説明

スプリンクラーヘッド用集熱板取付具およびスプリンクラーヘッド用集熱板

【課題】 スプリンクラーヘッドへ物や人がぶつかることによる外的衝撃を回避可能であり、さらに集熱板を設置する際にスプリンクラーヘッドを配管へ過剰に捻じ込むことによる配管の損傷を防止可能なスプリンクラーヘッド用集熱板取付具およびスプリンクラーヘッド用集熱板を提供する。
【解決手段】 一端が給水装置と接続され他端に感熱分解部が設置されたスプリンクラーヘッド1の外部と係合可能な係合部12を有し、係合部12の下方には鍔部13が形成され、板状の集熱板3に穿設された穴15を係合部12に挿通させて鍔部13にて集熱板3を保持させた集熱板保持材から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火用のスプリンクラーヘッドに設置される集熱板の取付具と、この取付具によってスプリンクラーヘッドに設置される集熱板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラーヘッドは、建物内の天井面や天井付近、壁面に設置されるものであり、火災の際には火災の熱で作動して水を散布し、火災を抑制・消火するものである。
【0003】
スプリンクラーヘッドは、例えば特許文献1に示すように、一端に給水源に続いた配管と接続可能なノズルを有し、他端には感熱分解部が設けられている。平時において感熱分解部はノズルを閉止する弁体を支持している。
【0004】
上記のスプリンクラーヘッドは主に天井に埋め込まれて設置され、スプリンクラーヘッド下端に配置された感熱分解部の一部が天井面から突出して設置される。このように設置したことでスプリンクラーヘッドの天井面からの突出量が抑えられ、意匠的にも好ましいものとなる。さらに火災時には、火災による熱気流が天井下面を漂うので、天井下面の熱気流から感熱分解部が効率よく熱を吸収して作動に至ることができ、火災発生からスプリンクラーヘッドの作動時間が早くなるものであった。
【0005】
しかしながら床面から天井までの距離が離れる程、火災の熱による上昇気流が天井下面までに到達するのに時間がかかり、スプリンクラーヘッドが作動に至るまでの時間を要してしまう。そのため床面から天井面までの距離がスプリンクラーヘッドの作動に影響を及ぼすほど離れている場合には、スプリンクラーヘッドを天井よりも床側に突出して設置し、スプリンクラーヘッドのノズル側に円板状の集熱板を設置する(例えば特許文献2を参照)。この集熱板が天井の代わりとなり、火災時には集熱板の下面に熱気流を滞留させてスプリンクラーヘッドの作動を促進させていた。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−284545号公報
【特許文献2】特開平8−155050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来においては図9(a)に示すノズル端から感熱分解部までの寸法が短いマルチ型スプリンクラーヘッドSaに集熱板100を設置していた。しかしながら近年ではマルチ型スプリンクラーヘッドよりも、前述の天井に埋め込まれて設置するタイプの埋込型スプリンクラーヘッドが主流となっている。図9(b)のように埋込型スプリンクラーヘッドSbはマルチ型スプリンクラーヘッドSaと比較してノズル端から感熱分解部までの寸法が長く、このスプリンクラーヘッドに集熱板100を設置すると集熱板100の下端101からの突出量Lbが多くなり、マルチ型スプリンクラーヘッドSaに集熱板100を設置した場合の突出量Laよりも突出量が多くなり意匠的に劣るという問題があった。
【0008】
また、埋込型スプリンクラーヘッドSbを使用することで集熱板100の下端101からの突出量Lbが多くなり、この突出部分に物や人が衝突する可能性が高くなる。これを防止するためにスプリンクラーヘッドSbを衝撃から保護するガード(図示しない)を設置するケースが増えてきた。そのためスプリンクラーヘッドを施工する作業者は、スプリンクラーヘッドを配管に取り付ける作業と集熱板の設置作業の他に、ガードを設置する作業も加わり作業者の負担が増加していた。
【0009】
また、集熱板100の設置はスプリンクラーヘッドSa(、Sb)を配管Pに取り付ける前の段階で集熱板100に穿設された穴をスプリンクラーヘッドSa(、Sb)の配管Pと接続するネジ部Nに挿通させ、ネジ部Nの根元の段部Dにて集熱板100を係止させる構成である。しかしながら、作業者によっては集熱板100が設置された後に集熱板100が震動によってがたついたりぐらついたりするのを防ぐために、集熱板100をスプリンクラーヘッドSa(、Sb)のネジ部Nの根元の段部Dと配管Pの端部P1の間に挟んで固定させようとして、必要以上にスプリンクラーヘッドSa(、Sb)を配管Pに捻じ込んでしまい、スプリンクラーヘッドSa(、Sb)の捻じ込み過ぎにより配管Pが損傷してしまうケースがあった。
【0010】
そこで本発明では、上記問題に鑑み、スプリンクラーヘッドへ物や人がぶつかることによる外的衝撃を回避可能であり、さらに集熱板を設置する際にスプリンクラーヘッドを配管へ過剰に捻じ込むことによる配管の損傷を防止可能なスプリンクラーヘッド用集熱板取付具およびスプリンクラーヘッド用集熱板を提供することを目的としている。

【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の集熱板取付具を提供する。
一端が給水装置と接続され他端に感熱分解部が設置されたスプリンクラーヘッドの外部と係合可能な係合部を有し、係合部の下方には鍔部が形成され、板状の集熱板に穿設された穴を係合部に挿通させて鍔部にて集熱板を保持させた集熱板保持材から成ることを特徴としたスプリンクラーヘッド用集熱板取付具である。これによれば、集熱板保持材の鍔部によって集熱板を保持してスプリンクラーヘッドへ設置可能となるので、従来のように集熱板を固定するためにスプリンクラーヘッドを配管に過剰に捻じ込まなくて済む。また、集熱板保持材をスプリンクラーヘッドの外部と係合させ、集熱板保持材の下端に形成した鍔部に集熱板を保持させたことで、従来と比較して集熱板の位置がスプリンクラーヘッドの下端側に配置されるので、集熱板から下方へ突出するスプリンクラーヘッドの突出量を抑えることができるので意匠的にも好ましい。また物や人がスプリンクラーヘッドに衝突することも従来品と比較して大幅に回避できることからガードの設置を省略できる。これに加えて集熱板とスプリンクラーヘッドの下端に配置された感熱分解部が近接して配置されることで、火災時において火災の熱による上昇気流が集熱板の下面に滞留して感熱分解部が熱を吸収しやすくなりスプリンクラーヘッドの作動を促進することができる。
【0012】
前記本発明については、集熱板保持材の鍔部と集熱板とを一体に構成した。これによれば鍔部を集熱板として作用させることが可能となり、集熱板と集熱板保持材を一体にしたことで輸送時や施工時の利便性が向上する。
【0013】
前記本発明については、スプリンクラーヘッドの外部にヘッド保持材を設置し、ヘッド保持材に集熱板保持材を係合可能とした。これによれば、ヘッド保持材によりヘッド保持材の下端と集熱板保持材の鍔部により集熱板を挟み込むことで、集熱板が地震の震動等によってがたついたり、ぐらついたりすることを防げるので集熱板を安定した状態で設置することができる。
【0014】
前記本発明については、ヘッド保持材と集熱板保持材とは着脱可能な構成である。これによれば、集熱板が破損したり汚れる等して交換が必要になった場合に、ヘッド保持材から集熱板保持材を取外すことでヘッド保持材と集熱板保持材に挟み込まれていた集熱板を取外すことができ、新しい集熱板を再びヘッド保持材と集熱板保持材を用いてスプリンクラーヘッドに設置することが可能である。
【0015】
前記本発明については、ヘッド保持材は切欠き部を有しており、該切欠き部をスプリンクラーヘッドに差し込んで段部に係止させることでスプリンクラーヘッドに設置する構成とした。これによれば、ヘッド保持材の切欠き部をスプリンクラーヘッドのネジ部に横から差し込み、配管に接続されるネジ部の根元の段部に係止させることで、スプリンクラーヘッドが配管に接続された後でもヘッド保持材をスプリンクラーヘッドに設置させることが可能となる。
【0016】
前記本発明については、集熱板保持材にスプリンクラーヘッドの外部を支持するヘッド支持部を形成した。これによれば、集熱板保持材のヘッド支持部により集熱板保持材と係合しているヘッド保持部のガタツキを防止することができる。
【0017】
上記の集熱板取付具によってスプリンクラーヘッドに設置される集熱板の外縁を下方へ屈曲させ、外縁の高さ位置が集熱板の穴に挿通されているスプリンクラーの下端の高さ位置よりも床側に近くなるよう構成したスプリンクラーヘッド用集熱板によれば、水平方向から見た場合にスプリンクラーヘッドの下端が集熱板の外縁により隠れるのでスプリンクラーヘッドの近くを通過する人やその人が持っている物がスプリンクラーヘッドに衝突することを回避できる。

【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、集熱板を保持可能な集熱板保持材をスプリンクラーヘッドの外部に係合可能に設置したことで、従来のように集熱板を固定するためにスプリンクラーヘッドを配管に過剰に捻じ込まなくて済む。また集熱板から下方へ突出するスプリンクラーヘッドの突出量が抑えられスプリンクラーヘッドへ物や人がぶつかることによる外的衝撃を回避可能なスプリンクラーヘッド用集熱板ユニットおよび集熱板取付具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の断面図
【図2】図1の分解斜視図
【図3】第1実施形態の変形例2
【図4】第2実施形態の断面図
【図5】図3の分解斜視図
【図6】図3の側面図(一部断面)
【図7】第3実施形態の断面図
【図8】図6の分解斜視図(集熱板とスプリンクラーヘッドは省く)
【図9】従来の集熱板の断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
第1実施形態(図1〜図2)
本発明の第1実施形態はスプリンクラーヘッド1に設置される集熱板保持材2と集熱板3から構成される。
スプリンクラーヘッド1は埋込型のスプリンクラーヘッドであり、一端側(図中上側)にノズル4が形成されており、ノズル4の外部は給水源と接続された配管Pと接続可能な牡ネジ5が形成されている。牡ネジ5の根元には外方に拡張された段部6が形成されている。他端側(図中下側)には火災の熱により分解作動する感熱分解部7が設置されており、感熱分解部7によりノズル4の出口を閉止している弁体8が保持されている。スプリンクラーヘッド1の内部構造については公知であり特開平7−284545号公報に記載されていることから詳細な説明は省略する。
【0021】
スプリンクラーヘッド1の段部6の下方には、外面に牡ネジ9が刻設された筒状のフレーム10が設置されている。前述の弁体8はフレーム10の内部に収容されており、感熱分解部7はフレーム10の下端の内方フランジ11に係合されている。
【0022】
集熱板保持材2は、スプリンクラーヘッド1の外部と係合可能な係合部である筒部12と筒部12の下端に鍔部13を有する。筒部12の内周にはフレーム10の牡ネジ9と螺合可能な突起14が形成されている。突起14と牡ネジ9が螺合していることで集熱板保持材2はスプリンクラーヘッド1の牡ネジ9に着脱可能な構成となっている。筒部12の外径は後述する集熱板3の穴15の内径より小さく形成される。鍔部13は筒部12の下端から外方に拡張して形成されている。鍔部13の上面には集熱板3が載置される。
【0023】
集熱板3は板状で円盤形状をしており中心に穴15が穿設されている。穴15には集熱板保持材2の筒部12が挿通される。集熱板3の外縁部16は下方に屈曲して形成されている。外縁部16の高さ位置をスプリンクラーヘッド1の下端の高さ位置より床側になるように構成することで、水平方向から見た場合にスプリンクラーヘッド1が外縁部16によって隠れるので、スプリンクラーヘッド1の近くを通過する人やその人が持っている物がスプリンクラーヘッド1に衝突するのを回避することができる。
【0024】
集熱板3は金属の板をプレス加工することで形成される。あるいは樹脂により成型することも可能であり、これにより集熱板3の軽量化を図ることができ、集熱板3をスプリンクラーヘッド1に設置する際の作業者の負担を軽減することができる。
【0025】
次に、第1実施形態の集熱板保持材2と集熱板3をスプリンクラーヘッド1に設置する手順について説明する。
【0026】
スプリンクラーヘッド1は、天井側から立ち下がって設置された配管Pに接続されている。先ず集熱板3の穴15をスプリンクラーヘッド1の下端から挿通させる。次に集熱板保持材2の筒部12の突起14を、スプリンクラーヘッド1の牡ネジ9に螺合させる。その際、感熱分解部7が集熱板保持材2によって隠れてしまわないように、集熱板保持材2の鍔部13が感熱分解部7より上方に位置するように設置する。
【0027】
最後に、集熱板3の穴15を集熱板保持材2の筒部12に挿通させて鍔部13の上面に載置することで設置が完了する。
【0028】
このように設置することで、従来の集熱板の設置作業よりも作業負担が軽減され、さらに集熱板を配管に接続されているスプリンクラーヘッドに設置可能となる。また集熱板を交換する作業は上記と逆の手順で行うことができ、従来品のように集熱板を交換するために配管からスプリンクラーヘッドを取外すような面倒な作業が不要となる。
【0029】
さらに感熱分解部7は集熱板3の近傍に配置され、集熱板3から下方へ突出するスプリンクラーヘッド1の突出量を抑えることができるので意匠的にも好ましい。また物や人がスプリンクラーヘッドに衝突することも従来品と比較して大幅に回避できることからガードの設置を省略できる。
【0030】
これに加えて集熱板3とスプリンクラーヘッド1の感熱分解部7が近接して配置されることで、火災時において火災の熱による上昇気流が集熱板3の下面に滞留して感熱分解部7が熱を吸収しやすくなりスプリンクラーヘッド1の作動を促進することができる。
【0031】
第1実施形態の変形例1(図1)
第1実施形態の変形例として、図1の破線で示すように集熱板3の穴15の縁からヘッド支持部材2の筒部12に沿って形成した環状部15Aを設置すると、集熱板3が地震の震動によってがたついたりぐらついたりすることを防止できる。尚、環状部15Aは集熱板3の穴15付近から筒部12に沿って延伸させて集熱板3と一体に形成してもよいし、別体とする場合には集熱板3をスプリンクラーヘッド1に挿通する前の段階で環状部15Aをスプリンクラーヘッド1に挿通させておき、鍔部13に集熱板3を載置した後で環状部15Aを集熱板3の上にセットすることも可能である。
【0032】
第1実施形態の変形例2(図3)
さらに、上記とは異なる第1実施形態の変形例として集熱板保持材2Aを図3に示す。集熱板保持材2Aは、スプリンクラーヘッド1と係合する係合部17を、板材を屈曲させて構成して、さらに鍔部と集熱板とを一体に構成したものである。係止部17の平面部17Aには穴18が穿設されており平面部17Aから折り曲げられた垂下部17Bの下端にスプリンクラーヘッド1が挿通可能な鍔部兼集熱板19を固定設置してなる。図3において鍔部兼集熱板19の外径は第1実施形態の集熱板3よりも小径となっているが、鍔部兼集熱板19の形状は第1実施形態の集熱板3と置き換え可能である。
【0033】
集熱板保持材2Aの穴18および鍔部兼集熱板19の穴19Aは、スプリンクラーヘッド1を配管Pに設置する前にスプリンクラーヘッド1に挿通され、穴18にはスプリンクラーヘッドの牡ネジ5が挿通され平面部17Aが段部6に載置される。スプリンクラーヘッド1の下側は鍔部兼集熱板19の穴19Aから下面側へ突出した状態となる。また平面部17Aと鍔部兼集熱板19の間には所定の間隔が保たれており、その間隔は平面部17Aを段部6に載置した状態で鍔部兼集熱板19の下面とスプリンクラーヘッド1のフレーム10の下端が略同じ高さになるくらいの間隔である。
【0034】
尚、鍔部兼集熱板19の上面に集熱板3を載置して用いることも可能である。その場合、スプリンクラーヘッド1に集熱板保持材2Aを設置する際に、係合部17を集熱板3の穴15に挿通させて鍔部兼集熱板19の上面に集熱板3を載置する。
【0035】
第2実施形態(図4〜図6)
続いて第2実施形態について説明する。尚、第1実施形態と構成が同じ箇所については同符号を付して説明は省略する。第2実施形態はスプリンクラーヘッド1に設置されるヘッド保持材21、集熱板保持材22、集熱板3から構成される。
【0036】
スプリンクラーヘッド1の構成は第1実施形態と同じである。ヘッド保持材21は、板材を屈曲させて構成しており、配管Pと螺合されるスプリンクラーヘッド1の牡ネジ5の根元の段部6に係合可能な切欠き部23が形成されている平面23Aと、平面23Aから垂下して折り曲げられた垂下部23Bが形成されている。切欠き部23はU字形状をしており、図中矢印で示す切欠き部23の幅24は牡ネジ5の外径寸法より大きく段部6の外径寸法より小さい。垂下部23Bは集熱板保持材22と係合する穴25が穿設されている。
【0037】
垂下部23Bの下端は外方へ屈曲されて下端面26が形成されている。下端面26と集熱板保持材22の鍔部13とによって集熱板3を挟んで固定することができる。また下端面26の高さ位置は、ヘッド保持材21をスプリンクラーヘッド1に設置したときにフレーム10の下端と略等しい高さとなる。
【0038】
集熱板保持材22は、筒部27と筒部27の下端に形成された鍔部13を有する。筒部27の外周部には垂下部23Bの穴25と係合する突起28が形成されている。筒部27の内周側にはスプリンクラーヘッドのフレーム10の外周径より僅かに大きく形成されたヘッド支持部29がスプリンクラーヘッド1の外部を支持している。
【0039】
図6に示すヘッド支持部29がスプリンクラーヘッド1の外周面を支持していること、およびヘッド保持材21の穴25と集熱板保持材22の突起28とが係合していることにより、スプリンクラーヘッド1が切欠き部23から外れる方向へ移動しようとした場合、突起28の側面28Aが穴25の側面25Aにあたり移動が阻止されるので、集熱板3が震動等により外れることを防止でき、安定してスプリンクラーヘッド1に設置することができる。
【0040】
また、突起28の近傍には筒部27の上端から鍔部13側へ向かって形成されたスリット28Bを有しており、スリット28Bによって突起28は筒部27の中心軸方向へ撓んで弾性変形可能である。これにより、突起28と穴25が係合状態にあるときに、突起28を筒部27の中心軸方向へ押し込むことで突起28と穴25の係合が解除され、ヘッド保持材21から集熱板保持材22を取外すことができる。
【0041】
次に、第2実施形態のヘッド保持材21、集熱板保持材22、集熱板3をスプリンクラーヘッド1に設置する手順について説明する。
【0042】
スプリンクラーヘッド1は配管Pにあらかじめ接続されている。先ず、ヘッド保持材21の切欠き部23をスプリンクラーヘッド1の牡ネジ5に差し込んで平面23Aを段部6の上に載置させる。次に、集熱板3の穴15へ集熱板保持部22の筒部27を挿通させる。そして、筒部27の外周部の突起28をヘッド保持材21の垂下部23Bの穴25に係合させる。すると、集熱板3は垂下部23Bの下端に形成された下端面26と鍔部13により挟まれ、集熱板3を安定して設置できる。
【0043】
また、ヘッド保持材21と集熱板保持材22が係合され、集熱板保持材22のヘッド支持部29がスプリンクラーヘッド1を支持していることで、スプリンクラーヘッド1と切欠き部23との係合が外れることが阻止され、集熱板3を安定して設置できる。
【0044】
これらにより、第1実施形態の効果に加えて、集熱板3を下端面26と鍔部13とによって挟んで固定することから、集熱板3を安定して設置可能である。さらにヘッド保持材21の垂下部23Bの内側の面と集熱板保持材22の筒部27の外面、および集熱板保持材22のヘッド支持部29とスプリンクラーヘッド1の外周面が略隙間無く配置されていることで、各部品のがたつきを抑えて長期間安定した状態で集熱板3を設置することができる。
【0045】
第3実施形態(図7〜図8)
続いて第3実施形態について説明する。第3実施形態において第2実施形態と構成が同じ箇所は同符号を付して説明は省略する。第3実施形態はスプリンクラーヘッド1に設置されるヘッド保持材31、集熱板保持材32、集熱板3から構成される。尚、図8ではスプリンクラーヘッド1と集熱板3の図示は省略する。
【0046】
ヘッド保持材31は切欠き部23が形成された平面31Aから成り、切欠き部23により切欠かれた辺33と隣接する辺に集熱板保持材32との係合部として凹部35、35を対向させて形成する。
【0047】
集熱板保持材32は筒部27と鍔部13から成る。筒部27の上端には前述の凹部35と係合可能な楔状の突起部36が形成されている。筒部27の内周側には第2実施形態と同様なヘッド支持部29が形成されている。
【0048】
第3実施形態の設置手順は第2実施形態の設置手順と略同じであり、スプリンクラーヘッド1に設置されたヘッド保持材31の凹部35へ、集熱板保持材32の筒部27を集熱板3の穴15に挿通させた状態で突起部36を係合させることで設置可能である。
【0049】
これによれば、第2実施形態よりも簡易な構成により集熱板取付具を構成できる。また、切欠き部23により切欠かれた辺33と隣接する辺に凹部35、35を形成して集熱板保持材32の突起部36と係合させたことで、凹部35の側面部35Aによりスプリンクラーヘッド1が辺33側に移動することが阻止され、集熱板3をスプリンクラーヘッド1に設置した後で集熱板3が外れることを防止できるものである。
【0050】
また、第2、3実施形態のヘッド保持材の切欠き部23を穴として構成することも可能であり、この場合は該穴をスプリンクラーヘッド1に挿通させてからスプリンクラーヘッド1を配管Pに接続する。これ以降の手順は前述の第2、3実施形態と同様である。

【符号の説明】
【0051】
1 スプリンクラーヘッド
2、22 集熱板保持材
3 集熱板
6 段部
9 牡ネジ
10 フレーム
13 鍔部
15 穴
19 鍔部兼集熱板
21 ヘッド保持材
23 切欠き部
29 ヘッド支持部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が給水装置と接続され他端に感熱分解部が設置されたスプリンクラーヘッドの外部と係合可能な係合部を有し、係合部の下方には鍔部が形成され、板状の集熱板に穿設された穴を係合部に挿通させて鍔部にて集熱板を保持させた集熱板保持材から成ることを特徴としたスプリンクラーヘッド用集熱板取付具。

【請求項2】
鍔部と集熱板とを一体に構成した請求項1記載のスプリンクラーヘッド用集熱板取付具。

【請求項3】
スプリンクラーヘッドの外部にヘッド保持材を設置し、ヘッド保持材に集熱板保持材を係合可能とした請求項1または請求項2記載のスプリンクラーヘッド用集熱板取付具。

【請求項4】
ヘッド保持材と集熱板保持材とは着脱可能な構成とした請求項1〜請求項3の何れか1項記載のスプリンクラーヘッド用集熱板取付具。

【請求項5】
ヘッド保持材は切欠き部を有しており、該切欠き部をスプリンクラーヘッドに差し込んで段部に係止させることでスプリンクラーヘッドに設置する請求項1〜請求項4の何れか1項記載のスプリンクラーヘッド用集熱板取付具。

【請求項6】
集熱板保持材にスプリンクラーヘッドの外部を支持するヘッド支持部を形成した請求項1〜請求項5の何れか1項記載のスプリンクラーヘッド用集熱板取付具。

【請求項7】
前記請求項1〜請求項6の何れか1項記載の集熱板取付具によってスプリンクラーヘッドに設置される集熱板であり、集熱板の外縁を下方へ屈曲させ、外縁の高さ位置が集熱板の穴に挿通されているスプリンクラーの下端の高さ位置よりも床側に近くなるよう構成したスプリンクラーヘッド用集熱板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−106743(P2013−106743A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253411(P2011−253411)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000199186)千住スプリンクラー株式会社 (87)
【Fターム(参考)】