説明

スペクトル検知サイド情報に基づいたコグニティブ無線システムにおける電力制御

コグニティブ無線システムのために、コグニティブ無線装置の送信電力は、コグニティブ無認可装置が一次認可装置による共有スペクトルの使用に干渉しないように制御される。送信電力を制御することは、スペクトル検知プロセスからの検知情報に基づいて一次装置の一次送信機とコグニティブ無線装置との間の距離かまたはその距離の関数を決定することを含む。そして、コグニティブ無線装置の最大送信電力は、一次装置のサービス要求品質を保証するために、基礎となるコグニティブ無線モデルの最悪ケースシナリオを考察しながら、距離かまたはその距離の関数に基づいて動的に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年4月26日に出願され、「POWER CONTROL IN COGNITIVE RADIO SYSTEMS BASED ON SPECTRUM SENSING SIDE INFORMATION(スペクトル検知サイド情報に基づいたコグニティブ無線システムにおける電力制御)」と題された、米国特許仮出願第60/914,140号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本明細書は、コグニティブ無線システムにおけるスペクトル検知サイド情報に基づいた電力制御に関する。
【背景技術】
【0003】
簡単な背景技術として、コグニティブ無線は、ネットワークかまたは無線ノードが、認可ユーザに干渉することなく効率的に通信するために、そのネットワークまたは無線ノードの送信パラメータまたは受信パラメータを変更する無線通信のためのパラダイムである。パラメータのこの修正は、例えば、無線周波数スペクトル、ユーザの動向、および、ネットワーク状態のような外部および内部の無線環境におけるいくつかの要因を積極的に監視することに基づくものである。
【0004】
コグニティブ無線システムにおいては、無認可(二次的な)ユーザは、認可(一次的な)ユーザがある特定のタイムスロットおよびある限定された地理的位置に不在であるときに限り、認可スペクトルを使用することができる。しかしながら、一次ユーザが、再び出現すれば(すなわち、戻ってきて、そして、再び存在すれば)、理想的には、二次ユーザは、一次ユーザに干渉するのを回避するために、スペクトルを即座に明け渡さなければならない。
【0005】
ここ数年にわたる無線サービスの爆発的な成長は、実業界、消費者、および、政府機関の大きなかつ増大する無線通信への需要を示している。通信アプリケーションのこの成長とともに、スペクトルは、より輻輳した状態になりつつある。米連邦通信委員会(FCC)が、いくつかのスペクトル帯域をたとえ拡張したとしても、これらの周波数帯域は、特定のユーザまたは特定のサービスプロバイダーに排他的に割り当てられる。そのような拡張は、帯域が常に最も効率的に使用されることを必ずしも保証しない。
【0006】
この点において、ほとんどの無線周波数スペクトルは広い範囲にわたり利用中であることが知られている。例えば、携帯電話ネットワーク帯域は、世界のほとんどの地域において過負荷であるが、アマチュア無線周波数またはページング周波数はそうではない。さらにまた、これらのまれにしか使用されない周波数帯域は、無認可ユーザの送信が認可ユーザにまったく干渉をもたらすことがない場合ですらも、無認可ユーザがアクセスすることのできない特定のサービスに割り当てられる。
【0007】
スペクトル輻輳状態とスペクトルの利用が不十分との競合に取り組むために、最近、コグニティブ無線が、洗練された敏捷な技術として提案され、このコグニティブ無線は、認可帯域を非正規ユーザが適宜に利用するのを可能にする。スペクトルの需要を満たすために、特定のスペクトル「ホール(hole)」を検出し、そして、それらのスペクトルホールに機敏に飛び移ることによって、コグニティブ無線は、スペクトル利用を大きく改善することができる。認可ユーザへの干渉を回避しながら高いスペクトル効率を保証するために、コグニティブ無線は、スペクトル条件に柔軟に適応できなければならない。このために、コグニティブ無線の改善が、スペクトル検知、動的な周波数選択、および、送信電力制御の領域において望まれている。
【0008】
コグニティブ無線の最も厄介な問題の1つは、コグニティブ無線が認可帯域にアクセスしたが認可ユーザの存在に気づくことができなかったときに発生する干渉である。この問題を解決するために、コグニティブ無線は、有害な干渉を発生させることなく、認可ユーザと共存するように設計されなければならない。コグニティブ無線システムにおける無認可ユーザによる干渉を緩和するために提案されたいくつかの従来技術は、(1)未使用の一組のサブチャンネルを残しておくことによって干渉を回避するために提案された直交周波数分割多重(OFDM)アプローチ、(2)波形エネルギーを破損スペクトル位置(corrupted spectral location)に配置しないことによって干渉を緩和するように提案された変換領域通信システム(TDCS)アプローチ、および、(3)一次信号の局所的な信号対雑音比(SNR)の測定値に基づいて一次システムに対するサービス品質(QoS)を保証するためにコグニティブ無線が該無線の送信電力を調節するのを可能にするために提案された電力制御アプローチを含む。
【0009】
しかしながら、認可ユーザへの干渉を回避するためには、コグニティブ無線の送信電力は、認可ユーザの位置に基づいて制限されなければならない。上述した第3のアプローチは、コグニティブ無線は認可ユーザの位置を知ることができないという仮定から開始し、そして、SNRを代理測定値(proxy measurement)として使用することを提案しているが、一次受信機が、屋根に設置されたTVアンテナであれば、このアンテナは、ある位置において0dBのSNRを測定し、同じ位置の地表面におけるコグニティブ無線は、−10dBを測定するかもしれず、このために、SNRは、認可ユーザの位置に直接に相関するとは思われない脆弱な代理である。
【0010】
この点において、認可ユーザの位置をコグニティブ無線が突き止めることは実際には難しいことである。なぜなら、コグニティブ無線と認可ユーザとの間のチャンネルは、通常、未知であるからである。さらにまた、システムが動作中である環境は、大きな遅延スプレッドを有することがあり、したがって、コグニティブ無線と一次ユーザとの間のチャンネルモデルは、フェージング効果、シャドウイング効果、および、経路損失効果によって複雑なものとなる。
【0011】
別の従来システムにおいては、局部発振器(LO)漏れ電力が、一次受信機の位置を突き止めることを試みるのに利用される。しかしながら、そのようなアプローチは、実際に適用するのは難しいことである。なぜなら、このアプローチは、LO漏れ電力を検出するために、一次受信機の近くに取り付けられたセンサーノードを必要とし、これは、きわめて非現実的なことであるからである。
【0012】
このように、コグニティブ無線システムのために電力制御を改善するために、改善されたシステムおよび方法が望まれ、この改善されたシステムおよび方法は、一次受信機の近くに付加されるLO漏れ電力を検出するためのセンサーノードのような付加的構造体に頼らないものである。さらにまた、認可ユーザまでの距離に関連する測定値に基づいてコグニティブ無線の電力を制御するシステムが望まれ、このシステムは、上述した第3のアプローチの場合のように、本質的に欠陥を有するものではない。
【0013】
現在の設計が有する上述した欠点は、今日の設計が有する問題のほんのいくつかの概要を提供しようとするものであり、すべての問題を提供しようとするものではない。コグニティブ無線の現在の技術水準に関するその他の問題およびそれらに対応する本発明の利点が、本発明の限定するものではない様々な実施形態に関する以下の説明を考察することによってより明白なものとなりえる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
ここで、簡単な概要が、以下の詳細な説明および添付の図面に説明される限定するものではない典型的な実施形態の様々な側面を基本的にまたは概略的に理解するのを助けるために提供される。しかしながら、この概要は、本発明のすべての範囲を完全に網羅することを意図するものではない。この概要のただ1つの目的は、以下のより詳細な説明の前置きとして、限定するものではない典型的な様々な実施形態に関するいくつかの概念を簡単に説明することである。
【0015】
コグニティブ無線システムのために、コグニティブ無線装置の送信電力は、コグニティブ無認可装置が一次認可装置による共有スペクトルの使用に干渉しないように制御される。限定するものではない典型的な実施形態において、本発明の電力制御方法は、スペクトル検知プロセスからの検知情報に基づいて一次装置の一次送信機とコグニティブ無線装置との間の距離かまたはその距離の関数を決定することを含む。そして、コグニティブ無線装置の最大送信電力は、一次装置のサービス要求品質を保証するために、基礎となるコグニティブ無線モデルの最悪ケースシナリオを考察しながら、距離かまたはその距離の関数に基づいて動的に調節される。
【0016】
添付の図面を参照して、スペクトル検知サイド情報に基づいた電力制御技術の様々な実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】スペクトル検知サイド情報に基づいた電力制御のハイレベルのブロック図である。
【図2】スペクトル検知サイド情報に基づいて電力制御を実行するための限定するものではない第1の方法を示すフローチャートである。
【図3】スペクトル検知サイド情報に基づいて電力制御を実行するための限定するものではない第2の方法を示すフローチャートである。
【図4】ここで説明される電力制御技術のためのシステムモデルを示す限定するものではない典型的なブロック図である。
【図5】コグニティブ無線のためのスペクトル検知に関連して失敗する確率に対する影響を実証する典型的なグラフである。
【図6】コグニティブ無線のためのスペクトル検知に関連して失敗する確率に対する影響を実証する典型的なグラフである。
【図7】異なる数学的関係に基礎をおくコグニティブ無線のためのスペクトル検知に関連して実証する典型的なグラフである。
【図8】異なる数学的関係に基礎をおくコグニティブ無線のためのスペクトル検知に関連して実証する典型的なグラフである。
【図9】スペクトル検知技術のサイド情報に基づいた電力制御の結果および利点を示すグラフである。
【図10】スペクトル検知サイド情報に基づいて電力制御を実行するための限定するものではない第3の方法を示すフローチャートである。
【図11】限定するものではない典型的なネットワーク化された環境を表現するブロック図である。
【図12】限定するものではない典型的なコンピューティングシステムまたは動作環境を表現するブロック図である。
【図13】ここで説明される様々な実施形態のためのデータおよびサービスを送信するのに適したネットワーク環境の概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
概論
背景技術において述べたように、コグニティブ無線は、最近、認可ユーザのホールと呼ばれる空き帯域を知的に検知し、かつアクセスすることによってスペクトル利用効率を改善するための有望な技術として提案されている。この点において、背景技術において述べたように、電力制御アルゴリズムが、認可ユーザのQoSを保証するために、コグニティブ無線が自身の送信電力を調節するのを可能にすることが提案されている。しかしながら、現時点において、認可ユーザの位置を既存のシステムによって突き止めることは、実際には難しいことであり、そのために、認可ユーザへの干渉が発生することがある。例えば、少なくとも1つの従来システムによって測定されたSNR特性は、信頼性がなく、誤りを犯しやすく、かつ、距離と適切に相関されない。
【0019】
現在の電力制御技術に関するこれらの限界に鑑みて、限定するものではない様々な実施形態によれば、コグニティブ無線は、コグニティブ無線の送信電力を制御することによって、認可ユーザの存在下で動作する。認可ユーザへの干渉を最小限に抑制するために、コグニティブ無線の送信電力は、スペクトル検知サイド情報を使用することによって制御され、無認可コグニティブ無線の存在下において認可ユーザのQoSを保証する。
【0020】
限定するものではない様々な実施形態において、電力制御は、コグニティブ無線が存在することに起因する一次ユーザへの干渉を緩和するために、スペクトル検知サイド情報に基づいてコグニティブ無線システムに提供される。一実施形態においては、最初に、認可受信機とコグニティブ無線との間の最短距離が、スペクトル検知サイド情報から導出される。そして、コグニティブ無線の送信電力が、この最短距離に基づいて決定され、認可ユーザのQoSを保証する。このアプローチにおいては、コグニティブ無線が認可ユーザに最も近いという最悪ケースが考察されるので、提案される電力制御アプローチは、どのような位置に存在する認可ユーザにも適用されることが可能である。
【0021】
図1は、コグニティブ無線100および認可ユーザ110の両方が共有スペクトル120を利用するときに、認可された一次ユーザ110の(1つまたは複数の)QoS要求116を維持するために、無認可コグニティブ無線100に適用される電力制御技術を概略的に示す限定するものではない典型的なブロック図である。例示されるように、一次ユーザ110は、一次送信機112および一次受信機114を含む。図示されるように、コグニティブ無線100は、送信機106、電力制御モジュール104、および、スペクトル検知コンポーネント102を含む。本発明によれば、距離dかまたは距離dの関数は、スペクトル検知コンポーネント102によって決定されたデータに基づいて、電力制御コンポーネント104によって決定される。そして、送信機106の電力は、距離dの関数として、電力制御モジュール104によって制御される。QoS要求116を保証するために最悪ケースシナリオを考察することによって、電力制御モジュール104は、一次ユーザ110の動作に干渉することなく、コグニティブ無線100がスペクトル120を共有するのを可能にする。
【0022】
さらに、本発明の方法が、限定するものではない典型的な図2のフローチャートに例示される。符号200において、一次送信機(認可された)とコグニティブ無線(認可されていない)との間の距離dが、スペクトル検知サイド情報に基づいて決定される。そして、符号210において、以下に説明されるプロセスに従って、コグニティブ無線の送信電力が、一次受信機に関連する(1つまたは複数の)QoS要求を保証するために、距離dに基づいて制御される。
【0023】
限定するものではない典型的な図3のフローチャートに詳細に例示されるように、符号300において、距離dの決定は、コグニティブ無線のスペクトル検知中に一次ユーザの一次送信機の存在を決定することに関して、エネルギー検出に失敗する平均確率を計算することを含んでもよい。そして、符号310において、符号300において計算された失敗の平均確率に基づいて、一次送信機とコグニティブ無線との間の距離d(または、距離dに基づく関数、例えば、距離dによる経路損失のような)が、決定される。そして、符号320において、本発明の送信電力制御が、コグニティブ無線に対する最大送信電力を、距離dの関数(または、経路損失のような関数)として距離dに基づいて計算することによって実行される。その結果として、コグニティブ無線の送信電力は、一次受信機に対する許容できるQoSを保証する。
【0024】
以下の記述において、システムモデルの様々な側面が、ここで説明されるスペクトル検知のサイド情報を用いた電力制御を実行するための様々な実施形態の基礎として説明される。そして、限定するものではないいくつかの結果が示され、それらの結果は、本発明の効果を実証するものである。そして、コグニティブ無線システムに関するさらなるいくつかの背景技術が、コグニティブ無線システムに関連するいくつかの付加的な背景として提供され、それに続いて、ここで説明される実施形態の1つまたはそれ以上の側面が実施されてもよい限定するものではないいくつかの動作環境が、提供される。
【0025】
システムモデル
以下により詳細に説明される本発明の様々な実施形態の基礎として、本発明は、一次システム(すなわち、認可ユーザ)を考察し、この一次システムは、送信機−受信機対によって構成され、かつ、同じ領域内において二次ユーザ(コグニティブ無線)と共存する。本発明に基づいた興味のあるシステムモデルが、図4に例示され、図4において、一次送信機PTx、一次受信機PRx、および、コグニティブ無線CRが、それぞれ、描写されている。
【0026】
一次システムにおいて、一次送信機PTxは、送信電力Qによって一次受信機PRxと通信する。図4に示されるいくつかのシステムパラメータは、次のように説明される。半径R(m)を備えた一次送信機PTxを中心にする円は、復号可能な領域を表現し、その円内において、復号可能性を有する信号対雑音比(SNR)が、一次受信機への干渉が存在しないときに発生する。半径R(m)を備えた一次送信機PTxを中心とする円は、保護領域を表し、その円内において、一次受信機PRxは、コグニティブ無線CRの存在下においてさえも、うまく受信することを保証されなければならない。Δ(dB)は、距離Rによる信号減衰量である。μは、dBで表現した保護のマージンであり、このμは、一次システムがノイズフロアの上方においてどれだけ干渉を許容できるかを表現する。
【0027】
二次システムにおいて、コグニティブ無線CRは、一次システムと同じ周波数帯域において随意的に動作する。チャンネルにアクセスする前に、コグニティブ無線CRは、一次システムが動作中であるかどうかを受信された信号から検出するためのリスナーとして動作する。d(m)は、一次送信機PTxとコグニティブ無線CRとの間の距離を表すものとする。実際には、dの値を得ることは難しい。なぜなら、一次送信機PTxおよびチャンネルからの信号は、両方ともコグニティブ無線CRには未知であるからである。
【0028】
もう一つの厄介な問題は、一次ユーザが操作している同じスペクトル帯域にコグニティブ無線CRがアクセスするのを可能にすることである。そのような場合、コグニティブ無線CRは、一次システムに干渉し、それによって、一次受信機のQoSを低下させるかもしれない。干渉を減少させるために、コグニティブ無線CRの送信電力Qは、一次受信機PRxへの許容可能干渉量に基づいて制限され、その許容可能干渉量は、コグニティブ無線CRと一次受信機PRxとの間の距離に直接的に依存する。しかしながら、コグニティブ無線CRが、保護領域内のどこにでも存在し得る一次受信機PRxの位置を突き止めることは難しいことである。
【0029】
この問題を解決するために、最悪ケースシナリオが、本発明による境界として考察され、図4に示されるように、一次受信機PRxが、保護領域の境界線と一次送信機PTxからコグニティブ無線CRまでの直線との交点に配置される。この最悪ケースに対するようにコグニティブ無線CRの送信電力を制限することによって、満足できるQoSが、保護領域内のあらゆる位置において動作中の一次受信機PRxのために維持される。この場合、許容できる干渉を一次受信機に与えることを許されたコグニティブ無線CRの送信電力はdBで表現したSNR損失(μ+Ψ)に依存することが図4からわかる。また、距離dによるSNR損失はη=Ψ+Δ(dB)によって与えられることに注意されたい。そして、送信電力制御問題は、与えられたμおよびΔに対してdによるSNR損失ηを評価する問題に転換される。
【0030】
図4に示されるいずれか2つの端末間のチャンネルは、フラットレイリーフェージング(flat Rayleigh fading)および経路損失の影響を受けると仮定される。伝搬電力減衰は、Q(r)=r−αによって表現され、ここで、rは、距離を表し、αは、電力損失指数(すなわち、典型的には2から6までの範囲内に存在する定数)を表す。ここでは、α=2が、使用され、これは、自由空間減衰パラメータに対応する。
【0031】
スペクトル検知サイド情報に基づいた電力制御
上述したように、本発明によれば、スペクトル検知サイド情報に基づいたコグニティブ無線システムにおける電力制御アプローチは、コグニティブ無線が一次システムと共存することを可能にすることによってスペクトルを効率的に利用するために実施される。本発明の方法の限定するものではない様々な実施形態によれば、一次送信機とコグニティブ無線との間の距離dは、スペクトル検知サイド情報に基づいて決定される。そして、コグニティブ無線の送信電力が、一次受信機のQoS要求を保証するために、距離dに基づいて制御される。
【0032】
一次(認可された)システムへの有害な干渉を回避するために、コグニティブ無線は、スペクトル検知(spectrum sensing)として知られているプロセスによって、スペクトルの利用可能性を検知する。スペクトル検知の目的は、次の2つの仮説のどちらかを選択することである。
【数1】

ここで、Tは、観測時刻を表現し、x(t)は、コグニティブ無線において受信された信号であり、s(t)は、一次送信機から送信された信号であり、n(t)は、分散σを備えたゼロ平均加法性白色ガウス雑音(AWGN)であり、hは、レイリーフェージングチャンネル係数を表す。瞬時SNRは、γ=|hs(t)|/σと定義される。
【0033】
コグニティブ無線に対するスペクトル検知の問題は、チャンネルhおよび送信された信号s(t)に関するわずかな情報によって一次送信機の存在を検出することである。そのようなシナリオにおいては、エネルギー検出器が、s(t)のゼロ平均コンステレーションに対する最適な検出器として知られている。とりわけ、Yによって表現される受信信号のエネルギーは、固定帯域幅Wおよびタイムスロット期間T内において収集され、そして、予め設計されたしきい値λと比較される。Y>λであれば、コグニティブ無線は、一次システムが動作中である、すなわち、Hであると仮定する。Y>λでなければ、コグニティブ無線は、Hと仮定する。
【0034】
レイリーフェージングチャンネルにおけるエネルギー検出の誤りアラーム(false alarm)、検出、および、失敗の平均確率は、それぞれ、以下の式によって与えられる。
【数2】

および
【数3】

ここで、
【数4】

は、コグニティブ無線における平均SNRを表す。
【数5】

は、レイリー分布する確率変数γの期待値を表す。Prob{・}は、確率を表す。Γ(・,・)は、不完全ガンマ関数であり、Γ(・)は、ガンマ関数である。最後に、u=TWであり、本明細書全体を通して、u=5が、使用される。
【0035】
図5に示される各曲線500、510、および、520に、Pが、それぞれ、P=0.1、0.01、および、0.001に対する経路損失効果下におけるレイリーフェージングによるコグニティブ無線の平均SNRに対してプロットされる。図5は、平均SNRが増加すれば、失敗の確率はより小さくなることを示している。特定の平均SNRに対して、より大きなPは、エネルギー検出に使用されるしきい値の減少のために、Pの減少をもたらす。
【0036】
距離dによる経路損失は、次の式によって与えることができる。
【数6】

【0037】
ここで、log(・)は、10を底とする対数関数を表現する。式5から、次の式が、得られる。
【数7】

【0038】
式6を式3に代入することによって、与えられたQ/σおよびαに対するPとd(または、η)との間の関係が、次の式によって得られる。
=f(d) 又は P=f(η) 式7
【0039】
距離d(または、η)は、Pによって決定することができる。
【0040】
図6に示される曲線600、610、および、620のそれぞれは、α=2およびP=0.01であるときの異なる送信SNR Q/σ=80、90、および、100の場合の距離dに対するPをそれぞれ示す。計算結果は、コグニティブ無線が一次送信機から遠いときには失敗の確率が高いことを実証している。固定された距離dに対しては、より大きな送信SNRは、受信SNR
【数8】

が向上するので、より良好な検知能力、すなわち、より小さいPをもたらす。
【0041】
検出失敗は、一次送信機が動作中に発生するが、コグニティブ無線は、そのことを検知することができない。この場合、失敗の確率Pは、以下のように計算することができる。i=1,...,Nに対して、
【数9】

であり、ここで、Yは、タイムスロットiにおいてコグニティブ無線によって収集されたエネルギーを示し、Nは、タイムスロットの総数であるとする。そして、Pは、
【数10】

であると推定することができる。
【0042】
が、決定されると、d(または、η)は、式7から得ることができる。
【0043】
一次ユーザの存在がスペクトル検知プロセス中に適切に検出されなければ、全体的システム性能は、コグニティブ無線からの干渉のために大きく低下する。したがって、本発明によれば、コグニティブ無線の存在による干渉を制限するとともに効率的なスペクトル利用を保証することによってこの問題を解決するために、送信電力制御方法が、提案される。
【0044】
一次受信機がコグニティブ無線の存在下において一次送信機から受信される信号をうまく復号化するのを可能にするために、一次受信機の信号に干渉を加えた対雑音比(SINR)は、復号可能性SNR γ(単位dB)のしきい値を超えていること、すなわち、SINR≧γであることが保証されなければならない。そして、一次受信機のQoSは、
【数11】

によって評価することができる。
【0045】
ここで、QおよびQは、それぞれ、一次送信機およびコグニティブ無線から受信された信号電力を表す。式10および図2に示されるパラメータから、次の式が、定数αおよびμに対して得られる。
【数12】

【0046】
式11から、許容できるQの値はSNR損失Ψに依存することがわかる。一次受信機の位置は、通常、コグニティブ無線には未知であるので、Ψの値を得ることは難しいことである。本発明によれば、一次受信機がコグニティブ無線に最も近い点に配置される最悪ケースが、考察される。この場合、図4から、次の式が、関係する。
Ψ=η−Δ,dB 式12
【0047】
式12を式11に代入することによって、Qは、ηによって決定することができる。η=−10log(d−α)である場合を考察すると、
【数13】

となる。
【0048】
ここで、
【数14】

は、Qの最大値をdBで表現し、かつ、dは、上述したスペクトル検知サイド情報から導出されている。その結果として、一次受信機に対する満足できるQoSを保証するコグニティブ無線の送信電力は、ここで説明される実施形態によれば、コグニティブ無線に対する電力制御のための次のステップから決定される。
【0049】
ステップ1:式9からPを計算する。
【0050】
ステップ2:式7からdまたはηを導出する。
【0051】
ステップ3:式13から
【数15】

を計算する。
【0052】
限定するものではないいくつかの典型的な計算結果が、上述したような本発明によるコグニティブ無線システムにおける送信電力制御方法の効果を数学的に実証するために提供される。
【0053】
これらの計算結果は、システムパラメータが次のようなものであると仮定する。
・ Δ=60dB、
・ μ=1dB、
・ Q/σ=100dB、
・ P=0.01、
・ α=2
【0054】
また、チャンネル環境は、フラットレイリーフェージングおよび経路損失を有するものと仮定する。コグニティブ無線がスペクトルを一次システムと共有するとともに式10によって表現される一次受信機に対するしきい値QoSを保証するのを可能にするために、コグニティブ無線の送信電力は、しかるべく制御されなければならない。
【0055】
以下においては、本発明の効果が、コグニティブ無線の最大送信電力が得られることを示すことによって実証される。上述したように、コグニティブ無線が、一次受信機の位置を突き止めることは難しいので、図4に示されるように一次受信機がコグニティブ無線の最も近くに存在する最悪ケースシナリオが、考察される。
【0056】
式7から、最初に、ηに対するP(単位dB)が、Pと距離dによるSNR損失との比例関係を例示する図7の曲線700によって示されるように、得られる。
【0057】
そして、式13から、ηに対する
【数16】

(単位dB)が、図8の曲線800によって示されるように、得られる。図8の曲線800は、コグニティブ無線と一次受信機との間において大きなSNR損失が発生したときにコグニティブ無線の許容できる送信電力を増加させることができることを実証している。これは、理にかなったことである。なぜなら、コグニティブ無線が一次受信機に与える干渉電力は、大きな経路損失によって減少するからである。
【0058】
最後に、図7および図8から、
【数17】

とPとの間の関係は、図9の曲線900によって例示されるように確立される。式9からPを計算することによって、コグニティブ無線の存在下において認可ユーザに対するQoSを保証するように最大送信電力
【数18】

を決定することができる。Qの最大電力は、一次受信機がコグニティブ無線の最も近くに存在する最悪ケースシナリオに基づいて評価されるので、本発明の電力制御アプローチは、どのような位置に存在する一次受信機にも適用されてよい。
【0059】
図10は、コグニティブ無線による認可ユーザへの干渉の可能性を最小化/除去するために、コグニティブ無線システムにおいてコグニティブ無線の送信電力を動的に制御するためにスペクトル検知サイド情報を処理する典型的な方法の別のフローチャートである。符号1000において、認可ユーザとコグニティブ無線との間のチャンネルの経路損失が、スペクトル検知サイド情報に基づいて導出される。符号1010において、エネルギー検出に失敗する平均確率が、スペクトル検知中に認可ユーザの送信を検出することに関して、計算される。符号1020において、コグニティブ無線から認可ユーザまでの一組の候補距離またはある範囲にある候補距離が、スペクトル検知サイド情報に基づいて導出される。次に、符号1030において、一組の候補距離の中に含まれる最短距離が、一組の距離またはある範囲にある距離から選択される。そして、符号1040において、認可ユーザまでの最短距離(または、複数の認可ユーザが存在する場合には、認可ユーザまでの複数の最短距離)に基づいて、共有スペクトルで送信するためのコグニティブ無線の送信電力が、(1人または複数の)認可ユーザへの干渉の可能性を除去するために、動的に制御される。最悪ケースマニフェストの場合でさえも、最悪ケースが決定の要因に含められるので、認可ユーザは、共有スペクトルにおいてコグニティブ無線から干渉されることなく、存続することができる。
【0060】
このように、本発明は、スペクトルを同時に共有する一次ユーザとコグニティブ無線との関係に適用される。一次ユーザへの干渉を制限するために、本発明によれば、一次ユーザのサービス品質を維持しながらコグニティブ無線の送信電力を知的に調節する電力制御アプローチが、提供される。送信電力は、スペクトル検知サイド情報、すなわち、一次ユーザの暗黙的な位置情報を実際に含む失敗の確率によって制御される。計算結果は、本発明がスペクトル利用率を大きく向上させるとともに、どのような位置に存在する一次ユーザにも信頼性のあるサービス品質を保証することを証明している。
【0061】
コグニティブ無線システムに関する補足的な背景
コグニティブ無線は、ソフトウェア無線プラットフォームが達成すべき理想的な到達点と考えられ、すなわち、ネットワークおよびユーザ要求に応じて通信変数を自動的に変更する最大限に再構成可能な無線ブラックボックスと考えられてきた。
【0062】
電気通信産業に関して、様々な国における規制機関は、ほとんどの無線周波数スペクトルは非効率的に利用されていることを知った。例えば、携帯電話ネットワーク帯域は世界のほとんどの地域で過負荷であるがアマチュア無線およびページングの周波数はそうではないことがわかった。実施された独自研究は、この観察結果を確認し、スペクトル利用率は時刻と場所とに強く依存するという結論を下した。さらにまた、固定スペクトル割当は、無認可ユーザによる送信が割り当てられたサービスにまったく干渉しない場合でさえも、まれにしか使用されない周波数(特定のサービスに割り当てられた周波数)がそれらの無認可ユーザによって使用されるのを妨げる。したがって、この論理的根拠は、干渉を発生させないときにはいつでも(しきいとなる正規ユーザの存在が検知されたときはいつでも無認可ユーザを回避することによって)、それらの無認可ユーザが認可帯域を利用することを可能にすることを発展させてきた。
【0063】
近年、例えば、スペクトル使用の激しい競合が、とりわけ、3GHz未満のスペクトルに対して、発生している。米連邦通信委員会(FCC)からの研究論文は、認可スペクトルの利用率はほんの15%から85%までの範囲に存在することを証明している。スペクトル(ホワイトスペース)を最大限に利用することを目的として、IEEE802.22 Wireless Region Area Network(WRAN)Group(地域無線ネットワークグループ)が、54MHz〜862MHzのスペクトルを利用するために設立された。WRANの候補として、コグニティブ無線技術が、スペクトルホールの存在を有効利用するために追求されている。
【0064】
送信変化および受信変化を決定するときに考慮されるパラメータの組に依存して、2つの主たる種類のコグニティブ無線が存在する。すなわち、(1)完全コグニティブ無線、または、ミトララジオ(Mitola radio)。ここでは、無線ノードまたはネットワークによって観測可能なすべての考えられるパラメータが、考慮される。(2)スペクトル検知コグニティブ無線。ここでは、無線周波数スペクトルしか考察されない。さらに、別の特徴的な要因として、認可帯域コグニティブ無線の場合、認可ユーザに割り当てられた帯域は、無認可帯域に関係なく使用されてもよい。無認可帯域コグニティブ無線の場合、無線周波数スペクトルの無認可部分だけが、使用される。
【0065】
スペクトル検知コグニティブ無線は、電気通信産業には大きな興味となりつつある。スペクトル検知コグニティブ無線の利用分野には、決して限定されるものではないが、緊急ネットワークおよびより高いWLANスループットと送信距離拡張が含まれる。スペクトル検知コグニティブ無線の焦点は、高品質スペクトル検知装置とスペクトル検知データをノード間で交換するアルゴリズムとを設計することである。
【0066】
この点において、コグニティブ無線の主たる機能は、(1)スペクトル検知、(2)スペクトル管理、(3)スペクトル移動性(spectrum mobility)、および、(4)スペクトル共有である。コグニティブ無線によるスペクトル検知は、未使用スペクトルを検出し、他のユーザとの有害な干渉を伴うことなくそのスペクトルを共有することを必要とする。この意味において、コグニティブ無線ネットワークの目的は、スペクトルホールを検知することであり、スペクトルホールを検出する1つの方法は、ネットワークの一次ユーザを効率的に解析することである。
【0067】
スペクトル管理は、ユーザ通信要求を満たすために、最良の利用可能なスペクトルを捕捉することを必要とする。すなわち、コグニティブ無線は、あらゆるQoS要求を満たすために、利用可能なスペクトル帯域の中から最良のスペクトル帯域を選択しなければならず、スペクトル解析および意思決定を必要とする。
【0068】
そして、スペクトル移動性は、コグニティブ無線ユーザがそのユーザの動作周波数を交換するときのプロセスとして定義される。コグニティブ無線ネットワークは、無線端末がより良いスペクトルへの遷移中にシームレスな通信要求を維持するとともに最良の利用可能な周波数帯域で動作するのを可能にすることによってスペクトルを動的に使用することを目的とする。その名称が示すように、スペクトル共有は、すべてのノードに対して公平なスペクトルスケジューリング方法を提供するように努力する。
【0069】
ネットワーク化および分散化された典型的な環境
当業者は、ここで説明されるコグニティブ無線に対する電力制御の様々な実施形態は、コンピュータネットワークの一部分としてまたは分散コンピューティング環境内に配置されかつ何らかの種類のデータストアに接続されてもよい何らかのコンピュータまたはその他のクライアント装置またはサーバ装置に関連して実施されてもよいことがわかるはずである。この点において、ここで説明される様々な実施形態は、いかなる数のメモリまたは記憶装置を有し、またいかなる数の記憶装置間で発生するいかなる数のアプリケーションおよびプロセスを有するどのようなコンピュータシステムまたは環境内においても実施されてよい。これは、限定はされないが、ネットワーク環境または分散コンピューティング環境内に配置されたリモート記憶装置またはローカル記憶装置を有するサーバコンピュータおよびクライアントコンピュータを備えた環境を含む。
【0070】
分散コンピューティングは、コンピューティング装置およびコンピューティングシステム間における通信交換によって、コンピュータ資源およびコンピュータサービスの共有を提供する。これらの資源およびサービスは、ファイルのようなオブジェクトのための情報の交換、キャッシュ記憶装置、および、ディスク記憶装置を含む。これらの資源およびサービスは、また、負荷分散、資源の拡張、処理の特化などのために、処理ユニット間における処理能力の共有を含む。分散コンピューティングは、ネットワークコネクティビティをうまく利用し、クライアントが、それらの集団能力を利用し、企業体全体に利益を与えるのを可能にする。この点において、様々な装置は、本明細書の様々な実施形態に説明されるように、コグニティブ無線に対する電力制御を使用してもよいアプリケーション、オブジェクト、または、資源を有してもよい。
【0071】
図11は、ネットワーク化または分散化された典型的なコンピューティング環境の概略図を提供する。分散コンピューティング環境は、コンピューティングオブジェクト1110、1112など、および、コンピューティングオブジェクトまたはコンピューティング装置1120、1122、1124、1126、1128などを備え、これらのオブジェクトおよび装置は、アプリケーション1130、1132、1134、1136、1138によって表現されるようなプログラム、メソッド、データストア、プログラマブル論理などを含んでもよい。オブジェクト1110、1112など、および、コンピューティングオブジェクトまたはコンピューティング装置1120、1122、1124、1126、1128などは、PDA、オーディオ/ビデオ装置、携帯電話、MP3プレーヤ、パーソナルコンピュータ、ラップトップなどのような様々な装置から構成されてもよいことがわかるはずである。
【0072】
それぞれのオブジェクト1110、1112など、および、コンピューティングオブジェクトまたはコンピューティング装置1120、1122、1124、1126、1128などは、通信ネットワーク1140を介して直接的または間接的に、1つまたはそれ以上のその他のオブジェクト1110、1112など、および、コンピューティングオブジェクトまたはコンピューティング装置1120、1122、1124、1126、1128などと通信することができる。図11には単一構成要素として示されるが、ネットワーク1140は、サービスを図11のシステムに提供するその他のコンピューティングオブジェクトおよびコンピューティング装置を備えてもよく、および/または、図示されない複数の相互接続されたネットワークを表現してもよい。それぞれのオブジェクト1110、1112など、または、1120、1122、1124、1126、1128などは、また、アプリケーション1130、1132、1134、1136、1138のようなアプリケーションを含んでもよく、それらのアプリケーションは、本明細書の様々な実施形態に基づいて提供されるコグニティブ無線と通信するのに適切な、または、そのコグニティブ無線のための電力制御を実施するのに適切な、API、または、その他のオブジェクト、ソフトウェア、ファームウェア、および/または、ハードウェアを利用してもよい。
【0073】
分散コンピューティング環境をサポートする様々なシステム、コンポーネント、および、ネットワーク構成が存在する。例えば、コンピューティングシステムは、有線システムまたは無線システムによって、ローカルネットワークまたは広域分散ネットワークによって、お互いに接続されてもよい。現在、多くのネットワークが、インターネットに結合され、このインターネットは、広域分散コンピューティングのためのインフラストラクチャを提供し、また、多くの異なるネットワークを包含するが、どのようなネットワークインフラストラクチャーが、様々な実施形態に説明されるようなコグニティブ無線のための電力制御に付随する典型的な通信のために使用されてもよい。
【0074】
クライアント/サーバアーキテクチャ、ピアツーピアアーキテクチャ、または、ハイブリッドアーキテクチャのようなネットワークトポロジおよびネットワークインフラストラクチャのホストが、利用されてもよい。クライアント/サーバアーキテクチャ、とりわけ、ネットワーク化されたシステムにおいては、クライアントは、通常、別のコンピュータ、例えば、サーバによって提供される共有ネットワーク資源にアクセスするコンピュータである。限定するものではない例として示される図11において、コンピュータ1120、1122、1124、1126、1128などは、クライアントと考えられてもよく、コンピュータ1110、1112などは、サーバと考えられてもよく、ここで、サーバ1110、1112などは、クライアントコンピュータ1120、1122、1124、1126、1128などからデータを受信し、データを記憶し、データを処理し、クライアントコンピュータ1120、1122、1124、1126、1128などにデータを送信するようなデータサービスを提供するが、状況により、いずれのコンピュータもクライアント、サーバ、または、その両方になると考えられてもよい。これらのコンピューティング装置のいずれかが、データを処理、あるいは、1つまたはそれ以上の実施形態としてここで説明されるようなコグニティブ無線のための電力制御を包含するかもしれないサービスまたはタスクを要求してもよい。
【0075】
サーバは、一般的には、インターネットまたは無線ネットワークインフラストラクチャのようなリモートネットワークまたはローカルネットワークを介してアクセスすることのできるリモートコンピュータシステムである。クライアントプロセスは、第1のコンピュータシステムにおいてアクティブ状態であってもよく、サーバプロセスは、第2のコンピュータシステムにおいてアクティブ状態であってもよく、そして、通信媒体を介してお互いに通信し、それによって、分散機能を提供し、複数のクライアントがサーバの情報収集能力を利用するのを可能にする。コグニティブ無線のための電力制御に応じて利用されるいずれかのソフトウェアオブジェクトは、単独で提供されてもよく、あるいは、複数のコンピューティング装置またはコンピューティングオブジェクト間に分散されてもよい。
【0076】
通信ネットワーク/バス1140が例えばインターネットであるネットワーク環境においては、サーバ1110、1112などは、クライアント1120、1122、1124、1126、1128などがハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)のようないくつかの既知のプロトコルのいずれかを介して通信するウェブサーバであってもよい。また、サーバ1110、1112などは、分散コンピューティング環境の特徴として、クライアント1120、1122、1124、1126、1128などの役割をなしてもよい。
【0077】
典型的なコンピューティング装置
上述したように、有利なことには、ここで説明される技術は、主として一次ユーザに選定された利用中のスペクトルを二次ユーザに使用させることが望ましいどのような装置にも適用されてよい。したがって、ハンドヘルドコンピューティング装置、ポータブルコンピューティング装置、および、その他のコンピューティング装置、および、あらゆる種類のコンピューティングオブジェクトは、様々な実施形態に関連して使用されること、すなわち、コグニティブ無線ネットワークにおいて装置がサービスを要求するかもしれないどのような場所においても使用されることが考慮されることを理解すべきである。したがって、以下、図12において説明される汎用リモートコンピュータは、コンピューティング装置のほんの一例にすぎない。
【0078】
要求はされないが、実施形態は、装置またはオブジェクトに対するサービスの開発者によって使用するために、オペレーティングシステムを介して部分的に実施されてもよく、および/または、ここで説明される様々な実施形態の1つまたはそれ以上の機能的側面を実行するように動作するアプリケーションソフトウェア内に含められてもよい。ソフトウェアは、クライアントワークステーション、サーバ、または、その他の装置のような1つまたはそれ以上のコンピュータによって実行されるプログラムモジュールのようなコンピュータ実行可能命令の一般的なコンテクストとして記述されてもよい。当業者は、コンピュータシステムはデータを通信するのに使用されてもよい様々なコンフィギュレーションおよびプロトコルを有することがわかるはずであり、したがって、特定の構成またはプロトコルに限定されると考えるべきではない。
【0079】
したがって、図12は、一例としての適切なコンピューティングシステム環境1200を示し、このコンピューティングシステム環境1200において、ここで説明される実施形態の1つまたはそれ以上の側面が、実施されてもよく、これまでに明白にされたとはいえ、コンピューティングシステム環境1200は、適切なコンピューティング環境のほんの一例にすぎず、かつ、使用方法または機能の範囲に関する何らかの限定を示唆しようとするものではない。コンピューティング環境1200は、典型的な動作環境1200に例示されたコンポーネントのいずれか1つまたはそれらの組み合わせに関する何らかの従属関係または要求を有するものであると解釈されるべきではない。
【0080】
図12を参照すると、1つまたはそれ以上の実施形態を実施するための典型的な装置は、汎用コンピューティング装置をコンピュータ1210の形で含む。コンピュータ1210のコンポーネントは、限定はされないが、処理ユニット1220、システムメモリ1230、および、システムメモリと処理ユニット1220との結合を含めて様々なシステムコンポーネントを結合するシステムバス1222を含んでもよい。
【0081】
コンピュータ1210は、一般的には、様々なコンピュータ可読媒体を含み、コンピュータ1210がアクセスすることのできる入手可能などのような媒体であってもよい。システムメモリ1230は、リードオンリーメモリ(ROM)および/またはランダムアクセスメモリ(RAM)のような揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリの形でコンピュータ記憶媒体を含んでもよい。限定するものではない例として、メモリ1230は、また、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、その他のプログラム、および、プログラムデータを含んでもよい。
【0082】
ユーザは、入力装置1240を介して、コマンドおよび情報をコンピュータ1210に入力することができる。また、モニタまたはその他の種類のディスプレイ装置が、出力インタフェース1250のようなインタフェースを介して、システムバス1222に接続される。モニタに加えて、コンピュータは、また、スピーカおよびプリンタのようなその他の周辺出力装置を含んでもよく、それらの周辺出力装置は、出力インタフェース1250を介して、接続されてもよい。
【0083】
コンピュータ1210は、ネットワークインタフェース1260を介して、リモートコンピュータ1270のような1つまたはそれ以上の他のリモートコンピュータとの論理接続を用いたネットワーク化されるかまたは分散化された環境において動作してもよい。リモートコンピュータ1270は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピア装置またはその他の共通ネットワークノード、または、その他のリモート媒体消費装置またはリモート媒体送信装置であってもよく、また、コンピュータ1210に関連して上述した構成要素のいずれかかまたはすべてを含んでもよい。図12に描写される論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)のようなネットワーク1272を含むが、その他のネットワーク/バスをさらに含んでもよい。そのようなネットワーキング環境は、家庭、事務所、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、および、インターネットにおいて、一般的である。図示されかつ説明されるネットワーク接続は典型的なものであり、かつ、コンピュータ間における通信リンクを確立するその他の手段が使用されてもよいことがわかるはずである。
【0084】
典型的な通信ネットワークおよび環境
上述した最適化アルゴリズムおよびプロセスは、どのようなネットワークにも適用されてよいが、以下の記述は、本発明の電力制御アルゴリズムおよび電力制御プロセスに付随する通信のためのいくつかの典型的な電話無線ネットワークおよび限定するものではない動作環境を説明するものである。以下で説明される動作環境は、すべてを網羅するものではないと考えられるべきであり、しかしながら、以下で説明されるネットワークアーキテクチャは、本発明が組み込まれてもよいほんの1つのネットワークアーキテクチャを示すにすぎない。しかしながら、本発明は、同様に、通信ネットワークのために現時点において存在するかまたは将来において取って代わるどのようなアーキテクチャにも組み込まれてよいことがわかるはずである。
【0085】
移動通信のためのグローバルシステム(「GSM:Global System for Mobile communication」)は、今日の急成長している通信システムの中で最も幅広く利用されている無線アクセスシステムの1つである。GSMは、携帯電話またはコンピュータユーザのような加入者に回線交換データサービスを提供する。GMS技術が拡張された汎用パケット無線通信システム(「GPRS:General Packet Radio Service」)は、GSMネットワークにパケット交換を取り入れたものである。GPRSは、高速データおよび低速データを効率的に伝達するためにパケットベース無線通信技術を使用する。GPRSは、ネットワークおよび無線資源の使用を最適化し、したがって、パケットモードアプリケーションのために、GSMネットワーク資源の費用効果がありかつ効率的な使用を可能にする。
【0086】
当業者は、ここで説明される典型的なGSM/GPRS環境およびGSM/GPRSサービスが、同様に、ユニバーサル移動電話システム(「UMTS:Universal Mobile Telephone System」)、周波数分割複信(「FDD」)および時分割複信(「TDD」)、高速パケットデータアクセス(「HSPDA:High Speed Packet Data Access」)、cdma2000 1x Evolution Data Optimized(「EVDO」)、符号分割多元接続2000(「cdma2000 3x」)、時分割同期符号分割多元接続(「TD−SCDMA:Time Division Synchronous Code Division Multiple Access」)、広帯域符号分割多元接続(「WCDMA」)、Enhanced Data GSM Environment(「EDGE」)、International Mobile Telecommunication 2000(「IMT−2000」)、Digital Enhanced Cordless Telecommunications(「DECT」)などのような3Gサービスに拡張されてもよく、また、やがては利用可能となるその他のネットワークサービスにも拡張されてよいことがわかるはずである。この点において、本発明の技術は、データ伝送の方法とは無関係に適用されてもよく、かつ、何らかの特定のネットワークアーキテクチャまたは下層のプロトコルに依存するものではない。
【0087】
図13は、本発明が実施されることができるGPRSネットワークのような典型的なパケットベースモバイルセルラネットワーク環境の全体概略図を描写する。そのような環境においては、複数の無線局サブシステム(「BSS:Base Station Subsystems」)1300(1つのみ図示)が存在し、無線局サブシステムのそれぞれは、BTS1304、1306、および、1308のような複数の無線基地局(「BTS:Base Transceiver Stations」)を助ける無線局制御装置(「BSC:Base Station Controller」)1302を備える。BTS1304、1306、1308などは、パケットベースモバイル機器のユーザが無線ネットワークに接続されるアクセスポイントである。典型的には、ユーザ装置から発生するパケットトラフィックは、無線インタフェースを介して、BTS1308へ伝送され、また、BTS1308からBSC1302へ伝送される。
【0088】
BSS1300のような無線局サブシステムは、SGSN1312および1314のようなサービスGPRSサポートノード(「SGSN:Service GPRS Support Nodes」)を含んでもよい内部フレーム中継ネットワーク(internal frame relay network)1310の一部分である。そして、それぞれのSGSNは、内部パケットネットワーク1320に接続され、その内部パケットネットワーク1320を介して、SGSN1312、1314などは、複数のゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)1322、1324、1326などへ、および、該ノードなどから、データパケットをルーティングすることができる。図示されるように、SGSN1314とGGSN1322、1324、および、1326とは、内部パケットネットワーク1320の一部分である。ゲートウェイGPRSサービスノード1322、1324、1326は、主として、公衆陸上移動通信ネットワーク(「PLMN」)1345、企業イントラネット1340、または、固定端システム(「FES:Fixed-End System」)または公衆インターネット1330のような外部インターネットプロトコル(「IP」)ネットワークへのインタフェースを提供する。図示されるように、加入者企業ネットワーク1340は、ファイアウォール1332を介して、GGSN1324に接続されてもよく、また、PLMN1345は、境界ゲートウェイルータ1334を介して、GGSN1324に接続される。リモート認証ダイヤルインユーザサービス(「RADIUS:Remote Authentication Dial-In User Service」)サーバ1342は、モバイルセルラ装置のユーザが企業ネットワーク1340を呼び出したとき、発信者を認証するのに使用されてもよい。
【0089】
一般的には、4つの異なるセルサイズ、すなわち、マクロセル、マイクロセル、ピコセル、および、アンブレラセル(umbrella cell)が、GSMネットワークにおいて存在してもよい。それぞれのセルのカバレッジエリアは、異なる環境において異なる。マクロセルは、基地局アンテナが平均的な屋根の高さよりも高い柱かまたは建物に設置されたセルであると考えることができる。マイクロセルは、セルのアンテナ高が平均的な屋根の高さよりも低いセルであり、これらのマイクロセルは、一般的には、市街地で使用される。ピコセルは、数十メーターの直径を有する小さなセルであり、これらのセルは、主として、屋内で使用される。他方において、アンブレラセルは、より小さいセルのシャドー領域をカバーし、かつ、それらのより小さいセル間の間隙を満たすために使用される。
【0090】
本発明による最適化アルゴリズムおよび最適化プロセスの機能を包含してもよいネットワーク構成要素は、限定はされないが、与えられたネットワークによって必要とされるならば、ゲートウェイGPRSサポートノードテーブル、固定端システムルータテーブル、ファイアウォールシステム、VPNトンネル、および、どのような数のその他のネットワーク構成要素を含んでもよい。
【0091】
上述したように、典型的な実施形態が、様々なコンピューティング装置およびネットワークアーキテクチャに関連して説明されたが、基礎となる概念は、コグニティブ無線ネットワークにおいて協調的スペクトル検知を実行することが望ましいどのようなネットワークシステムおよびどのようなコンピューティング装置またはコンピューティングシステムにも適用されてよい。
【0092】
また、ここで説明される実施形態に基づいてコグニティブ無線ネットワークにおいてアプリケーションおよびサービスがネットワークスペクトルを要求するのを可能にする、例えば、適切なAPI、ツールキット、ドライバーコード、オペレーティングシステム、制御、スタンドアロンソフトウェアオブジェクトかまたはダウンロード可能なソフトウェアオブジェクトなどの同じかまたは類似する機能を実施するための複数の方法が存在する。したがって、上述した実施形態は、API(または、その他のソフトウェアオブジェクト)の観点から、また同様に、上述した様々な能力のいずれかを提供するソフトウェアオブジェクトまたはハードウェアオブジェクトから考察される。さらにまた、ここで説明される様々な実施形態は、全体的にハードウェアであり、部分的にハードウェアでありかつ部分的にソフトウェアであり、また、ソフトウェアである側面を有してもよい。
【0093】
本発明が、様々な図面の好ましい実施形態に関連して説明されたが、本発明の同じ機能を実行するために、本発明を逸脱することなく、その他の類似する実施形態が使用されてもよいこと、あるいは、変形および追加が説明された実施形態になされてもよいことを理解されるべきである。例えば、当業者は、本明細書に説明される本発明が、有線または無線であろうとなかろうと、どのような環境にも適用されてよいこと、また、通信ネットワークを介して接続され、また、ネットワーク内で情報をやり取りするどのような数のそのような装置にも適用されてよいことがわかる。したがって、本発明は、いずれの単一実施形態にも限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲に記載された広さおよび範囲において解釈されるべきである。
【0094】
「典型的な」という用語は、ここでは、例、実例、または、例示として役に立つことを意味するのに使用される。誤解を避けるために、ここで開示される主題は、そのような例によって限定されるものではない。さらに、ここで「典型的な」として説明されるすべての側面または設計は、必ずしも他の側面または設計よりも好ましいかまたは有利なものであると解釈されるべきではなく、かつ、当業者には公知の同等の典型的な構造および技術を除外することを意味するものではない。さらにまた、「含む」、「有する」、「包含する」、および、その他の類似する用語が詳細な説明または請求項において使用される限り、誤解を避けるために、そのような用語は、何らかの付加的なまたはその他の構成要素を除外することなく、開放的移行語(open transition word)として「備える」という用語に類似する形で含めることを意図したものである。
【0095】
ここで説明される本発明の様々な実施態様は、全体的にハードウェアであり、部分的にハードウェアでありかつ部分的にソフトウェアであり、また、ソフトウェアである側面を有してもよい。ここで使用される場合、「コンポーネント」、「システム」などの用語は、同様に、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、または、実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティーに言及することを意図したものである。例えば、コンポーネントは、限定はされないが、プロセッサ上で実行されているプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行のスレッド、プログラム、および/または、コンピュータであってもよい。実例として、コンピュータ上で実行されているアプリケーションおよびそのコンピュータの両方が、コンポーネントであってもよい。1つまたはそれ以上のコンポーネントが、プロセスおよび/または実行のスレッド内に存在してもよく、また、コンポーネントは、1つのコンピュータ上でローカライズされてもよく、および/または、2つかまたはそれ以上のコンピュータ間に分散されてもよい。
【0096】
したがって、本発明の方法および装置、あるいは、それらの方法および装置のある特定の側面または一部分は、フロッピー(登録商標)ディスケット、CD−ROM、ハードドライブ、または、何らかのその他の機械可読記憶媒体のような実体のある媒体(tangible media)に具現化されたプログラムコード(すなわち、命令)の形を有してもよく、そのプログラムコードが、コンピュータのようなマシン内にロードされ、そのマシンによって実行されるとき、そのマシンは、本発明を実施するための装置となる。プログラムコードがプログラマブルコンピュータ上で実行される場合、コンピューティング装置は、一般的には、プロセッサ、プロセッサによって読み出すことのできる記憶媒体(揮発性メモリおよび不揮発性メモリおよび/または記憶素子を含む)、少なくとも1つの入力装置、および、少なくとも1つの出力装置を含む。
【0097】
さらにまた、開示される主題は、ここで詳細に説明された側面を実施するようにコンピュータまたはプロセッサベース装置を制御するためのソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または、それらの何らかの組み合わせを製造するための標準的なプログラミング技術および/またはエンジニアリング技術を用いて、システム、方法、装置、または、製品として実施されてもよい。「製品」、「コンピュータプログラムプロダクト」、または、それらに類似する用語は、ここで使用される場合、何らかのコンピュータ可読装置、キャリア、または、媒体からアクセスすることのできるコンピュータプログラムを包含することを意図したものである。例えば、コンピュータ可読媒体は、限定はされないが、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストライプ、など)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、ディジタル多用途ディスク(DVD)、など)、スマートカード、および、フラッシュメモリ装置(例えば、カード、スティック)を含んでもよい。さらに、搬送波が、電子メールを送受信するときに、あるいは、インターネットまたはローカルエリアネットワーク(LAN)のようなネットワークにアクセスするときに使用されるようなコンピュータ可読電子データを搬送するのに使用されてもよいことが知られている。
【0098】
上述したシステムは、いくつかのコンポーネント間における相互作用に関して説明された。そのようなシステムおよびコンポーネントは、それらのコンポーネントまたは特定のサブコンポーネント、特定のコンポーネントまたはサブコンポーネントの中のいくつか、および/または、さらなるコンポーネントを含んでもよく、したがって、上述したものの様々な置換および組み合わせを含んでもよいことがわかるはずである。また、サブコンポーネントは、例えば、階層構造に基づいて親コンポーネント内に含まれるのではなく、その他のコンポーネントに通信可能に結合されたコンポーネントとして実施されてもよい。さらに、1つまたはそれ以上のコンポーネントは、集約された機能を提供する単一コンポーネントとして組み合わせられてもよく、あるいは、いくつかの分離したサブコンポーネントに分割されてもよく、また、統合された機能を提供するために、管理層のような1つまたはそれ以上の何らかの中間層が、そのようなサブコンポーネントに通信可能に結合するように提供されてもよいことに留意されたい。ここで説明されるいずれのコンポーネントも、また、ここでは詳細には説明されないが当業者には一般的に知られている1つまたはそれ以上のその他のコンポーネントと相互に作用してもよい。
【0099】
上述した典型的なシステムを考えれば、開示された主題に基づいて実施されてもよい方法が、様々な図面のフローチャートを参照してより良く理解されるはずである。説明を簡潔にするために、方法が、一連のブロックとして図示されかつ説明されたが、請求される主題はブロックの順序によって限定されないことを認識および理解されるべきである。なぜなら、いくつかのブロックは、異なる順序で発生してもよく、および/または、ここに描写されかつ説明されるその他のブロックと同時に発生してもよいからである。非順次的なフローすなわち分岐のあるフローが、フローチャートに沿って例示される場合、様々なその他の分岐、フロー経路、および、ブロックの順序が、実施されてもよく、それらは、同じかまたは類似する結果を達成することがわかる。さらにまた、例示されたブロックのすべてが、以下で説明される方法を実施するために必要とされるわけではない。
【0100】
さらにまた、明らかなように、これまでに開示されたシステムおよび以下に開示される方法の様々な部分は、人工知能または知識またはルールベースコンポーネント、サブコンポーネント、プロセス、手段、方法、または、メカニズム(例えば、サポートベクトルマシン、ニューラルネットワーク、エキスパートシステム、ベイジアン信念ネットワーク(Bayesian belief network)、ファジィ論理、データ融合エンジン、分類器、など)を含みまたはそれらから構成されてもよいことがわかる。そのようなコンポーネントは、とりわけ、実行されるある特定のメカニズムまたはプロセスを自動化し、それによって、システムおよび方法の一部分をより適応性のあるものにし、また、より効率的および知的なものにできる。
【0101】
本発明が、様々な図面に示される好ましい実施形態に関連して説明されたが、本発明から逸脱することなく、本発明の同じ機能を実行するために、その他の類似する実施形態が使用されてもよいこと、あるいは、変更および追加が説明された実施形態になされてもよいことを理解されるべきである。
【0102】
典型的な実施形態は、特定のプログラミング言語要素、仕様、または、標準に関連して本発明を利用することに言及しているが、本発明は、そのように限定されるのではなく、ここで説明されるようなコグニティブ無線のための電力制御アルゴリズムを可能にするどのような言語で実施されてもよい。さらにまた、本発明は、複数の処理チップまたはデバイスにおいて、または、それらの複数の処理チップまたはデバイス間において実施されてもよく、また、記憶は、同様に、複数のデバイス間において実施される。したがって、本発明は、何らかの一実施形態に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲に記載された広さおよび範囲において解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次装置がスペクトルを使用することに干渉することなく前記スペクトルを前記一次装置と共有するコグニティブ無線装置の送信電力を制御する方法であって、
一次送信機から放射される信号に基づいて前記スペクトル上に前記一次装置が存在することを検知するスペクトル検知プロセスからの検知情報に基づき、前記一次装置の前記一次送信機と前記コグニティブ無線装置との間の距離に関するパラメータを決定するステップと、
前記一次装置のQoS要求を満たすために、前記パラメータに基づいて前記コグニティブ無線装置の送信電力を動的に制御するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記決定するステップが、前記検知情報に基づいて前記一次送信機と前記コグニティブ無線装置との間の前記距離を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定するステップが、前記検知情報に基づいて前記一次送信機と前記コグニティブ無線装置との間の経路損失を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記決定するステップが、前記コグニティブ無線装置によって実行されるスペクトル検知中に前記一次装置の前記一次送信機を検出することに関するエネルギー検出に失敗する平均確率を計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記決定するステップが、エネルギー検出に失敗する前記平均確率に基づいて前記距離を決定することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記決定するステップが、エネルギー検出に失敗する前記平均確率に基づいて前記パラメータを前記距離の関数として決定することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記決定するステップが、前記パラメータを、エネルギー検出に失敗する前記平均確率に基づき前記距離の関数である経路損失関数として決定することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を備えたコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
一次装置の一次送信機から放射される信号に基づいてネットワークスペクトルの選定された部分上に前記一次装置が存在することを検知するスペクトル検知を行うコグニティブ無線装置であって、
前記ネットワークスペクトルの前記選定された部分が前記一次装置によって利用されることに関する存在情報を検知し、それに基づいて、前記コグニティブ無線装置が前記ネットワークスペクトルの前記選定された部分を前記一次装置と共有するスペクトル検知コンポーネントと、
前記ネットワークスペクトルの前記選定された部分が前記コグニティブ無線装置によって使用されることが前記一次装置による使用を干渉しないように前記スペクトル検知コンポーネントからの少なくとも1つの出力に基づいて前記コグニティブ無線装置の送信電力を制御する電力制御コンポーネントであり、前記一次装置のQoS要求を保証するために、前記一次装置に関連する最悪ケース位置に基づいて前記送信電力を制御する、前記電力制御コンポーネントと、
を備えたコグニティブ無線装置。
【請求項10】
前記電力制御コンポーネントが、前記存在情報に基づいて前記一次装置の一次送信機と前記コグニティブ無線装置との間の距離を決定する、請求項9に記載のコグニティブ無線装置。
【請求項11】
前記電力制御コンポーネントが、前記存在情報に基づいて前記一次装置の一次送信機と前記コグニティブ無線装置との間の経路損失特性を決定する、請求項9に記載のコグニティブ無線装置。
【請求項12】
前記スペクトル検知コンポーネントからの前記少なくとも1つの出力が、前記一次装置の一次送信機の存在を前記スペクトル検知コンポーネントが決定することに関するエネルギー検出に失敗する平均確率の出力を含む、請求項9に記載のコグニティブ無線装置。
【請求項13】
前記電力制御コンポーネントが、エネルギー検出に失敗する前記平均確率の関数に基づいて前記コグニティブ無線装置の前記送信電力を制御する、請求項12に記載のコグニティブ無線装置。
【請求項14】
前記電力制御コンポーネントが、エネルギー検出に失敗する前記平均確率に基づいて計算された前記一次装置と前記コグニティブ無線装置との間の距離に基づいて前記コグニティブ無線装置の前記送信電力を制御する、請求項12に記載のコグニティブ無線装置。
【請求項15】
前記電力制御コンポーネントが、エネルギー検出に失敗する前記平均確率に基づいて計算された前記一次装置と前記コグニティブ無線装置との間の距離に数学的に関係する経路損失関数に基づいて前記コグニティブ無線装置の前記送信電力を制御する、請求項12に記載のコグニティブ無線装置。
【請求項16】
認可装置との干渉を防止するためにコグニティブ無線システムにおいてコグニティブ無線装置の電力を制御する方法であって、
スペクトル検知サイド情報に基づいて、前記コグニティブ無線装置からの少なくとも1つの認可装置に対応する少なくとも一組の候補距離を導出し、前記少なくとも1つの認可装置の中のそれぞれの認可装置ごとに、前記一組の候補距離の中から前記対応する認可装置までの最短距離を決定することを含むステップと、
前記少なくとも1つの認可装置までの前記1つまたはそれ以上の最短距離に基づいて、前記コグニティブ無線装置の送信電力を動的に制御し、それによって、前記コグニティブ無線装置が前記少なくとも1つの認可装置に干渉するのを実質的に防止するステップと、
を備えた方法。
【請求項17】
前記導出するステップが、前記少なくとも1つの認可装置の中のそれぞれの認可装置ごとに、前記認可装置から受信された前記スペクトル検知サイド情報から、前記コグニティブ無線装置から前記認可装置までのある範囲にあると考えられる距離を導出し、前記決定するステップが、前記範囲内にある最も近い距離を選択することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記導出するステップが、前記スペクトル検知サイド情報に基づいて、前記少なくとも1つの認可装置と前記コグニティブ無線装置との間における少なくとも1つのチャンネルの少なくとも1つの経路損失特性を導出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記導出するステップが、前記少なくとも1つの認可装置の中のそれぞれの認可装置ごとに、前記コグニティブ無線装置によって実行されるスペクトル検知中に前記認可装置の送信を検出することに関してエネルギー検出に失敗する平均確率を計算することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
コグニティブ無線システムにおいてコグニティブ無線装置の電力制御を実行するシステムであって、
一次送信機から放射される信号に基づいて共有スペクトル上に前記一次装置が存在することを検知するスペクトル検知プロセスからの情報に基づいて、前記一次装置の前記一次送信機と前記コグニティブ無線装置との間の最小距離かまたは前記最小距離に関する関数を決定する手段と、
前記コグニティブ無線装置が共有スペクトルを前記一次装置と共有しながら前記一次装置のサービス要求品質を保証するために、前記決定する手段から出力される前記最小距離かまたは前記最小距離に関する前記関数に基づいて、前記コグニティブ無線装置の最大送信電力を動的に制御する手段と、
を備えたシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−517139(P2011−517139A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504910(P2010−504910)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003360
【国際公開番号】WO2009/050588
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(510253723)リンナ・ホールディングス・プライベート,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (3)
【Fターム(参考)】