説明

スプリット・ベアリング・アイソレータならびにシール組み立て方法

【課題】耐久性、耐摩耗性に優れ、軸方向の運動中にロータおよびステータ間の接触を阻止するシール。
【解決手段】回転シャフト、ならびに、ステータ10、ロータ50および結合エレメント30を有するベアリングハウジングを密閉するためのアセンブリである。ステータ10は、少なくとも2つの部分と軸方向に伸び、その径側面上に溝を有する環状固定フランジを有し、ロータ50は、2つの部分と軸方向に伸び、その半径側に溝を有する環状固定フランジを有する。 環状の結合エレメント30は、2つの部分、ステータ溝と結合するステータ固定部材、ロータ溝と結合するロータ固定部材およびステータ10と結合する両端を有する後方部材を有している。結合エレメント30の半径外面は、その1つがロータ固定部材に対応し、もう1つが前記後方部材に対応する、異なる直径を有する2つの領域を有している。

【発明の詳細な説明】
【関連出願のデータ】
【0001】
本出願は、”ラビリンスシール”と題する2002年9月30日出願の米国特許仮出願番号60/414、862の優先権が主張された、2003年9月29日出願の米国特許出願番号10/674、264の分割出願であり、優先権が主張された、2005年12月9日出願の米国特許出願番号11/297、489の継続出願であり、現在は、米国特許番号7、201、377となった前記出願に基づく優先権が主張された、2007年2月23日出願の米国特許出願番号11/709、818の一部継続出願であり、係属中である当該出願に基づく優先権を主張しており、その全体が参照のため本出願に取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、回転シャフトとベアリングハウジングとの間に動的なシールを提供するラビリンスシーリング装置、ならびに、それを組み立てる方法に関する。具体的には、本発明は、そのそれぞれが少なくとも2の部分を有することが可能な、結合エレメント、ロータならびにステータを含む動的なシールに関するものである。
【0003】
ラビリンス型のロータリーシャフトシールは、本技術分野ではよく知られている。通常、これらの装置は、ロータおよびステータを有する2の同心円構造を含んでいる。ロータは、回転シャフトに密閉可能に取り付けられ、ステータは、ベアリングハウジングに密閉可能に取り付けられている。回転ロータと固定ステータ間の空間を密閉するため、多くの異なるタイプのシールが用いられてきた。これらには、Oリング、ゴムのリップシール、ならびにラビリンスシールが含まれる。ラビリンスシールは、効果的なタイプのシールである。具体的に言うと、ベアリングハウジングの外側とその内部との間に伸びる迷路を形成するため、曲線の経路(contoured pathway)あるいは溝がシールリングの内表面上に形成される。ラビリンス経路は、ベアリングハウジング内に液状の潤滑剤を維持するための流体力学的なバリアならびにベアリングハウジング内に異物(contaminants)が入るのを防止する役割を果たす。経路が複雑であればあるほど、異物が上記構造を通過してハウジング内に混入する可能性が低くなる。
【0004】
複雑な経路を作る方法の一つとしては、異物が流れる表面の領域の面積を大きくする、すなわち、経路の長さを長くすることが挙げられる。効率的なラビリンスシールを実現するため、シールを形成するために連結するロータおよびステータ側の両方にリッジおよび谷間を備えた、複雑なシーリング構造が多く作られてきた。リッジおよび谷間の数を増やすことにより、経路の総表面領域/長さを大きくすることができ、これにより、異物をブロックするという上記目的が達成される。しかし、比較的小さい空間および誤差しか許容されないとすると、これらのリッジおよび谷間(these fingers)の数およびサイズは制限される。
【0005】
回転シャフトシールの他の側面において、システム内に入り込んでしまった異物は、できるだけ早く排出する必要がある。特定の問題が積み重なると、シールが損傷し、および/または、ロータおよびステータの過度の摩耗を引き起こすことになる。また、システムから強制的に排出された液状の潤滑剤は、同様に回収されロータ内に戻さなければならない。液状潤滑剤を失ってしまうと複数の部品が損傷を受け、システムの摩擦熱が上昇してしまう。
【0006】
通常のロータおよびステータの構造においては、ロータとステータが互いに接触しないようにするため、最低限の条件をいくつか維持しなければならない。航空機の着陸装置等のいくつかのアプリケーションにおいて、ロータは、約毎分5000回転を超えるスピードで回転する。かかるロータの表面が、このスピードでステータ表面と接触すると、摩擦熱が生じ、部品は摩耗し、装置の全体効率は低下しその耐用年数が短くなってしまう。したがって、ロータとステータとが分離されていることが重要である。
【0007】
この2つのコンポーネント間に低摩擦性のコンタクトを設けることにより、これらを半径方向において分離するため、ロータとステータ間にゴムあるいはプラスチックのシーリング装置が頻繁に用いられる。また、ロータがステータ方向に押された場合に、同じシーリング装置によって軸方向における接触を防止することができれば有益である。
【0008】
ロータがステータから遠ざけられた場合、逆の問題が生じ得る。ロータが、軸方向においてステータから遠ざけられると、これらの部品間の隙間が拡がり、異物がベアリングハウジング内に侵入したり、グリースが外に漏れ出してしまう可能性が高くなる。このいずれもが好ましくない展開であり、効率的にロータおよびステータを”結合”し、これらを効率的かつ一緒に固定するシールが望まれている。かかるシールは、部品同士の組み立てを簡単にすべきであるが、軸方向においてロータがステータから外れないようにし、それを防止すべきである。
【0009】
従前のラビリンスシールは、ロータおよびステータを用い、耐久性があり耐摩耗性に優れ、軸方向の運動中にロータおよびステータ間の接触を阻止する、効率的なシールを提供することができなかった。
【0010】
また、シールを分解すると、装置の停止時間が長くなってしまう。停止時間が長くなると、それがコストを上昇させることになる。したがって、より簡単かつより適時に交換可能なシールを作ることが望ましい。
【0011】
本発明は、認識されているこれらのニーズに関するものである。
【0012】
【特許文献1】なし
【発明の概要】
【0013】
本発明は、結合エレメント、ならびに回転シャフトとベアリングハウジングとの間で動的なシールを提供するラビリンスシールの組み立て方法、を提供する。前記結合エレメントは、ベアリングハウジングから異物を除去するとともに、ベアリング潤滑剤の損失を防止する。また、結合してはいるが接触していない構造により、軸方向の運動があった際のロータおよびステータの摩耗を防止する。
【0014】
本発明の第一の側面においては、ロータ固定部材、ステータ固定部材、ならびに後方部材を備えた環状の結合エレメントが提供される。結合エレメントの径外面は、異なる直径を有する2つの領域を有し、その1つがロータ固定部材に対応し、もう1つが後方部材に対応しており、環状結合エレメントの半径内側からステータ固定部材が半径内側方向に伸びている。
【0015】
本発明の他の側面においては、回転シャフトおよびベアリングハウジングを密閉するためのシーリングアセンブリであって、その半径側にロータ溝を有する軸方向に伸びる環状固定フランジを備えたロータと、その半径側にステータ溝を有し軸方向に伸びる環状固定フランジを備えたステータと、ステータ固定部材、ロータ固定部材、ならびに後方部材を有する環状の結合エレメントを備えたものが設けられる。かかるロータ固定部材はロータ溝に嵌り込み、ステータ溝に嵌め込むため、前記ステータ固定部材は、ロータ溝およびステータ溝結合エレメントから半径方向に伸びる。
【0016】
本発明の他の側面において、回転シャフトおよびベアリングハウジングを密閉するためのシーリングアセンブリを組み立てるための方法であって、その半径側にロータ溝を有する軸方向に伸びる環状固定フランジを備えたロータを提供するステップと、ステータ固定部材、ロータ固定部材、前記ステータ固定部材と前記ロータ固定部材間の領域によって形成されたボイド、ならびに、後方部材を備えた結合エレメントを提供するステップと、前記結合エレメントの前記ロータ固定部材が、前記ロータ環状固定フランジの前記溝内に保持されるよう、前記結合エレメントを前記ロータに固定するステップと、最後に、前記ボイド上において、前記結合エレメントが所定位置となるまで前記ステータ固定部材が折れ曲がるよう前記ロータおよび結合エレメントを前記ステータに固定するステップとを備えており、前記ステータ固定部材は、前記ステータ溝の領域内に伸びている。
【0017】
本発明は、結合エレメントが固有な形状の新しいデザインであることを特徴としている。かかる結合エレメントは、前記ロータおよび前記ステータにおける溝の境界内に適合するため、ほぼ長方形の断面を有する環状である。前記結合エレメントは、さらに、前記ステータおよび前記ステータの後方壁と接触するため伸びる後方部材を、溝に固着可能に嵌め込む(to lockingly engage)ためのステータ固定部材を備えている。軸方向への運動によりロータがステータ方向に移動した場合、結合エレメントは、前記ロータと前記ステータとの摩耗を生じる前に接触する。このリング上の後方部材は、前記ロータが前記ステータに接触する前に、前記ステータの後方壁と接触するよう正確に設計されている。この特徴により、主なコンポーネントの摩耗を防止することが可能となるとともに経路を保護することが可能となる。
【0018】
前記ロータ、前記ステータならびに結合エレメントは、それぞれ2以上の部分を備えてもよい。かかる特徴により、シールの組み立ておよび分解が促進されるので装置の停止時間を短縮し、これにより費用を低減することが可能となる。したがって、これによって効率性ならびに点検の容易性についての解決策が提供される。
【0019】
スプリットラビリンスシールを用いた従来のシーリング装置は、結合エレメントを用いていない。また、これらのシーリング装置は、ロータ溝に接着する結合リングエレメントを有していない。
【0020】
ある実施形態において、ベアリングハウジングおよび回転軸を有する回転シャフトを密閉するためのシーリングアセンブリは、ステータ、ロータならびに結合エレメントを備えている。かかるステータは、前記ステータの直径ならびに前記回転軸を通じて伸びる平面に沿って位置合わせされる第一部分および第二部分を有する。また、かかるステータは、その半径側に溝を有し、軸方向に伸びる環状固定フランジを備えている。前記ロータは、前記ロータの直径ならびに前記回転軸を通じて伸びる平面に沿って設けられる第一部分および第二部分を有する。また、かかるロータは、その半径側に溝を有し軸方向に伸びる環状固定フランジを備えている。前記環状結合エレメントは、環状結合エレメントの直径ならびに前記回転軸を通じて伸びる平面に沿って設けられる第一結合エレメント部および第二結合エレメント部、前記ステータ溝に嵌まり込むステータ固定部材、前記ロータ溝に嵌まり込むロータ固定部材、および上端、下端、ならびに側端を有する後方部材を有している。前記後方部材の側端は、前記ステータを固定するため前記結合エレメントから伸びている。前記結合エレメントの径外面は、直径の異なる2の領域を有し、その1つが前記ロータ固定部材に対応し、もう1つが前記後方部材に対応している。
【0021】
他の実施形態において、ハウジング、ならびに、前記ハウジングに対し回転可能かつ前記ハウジングを貫通して伸びるシャフトを密閉するためのアセンブリは、ステータ、ロータ、ならびに結合エレメントを有する。前記ステータは、少なくとも2のステータ部、および、その半径側にステータ溝を有し、軸方向に伸びるステータ環状固定フランジを備えている。前記ロータは、少なくとも2のロータ部、および、その半径側にロータ溝を有する軸方向に伸びるロータ環状固定フランジを備えている。環状の結合エレメントは、少なくとも2の結合エレメント部、前記ステータ溝に嵌まり込むステータ固定部材、前記ロータ溝に嵌まり込むロータ固定部材、および、上端、下端、ならびに側端を有する後方部材を有している。前記後方部材の側端は、前記ステータを固定するため前記結合エレメントから伸びる。前記結合エレメントの径外面は、直径の異なる2の隣接する領域を有し、その1つが前記ロータ固定部材に対応し、もう1つが前記後方部材に対応する。
【0022】
さらに別の実施形態においては、以下のステップを備えた方法により、ベアリングハウジングおよび回転軸を有する回転シャフトを密閉状態にする方法が提供される。ステータを構成するため、前記ステータの直径ならびに前記回転軸を通じて伸びるステータ平面に沿って第一の半環状ステータ部と、第二の半環状ステータ部が設けられるステップ。前記第一の半環状ロータ部の第一ロータ固定フランジの半径側のロータ溝に沿って第一の半環状結合エレメント部の第一ロータ固定部材を、第一の半環状ロータ部に固定するステップ。前記第二の半環状ロータ部の第二ロータ固定フランジの半径側のロータ溝に沿って第二の半環状結合エレメント部の第二ロータ固定部材を、第二の半環状ロータ部に固定するステップ。前記第一の半環状ステータ部の第一ステータ固定フランジの半径側のステータ溝に沿って第一の半環状結合エレメント部の第一ステータ固定部材を、第一の環状ステータ部に固定するステップ。前記第二の半環状ステータ部の第二ステータ固定フランジの半径側のステータ溝に沿って第二の半環状結合エレメント部の第二ステータ固定部材を、第二の環状ステータ部に固定するステップ。前記第一の半環状結合エレメント部の第一後方部材の第一側端を、前記ステータ溝に位置合わせするステップ。前記第二の半環状結合エレメント部の第二後方部材の第二側端を、前記ステータ溝に位置合わせするステップ。
【0023】
当業者であれば認識するであろうが、本発明にかかるラビリンス結合エレメントおよび組み立て方法には多くの異なる実施形態が可能である。本発明の付加的な使用、目的、効果、ならびに新たな特徴は、以下の詳細な説明において述べられ、以下を参照、あるいは、本発明を実施することにより、当業者にとってより明確となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、回転軸とステータを有するベアリングハウジング間に用いるための新しい結合エレメントを備えている。この結合エレメントは、前記ロータならびにステータ内に形成された溝にフィットするため環状リング形状である。この結合エレメントは、前記ロータとステータを結合し、その分離を防止するとともにその動きを制御する。この結合エレメントは、軸方向の移動がある場合に、前記ロータとステータとの接触を防止するために非金属部を提供する後方部材も含んでいる。
【0025】
本発明の他の側面においては、ラビリンスシーリングアセンブリが提供される。当該ラビリンスシーリングアセンブリは、ベアリングハウジングに結合するステータならびに回転シャフトに結合するロータを備えている。いずれの方向への潤滑剤及び/又は異物の移動を防止するため、前記2つのコンポーネント間にラビリンス通路が定義される。前記ステータは、溝を有し軸方向に伸びるフランジを備えている。かかる溝は、前記ロータ上の同様の溝に嵌る。形成された空洞内には、前記環状結合エレメントが含まれる。
【0026】
本発明の他の実施形態においては、シーリングアセンブリの組み立て方法が提供される。ハウジングからの潤滑剤の漏れを防止し、ハウジング内への異物の侵入を防止するため、回転シャフトとベアリングハウジング間に結合エレメントが採用される。さらに、結合エレメントは、前記シーリングアセンブリを結合し、前記ロータとステータの接触を防止する。
【0027】
この開示が本発明の原理についての例証と考えられるという理解の下、本発明について特定の実施形態を通じて更に説明を行う。本発明の例示的な実施形態は、同じ番号が様々な実施形態において同様のものを表している図面に示される。
【0028】
図1を参照すると、Oリング64によりベアリングハウジングに密閉可能に結合するステータ10、Oリング60により前記シャフトに密閉可能に結合するロータ50、ならびに前記ロータ50と前記ステータ10との間に位置する本発明の結合エレメント30が、シーリングエレメント中に示されている。ロータが回転すると、結合エレメント30は、当該2つの部分の間に低摩擦バッファを提供することにより当該ロータと前記ステータとが接触するのを防止するとともに、そこに潤滑剤を保持し、ベアリングハウジングから異物を排除する。
【0029】
前記結合エレメントの詳細については、前記アセンブリの断面図ならびに結合エレメントの断面図をそれぞれ示す、図2ならびに図4に詳しく示されている。断面を見ると、前記結合エレメントは、ロータ固定部材36、後方部材34ならびにステータ固定部材32を備えている。
【0030】
本発明のある実施形態において、前記結合エレメントの径外面は、前記異なる直径を有する2つの領域を有している。かかる異なる直径は、後方部材34の領域における直径ならびに前記ロータ固定部材36の領域における異なる直径を含んでいる。前記後方部材34と前記ロータ固定部材36間の直径の差によって壁38が形成される。この壁38は、組み立て中、前記結合エレメントがロータ50内に留まるとともに、組み立て後、前記ロータ50ならびにステータ10を結合するよう機能する。本発明の好ましい実施形態においては、前記壁38は、前記結合エレメントの軸方向のほぼ中間点に位置する。しかし、当業者であれば、結合エレメントの機能条件ならびにロータならびにステータアセンブリの構造によって、壁38の位置が変化することを理解する。本発明の好ましい実施形態において、前記壁38は、回転軸に対してほぼ垂直である。
【0031】
前記ステータ固定部材32は、前記結合エレメント30の半径方向内側から伸びている。また、前記ステータ固定部材32は、前記のほぼ中間点からある角度で伸びている。ステータ固定部材の長さならびに正確な位置は、ロータならびにステータ特性とともに、組み立ての容易性を考慮することによって決まる。かかるステータ固定部材は、組み立て中に屈折する程度の可撓性を有するとともに、シーリングアセンブリを結合するため充分な強度を持っていなければならない。前記ロータ固定部材36と前記ステータ固定部材32間の領域によって形成されたボイド40が存在する。このボイド40は、前記ロータ、ステータおよび結合エレメントが一緒にシーリングアセンブリ内に組み込まれる際、前記ステータ固定部材32が屈折するための領域を提供する。
【0032】
壁38、後方部材34、ロータ固定部材36およびステータ固定部材32を含む特定形状の結合エレメント30は、その動作に必須のものであるが、これらの部品ならびに結合エレメント自身の正確な寸法は、結合エレメントの用途にしたがって変化する。この寸法の変更は、当業者にとって明らかであり、本発明の範囲内である。したがって、本発明の結合エレメントは、特定寸法のシーリングの用途に限定されず、広い範囲に応用可能である。
【0033】
本発明の前記結合エレメント30は、特定の温度、圧力、摩擦係数および他の特性の使用目的に応じ、それに適した素材を用いている。本発明の結合エレメントに用いられる一般的な材料は、フッ素化ポリマーあるいは樹脂を含んでいる。本発明のある実施形態において、前記結合エレメント30は、滑らかなプラスチック素材を含んでいる。本発明の好ましい実施形態において、結合エレメントは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含んでいる。
【0034】
本発明の最も好ましい実施形態において、結合エレメント30は、充填剤入りのPTFE(filled PTFE)を含んでいる。充填剤入りのPTFEは、充填剤が全体に分散したPTFEを含む。充填剤は、ガラス等の構造充填剤ならびにグラファイト、モリブデン、ジスルフィド(disulphide)および他の固体潤滑剤等の潤滑剤を含むが、これに限定されない。
【0035】
本発明の別の側面においては、本発明の前記結合エレメント30を備えたシーリングアセンブリが提供される。本発明のシーリングアセンブリの例は、図1ならびに図2に最もよくあらわされている。かかるシーリングアセンブリは、ロータ50、ステータ10および結合エレメント30を備えている。前記ロータ50は、前記シーリングアセンブリの中央を貫通するシャフトに密閉可能に結合する。かかるロータ50は、フランジ52の半径内側に位置するロータ溝54を有した軸方向に伸びる環状フランジ52を備えている。また、ステータ10は、ベアリングハウジング68に密閉可能に結合し、フランジ12の半径外側に位置するステータ溝14を有し、軸方向に伸びる環状フランジ12を備えている。ロータ固定部材36、ステータ固定部材32および後方部材34を備えた結合エレメント30は、前記ロータ環状フランジ52と前記ステータ環状フランジ12間の空間により形成された領域内に存する。より正確に言うと、前記結合エレメント30は、その一部がそれぞれ前記ロータ溝54ならび前記ステータ溝14内に存するとともに、後方部材34がステータ後方壁20に伸びている。
【0036】
図3は、所定箇所にエレメントを用いていない図2の一部を詳細に示している。本発明の一実施形態においては、シーリングアセンブリは、Oリング60によってシャフトに密閉可能に結合されるロータ50を含んでいる。かかるロータは、その半径内側に位置する溝54を含む環状のフランジ52を備えている。この溝54は、2の対向する壁58aおよび58bを備えている。同様に、ステータ10は、溝14を含む環状のフランジ12を備えている。かかるステータ溝14は、2の対向する壁18aおよび18bを備えている。本発明の好ましい実施形態において、前記対向壁58aおよび58bと前記対向18aおよび18bは、前記シャフトの軸とほぼ直角である。
【0037】
図3に示す本発明の一実施形態において、対向壁58aが対向壁18aの軸方向に配され対向壁58bが対向壁18bの軸方向に配されるよう、ロータ溝の各対向壁が対応するステータ溝の対向壁の軸方向に配される。この構造は、そこに結合エレメント30のロータ固定部材36ならびに内部結合エレメント部材32が収納される、長方形の断面領域を形成する。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、ステータ溝54ならびにロータ溝14の対応する壁の少なくとも一つは、ロータ溝の壁58a又は58bおよび対応するステータ溝の壁18a又は18bいずれかの対が軸方向に配されないよう、オフセットされている。
【0039】
このオフセットの一例が図5に示されており、ステータ溝壁の一つである18bは、ステータの後方壁20を備えている。また、図5は、図3に示したロータ溝の壁58bが存在しないよう、ロータ溝の壁の一の壁が除去された本発明の他の実施形態を示している。この実施形態において、結合エレメントは、ロータ内に圧入される。圧入する実施形態の結合エレメントは、結合エレメントの全長にわたって同じ外径を有している。
【0040】
本発明の他の実施形態において、図7を参照すると、ステータ10は、さらに、結合エレメント領域内に侵入してきたオイルの廃出を促進するため、シールのシャフト内側にオイルドレインポート22を備えている。時間とともに、潤滑剤は、ステータおよび結合エレメントを通って漏出する。前記オイルドレインポート22は、前記回転シャフトに潤滑剤を行き渡らせるため、オイルがシールのベアリング凹部側へ還流するための経路を提供する。
【0041】
本発明の他の実施形態において、ステータ10は、さらに、ステータの外側(atmospheric side)に位置する放出ポート24を備えている。かかる放出ポート24は、シールの領域に入り込んだいかなる異物もアセンブリから放出することを可能にする。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、前記シーリングアセンブリは、そこに収納される結合エレメント30を有するロータ50およびステータ10を備えている。結合エレメント30のロータ固定部材36は、当該ロータ固定部材36の軸方向外側がロータ溝54の対向する壁と接触するよう、ロータ溝54と結合する。本発明の最も好ましい実施形態において、ロータ固定部材36は、動作中の接触および摩擦を最小限にするよう、ロータ溝54内で”浮く(floats)”。ロータおよびステータが互いに軸方向に移動すると、ロータ固定部材36はロータ溝54の対応する壁と接触する。
【0043】
同様に、ステータ固定部材32は、ステータ溝および/又は溝の壁18aと接触する。動作中、結合エレメントは、ロータおよびステータ間に形成された空洞内で”浮く”。しかし、結合エレメントに柔軟に取り付けられたステータ固定部材32は、ステータ溝14の壁18aと接触することにより、動作中にアセンブリが移動しても結合エレメント30を適所に保つ手段を提供する。
【0044】
本発明の別の実施形態において、結合エレメント30は、後方部材34も含んでいる。かかる後方部材34は、互いの軸方向へ動く場合にステータとロータが互いに直接接触するのを阻止する。ロータがステータ方向に移動した場合、結合エレメント30の後方部材34は、ロータとステータが直接接触する前にステータ後方壁20に接触する。ロータ50は、ロータ溝の対向壁58aのいずれかの部分を介して結合エレメント30に接触し、そこに押しつけられる。この動作により、結合エレメントの後方部材34は、ステータ後方壁20に作用する。結合エレメントは、滑らかなプラスチック素材で構成されるのが好ましいので、結合エレメント30とロータ50、ならびに結合エレメント30とステータ10間の摩擦力は、ロータ50とステータ10間で直接接触するより著しく小さくなる。これにより、結合エレメント30は、ロータとステータコンポーネント間に耐摩耗性バッファを提供することになる。このことは、これら2つの部品の摩耗を最小限にすることによりロータ50およびステータ10の耐用年数を延長させることに資する。結合エレメント30がそれ自体の耐用年数に達した場合でも、ロータおよびステータを交換する場合に比べ作動休止時間を短くし、交換コストを低く抑えるとともに簡単に交換することができる。
【0045】
図6に示すように、本発明の他の実施形態において、ステータ10は、Oリング64によってベアリングハウジング68に密閉可能に結合する。かかるOリングは、ステータの半径内側に形成された溝内に存する。かかる溝は、溝の片側が溝の反対側より深くなるので溝の底面が傾斜するよう独特の形状に形成される。図6に示した構造において、ベアリングハウジングの本体に最も近い側は、ベアリングハウジングの本体に最も遠い側よりも浅い。これによる効果は、Oリングが圧縮され、ベアリングハウジング内の圧力が高まり、ベアリングハウジング本体からステータが離れ始めることである。かかる高まった圧力は、ステータの動きを停止させる。
【0046】
図6に示す特定の角度および位置は、例示のためだけにある。様々な実施形態において、傾斜面は溝の底面の一部、あるいは、溝の底面全体を含んでもよい。ロータの半径内側の同様の溝を介してロータ50を回転シャフトに固定するため、この原理、ならびに、傾斜したOリング溝を用いてもよいことが理解される。また、望ましくない軸方向の動きが生じた場合、Oリングの圧縮を強めるために、複数の考え得る溝形状を用いることが可能である。
【0047】
本発明の他の側面においては、シーリングアセンブリの組み立て方法が提供される。組み立て中、本発明のある実施形態の結合エレメント30は、シーリングアセンブリを形成するため、ステータ10とロータ50間に挿入される。シーリングアセンブリの好ましい組み立て方法は、まず結合エレメント30とロータ50を結合させ、次に、前記結合エレメントならびにロータを、前記ステータに嵌め込むステップを備えている。
【0048】
かかる方法は、さらに、ロータ固定部材36、ステータ固定部材32および後方部材34を備える結合エレメント30を提供するステップ、そこに溝54を有し軸方向に伸びる環状フランジ52を備えるロータを提供するステップ、前記結合エレメントの前記ロータ固定部材36が、前記ロータの前記環状フランジにおける溝54に嵌り込むよう、前記ロータ50内に前記結合エレメント30を位置させるステップ、を備えている。前記ロータ固定部材36と前記対向壁58aおよび58b間の接触により、結合エレメントが所定位置にしっかり固定される。
【0049】
組み立てられた前記ロータ50ならびに前記結合エレメント30は、前記ステータ10に嵌め込まれる。かかるステータ10は、その半径外側に溝14を有し前記ロータ方向の伸びる環状フランジ12を備えている。結合エレメント30が環状フランジ12周囲をスライドすると、ステータ固定部材32は、結合エレメント30がスライドしてステータの環状フランジ周囲に位置することを可能にするため、空間40中で歪み変形する。ステータ固定部材32がステータリップ16を超える位置まで押されると、ステータ固定部材32は、ステータ溝14内で伸びた状態になるよう自在に曲げ戻すことが可能となる。伸びた位置において、ステータ固定部材32は、リップ16の外周を超える溝14内で伸びるようになる。この位置において、ステータ固定部材32は、ロータがステータから離れる軸方向の運動を阻止することにより、結合エレメント30ならびにロータ50をステータ10に保持する手段を提供する役割を果たす。
【0050】
この位置において、結合エレメント30は、その間の空間を埋め、対向壁58aおよび58bを接触させることにより、ロータ50とステータ10を結合する。ステータ固定部材32は、ステータ10の溝14内でリセットされるが、通常の動作中に対向壁18a、18bと接触することはない。軸方向への力が加わり、ロータ50をステータ10から離れるように動かした場合、対向壁58bが、壁38の領域においてロータ固定部材36と接触する。これにより、結合エレメント30は、ロータ50と一緒に移動するようにされる。結合エレメント30の動きは、ステータ固定部材32とステータ溝14の対向壁18aとの接触によって止められる。この動きにより、ロータを備えるシーリングアセンブリ、結合エレメントならびにステータが結合される。結合エレメントに修復不可能な損傷を与えずシーリングアセンブリを分解する唯一つの方法は、軸方向へ充分な力を加えることである。
【0051】
シーリングアセンブリにおける結合効果に加え、結合エレメントは、ロータおよびステータとの間に非接触関係を作り出す。ロータ50が軸に沿ってステータ10方向に動いた場合、ロータは結合エレメント30に接触し、後方部材34がステータ後方壁20と接触するようにする。この結合エレメント30は、後方部材34が、ステータ方向に、ロータ環状フランジ52よりも長く伸びるよう設計されている。したがって、ロータ環状フランジ52は、ステータの後方壁と接触しないようにされ、これにより、ロータおよびステータ同士の過度の摩耗を阻止することでロータならびにステータの耐用年数が延びる。
【0052】
ある実施形態において、いずれの、あるいは、全てのロータ、ステータ、結合エレメントならびにOリングのそれぞれは、一以上の部分から組み立てることができる。ある例示的な実施形態において、図8を参照すると、ステータおよびロータのそれぞれは、2の部分から組み立てることが可能である。この例示的実施形態において示すように、この構成により、機器の休止時間を短くして費用を低減することができるよう、シールの組み立ておよび分解を容易にすることができる。ロータ部分810、820は、ロータの直径および回転の軸を通じて伸びる平面に沿って配置するようにしてもよい。ロータの第一部分810は、第一エッジ840および第二エッジ850を有してもよい。ロータ800の第二部分820は、第一エッジ870および第二エッジ880を有してもよい。ロータを形成するため、ロータの第一部分810の第一エッジ840を、第二部分820の第二エッジ880と位置合わせしてもよく、ロータの第二部分820の第一エッジ870を、第一部分810の第二エッジ850と位置合わせしてもよい。
【0053】
図9を参照すると、例示的実施形態によるロータ900の平面図が示されている。かかるロータ900は、2の部品から組み立てても良い。ロータ部分910、920は、ロータ900の直径930および回転の軸を通じて伸びる平面に沿って配置するようにしてもよい。ロータ900の第一部分910は、第一エッジ940および第二エッジ950を有してもよい。また、ロータ900の第二部分920は、第一エッジ970および第二エッジ980を有してもよい。ロータ900を形成するため、ロータ900の第一部分910の第一エッジ940を、第二部分920の第二エッジ980と位置合わせしてもよく、ロータ900の第二部分920の第一エッジ970を、第一部分910の第二エッジ950と位置合わせするようにしてもよい。
【0054】
図8を再度参照すると、ステータ部分812、822は、ステータの直径および回転の軸を通じて伸びる平面に沿って配置するようにしてもよい。ステータの第一部分812は、第一エッジ842および第二エッジ852を有してもよい。また、ステータの第二部分822は、第一エッジ872および第二エッジ882を有してもよい。ステータを形成するため、ステータの第一部分812の第一エッジ842を、第二部分822の第二エッジ882と位置合わせしてもよく、ステータの第二部分882の第一エッジ872を、第一部分812の第二エッジ852と位置合わせするようにしてもよい。
【0055】
図10を参照すると、例示的実施形態によるステータ1002の平面図が示されている。かかるステータ1002は、2の部品から組み立てることが可能である。ステータ部分1012、1022は、ステータ1002の直径1032および回転の軸を通じて伸びる平面に沿って配置するようにしてもよい。ステータ1002の第一部分1012は、第一エッジ1042および第二エッジ1052を有してもよい。また、ステータ1002の第二部分1022は、第一エッジ1072および第二エッジ1082を有してもよい。ステータ1002を形成するため、ステータの第一部分1012の第一エッジ1042を、第二部分1022の第二エッジ1082と位置合わせしてもよく、ステータ1002の第二部分1022の第一エッジ1072を、第一部分1012の第二エッジ1052と位置合わせするようにしてもよい。
【0056】
他の例示的実施形態において、図11を参照すると、結合エレメント1104は、2の部品から組み立てることが可能である。結合エレメント部分1114、1124は、結合エレメント1104の直径1134および回転の軸を通じて伸びる平面に沿って配置するようにしてもよい。結合エレメント1104の第一部分1114は、第一エッジ1144および第二エッジ1154を有してもよい。また、結合エレメント1104の第二部分1124は、第一エッジ1174および第二エッジ1184を有してもよい。結合エレメント1104を形成するため、結合エレメント1104の第一部分1114の第一エッジ1144を、第二部分1124の第二エッジ1184と位置合わせしてもよく、結合エレメント1104の第二部分11124の第一エッジ1174を、第一部分1114の第二エッジ1154と位置合わせするようにしてもよい。
【0057】
他の例示的な実施形態において、図12を参照すると、ロータOリング1206は、2の部品から組み立てることが可能である。ロータOリング部分1216、1226は、ロータOリング1206の直径1236および回転の軸を通じて伸びる平面に沿って配置するようにしてもよい。Oリング1206の第一部分1216は、第一エッジ1246および第二エッジ1256を有してもよい。また、Oリング1206の第二部分1226は、第一エッジ1276および第二エッジ1286を有してもよい。Oリング1206を形成するため、Oリング1206の第一部分1216の第一エッジ1246を、第二部分1226の第二エッジ1286と位置合わせしてもよく、Oリング1206の第二部分1226の第一エッジ1276を、第一部分1216の第二エッジ1256と位置合わせするようにしてもよい。
【0058】
他の例示的な実施形態において、図13を参照すると、ステータOリング1308は、2の部品から組み立てることが可能である。ステータOリング部分1318、1328は、ステータOリング1308の直径1338および回転の軸を通じて伸びる平面に沿って配置するようにしてもよい。ステータOリング1308の第一部分1318は、第一エッジ1348および第二エッジ1358を有してもよい。また、ステータOリング1308の第二部分1328は、第一エッジ1378および第二エッジ1388を有してもよい。ステータOリング1308を形成するため、ステータOリング1308の第一部分1318の第一エッジ1348を、第二部分1328の第二エッジ1388と位置合わせしてもよく、ステータOリング1308の第二部分1328の第一エッジ1378を、第一部分1318の第二エッジ1358と位置合わせするようにしてもよい。
【0059】
ある実施形態において、図12ならびに13を参照すると、第一部分1216、1318の第一エッジを、第二部分1226、1328の第二エッジ1286、1388に重ね合わせ、第二部分1226、1328の第一エッジ1276、1878を、第一部分1216、1318の第二エッジ1256、1358に重ね合わることにより、Oリング1206、1308を形成してもよい。本発明の異なる実施形態において、様々な重ね合わせの組み合わせを用いることが可能である。
【0060】
他の実施形態において、図10ならびに13を参照すると、ステータOリング1308を、ステータ1002に接着するようにしてもよい。ステータOリングの第一部分1318を、第一ステータ部分1012に沿って接着してもよい。また、ステータOリングの第二部分1328を第二ステータ部分1022に沿って接着してもよい。同様に、他の実施形態において、図9ならびに12を参照すると、ロータOリング1206をロータ900に接着してもよい。ロータOリングの第一部分1216を第一ロータ部分910に沿って接着してもよい。ロータOリングの第二部分1226を第二ロータ部分920に沿って接着してもよい。かかる接着により、取り付けを簡単に行うことが可能になる。
【0061】
さらに別の実施形態において、図3、9ならびに11を参照すると、結合エレメントの第一部分1104をロータ溝54に沿ってロータ900に接着してもよい。また、結合エレメントの第一部分1104を、第一ロータ部910に沿ってロータ溝54に接着し、結合エレメントの第二部分1124を第二ロータ部920のロータ溝54に接着してもよい。かかる接着により、取り付けを簡単に行うことが可能になる。
【0062】
本発明のある実施形態において、図8、9ならびに14を参照すると、少なくとも1の留め具を用いることによりロータ部分810、820を組み合わせてもよい。かかる少なくとも1の留め具は、受け側1405、1407、960におけるロータ1400の第一部分810ならびに第二部分820に嵌り込む、ねじ805、807の形状であってもよい。前記留め具は、スナップリング、ピン、ボルト、あるいは、2の部分910、920を一緒に固定する当業者に既知のいずれの手段であってもよい。シールのステータ部分等の他のコンポーネントを代替的、あるいは、追加的に固定するため前記留め具を用いても良いことが理解される。
【0063】
他の実施形態において、図8を参照すると、ロータ部分810、820がそれに沿って配置される平面は、ステータ部分812、822がそれに沿って配置される平面からずらしてもよい。ある実施形態において、前記ロータ部分810、820がそれに沿って配置される平面は、そこにステータ部分812、822が配置されている平面に対しほぼ直角であってもよい。別の実施形態において、配置平面は、他の所定の配置平面とどのように相違してもよい。
【0064】
例示的な実施形態において、図8を参照すると、ステータを形成するための2のステータ部分812、822を位置合わせし、形成されたステータ周囲の2のロータ部分810、820であって、各部が結合エレメントに嵌り込むものを位置合わせすることによってシールを形成してもよい。この実施形態において、ロータ部分1010、1020が設けられる平面は、ステータ部分1110、1120が設けられる平面に対しほぼ直角であってもよい。
【0065】
ここで述べる例示的な実施形態においては、それぞれが第一部分および第二部分を有するロータ、ステータ、結合エレメント、ならびに、Oリングが示されている。しかし、これらのコンポーネントのそれぞれが、1の部分から構成され、あるいは、3又はそれ以上の部分を含んでもよいことが理解される。また、前記シールは、第一ならびに第二部分を有するロータおよび3の部分を有するステータ等の異なる部分を有するコンポーネントの組み合わせから構成してもよい。
【0066】
また別の実施形態において、ロータ900、ステータ1002、結合エレメント1104、ロータOリング1206、ステータOリング1308のいずれの部分、あるいは、これらの全てが同じであってもよい。パーツが同じ場合には製造が容易になり、製造コストを低減することができる。例えば、ある実施形態において、ステータは、3の同じ部品から形成することができる。他の例示的実施形態において、ロータは、2の同じ部品から形成することが可能である。
【0067】
本発明は、特定の実施形態に基づき説明されているが、これらの実施形態は、本発明の原理を例示したに過ぎないことが認識されるべきである。当業者であれば、前記結合エレメントならびに本発明の組み立ては、他の素材によって構成し、他の方法および他の実施形態により実行してもよいことを理解する。したがって、ここでの説明は、本発明を限定するものとして理解してはならず、他の実施形態も、本発明の精神ならび範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本発明の一実施形態におけるシーリングアセンブリの等角分解図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態の断面図であって、結合エレメントならびに周辺部分の拡大図を含む前記シーリングアセンブリの断面を有するものである。
【図3】図3は、本発明の一実施形態における結合エレメントなしのロータならびにステータ構造の断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態の結合エレメントの断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態の断面図であって、ロータ、ステータおよび結合エレメントを含む前記シーリングアセンブリの断面を有するものである。
【図6】図6は、本発明の一実施形態のシーリングアセンブリの断面図である。
【図7】図7は、潤滑剤排出ポートならびに異物排出ポートを示した、本発明の一実施形態におけるシーリングアセンブリの等角分解図である。
【図8】図8は、本発明による分割されたシーリングアセンブリの等角図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態によるロータ部分の平面図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態によるステータ部分の平面図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態によるステータ部分の平面図である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態によるロータのOリング部分の平面図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態によるロータのOリング部分の平面図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態によるシーリングアセンブリ断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベアリングハウジングおよび回転軸を備えた回転シャフトを密閉するためのアセンブリであって、
前記ステータの直径ならびに前記回転軸を通じて伸びる(extending through)ステータ平面に沿って配置された第一ステータ部ならびに第二ステータ部、および
その半径側にステータ溝を有し、軸方向に伸びるステータ環状固定フランジ、を備えたステータと、
前記ロータの直径ならびに前記回転軸を通じて伸びるロータ平面に沿って配置された第一ロータ部ならびに第二ロータ部、および
その半径側にロータ溝を有する軸方向に伸びるロータ環状固定フランジ、を備えたロータと、
環状結合エレメントの直径ならびに前記回転軸を通じて伸びる結合エレメント平面に沿って配置された第一結合エレメント部ならびに第二結合エレメント部、
前記ステータ溝に嵌まり込むステータ固定部材、
前記ロータ溝に嵌まり込むロータ固定部材、および
上端(upper edge)、下端(bottom edge)、ならびに側端(side edge)を有する後方部材であって、前記側端は、前記ステータを固定するため前記結合エレメントから伸びるもの、を有する環状の結合エレメントと、ならびに
直径が異なる2の隣接する領域であって、その1つが前記ロータ固定部材に対応し、もう1つが前記後方部材に対応するもの、を備えたこと、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
請求項1のアセンブリにおいて、それに沿って前記第一および前記第二結合エレメント部が配置された前記結合エレメント平面は、それに沿って前記第一ロータ部および前記第二ロータ部が配置された前記ロータ平面と実質的に同じ平面であること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項3】
請求項2のアセンブリにおいて、前記第一結合エレメント部は、前記第一ロータ部に接着され、前記第二結合エレメント部は、前記第二ロータ部に接着されること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項4】
請求項3のアセンブリにおいて、
前記第一および前記第二ステータ部がそれに沿って配置される前記ステータ平面は、前記第一および前記第二ロータ部がそれに沿って配置されるロータ平面に対しほぼ直角であること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
請求項1のアセンブリにおいて、前記第一ロータ部および前記第二ロータ部は、実質的に同じであること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項6】
請求項1のアセンブリにおいて、前記第一ステータ部および前記第二ステータ部は、実質的に同じであること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項7】
請求項3のアセンブリにおいて、前記両ロータ部は、一緒に留められること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項8】
請求項7のアセンブリにおいて、前記留め具は、ねじ、スナップリングおよびピンからなるグループのいずれかであること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項9】
請求項1のアセンブリにおいて、前記ステータは、さらに、第一ステータOリング部および第二ステータOリング部を有するステータOリングを備え、前記第一ステータOリング部は、前記第一ステータ部に接着され、前記第二ステータOリング部は、前記第二ステータ部に接着されること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項10】
請求項1のアセンブリにおいて、前記ロータは、さらに、第一ロータOリング部および第二ロータOリング部を有するロータOリングを備え、前記第一ロータOリング部は、前記第一ロータ部に接着され、前記第二ロータOリング部は、前記第二ステータ部に接着されること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
ハウジング、ならびに、前記ハウジングに対し回転可能かつ前記ハウジングを貫通して伸びるシャフト、を密閉するためのアセンブリであって、
少なくとも2のステータ部、および
その半径側にステータ溝を有し、軸方向に伸びるステータ環状固定フランジ、を備えたステータと、
少なくとも2のロータ部、および
その半径側にロータ溝を有し、軸方向に伸びるロータ環状固定フランジ、を備えたロータと、
少なくとも2の結合エレメント部、
前記ステータ溝に嵌まり込むステータ固定部材、
前記ロータ溝に嵌まり込むロータ固定部材、および
上端、下端、ならびに側端を有する後方部材であって、前記側端は、前記ステータを固定するため前記結合エレメントから伸びるもの、を有する環状の結合エレメントと、ならびに
直径が異なる2の隣接する領域であって、その1つが前記ロータ固定部材に対応し、もう1つが前記後方部材に対応するもの、を備えたこと、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項12】
請求項11のアセンブリにおいて、前記少なくとも2のステータ部は、実質的に同じであること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項13】
請求項11のアセンブリにおいて、前記少なくとも2のロータ部は、実質的に同じであること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
請求項11のアセンブリにおいて、前記両ロータ部は、一緒に留められること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
請求項14のアセンブリにおいて、前記留め具は、ねじ、スナップリングおよびピンからなるグループのいずれかであること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項16】
請求項11のアセンブリにおいて、前記ステータは、さらに、第一ステータOリング部および第二ステータOリング部を有するステータOリングを備え、前記第一ステータOリング部は、前記第一ステータ部に接着され、前記第二ステータOリング部は、前記第二ステータ部に接着されること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項17】
請求項11のアセンブリにおいて、前記ロータは、さらに、第一ロータOリング部および第二ロータOリング部を有するロータOリングを備え、前記第一ロータOリング部は、前記第一ロータ部に接着され、前記第二ロータOリング部は、前記第二ロータ部に接着されること、
を特徴とするアセンブリ。
【請求項18】
ベアリングハウジングおよび回転軸を備えた回転シャフトを密閉状態にする方法であって、
ステータを構成するため、前記ステータの直径ならびに前記回転軸を通じて伸びるステータ平面に沿って第一の半環状ステータ部を、第二の半環状ステータ部に位置合わせするステップと、
前記第一の半環状ロータ部の第一ロータ固定フランジの半径側のロータ溝に沿って第一の半環状結合エレメント部の第一ロータ固定部材を、第一の半環状ロータ部に固定するステップと、
前記第二の半環状ロータ部の第二ロータ固定フランジの半径側のロータ溝に沿って第二の半環状結合エレメント部の第二ロータ固定部材を、第二の半環状ロータ部に固定するステップと、
前記第一の半環状ステータ部の第一ステータ固定フランジの半径側のステータ溝に沿って第一の半環状結合エレメント部の第一ステータ固定部材を、第一の環状ステータ部に固定するステップと、
前記第二の半環状ステータ部の第二ステータ固定フランジの半径側のステータ溝に沿って第二の半環状結合エレメント部の第二ステータ固定部材を、第二の環状ステータ部に固定するステップと、
前記第一の半環状結合エレメント部の第一後方部材の第一側端を、前記ステータ溝に位置合わせするステップと、ならびに
前記第二の半環状結合エレメント部の第二後方部材の第二側端を、前記ステータ溝に位置合わせするステップと、を備えたこと、
を特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18の方法であって、さらに、前記第一の半環状ロータ部および前記第二の半環状ロータ部を一緒に留めるステップ、を備えたこと、
を特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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