢印F−Fにおける断面図である。
【図12】本発明のディスク駆動装置の断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態例のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置の要部断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態例のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置の要部断面図である。
【図15】本発明の第5実施形態例のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置の要部断面図である。
【図16】従来のスピンドルモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るスピンドルモータについて説明する。
【0021】
(第1実施形態例)
本発明の第1実施形態例に係るスピンドルモータの構成を図1及び図2を用いて説明する。図1は、本例のスピンドルモータの平面図である。図2は、図1中の矢印A−Aにおける断面図である。
【0022】
本例のスピンドルモータ1は、ディスクが載置されるターンテーブルと、ターンテーブルを回転させるモータとを備え、モータの回転軸15と一体に回転する磁性体のロータケース10の上面板11をターンテーブルとしているものである。
【0023】
本例のスピンドルモータ1は、図2に示すように、ロータケース10と、回転軸15と、センタリング部材20Aと、クランプマグネット30Aと、駆動用マグネット40と、ステータ50を備えている。
【0024】
ロータケース10は、磁性金属材料でキャップ状に形成されている。このロータケース10は、回転軸15と直角な面で形成された平板状の上面板11と、上面板11の周縁に筒状に形成された第1円筒部12と、上面板11の中央に回転軸15が固定される第2円筒部13を有する。第2円筒部13は、上面板11の軸方向上方に立ち上げられている。
【0025】
ロータケース10の上面板11は、ディスクが着脱自在に配されて回転軸15と一体に回転するターンテーブルとなっている。この上面板11には、ディスクの滑り止め部材16が設けられている。
【0026】
回転軸15は、ロータケース10の第2円筒部13に圧入されてロータケース10の上面板11から突出して配されている。この回転軸15は、後述するステータ50に回転可能な状態で支持されている。
【0027】
センタリング部材20Aは、ディスクを回転軸15と同心状に案内するための部材であり、ロータケース10の上面板11に配されている。このセンタリング部材20Aは、硬質樹脂で一体成型されている。
【0028】
センタリング部材20Aは、ディスクの内縁部をガイドする円環状ガイド部21を有している。
円環状ガイド部21の外周部には、複数の爪部21Aが回転方向に等間隔に設けられている。この爪部21Aは、ディスクの中心孔の内縁部に当接されるものである。
円環状ガイド部21の下面部21Bは、平坦面状に形成されておりロータケース10の上面板11と当接されている。
【0029】
また、センタリング部材20Aには、円環状ガイド部21の中心に配されて回転軸15の周りに装着されるボス部22が設けられている。ボス部22は、略円筒状に形成されており、ロータケース10の第2円筒部13の上部に配されている。ボス部22の内径は、回転軸15の外径と同等に形成されている。
【0030】
円環状ガイド部21とボス部22には、これらを連絡する架橋部23Aが複数形成されている。本例の架橋部23Aは、円環状ガイド部21の内周部上部とボス部22の外周部上部を連結しており、ボス部22から図1の図面左右方向にそれぞれ1つ形成されている。架橋部23Aは、ロータケース10の上面板11と非接触に配されている。
円環状ガイド部21とボス部22の間には、円環状ガイド部21の内側に貫通口部24が形成されている。貫通口部24には、後述のクランプマグネット30Aが配されている。
【0031】
クランプマグネット30Aは、円環状に形成されている。クランプマグネット30Aは、センタリング部材20Aの貫通口部24に配されている。このクランプマグネット30Aは、ロータケース10の上面板11に当接されている。また、クランプマグネット30Aは、架橋部23Aの下に配されている。
【0032】
クランプマグネット30Aの外径は、円環状ガイド部21の内径と同程度に形成されている。また、クランプマグネット30Aの内径は、ボス部22の外径と同程度に形成されている。クランプマグネット30Aが、センタリング部材20Aの貫通口部24に配されると、円環状ガイド部21の内周部21Cとクランプマグネット30Aの外周部が当接される。
【0033】
駆動用マグネット40は、円筒状に形成されており、ロータケース10の第1円筒部12の内周部に固着されている。
ステータ50は、回転軸15を回転自在に支承するラジアル軸受51およびスラスト軸受52と、このラジアル軸受51の外周を保持する軸受ホルダ53を有する。また、ステータ50は、軸受ホルダ53の外周に固定されて駆動用マグネット40に対向配置されたステータコア55と、このステータコア55に巻回されたコイル54と、回路基板56を載置したステータベース57を有する。
【0034】
このように構成された本例のスピンドルモータ1において、ロータケース10の上面板11に、回転軸15と同心状にセンタリング部材20Aが配され、センタリング部材20Aは、ディスクの内縁部を案内する円環状ガイド部21と、円環状ガイド部21の中心に配されて回転軸15の周りに装着されるボス部22と、円環状ガイド部21とボス部22を連絡する複数の架橋部23Aと、円環状ガイド部21とボス部22の間の貫通口部24とを有し、クランプマグネット30Aが、貫通口部24に配されて、ロータケース10の上面板11に当接している。
【0035】
よって、磁性体のロータケースがクランプマグネットのバックヨークとなり、従来例のようなバックヨークは配置せずにすむ。したがって、ロータケースの上面からクランプマグネットの上面までの高さが低くなると共にセンタリング部材の高さを低くできるため、スピンドルモータ全体を低背化できる。
また、スピンドルモータ全体の高さを抑える必要がない場合には、図16のものよりも厚いクランプマグネットを用いることができる。このため、所定の吸引力を確保するために、クランプマグネットの材料として磁気吸引力の高い高価な希土類マグネット等に代えて安価なフェライトマグネット等を用いることができ、より低コストなスピンドルモータが提供できる。
また、センタリング部材20Aは、円環状ガイド部21の中心に配されて回転軸15の周りに装着されるボス部22を有するため、センタリング部材は、従来例のように回転軸と同心状に位置決めを容易に確実に行うことができる。
【0036】
また、クランプマグネット30Aは、円環状マグネットからなり、架橋部23Aの下に配されている。この架橋部23Aは、円環状ガイド部21の内周部に当接しているクランプマグネット30Aに対して抜け止め機能を有するため、より信頼性の高いスピンドルモータが得られる。
【0037】
(第2実施形態例)
図3は、本発明の第2実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。図4は、図3中の矢印B−B線における断面図である。図5(a)は、本発明の第2実施形態例におけるクランプマグネットの平面図である。図5(b)は、図5(a)中の矢印C−Cにおける側面図である。図3ないし図5において、図1または図2中の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0038】
本例は、センタリング部材の架橋部の位置やクランプマグネットの形状が第1実施形態例と異なる。
第1実施形態例の架橋部23Aは、円環状ガイド部21の内周部上部とボス部22の外周部上部とを連結して、ロータケース10の上面板11と非接触に配されている。本例の架橋部23Bは、円環状ガイド部21の内周部下部とボス部22の外周部下部とを連結しており、ロータケース10の上面板11に接触して配されている。
また、第1実施形態例では、クランプマグネット30Aは、円環状マグネットからなり、架橋部23Aの下に配されている。本例のクランプマグネット30Bは、下面に凹部30B1が形成された円環状マグネットからなる。具体的には、凹部30B1は、図5中のクランプマグネット30Bの下面に、図面左右方向に沿って形成されている。この凹部30B1内形は、架橋部23Bの外形と同形状に形成されており、凹部30B1は、架橋部23Bと嵌合できるものである。
クランプマグネット30Bは、センタリング部材20Bの貫通口部24に上方から挿入される。クランプマグネット30Bは、ロータケース10の上面板11に当接しつつ、凹部30B1が架橋部23Bと嵌合されて架橋部23Bの上に配されている。
【0039】
本例はこのような構成であって、磁性体のロータケースがクランプマグネットのバックヨークとなり、従来例のようなバックヨークは配置せずにすむ。したがって、ロータケースの上面からクランプマグネットの上面までの高さが低くなると共にセンタリング部材の高さを低くできるため、スピンドルモータ全体を低背化できる。
また、スピンドルモータ全体の高さを抑える必要がない場合には、図16のものよりも厚いクランプマグネットを用いることができる。このため、所定の吸引力を確保するために、クランプマグネットの材料として磁気吸引力の高い高価な希土類マグネット等に代えて安価なフェライトマグネット等を用いることができ、より低コストなスピンドルモータが提供できる。
また、センタリング部材20Bは、円環状ガイド部21の中心に配されて回転軸15の周りに装着されるボス部22を有するため、センタリング部材は、従来例のように回転軸と同心状に位置決めを容易に確実に行うことができる。
また、凹部30B1が架橋部23Bと嵌合されて架橋部23Bの上に配されている。よって、 クランプマグネット30Bはセンタリング部材20Bの貫通口部24に上方から挿入され、センタリング部材を回転軸に固定した後に、クランプマグネットをセンタリング部材の貫通口部に配することができ、従来例のように組み立てが容易にできる。
また、クランプマグネットの凹部とセンタリング部材の架橋部が嵌合されるとクランプマグネットの抜け止めとして機能するため、より信頼性の高いスピンドルモータが得られる。
【0040】
(第3実施形態例)
図6は、本発明の第3実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。図7は、図6中の矢印D−D線における断面図である。図6、図7において、図1ないし図5中の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0041】
本例は、センタリング部材の架橋部とクランプマグネットの形状が第1実施形態例と異なる。
第1実施形態例の架橋部23Aは、円環状ガイド部21の内周部上部とボス部22の外周部上部とを連結していたが、本例の架橋部23Cは、円環状ガイド部21の内周部と、ボス部22の外周部とを連結している連結壁となっている。連結壁の上部は、円環状ガイド部21の内周部上部とボス部の外周部上部とを連結している。連結壁の下部は、円環状ガイド部21の内周部下部とボス部の外周部下部とを連結している。本例の貫通口部24は、架橋部(連結壁)23Cにより分割され、円環状ガイド部21とボス部22の間に2つ形成されている。
【0042】
また、第1実施形態例では、クランプマグネット30Aは円環状マグネットであったが、本例のクランプマグネット30Cは、回転方向に分割された複数の分割されたマグネットからなっている。複数の分割マグネットは、円弧状のマグネットからなる。複数の分割マグネットが貫通口部24に配されると、間隙部を介して円環状に配され、上述の架橋部23Cが間隙部に配される。本例では、2つの円弧状マグネットが、2つの貫通口部24にそれぞれ配されて、間隙部を介して円環状に配され、上述の架橋部23Cが間隙部に配されている。この架橋部23Cは回転方向に等間隔に3つ以上設けてもよく、その架橋部23Cの数に合わせて複数の分割マグネットが貫通口部24にそれぞれ円環状に配されてもよい。円環状に配された複数の分割マグネットの外径は、円環状ガイド部21の内径と同程度の大きさに形成されている。また、円環状に配された複数の分割マグネットの内径は、ボス部22の外径と同程度の大きさに形成されている。この円環状ガイド部21には、内周面上部に複数の分割マグネットの上面と軸方向に近接して対面する突部27Cが設けられている。この突部27Cは、円環状ガイド部21の内周部に沿って回転方向に3つ等間隔に配されている。この突部27Cと架橋部23Cは、図6の平面視にて重畳しないように配されている。
【0043】
本例ではこのように形成されており、複数の分割マグネットがセンタリング部材20Cの貫通口部24にそれぞれ配されると、複数の分割マグネットはロータケース10の上面板11に当接する。
【0044】
よって、磁性体のロータケースがクランプマグネットのバックヨークとなり、従来例のようなバックヨークは配置せずにすむ。したがって、ロータケースの上面からクランプマグネットの上面までの高さが低くなると共にセンタリング部材の高さを低くできるため、スピンドルモータ全体を低背化できる。
また、スピンドルモータ全体の高さを抑える必要がない場合には、図16のものよりも厚いクランプマグネットを用いることができる。このため、所定の吸引力を確保するために、クランプマグネットの材料として磁気吸引力の高い高価な希土類マグネット等に代えて安価なフェライトマグネット等を用いることができ、より低コストなスピンドルモータが提供できる。
また、センタリング部材20Cは、円環状ガイド部21の中心に配されて回転軸15の周りに装着されるボス部22を有するため、センタリング部材は、従来例のように回転軸と同心状に位置決めを容易に確実に行うことができる。
【0045】
また、複数の分割マグネットがセンタリング部材20Cの貫通口部24にそれぞれ配されると、円環状ガイド部の内周部と複数の分割マグネットの外周部が当接され、円環状に配された複数の分割マグネットは、回転軸と同心状に位置決めされ、回転時に偏芯することがない。
【0046】
また、本例のクランプマグネットは、回転方向に分割された複数の分割マグネットからなり、複数の分割マグネットは、間隙部を介して配され、架橋部23Cが間隙部に配されている。よって、クランプマグネットの分割数を増やすことにより、ロータケース側に吸引されるクランパの磁気吸引力の調整を行うことができる。
【0047】
また、センタリング部材には、前記複数の分割マグネットの上面と軸方向に対面する突部27Cが設けられている。この突部は、円環状ガイド部の内周部に当接している複数の分割マグネットに対して抜け止め機能を有するため、より信頼性の高いスピンドルモータが得られる。
なお、本例の分離された3つの突部27Cは、円環状ガイド部21の内周部上部に回転方向に連続して突出する鍔形状でもよい。
【0048】
(第4実施形態例)
図8は、本発明の第4実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。図9は、図8中の矢印E−E線における断面図である。図8、図9において、図1ないし図7の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0049】
本例は、クランプマグネットの抜け止め用の突部の位置が第3実施形態例と異なる。第3実施形態例の説明では、センタリング部材20Cの突部27Cは、円環状ガイド部21の内周部上部に3つ配されていたが、本例の突部27Dは、ボス部22の外周部に沿って回転方向に3つ等間隔に設けられている。この突部27Dは、複数の分割マグネットの上面と軸方向に対面している。この突部27Dと架橋部23Cは、図8の平面視にて重畳しないように配されている。
本例においても、第3実施形態例と同様の効果を有する。すなわち、複数の分割マグネットの内周部がボス部22の外周部に当接していると、突部27Dは、クランプマグネット30Cに対して抜け止め機能を有するため、より信頼性の高いスピンドルモータが得られる。
【0050】
(第5実施形態例)
図10は、本発明の第5実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。図11は、図10中の矢印F−F線における断面図である。図10、図11において、図1ないし図9の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0051】
本例は、複数の分割マグネットの抜止機構が第4実施形態例と異なる。第4実施形態例では、突部27Dがボス部22の外周部に沿って回転方向に3つ等間隔に配されているが、本例では、ロータケース10の上面板11から突出した回転軸15の突出部分の周囲に、円筒部材60が配されている。
【0052】
円筒部材60は、非磁性の金属材料で形成されており、円筒部材60の外径は、ボス部22の外径より大きく形成されている。この円筒部材60は、複数の分割マグネットがロータケース10の上面板11に配された後、ボス部22の上面に当接して回転軸15に固定される。
【0053】
本例はこのように形成されており、複数の分割マグネットの内周部がボス部の外周部に当接して配されているため、円筒部材は、複数の分割マグネットの抜け止めとなっている。よって、複数の分割マグネットがロータケースから外れることがない高信頼性のスピンドルモータが得られる。
【0054】
次に、本発明のディスク駆動装置を説明する。図12は、本発明のディスク駆動装置の断面図である。図13は、本発明の第1実施形態例のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置の要部断面図である。図12または図13において、図1ないし図11の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0055】
ディスク駆動装置70は、本発明のスピンドルモータ1と、クランパ71と、記録再生部72と、筐体73を備えている。
【0056】
クランパ71は、磁性体で形成されディスク上面に当接して配されており、スピンドルモータのクランプマグネットによりロータケース側に引き寄せられるものである。このクランパ71には、下面に突出して回転中心から同軸上に形成された円環状突起部71Aが設けられている。
記録再生部72は、スピンドルモータ1により回転するディスクの記録面に沿って不図示の光ピックアップを移動させて、ディスク74からの情報の読み出し又はディスク74への情報の書き込みを行うものである。
筐体73は、スピンドルモータ1と、クランパ71と、記録再生部72等を内部に備えているものである。
【0057】
図13に示す第3実施形態例のセンタリング部材20Cにおいて、3つの突部27Cの先端に接する内接円の中心は、回転中心となっており、円環状突起部71Aの外周部は、上述の内接円と同等の大きさとなっている。そして、クランパ71がディスクの上方から軸方向下方に移動した際、円環状突起部71Aは、その外周部がセンタリング部材20Cの突部27Cの先端に当接しながらセンタリングされる。よって、この突部は、クランパのセンタリング機能を有し、ディスクの上面に配されたクランパが回転時に偏芯しないディスク駆動装置が得られる。この突部は、先端に内接する内接円を形成するため3つ以上が好ましい。
【0058】
また、センタリングされたクランパ71の円環状突起部71Aは、複数の分割マグネットの上面に非接触に対向してクリアランスを有して配されている。これにより、クランパが複数の分割マグネットから離れるように軸方向上方に移動した際、前記クリアランスがあるため、複数の分割マグネットと円環状突起部71Aとの吸着力は、複数の分割マグネットとロータケースとの吸着力より弱くなり、複数の分割マグネットはロータケースから軸方向上方に移動しないようにできる。
さらに、センタリング部材には、抜け止め用の突部27Cが設けられているため、複数の分割マグネットはロータケースから確実に外れることがない高信頼性のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置が得られる。
【0059】
また、円環状突起部71Aの内周部とこの内周部と連続する底部との間に、凸状のR形状が形成されると、クランパ71がディスクの上方から軸方向下方に移動した際、クランパが突部に滑らかに当接してセンタリングが容易にできるディスク駆動装置が得られる。
【0060】
図14は、本発明の第4実施形態例のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置の要部断面図である。図14において、図1ないし図13の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
図14に示すディスク駆動装置のセンタリング部材20Dにおいて、3つの突部27Dの先端を通る外接円の中心は、回転中心となっており、円環状突起部71Aの内周部は、上述の外接円と同等の大きさとなっている。そして、クランパ71がディスクの上方から軸方向下方に移動した際、円環状突起部71Aは、その内周部がセンタリング部材20Dの突部27Dの先端に当接しながらセンタリングされる。よって、この突部は、クランパのセンタリング機能を有し、ディスクの上面に配されたクランパが回転時に偏芯しないディスク駆動装置が得られる。この突部は、先端を通る外接円を形成するため3つ以上が好ましい。
【0061】
また、センタリングされたクランパ71の円環状突起部71Aは、複数の分割マグネットの上面に非接触に対向してクリアランスを有して配されている。これにより、クランパが複数の分割マグネットから離れるように軸方向上方に移動した際、前記クリアランスがあるため、複数の分割マグネットと円環状突起部71Aとの吸着力は、複数の分割マグネットとロータケースとの吸着力より弱くなり、複数の分割マグネットはロータケースから軸方向上方に移動しないようにできる。
さらに、センタリング部材には、抜け止め用の突部27Dが設けられているため、複数の分割マグネットはロータケースから確実に外れることがない高信頼性のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置が得られる。
【0062】
また、円環状突起部71Aの内周部とこの内周部と連続する底部との間に、凸状のR形状が形成されると、クランパがディスクの上方から軸方向下方に移動した際、クランパがセンタリング部材の突部に滑らかに当接してセンタリングが容易にできるディスク駆動装置が得られる。
【0063】
図15は、本発明の第5実施形態例のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置の要部断面図である。図15において、図1ないし図14の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
図15に示すディスク駆動装置において、円筒部材60の外径の中心は、回転中心と同一となっており、円環状突起部71Aの内周部(内径)は、円筒部材60の外径と同等の大きさとなっている。そのため、クランパがディスクの上方にあって軸方向下方に移動した際、クランパの円環状突起部71Aは、その内周部が円筒部材60の外周部に当接しながらセンタリングされる。よって、この円筒部材60は、クランパのセンタリング機能を有し、ディスクの上面に配されたクランパが回転時に偏芯しないディスク駆動装置が得られる。
【0064】
また、センタリングされたクランパ71の円環状突起部71Aは、複数の分割マグネットの上面に非接触に対向してクリアランスを有して配される。これにより、クランパが複数の分割マグネットから離れるように軸方向上方に移動した際、前記クリアランスがあるため、複数の分割マグネットと円環状突起部71Aとの吸着力は、複数の分割マグネットとロータケースとの吸着力より弱くなり、複数の分割マグネットはロータケースから軸方向上方に移動しないようにできる。
さらに、抜け止め用の円筒部材60が設けられているため、複数の分割マグネットはロータケースから確実に外れることがない高信頼性のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置が得られる。
【0065】
また、円環状突起部71の内周部とこの内周部と連続する底部との間に、凸状のR形状が形成されると、クランパがディスクの上方から軸方向下方に移動した際、クランパが円筒部材に滑らかに当接してセンタリングが容易にできるディスク駆動装置が得られる。
【符号の説明】
【0066】
1 スピンドルモータ
10 ロータケース
11 上面板
12 第1円筒部
13 第2円筒部
15 回転軸
16 滑り止め部材
20A センタリング部材
20B センタリング部材
20C センタリング部材
20D センタリング部材
21 円環状ガイド部
21A 爪部
21B 下面部
21C 内周部
22 ボス部
23A 架橋部
23B 架橋部
23C 架橋部
24 貫通口部
27C 突部
27D 突部
30A クランプマグネット(円環状マグネット)
30B クランプマグネット(円環状マグネット)
30C クランプマグネット(複数の分割マグネット)
40 駆動用マグネット
50 ステータ
51 ラジアル軸受
52 スラスト軸受
53 軸受ホルダ
54 コイル
55 ステータコア
56 印刷配線板
57 ステータベース
60 円筒部材
70 ディスク駆動装置
71 クランパ
71A 円環状突起部
72 記録再生部
73 筐体
74 ディスク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクが載置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるモータとを備え、前記モータの回転軸と一体に回転する磁性体のロータケースの上面板を前記ターンテーブルとしたスピンドルモータであって、
前記ロータケースの上面板に、前記回転軸と同心状にセンタリング部材が配され、
前記センタリング部材は、前記ディスクの内縁部を案内する円環状ガイド部と、前記円環状ガイド部の中心に配されて前記回転軸の周りに装着されるボス部と、前記円環状ガイド部と前記ボス部を連絡する複数の架橋部と、前記円環状ガイド部と前記ボス部の間の貫通口部とを有し、
クランプマグネットが、前記貫通口部に配されて、前記ロータケースの上面板に当接していることを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項2】
前記クランプマグネットは、円環状マグネットからなり、前記架橋部の下に配されていることを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
前記クランプマグネットは、下面に凹部が形成された円環状マグネットからなり、
前記クランプマグネットは、前記凹部が前記架橋部と嵌合されて前記架橋部の上に配されていることを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項4】
前記クランプマグネットは、回転方向に分割された複数の分割マグネットからなり、
前記複数の分割マグネットは、間隙部を介して配され、
前記架橋部が前記間隙部に配されていることを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項5】
前記複数の分割マグネットは、円弧状マグネットであり、前記間隙部を介して円環状に配されていることを特徴とする請求項4に記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
前記センタリング部材には、前記複数の分割マグネットの上面と軸方向に対面する突部が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
前記回転軸は、前記ロータケースの上面板から突出した突出部分を有し、
前記突出部分の周囲に円筒部材が固定され、
前記円筒部材は、前記複数の分割マグネットの上面と軸方向に対面することを特徴とする請求項4または5に記載のスピンドルモータ。
【請求項8】
請求項6に記載のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスクの上面に配され前記クランプマグネットにより前記ロータケース側に吸引されるクランパを有し、
前記突部は、前記円環状ガイド部の内周部に設けられ、
前記クランパは、下面に突出する円環状突起部を有し、前記円環状突起部の外周部が前記突部の先端に当接して位置決めされることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項9】
請求項6に記載のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスクの上面に配され前記クランプマグネットにより前記ロータケース側に吸引されるクランパを有し、
前記突部は、前記ボス部の外周部に設けられ、
前記クランパは、下面に突出する円環状突起部を有し、前記円環状突起部の内周部が前記突部の先端に当接して位置決めされることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項10】
請求項7に記載のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスクの上面に配され前記クランプマグネットにより前記ロータケース側に吸引されるクランパを有し、
前記クランパは、下面に突出する円環状突起部を有し、前記円環状突起部の内周部が前記円筒部材の外周部に当接して位置決めされることを特徴とするディスク駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−41652(P2013−41652A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178749(P2011−178749)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000220125)東京パーツ工業株式会社 (122)
【Fターム(参考)】