説明

スプリンクラ消火設備

【課題】早期にスプリンクラヘッドの作動を検出することが可能なスプリンクラ消火設備を得る。
【解決手段】予作動弁22と、予作動弁22の二次側に設けられ、スプリンクラヘッド2が接続された二次側配管12と、二次側配管12と真空配管14を介して接続され、二次側配管12内を負圧にする真空ポンプ24と、予作動弁22の一次側に設けられ、基端側に給水ポンプ21が接続される一次側配管11とを有するスプリンクラ消火設備において、二次側配管12又は真空配管14から分岐した分岐配管52に接続された空気チャンバー51と、分岐配管52に設けられたオリフィス53と、オリフィス53に並列に接続された差圧スイッチ55と、オリフィス53に並列に接続され、二次側配管12又は真空配管14から空気チャンバー51への空気の流れを規制する逆止弁54とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラ消火設備に関し、特に、予作動弁の二次側にある二次側配管を負圧状態にしたスプリンクラ消火設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管内を圧縮空気で充填し、その二次側配管の基端側に予作動弁を設けた予作動式のスプリンクラ消火設備がある。この設備は、スプリンクラヘッドと同じ防護区画に設置された火災感知器が動作すると、予作動弁が開放し、二次側配管に充水するように構成されている。
このような予作動式のスプリンクラ消火設備では、火災感知器とスプリンクラヘッドの両方が動作したときに水が放水されるので水損が生じにくいが、スプリンクラヘッドが接続される立ち下がり管部分に溜まった水と圧縮空気との影響で、立ち下がり管部分で腐食を起こすことがある。
【0003】
そこで、二次側配管に真空ポンプを接続し、配管内を真空状態(負圧状態)にした真空式の予作動式スプリンクラ消火設備が提案されている(例えば特許文献1参照)。この設備では、二次側配管内は、圧縮空気の代わりに真空となるので、酸素分圧が低く、前述のような腐食が起こりにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−26292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の真空式の予作動式スプリンクラ消火設備は、二次側配管に圧力検出手段が設けてあり、負圧状態からの二次側配管内の圧力上昇などを検知できるように構成されている。そして、この圧力検出手段の検出値がある閾値を超えたとき、スプリンクラヘッドが作動したと判断していた。しかしながら、二次側配管内の体積と比較してスプリンクラヘッドの放水口は小さいため、二次側配管内の真空圧の低下(圧力の上昇)には時間がかかってしまう。このため、スプリンクラヘッド作動時に、例えば真空ポンプを起動したばかりで、二次側配管内の真空圧が高く、現在の真空圧とその閾値との圧力差が大きい場合、その閾値まで圧力が上昇するのには時間がかかり、スプリンクラヘッドの作動検出が遅くなってしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、早期にスプリンクラヘッドの作動を検出することが可能なスプリンクラ消火設備を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスプリンクラ消火設備は、開閉弁と、開閉弁の二次側に設けられ、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管と、二次側配管と真空配管を介して接続され、二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、開閉弁の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管とを有するスプリンクラ消火設備において、二次側配管又は真空配管から分岐した分岐配管に接続された空気チャンバーと、分岐配管に設けられたオリフィスと、オリフィスに並列に接続された差圧スイッチと、オリフィスに並列に接続され、二次側配管又は真空配管から空気チャンバーへの空気の流れを規制する逆止弁とを備えたものである。
【0008】
また、本発明に係るスプリンクラ消火設備は、開閉弁と、開閉弁の二次側に設けられ、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管と、二次側配管と真空配管を介して接続され、二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、開閉弁の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管とを有するスプリンクラ消火設備において、二次側配管又は真空配管から分岐した分岐配管に空気チャンバーを接続し、分岐配管にオリフィスを設け、フロースイッチ、及び空気チャンバーから二次側配管又は真空配管への空気の流れを規制する逆止弁を直列に接続し、フロースイッチ及び逆止弁をオリフィスに並列に接続したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、スプリンクラヘッドの作動等により二次側配管の圧力が上昇(真空圧が低下)すると、オリフィスの前後で差圧が発生する。そして、この差圧を差圧スイッチで検出する。差圧スイッチの検出値が所定の値よりも大きくなった場合にスプリンクラヘッドが作動したと判断することで、スプリンクラヘッドの作動を早期に検出することができる。
【0010】
また、本発明においては、スプリンクラヘッドの作動等により二次側配管の圧力が上昇(真空圧が低下)すると、オリフィスの前後で差圧が発生し、フロースイッチに空気が流れる。フロースイッチの検出値が所定の値よりも大きくなった場合にスプリンクラヘッドが作動したと判断することで、スプリンクラヘッドの作動を早期に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備を示すシステム構成図である。
【図2】実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備を示すシステム構成図である。このスプリンクラ消火設備は、スプリンクラヘッド2、開閉弁22(以下、予作動弁22という)、一次側配管11、二次側配管12、真空配管14、真空ポンプ24、定流量弁23、流水遮断弁31、真空スイッチ41及びヘッド作動検出装置50A等から構成されている。
【0013】
防護区画1には、複数のスプリンクラヘッド2が設けられている。また、防護区画1には、防護区画1内で発生した火災を感知する火災感知器3が設けられている。この火災感知器3は、火災受信機4を介して制御盤5と電気的に接続されている。また、制御盤5は、後述の予作動弁22、流水遮断弁31及びヘッド作動検出装置50Aの差圧スイッチ55等とも電気的に接続されている。
【0014】
これら各スプリンクラヘッド2は立ち下がり配管13に接続されている。また、立ち下がり配管13のそれぞれは、二次側配管12に接続されている。この二次側配管12の一方の端部は、電動のパイロット弁を有し、火災時に電気的に開放される(通常は閉止している)予作動弁22の一方の端部に接続されている。予作動弁22の他方の端部は、一次側配管11の一方の端部に接続されている。また、一次側配管11の他方の端部(基端側)は、給水ポンプ21の吐出口に接続されている。この一次側配管11には、定流量弁23が設けられている。例えば、定流量弁23は、予作動弁22の一次側近傍や、給水ポンプ21の二次側近傍に設けられている。
一方、二次側配管12の他方の端部は、末端試験弁25の一方の端部に接続されている。末端試験弁25の他方の端部には、排水配管16が接続されている。スプリンクラ消火設備の水漏れ試験等によって二次側配管12に充填された水は、末端試験弁25及び予作動弁22に備えた図示しない排水弁を開くことにより、外部に排出される。通常の監視状態においては、末端試験弁25は閉じられた状態となっている。
【0015】
また、二次側配管12には、予作動弁22の二次側において、真空配管14の一方の端部が接続されている。真空配管14の他方の端部には、真空ポンプ24が接続されている。
この真空配管14には、二次側配管12との接続部側から真空ポンプ24側に向けて、電動弁等である流水遮断弁31、真空スイッチ41及びオリフィス42が順に設けられている。真空スイッチ41は、真空ポンプ24の動作を制御する真空ポンプ制御盤6と電気的に接続されている。
【0016】
また、真空スイッチ41とオリフィス42との間の真空配管14には、ヘッド作動検出装置50Aが分岐接続されている。このヘッド作動検出装置50Aは、空気チャンバー51、分岐配管52、オリフィス53、逆止弁54及び差圧スイッチ55を備えている。分岐配管52は、一方の端部が真空スイッチ41とオリフィス42との間の真空配管14に接続されており、他方の端部が空気チャンバー51に接続されている。この空気チャンバー51は、ある一定の体積を有するタンクで、真空ポンプ24が起動することにより、内部が二次側配管12や真空配管14と同じ真空圧になっている。また、分岐配管52には、オリフィス53が設けられている。また、逆止弁54及び差圧スイッチ55のそれぞれが、オリフィス53の前後にまたがるように、かつオリフィス53と並列に、分岐配管52に接続されている。より詳しく述べると、逆止弁54及び差圧スイッチ55は、オリフィス53の一次側配管(つまり、真空配管14に接続される側の分岐配管52)と、オリフィス53の二次側配管(つまり、空気チャンバー51に接続される側の分岐配管52)にまたがるように接続されている。このとき、逆止弁54は、真空配管14から空気チャンバー51への空気の流れを規制するように、言い換えれば、空気チャンバー51から真空配管14へのみ空気が流れるように設けられている。
【0017】
また、オリフィス42と真空ポンプ24との間の真空配管14には、配管15を介してサブタンク43が接続されている。サブタンク43は、ある一定の体積を有するタンクで、真空ポンプ24が起動することにより、内部が、二次側配管12や真空配管14と同じ真空圧になっている。このサブタンク43は、ある一定の体積を有することから、二次側配管12等で配管に空気が流入して、内部の圧力が上昇しようとする場合、サブタンク43内の圧力が上昇することで、二次側配管12内の圧力上昇を打ち消すように作用し、急激に圧力上昇が生じるのを防止し、配管内の真空圧を一定に維持しようとする。なお、流水遮断弁31と真空スイッチ41の位置は逆にしてもよい。また、本実施の形態1では給水手段として給水ポンプ21を用いているが、例えば建物の屋上等に設けられる高架水槽や、加圧された水源等を給水手段として用いてもよい。
【0018】
<スプリンクラ消火設備の動作>
本実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備は、通常の監視状態においては、真空ポンプ24を起動させて二次側配管12内及び真空配管14内が真空状態となっている、真空式の予作動式スプリンクラ消火設備である。ここで真空状態とは、完全な真空状態である必要はなく、負圧状態であればよい。以下、このスプリンクラ消火設備の動作について説明する。まず、スプリンクラヘッド2の作動を検出する動作について説明する。続いて、スプリンクラ消火設備の消火動作について説明する。
【0019】
(通常の監視状態時の圧力上昇)
スプリンクラヘッド2の作動を検出する動作について説明する。
上述のように、通常の監視状態において、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内は真空状態となっている。これら二次側配管12内及び真空配管14内は、立ち下がり配管13とスプリンクラヘッド2との接続部等から徐々に空気が流入し、真空圧が下がってくる(大気圧に近づいてくる)。二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の圧力がある真空圧以下となったことを真空スイッチ41で検出した場合、真空スイッチ41は真空ポンプ制御盤6に真空ポンプ起動信号を送信する。真空ポンプ起動信号を受信した真空ポンプ制御盤6は、真空ポンプ24を起動させ、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧を上昇させる。二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の圧力がある真空圧以上となったことを真空スイッチ41で検出した場合、真空スイッチ41は真空ポンプ制御盤6に真空ポンプ停止信号を送信する。真空ポンプ停止信号を受信した真空ポンプ制御盤6は、真空ポンプ24を停止させる。このようにして、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧を一定以上の真空圧に保っている。
なお、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧が低下する場合には、スプリンクラヘッド2の作動によるものと、配管からの空気流入による場合とがある。真空スイッチ41は配管からの空気流入による真空圧の低下を検出しており、スプリンクラヘッド2の作動に起因する真空圧の低下は、後述のようにヘッド作動検出装置50Aによって検出している。
【0020】
(スプリンクラヘッドの作動検出動作)
防護区画1で火災が発生し、スプリンクラヘッド2が作動すると(スプリンクラヘッド2の放水口が開放されると)、スプリンクラヘッド2の放水口から二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内に防護区画1の空気が流入する。これにより、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧が急激に低下する。この真空圧の低下の度合いは、通常の監視状態における配管接続部等からの空気流入による真空圧の低下よりも大きい。
【0021】
そこで、本実施の形態1では、ヘッド作動検出装置50Aに設けられたオリフィス53の真空配管14側と空気チャンバー51側の圧力差に基づいて、スプリンクラヘッド2の作動を検出している。つまり、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧が急激に低下すると、ヘッド作動検出装置50Aでは、オリフィス53の真空配管14側と空気チャンバー51側で圧力差が生じる。この圧力差は、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧の所定時間当たりの変化量が大きいほど、大きな値となる。つまり、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧の所定時間当たりの変化量が大きいほど、差圧スイッチ55の検出値が大きくなる。差圧スイッチ55の検出値が所定の値よりも大きくなった場合、スプリンクラヘッド2が作動したと判断している。
【0022】
ここで、スプリンクラヘッド2の作動検出をオリフィス53の真空配管14側と空気チャンバー51側の圧力差に基づいて行う理由について説明する。
【0023】
従来のスプリンクラ消火設備は、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧がある閾値よりも小さくなったとき(ある閾値よりも大気圧に近い値となったとき)、スプリンクラヘッド2が作動したと判断していた。しかしながら、二次側配管12内及び真空配管14内の体積と比較してスプリンクラヘッド2の放水口は小さく、また二次側配管12内の圧力と防護区画1の圧力差が小さいため、スプリンクラヘッド2から二次側配管12に流入する空気量が少ないので、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の低下(圧力の上昇)には時間がかかってしまう。このため、スプリンクラヘッド2作動時に例えば真空ポンプ24を起動したばかりで二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧が高く、現在の真空圧とある閾値との圧力差が大きい場合、閾値まで圧力が上昇するのには時間がかかり、スプリンクラヘッド2の作動検出が遅くなってしまう。
【0024】
一方、本実施の形態1では、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧の所定時間当たりの変化量(差圧スイッチ55の検出値)が所定の値よりも大きくなったときに、スプリンクラヘッド2が作動したと判断している。このため、スプリンクラヘッド2作動時における二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧にかかわらず、早期にスプリンクラヘッド2の作動を検出することができる。
【0025】
なお、本実施の形態1では、真空ポンプ24の作動中にスプリンクラヘッド2が作動した際に二次側配管12の圧力変化が小さくなることを抑制するため、真空配管14にオリフィス42を設けている。しかしながら、本実施の形態1では、火災感知器3が火災を感知すると、真空ポンプ24の運転は停止させるか、又は、火災検出時には真空圧が低下しても真空ポンプ24を起動しないように制御している。このため、オリフィス42を設ける必要は必ずしもない。なおオリフィス42を省略することで、二次側配管内の圧力を所定圧にするのに要する時間を減らすことができる。
【0026】
(消火動作)
続いて、スプリンクラ消火設備の消火動作について説明する。
通常の監視状態においては、一次側配管11の予作動弁22まで水が充填され、二次側配管12内及び真空配管14内に水が充填されていない状態となっている。
【0027】
防護区画1で火災が発生すると、火災感知器3は火災を感知して、火災受信機4に火災信号を出力する。そして、火災受信機4は制御盤5に火災信号を発信する。また、その後スプリンクラヘッド2が作動し、二次側配管12の真空圧が低下すると、制御盤5は、差圧スイッチ55の検出値に基づき、スプリンクラヘッド2の作動を検出する。火災信号とスプリンクラヘッド2の作動の両方を検知した場合、制御盤5は、予作動弁22を開放して二次側配管12に水を供給する(充填する)。これにより、立ち下がり配管13を介して作動したスプリンクラヘッド2から防護区画1に放水し、防護区画1で発生した火災を消火する。なお、予作動弁22が開放されると、予作動弁22に設けられた流水信号用スイッチ22aは、制御盤5及び火災受信機4に流水信号を発信する。
【0028】
このとき、一次側配管11に設けられた定流量弁23により、二次側配管12に流入する水の流量は一定の流量に制限される。このため、二次側配管12に流入する水の流量が過流量となることを防止できる。ウォーターハンマーは、配管内を流れる水の流量が大きいほど発生しやすい。したがって、一次側配管11に定流量弁23を設けることにより、二次側配管12に流入する水の流量が過流量となることを防止でき、二次側配管12等でのウォーターハンマーの発生を抑制することができる。
【0029】
なお、定流量弁23の設置位置は二次側配管12の予作動弁22近傍に設けてもよい。二次側配管12の予作動弁22近傍に定流量弁23を設けることで、過流量が二次側配管12に流れなくなり、ウォーターハンマーの発生を抑制することが可能である。また、定流量弁23に代えて、オリフィスを設けてもよい。二次側配管12に流入する水の流量を、一定の流量に制限することが可能だからである。
【0030】
また、本実施の形態1では、制御盤5は、予作動弁22の開放に連動して、真空配管14に設けた流水遮断弁31を閉止する。このため、予作動弁22が開放して二次側配管12に水が供給されても、流水遮断弁31より下流部の真空配管14に水が流入することを防止できる。つまり、真空ポンプ24に水が流入することを防止できる。したがって、真空ポンプ24が水を吸引して、過負荷で停止したり故障を起こすことを防止できる。
【0031】
なお、予作動弁22を使用せずに、圧力変化によって開放する開閉弁を使用するようにしてもよい。また予作動弁22を火災信号のみで開放させるようにしてもよい。
【0032】
以上、このように構成されたスプリンクラ消火設備においては、ヘッド作動検出装置50Aに設けられたオリフィス53の真空配管14側と空気チャンバー51側の圧力差に基づいて、スプリンクラヘッド2の作動を検出している。つまり、本実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備は、オリフィス53の前後の差圧を検出する差圧スイッチ55の検出値が所定の値よりも大きくなった場合、スプリンクラヘッド2の作動を検出している。このため、スプリンクラヘッド2の作動を早期に検出することができる。
【0033】
また、ヘッド作動検出装置50Aを真空配管14に分岐接続することにより、以下のような効果を得ることもできる。
【0034】
例えば、ヘッド作動検出装置50Aのオリフィス53を真空配管14に設け、差圧スイッチ55をオリフィス53に並列接続しても、オリフィス53の前後に生じる差圧に基づいて、スプリンクラヘッド2の作動を早期に検出することは可能である(この場合、空気チャンバー51及び逆止弁54は、特に必要ではない)。しかしながら、このようにオリフィス53及び差圧スイッチ55を配置した場合、通常の監視状態で真空ポンプ24が起動した際にも、オリフィス53の前後で差圧が発生してしまう(つまり、差圧スイッチ55が差圧を検出してしまう)。
【0035】
このため、真空ポンプ24の運転状態を考慮してスプリンクラヘッド2の作動を検出する必要がある。例えば、差圧スイッチ55の検出値が所定の値よりも大きいとき、真空ポンプ24が動作していれば、それは真空引き中であると判断する。例えば、差圧スイッチ55の検出値が所定の値よりも大きい状態で、真空ポンプ24が動作中から停止状態となったとき、差圧スイッチ55が所定の値よりも大きい値を検出し続けていたら、火災であると判定する。また例えば、差圧スイッチ55の検出値が所定の値よりも大きい状態で、真空ポンプ24が動作中から停止状態となったとき、差圧スイッチ55の検出値が所定の値以下となれば、誤警報であると判断する。
このように、ヘッド作動検出装置50Aのオリフィス53を真空配管14に設け、差圧スイッチ55をオリフィス53に並列接続した場合、スプリンクラヘッド2の作動を検出する制御が複雑となる。
【0036】
これに対し、本実施の形態1のように(図1に示すように)ヘッド作動検出装置50Aを真空配管14に分岐接続した場合、通常の監視状態で空気流入による急激な圧力上昇により真空ポンプ24が起動した際に、オリフィス53の前後で差圧が発生してしまうことを防止できる。つまり、通常の監視状態で真空ポンプ24が起動すると、オリフィス53の真空配管14側の圧力は、オリフィス53の空気チャンバー51側の圧力よりも低くなる。このため、空気チャンバー51から真空配管14へ逆止弁54を通って空気が流れることとなるので、オリフィス53の前後で差圧が発生してしまうことを防止できる。一方、スプリンクラヘッド2が作動した場合、二次側配管12及び真空配管14へ防護区画1内の空気が流入することにより、オリフィス53の真空配管14側の圧力は、オリフィス53の空気チャンバー51側の圧力よりも高くなる。このため、真空配管14から空気チャンバー51へ空気が流れることとなる。このとき、真空配管14から空気チャンバー51へ流れる空気は、逆止弁54を通ることができないので、オリフィス53を通ることとなる。したがって、オリフィス53の前後で差圧が発生し、この差圧に基づいてスプリンクラヘッド2の作動を検出することができる。
このように、ヘッド作動検出装置50Aを真空配管14に分岐接続することにより、真空ポンプ24の運転状態を考慮せずにスプリンクラヘッド2の作動を検出することができるので、スプリンクラヘッド2の作動を検出する制御が簡易となる。
【0037】
なお、本実施の形態1ではヘッド作動検出装置50Aを真空配管14に分岐接続したが、ヘッド作動検出装置50Aを二次側配管12に分岐接続してもよい。
【0038】
実施の形態2.
スプリンクラヘッド2の作動を検出するヘッド作動検出装置は、以下のように構成してもよい。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0039】
図2は、本発明の実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備を示すシステム構成図である。
本実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備(図2)の基本構成は、実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備(図1)と同様である。しかしながら、本実施の形態2では、ヘッド作動検出装置の構成が実施の形態1と異なっている。
【0040】
本実施の形態2に係るヘッド作動検出装置50Bは、空気チャンバー51、分岐配管52、オリフィス53、逆止弁56及びフロースイッチ57を備えている。分岐配管52は、一方の端部が真空スイッチ41とオリフィス42との間の真空配管14に接続されており、他方の端部が空気チャンバー51に接続されている。また、分岐配管52には、オリフィス53が設けられている。また、逆止弁56及びフロースイッチ57が直列に接続されており、これらはオリフィス53の前後にまたがるように、かつ並列に分岐配管52へ接続されている。このとき、逆止弁56は、空気チャンバー51から真空配管14への空気の流れを規制するように設けられている。
【0041】
(スプリンクラヘッド作動検出動作)
防護区画1で火災が発生し、スプリンクラヘッド2が作動すると、スプリンクラヘッド2の放水口から二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内に防護区画1の空気が流入する。これにより、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧が急激に低下する。この真空圧の低下の度合いは、通常の監視状態における配管接続部等からの空気流入による真空圧の低下よりも大きい。このとき、オリフィス53の前後に発生する差圧に応じた流量の空気がフロースイッチ57に流れることとなる。
【0042】
このため、本実施の形態2では、ヘッド作動検出装置50Bに設けられたフロースイッチ57の検出値に基づいて、スプリンクラヘッド2の作動を検出している。より詳しくは、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧が急激に低下すると、ヘッド作動検出装置50Bでは、オリフィス53の真空配管14側と空気チャンバー51側で圧力差が生じる。そして、この圧力差に応じた流量の空気が、フロースイッチ57に流れる。このフロースイッチ57に流れる空気の流量は、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧の所定時間当たりの変化量が大きいほど、大きな値となる。つまり、二次側配管12内、真空配管14内、分岐配管52内及び空気チャンバー51内の真空圧の所定時間当たりの変化量が大きいほど、フロースイッチ57の検出値が大きくなる。フロースイッチ57の検出値が所定の値よりも大きくなった場合、スプリンクラヘッド2が作動したと判断している。
【0043】
このように構成されたスプリンクラ消火設備においても、ヘッド作動検出装置50Bに設けられたオリフィス53の真空配管14側と空気チャンバー51側の圧力差に基づいて、スプリンクラヘッド2の作動を検出している。つまり、本実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備は、フロースイッチ57の検出値が所定の値よりも大きくなった場合、スプリンクラヘッド2の作動を検出している。このため、スプリンクラヘッド2の作動を早期に検出することができる。
【0044】
また、ヘッド作動検出装置50Bを真空配管14に分岐接続することにより、ヘッド作動検出装置50Aを真空配管14に分岐接続したとき(実施の形態1)と同様の効果を得ることもできる。
つまり、通常の監視状態で真空ポンプ24が起動すると、オリフィス53の真空配管14側の圧力は、オリフィス53の空気チャンバー51側の圧力よりも低くなる。このため、空気チャンバー51から真空配管14へ空気が流れることとなる。このとき、空気チャンバー51から真空配管14へ流れる空気は逆止弁54を通れないので、オリフィス53を通ることとなる。したがって、フロースイッチ57に空気が流れることを防止できる。一方、スプリンクラヘッド2が作動した場合、二次側配管12及び真空配管14へ防護区画1内の空気が流入することにより、オリフィス53の真空配管14側の圧力は、オリフィス53の空気チャンバー51側の圧力よりも高くなる。このため、真空配管14から空気チャンバー51へ空気が流れることとなる。このとき、真空配管14から空気チャンバー51へ流れる空気は、逆止弁54を通ることとなる。つまり、フロースイッチ57を通ることとなる。したがって、フロースイッチ57の検出値に基づいてスプリンクラヘッド2の作動を検出することができる。
このように、ヘッド作動検出装置50Bを真空配管14に分岐接続することにより、真空ポンプ24の運転状態を考慮せずにスプリンクラヘッド2の作動を検出することができるので、スプリンクラヘッド2の作動を検出する制御が簡易となる。
【符号の説明】
【0045】
1 防護区画、2 スプリンクラヘッド、3 火災感知器、4 火災受信機、5 制御盤、6 真空ポンプ制御盤、10 消火水槽、11 一次側配管、12 二次側配管、13 立ち下がり配管、14 真空配管、15 配管、16 排水配管、21 給水ポンプ、22 予作動弁、22a 放水信号用スイッチ、23 定流量弁、24 真空ポンプ、25 末端試験弁、31 流水遮断弁、41 真空スイッチ、42 オリフィス、43 サブタンク、50A,50B ヘッド作動検出装置、51 空気チャンバー、52 分岐配管、53 オリフィス、54 逆止弁、55 差圧スイッチ、56 逆止弁、57 フロースイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉弁と、
該開閉弁の二次側に設けられ、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管と、
該二次側配管と真空配管を介して接続され、前記二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、
前記開閉弁の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
を有するスプリンクラ消火設備において、
前記二次側配管又は前記真空配管から分岐した分岐配管に接続された空気チャンバーと、
前記分岐配管に設けられたオリフィスと、
該オリフィスに並列に接続された差圧スイッチと、
前記オリフィスに並列に接続され、前記二次側配管又は前記真空配管から前記空気チャンバーへの空気の流れを規制する逆止弁と、
を備えたことを特徴とするスプリンクラ消火設備。
【請求項2】
開閉弁と、
該開閉弁の二次側に設けられ、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管と、
該二次側配管と真空配管を介して接続され、前記二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、
前記開閉弁の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
を有するスプリンクラ消火設備において、
前記二次側配管又は前記真空配管から分岐した分岐配管に空気チャンバーを接続し、
前記分岐配管にオリフィスを設け、
フロースイッチ、及び前記空気チャンバーから前記二次側配管又は前記真空配管への空気の流れを規制する逆止弁を直列に接続し、
前記フロースイッチ及び前記逆止弁を前記オリフィスに並列に接続したことを特徴とするスプリンクラ消火設備。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−152269(P2011−152269A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15494(P2010−15494)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】