説明

スプリンクラーヘッド

【課題】スプリンクラーヘッドの配管接続部分からの漏水があっても火災時に作動遅れを起すことなく確実に作動可能として信頼性を高める。
【解決手段】スプリンクラーヘッド10は、上端に給水配管11に接続するネジ部15を有すると共に中央に上下に連通した流路を形成して下端にノズルを設けたヘッド本体12と、ヘッド本体12の下部に配置されて下方に開口された筒状のフレーム14と、フレーム14内に収容され、可溶合金42による固定で組立状態を維持してノズルを塞ぐ弁体20を支持するリンク機構を備えた感熱作動部28とを備える。ヘッド本体12の下部に配置したフレーム14の外側にシール56を介して筒状の漏水ガイド部材52を設け、ネジ部15と給水配管11の接続部分から漏洩した水の感熱作動部28への回り込み阻止するように案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災時の熱による溶融で分解作動して放水する閉鎖型のスプリンクラーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の閉鎖型スプリンクラーヘッドにあっては、火災の熱気流を受けた際に、感熱作動部に設けている可溶合金が溶融することにより感熱作動部が熱分解してバルブを開くと同時にデフレクタを下方に落下させて消火用水を放水させるようにしている。この感熱作動部に設けられる可溶合金としては、通常、火災感知に必要な所定の温度を融点とする低温半田を使用している。
【0003】
図5は従来の閉鎖型スプリンクラーヘッドの断面図である。図5において、閉鎖型スプリンクラーヘッド100は、ヘッド本体112とフレーム114で構成される。ヘッド本体112は上部に給水配管110に接続するネジ部115を設けられ、内部に上下に貫通した流路を形成し、流路の下側に開口したノズル116を形成している。ヘッド本体112はノズル116の開口の外側にフレーム114をねじ込み固定している。
【0004】
この組立状態で、デフレクタ118を一体に備えた弁体120がノズル116の開口部を閉鎖する位置に配置されている。デフレクタ118は、周囲に放射状に分かれた水拡散部を複数備え、その外周側にガイドピン122を装着している。
【0005】
ヘッド本体112とデフレクタ118の上側に配置したガイドリング124の間には作動バネ126を組み込んでいる。フレーム114の開口側にはリンク機構を備えた感熱作動部128が設けられる。
【0006】
感熱作動部128は、サドル130、レバー132、サポートプレート134、バランサ136、シリンダ138、プランジャ140、可溶合金142、セットネジ144、固定ネジ146、集熱板148及びカバー150で構成され、弁体120を図示の閉鎖位置に保持する可溶合金42で固定した状態でフレーム114に組込み固定される。
【0007】
図5の閉鎖型スプリンクラーヘッドの動作は次のようになる。閉鎖型スプリンクラーヘッド100は、弁体120がノズル116を閉鎖した状態でスプリンクラー消火設備の給水配管110に接続されており、この状態で火災による熱気流を受けると、所定温度に達した時に感熱作動部128の可溶合金142が溶け、バランサ136がフリー状態となる。
【0008】
このため、レバー132とバランサ136の係合状態が解除され、レバー132、サドル130及びバランサ136が脱落し、同時にシリンダ138、プランジャ140、セットネジ144、固定ネジ146、集熱板148及びカバー150の部分も脱落する。これによって弁体120の閉鎖状態の支持が解除され、流入路であるノズル116に加わっている消火用水の水圧、及び作動バネ126の力で、弁体120及びデフレクタ118が落下し、ノズル120を開いて消火用水を放水する。
【0009】
下側に落下したデフレクタ118は、ガイドピン122の下端で停止してフレーム114の開口部から下方にデフレクタ118を露出させ、このデフレクタ118にノズル116から放出した消火用水が当たって周囲に消火用水を散水する。
【0010】
一方、近年にあっては、高齢者施設として普及しているグループホーム等の簡易施設での火災が社会的な問題となっており、火災時にスプリンクラーヘッドから消火用水を放水させるスプリンクラー設備の設置が強く求められている。
【0011】
このような高齢者向けの簡易施設に設置するスプリンクラー設備としては、水道水を水源として使用することでホンプ設備を不要とし、設備構成を簡単にしてコスト的にも負担を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−304887号公報
【特許文献2】特開2000−342708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、通常のスプリンクラー消火設備の施工にあっては、法的な資格をもった消防設備士がスプリンクラーヘッドの設置作業を行っており、スプリンクラーヘッドの取付工事についても施工後の漏水試験などによって高品質で信頼性の高い保証された工事が行われている。
【0014】
しかしながら、水道水等を水源とした高齢者施設向けのスプリンクラー消火設備にあっては、水道水を水源として使用することから、消防設備士ではなく、水道工事業者がスプリンクラーヘッドを設置する場合があり、ヘッドの取り付け工事が必ずしも保証されない恐れがある。特に問題となるのは、水道水が供給されている給水配管に対するスプリンクラーヘッドの接続部分からの漏水がある。
【0015】
通常、スプリンクラーヘッドの配管接続工事は、スプリンクラーヘッドの配管接続用のネジ部にシール材としてバルカテープなどを巻いて配管ネジ穴にネジ込み固定することになるが、シール材が適切に巻かれていないと、長期間使用している間に僅かな漏水が生じ、火災時にスプリンクラーヘッドが作動しないか、作動遅れが大きくなる問題を起こす。
【0016】
これは配管接続部分から漏水した水が長い間にスプリンクラーヘッド100の感熱作動部128に回り込み、可溶合金142を収納したシリンダ138や集熱板148付近を濡らした状態としており、火災による熱気流を受けても可溶合金42が溶融温度に達するまでに時間がかかり、その間に火災が拡大してスプリンクラー作動による火災抑制に重大な支障を来たすことが懸念される。
【0017】
本発明は、配管接続部分からの漏水があっても火災時に作動遅れを起こすことなく確実に作動可能な信頼性の高いスプリンクラーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、
上端に配管に接続するネジ部を有すると共に中央に上下に連通した流路を形成して下端にノズルを設けたヘッド本体と、
ヘッド本体の下部に配置されて下方に開口した筒状のフレームと、
フレーム内に収容され、感熱部材によりノズルを塞ぐ弁体を支持するリンク機構を備えた感熱作動部と、
を備えたスプリンクラーヘッドに於いて、
ヘッド本体の下部に配置されたフレームの外側に、配管側からの外部水が感熱作動部へ回り込みを阻止するよう案内する筒状の漏水ガイド部材を設けたことを特徴とする。
【0019】
ここで、漏水ガイド部材の上部をシール部材を介してヘッド本体に設ける。また、漏水ガイド部材は下端に外側に広がったスカート部を形成する。
【0020】
本発明の別の形態にあっては、
上端に配管に接続するねじ部を有すると共に中央に上下に連通した流路を形成して下端にノズルを設けたヘッド本体と、
ヘッド本体の下部に配置されて下方に開口した筒状のフレームと、
フレーム内に収容され、第1の感熱部材による固定で組立状態を維持してノズルを塞ぐ弁体を支持するリンク機構を備えた感熱作動部と、
ヘッド本体の外側に設けられた取付部材と、
前記取付部材の下部に配置され前記第1の感熱部材より低い溶融温度の第2の感熱部材により支持されたカバー部材と、
を備えたスプリンクラーヘッドに於いて、
ヘッド本体の下部に配置した前記フレームの外側に設けられ、配管側からの外部水の感熱作動部への回り込みを阻止するよう案内する漏水ガイド部材と、
カバー部材に開口した水抜き穴と、
を設けたことを特徴とする。
【0021】
ここで、漏水ガイド部材の上部を、シール部材を介してヘッド本体に固定する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、水道水などの加圧消火用水が供給されている給水配管に対しスプリンクラーヘッドを接続したネジ部等から漏水があっても、ヘッド本体に沿って漏れ出した水はヘッド本体の下部に配置したフレームの外側を覆って配置した筒状の漏水ガイド部材に沿って流れ落ち、フレーム内に組み込まれた感熱作動機構に漏水が回り込むことを確実に阻止し、感熱分解部に設けている感熱部材に近い部分や集熱板に漏水が回りこんで濡れた状態となることを確実に防止し、火災による熱気流を受けた際の集熱で確実に感熱部材で熱感知して分解させることで、作動遅れを大きくすることなく確実に放水して火災を抑制消火することができる。
【0023】
またコンシールド型として知られた感熱作動部を覆って、それより低い温度で分解する保護カバーを設けた構造のスプリンクラーヘッドについては、ヘッド本体の下部に配置したフレームの外側を覆って配置した漏水ガイド部材に加え、保護カバーに水抜き穴を設けたことにより、漏水があっても保護カバーの底部に水が溜まることがなく、火災による熱気流を受けた場合の低温の感熱部材の作動で確実に保護カバーを離脱させて感熱作動部を露出させ、続いて高温の感熱部材の作動で感熱作動部を熱分解させて確実に放水させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるスプリンクラーヘッドの実施形態を示した断面図
【図2】図1のスプリンクラーヘッドを天井面に設置状態で示した説明図
【図3】本発明によるコンシールド型のスプリンクラーヘッドの実施形態を示した説明図
【図4】図3のスプリンクラーヘッドを天井面に設置状態で示した説明図
【図5】従来のスプリンクラーヘッドを示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明による閉鎖型のスプリンクラーヘッドの実施形態を軸方向の半断面で示した説明図である。図1において、本実施形態のスプリンクラーヘッド10は、ヘッド本体12と、ヘッド本体12の下部にねじ込み固定されたフレーム14で構成される。ヘッド本体12には上下の軸方向に貫通して流路が設けられ、流路の下部にノズル16を形成している。
【0026】
ノズル16の開口部にはデフレクタ18を一体に備えた弁体20が閉鎖位置となるように配置されている。デフレクタ18は周囲に放射状に分かれた水拡散部を複数備え、その外側に軸方向に延びるガイドピン22を装着している。デフレクタ18とヘッド本体12の下側の開口部との間にはガイドプレート24が配置され、その上側にデフレクタ18を下方に押圧する作動バネ26を配置している。
【0027】
フレーム14の開口側にはリンク機構を備えた感熱作動部28が設けられている。感熱作動部28は上側から、サドル30、レバー32、サポートプレート34、バランサ36、シリンダ38、プランジャ40、可溶合金42、セットネジ44、固定ネジ46、2枚の集熱板48及びカバー50で構成され、弁体20をノズル16の開口を閉鎖する位置に可溶合金42で固定した状態でフレーム14に組込み固定されている。
【0028】
このようなスプリンクラーヘッド10の構造は図5に示した従来構造と基本的に同じであり、これに加えて本実施形態にあっては、ヘッド本体12の下側の開口部の下端で且つフレーム14の外側となる位置に、筒状の漏水ガイド部材52を、上部のシール56を介して組込み固定している。また漏水ガイド部材52は下端に外側に広がったスカート部54を一体に形成している。
【0029】
漏水ガイド部材52は、スプリンクラーヘッド10を給水配管に接続した際に、配管に接続されるネジ部15の部分からの消火用水からの漏水が起きた場合、ヘッド本体12の外側を通って流れる漏水が、フレーム14内に組込み固定している感熱作動部28に入らないように配置している。
【0030】
図2は図1のスプリンクラーヘッドを天井面に設置した状態で示した説明図である。図2において、本実施形態のスプリンクラーヘッド10は、天井面58に設けた取付穴60に対し、先端の集熱板48側が天井面58の下側に突出するように位置決めされた状態で上部から立ち下げた給水配管11の先端にネジ部15により接続固定されている。
【0031】
給水配管11としては、例えばグループホームなどの高齢者施設で水道水を水源としたスプリンクラー消火設備の場合、水道水を供給する給水配管からの立下げ管を給水配管11として、その先端にスプリンクラーヘッド10を接続している。
【0032】
消火用水の給水を水道水で行う場合、給水配管11の配管作業は、通常のスプリンクラー消火設備における消防設備士の資格を有する作業者ではなく、水道工事業者も施工を行う場合もある。スプリンクラーヘッド10の給水配管11に対する接続作業にあっては、ネジ部15にシールテープなどのシール材を巻き付けた状態でスプリンクラーヘッド10をねじ込み固定し、給水配管11に水道水を充満した際のネジ部15からの漏水を防止するようにしている。
【0033】
給水配管11に対しスプリンクラーヘッド10をねじ込み固定すると、続いて天井面58側から取付穴60の中に位置するスプリンクラーヘッド10に対しプラスチック材のシーリングプレート62を下から嵌め入れて取付穴60との隙間を隠すようにする。
【0034】
このような給水配管11に対するスプリンクラーヘッド10の取付状態で、給水配管11側には常時、加圧水道水が充水されており、万一、給水配管11に対するネジ部15のねじ込みによるシール性に問題があると、給水配管11に対するネジ部15の接続部分から矢印に示すように消火用水がわずかであるが漏水するようになる。
【0035】
ネジ部15の隙間を通って漏水した水はシーリングプレート62とヘッド本体12との隙間を通って流れるが、本実施形態にあっては、ヘッド本体12の下端部の内側にねじ込み固定しているフレーム14の外側にシール56を介して漏水ガイド部材52を配置しているため、シーリングプレート62とヘッド本体12の隙間を通って流れ落ちてくる漏水は漏水ガイド部材52に沿って下側に流れ落ち、漏水ガイド部材52の先端のスカート部58で外側にガイドされ、シーリングプレート62の内側を通って落下するようになる。
【0036】
このためネジ部15から消火用水の漏水があっても、漏水ガイド部材52の配置によりフレーム14の内側に組み込まれている感熱作動部28の中に漏水が回り込んでしまうことが確実に防止できる。即ち、感熱作動部28の中にある可溶合金42の外側となるカバー50の底部や集熱板48の部分に漏水があっても、水が付着して濡れた状態となることがなく、漏水が起きても、感熱作動部28における火災による熱気流を受けて感熱作動を行う使用部に対する熱の伝導を漏水により妨げることを確実に防止できる。
【0037】
また設置状態で漏水した水がスプリンクラーヘッド10から漏れ落ちるような比較的量の多い漏水であれば、漏水に気付いてネジ部15のシールをやり直す補修作業ができるが、スプリンクラーヘッド10から漏水が落ちることがほとんどなく、漏水と言っても微量の滲み出る程度の漏水であったような場合には漏水に気付かずそのまま運用することになる。このような状況につき、本実施形態にあっては、滲み出るようなわずかな漏水であっても、漏水ガイド部材52を配置したことで、可溶合金の周辺に水が漏れ出して濡れた状態が起きることはなく、火災による熱気流を受けた際に、可溶合金42に対する熱の伝導を確実に行って可溶合金42を溶融して作動遅れを起すことなく作動させることができる。
【0038】
図3はコンシールド型のスプリンクラーヘッドの実施形態を示した説明図である。図3において、コンシールド型のスプリンクラーヘッド10は、ヘッド本体12の下側にフレーム14をねじ込み固定し、フレーム14の内部に図1の実施形態と同様な構造を持つ感熱作動部28を組込み固定している。
【0039】
コンシールド型のスプリンクラーヘッド10の場合、ヘッド本体12の部分に円筒状の取付部材となるコンシールド本体64を装着し、コンシールド本体64の下部にスプリンクラーヘッド10の感熱作動部28を覆う椀状のカバー部材であるコンシールド66を配置している。
【0040】
コンシールド66のコンシールド本体64に対する取り付けは、両部材の縁部において低可溶合金70により部分的に連結されている。コンシールド本体64とコンシールド66との間の隙間には、分解方向に荷重を付与する作動バネ74が組み込まれている。
【0041】
ここで感熱作動部28に使用されている可溶合金は、第1の可溶合金として溶融温度が例えば72℃としている。これに対しコンシールド66を固定している低可溶合金70は第2の可溶合金であり、溶融温度を感熱作動部28に使用している第1の可溶合金より低い例えば65℃に設定している。
【0042】
このようなコンシールド型のスプリンクラーヘッド10に対し、本実施形態にあっては、ヘッド本体12にねじ込み固定しているフレーム14の外側に筒状の漏水ガイド部材52を配置している。またシールド本体64の下部に配置したコンシールド66の底部の複数箇所に水抜き穴78を形成している。
【0043】
図4は図3のコンシールド型のスプリンクラーヘッドを天井面に設置した状態で示した説明図である。図4において、コンシールド型のスプリンクラーヘッド10は、水道水の加圧供給を受ける配管から立ち下げた給水配管11の先端に、ネジ部15により例えばシールテープなどのシール材を使用してねじ込み固定されている。スプリンクラーヘッド10は天井面58に設けた取付穴60の中に配置されており、コンシールド66の部分を天井面58から露出する位置に配置され、取付穴60との隙間を塞ぐためシーリングプレート80を装着している。
【0044】
このようなスプリンクラーヘッド10の設置状態で給水配管11に接続しているスプリンクラーヘッド10のネジ部15の隙間から消火用水が漏水したとすると、コンシールド本体64とヘッド本体12の隙間を通って矢印で示すように水が流れ落ちるが、フレーム14の外側に漏水ガイド部材52を配置しているため、フレーム14の内部の感熱作動部28に漏水した水が回り込んでしまうことは阻止できる。
【0045】
また漏水ガイド部材52の外側に沿って流れ落ちた水は下部のコンシールド66の中に入り込むが、コンシールド66の底部には水抜き穴78が設けられているため、低可溶合金70の周囲に水が溜まることなく外部に排水することができる。
【0046】
コンシールド型のスプリンクラーヘッド10の火災時における作動は次のようになる。火災による熱気流をコンシールド66で受けると、低可溶合金70が設定温度例えば65℃に達したときに溶融し、コンシールド本体64に対するコンシールド66の固定が解除され、作動バネ74の力でコンシールド66が外れさて脱落する。
【0047】
これによってスプリンクラーヘッド10の感熱作動部28が火災による熱気流を直接受けることになる。そして感熱作動部28に設けている可溶合金(第1の可溶合金)が所定の温度例えば70℃に達すると、感熱作動部28が分解して開放作動し、消火用水を放水することになる。
【0048】
なお、図1、3の実施形態にあっては、漏水ガイド部材52の下端にスカート部54を設けているが、スカート54は必ずしも設けなくともよい。漏水ガイド部材54の上端部とヘッド本体12の隙間から漏水が入らないように、シールを設ける必要があるが、これに限らず、ヘッド本体と漏水ガイド部材52を一体に形成しても良い。漏水ガイド部材の下端部の位置は、通常監視時は感熱作動部の感熱効率を悪化させない位置で且つ漏水を感熱作動部に接触させない位置とし、作動時は下降したデフレクタによる消火用水の放射に悪影響を与えない位置とする必要がある。
【0049】
また、上記の実施形態に示した閉鎖型スプリンクラーヘッドの構造は本実施形態に限定されず、給水配管に接続するネジ部を備え、ヘッド本体の下部に感熱作動部を配置した構造であれば適宜の構造を含み、ヘッド本体の下部の感熱作動部にネジ部からの漏水が回り込まないように漏水ガイド部材を配置する構造を適用することができる。
【0050】
また、図3に示したコンシールド型のスプリンクラーヘッドについても、さまざまな構造のコンシールド型のスプリンクラーヘッドがあるが、ヘッド本体ネジ部からの漏水をガイドする漏水ガイド部材を感熱作動部の外側に配置し、更にコンシールドの底部中央もしくは底部の適宜の位置に水抜き穴を設けることで、同様に漏水による作動遅れや不作動を防止する構造とすることができる。
【0051】
本発明では給水配管とネジ部の間から漏れた漏水にかぎらず、配管を伝わってきた水が感熱作動部にかかることを防ぐこともできる。
【0052】
感熱作動部の構成は上記実施形態に限らず、火災の熱を受けた際に分解して弁体によるノズルの閉鎖を解除する機構であればよい。火災の熱を感知する感熱部材は可溶合金に限らずグラスバルブ等であっても良い。
【0053】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0054】
10:スプリンクラーヘッド
11:給水配管
12:ヘッド本体
14:フレーム
16:ノズル
18:デフレクタ
20:弁体
26:作動バネ
28:感熱作動部
30:サドル
32:レバー
34:サポートプレート
36:バランサ
38:シリンダ
40:プランジャ
42:可溶合金
48:集熱板
50:カバー
52:漏水ガイド部材
54:スカート部
56:シール
64:コンシールド本体
66:コンシールド
70:低温可溶合金
74:作動バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に配管に接続するネジ部を有すると共に中央に上下に連通した流路を形成して下端にノズルを設けたヘッド本体と、
前記ヘッド本体の下部に配置されて下方に開口した筒状のフレームと、
前記フレーム内に収容され、感熱部材により前記ノズルを塞ぐ弁体を支持するリンク機構を備えた感熱作動部と、
を備えたスプリンクラーヘッドに於いて、
前記ヘッド本体の下部に配置された前記フレームの外側に、前記配管側からの外部水が前記感熱作動部へ回り込みを阻止するよう案内する漏水ガイド部材を設けたことを特徴とするスプリンクラーヘッド。
【請求項2】
請求項1記載のスプリンクラーヘッドに於いて、前記漏水ガイド部材の上部を、シール部材を介して前記ヘッド本体に設けたことを特徴とするスプリンクラーヘッド。
【請求項3】
請求項1記載のスプリンクラーヘッドに於いて、前記漏水ガイド部材は下端に外側に広がったスカート部を形成したことを特徴とするスプリンクラーヘッド。
【請求項4】
上端に配管に接続するねじ部を有すると共に中央に上下に連通した流路を形成して下端にノズルを設けたヘッド本体と、
前記ヘッド本体の下部に配置されて下方に開口した筒状のフレームと、
前記フレーム内に収容され、第1の感熱部材による固定で組立状態を維持して前記ノズルを塞ぐ弁体を支持するリンク機構を備えた感熱作動部と、
前記ヘッド本体の外側に設けられた取付部材と、
前記取付部材の下部に配置され前記第1の感熱部材より低い溶融温度の第2の感熱部材により支持されたカバー部材と、
を備えたスプリンクラーヘッドに於いて、
前記ヘッド本体の下部に配置した前記フレームの外側に設けられ、配管側からの外部水の感熱作動部への回り込みを阻止するよう案内する漏水ガイド部材と、
前記カバー部材に開口した水抜き穴と、
を設けたことを特徴とするスプリンクラーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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