説明

スプラインハブの清掃装置及びその組み立て雇い

【課題】スプラインハブへ容易に装着することができると共に、スプラインハブの山部と谷部とを同時に清掃することができるスプラインハブの清掃装置の提供。
【解決手段】表面板4と芯部材5とからなり、スプラインハブ1に挿入可能なリング形状に形成され、スプラインハブ1の山部2の頂部を連ねて形成される外径寸法3Aと略同一の径寸法に設定された内径寸法3Aを有するリング形中空板状体6と、表面板9と芯部材10とからなり、内周部に凸部8A及び凹部8Bの波形状を有する波形リング中空板状体11とを備え、凸部8Aは、スプラインハブ1の谷部7に接触可能な形状に形成してあり、凹部8Bは、スプラインハブ1の山部2に接触可能な形状に形成してあり、凸部8Aの頂部を連ねて形成される内径寸法8Bを、スプラインハブ1の谷部7の底部を連ねて形成される外径寸法7Aと略同一の径寸法に設定してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキに備えられる回転軸の外周部に設けられ、山部と谷部が交互に形成されたスプラインハブの清掃装置及びその組み立て雇いに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にディスクブレーキは、回転軸上に軸方向のみに移動可能に係合された回転ディスクを固定体に押圧して制動力を発生させている。回転ディスクは、回転軸の外周部に設けられ、山部と谷部が交互に一定ピッチで形成されたスプラインハブに係合され、ブレーキの制動及び釈放に伴ってスプラインハブ上をこのスプラインハブの軸方向のみに移動し、回転方向にはスプラインハブを介して回転軸と一体的に回転する。このようなディスクブレーキでは、回転ディスクを押圧摺動するブレーキライニング等の磨耗粉や周囲の粉塵が回転ディスクとスプラインハブとの係合部に付着すると、回転ディスクがスプラインハブ上で固渋することがある。したがって、スプラインハブの山部と谷部のそれぞれを、スプラインハブの全周にわたって定期的に清掃する作業が必要となる。
【0003】
なお、本発明が対象としているスプラインハブの清掃装置とは異なるが、螺旋体や管状部材の外周部を清掃する従来の清掃装置として、特許文献1に歯形に合わせたスクレーパを用いて歯部を清掃する螺旋用清掃具が開示され、特許文献2に弾性ワイヤと円筒スクレーパとによって管状部材を清掃する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−186913号公報
【特許文献2】特表2003−531004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に示される従来技術は、精密な寸法に設定された歯部を清掃するために歯形と同一形状に形成されたスクレーパとする必要があり、歯部への装着が極めて困難になりやすい。なお、この特許文献1に示される従来技術においては、清掃に際して清掃液を使用しても直ぐに流出してしまい、また、スクレーパによって除去された磨耗粉等がスクレーパから再び歯部の他の部分へ落下しやすい。これらのことから、この特許文献1に示される従来技術では、ディスクブレーキに備えられる回転軸に設けられるスプラインハブに適用しようとした場合に、清掃能力が劣化しやすい問題もある。
【0006】
また、特許文献2に示される従来技術は、ディスクブレーキに備えられる回転軸に設けられるスプラインハブに適用しようとした場合に、弾性ワイヤと円筒スクレーパによって、スプラインハブの山部を清掃することは可能であるが、スプラインハブの谷部は清掃することができない。
【0007】
また、これらの清掃用具は、精密な寸法に設定された歯部を清掃するため、精度が要求され、複雑な構造であると組み立ても複雑になり精度も出しにくい。
【0008】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、スプラインハブへ容易に装着することができると共に、スプラインハブの山部と谷部とを同時に清掃することができるスプラインハブの清掃装置を提供することにある。
【0009】
他の目的は、前記スプラインハブの清掃装置を簡単かつ精度良く組み立てることができる組み立て雇いを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的を達成するために、本発明に係るスプラインハブの清掃装置は、ディスクブレーキに備えられる回転軸の外周部に設けられ、直線的に延設される山部と谷部が交互に複数形成されたスプラインハブの清掃に際して用いられるスプラインハブの清掃装置において、表面板と、この表面板に固着される芯部材とからなり、前記スプラインハブに挿入可能な中空のリング形状に形成され、前記スプラインハブの前記山部の頂部を連ねて形成される外径寸法と略同一の径寸法に設定された内径寸法を有するリング形中空板状体と、このリング形中空板状体に連設され、表面板と、この表面板に固着される芯部材とからなり、内周部に前記スプラインハブに挿入可能な一定のピッチで交互に設定された凸部及び凹部の波形状を有する中空の波形リング中空板状体とを備え、前記波形リング中空板状体の前記凸部は、前記スプラインハブの前記谷部に接触可能な形状に形成してあり、前記波形リング中空板状体の前記凹部は、前記スプラインハブの前記山部に接触可能な形状に形成してあり、前記波形リング中空板状体の前記凸部の頂部を連ねて形成される内径寸法を、前記スプラインハブの前記谷部の底部を連ねて形成される外径寸法と略同一の径寸法に設定したことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、スプラインハブに装着する場合には、リング形中空板状体と波形リング中空板状体のうちのリング形中空板状体をスプラインハブの端部に対向させて、このリング形中空板状体の部分をスプラインハブに挿入すればよい。このとき、リング形中空板状体の内径寸法は、スプラインハブの山部の頂部を連ねて形成される外径寸法と略同一寸法に設定してあるので、このリング形中空板状体を全体のガイド部材として機能させてスプラインハブへ容易に装着させることができる。
【0012】
リング形中空板状体の部分をスプラインハブへ装着した後、波形リング中空板状体の凸部及び凹部の波形状と、スプラインハブの谷部と山部とが適合せず、全体を挿入できない場合には、スプラインハブの軸心を中心にしてリング形中空板状体と波形リング中空板状体を含む全体を回転させて、波形リング中空板状体の凸部及び凹部の波形状をスプラインハブの谷部と山部のそれぞれに適合させる。
【0013】
この状態において、スプラインハブの軸方向に、リング形中空板状体及び波形リング中空板状体を含む全体を移動させればよい。これによって、リング形中空板状体の内周部がスプラインハブの山部に接触して、このスプラインハブの山部を清掃することができ、同時に波形リング中空板状体の凹部がスプラインハブの山部に接触して、このスプラインハブの山部を清掃することができる。また同時に、波形リング中空板状体の凸部がスプラインハブの谷部に接触して、このスプラインハブの谷部を清掃することができる。すなわち本発明は、スプラインハブへ容易に装着することができると共に、スプラインハブの山部と谷部とを同時に清掃することができる。
【0014】
また本発明は、前記発明において、前記リング形中空板状体と前記波形リング中空板状体を交互に積層するとともに、前記リング形中空板状体及び前記波形リング中空板状体のそれぞれは、内周部と外周部とを連通させ、径方向に沿って並設される複数の連通路を有し、前記リング形中空板状体及び前記波形リング中空板状体のうちのいずれかを、他のリング形中空板状体及び他の波形リング中空板状体に対して所定角度だけ回転させて配置したことを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、リング形中空板状体と波形リング中空板状体を含む全体をスプラインハブに装着した際に、全体の内周部と外周部とを連通させ、交差し、一部が放射状に配置される複数の連通路が形成される。したがって、清掃作業に際して全体の外周部から清掃液を注入させることによって、清掃液が連通路のそれぞれを介して全体の内周部へと導かれ、リング形中空板状体の内周部とスプラインハブの山部との係合部、及び波形リング中空板状体の凸部及び凹部とスプラインハブの谷部及び山部との係合部に清掃液が供給され、スプラインハブの清掃に活用される。したがって、スプラインハブに対する清掃性能をより向上させることができる。また、清掃液を全体の外周部から注入させた際に、例えば清掃に活用される直前の清掃液等を前述した複数の連通部のいずれかに保持させ、含浸させることができる。
【0016】
また本発明は、前記発明において、前記波形リング中空板状体の凹部の底部を連ねて形成される径寸法を、前記スプラインハブの前記凹部の底部を連ねて形成される外径寸法よりも大きな径寸法に設定し、前記リング形中空板状体の表面板と前記波形リング中空板状体の前記凹部とによって形成される空間部を備えたことを特徴としている。
【0017】
このように構成した本発明は、リング形中空板状体の表面板と波形リング中空板状体の凹部とによって形成される空間部を、スプラインハブに付着し、清掃によって除去されたブレーキライニングの摩耗粉や周囲の粉塵の収容部として活用させることができる。
【0018】
また本発明は、前記発明において、前記リング形中空板状体、及び前記波形リング板状体のそれぞれは、紙段ボール素材からなることを特徴としている。このように構成した本発明は、リング形中空板状体及び波形リング中空板状体を含む全体を、容易に、しかも比較的低コストで製作することができる。
【0019】
また本発明は、前記スプラインハブの清掃装置を組み立てるための組み立て雇いであって、前記波形リング中空板状体の凸部先端に接触する胴体部と、前記胴体部の表面に沿って当該胴体部の軸線方向に平行に突設され、前記リング形中空板状体の内周部及び前記波形リング中空板状体の凹部斜面に接触する複数の突条部と、を備えたことを特徴としている。その際、前記複数の突条部は前記波形リング中空板状体とリング形中空板状体を円周方向に相対的に位置決めする位置に設ける。これにより、簡単な構成で容易にリング形中空板状体と波形リング中空板状体の径方向と円周方向の位置決めを行い、スプラインハブの清掃装置を組み立てることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、リング形中空板状体の部分をガイド部材として機能させてスプラインハブへ容易に装着させることができる。また、リング形中空板状体の内周部、及び波形リング中空板状体の凹部によってスプラインハブの山部を清掃することができ、同時に波形リング中空板状体の凸部によってスプラインハブの谷部を清掃することができる。
【0021】
すなわち、本発明によれば、スプラインハブへ容易に装着させることができて、スプラインハブの清掃作業の能率を従来よりも向上させることができると共に、スプラインハブの山部と谷部とを同時に清掃することができ、従来よりも清掃性能を高めることができる。
【0022】
さらに、本発明によれば、組み立て雇いの本体部表面に設けた突条部にリング形中空板状体と波形リング中空板状体の基準点を合わせて雇いに交互に挿入し、積層するだけで正確に位置決めされたスプライン清掃装置を組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るスプラインハブの清掃装置の一実施形態が適用されるスプラインハブを備えたディスクブレーキを示す断面図である。
【図2】図1に示すディスクブレーキに備えられるスプラインハブを示す斜視図である。
【図3】本発明に係るスプラインハブの清掃装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るスプラインハブの清掃装置の一実施形態を示す正面図である。
【図5】本発明に係るスプラインハブの清掃装置の一実施形態を示す側面図である。
【図6】本実施形態に備えられるリング形中空板状体を示す斜視図である。
【図7】本実施形態に備えられる波形リング中空板状体を示す斜視図である。
【図8】図6に示すリング形中空板状体と図7に示す波形リング中空板状体とを貼り合せた状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に備えられるリング形中空板状体と波形リング中空板状体とを貼り合せる手順の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態を用いて行われるスプラインハブの清掃手順を説明する図である。
【図11】本発明の実施形態を用いて行われるスプラインハブの清掃手順を説明する図である。
【図12】本発明の実施形態を用いて行われるスプラインハブの清掃手順を説明する図である。
【図13】本発明の実施形態を用いて行われるスプラインハブの清掃手順を説明する図である。
【図14】本発明の実施形態を用いて行われるスプラインハブの清掃手順を説明する図である。
【図15】本発明の実施形態を用いて行われるスプラインハブの清掃手順を説明する図である。
【図16】従来の組み立て雇いを使用してスプラインハブの清掃装置を組み立てる手順を示す斜視図である。
【図17】他の従来の組み立て雇いを使用してスプラインハブの清掃装置を組み立てる手順を示す斜視図である。
【図18】本発明の実施形態に係る組み立て雇いの斜視図である。
【図19】組み立て時における雇いとリング形中空板状体の関係を示す図である。
【図20】組み立て時における雇いと波形リング中空板状体の関係を示す図である。
【図21】組み立て時における雇いとリング形中空板状体と波形リング中空板状体との関係を示す図である。
【図22】本発明の実施形態に係る組み立て雇いを使用してスプラインハブ清掃装置を組み立てる手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のスプラインハブの清掃装置及びその組み立て雇い(以下、単に「雇い」とも称する。)の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明に係るスプラインハブの清掃装置の一実施形態が適用されるスプラインハブを備えたディスクブレーキを示す断面図、図2は図1に示すディスクブレーキに備えられるスプラインハブを示す斜視図である。
【0026】
図1に示すように本発明に係る清掃装置の一実施形態の清掃対象であるスプラインハブ1を含むディスクブレーキ26は、スプラインハブ1の外周部に設けられる回転軸27と、この回転軸27の軸方向28のみに移動可能にスプラインハブ1に係合する回転ディスク30とを備えている。29は、スプラインハブ1と回転ディスク27との係合部を示している。また、このディスクブレーキ26は、回転ディスク30が選択的に接触するブレーキライニング32が固着される固定体31を備えている。
【0027】
図2に示すように、清掃対象であるスプラインハブ1は、全周24に直線的に延設される山部2と谷部7とが交互に一定ピッチで複数形成されている。この図2中、2Aは山部2の頂部を連ねて形成される外径寸法を、7Aは谷部7の底部を連ねて形成される外径寸法を、25はスプラインハブ1の長さ寸法を、34は後述の本実施形態に係る清掃装置が挿入される側の端部を示している。
【0028】
図3〜5は本実施形態に係るスプラインハブの清掃装置を示す図で、図3は斜視図、図4は正面図、図5は側面図である。図6は本実施形態に備えられるリング形中空板状体を示す斜視図、図7は本実施形態に備えられる波形リング中空板状体を示す斜視図である。図8は図6に示すリング形中空板状体と図7に示す波形リング中空板状体とを貼り合せた状態を示す斜視図である。
【0029】
本実施形態に係るスプラインハブ清掃装置44は、リング形中空板状体6と波形リング中空板状体11を互いに貼り合せて積層したものである。これらのリング形中空板状体6、及び波形リング中空板状体11のそれぞれは、段ボール素材、例えば紙段ボール素材からなっている。
【0030】
図3,6等に示すように、リング形中空板状体6は、一対の表面板4と、これらの表面板4間に配置されて、表面板4のそれぞれに固着される芯部材5とからなっており、スプラインハブ1に挿入可能な中空のリング状に形成されている。また、このリング形中空板状体6は、スプラインハブ1の山部2の頂部を連ねて形成される外径寸法2Aと略同一の径寸法に設定された内径寸法3Aを有している。また、このリング形中空板状体6は、内周部3と外周部とを連通させ、径方向に沿って互いに並設される複数の連通路22を有している。
【0031】
図4,7等に示すようにリング形中空板状体6に連設される波形リング中空板状体11は、一対の表面板9と、これらの表面板9間に配置されて、表面板9のそれぞれに固着される芯部材10とからなっており、スプラインハブ1に挿入可能な中空のリング形状に形成されている。
【0032】
この波形リング中空板状体11の内周部は、一定のピッチで交互に設定された凸部8Aと凹部8Bとからなる波形状を有している。この波形リング中空板状体11の凸部8Aは、スプラインハブ1の谷部7に接触可能な形状に形成してあり、波形リング中空板状体11の凹部8Bは、スプラインハブ1の山部2に接触可能な形状に形成してある。
【0033】
この波形リング中空板状体11の凸部8Aの頂部8A1を連ねて形成される内径寸法3Bを、スプラインハブ1の谷部7の底部を連ねて形成される外径寸法7Aと略同一の径寸法に設定してある。また、この波形リング中空板状体11の凹部8Bの底部を連ねて形成される径寸法を、スプラインハブ1の谷部7の底部を連ねて形成される外径寸法7Aよりも大きな径寸法に設定してある。したがって、図8に示すように、例えば1つのリング形中空板状体6と1つの波形リング中空板状体11とを貼り合せ面12で貼り合せて、一構成単位13としたときに、図4に示すように、リング形中空板状体6の表面板4と波形リング中空板状体11の凹部8Bとによって空間部20が形成される。
【0034】
また、前述したリング形中空板状体6におけるのと同様に、波形リング板状体11も、内周部と外周部とを連通させ、径方向に沿って互いに並設される複数の連通路21を有している。
【0035】
本実施形態に係る清掃装置は、例えば図3,5に示すように、全体の一方の側面と他方の側面のそれぞれにリング形中空板状体6を配置してある。また、全体の一方の側面のリング形中空板状体6の右隣に波形リング中空板状体11を配置してあり、その右隣にリング形中空板状体6を配置してあり、その右隣に波形リング中空板状体11を配置してあり、その右隣にリング形中空板状体6を配置してあり、その右隣に波形リング中空板状体11を配置してあり、その右隣が前述した全体の他方の側面を形成するリング形中空板状体6となっている。
【0036】
図9は本実施形態に備えられるリング形中空板状体と波形リング中空板状体とを貼り合せる手順の一例を示す図である。
【0037】
図6,7に示すリング形中空板状体6と波形リング中空板状体11は、例えば図9に示すように適宜、所定角度だけ回転させた状態で貼り合せ、図3に示す積層構造17としてある。
【0038】
同図9に示す配置手順S1では、上下方向に沿って前述した連通路22が延設されるように、全体の一方の側面を形成するリング形中空板状体6が配置される。配置手順S2では、配置手順S1で配置されたリング形中空板状体6の右隣に、上下方向に沿って前述した連通路21が延設されるように波形リング中空板状体11が配置される。配置手順S3では、配置手順S2で配置された波形リング中空板状体11の右隣に、配置手順S1で配置されたリング形中空板状体6に対して、基準点15で示すように所定角度16Aだけ時計回りに回転させ、例えば連通路22が左右方向に延設されるようにリング形中空板状体6が配置される。
【0039】
配置手順S4では、配置手順S3で配置されたリング形中空板状体6の右隣に、配置手順S2で配置された波形リング中空板状体11に対して、基準点15で示すように所定角度16Bだけ反時計回りに回転させ、例えば連通路21が右上りの斜め方向に延設されるように波形リング中空板状体11が配置される。このとき、配置手順S2で配置された波形リング中空板状体11のそれぞれの凸部8A及び凹部8Bに、この配置手順S4で配置される波形リング中空板状体11のそれぞれの凸部8A及び凹部8Bが一致するように配置する。
【0040】
また、配置手順S5では、配置手順S4で配置された波形リング中空板状体11の右隣に、配置手順S1で配置されたリング形中空板状体6と同じ向きに、リング形中空板状体6が配置される。配置手順S6では、配置手順S5で配置されたリング形中空板状体6の右隣に、配置手順S2で配置された波形リング中空板状体11に対して、基準点15で示すように所定角度16Cだけ時計回りに回転させ、例えば連通路21が右下がりの斜め方向に延設されるように波形リング中空板状体11が配置される。このとき、配置手順4で配置された波形リング中空板状体11のそれぞれの凸部8A及び凹部8Bに、この配置手順S6で配置される波形リング中空板状体11のそれぞれの凸部8A及び凹部8Bが一致するように配置する。
【0041】
配置手順S7では、配置手順S6で配置された波形リング中空板状体11の右隣に、配置手順S1で配置されたリング形中空板状体6に対して、基準点15で示すように所定角度16Dだけ反時計回りに回転させ、例えば連通路22が左右方向に延設されるようにリング形中空板状体6、すなわち前述した全体の一方の側面を形成するリング形中空板状体6が配置される。
【0042】
以上のように配置された各リング形中空板状体6と波形リング中空板状体11とを例えば一方の側面方向から見た場合、透視図として示した14Aのようになる。すなわち、リング形中空板状体6の連通路22と、波形リング中空板状体11の連通路21が側面視で交差し、一部が放射状に配置された状態となる。
【0043】
図10〜15は、本実施形態を用いて行われるスプラインハブの清掃手順を説明する図である。なお、図12〜14にあっては、全体の一方の側面を形成するリング形中空板状体6を省略して示してある。
【0044】
スプラインハブ1の清掃に際して、本実施形態に係る清掃装置をスプラインハブ1に装着する場合には、図10に示すように、本実施形態の例えば全体の一方の側面を形成するリング形中空板状体6の端部18を、スプラインハブ1の端部34に対向させて、図11に示すように、このリング形中空板状体6の部分をスプラインハブ1に挿入すればよい。このとき、リング形中空板状体6の内径寸法3Aは、スプラインハブ1の山部2の頂部を連ねて形成される外径寸法2Aと略同一寸法に設定してあるので、このリング形中空板状体6を全体のガイド部材として機能させることができる。
【0045】
このようにリング形中空板状体6の部分をスプラインハブ1へ装着した後、図12に示すように、波形リング中空板状体11の凸部8A及び凹部8Bの波形状と、スプラインハブ1の谷部7と山部2とが適合せず、全体を挿入できない場合には、図13,14の矢印37で示すように、スプラインハブ1の軸心を中心にして複数のリング形中空板状体6と複数の波形リング中空板状体11を含む全体を回転させて、図14に示すように、波形リング中空板状体11の凸部8A及び凹部8Bをスプラインハブ1の谷部7と山部2のそれぞれに適合させる。
【0046】
この状態において、図14の矢印38で示すように、リング形中空板状体6及び波形リング中空板状体11を含む全体を移動させればよい。これによって、リング形中空板状体6の内周部3がスプラインハブ1の山部2に接触して、このスプラインハブ1の山部2を清掃することができ、同時に波形リング中空板状体11の凹部8Bがスプラインハブ1の山部2に接触して、このスプラインハブ1の山部2を清掃することができる。また同時に、波形リング中空板状体11の凸部8Aがスプラインハブ1の谷部7に接触して、このスプラインハブ1の谷部7を清掃することができる。その後必要に応じて、図15の矢印39で示すように、本実施形態に係る清掃装置をスプラインハブ1上で往復動させてスプラインハブ1のさらなる清掃が行われる。
【0047】
ところで、上記のようなスプライン清掃装置を組み立てる場合、前述の図9に示したように、適宜、所定角度だけ回転させた状態で貼り合せ、図3に示す積層構造17とする必要がある。そのため例えば図16(a)に示すように、リング形中空板状体6と波形リング中空板状体11に予め複数の挿入孔40を設けておき、同図(b)に示すように前記複数の挿入孔40を別途固定板41に立設した挿入棒42の先端側からリング形中空板状体6と波形リング中空板状体11を矢印43方向に交互に挿入し、同図(c)に示すように積層するという方法がある。このように積層されたリング形中空板状体6と波形リング中空板状体11は、スプラインハブ清掃装置44として組み立てられた後、同図(d)に示すように固定板46及び挿入棒42からなる雇い46を矢印45方向に引き抜いてスプラインハブ清掃装置44を雇い46から取り外す。これにより、スプラインハブ清掃装置44の単体としての使用が可能となる。なお、図16は組み立て手順を説明するための斜視図である。
【0048】
しかし、この方法では、挿入孔40と挿入棒42の位置的な誤差、及び前者の内径、後者の外径の誤差により、重ねた波形リング中空板状体11の凸部8A、あるいはリング形中空板状体6の内径寸法3Aにずれが生じることがある。このようなずれが生じると、組み立てた際に、スプラインハブ1との寸法関係に齟齬が生じ、スプラインハブ清掃装置44をスプラインハブ1に挿入することが難しくなる場合があり、このように挿入できないと、スプラインハブ清掃装置44が清掃装置として機能できなくなる。
【0049】
他方、図17に示すように、雇い47をスプラインハブ7の形状に模して製作し、同図(a)及び(b)に示すように前記雇い47にリング形中空板状体6と波形リング中空板状体11を矢印48方向に交互に挿入し、同図(c)に示すようにスプラインハブ清掃装置1を組み立てる方法もある。この場合は、組み立て後、同図(d)に示すようにスプラインハブ清掃装置1を矢印49方向に引き抜き、スプラインハブ清掃装置1を雇い47から取り外し、これによりスプラインハブ清掃装置1としての使用が可能となる。なお、図17は組み立て手順を説明するための斜視図である。
【0050】
この方法では、雇い47が清掃対象となるスプラインハブ1と同等の構成のものなので、図16において説明したようなずれが生じることはなく、精度の良い組み立てが可能となるが、雇い47の製造コストが高くなる。
【0051】
図18ないし図22は本実施形態に係る組み立て雇いの詳細を説明するためのもので、図18は本実施形態に係る組み立て雇いの斜視図、図19は雇いとリング形中空板状体の関係を示す図、図20は雇いと波形リング中空板状体の関係を示す図、図21は雇いとリング形中空板状体と波形リング中空板状体との関係を示す図、図22は雇いを使用してスプラインハブ清掃装置の組み立てを説明する斜視図である。
【0052】
図18において、本実施形態に係る雇い52は、胴体部50と胴体部50の外周面50aに軸線方向に沿って配置された複数の突条部51とを備えている。胴体部50の外形寸法はスプラインハブ1の谷部7の底部を連ねて形成される外径寸法7Aと略同一の径寸法(後述の中心Oからの寸法L2=7A/2)に設定されている。また、突条部51の先端の接触面53の胴体部50の長手方向の軸線の中心Oからの長さ寸法L1はリング形中空板状体6の内径寸法の1/2(L1=3A/2)と略同一の寸法に設定されている。
【0053】
前記突条部51の接触面53は図19に示すようにリング形中空板状体6では内周部3に接触し、前記突条部51の先端角部57(接触面53の両端部)は図20に示すように波形リング中空板状体11の凹部8B内の斜面55と接触するように設定されている。そのため、接触面53の幅方向の寸法Hは、図4に示したように端面から軸線方向に見たときに波形リング中空板状体11の凹部8Bの斜面55とリング形中空板状体6の内径との交点間の距離と略同一の寸法に設定される。
【0054】
これにより、図19(a)に示すようにリング形中空板状体6が雇い52に挿入されたときには、図19(a)の要部拡大図である図19(b)に示すように突条51の接触面53によってリング形中空板状体6の径方向が位置決めされ、図20(a)に示すように波形リング中空板状体11が挿入されたときには、図20(a)の要部拡大図である図20(b)に示すように雇い52の外周面50aと波形リング中空板状体11の凸部8Aの頂部8A1との当接によって径方向が位置決めされ、雇い52の突条部51の先端角部57の凹部8Bの斜面55との当接によって円周方向が位置決めされる。その際、突条51は雇い52の外周に複数個リング形中空板状体6が偏芯しない位置に配置され、リング形中空板状体6の軸心が雇い52の軸線の中心Oと一致するようになっている。
【0055】
そのため、図21(a)に示すように、雇い52にリング形中空板状体6と波形リング中空板状体11を交互に挿入した組み立てた場合、図21(a)の要部拡大図である図21(b)に示すように雇い52の外周面50aに突条51の接触面53によって位置決めされたリング形中空板状体6が装着され、雇い52の外周面50aと突条51の先端角部57によって位置決めされた波形リング中空板状体11がリング形中空板状体6に隣接した配置される。この交互の配置を必要枚数装着し、雇い52を引き抜けば、スプラインハブ清掃装置1が簡単に組み立てられる。
【0056】
その際、雇い52の外周面50aに複数設けた突条51を図9に示した所定角度16A,16B,16C,16Dに合わせた位置に設定し、リング形中空板状体6と波形リング中空板状体11の複数の連通路22の方向と合わせて装着するようにすると、組み立て時の間違いが発生することがなくなる。これにより、正確な位置決めによって精度の高いスプラインハブ清掃装置1が簡単に組み立てられることになる。
【0057】
具体的には、図22(a)に示すように、雇い52の外周面50aには前記所定角度16A,16B,16C,16Dに対応する角度位置に第1ないし第4の突条51A,51B,51C,51Dを設け、一方、リング形中空板状体6と波形リング中空板状体11には、基準点15を明示しておき、図9における配置手順S1ないしS7に対応させると、基準点15を配置手順S1ではリング形中空板状体6を図22(a)における第1の突条51A位置に、配置手順S2では波形リング中空板板状体11を第1の突条51A位置に、配置手順S3ではリング形中空板状体6を第4の突条51D位置に、配置手順S4では波形リング中空板板状体11を第2の突条51B位置に、配置手順5ではリング形板状体11を第1の突条51A位置に、配置手順S6では波形リング中空板板状体11を第3の突条51C位置に、配置手順S7では、リング形板状体11を第4の突条51D位置にというように順次積層する(図22(b),(c))。最後に積層されたスプラインハブ清掃装置44を雇い52から矢印49方向に引き抜けばよい。これにより、前述の透視図として示した14Aのようになる。なお、配置手順S3とS7は転通路22の方向が同じなので、図9に示したものとは異なるが、実質的に同一となる。
【0058】
以上のように構成した本実施形態に係るスプラインハブ1の清掃装置によれば、前述したように、リング形中空板状体6の部分をガイド部材として機能させてスプラインハブ1へ容易に装着させることができる。また、リング形中空板状体6の内周部3、及び波形リング中空板状体11の凹部8Bによってスプラインハブ1の山部2を清掃することができ、同時に波形リング中空板状体11の凸部8Aによってスプラインハブ1の谷部7を清掃することができる。すなわち、本実施形態は、スプラインハブ1へ容易に装着させることができて、スプラインハブ1の清掃作業の能率を向上させることができると共に、スプラインハブ1の山部2と谷部7とを同時に清掃することができ、清掃性能を高めることができる。
【0059】
また、本実施形態は、前述したように、リング形中空板状体6と波形リング中空板状体11を含む全体をスプラインハブ1に装着した際に、図3に示す全体の内周部23Aと外周部23とを連通させ、側面視で互いに交差し、一部が放射状に配置される複数の連通路22,21が形成される。したがって、清掃作業に際して全体の外周部23から清掃液を噴霧等により注入させることによって、清掃液が連通路22,21のそれぞれを介して全体の内周部23Aへと導かれ、リング形中空板状体6の内周部3とスプラインハブ1の山部2との係合部、波形リング中空板状体11の凸部8A及び凹部8Bとスプラインハブ1の谷部7及び山部2との係合部のそれぞれに清掃液が供給され、スプラインハブ1の清掃に活用される。したがって、スプラインハブ1に対する清掃性能をより向上させることができる。また、清掃液を全体の外周部23から注入させた際に、例えば清掃に活用される直前の清掃液等を複数の連通路22,21のいずれかに保持させ、含浸させた状態とすることができ、本実施形態からの清掃液の無駄な漏出を少なく抑えることができる。
【0060】
また、本実施形態は、リング形中空板状体6の表面板4と波形リング中空板状体11の凹部8Bとによって形成される図4に示す空間部20を、スプラインハブ1に付着し、清掃によって除去されたブレーキライニング32の摩耗粉や周囲の粉塵の収容部として活用させることができる。したがって、スプラインハブ1の清掃後に、空間部20に収容された摩耗粉や粉塵のスプラインハブ1への再付着を抑えることができる。なお、空間部20に摩耗粉や粉塵が収容された本実施形態に係る清掃装置は、例えば空間部20内を洗い流すことにより再使用することができる。
【0061】
また、本実施形態は、リング形中空板状体6、及び波形リング板状体11のそれぞれを紙段ボール素材によって構成してあるので、これらのリング形中空板状体6及び波形リング中空板状体11を含む全体を、容易に、しかも比較的低コストで製作することができ、実用性に富む。
【0062】
さらに、本実施形態に係る組み立て雇い52によれば、前記リング形中空板状体6と前記波形リング中空板状体11の基準点15を前記突条部51A,51B,51C,51Dに合わせて前記リング形中空板状体6と前記波形リング中空板状体11を雇い52に交互に挿入し、積層するだけで正確に位置決めされたスプライン清掃装置1を組み立てることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 スプラインハブ
2 山部
2A 外径寸法
3 内周部
3A 内径寸法
3B 内径寸法
4 表面板
5 芯部材
6 リング形中空板状体
7 谷部
7A 外径寸法
8A 凸部
8B 凹部
9 表面板
10 芯部材
11 波形リング中空板状体
15 基準点
16A 所定角度
16B 所定角度
16C 所定角度
16D 所定角度
17 積層構造
20 空間部
21 連通路
22 連通路
23 外周部
23A 内周部
26 ディスクブレーキ
44 スプラインハブ清掃装置
50 胴体部
50a 外周面
51,51A,51B,51C,51D 突条
52 (組み立て)雇い
53 接触面
55 斜面
57 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクブレーキに備えられる回転軸の外周部に設けられ、直線的に延設される山部と谷部が交互に複数形成されたスプラインハブの清掃に際して用いられるスプラインハブの清掃装置において、
表面板と、この表面板に固着される芯部材とからなり、前記スプラインハブに挿入可能な中空のリング形状に形成され、前記スプラインハブの前記山部の頂部を連ねて形成される外径寸法と略同一の径寸法に設定された内径寸法を有するリング形中空板状体と、
このリング形中空板状体に連設され、表面板と、この表面板に固着される芯部材とからなり、内周部に前記スプラインハブに挿入可能な一定のピッチで交互に設定された凸部及び凹部の波形状を有する中空の波形リング中空板状体とを備え、
前記波形リング中空板状体の前記凸部は、前記スプラインハブの前記谷部に接触可能な形状に形成してあり、前記波形リング中空板状体の前記凹部は、前記スプラインハブの前記山部に接触可能な形状に形成してあり、
前記波形リング中空板状体の前記凸部の頂部を連ねて形成される内径寸法を、前記スプラインハブの前記谷部の底部を連ねて形成される外径寸法と略同一の径寸法に設定したことを特徴とするスプラインハブの清掃装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスプラインハブの清掃装置において、
前記リング形中空板状体と前記波形リング中空板状体を交互に積層するとともに、
前記リング形中空板状体及び前記波形リング中空板状体のそれぞれは、内周部と外周部とを連通させ、径方向に沿って並設される複数の連通路を有し、
前記リング形中空板状体及び前記波形リング中空板状体のうちのいずれかを、他のリング形中空板状体及び他の波形リング中空板状体に対して所定角度だけ回転させて配置したことを特徴とするスプラインハブの清掃装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスプラインハブの清掃装置において、
前記波形リング中空板状体の凹部の底部を連ねて形成される径寸法を、前記スプラインハブの前記凹部の底部を連ねて形成される外径寸法よりも大きな径寸法に設定し、
前記リング形中空板状体の表面板と前記波形リング中空板状体の前記凹部とによって形成される空間部を備えたことを特徴とするスプラインハブの清掃装置。
【請求項4】
請求項3に記載のスプラインハブの清掃装置において、
前記リング形中空板状体、及び前記波形リング板状体のそれぞれは、紙段ボール素材からなることを特徴とするスプラインハブの清掃装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスプラインハブの清掃装置を組み立てるための組み立て雇いにおいて、
前記波形リング中空板状体の凸部先端に接触する胴体部と、
前記胴体部の表面に沿って当該胴体部の軸線方向に平行に突設され、前記リング形中空板状体の内周部及び前記波形リング中空板状体の凹部斜面に接触する複数の突条部と、
を備えたことを特徴とする組み立て雇い。
【請求項6】
請求項5に記載の組み立て雇いにおいて、
前記複数の突条部が前記波形リング中空板状体とリング形中空板状体を円周方向に相対的に位置決めする位置に設けられていることを特徴とする組み立て雇い。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−30214(P2012−30214A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94129(P2011−94129)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】