説明

スマートカードモジュール

【課題】ボンディングホール内での封止材の層間剥離による破損を防止する。
【解決手段】スマートカードモジュールには、基板上面と基板下面とを有する基板と、該基板下面に配置されたコンタクトアレイと、該基板上面に配置された、ビアを含む導体構造とが、備えられている。該ビアは、基板を貫通して設けられ、コンタクトアレイに接続されている。該導体構造に接続された接続接触部を有するチップが、基板上面または導体構造上の、チップを実装するための手段を用いて実装されている。該チップと、該導体構造の少なくとも一部と、該基板上面との上には、該チップを封止するための封止部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
本発明は、基板に備えられたコンタクトアレイと、該コンタクトアレイに連結された接続接触部を有する封止されたチップとを備えた、スマートカードモジュールに関するものである。
【0002】
スマートカードは、例えばデータを格納するために、アクセス制御装置として、または、決済目的で、広範に用いられている。
【0003】
このスマートカードの上面にアクセスできるコンタクトアレイに、読取り装置のコンタクトが接していることにより、コンタクトによって、スマートカードと読取り装置との間でデータを伝送することができる。あるいは、データを、コンタクトを用いずに電磁界によって伝送することもできる。このために、コンタクトカードは、通常、コイルを備えている。コンタクトに基づくインターフェースを有しているカードだけではなく、コンタクトを用いないインターフェースを有しているカードもある。これらのようなスマートカードは、デュアルインターフェースカードと呼ばれている。
【0004】
スマートカードを製造するために、スマートカードモジュールが、スマートカード本体の窪みに埋設され、例えば接着結合によってスマートカード本体に接続されている。
【0005】
このようなスマートカードモジュールは、通常、基板に沿って配置されたコンタクトアレイと、該コンタクトアレイとは反対側の基板面に実装されたチップとを備えている。該コンタクトアレイの表面(基板とは反対側のコンタクトアレイの面)は、該コンタクトアレイがスマートカードモジュールに装着した後でもなおもアクセス可能である。この基板の中に、ボンディングホールとも呼ばれる凹部を有することができる。これにより、該チップに沿った接続接触部は、凹部において、ボンディングワイヤを介して、コンタクトアレイの背面(基板側のコンタクトアレイの面)とのコンタクトを形成できる。
【0006】
デュアルインターフェースカード用のスマートカードモジュールでは、さらに、この基板のコンタクトアレイとは反対側の面に、導体構造を備えることができる。これにより、通常はカード内部に配置されているコイルとのコンタクトを形成することができ、このコイルを該導体構造およびボンディングワイヤを介して該チップの接続接触部に接続することができる。
【0007】
該チップおよび該ボンディングワイヤは、該チップおよび特に感度の高い該ボンディングワイヤを保護するために、通常、封止されている。この場合、封止材は、通常、コンタクトアレイの裏面に位置するボンディングホールよりも、基板上においてよりよく接着する。
【0008】
このような構成により、特にボンディングホールにおいて、封止材とコンタクトアレイの裏面との間で層間剥離が生じてしまう。該層間剥離は、他の処理の間またはその後日々用いている間にスマートカードモジュールに作用する、機械的応力および/または熱応力に起因している。その原因は、多くの封止材の接着が弱いことにある。さらに、基板の物理的構造が原因である場合もある。該層間剥離により、ボンディングワイヤが破損してしまい、電気的不全に至る恐れがある。
【0009】
また、基板にしっかりと接着する封止材を用いた場合には、以下の現象が生じてしまう。ボンディングワイヤは、封止部の中にしっかりと固定されているが、ボンディングホールの中ではコンタクトアレイに接続されているので、例えば熱負荷または機械的負荷に起因する基板とコンタクトアレイとの間の立体的な相対運動により、該ボンディングホールにおいて封止材の層間剥離が生じ、封止材にしっかりと固定された該ボンディングワイヤが破損してしまう。このような相対運動は、例えば、コンタクトアレイを基板に接着結合した場合に生じる。該層間剥離は、コンタクトアレイの裏面および導体構造上への封止材の接着が弱い事に起因している。該層間剥離は、特に、コンタクトアレイに金が含まれている場合に生じる。
【0010】
[特許文献1]
独国特許出願公開第19535775号明細書
[特許文献2]
独国特許出願公開第19703057号明細書
[特許文献3]
欧州特許出願公開第0671705号明細書
【0011】
[図面の簡単な説明]
図1は、ワイヤボンディング技術を用いてコンタクトが形成されているスマートカードモジュールの一実施形態を示す図である。
【0012】
図2は、フリップチップ技術を用いてコンタクトが形成されているスマートカードモジュールの一実施形態を示す図である。
【0013】
図3A〜3Cは、他の複数の実施形態にかかるスマートカードモジュールのコンタクトを示す図である。
【0014】
図4は、スマートカードモジュールの一実施形態の設計平面図を示す図である。
【0015】
図1は、上面2および下面3を有する基板1を備えたスマートカードモジュールの一実施形態を示している。一実施形態では、基板1は、ガラス繊維強化エポキシ樹脂から形成されている。該基板1の上面2および下面3は、金属被覆されている。基板1の下面3に位置するパターン形成されたこの金属層は、コンタクトアレイ4を成している。また、複数の実施形態では、コンタクトアレイおよび/または導体構造は、金を含んでいる。金の導電率は、著しく高い。
【0016】
一実施形態では、コンタクトアレイ4は、該コンタクトアレイ4の寸法が少なくともISO標準の要件を満たしているように構成されている。コンタクトアレイの寸法がISO標準を満たしていれば、本実施形態のスマートカードモジュールを標準のスマートカードにおいて用いることができる。
【0017】
一実施形態では、該コンタクトアレイおよび/または該導体構造の構成は、パターン形成された銅板を含んでおり、該銅板は基板に簡単に装着可能である。
【0018】
例えば、該コンタクトパッド4は、1つの側面が接着剤によって覆われた銅板として、基板に積層されたものである。この接着剤を、薄膜として、銅板および/または基板に形成する。この銅板の厚さは、通常、30〜40mmであり、特に、約35mmである。次に、この銅板をフォトリソグラフィーによってパターン形成し、該銅板に沿ったニッケルおよび/または金を含んだ層に電気メッキを施す。
【0019】
これらのコンタクトアレイおよび導体構造を接着剤によって積層できるかは、該基板が、封止材がうまく接着する粗面を有しているかどうかによって決まる。
【0020】
また、他の一実施形態では、これらのコンタクトアレイおよび導体構造は、接着剤を用いずに積層されている。これにより、低コストでの製造が可能になる。基板1の上面2に沿って該導体構造5を成している該金属層は、接着剤を用いずに基板1上に備えられる。
【0021】
接着剤を用いない形成と接着剤を用いた形成とを組み合わせて、複数の実施形態を実現できる。
【0022】
図1の実施形態では、基板1の上面2に沿った導体構造5と、コンタクトアレイ4とは、基板1を貫くいわゆるビア6を介して、互いに導電接続されている。該ビア6は、基板2に埋設されている。
【0023】
さらに、本実施形態では、スマートカードモジュールは、接着剤12によって基板1の上面2に備えられたチップ8を覆っている。基板1から離れているチップ8の一側面に配置されている接続接触部9が、ワイヤボンディング法によって、ボンディングワイヤ11を介して導体構造5に接続されている。一実施形態では、該ボンディングワイヤは金線として構成されている。チップ8を該導体構造に接続するためにワイヤボンディングプロセスを用いるということは、従来のコンタクト形成技術を用いるということである。
【0024】
したがって、該ボンディングワイヤのコンタクトは、ボンディングホール(つまり、コンタクトアレイ4の裏面)ではなく、基板1の上面2に形成された導体構造5上において形成される。
【0025】
チップ8およびボンディングワイヤ11を保護するために、これらは封止材によって封止されている。1つの封止方法として、いわゆる「成形」が挙げられる。この方法では、基板上面2に、チップ8を覆う成形材料を供給する。これにより、チップ8およびボンディングワイヤ11は該成形材料によって覆われる。この成形材料は、供給された後、硬化する。例えば、該成形材料はエポキシ樹脂を含み、熱硬化性プラスチックとして形成されている。
【0026】
該封止材に接する導体構造5の面積が、該基板上面2の平面において該封止部によって覆われた領域の面積よりもできる限り小さくなるように、ビア6の直径をできる限り短くする。一実施形態では、ビアの直径は0.8mm以下であり、他の一実施形態では、0.5mm以下である。直径が0.4mm以下または0.3mm以下の場合、複数の他の改良された形態が得られる。ビアの直径を短くすることにより、ビアを取り囲む導体構造の面積も小さくなる。
【0027】
この構成の熱機械的負荷に対する抵抗力を上げるために、一実施形態におけるボンディングワイヤ11の線長は、2.5mmよりも短く、特に、2mmよりも短い。線長が比較的短いことにより、該ボンディングワイヤと該封止部10の外側領域との距離を短くすることもできる。このことが利点となるのは、該スマートカードおよび該コンタクトアレイに負荷がかかった場合に、該外側領域に最も大きな力が加わるからであり、それゆえに、特に、該基板に接している封止部10の縁部7では、封止部10がこの外側領域において剥がれるという危険が生じ、それに伴ってワイヤが破損し、機能不全に陥ってしまう場合があるからである。
【0028】
一実施形態では、ビアが該封止部によって覆われた領域および/または縁部7によって取り囲まれた領域に位置しているように、封止部10は平らな範囲を有するこれにより、ビア6は、周辺条件の影響(例えば、水蒸気および気体)から保護される。
【0029】
複数の実施形態では、特に破損に対して機械的耐性のあるスマートカードモジュールが、いわゆるトランスファー成形技術による封止によって形成されている。
【0030】
該ワイヤと該導体構造5とのコンタクトによって、ボンディングホールにおいて該封止物の層間剥離は生じえず、したがって、例えば基板2と接着結合されたコンタクトアレイ4との間の相対運動の結果、該封止材の中にしっかりと固定されたボンディングワイヤが破損してしまう。さらに、少なくとも該ボンディングホールにおいてコンタクトを形成できるようにボンディングホールの大きさを規定する必要があるので、ボンディングワイヤとのコンタクトを形成するために、ビアを有する導体構造の所要面積は低減される。
【0031】
上記の改良された形態では、ビア6を、スマートカードモジュールの下面から見ることができない。これらのビアが、いわゆる「ブラインドビア」である。
【0032】
一実施形態では、該コンタクトアレイ4を形成するために、該コンタクトアレイは、基板1の下面3に接着剤を用いずに該金属層が積層されるように構成されている。該ビア6を、本実施形態では通常見ることができ、該ビアは、「可視的なビア」と呼ばれている。本改良された形態には、あまりコストがかからない。
【0033】
一実施形態では、いわゆるウェッジオンバンプコンタクト(短縮してWOBと呼ぶ)によって、ボンディングワイヤとのコンタクトが形成される。このコンタクトの接着は非常によく、したがって特に、該接着は、導体構造5上における金線として形成されたボンディングワイヤとのコンタクトの形成に適している。
【0034】
基板1にチップ8を直接備えることにより、コンタクトアレイ4を備えた基板下面とチップ8との間の緩衝領域が厚くなる。該緩衝領域は、コンタクトアレイ4に影響を与える機械的負荷を吸収するものである。また、チップホルダを有する他の改良された形態も可能である。
【0035】
図2は、基板1の上面2にチップ8が備えられ、該チップがフリップチップ技術によって導体構造5とのコンタクトを形成する、スマートカードモジュールの他の一実施形態を示している。フリップチップ技術によるチップと導体構造とのコンタクトにより、より平らなスマートカードモジュールの実施形態が可能になる。
【0036】
フリップチップコンタクトの場合、チップ8の接続接触部9は、基板1の上面2に面したチップ8面に配置されている。チップ8の接続接触部9は、コンタクト形成素子13を介して導体構造5に接続されている。このコンタクトは、チップを実装している間に、チップ8に作用する力を基板2の方向に加えることによって形成される。チップ8を固定するために、該チップは、接着剤またはいわゆる下部充填材14によって、基板1または導体構造5に接続される。
【0037】
本実施形態の導体構造5は、設置されたチップの接続接触部9の下に導体構造5が配置されるように、該導体構造5の形状が設定されている点において、図1に示した実施形態の線構造と異なっている。
【0038】
図3Aは、チップモジュールの他の一実施形態の細部を示している。図示した細部は、チップ8用のワイヤボンディングコンタクトの一実施形態を示している。
【0039】
基板1の中には、少なくとも1つのビア61がある。チップ接続部(接続接触部)からビア61を介して、ボンディングワイヤ11を通し、該ボンディングワイヤを、ビア61の一側面を覆う金属層4に導電接続する。
【0040】
ビア61の開口部は、0.8mm以下であることが好ましく、特に好ましい改良された形態では、0.5mm以下である。他の複数の改良された形態は、開口部の幅を0.4mm以下または0.3mm以下であるように選択した場合に得られる。ここで、開口部の幅が0.4mmであることが特に適していると考えられる。
【0041】
このボンディング接続を、例えばチップ8に沿ったボンディング装置を用いて行う。この場合、いわゆる「ネールヘッド」24が、チップ接続部に配置されている。このために、ボンディングワイヤの起点を溶解する。次に、該ボンディングワイヤを、この「ネールヘッド」から、基板1の中に形成されたビア61に通し、このボンディングワイヤの第2端部を、いわゆる「ウェッジコンタクト」を用いてコンタクトアレイ4の裏面に取り付ける。このコンタクト形成順序を繰り返してもよい。
【0042】
図3Aに示した実施形態では、図示したチップの接続接触部は、チップ8の端部に十分に近接して配置されている。これにより、ワイヤボンディングの接続部11を、ビア61内において、コンタクトアレイ4の裏面から直接、接続接触部に位置づけることができる。該ワイヤボンディングの接続部11は、ビア61の下端における「ウェッジコンタクト」まで延びている。この場合、ビア61内のコンタクトアレイ4の積層された銅層7aに沿ってニッケル層7bおよび金層7cを形成することが、有効である場合がある。
【0043】
図3Bは、他の一実施形態におけるコンタクトの形成方法を示している。図3Bは、銅層7aと基板1との間においてこれらの積層をつなぎ合わせる接着層14を示している。銅層7aとビア61との間の界面には、フィレットビード(fillet bead)が形成されている。該フィレットビードから、接着剤が該積層を介してビア61に現れる。現れたこの接着剤は、図3Bに示した改良された形態では、銅層22によって覆われている。現れた接着剤を覆うこの銅層は、基板1に沿ったコンタクトアレイ4を保持するための補強的な効果を有している。図3Bにみられるように、銅層7aに沿って、さらにニッケル層7bおよび金層7cが形成されている。
【0044】
図3Cは、他の一実施形態におけるコンタクトの形成方法を示している。図3Cに示した改良された形態では、ビア61とコンタクトアレイ4の銅層7aとによって形成された内部領域は、完全に金属被覆されている。ここでは、図示した本実施形態では、コンタクトアレイ4の層配列23と同様の層配列が形成されている。つまり、初めに銅層7aを形成し、続いて、ニッケル層7bを形成し、最後に金層7cを形成する。該銅層7aは、コンタクトアレイ4の銅層7aに沿って下端に配置されている。
【0045】
ボンディングの接続部11の「ウェッジコンタクト」は、ビア61内の金層7c上に位置している。図3Cのビア61の該金属層の利点、または、少なくとも図3Bに示したフィレットビードを被覆する利点は、こうすることによって続く成形プロセス中に成形材料がフィレットビードに入らないようにし、コンタクト領域4の接触面3への積層に損傷を与えないようにする点である。
【0046】
図3Aおよび図3Cには積層をつなぎ合わせる接着剤14を示していないが、これら両方の改良された形態においてこのような接着剤を用いてもよいことは、自明である。
【0047】
図3A〜図3Cに示した実施形態では、該金属層4は、3層を成している。この配列は、初めに銅層(Cu層)7aを直接基板1に形成し、次に該銅層の上に、ニッケル層(Ni層)7bを電気化学的に形成し、次に該ニッケル層の上に、金層(Au層)7cを同様に電気化学的に形成することにより、得られる。
【0048】
該ニッケル層7bおよび金層7cは、電気化学的に形成され、図3Bおよび図3Cの実施形態では、銅層7a上のビア61の内壁にも形成される。ビア61中のワイヤボンディングの接続部11用の「ウェッジコンタクト」は、この場合、ビア61の下端にある金層7cに位置している。
【0049】
図4は、チップ8がワイヤボンディング技術によって実装されている、外縁部15を有するスマートカードモジュールの一実施形態の平面図を示している。基板上面2には、導体構造5が形成されている。
【0050】
該導体構造5は、該導体構造がビア6に接続され、接続領域18を備えているように構成されている。該ボンディングワイヤ11は、この接続領域18に実装されており、チップ8上の接続接触部9に接続されている。
【0051】
さらに、本実施形態では、該スマートカードモジュールは、コイルによってコンタクトを形成するためのコイル接続接触部16を成す導体構造を備えている。これらの導体構造は、ボンディングワイヤ11を介してチップ8上の接続接触部9に接続された接続領域19も備えている。
【0052】
封止材によって覆われた基板1上の導体構造5の面積は、封止部10によって覆われた領域よりも小さい。封止部10の物理的な広がりを示すために、基板表面または導体構造5、に接している封止縁部7の封止輪郭部17を、基板上面2に投影している。基板1の上面2に備えられた導体構造は、封止輪郭部17内の領域においてわずかな割合しか占めていない。
【0053】
この図は、チップ8が実装されている上面2の領域のチップ輪郭部21も示している。このチップ輪郭部は、チップ8を実装するために、基板表面2または導体構造5に接している手段の縁部を投影したものである。例えば、該手段は、接着剤12または下部充填材14であってもよい。接着剤12が平らにチップの下面に延びている場合、該チップ輪郭部21は、本実施形態に記載したようなチップの形状をしている。
【0054】
チップ8およびその接続部9を封止するために、該封止材は、チップ8、ボンディングワイヤ11、および、封止輪郭部17とチップ輪郭部21との間の導体構造5を備えた基板上面2の領域20に接している。これにより、特に、接続領域18、19およびビア6が共に覆われるようになる。
【0055】
基板上面2または導体構造5に封止材が接している斜線部分20の大部分には、該導体構造5は配置されていない。通常、封止材は、導体構造5上よりも、チップ8上でよりよく接着する。これにより、封止材は基板2およびチップ表面に非常によく接着することができる。封止輪郭部17によって取り囲まれた領域内の導体構造5の比較的平らな面積がより少ないほど、封止部10はよりよく接着される。
【0056】
封止輪郭部17とチップ輪郭部21との間の上面2の導体構造5の面積が、封止輪郭部17によって取り囲まれた領域のたったの5分の1を占めているにすぎない場合、該封止部を確実に接着して、層間剥離およびワイヤの破損を大幅に抑えることができる。
【0057】
該導体構造5が、基板表面2上の金属被覆された領域と共に、隙間(特にビア6)、さらには存在している可能性のある全てのボンディングホールをも取り囲んでいる点に、留意すべきである。該導体構造が、封止輪郭部17によって取り囲まれた領域の面積の最大15%しか占めていない場合に、接着は改善される。さらなる改良された形態が、封止輪郭部17によって取り囲まれた領域の面積の最大10%しか占めていない該導体構造によって得られる。さらに、改善された形態が、該導体構造が面積の最大5%しか有していない場合にも得られる。
【0058】
このような、導体構造の面積の最適化は、該ビアの直径を短くし、該導体構造(特に、コイル接触領域16への供給体の面積をさらに小さくすることにより、達成される。
【0059】
ワイヤボンディングコンタクトの場合、該導体構造5が基本的に封止輪郭部17とチップ輪郭部21との間の領域に配置されているということに留意すべきである。該導体構造は、通常チップ輪郭部21内には配置されていない。
【0060】
これとは対照的に、フリップチップコンタクトの場合、導体構造5の一部は、基板1に面している、チップ8面に沿った接続接触部9とのコンタクトを形成するために、チップ輪郭部21内にも形成されている。しかし、該導体構造の一部は、基板1または導体構造上の封止材の接着に影響を与えない。なぜなら、この領域はチップ8によって覆われているからである。
【0061】
これらの図に示した実施形態の特徴部分を互いに組み合わせることができる点に、留意すべきである。
【0062】
一実施形態では、本発明のスマートカードモジュールは、基板上面と基板下面とを有する基板と、該基板下面に配置されたコンタクトアレイとを備えている。さらに、基板上面に配置された、ビアを含む導体構造が、備えられている。該ビアは、基板を貫通して設けられ、コンタクトアレイに接続されている。該スマートカードモジュールは、該導体構造に接続された接続接触部を有するチップも備えている。ここで、該チップは、基板上面または導体構造上の、チップを実装するための手段を用いて実装されている。該スマートカードモジュールは、該チップと、導体構造の少なくとも一部と、基板上面とに備えられた、該チップを封止するための封止部も備えている。このようなスマートカードモジュールは、機械的応力および熱応力に対して頑強性がある。
【0063】
該封止材は、通常、金属上よりも基板上によりよく接着する。該ビアにより該導体構造の面積が小さくなる。これによって、該封止部は、基板上によく接着するようになる。これにより、スマートカードモジュールの寿命が延び、アレイの欠陥率が低下する。
【0064】
一実施形態では、該封止部は、基板上面または導体構造に接した縁部を有している。また、該封止部は、基板上面の該縁部の封止輪郭部と基板上面の該手段の縁部のチップ輪郭部との間の領域において、基板上面に沿った導体構造の面積が封止輪郭部によって取り囲まれた領域の面積の最大5分の1を占めるように、形成されている。この比率において、基板の接着性能が著しく優れている。
【0065】
製造を簡略化するために、特に、封止に用いられる機械を簡単に洗浄できるように、封止部は、導体構造よりも、基板の表面上によりよく接着する。
【0066】
一実施形態では、このスマートカードモジュールがデュアルインターフェースカードにおいて用いられるように、該スマートカードモジュールは、基板上面に他のコンタクトパッドを備えている。該コンタクトパッドは、コイルとのコンタクトを形成するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】ワイヤボンディング技術を用いてコンタクトが形成されているスマートカードモジュールの一実施形態を示す図である。
【図2】フリップチップ技術を用いてコンタクトが形成されているスマートカードモジュールの一実施形態を示す図である。
【図3A】他の実施形態にかかるスマートカードモジュールのコンタクトを示す図である。
【図3B】他の実施形態にかかるスマートカードモジュールのコンタクトを示す図である。
【図3C】他の実施形態にかかるスマートカードモジュールのコンタクトを示す図である。
【図4】スマートカードモジュールの一実施形態の設計平面図を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上面と基板下面とを有する基板と、
上記基板下面に配置されたコンタクトアレイと、
上記基板上面に配置された、ビアを含む導体構造であって、上記ビアは上記基板を貫通して設けられ、上記コンタクトアレイに接続されている、上記導体構造と、
上記導体構造に導電接続された接続接触部を有するチップであって、上記基板上面または上記導体構造上に、上記チップを実装するための手段を用いて実装されている、上記チップと、
上記チップと、上記導体構造および上記基板上面の少なくとも一部と、を被覆している封止部と、
を備えたスマートカードモジュール。
【請求項2】
少なくとも1つのビアが上記基板に形成されており、少なくとも1つのワイヤボンディングの接続部が備えられており、上記ワイヤボンディングの接続部は、上記の少なくとも1つのビア内の上記コンタクトアレイ上に位置しており、上記チップ上の他の接続接触部につながっている、請求項1に記載のスマートカードモジュール。
【請求項3】
上記ビアの開口幅は、0.8mm以下である、請求項2に記載のスマートカードモジュール。
【請求項4】
上記封止部は、上記基板上面または上記導体構造に接している縁部を有しており、上記封止部は、上記基板上面の上記縁部の封止輪郭部と、上記基板上面の上記手段の縁部のチップ輪郭部との間の領域において、上記基板上面に沿った上記導体構造の面積が上記封止輪郭部によって取り囲まれた領域の面積の最大5分の1を占めるように、位置づけられている、請求項1に記載のスマートカードモジュール。
【請求項5】
上記封止輪郭部によって取り囲まれた領域において、上記基板上面に沿った上記導体構造の面積が上記封止輪郭部によって取り囲まれた領域の面積の最大5分の1を占めている、請求項4に記載のスマートカードモジュール。
【請求項6】
上記コンタクトアレイの寸法はISO標準を満たしている、請求項1に記載のスマートカードモジュール。
【請求項7】
上記のコンタクトアレイおよび/または上記導体構造は上記基板に接している、請求項1に記載のスマートカードモジュール。
【請求項8】
上記コンタクトアレイと上記基板との間、および/または、上記導体構造と上記基板との間に、接着層が形成されている、請求項1に記載のスマートカードモジュール。
【請求項9】
全ての上記ビアは、封止輪郭部によって取り囲まれた領域内に配置されている、請求項1に記載のスマートカードモジュール。
【請求項10】
上記封止部は、上記導体構造よりも、上記基板の表面上によりよく接着する、請求項1に記載のスマートカードモジュール。
【請求項11】
基板上面と基板下面とを有する基板と、
上記基板下面に配置されたコンタクトアレイと、
上記基板上面に配置された、ビアを含む導体構造であって、上記ビアは上記基板を貫通して形成され、上記コンタクトアレイに接続されている、上記導体構造と、
上記導体構造に導電接続された接続接触部を有するチップであって、上記基板上面または上記導体構造上の実装手段を用いて実装されている、上記チップと、
上記チップと、上記導体構造の少なくとも一部と、上記基板上面とに供給された封止部とを備え、
上記封止部は、上記基板上面または上記導体構造に接する縁部を有しており、上記封止部の上記縁部と、上記基板上面または上記導体構造に接する上記実装手段の縁部との間の領域において、上記基板上面に沿った上記導体構造の面積が上記封止部の上記縁部によって取り囲まれた領域の面積の最大5分の1を占めるように、備えられている、スマートカードモジュール。
【請求項12】
上記封止部の上記縁部によって取り囲まれた領域において、上記基板上面に沿った上記導体構造の面積が上記封止部の上記縁部によって取り囲まれた領域の面積の最大5分の1を占めている、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項13】
少なくとも1つのビアが上記基板に形成されており、少なくとも1つのワイヤボンディングの接続部が備えられており、上記ワイヤボンディングの接続部は、上記の少なくとも1つのビア内の上記コンタクトアレイ上に位置しており、上記チップ上の他の接続接触部につながっており、上記ビアの開口幅は、0.8mm以下である、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項14】
上記ビアのコンタクトアレイとの接触面が、少なくとも1つの銅層によって少なくとも部分的に覆われたフィレットビードを成している、請求項13に記載のスマートカードモジュール。
【請求項15】
上記ビア、および、上記ビアを覆っている上記コンタクトアレイは、完全に金属被覆された壁を有する領域を構成している、請求項13に記載のスマートカードモジュール。
【請求項16】
上記チップの上記接続接触部は、ワイヤボンディング技術によって、ボンディングワイヤを介して導体構造に接続されている、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項17】
上記チップの上記接続接触部は、フリップチップ技術によって導体構造に接続されている、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項18】
上記2つのコンタクトアレイの寸法はISO標準を満たしている、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項19】
上記コンタクトアレイおよび/または上記導体構造は接着剤を用いずに積層されている、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項20】
上記コンタクトアレイおよび/または上記導体構造は接着剤を用いて備えられている、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項21】
上記コンタクトアレイおよび/または上記導体構造はパターン形成された銅板を含んでいる、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項22】
上記コンタクトアレイおよび/または上記導体構造は金を含んでいる、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項23】
上記ビアのうち1つのビアの直径が0.8mm以下である、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項24】
上記コンタクトアレイは上記ビアの上面を覆っており、および/または、上記導体構造はビアの下面を覆っている、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項25】
上記ビアの全てが、上記封止部の縁部によって取り囲まれた領域内に配置されている、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項26】
上記封止部は、上記導体構造上よりも、上記基板表面上によりよく接着する、請求項11に記載のスマートカードモジュール。
【請求項27】
コイル接続接触部が、上記基板上面に配置されており、コイルとのコンタクトを形成するように構成されている、請求項11に記載のスマートカードモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−188489(P2007−188489A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−342574(P2006−342574)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】