説明

スピーカ装置

【課題】スピーカ装置の音質を向上させる技術を提供する。
【解決手段】 複数のスピーカユニットを同じ向きあるいは逆向きに接近させて配し、外部放音のスピーカの後方音と内部スピーカの後方音とで共通音室を形成し同相となるように駆動することにより、スピーカ同士の振動としては作用反作用動作を相殺し、共通音室はキャビネット振動を隔離させるよう構成する。さらにはそれぞれのスピーカユニットに可変抵抗を配し、周波数特性の変化を行い、共通音室内には音波ピックアップを、外部放音スピーカユニット後部には振動ピックアップを配し、音波補正と振動補正の最適点の抵抗値に合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なスピーカ装置をフルレンジスピーカユニット使用と密閉箱形式キャビネットにて図20に示し、これにスピーカユニットの振動体の振動による音の発生とスピーカユニットの振動状態とキャビネットの振動状態を、矢印方向はプラス極性で前方に振動体が動作するときの状態にて図21に示し、さらに図22に振動伝播過程を模式図で示す。スピーカ装置はフレミングの左手の法則によるスピーカユニットの磁石の磁界と信号入力されるスピーカユニットのボイスコイルの磁界とによるスピーカユニットの振動体の前後振動が、非振動の静止点のベース上でなされることにより成立し、これにより高解像度のリアルな再生音を得られるものである。この高解像度に関しては特にフルハイビジョン映像となって画像が高解像度となっている時代において音の高解像度のニーズも高まっているという時代背景もある。
【0003】
しかしながらスピーカ装置のスピーカユニットは振動発生装置であり、振動体の振動による放音が目的であるが、非振動の静止点であるべきはずのスピーカフレームや、キャビネットの各面の全てに振動体振動に伴う振動が発生し、スピーカユニットの振動体からの発生音に重畳して悪影響を及ぼすとともにキャビネットからの直接の放音も生じている。具体的にはスピーカユニットの振動体SPaの振動による前方の空気振動P1の音の発生と共に、スピーカ振動体エッジSPcやダンパーSPbを介したスピーカフレームSPdの振動が発生し、このフレーム振動によるスピーカキャビネットのフロントバッフル1aの振動P3が発生する。さらにスピーカユニットの振動体の振動による後方の空気振動P2の空気伝播と、フロントバッフルの振動の固体伝播との複合によるキャビネット各面1b・1c・1dの余剰振動P4が発生する。これらにキャビネット壁面反射による共鳴が加わり、再びスピーカユニットの振動体後面に振動P5が押し寄せ、振動体SPaを余剰振動させ、振動体SPaを音が通過する。これに加えてスピーカユニットの振動体SPaの振動の作用反作用による磁石側の逆相の振動P6の発生があり、これは振動体の前後運動に相反する運動量ではたらく。これらを総合してスピーカ装置は多種の余剰振動も含んだ音の発生となっており、これらが振動体SPaの振動による前方の空気振動P1への微細音のマスキングや歪音の重畳を発生させており、これら全ての余剰振動の除去のための包括的な解決が要される。
【0004】
ここにおいてキャビネットから来る振動P5の悪影響と、作用反作用振動P6の悪影響と、さらにキャビネットの容量が持つ空気の弾性による抵抗による振動体の振動への悪影響の三つについて分析を進める。キャビネット壁面からの反射音とキャビネット壁面の振動によるスピーカユニットの振動体の裏面への付加振動P5は大きい要因であり、従来技術ではこれを軽減させる手段として、図23に示す2個のスピーカユニットSP1とSP2とを前後に配して、共通音室6を形成して同相で駆動し、キャビネットからの悪影響を隔離する配置が知られている。これにより共通音室6では後方の振動体がキャビネットからの影響を隔離し排除するだけでなく、2個のスピーカが同相で動作するために、後方のスピーカユニットは前方のスピーカユニットSPに対して振動しやすい状態を形成する。この同相で動く二つの振動体により、共通音室はキャビネット振動をノイズと見たときにノイズキャンセル状態となると同時に、この状態を後方スピーカユニットによる前方スピーカユニットの振動体動作へのバックアシスト状態と見ることもできる。このことにより三つの悪影響のうち二つは剛性と制振に十分配慮して製作すれば解決の方向に向かうが、この配置ではスピーカユニットの振動体の振動の作用反作用によるスピーカ磁石側の振動P6については解決されていない上、同じ音量に対して2個のスピーカユニットが同方向に作動するので作用反作用振動P6は増加する。作用反作用による振動の解決としては2個のスピーカユニットを背合わせして振動を相殺する配置があり、双方のスピーカとも外部に放音する配置(例えば特許文献1参照)と片側をキャビネット内に放音する配置(例えば特許文献2参照)とがある。この背合わせにする配置は制振に十分配慮して製作すれば作用反作用振動P6は解決の方向に向かい、微細音の再生に前進をもたらすが、スピーカユニットの振動体の裏面への付加振動P5とキャビネットの空気弾性による振動体振動への抵抗の悪影響の減少はなされていない。
【0005】
そこで両方を同時に解決することを目的として、図24に示される提案がある。2個のスピーカユニットを背合わせにして同相極性で動作させて作用反作用による磁石の振動を相殺しつつ、前方スピーカユニットSP1の後方部の発生音を後方スピーカユニットSP2の振動体前方部に音道にて導き、音道が回折しているが、図23のスピーカの前後配置と同様にSP1とSP2の間に共通音室6を形成し、さらに後方スピーカユニットSP2の振動体後方部の発生音をキャビネットに導いたものである(例えば特許文献3参照)。背合わせにより作用反作用振動P6の相殺、共通音室6の形成によるキャビネットによる付加振動P5の隔離と共通音室6のノイズキャンセル状態による後方スピーカユニットによるバックアシストが行われており、剛性と制振に十分配慮して製作すれば微細音の再生と歯切れのよい澄んだ音の再生によるリアリティの向上が確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−77194号公報
【特許文献2】特開平10−178693号公報
【特許文献3】特開2007-235727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スピーカキャビネットはスピーカユニットの振動体の振動による前方の空気振動P1の粗密波の音の拡がりに対して、振動体の振動による後方の空気振動P2の粗密波が前方に回折して干渉や相殺をさせないために容量と剛性を持っており、必要不可欠なものである。しかし、前面に出る音と同じエネルギーで出る振動体の後方の空気振動P2の空気伝播と、スピーカユニット自体の振動によるフロントバッフル振動P3の固体伝播との、複合がキャビネット各面の振動P4をひきおこし、キャビネットの音を出す障害と共に、このキャビネット振動が再び空気伝播され、スピーカユニットの振動体の裏面への付加振動P5が発生すると言う循環障害がある。このキャビネット振動による第一の障害に加えて、振動体振動の作用反作用による磁石側の逆相の振動P6の発生があり、これが第二の障害である。さらにスピーカユニットの振動体の後ろ側の振動は前方とは異なり、容積が限られるので振動に対する空気の弾性による抵抗が無視できないという第三の障害があり、ひずみや歯切れの悪さや解像力の低下につながっている。この同時解決として図24に示される提案があり、2個のスピーカユニットを背合わせにして同相極性で動作させて作用反作用による磁石の振動を相殺しつつ、前方スピーカSP1の後方部の発生音を後方スピーカSP2の振動体前方部に音道にて導き共通音室6を形成し、さらに後方スピーカSP2の振動体後方部の発生音をキャビネットに導いたものである。
【0008】
この図24の構造にて解決されているようにみえる第一と第二の障害についても、図22で示すスピーカユニットの最初の振動開始で音が出ると同時に起こるスピーカユニット内などの振動伝播や各所の変形に関してはスピーカユニット数が増えるので十分な剛性と制振処置が重要である。第三の障害の空気の弾性による抵抗に対してノイズキャンセル状態をつくることについては共通音室6を介した二つのスピーカの音道の距離は短いほど高域までバックアシストされ、前方のスピーカユニットの振動体の振動へのアシストとなり、これが前方スピーカへのひずみ軽減となるので、音道の短さが重要な観点となる。図24において、例えば口径60mmのスピーカの組み合わせでは音道の経路は12cmとなり、これに対して音の空気中伝播速度は毎秒約340mであり、1kHzでは34cm波長であるが、1/4波長までを同相域と考えると、その12cmの長さでは約800Hzであり、ここまでが図24での2個のスピーカユニットによる二重駆動の有効域であり、このために高域への効果に限界があり、高域の少なくとも1KHzから2KHzのひずみに敏感な領域までの効果発揮にはもっと短い音道の形成が要されるという課題がある。もうひとつの課題は複数のスピーカユニットを使い、しかも一方は内部に用いている問題で、同一の音声出力に対してキャビネット内部での振動のエネルギーが増大するので、キャビネットの振動が増加して逆効果のほうが大きくなる問題があり、この問題の解決のために制振力を強める処置や振動を隔離する処置を示す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために請求項1に記載の発明は複数スピーカユニットを同じ向きに前後に接近させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの背後部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの前方をキャビネット部に導くことを解決手段とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は複数スピーカユニットを同じ向きに隣接させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの背後部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの前方をキャビネット部に導くことを解決手段とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は複数スピーカユニットを互いに逆向きにマウント部を隣接させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの前方部とで共通音室を形成して互いに同相極性で駆動し、内部スピーユニットの後方部をキャビネット部に導くことを解決手段とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は後部を前にして複数スピーカユニットを同じ向きに隣接させて配し、後部から外部放音のスピーカユニットの前方部と内部スピーカユニットの前方部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの後方をキャビネット部に導くことを解決手段とする。
【0013】
請求項5に記載の発明はスピーカユニットをスピーカ装置内部に2組、共通音室を形成して配置する請求項1のスピーカ装置であることを解決手段とする。
【0014】
請求項6に記載の発明はスピーカユニットをスピーカ装置内部に2組、共通音室を形成して配置する請求項2のスピーカ装置であることを解決手段とする。
【0015】
請求項7に記載の発明はスピーカユニット2対をそれぞれ背合わせに配し、4個のスピーカユニットの背後部を共通音室とし、1対を同相極性で駆動して双方向の前方を外部放音に、もうひとつの1対をそれとは逆相極性で駆動して双方向の前方をキャビネット部に導くことを解決手段とする。
【0016】
請求項8に記載の発明はスピーカユニットの前にさらにスピーカユニットを前向きあるいは後ろ向きに配置し、後方のスピーカユニットと振動体の振動方向が同相となるように駆動する請求項1〜請求項7いずれかに記載のスピーカ装置であることを解決手段とする。
【0017】
請求項9に記載の発明はスピーカユニットに対して抵抗を配して接続する請求項1〜請求項8いずれかに記載のスピーカ装置であることを解決手段とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は複数スピーカユニットで形成される共通音室内に音波ピックアップ、外部放音スピーカユニットに対して振動ピックアップ、いずれかあるいは両方を配する請求項9に記載のスピーカ装置であることを解決手段とする。
【0019】
請求項11に記載の発明はスピーカユニットの振動体とダンパーやエッジなど可動部と取付けに必要な部分を除く、スピーカユニット裏側のフレーム表面などの、粘弾性体の塗布可能な全ての表面の70%以上の領域と、キャビネット壁面のすべての面の内外面の全域の40%以上の領域に対して、変性シリコーン系、ポリウレタン系の粘弾性シーリング材、エポキシ変性系、変性シリコーンエポキシ系、ウレタン系の粘弾性接着剤のいずれかあるいは複合である粘弾性体層を1mm以上の厚さで形成する請求項1〜請求項8いずれかに記載のスピーカ装置であることを解決手段とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は外部放音のスピーカユニット近傍に重量物を配する請求項11に記載のスピーカ装置であることを解決手段とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明による、複数スピーカユニットを同じ向きに隣接させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの背後部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの前方をキャビネット部に導くことが、短い共通音室を実現し、スピーカユニット後方からのキャビネット振動による悪影響の隔離と軽減がなされ、作用反作用による悪影響の軽減もなされ、より高い周波数域まで後方のスピーカユニットにより前方のスピーカユニットに対してバックアシストされ、放出音の音質を向上させる。前方スピーカユニットの振動体の裏面と後方スピーカユニットの裏面とが距離の短い共通音道を形成して、さらに後方スピーカユニットの前面がキャビネットにつながっていて、しかも二つのスピーカユニットの振動が、直列または並列で逆相接続していることと、前後配置により、振動方向が逆方向なので作用反作用の振動も相殺される。この場合二つのスピーカが同じ向きで互いに逆方向ということはスピーカユニットが特にエッジの動きで前後運動が必ずしもシンメトリーでない点の補正もなされるようにはたらく。外部放音のスピーカユニットの裏側の後方からの悪影響が、作用反作用振動の低減とキャビネット隔離とバックアシストの三つの点から減少することは聴感上のピアノ音のアタックの良さと音色のよさで確認される。なお音質の評価は聴感覚による評価が最も厳しく、音色や響きや定位や奥行きを総合して、アコースティック楽器の実物と比較しながら微妙な違いを検出する。
【0022】
請求項2に記載の発明による、複数スピーカユニットを同じ向きに隣接させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの背後部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの前方をキャビネット部に導くことが、短い共通音室を実現し、スピーカユニット後方からのキャビネット振動による悪影響の隔離と軽減がなされ、作用反作用による悪影響の軽減もなされ、より高い周波数域まで後方のスピーカユニットにより前方のスピーカユニットに対してバックアシストされ、放出音の音質を向上させる。この二つのスピーカユニットを単純に一つの小型ボックスに入れ、ひとつを外部放音、他方をキャビネットに導く配置は距離の短い共通音室の形成と作用反作用の相殺が、シンプルな構造により構造的に強く実現できる。ただし、作用反作用振動の相殺については直線上にないために回転モーメントが生ずるが、重量物を配することにより改善できる。
【0023】
請求項3に記載の発明による、複数スピーカユニットを互いに逆向きにマウント部を隣接させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの前方部とで共通音室を形成して互いに同相極性で駆動し、内部スピーカユニットの後方部をキャビネット部に導くことが、短い共通音室を実現し、スピーカユニット後方からのキャビネット振動による悪影響の隔離と軽減がなされ、作用反作用による悪影響の軽減もなされ、より高い周波数域まで後方のスピーカユニットにより前方のスピーカユニットに対してバックアシストされ、放出音の音質を向上させる。従来のスピーカ装置の前に小さいボックスを配し、逆方向にもう一つのスピーカユニットにて放音する配置であり、スピーカユニットは同相駆動であるが配置が逆方向であることにより、作用反作用の相殺がなされ、共通音道も短い。作用反作用振動の相殺については直線上にないために回転モーメントが生ずるが、重量物を配することにより改善できる。
【0024】
請求項4に記載の発明による、後部を前にして複数スピーカユニットを同じ向きに隣接させて配し、後部から外部放音のスピーカユニットの前方部と内部スピーカユニットの前方部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの後方をキャビネット部に導くことが、短い共通音室を実現し、スピーカユニット後方からのキャビネット振動による悪影響の隔離と軽減がなされ、作用反作用による悪影響の軽減もなされ、より高い周波数域まで後方のスピーカユニットにより前方のスピーカユニットに対してバックアシストされ、放出音の音質を向上させる。この二つのスピーカユニットの配置は距離の短い共通音室の形成と作用反作用の相殺が、シンプルな構造により構造的に強く実現できる。ただし、作用反作用振動の相殺については直線上にないために回転モーメントが生ずるが、重量物を配することにより改善できる。またスピーユニットを前後逆に配置しての後方部からの外部放音であるがゆえ、スピーカフレーム部粘弾性体による制振は十分に要される。
【0025】
請求項5に記載の発明による、スピーカユニットをスピーカ装置内部に2組、共通音室を形成して配置する請求項1のスピーカ装置であることが、キャビネット振動とキャビネット内での音の反射による余剰振動をさらに隔離するために共通音室を3段に増やし、同時に作用反作用振動の相殺ももたらすものである。ここに至るとキャビネットの影響がほとんどなくなり、放音スピーカユニットの振動体の振動へのバックアシストもさらに良くなり、立ち上がりの良い澄んだ音となる。実施にあたっては共通音道の壁面の振動の抑制とキャビネット面からの振動の流入に対して注意する必要がある。
【0026】
請求項6に記載の発明による、スピーカユニットをスピーカ装置内部に2組、共通音室を形成して配置する請求項2のスピーカ装置であることが、スピーカユニット後方からのキャビネット振動による悪影響の軽減がされ、振動体の振動へのアシストもさらに良くなり、作用反作用による悪影響の軽減もなされ、放出音の音質を向上させる。請求項2の配置の第2のスピーカに対向して、もう一組の同様のスピーカユニットを配して共通音室を形成することにより合計3室となり、キャビネットとの隔離が図られる。共通音室の剛性が強く、制振されている条件にて、作用反作用振動の回転モーメントも全体としてはなくなる。この配置での最大の特徴は対向するスピーカユニット間の共通音室の距離が最短であることで、最も高い音域へのバックアシストとなる。
【0027】
請求項7に記載の発明による、スピーカユニット2対をそれぞれ背合わせに配し、4個のスピーカユニットの背後部を共通音室とし、1対を同相極性で駆動して双方向の前方を外部放音に、もうひとつの1対をそれとは逆相極性で駆動して双方向の前方をキャビネット部に導くことが、スピーカユニット後方からのキャビネット振動による悪影響の軽減がなされ、前方スピーカユニットの振動体の振動への後方スピーカユニットからのバックアシストもさらに良くなり、作用反作用振動による悪影響の軽減もなされ、放出音の音質を向上させる。ここでは作用反作用振動の相殺についてこれを徹底すればシンメトリーな背合わせでの同じエアの負荷条件が必要で、そのために背合わせの2対のスピーカユニットで共通音室を形成し、1対のそれぞれの前方を放音に、もう1対のそれぞれをキャビネットへと導く。これにて配置上もエアの負荷上もシンメトリーなスピーカ装置が実現する。
【0028】
請求項8に記載の発明による、スピーカユニットの前にさらにスピーカを前向きあるいは後ろ向きに配置し、後方のスピーカユニットと振動体の振動方向が同相となるように駆動することを特徴とする請求項1〜請求項7いずれかに記載のスピーカ装置であることが、さらに共通音室が増え、キャビネット振動による悪影響の隔離と軽減が進行し、バックアシストに関しても後方からの悪影響がほとんどなくなるためにひずみの少ないバックアシスト振動となり、ひずみの少ない音質の放出音となる。
【0029】
請求項9に記載の発明による、スピーカユニットに対して抵抗を配して接続することを特徴とする請求項1〜請求項8いずれかに記載のスピーカ装置であることが、複数のスピーカユニットを用いる本発明はその個数が奇数の時の共通音室での音の相殺のバランスのくずれや、使用スピーカユニットのインピーダンスや効率が異なることによるバランスの崩れに対して、抵抗を配して接続し調節することにより、請求項1〜請求項8の最適点をもたらす。内部側のスピーカユニットの発生音を弱めると低音が減少し、強めると低音域が増加する性質を利用して音質の調整ができるのも効果である。
【0030】
請求項10に記載の発明による、複数スピーカユニットで形成される共通音室内に音波ピックアップ、外部放音スピーカユニットに対して振動ピックアップ、いずれかあるいは両方を配する請求項9に記載のスピーカ装置であることが、抵抗によるバランス調整の最適点すなわち複数のスピーカユニットの振動相殺がなされ、最も共通音室の音圧が下がる点を音波ピックアップおよび振動ピックアップで測定する方法であり、スピーカユニット振動とキャビネット壁面振動と定在波の影響が重畳されるのでどちらの調整点を選択するかについては試聴にて判断する。
【0031】
請求項11に記載の発明による、スピーカユニットの振動体とダンパーやエッジなど可動部と取付けに必要な部分を除く、スピーカユニット裏側のフレーム表面などの、粘弾性体の塗布可能な全ての表面の70%以上の領域と、キャビネット壁面のすべての面の内外面の全域の40%以上の領域に対して、変性シリコーン系、ポリウレタン系の粘弾性シーリング材、エポキシ変性系、変性シリコーンエポキシ系、ウレタン系の粘弾性接着剤のいずれかあるいは複合である粘弾性体層を1mm以上の厚さで形成する請求項1〜請求項8いずれかに記載のスピーカ装置であることが、複数スピーカの個数増加に伴うスピーカユニット自体の振動個所数の増加と構造の複雑化と壁面の増加による共振の増加を、粘弾性体の大きい内部損失により振動エネルギーを熱エネルギーに変え、抑制する。これなしには目的とするひずみ減少の効果よりも、構造の複雑化による共振によるひずみ増大の逆効果のほうが大きくなるので不可欠である。この対策として振動に対する制振を粘弾性体層の形成にて行い、それも各スピーカユニットの余剰振動発生点であるフレームの凹部をはじめとして共通音室の壁面やキャビネットに対して行うことが、振動発生点のスピーカの制振効果と、悪影響の原因のキャビネットの制振効果と、複数スピーカの音道や隔壁の振動発生への制振効果をもたらし、短経路の音道という制振上の利点も含めて複数スピーカ活用によるメリットが発揮される。粘弾性体層の形成はスピーカフレームの裏側の振動体側にも行いたいがスピーカユニットのその場所にあとで塗布するのは困難が伴うので塗布不可能域とするが、スピーカユニットの製造工程で塗布し、層形成することは効果をさらに推し進める。
【0032】
請求項12に記載の発明による、外部放音のスピーカユニット近傍に重量物を配する請求項11に記載のスピーカ装置であることが、複数スピーカによる作用反作用振動の相殺の効果をさらにあげ、特に配置が直線状になく回転モーメントを発生させる場合の配置に対しては有効である。複数スピーカユニットの背合わせなどの作用反作用振動の相殺は複数のスピーカユニットの各部が図22にてわかるように複雑な動きをするので、完全な制振の時には完全に相殺されるが、どうしても相殺されない部分が残るので、粘弾性体層上への重量物配置により作用反作用振動の相殺の効果を増す。ただし、その重量物自体にも固有振動があるのでさらに粘弾性層を形成し、制振する。
【0033】
効果をまとめると、複数スピーカユニットの至近距離での共通音室の形成と作用反作用振動の相殺の配置と粘弾性体による制振が共通事項であり、これがより高い周波数までの振動体の振動へのバックアシストとキャビネット振動隔離と作用反作用振動減少を行い、放出音質を向上させている。このことはキャビネット振動による悪影響の第一の障害に加えて、振動体振動の作用反作用による磁石側の逆相の振動P6の発生の第二の障害、さらにスピーカユニットの振動体の後ろ側の振動への空気の弾性による抵抗が無視できないという第三の障害のすべてが高音域まで解決されることとなり、制振により図22のA、B、Cの振動伝播と変形も解決される。キャビネット共振からの影響が減り、作用反作用の影響も減り、併せて構造的にはスピーカユニット周辺の剛性も強くなり、粘弾性体により共振も防いだので、聴く立場からするとどの音量でもどの音域でも明瞭な音となり、歯切れが非常に良くなる効果をもたらす。効果は打楽器の臨場感が良くなり、気配の音や聞こえなかった音が聞こえることももたらし、ひとことで言うと安心して聞ける音が実現し、目的とする高解像度の音の実現が進む。
【0034】
本発明は複数のスピーカユニット使用によるコスト増と、増加スピーカユニットが内部で鳴っているという効率の低下はあるが、一般的なスピーカユニットの複数使用で、澄んだ音、リアルな音が得られることが最大の特徴で、その音質の良さはどこで鳴っているか判らないほどであり、音量の大小にかかわらず音質面での満足度は大きい。一般家庭や通常の環境での使用では濁りの多い大きな音は嫌われ、小さめでも澄んだ音は好感を得られる。構造の複雑化については量産にてスピーカユニット部をプラスチックで一体製造し、それに粘弾性体層を形成して制振すれば複雑工程とはならない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】クレーム対応図
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る、スピーカユニット2個、前後同方向接近による共通音室6の形成と、粘弾性体層の形成とを示した図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る実施例1で、スピーカユニット2個、上下同方向隣接による共通音室6の形成の図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る実施例2で、図3のスピーカユニット近傍のキャビネットに重量物3を配した図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る実施例3で、スピーカユニット4個、上下同方向隣接による共通音室6の形成の図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る、スピーカユニット2個、上下逆方向隣接による共通音室6を形成の図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る、通常とは逆向きの後部を前にしたスピーカユニットからの外部放音のスピーカユニット配置にて、スピーカユニット2個、上下同方向隣接によるスピーカユニット前部のあいだでの共通音室6の形成とこれへの重量物3の配置の図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る実施例1で、第1の実施形態の配置を2組、直列配列にて共通音室6を増やして3室とした図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る実施例2で、第1の実施形態の配置を2組、図7の直列配列より下方に配置させ、隣接配置にして、共通音室6を増やして3室とした図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係る実施例3で、第1の実施形態の配置を2組、直交させて配置し、第一の実施形態に対して共通音室6を連続かつ最密にて増やして3室とした図である。
【図11】本発明の第6の実施の形態に係る、第2の実施形態の配置を2組、対向して共通音室6がつながるように配置し、3室とした図である。
【図12】本発明の第7の実施の形態に係る実施例1で、第2の実施形態の配置のそれぞれのスピーカユニットの前にさらにスピーカユニットを配置して、共通音室6を増やして3室とした図である。
【図13】本発明の第7の実施の形態に係る実施例2で、第2の実施形態の配置のそれぞれのスピーカユニットの前にさらに逆向きにスピーカユニットを配置して、共通音室6を増やして3室とした図である。
【図14】本発明の第7の実施の形態に係る実施例3で、第4の実施形態の配置のそれぞれのスピーカユニットの前にさらに逆向きにスピーカユニットを配置して、共通音室6を増やして3室とした図である。
【図15】本発明の第7の実施の形態に係る実施例4で、第1の実施形態の配置の前方にさらにスピーカユニットを配置して共通音室6を増やして2室とした図である。
【図16】本発明の第8の実施の形態に係る実施例1で、スピーカユニット2対をそれぞれ背合わせに配し、4個のスピーカユニットの背後部を共通音室とし、1対を同相極性で駆動して双方向の前方を外部放音に、もうひとつの1対をそれとは逆相極性で駆動して双方向の前方をキャビネット部に導く図である。
【図17】本発明の第8の実施の形態に係る実施例2で、スピーカユニット2対をそれぞれ背合わせに配し、4個のスピーカユニットの背後部を共通音室とし、1対を同相極性で駆動して双方向の前方を外部放音に、もうひとつの1対をそれとは逆相極性で駆動して双方向の前方をキャビネット部に導き、上方の一対の前方にさらにスピーカユニットを配する図である。
【図18】本発明の第9の実施の形態に係る実施例1で、スピーカユニット接続の方法である。
【図19】本発明の第9の実施の形態に係る実施例2で、抵抗の調整のための音波ピックアップと振動ピックアップを装着した図である。
【図20】一般的なスピーカ装置のスピーカユニットとキャビネットを表した図である。
【図21】図20に関して、音の発生と振動状態を付記した図である。
【図22】図20に関して、スピーカユニットにプラス極性の電圧印加のときの振動伝播の過程を示した模式図である。
【図23】従来例のスピーカユニット2個を同方向に前後に配して同相駆動し、共通音室6の形成の図である。
【図24】従来例のスピーカユニット2個を逆方向に背合わせに配して同相駆動し、共通音室6の形成の図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明は図21におけるキャビネットからの振動P5による悪影響と、作用反作用振動P6による悪影響と、キャビネット容量による空気弾性による振動体振動への悪影響の軽減を高音域まで同時に実現するものである。このために図2に示すように、二つのスピーカユニットを前方に向けて前後に、図22のスピーカユニットSP1とSP2間の距離の近さまで接近させて配し、2個のスピーカユニットを逆相極性で動作させて、互いの作用反作用振動を相殺しつつ、前方スピーカユニットの振動体後方部の発生音を後方スピーカユニットの振動体後方部に音道を導いて、共通音室6を形成し、さらに後方スピーカユニットの前方部をキャビネットに導いたものである。この図2により、音道は80mmとなり30%減少され、バックアシストが約1.2kHzまでへと50%上昇する。仮に共通音室が長くて大きい場合にはバックアシスト効果が減ずると同時にそこが第2のキャビネットとなって共振するので、近いほうが良いことが判る。
【0037】
実施においてはキャビネット部の振動P4の減少とキャビネット壁伝達の振動の隔離も必要なので、これを考慮して、壁面共振の軽減のために内外面に粘弾性体層2a、2b、2e、2fを形成することを行う必要があり、キャビネット壁面とスピーカユニットや共通音室6部との共通壁面をなくして、キャビネット壁面を分離することも行ったほうが良い。さらに共通音室6での音波の伝達が図24では180度折り返して内部スピーカユニットに届くのに対して図2では90度の回折で内部スピーカユニットの振動体に届くので、前後のスピーカユニットの音がプッシュプルしやすいし、音の反射が少ない共通音室や音道の形成の面でも有利である。さらに前後のスピーカユニットが逆極性で動作するので振動体エッジの動きが逆になり、エッジの伸縮時の非対称歪も改善され、前方へ放音する音質が高まる。
【0038】
図2の応用として、前後のスピーカユニット間でより均等に同時に音が届くようにするために共通音室を前後スピーカユニットの上部でなく、左右に2本形成することも良い方法であり、さらにキャビネットへの経路も下方ではなく、上下2本にて後方に配すると、この2スピーカユニットをモジュール化すると既存のキャビネットのスピーカ孔への取り付けも可能となる。これ以外の配置については図2も含めて順次述べてゆくが、一般的なスピーカ装置と図2との比較を同一のソースにて行うと、例えば高域をシンバル音、低域をベース音、全体としてピアノ音や弦楽器音とボーカル音の再現性、それに定位と分解能を確認すると、特に難しいグランドピアノ音の音質の再現性では高音域の繊細さと重音アタックでの分解能が高まり、ダイナミックレンジが広がり、さらには数百ヘルツの中音域の歪も減少してリアルで澄んだ音が実現し、スピーカユニットと共通音室での粘弾性体層の形成による制振を進めてゆくと最後にはつやのある異次元の音というべき音質に達する。しかもこの応用範囲は広く、超小型から大型まで、廉価帯からハイエンド帯までそれぞれにて音質を向上させる。
<第1の実施の形態>
【0039】
図2は、本発明の第1の実施形態におけるスピーカ装置の断面構造を表したものである。この第1の実施の形態は2個のスピーカユニットを同じ向きに前後に接近させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの背後部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの前方をキャビネット部に導くスピーカ装置である。前後のスピーカユニットSP1とSP2との間で形成される共通音室6によりキャビネット振動と前方スピーカユニットSP1との隔離がなされ、共通音室6がバックアシストによりノイズキャンセリング状態となり、また作用反作用振動P6の軽減が二つのスピーカユニットの互いの逆向きの駆動により行われ、放出音の音質を向上させる。併せて共通音室6やキャビネット部の振動P3の減少も必要なので、この図には請求項12の粘弾性体層の形成2a・2b・2e・2fも図示するとともに、一対のスピーカユニットによる共通音室6の形成部とキャビネット部1との共通壁面をなくして分離構造にして、キャビネット振動P3の壁面進入を防いでいる。なお図は断面構造を表しているが図の左側の正面から見ての幅方向はスピーカ幅より少し大きい幅で共通音室を形成し、それがスピーカ幅の数倍程の幅のキャビネットに載っている形態であり、図ではスピーカフレーム部分についてそこに粘弾性体層を形成しているために音の後方放散ができないように見えるが、スピーカフレームには複数の大きな穴があけられており、フレームへの粘弾性体層の形成後も振動体からの音の後方放散に関しても問題は生じない。
【0040】
キャビネットの面の構成材料としては木質系やプラスチック系のほかに、金属系、陶器磁器ガラス系、コンクリートや大理石も含む石系のキャビネットもあるが、共振や部分振動が付随し、オルゴールモジュールを接触させて鳴らすと共鳴による音の増幅でこれがよく判る。粘弾性体層形成による制振において粘弾性体はこれら各種の材料に対する親和性があり、層形成により叩いての音やオルゴールでの共鳴も減少して、制振効果が確認される。粘弾性体層形成はスピーカユニットの振動体とダンパーやエッジなど可動部と取付けに必要な部分を除く、スピーカユニット裏側のフレーム表面などの、粘弾性体の塗布可能な全ての表面の70%以上の領域と、キャビネット壁面のすべての面の内外面の全域の40%以上の領域に対して、変性シリコーン系、ポリウレタン系の粘弾性シーリング材、エポキシ変性系、変性シリコーンエポキシ系、ウレタン系の粘弾性接着剤のいずれかあるいは複合である粘弾性体層を1mm以上の厚さで形成することであり、広域での粘弾性体層の形成がその大きい内部損失による振動エネルギーの熱エネルギーの変換をもたらし、不要な余剰振動とそれによるひずみ音の発生の減少をもたらす。制振の見地からはキャビネットの内面と外面の全域の粘弾性層の形成、それも6mmを越える厚さでの形成が望ましいが、全域の40%とは外観上の観点から例えば内側のみを全て塗布とする選択を示す。なおスピーカユニットの塗布域についてもスピーカユニットの背後域の全域が好ましいが、必須域を絞ると、背後域を構成するフレーム域とフレームの凹状部分とマグネットカバーのうち、フレームとフレームの凹状部分が最重要なので、全域の60%以上の領域を必須域とする。
【0041】
粘弾性体が、変性シリコーン系、ポリウレタン系の粘弾性シーリング材、エポキシ変性系、変性シリコーンエポキシ系、ウレタン系の粘弾性接着剤であることとは粘性と弾性の両方を含んだ性質を持つ粘弾性体は内部損失が大きいので振動抑制には効果的であること、とりわけシーリング材の変性シリコーンシーラントはセメダインPOSシールSM−444を代表として、親和性が良く、流動性がなく、耐久性が良く、そして何よりも塗り重ねても固まった後の共振が少なく剛性も増加することはスピーカ装置の制振材料として良い素材である。なお図2ではスピーカフレーム部分についてそこに粘弾性体層を形成しているために図を一見すると音の後方放散ができないように見えるが、スピーカのフレームには複数の大きな穴があけられており、フレームへの粘弾性体層の形成後も音の後方放散に関して問題は生じない。なお塗布に当たってはスピーカユニットとの接着面強度を確保することが重要でアルコール脱脂またはプライマー処理を行うことが必須である。図ではキャビネットの形式が密閉箱形式であるが、密閉型のみならず、位相反転のバスレフ型、後面開放型、バックロードホーン型などに関しても本発明の粘弾性体層の形成による制振を含めた複数スピーカ配置の方式は本方式のひずみの少なさ、歯切れの良さや余剰振動の少なさのメリットにその方式のメリットを重畳させる形で効果を表す。
<第2の実施の形態>
【0042】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0043】
図3は実施例1のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例1は2個のスピーカユニットを同じ向きに隣接させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの背後部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの前方をキャビネット部に導くスピーカ装置である。隣接するスピーカユニットSP1とSP2との間で形成される共通音室6によりキャビネット振動と放音スピーカユニットSP1との隔離がなされ、共通音室6がバックアシストによりノイズキャンセリング状態となり、また作用反作用振動P6の軽減が二つのスピーカユニットの互いの逆向きの駆動により行われ、放出音の音質を向上させる。併せて共通音室6やキャビネット部の振動P3の減少も必要なので、この図には請求項12の粘弾性体層の形成2a・2b・2e・2fも図示する。この配置の利点は二つのスピーカユニット間距離がさらに近い点と、ボックスに二つのスピーカを収めるので製作しやすい点にある。さらに構造が簡単なので補強しやすい点や粘弾性体を塗布しやすい点もある。ただし作用反作用振動に関してはSP1とSP2がそれぞれのP1が同一の軸上にないために相殺効果が減少して回転モーメントが残るが、この対処は実施例2の重量物の活用で行いうる。この図3においてキャビネットに広口ガラス瓶や魔法瓶を用いると、SP2の円形のスピーカマウント部に塩ビ管ジョイントで口径を適合させて配置して十分な粘弾性体層で内外を制振すれば、製作が容易で軽量で低音域までよくでる小型スピーカ装置が実現する。
【0044】
図4は実施例2のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例2は外部放音のスピーカユニット近傍に重量物を配する図4のスピーカ装置である。図3に対して外部放音スピーカユニットSP1上部近傍への粘弾性体層を介して非磁性重量物を配置すると図4となる。このスピーカユニット近傍にスピーカユニット重量の数倍以上の重量を配することによりこれが静止点に近い支点となり、第2の実施形態での各スピーカが作用点となる作用反作用による回転モーメントを減少させる効果を生む。またこの重量物配置はキャビネットからの振動のキャビネットを伝わっての伝播振動の抑制の効果もなされる。なお、重量物は粘弾性体層を介して配し、その重量物にも固有振動があるので、その外側からも粘弾性体層を形成する必要がある。これらのことから作用反作用による悪影響の軽減がなされ、放出音の音質を向上させる。
【0045】
図5は実施例3のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例3は実施例1の実施形態において生じる作用反作用振動の相殺に関して生じる回転モーメントについてこれを解消するためにもう一組のスピーカをシンメトリーに配して4個のスピーカユニットで一つの共通音室4を構成するもので、回転モーメントがシンメトリー配置によって相殺される。この例においても構造面の剛性とスピーカユニットとキャビネット壁面内外への粘弾性体層の形成による振動抑制が十分になされる必要がある。図では直線上に4個のスピーカユニットを配しているが、この応用として、2個と2個を正面から見て対称的に十字に隣接させる配置もあり、こちらのほうが4個の互いの隣接なので共通音室6の構造としても剛性上もさらに望ましい。前方へと伸びている2個のキャビネットは90度曲げた方向に置いても良いし、後部で2個共通にして、ひとつのキャビネットの中央にスピーカユニット集合体を埋め込む配置も可能である。これらのことからキャビネット振動による悪影響の隔離と軽減がなされ、作用反作用による悪影響の軽減もなされ、放出音の音質を向上させる。
<第3の実施の形態>
【0046】
図6は、本発明の第3の実施形態におけるスピーカ装置の断面構造を表したものである。この第5の実施の形態は2個のスピーカユニットを互いに逆向きにマウント部を隣接させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの前方部とで共通音室を形成して互いに同相極性で駆動し、内部スピーカユニットの後方部をキャビネット部に導くスピーカ装置である。スピーカユニットSP1とSP2との間で形成される共通音室6によりキャビネット振動と前方スピーカユニットSP1との隔離がなされ、共通音室6がバックアシストによりノイズキャンセリング状態となり、また作用反作用振動P6の軽減が二つのスピーカユニットの互いの逆向きの駆動により行われ、放出音の音質を向上させる。この配置は二つのスピーカが同極性動作のためにエッジ歪の相殺にはならないし、共通ボックスに入っていないために、スピーカユニットへのボックスによる囲い込みによる振動抑制も難しくなるが、大きな利点を持つ。それは既存品スピーカ装置への付加での改善ができる点である。長年使用してきたスピーカ装置の前にSP1のボックスを配すれば、音で出る方向は前後逆になるが、第2の実施の形態に近い効果が得られるので本配置のためのキットにて、保有スピーカの有効活用と最新スピーカの実現とひずみの相殺とが実現する。この際にスピーカの効率などの補正のために第14の実施形態の抵抗による調節が有効である。これらのことからキャビネット振動による悪影響の隔離と軽減がなされ、作用反作用による悪影響の軽減もなされ、放出音の音質を向上させる。
<第4の実施の形態>
【0047】
図7は、本発明の第4の実施形態におけるスピーカ装置の断面構造を表したものである。この第4の実施の形態は後部を前にして2個のスピーカユニットを同じ向きに隣接させて配し、後部から外部放音のスピーカユニットの前方部と内部スピーカの前方部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの後方をキャビネット部に導くスピーカ装置である。この特徴はスピーカユニットSP1が通常とは逆の向きの配置であるので無指向性の音の広がりが得られ、しかもこの配置においてはスピーカユニットを下方に位置させれば図のように大きい重量物を配することができるのでSP1とSP2間での作用反作用振動の相殺に関する回転モーメントが十分に解消でき、静止点からの音波振動の発生という理想と、キャビネット振動の隔離と、振動体の振動アシストの三点がなしうる。このスピーカユニットの配置は距離の短いシンプルな共通音室の形成でもあり、強い構造にして粘弾性体層による制振を十分に行えば、歯切れよくひずみの少ない素晴しい放出音が実現する。なおスピーカユニットの逆向き使用の場合には振動体のダンパーの振動方向が振動体とは逆方向であるがダンパーは音の透過性が大きいので放音に対する影響は少ないが、スピーカダンパー近傍に中央をくりぬいた円盤状体をフレームから配すればその音の遮断を期待できる。
<第5の実施の形態>
【0048】
次に本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0049】
図8は実施例1のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例1は図2の第1の実施形態スピーカユニットをスピーカ装置内部に2組、共通音室を形成して配置するスピーカ装置の、2組のスピーカを直列配列に配しているスピーカ装置である。この配置にて共通音室6を増加させて、キャビネット振動からの隔離を進め、バックアシスト効果も高まり、再生音をより澄んだ音にしている。さらにはキャビネット1の部分と共通音室6の部分との共通壁面がない構造にすれば隔離は徹底され、キャビネット振動による音のにごりと響きが残ることによる残響はなくなる。重要なことはスピーカユニットと共通音室バッフルの粘弾性体による制振であり、これがこの配置による効果発揮の要である。作用反作用振動の相殺はSP1とSP2、SP3とSP4との間で行われている。
【0050】
図9は実施例2のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例2は図2の第1の実施形態のスピーカユニットをスピーカ装置内部に2組、共通音室を形成して配置するスピーカ装置の、2組のスピーカユニットを直列配列より下方に配置させ、隣接配置にしているスピーカ装置である。この配置にて共通音室6のSP2とSP3の経路を短縮しているのでスピーカユニット間の相補関係は向上している。構造的にはキャビネット部とスピーカアッセイの共通音室部との分離構造はとりにくい。なお作用反作用振動の相殺はSP1とSP2、SP3とSP4との間で行われている。
【0051】
図10は実施例3のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例3は図2の第1の実施形態のスピーカユニットをスピーカ装置内部に2組、共通音室を形成して配置するスピーカ装置の、2組のスピーカユニットを、直交させて配置しているスピーカ装置である。この配置にて共通音室6を最短で連続かつ最密にて増やしている。この配置のばあい作用反作用振動の相殺はSP1とSP3、SP2とSP4との間で行われており、共通音室についてはSP1裏面からSP2裏面、さらにSP3裏面からSP4おもて面へと順次リレーされている。
<第6の実施の形態>
【0052】
図11は、本発明の第6の実施形態におけるスピーカ装置の断面構造を表したものである。この第6の実施の形態は図3の第2の実施形態のスピーカユニットをスピーカ装置内部に2組、共通音室を形成して配置するスピーカ装置である。共通音室の剛性が強く制振されている条件にて、作用反作用振動の回転モーメントも全体としてはなくなる。この配置での最大の特徴は対向するスピーカ間の共通音室の距離が短く、しかも二組を対向させてキャビネットに配するというシンプルな構造のために作りやすいことにあり、制振や剛性の強化もしやすい。この図11においてキャビネットに広口ガラス瓶や魔法瓶を用いると、SP4の円形のスピーカマウント部に塩ビ管ジョイントで口径を適合させて配置して十分な粘弾性体層で内外を制振すれば、製作が容易でひずみが少なく低音域まで再生する小型スピーカ装置が実現する。
<第7の実施の形態>
【0053】
次に本発明の第7の実施の形態を説明する。
【0054】
図12は実施例1のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例1は図3の第2の実施形態のスピーカユニットの前にさらにスピーカユニットを前向きに配置し、後方のスピーカユニットと振動体の振動方向が同相となるように駆動するスピーカ装置である。共通音室6の増加によりキャビネット振動の隔離を果たしているとともに、比較的に作りやすい構造であり、キャビネットは制振や剛性の強化もしやすい。この図12においてキャビネットに広口ガラス瓶や魔法瓶を用いると、SP4の円形のスピーカマウント部に塩ビ管ジョイントで口径を適合させて配置して十分な粘弾性体層で内外を制振すれば、製作が容易でひずみが少なく低音域まで再生する小型スピーカ装置が実現する。
【0055】
図13は実施例2のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例2は図3の第2の実施形態のスピーカユニットの前にさらにスピーカユニットを後ろ向きに配置し、後方のスピーカユニットと振動体の振動方向が同相となるように駆動するスピーカ装置である。この配置は2対のスピーカユニットが対向しているのでスピーカユニット間の距離が最も接近しているので、前方放音のつながるスピーカユニットの動作への高音域までのバックアシストとしては最も効果的で高音域までひずみが少なくなると同時に対向する振動体配置での同相での前後運動は振動体動作のエッジやダンパーによって発生する非対称性の補正の方向にもはたらく。
【0056】
図14は実施例3のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例3は図7の第4の実施形態のスピーカユニットの前にさらにスピーカユニットを前向きに配置し、後方のスピーカユニットと振動体の振動方向が同相となるように駆動するスピーカ装置である。ここでは図7から重量物を取り除いて、さらに背合わせにスピーカユニットを追加配置している。この配置は前方へのスピーカユニットの追加というよりは背合わせの2対のスピーカの上下配置を核として構成されているので、スピーカユニット部に関する粘弾性体による制振と剛性の強化はもっともやりやすい構造であり、ひずみの少なく歯切れの良い、リアルな音が比較的に容易に得ることができる。
【0057】
図15は実施例3のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例3は図2の第1の実施形態のスピーカユニットの前にさらにスピーカユニット1個を前向きに配置し、後方のスピーカユニットと振動体の振動方向が同相となるように駆動するスピーカ装置である。キャビネットからの空気振動伝播や固体振動伝播は共通音室を1段置くだけでは取りきれないし、かといってさらに2個のスピーカ追加では大げさすぎると考えるときにこの1個スピーカの追加による共通音室の追加形成が生きる。ただしこの場合、3個のインピーダンスが同じスピーカユニットを例えば直列に接続した場合には作用反作用振動の相殺作用がバランスを欠くが、第9の実施の形態に述べられているように接続法と抵抗値の調整にて、音域バランスも含めて最適点を求める。
<第8の実施の形態>
【0058】
次に本発明の第8の実施の形態を説明する。
【0059】
図16は実施例1のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例1はスピーカユニット2対をそれぞれ背合わせに配し、4個のスピーカユニットの背後部を共通音室とし、1対を同相極性で駆動して双方向の前方を外部放音に、もうひとつの1対をそれとは逆相極性で駆動して双方向の前方をキャビネット部に導くスピーカ装置である。この特徴は構造的にそれぞれのスピーカユニットに関してエア負荷も含めてシンメトリーであり、作用反作用振動の相殺に関しては最も良い配置である。この例でも剛性の強化と壁面内外への粘弾性体層の形成により振動軽減がなされる必要はあり、これを踏まえて以上によりキャビネット振動による悪影響の隔離と軽減が進展し、作用反作用による悪影響の軽減もなされ、歯切れよくひずみの少ない放出音が実現する。なお音の放出方向が双方向であるが、一方向に向ける反射板を配するか、上下に放音する形として無指向性で用いても良い。
【0060】
図17は実施例2のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例2はスピーカユニット2対をそれぞれ背合わせに配し、4個のスピーカユニットの背後部を共通音室とし、1対を同相極性で駆動して双方向の前方を外部放音に、もうひとつの1対をそれとは逆相極性で駆動して双方向の前方をキャビネット部に導くスピーカ装置であり、さらにその外部放音の一対のスピーカユニットのそれぞれの前にスピーカユニットを前向きに配置し、後方のスピーカユニットと振動体の振動方向が同相となるように駆動するスピーカ装置である。この特徴は構造的にそれぞれのスピーカユニットに関してエア負荷も含めてシンメトリーであり、作用反作用振動の相殺に関しては最も良い配置である。またキャビネット振動と前方スピーカSP1との隔離が二重で、ノイズキャンセリングのレベルが向上する。6個もスピーカユニットを用いているが、得られる効果は大きい。この例でも剛性の強化と壁面内外への粘弾性体層の形成により振動軽減がなされる必要はあり、これを踏まえて以上によりキャビネット振動による悪影響の隔離と軽減が進展し、作用反作用による悪影響の軽減もなされ、歯切れよくひずみの少ない放出音が実現する。なお音の放出方向が双方向であるが、一方向に向ける反射板を配するか、上下に放音する形として無指向性で用いても良い。
<第9の実施の形態>
【0061】
次に本発明の第9の実施の形態を説明する。
【0062】
図18は実施例1におけるスピーカユニットの接続を表したものである。この実施例1はスピーカユニットに対して抵抗を配して接続することを特徴とする請求項1〜請求項8いずれかに記載のスピーカ装置である。スピーカユニットに対して抵抗を配して接続することとは図15の並列接続に示すように、アンプへのスピーカユニットの接続について、逆相で並列に接続して駆動するSP1、SP2に直列に可変抵抗を配することであり、第14の実施の形態である。なおアンプに逆相で直列に接続して駆動する場合には並列の抵抗負荷にて調整でき、スピーカユニット二つの接続を並列、直列のいずれにするかはスピーカインピーダンスにて合成抵抗が4オーム未満にならないように選択する。この抵抗値の変化はSP1、SP2の音量の減少をもたらすが、前方スピーカユニットの音量を下げると後方のスピーカユニットによるバックアップが相対的に強まり、ドロンコーンのケルトン方式のサブウーファーの様相を示すので低音域が増加し、後方スピーカの音量を下げるとバックアップが相対的に弱まり、低音域が減少することを利用して周波数特性の調節を図ることができる。これまで同一種類の偶数配置を前提にしてきたが異種のスピーカの使用や奇数スピーカユニットの配置での効率の差の調整を図ることもできる。
【0063】
図19は実施例2のスピーカ装置の断面構造を表したものである。この実施例2は複数スピーカユニットで形成される共通音室内に音波ピックアップを、外部放音スピーカユニットに対して振動ピックアップを配する図2と図18のスピーカ装置であり、図19に示すように前方スピーカユニットに振動ピックアップを取り付け、前方スピーカユニットと後方スピーカユニットとの共通音室内にマイクロフォンをおいて振動や音を検出することである。これは複数スピーカユニットによる共通音室形成と作用反作用相殺がおこなわれた場合には最も共通音室内の音と前方スピーカの振動が小さくなることを活用して、たとえばMDレコーダーのマイク端子に接続して、ピンクノイズ信号にて最適値に可変抵抗を調整する。可変抵抗は抵抗値が確定したのちには固定抵抗に置き換えることが望ましく、また十分な電力容量を持つことも必要である。
【0064】
上記の各実施例から、本発明のスピーカ装置への複数スピーカ配置によるひずみの低減化はスピーカユニットの振動体が持つ本来の性能を引き出すことに役立つことを示し、現行のスピーカユニットの本来の価値実現となる。スピーカユニットの使用個数が倍になり、一方が内部使用のために効率も落ちるが、高品質の音が得られることは何物にも代えがたい価値である。特に一般家庭や街で聞く場合は音量よりは音質であり、各種の実施例があることは場合に応じた展開ができることであり、PC用の小型スピーカ装置や普及帯の商品にては従来以上の高音質の実現であり、ハイクラスにてはさらにリアルな音の具現化となる。さらに発展させて既存スピーカ装置へのスピーカ追加で高音質化できることはスピーカ装置の満足度向上とライフ延長の両方の実現ともなる。高齢化社会の進行とともに音に関する心の満足度向上の果たす役割は大きく、音の良さが心地よさとなり、生活への潤いの増加となる。また複数スピーカの効果的活用の本発明は振動体や振動機構や複数スピーカの一体化などのさらなる進歩をも促進する。
【符号の説明】
【0065】
1 キャビネット
1a キャビネットのフロントバッフル
1b キャビネットの後板
1c キャビネットの天版
1d キャビネットの底板
SP スピーカユニット
SPa スピーカユニットの振動体
SPb スピーカユニットの振動体ダンパー
SPc スピーカユニットの振動体エッジ
SPd スピーカユニットのフレーム
SPe スピーカユニットのマグネットカバー
SPf スピーカユニットのボビン
SPg スピーカユニットのボイスコイル
SPh スピーカユニットのマグネット
SPi スピーカユニットのトッププレート
SPj スピーカユニットのカシメ部
SPk スピーカユニットのヨーク
SPm スピーカユニットのフレームの凹状部分
SP1 スピーカユニット1
SP2 スピーカユニット2
SP3 スピーカユニット3
SP4 スピーカユニット4
SP5 スピーカユニット5
SP6 スピーカユニット6
P 空気振動
P1 スピーカユニットの振動体の振動による振動体前方の空気振動であり、振動体から前方への矢印の場合は正相接続で、プラス極にプラス印加時の振動体の移動方向であり、逆の方向の矢印の場合は逆相接続で、プラス極にマイナス印加の振動体の移動方向を示しており、ほかの矢印も付帯して動く振動を示す
P2 スピーカユニットの振動体の振動による振動体後方の空気振動
P3 スピーカのエッジ振動とダンパー振動、それにマグネットの作用反作用振動によるフロントバッフル振動
P4 スピーカユニットの振動体の振動による振動体後方の空気振動P2の空気伝播と、フロントバッフル振動P3の固体伝播とによるキャビネットの余剰振動
P5 振動体後方の空気振動P2のキャビネット面での反射の空気伝播や、キャビネットの余剰振動P4の空気伝播による、振動体の裏面への付加振動
P6 スピーカユニットの振動体の振動の作用反作用によるスピーカ磁石側の振動
2 粘弾性体層
2a キャビネット外面側の粘弾性体層
2b キャビネット内面側の粘弾性体層
2e スピーカユニット裏面の粘弾性体層
2f スピーカユニットマウント部近傍の粘弾性体層
2g スピーカユニット背合わせ間の粘弾性体層
3 重量物
6 共通音室
6a 音室形成のバッフル
6b 音波ピックアップのマイクロフォン
6c 振動ピックアップ
R1 SP1音量調整の可変抵抗
R2 SP2音量調整の可変抵抗
R3 固定抵抗
R4 固定抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数スピーカユニットを同じ向きに前後に接近させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの背後部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカの前方をキャビネット部に導くことを特徴とするスピーカ装置。
【請求項2】
複数スピーカユニットを同じ向きに隣接させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの背後部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの前方をキャビネット部に導くことを特徴とするスピーカ装置。
【請求項3】
複数スピーカユニットを互いに逆向きにマウント部を隣接させて配し、外部放音のスピーカユニットの背後部と内部スピーカユニットの前方部とで共通音室を形成して互いに同相極性で駆動し、内部スピーカユニットの後方部をキャビネット部に導くことを特徴とするスピーカ装置。
【請求項4】
後部を前にして複数スピーカユニットを同じ向きに隣接させて配し、後部から外部放音のスピーカユニットの前方部と内部スピーカユニットの前方部とで共通音室を形成して互いに逆相極性で駆動し、内部スピーカユニットの後方をキャビネット部に導くことを特徴とするスピーカ装置。
【請求項5】
スピーカユニットをスピーカ装置内部に2組、共通音室を形成して配置することを特徴とする請求項1のスピーカ装置。
【請求項6】
スピーカユニットをスピーカ装置内部に2組、共通音室を形成して配置することを特徴とする請求項2のスピーカ装置。
【請求項7】
スピーカユニット2対をそれぞれ背合わせに配し、4個のスピーカユニットの背後部を共通音室とし、1対を同相極性で駆動して双方向の前方を外部放音に、もうひとつの1対をそれとは逆相極性で駆動して双方向の前方をキャビネット部に導くことを特徴とするスピーカ装置。
【請求項8】
スピーカユニットの前にさらにスピーカユニットを前向きあるいは後ろ向きに配置し、後方のスピーカユニットと振動体の振動方向が同相となるように駆動することを特徴とする請求項1〜請求項7いずれかに記載のスピーカ装置。
【請求項9】
スピーカユニットに対して抵抗を配して接続することを特徴とする請求項1〜請求項8いずれかに記載のスピーカ装置。
【請求項10】
複数スピーカユニットで形成される共通音室内に音波ピックアップ、外部放音スピーカユニットに対して振動ピックアップ、いずれかあるいは両方を配することを特徴とする請求項9に記載のスピーカ装置。
【請求項11】
スピーカユニットの振動体とダンパーやエッジなど可動部と取付けに必要な部分を除く、スピーカユニット裏側のフレーム表面などの、粘弾性体の塗布可能な全ての表面の70%以上の領域と、キャビネット壁面のすべての面の内外面の全域の40%以上の領域に対して、変性シリコーン系、ポリウレタン系の粘弾性シーリング材、エポキシ変性系、変性シリコーンエポキシ系、ウレタン系の粘弾性接着剤のいずれかあるいは複合である粘弾性体層を1mm以上の厚さで形成することを特徴とする請求項1〜請求項8いずれかに記載のスピーカ装置。
【請求項12】
外部放音のスピーカユニット近傍に重量物を配することを特徴とする請求項11に記載のスピーカ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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